JP2004154659A - 膜エレメントの再生方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ケーシング内に着脱自在に設けられる膜エレメントの再生方法であって、使用済みの膜エレメントの一部を容易に再利用して、廃棄物の減量および資源の有効利用を図る。
【解決手段】膜エレメント3は、先端を閉塞した直管状のセラミックス製の複数の膜チューブ4と、これら膜チューブ4の基端部を集束するステンレス製の集束プレート7とで構成され、各膜チューブ4はシリコン系の接着剤9によって集束プレート7に接着固定されており、使用済みの膜エレメント3を300〜800℃で加熱して接着剤9の接着力を失効させ、使用済みの膜エレメント3を膜チューブ4と集束プレート7とに分離し、その後、集束プレート7を、酸洗浄して、再利用する。
【選択図】 図3
【解決手段】膜エレメント3は、先端を閉塞した直管状のセラミックス製の複数の膜チューブ4と、これら膜チューブ4の基端部を集束するステンレス製の集束プレート7とで構成され、各膜チューブ4はシリコン系の接着剤9によって集束プレート7に接着固定されており、使用済みの膜エレメント3を300〜800℃で加熱して接着剤9の接着力を失効させ、使用済みの膜エレメント3を膜チューブ4と集束プレート7とに分離し、その後、集束プレート7を、酸洗浄して、再利用する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、上水(浄水)処理,下水・廃水処理,ガス分離,ダスト分離等に用いられる膜モジュールの膜エレメントの再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、膜モジュールに用いられる膜エレメントとしては、図10に示すように、セラミックス製の膜チューブ40の先端部に封止部品41を焼きばめし、膜チューブ40の基端部に開放側部品42を焼きばめし、集合用部品43に形成された取付け孔44に上記開放側部品42を嵌め込み、開放側部品42と集合用部品43とを溶融タイプふっ素樹脂45で一体に溶接している。これにより、複数本の膜チューブ40が集合用部品43に集束されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−120960号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記の従来形式では、膜チューブ40の濾過機能が劣化したり使用期限が過ぎるなどして、膜エレメント46を新品のものと交換した場合、使用済みの膜エレメント46の一部を再利用することは困難であり、使用済みの膜エレメント46一式を全て廃棄しており、廃棄物が増加するといった問題や資源の無駄使いといった問題が生じた。
【0005】
本発明は、使用済みの膜エレメントの一部を容易に再利用して、廃棄物の減量および資源の有効利用を図ることが可能な膜エレメントの再生方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本第1発明は、ケーシング内に着脱自在に設けられる膜エレメントの再生方法であって、上記膜エレメントは、先端を閉塞した管状のセラミックス製の複数の膜チューブと、これら膜チューブを集束する集束プレートとで構成され、上記各膜チューブはシリコン系の接着剤によって集束プレートに接着されて固定され、上記集束プレートの材質はステンレス,鉄,銅,真鍮,チタン,ハステロイのいずれかの金属であり、使用済みの膜エレメントを300〜800℃で加熱して接着剤の接着力を失効させて、上記使用済みの膜エレメントを膜チューブと集束プレートとに分離し、集束プレートを再利用するものである。
【0007】
これによると、シリコン系の接着剤を使用することによって、使用済みの膜エレメントを加熱した際、上記接着剤が変質してもろくなり、接着力が失効するため、使用済みの膜エレメントを膜チューブと集束プレートとに容易に分離することができる。また、上記加熱時の加熱温度を300〜800℃にすることにより、集束プレートに組成変性が生じるのを防止することができる。これにより、使用済みの膜エレメントから集束プレートを回収して再利用することが可能となり、廃棄物の減量および資源の有効利用を図ることができる。
【0008】
また、本第2発明は、集束プレートの材質をステンレスとし、使用済みの膜エレメントを膜チューブと集束プレートとに分離した後、上記集束プレートを酸洗浄し、集束プレートを再利用するものである。
