JP2004153104A - 真空処理方法 - Google Patents

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Kazuyoshi Akiyama
和敬 秋山
Takahisa Taniguchi
貴久 谷口
Toshiyasu Shirasago
寿康 白砂
Yoshio Seki
好雄 瀬木
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Abstract

【課題】同一の排気装置および同一の原料ガス供給装置に接続された複数の真空処理容器において、グロー放電の生起タイミングのばらつきによる特性や品質のばらつきを防止する。
【解決手段】まず、不活性ガスを処理容器101、102、103に導入する(ステップS1)。次にスロットルバルブ411、412、413を操作し処理容器101、102、103の圧力を所定の設定圧力にそれぞれ調整する(ステップS2)。圧力が設定値になった後、高周波電源711、712、713より高周波電力を印加する(ステップS3)。次にセンサ601、602、603により処理容器101、102、103のそれぞれにおけるグロー放電の生起を検知する(ステップS4a、S4b、S4c)。放電を安定させた後、同時に原料ガスを供給して真空処理を開始する。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空雰囲気中に原料ガスを導入して基体上に処理を行う装置、例えば基体上にエッチング、スパッタ、プラズマCVDなどの真空処理を行ってデバイスを形成する真空処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、真空系において基体に処理を行う真空処理はさまざまな分野に応用され、その中でスパッタ、プラズマエッチング、プラズマCVDなどは応用範囲も広くさまざまな分野で実用に供している。こうした真空処理を行う真空処理装置は、一般に高額の投資が必要とされる。そのために、できるだけ効率よく基体に対して真空処理を行うための真空処理装置や真空処理方法が、さまざまな工夫されている。
【0003】
そうした例の一つとして、複数の処理容器を共通の排気装置、原料ガスの供給装置に接続し、一括して真空処理を行うような装置も提案されている。例えば2つの処理空間が、共通の排気経路を介して排気装置に接続される「タンデム」タイプの処理装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−154704号公報
このように、複数の処理容器に対し、排気装置や原料ガスの供給装置を共通化し、配置面積の縮小や、装置コストの軽減を図ることによって、コストを低減しようとする装置が実用に付している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような装置には若干の課題も残っており、その中で複数の処理容器の間での処理のばらつきを無くすことは、最も重要な課題である。
【0006】
処理のばらつきの原因の一つとして、グロー放電の生起タイミングがばらつくという問題が挙げられる。これは、おのおのの処理容器に同時に原料ガスを供給し、同時に高周波電力を印加した場合であっても、現実にはグロー放電の生起は同時に起こらない場合もある。こうした現象は、高周波電力の伝播経路の接触抵抗などの違いにより起こるものと考えられるが、これらの違いを再現よく制御することは現実には難しい。
【0007】
また、真空処理プロセスが高真空領域で設計されている場合や、装置構成上、グロー放電が生起しにくい構成をとらざるを得ない場合には、おのおのの処理容器でグロー放電の生起のタイミングが大きくばらつく例が少なくない。
【0008】
こうしたグロー放電生起のタイミングのばらつきは、大きく2つの点で真空処理プロセスに影響を与える。
【0009】
まず第1には、グロー放電生起のタイミングのずれによる、真空処理プロセスの時間的な進行のずれの問題が挙げられる。この場合、膜厚のばらつき等によって特性のばらつきなどに影響を与え、特にエッチングレートやデポレートなど真空処理速度が速いプロセスにおいては顕著に影響が現れる。
【0010】
第2には、真空処理プロセス中の不安定要因の問題がある。同一の排気装置および原料ガス供給手段に接続された複数の処理容器では、一つの処理容器でグロー放電が生起しない状態の場合、おのおのの処理容器での圧力バランスが崩れるため、原料ガスの供給量や排気速度が変化し、やはりプロセス条件に影響を与えることになる。例えば、堆積膜の形成においては、先行してグロー放電が生起した処理容器において堆積膜の形成中に他の処理容器でグロー放電が生起すると、原料ガスの供給バランスが崩れ、一時的に処理容器の圧力が変化する場合があるが、堆積膜の形成中にこうした圧力変化が起こると、極端な場合は堆積膜形成中に膜剥がれが生じたり、あるいは応力が蓄積した堆積膜が形成される。このような応力の蓄積した膜は、例えばアモルファスシリコン電子写真感光体のような比較的厚い膜厚を必要とするデバイスでは、使用中に打撃的な衝撃を受けることでその周囲の膜が剥がれやすくなるなど、膜の密着性に影響を与える。