【0009】
これによると、集束プレートを酸洗浄することにより、集束プレートの表面の汚れを十分に落とすことができる。
また、本第3発明は、ケーシング内に着脱自在に設けられる膜エレメントの再生方法であって、上記膜エレメントは、先端を閉塞した管状のセラミックス製の複数の膜チューブと、これら膜チューブを集束する集束プレートとで構成され、上記各膜チューブはシリコン系の接着剤によって集束プレートに接着されて固定され、上記集束プレートの材質はステンレス,鉄,銅,真鍮,チタン,ハステロイのいずれかの金属であり、使用済みの膜エレメントの膜チューブと集束プレートとの接着部分をシリコン溶解液中に浸漬する又は上記接着部分にシリコン溶解液を塗布することにより、上記接着剤を溶解させて上記使用済みの膜エレメントを膜チューブと集束プレートとに分離し、集束プレートを再利用するものである。
【0010】
これによると、上記シリコン溶解液が接着剤を溶解するため、使用済みの膜エレメントを膜チューブと集束プレートとに容易に分離することができる。これにより、使用済みの膜エレメントから集束プレートを回収して再利用することが可能となり、廃棄物の減量および資源の有効利用を図ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施の形態を図1〜図6に基づいて説明する。
図1,図2に示すように、1は膜モジュールであり、ケーシング2の内部に複数(2個)の膜エレメント3を着脱自在に備えており、被処理水を後述する膜チューブ4の外側から内側へ透過させて濾過する外圧式のものである。
【0012】
上記ケーシング2は、種々の形状を採用できるが、本実施の形態では、一例として直管円筒状のものを挙げている。上記ケーシング2の両端には、上記膜エレメント3を出し入れする膜エレメント装入口5が形成されている。これら両膜エレメント装入口5の外周縁にはケーシング側フランジ6が設けられている。
【0013】
上記膜エレメント3は、図3,図4に示すように、先端を閉塞した細い直管状のセラミックス製の複数本の膜チューブ4と、これら膜チューブ4の基端部を集束して各膜チューブ4を片持状に支持する円板形状の集束プレート7とで構成されている。尚、上記各膜チューブ4は、多数の微細孔を有した膜形成材のみで管壁を成形してなり、管外径1〜6mmφ、管壁肉厚0.1〜0.8mmの形状をなすものであり、所定間隔で平行に配置されている。また、上記各膜チューブ4の基端側は、集束プレート7に形成された複数の貫通孔8(図5参照)に挿通され、各膜チューブ4の基端間に充填されたシリコン系の接着剤9(シリコンゴム等)によって集束プレート7に水密に接着されて固定されている。尚、上記集束プレート7の材質にはステンレスが用いられている。
【0014】
図1,図2に示すように、上記ケーシング2の両端には、ケーシング2内に充填された膜エレメント3の各膜チューブ4の基端開口4a側を覆う帽子状のキャップ10が着脱自在に取付けられている。
【0015】
すなわち、上記キャップ10の開口端の外周縁にはキャップ側フランジ11が設けられている。そして、上記集束プレート7の外周部を上記ケーシング側フランジ6とキャップ側フランジ11との間に挟み込んだ状態で、複数のボルト12を挿通し、ナット13を締めてケーシング側フランジ6とキャップ側フランジ11とを締結することにより、両膜エレメント3がそれぞれケーシング2内に水平に据付け固定されている。
【0016】
尚、集束プレート7とケーシング側フランジ6との間は一方のパッキン14によって水密にシールされている。また、集束プレート7とキャップ側フランジ11との間は他方のパッキン15によって水密にシールされている。
【0017】
上記ケーシング2には、両膜エレメント3の間に形成された給水空間16に対応する位置に被処理水(被処理流体の一例)を供給する原水供給口17と、濃縮水排出口18とが設けられている。上記原水供給口17はケーシング2の下部に位置し、濃縮水排出口18はケーシング2の両側上部に位置している。
【0018】
また、上記キャップ10の外周上部には濾過水排出口19が設けられ、キャップ10の外周下部にはキャップ10内のドレンを排出するためのドレン排出口20が設けられている。
【0019】
これによると、原水供給口17からケーシング2内の給水空間16へ供給された被処理水は、各膜チューブ4の外側から内側へ透過する際に膜チューブ4で濾過され、膜チューブ4を透過した被処理水は濾過処理水として膜チューブ4の内部流路4b(図3参照)を通って基端開口4aからキャップ10内に流出し、両濾過水排出口19から外部へ排出される。
【0020】
使用済みの膜エレメント3を新品のものと交換する場合、先ず、図1に示す各ボルト12,ナット13を取り外し、キャップ10をケーシング側フランジ6から取り外す。その後、使用済みの膜エレメント3を膜エレメント装入口5からケーシング2の外側へ引き出し、新品の膜エレメント3を膜エレメント装入口5からケーシング2の内部に挿入すればよい。
【0021】
上記のようにしてケーシング2内から取り出された使用済みの膜エレメント3の膜チューブ4は汚染物質の付着等によって濾過機能が劣化しているが、通常、集束プレート7の機能は劣化していない。このことから、使用済みの膜エレメント3に対して、以下のような再生方法が実施される。
【0022】
すなわち、図6に示すように、先ず、上記のようにケーシング2内から取り出された使用済みの膜エレメント3を300〜800℃で加熱する。この際、接着剤9の材質としてシリコン系のもの(シリコンゴム等)を用いているため、接着剤9のケイ素原子間の結合が切断され、上記接着剤9が変質してもろくなり、接着力が失効する。これにより、使用済みの膜エレメント3を膜チューブ4と集束プレート7とに容易に分離することができる。尚、加熱時の加熱温度を300〜800℃とすることにより、集束プレート7にステンレスの組成変性が生じるのを防止することができる。
【0023】
その後、上記集束プレート7を塩酸等で酸洗浄することにより、集束プレート7の表面の汚れを十分に落とすことができる。これにより、使用済みの膜エレメント3から集束プレート7を回収して再利用することが可能となり、廃棄物の減量および資源の有効利用を図ることができる。
【0024】
また、各膜チューブ4は上述したように濾過機能が劣化しているため、これら各膜チューブ4を粉砕してセラミックス原料にして再利用する。これにより、廃棄物の減量および資源の有効利用をより一層促進させることができる。
【0025】
次に、本発明の第2の実施の形態を図7,図8に基づいて説明する。尚、膜モジュール1とその膜エレメント3の構成は先述した第1の実施の形態と同一であるため、説明を省略する。
【0026】
第2の実施の形態における使用済みの膜エレメント3の再生方法を以下に説明する。
先ず、使用済みの膜エレメント3を乾燥させる。そして、図8に示すように、浸漬用タンク25にシリコン溶解液26を注入し、上記使用済みの膜エレメント3の各膜チューブ4と集束プレート7との接着部分Aを上記シリコン溶解液26中に所定時間浸漬する。これにより、シリコン溶解液26が接着剤9を溶解するため、図5に示すように、使用済みの膜エレメント3を膜チューブ4と集束プレート7とに容易に分離することができる。その後、膜チューブ4と集束プレート7とをキシレン等で洗浄し、乾燥させる。これにより、使用済みの膜エレメント3から集束プレート7を回収して再利用することが可能となり、廃棄物の減量および資源の有効利用を図ることができる。
【0027】
また、各膜チューブ4は上述したように濾過機能が劣化しているため、これら各膜チューブ4を粉砕してセラミックス原料にして再利用する。これにより、廃棄物の減量および資源の有効利用をより一層促進させることができる。
【0028】
尚、上記シリコン溶解液26は、シリコン系の接着剤9(シリコンゴムやシリコン樹脂等)のみを溶解する薬剤であり、ステンレスやセラミックス等に悪影響を及ぼさないものであり、例えば有機溶剤とトリハロゲン化酢酸とを混合したもの(有限会社ミツ化学製のシリコーン溶解剤SSI−3)等が挙げられる。
【0029】
上記第2の実施の形態では、図8に示すように、各膜チューブ4と集束プレート7との接着部分Aをシリコン溶解液26中に浸漬しているが、これ以外の方法として、上記接着部分Aにシリコン溶解液26を塗布してもよい。
【0030】
上記第1および第2の実施の形態では、集束プレート7の材質をステンレスにしているが、ステンレスに限定されるものではなく、鉄,銅,真鍮,チタン,ハステロイのいずれかの金属であってもよい。
【0031】