【0011】
以上のような背景により、複数の処理容器において、グロー放電の生起タイミングのばらつきの影響を排除し、処理容器間の処理のばらつきを無くす方法が求められている。
【0012】
そこで、本発明は、上記の問題点を克服し同一の真空排気装置および原料ガス供給手段に接続された複数の処理容器を有する真空処理装置において、おのおのの処理容器の間での真空処理のばらつきを無くし、高品質なデバイスを安定して供給できる真空処理方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明の真空処理方法は、同一の排気装置に接続された複数の処理容器のそれぞれに、同一の原料ガス供給手段より分岐して原料ガスを供給し、前記各処理容器に高周波電力を印加してグロー放電を生起させ、前記各処理容器内に設置された基体に真空処理を行う真空処理方法において、
前記原料ガス供給手段から前記各処理容器のそれぞれへと不活性ガスを導入する不活性ガス導入工程と、
前記不活性ガス導入工程後に高周波電力を印加する工程と、
前記各処理容器内にグロー放電が生起したことを検知する検知工程と、
前記検知工程によりすべての前記処理容器内でグロー放電が生起したことを検知した後、グロー放電を維持したまま前記各処理容器に略同時に原料ガスを供給する工程と、
を有することを特徴とする。
【0014】
本発明は、上記のような構成に基づく真空処理方法であって、以下の作用を有する。
【0015】
すなわち、同一の原料ガス供給手段より複数の処理容器に原料ガスを分配して供給するに先立ち、原料ガス供給手段より不活性ガスを導入する。所定の不活性ガスが供給された状態で、おのおのの処理容器に高周波電力を導入し、不活性ガスを分解してグロー放電を生起する。この場合、グロー放電の生起のタイミングがおのおのの処理容器の間でばらついても、デバイスの特性に与える影響は少なく抑えることができる。
【0016】
次に、不活性ガスによるグロー放電を維持したまま、おのおのの処理容器に同時に原料ガスを供給することで、それぞれの処理容器について同時に真空処理を開始することができる。
【0017】
以上のように、本発明では、すべての処理容器についてグロー放電が生起した後に原料ガスを供給することで、おのおのの処理容器間での真空処理の開始を同時に行うことができ、よって、真空処理のばらつきを抑えることができる。
【0018】
本発明で原料ガスの供給に先立ち処理容器に供給される不活性ガスは、真空処理プロセスに与える影響が少ないものが好ましい。このようなガスは真空処理プロセスや、使用する原料ガスの種類に応じて決定するのが望ましいが、一般的にはArやHe(ヘリウム)、Ne(ネオン)等の希ガスのほか、N(窒素)等が好適である。
【0019】
また、本発明は、真空処理プロセスのうち堆積膜を形成する方法において、より効果的である。堆積膜の形成においては、例えば、上述のような放電開始タイミングのずれによって原料ガスの供給や排気のバランスが変化して処理容器内の圧力が変動する場合においても、実際の堆積膜が形成される以前の不活性ガスのグロー放電中にすべての処理容器に放電を生起させたのち、堆積膜の形成を行うため、圧力変動による放電の不安定要因を排除し、これに起因する膜の密着性の低下を効果的に防止することができる。また、密着性の低下を防止することで、堆積膜の形成中に、処理容器各部に堆積した膜が剥がれてダストとなり基体上に付着して堆積膜の異常成長を引き起こす、いわゆる球状突起の発生を防止することができる。
【0020】
また、上記のような膜剥がれは、堆積膜の膜厚が厚くなるにしたがって膜剥がれを起こしやすい傾向になるため、比較的厚い堆積膜を必要とするアモルファスシリコン電子写真感光体の形成プロセスにおいては、特に本発明は有効である。
【0021】
本発明は、あらかじめ定められた時間に従ってプロセスを制御する場合や、また、プロセスの終了に時間を用いず、処理容器に光学的センサや温度センサを設置し、これらのセンサの出力を用いてプロセスの終了点を検知する真空プロセスに対しても、上記のような放電の不安定要因を排除する効果を得ることができる。
【0022】
また、時間的にプロセスを制御する場合には、本発明において、各処理容器にグロー放電が生起した時点以降の時点にタイムマークを設定する工程と、タイムマークを基準として略同時に各処理容器で真空処理の時間制御を開始する工程とを含むものであってもよい。このように、すべての処理容器にグロー放電が生起したのちにタイムマークを設定し、その後、原料ガスを導入して真空処理プロセスを開始することで、放電生起のタイミングのずれによる処理容器ごとのプロセス時間のずれを本質的に防止することもできる。
【0023】
例えば、複数の堆積層を順次形成してなるアモルファスシリコン電子写真用感光体に対しては、放電生起のタイミングのずれによって、最下層の堆積層の膜厚差が発生する場合がある。本発明ではこうした膜厚差による特性のばらつきを本質的に防止し、高品質の感光体を安定して供給するためにきわめて有効である。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0025】
図1は、本発明に係る真空処理装置の一例の模式図である。この真空処理装置は、大別して複数(図1の例では3個)の処理容器101、102、103と、各処理容器を排気するための排気手段200と、原料ガスを供給するガス供給手段300と、マッチングボックス701、702、703を介して各処理容器に高周波電力を供給する高周波電源711、712、713とからなっている。それぞれの処理容器には圧力計111、112、113が設けられている。また、それぞれの処理容器は、真空排気路501、502、503が共通の真空排気路510を介して排気装置200に接続されており、また、ガス供給路521、522、523が共通のガス供給路530を介してガス供給手段300に接続されている。また、それぞれの真空排気路にはスロットル弁411、412、413が設けられ、排気コンダクタンスを個別に調節可能となっている。さらに、それぞれのガス供給路にはニードル弁431、432、433が設けられ、ガス供給路のコンダクタンスを個別に調節可能であり、これらによっておのおのの処理容器の圧力および供給される原料ガス量が均一になるように調整される。
【0026】
ところで、図1に示した装置は、3個の処理容器を排気装置やガス供給装置に接続できるようにしたものであるが、処理容器はいくつ接続してもよい。また、それぞれの真空排気路やガス供給路の長さをそろえるなどして、コンダクタンスのばらつきをできるだけ小さくするように設計しておくこともできる。
【0027】
ガス供給手段300はボンベ321〜325、供給バルブ471〜475、圧力調整器311〜315、1次バルブ461〜465、マスフローコントローラ301〜305、2次バルブ451〜455で構成される。なお、図1の例では、ボンベは5本接続されているが、これらは実際の真空プロセスにあわせて増減できることは言うまでもない。ボンベ321〜325には真空処理プロセス用のガスが充填され、供給バルブ471〜475を介して、圧力調整器311〜315によって、例えば0.2MPa程度の圧力に調整される。また、供給バルブ471〜475、1次バルブ461〜465、2次バルブ451〜455を開くことによって、マスフローコントローラ301〜305で、おのおの所望の流量に調整された後、処理容器101〜103に原料ガスが供給される。
【0028】
図2は、図1の真空処理装置に使用できる、プラズマCVDによって基体上にアモルファスシリコン感光体を形成するために構成された処理容器の縦断面の一例を示した模式図である。また、図3は図2の処理容器の横断面を示した模式図である。これらの図は処理容器101の構成を示したものであるが、他の位置に接続された処理容器102、103も同様の構成がとれる。処理容器101は架台121上にベース板136、真空容器135を備えている。処理容器101内の略中央には基体122を保持するための保持部材123が設けられており、基体122の内側には、基体122を所望の温度に加熱できるように、ヒータ124が設けられている。また、基体122の内部にあるヒータ124がプラズマにさらされないように、基体上部にキャップ125を設けている。真空容器135は上蓋126、ベース板136とシール部材(図示せず)によって結合され、内部を真空封止可能となっている。真空容器135の周りには真空容器135と同心円上に複数の電極127が設けられ、分岐板128を介してマッチングボックス701および高周波電源711へと接続される。真空容器135は、例えばアルミナセラミックスなどの、高周波透過性に優れた絶縁材料で形成され、電極127から放射された高周波電力は、真空容器135内部に印加され、真空容器135内にグロー放電を発生させる。また電極127の周りには周囲に高周波が漏洩するのを防止する高周波シールド129が設けられている。ベース板136には排気口130が、基体122を概略中心とする同一円周上に設けられ、これらは集合したのち真空排気路501に接続される。ガス導入管131は、排気口130の配置円の外側に、やはり基体122を概略中心とする同一円周上に設けられ、ガス供給路521を介してガス供給装置300に接続される。なお、ガス導入管131には複数のガス放出穴(図示せず)が設けられ、真空容器135内に原料ガスを供給できる。