上記第1の実施の形態では、図1に示すように、被処理水を膜チューブ4の外側から内側へ透過させて濾過する外圧式の膜モジュール1を挙げたが、第3の実施の形態として、図9に示すように、被処理水を膜チューブ4の内側から外側へ透過させて濾過する内圧式の膜モジュール30であってもよい。尚、この内圧式の膜モジュール30では、原水供給口17が両キャップ10の外周下部に設けられ、濾過水排出口19がケーシング2の上部に設けられ、ドレン排出口20がケーシング2の下部に設けられ、さらに、空気抜き口31が両キャップ10の外周上部に設けられている。
【0032】
【発明の効果】
以上のように本発明によると、使用済みの膜エレメントから集束プレートを回収して再利用することが可能となり、廃棄物の減量および資源の有効利用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における膜エレメントを内蔵した膜モジュールの断面図である。
【図2】同、膜モジュールの斜視図である。
【図3】同、膜エレメントの断面図である。
【図4】図3におけるX−X矢視図である。
【図5】同、使用済みの膜エレメントを集束プレートと膜チューブとに分離した図である。
【図6】同、使用済みの膜エレメントの再生方法を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施の形態における使用済みの膜エレメントの再生方法を示すフローチャートである。
【図8】同、使用済みの膜エレメントをシリコン溶解液に浸漬した図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態における膜エレメントを内蔵した膜モジュールの断面図である。
【図10】従来の膜エレメントの図である。
【符号の説明】
2 ケーシング
3 膜エレメント
4 膜チューブ
7 集束プレート
9 接着剤
26 シリコン溶解液
A 接着部分
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、上水(浄水)処理,下水・廃水処理,ガス分離,ダスト分離等に用いられる膜モジュールの膜エレメントの再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、膜モジュールに用いられる膜エレメントとしては、図10に示すように、セラミックス製の膜チューブ40の先端部に封止部品41を焼きばめし、膜チューブ40の基端部に開放側部品42を焼きばめし、集合用部品43に形成された取付け孔44に上記開放側部品42を嵌め込み、開放側部品42と集合用部品43とを溶融タイプふっ素樹脂45で一体に溶接している。これにより、複数本の膜チューブ40が集合用部品43に集束されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−120960号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記の従来形式では、膜チューブ40の濾過機能が劣化したり使用期限が過ぎるなどして、膜エレメント46を新品のものと交換した場合、使用済みの膜エレメント46の一部を再利用することは困難であり、使用済みの膜エレメント46一式を全て廃棄しており、廃棄物が増加するといった問題や資源の無駄使いといった問題が生じた。
【0005】
本発明は、使用済みの膜エレメントの一部を容易に再利用して、廃棄物の減量および資源の有効利用を図ることが可能な膜エレメントの再生方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本第1発明は、ケーシング内に着脱自在に設けられる膜エレメントの再生方法であって、上記膜エレメントは、先端を閉塞した管状のセラミックス製の複数の膜チューブと、これら膜チューブを集束する集束プレートとで構成され、上記各膜チューブはシリコン系の接着剤によって集束プレートに接着されて固定され、上記集束プレートの材質はステンレス,鉄,銅,真鍮,チタン,ハステロイのいずれかの金属であり、使用済みの膜エレメントを300〜800℃で加熱して接着剤の接着力を失効させて、上記使用済みの膜エレメントを膜チューブと集束プレートとに分離し、集束プレートを再利用するものである。
【0007】
これによると、シリコン系の接着剤を使用することによって、使用済みの膜エレメントを加熱した際、上記接着剤が変質してもろくなり、接着力が失効するため、使用済みの膜エレメントを膜チューブと集束プレートとに容易に分離することができる。また、上記加熱時の加熱温度を300〜800℃にすることにより、集束プレートに組成変性が生じるのを防止することができる。これにより、使用済みの膜エレメントから集束プレートを回収して再利用することが可能となり、廃棄物の減量および資源の有効利用を図ることができる。
【0008】
また、本第2発明は、集束プレートの材質をステンレスとし、使用済みの膜エレメントを膜チューブと集束プレートとに分離した後、上記集束プレートを酸洗浄し、集束プレートを再利用するものである。
【0009】
これによると、集束プレートを酸洗浄することにより、集束プレートの表面の汚れを十分に落とすことができる。
また、本第3発明は、ケーシング内に着脱自在に設けられる膜エレメントの再生方法であって、上記膜エレメントは、先端を閉塞した管状のセラミックス製の複数の膜チューブと、これら膜チューブを集束する集束プレートとで構成され、上記各膜チューブはシリコン系の接着剤によって集束プレートに接着されて固定され、上記集束プレートの材質はステンレス,鉄,銅,真鍮,チタン,ハステロイのいずれかの金属であり、使用済みの膜エレメントの膜チューブと集束プレートとの接着部分をシリコン溶解液中に浸漬する又は上記接着部分にシリコン溶解液を塗布することにより、上記接着剤を溶解させて上記使用済みの膜エレメントを膜チューブと集束プレートとに分離し、集束プレートを再利用するものである。
【0010】
これによると、上記シリコン溶解液が接着剤を溶解するため、使用済みの膜エレメントを膜チューブと集束プレートとに容易に分離することができる。これにより、使用済みの膜エレメントから集束プレートを回収して再利用することが可能となり、廃棄物の減量および資源の有効利用を図ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施の形態を図1〜図6に基づいて説明する。
図1,図2に示すように、1は膜モジュールであり、ケーシング2の内部に複数(2個)の膜エレメント3を着脱自在に備えており、被処理水を後述する膜チューブ4の外側から内側へ透過させて濾過する外圧式のものである。
【0012】
上記ケーシング2は、種々の形状を採用できるが、本実施の形態では、一例として直管円筒状のものを挙げている。上記ケーシング2の両端には、上記膜エレメント3を出し入れする膜エレメント装入口5が形成されている。これら両膜エレメント装入口5の外周縁にはケーシング側フランジ6が設けられている。
【0013】
上記膜エレメント3は、図3,図4に示すように、先端を閉塞した細い直管状のセラミックス製の複数本の膜チューブ4と、これら膜チューブ4の基端部を集束して各膜チューブ4を片持状に支持する円板形状の集束プレート7とで構成されている。尚、上記各膜チューブ4は、多数の微細孔を有した膜形成材のみで管壁を成形してなり、管外径1〜6mmφ、管壁肉厚0.1〜0.8mmの形状をなすものであり、所定間隔で平行に配置されている。また、上記各膜チューブ4の基端側は、集束プレート7に形成された複数の貫通孔8(図5参照)に挿通され、各膜チューブ4の基端間に充填されたシリコン系の接着剤9(シリコンゴム等)によって集束プレート7に水密に接着されて固定されている。尚、上記集束プレート7の材質にはステンレスが用いられている。
【0014】
図1,図2に示すように、上記ケーシング2の両端には、ケーシング2内に充填された膜エレメント3の各膜チューブ4の基端開口4a側を覆う帽子状のキャップ10が着脱自在に取付けられている。
【0015】
すなわち、上記キャップ10の開口端の外周縁にはキャップ側フランジ11が設けられている。そして、上記集束プレート7の外周部を上記ケーシング側フランジ6とキャップ側フランジ11との間に挟み込んだ状態で、複数のボルト12を挿通し、ナット13を締めてケーシング側フランジ6とキャップ側フランジ11とを締結することにより、両膜エレメント3がそれぞれケーシング2内に水平に据付け固定されている。
【0016】
尚、集束プレート7とケーシング側フランジ6との間は一方のパッキン14によって水密にシールされている。また、集束プレート7とキャップ側フランジ11との間は他方のパッキン15によって水密にシールされている。
【0017】
上記ケーシング2には、両膜エレメント3の間に形成された給水空間16に対応する位置に被処理水(被処理流体の一例)を供給する原水供給口17と、濃縮水排出口18とが設けられている。上記原水供給口17はケーシング2の下部に位置し、濃縮水排出口18はケーシング2の両側上部に位置している。
【0018】
また、上記キャップ10の外周上部には濾過水排出口19が設けられ、キャップ10の外周下部にはキャップ10内のドレンを排出するためのドレン排出口20が設けられている。
【0019】
これによると、原水供給口17からケーシング2内の給水空間16へ供給された被処理水は、各膜チューブ4の外側から内側へ透過する際に膜チューブ4で濾過され、膜チューブ4を透過した被処理水は濾過処理水として膜チューブ4の内部流路4b(図3参照)を通って基端開口4aからキャップ10内に流出し、両濾過水排出口19から外部へ排出される。
【0020】
使用済みの膜エレメント3を新品のものと交換する場合、先ず、図1に示す各ボルト12,ナット13を取り外し、キャップ10をケーシング側フランジ6から取り外す。その後、使用済みの膜エレメント3を膜エレメント装入口5からケーシング2の外側へ引き出し、新品の膜エレメント3を膜エレメント装入口5からケーシング2の内部に挿入すればよい。
【0021】
上記のようにしてケーシング2内から取り出された使用済みの膜エレメント3の膜チューブ4は汚染物質の付着等によって濾過機能が劣化しているが、通常、集束プレート7の機能は劣化していない。このことから、使用済みの膜エレメント3に対して、以下のような再生方法が実施される。
【0022】
すなわち、図6に示すように、先ず、上記のようにケーシング2内から取り出された使用済みの膜エレメント3を300〜800℃で加熱する。この際、接着剤9の材質としてシリコン系のもの(シリコンゴム等)を用いているため、接着剤9のケイ素原子間の結合が切断され、上記接着剤9が変質してもろくなり、接着力が失効する。これにより、使用済みの膜エレメント3を膜チューブ4と集束プレート7とに容易に分離することができる。尚、加熱時の加熱温度を300〜800℃とすることにより、集束プレート7にステンレスの組成変性が生じるのを防止することができる。
【0023】
その後、上記集束プレート7を塩酸等で酸洗浄することにより、集束プレート7の表面の汚れを十分に落とすことができる。これにより、使用済みの膜エレメント3から集束プレート7を回収して再利用することが可能となり、廃棄物の減量および資源の有効利用を図ることができる。
【0024】
また、各膜チューブ4は上述したように濾過機能が劣化しているため、これら各膜チューブ4を粉砕してセラミックス原料にして再利用する。これにより、廃棄物の減量および資源の有効利用をより一層促進させることができる。
【0025】
次に、本発明の第2の実施の形態を図7,図8に基づいて説明する。尚、膜モジュール1とその膜エレメント3の構成は先述した第1の実施の形態と同一であるため、説明を省略する。
【0026】
第2の実施の形態における使用済みの膜エレメント3の再生方法を以下に説明する。
先ず、使用済みの膜エレメント3を乾燥させる。そして、図8に示すように、浸漬用タンク25にシリコン溶解液26を注入し、上記使用済みの膜エレメント3の各膜チューブ4と集束プレート7との接着部分Aを上記シリコン溶解液26中に所定時間浸漬する。これにより、シリコン溶解液26が接着剤9を溶解するため、図5に示すように、使用済みの膜エレメント3を膜チューブ4と集束プレート7とに容易に分離することができる。その後、膜チューブ4と集束プレート7とをキシレン等で洗浄し、乾燥させる。これにより、使用済みの膜エレメント3から集束プレート7を回収して再利用することが可能となり、廃棄物の減量および資源の有効利用を図ることができる。
【0027】
また、各膜チューブ4は上述したように濾過機能が劣化しているため、これら各膜チューブ4を粉砕してセラミックス原料にして再利用する。これにより、廃棄物の減量および資源の有効利用をより一層促進させることができる。
【0028】
尚、上記シリコン溶解液26は、シリコン系の接着剤9(シリコンゴムやシリコン樹脂等)のみを溶解する薬剤であり、ステンレスやセラミックス等に悪影響を及ぼさないものであり、例えば有機溶剤とトリハロゲン化酢酸とを混合したもの(有限会社ミツ化学製のシリコーン溶解剤SSI−3)等が挙げられる。
【0029】
上記第2の実施の形態では、図8に示すように、各膜チューブ4と集束プレート7との接着部分Aをシリコン溶解液26中に浸漬しているが、これ以外の方法として、上記接着部分Aにシリコン溶解液26を塗布してもよい。
【0030】
上記第1および第2の実施の形態では、集束プレート7の材質をステンレスにしているが、ステンレスに限定されるものではなく、鉄,銅,真鍮,チタン,ハステロイのいずれかの金属であってもよい。
【0031】
上記第1の実施の形態では、図1に示すように、被処理水を膜チューブ4の外側から内側へ透過させて濾過する外圧式の膜モジュール1を挙げたが、第3の実施の形態として、図9に示すように、被処理水を膜チューブ4の内側から外側へ透過させて濾過する内圧式の膜モジュール30であってもよい。尚、この内圧式の膜モジュール30では、原水供給口17が両キャップ10の外周下部に設けられ、濾過水排出口19がケーシング2の上部に設けられ、ドレン排出口20がケーシング2の下部に設けられ、さらに、空気抜き口31が両キャップ10の外周上部に設けられている。
【0032】
【発明の効果】
以上のように本発明によると、使用済みの膜エレメントから集束プレートを回収して再利用することが可能となり、廃棄物の減量および資源の有効利用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における膜エレメントを内蔵した膜モジュールの断面図である。
【図2】同、膜モジュールの斜視図である。
【図3】同、膜エレメントの断面図である。
【図4】図3におけるX−X矢視図である。
【図5】同、使用済みの膜エレメントを集束プレートと膜チューブとに分離した図である。
【図6】同、使用済みの膜エレメントの再生方法を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施の形態における使用済みの膜エレメントの再生方法を示すフローチャートである。
【図8】同、使用済みの膜エレメントをシリコン溶解液に浸漬した図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態における膜エレメントを内蔵した膜モジュールの断面図である。
【図10】従来の膜エレメントの図である。
【符号の説明】
2 ケーシング
3 膜エレメント
4 膜チューブ
7 集束プレート
9 接着剤
26 シリコン溶解液
A 接着部分
Claims (3)
- ケーシング内に着脱自在に設けられる膜エレメントの再生方法であって、上記膜エレメントは、先端を閉塞した管状のセラミックス製の複数の膜チューブと、これら膜チューブを集束する集束プレートとで構成され、上記各膜チューブはシリコン系の接着剤によって集束プレートに接着されて固定され、上記集束プレートの材質はステンレス,鉄,銅,真鍮,チタン,ハステロイのいずれかの金属であり、使用済みの膜エレメントを300〜800℃で加熱して接着剤の接着力を失効させて、上記使用済みの膜エレメントを膜チューブと集束プレートとに分離し、集束プレートを再利用することを特徴とする膜エレメントの再生方法。
- 集束プレートの材質をステンレスとし、使用済みの膜エレメントを膜チューブと集束プレートとに分離した後、上記集束プレートを酸洗浄し、集束プレートを再利用することを特徴とする請求項1記載の膜エレメントの再生方法。
- ケーシング内に着脱自在に設けられる膜エレメントの再生方法であって、上記膜エレメントは、先端を閉塞した管状のセラミックス製の複数の膜チューブと、これら膜チューブを集束する集束プレートとで構成され、上記各膜チューブはシリコン系の接着剤によって集束プレートに接着されて固定され、上記集束プレートの材質はステンレス,鉄,銅,真鍮,チタン,ハステロイのいずれかの金属であり、使用済みの膜エレメントの膜チューブと集束プレートとの接着部分をシリコン溶解液中に浸漬する又は上記接着部分にシリコン溶解液を塗布することにより、上記接着剤を溶解させて上記使用済みの膜エレメントを膜チューブと集束プレートとに分離し、集束プレートを再利用することを特徴とする膜エレメントの再生方法。
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JP2007050322A (ja) * | 2005-08-16 | 2007-03-01 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | ゼオライト膜耐溶媒性封止構造 |
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-
2002
- 2002-11-06 JP JP2002321901A patent/JP2004154659A/ja active Pending
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