【0029】
図4は本発明の工程を行うための制御装置の一例を模式的に示した図である。
【0030】
図4において、おのおのの処理容器101、102、103にはグロー放電の生起を検知するセンサ601、602、603がそれぞれ取り付けられている。これらの各センサ601、602、603からの信号は制御部604に入力され、制御部604はセンサ601、602、603からの信号に基づき高周波電源711、712、713、ガス供給手段300等を制御する。制御部604には必要に応じて圧力計111、112、113の信号、各バルブの開閉信号やスロットルバルブ411、412、413の開度信号等を取り入れても良い。また、スロットルバルブ411、412、413の制御機能を組み込むことも可能である。また、前述のような真空プロセスの終了点を検知するセンサが設けられている場合には、それらの信号も制御部604に取り入れられる。
【0031】
本発明では、グロー放電の生起を検知するセンサ601、602、603は、制御部604に信号を伝達できるものであればどのようなものであっても使用できるが、例えば、グロー放電の発光を直接検知する光学系のセンサや、プラズマ中の電流を測定するプローブなどのセンサが使用できるほか、マッチングボックス701、702、703内に負荷のインピーダンスの変化を検知するセンサを設けて使用することもできる。
【0032】
次に、図1から図3に示した装置を用いた場合の、真空処理の手順をアモルファスシリコン電子写真感光体の形成を例に説明する。
【0033】
まず、おのおのの架台121上に設置されたベース板136に真空容器135を、シール部材(図示せず)を介して固定しておき、あらかじめ脱脂洗浄した基体122を処理容器101内に保持部材123を介して設置し、同時にキャップ125を設置したのち、上蓋126をシール部材(図示せず)を介して真空容器135に接続する。
【0034】
次に、排気装置200を運転し、バルブ401、402、403を開いて処理容器101、102、103内を排気する。この際、スロットルバルブ411、412、413の開度を調整し、処理容器101、102、103内のダストが舞い上がらないように、排気速度を調整することができる。
【0035】
真空計111の表示を見ながら、真空容器101内の圧力が例えば1Pa以下の所定の圧力にったところで、ヒータ124に電力を供給し、基体124を例えば50℃から350℃の所望の温度に加熱する。このとき、ガス供給手段300より、Ar、He等の不活性ガスを処理容器101に供給して、不活性ガス雰囲気中で加熱を行うこともできる。
【0036】
具体的には、ボンベ321に不活性ガス例えばArが充填されている場合を例にとると、供給バルブ471、1次バルブ461、2次バルブ451、バルブ440、421、422、423を開き、マスフローコントローラ301に流量設定を行って、Arガスを所望の流量で処理容器101、102、103に供給する。このとき、ニードルバルブ421、422、423は、処理容器101、102、103に均等な流用のガスが分岐されるようにあらかじめ調整しておく。
【0037】
流量が安定したところで圧力計111、112、113の表示を確認しながらスロットルバルブ401、402、403の開度を調整し、処理容器101、102、103内を所望の圧力に調整する。このとき、おのおのの処理容器の圧力は同一にそろえることは言うまでもない。
【0038】
おのおのの処理容器の圧力が安定したところで、ヒータ124に電力を投入し、基体122を加熱する。
【0039】
基体122が所望の温度になったところで、ヒータ124を切り、供給バルブ471、1次バルブ461、2次バルブ451を閉じ、Arの供給を止め、同時にスロットルバルブ411、412、413を開き処理容器101、102、103内を一端1Pa以下程度の圧力まで排気する。
【0040】
以上で、堆積膜形成の準備工程を終え、堆積膜の形成を行うが、本発明では、原料ガスを処理容器101、102、103に原料ガスを供給するに先立ち、不活性ガスを供給し、高周波電力を供給するが、図5に示したフローチャートを用いて、その手順について説明する。
【0041】
まず、不活性ガスを処理容器101、102、103に導入する。例えばArを使用する場合には供給バルブ471、1次バルブ461、2次バルブ451、バルブ440、421、422、423を開き、マスフローコントローラ301に流量設定を行って、Arガスを所望の流量で処理容器101、102、103に供給する(ステップS1)。
【0042】
次にスロットルバルブ411、412、413を操作し処理容器101、102、103の圧力を所定の設定圧力にそれぞれ調整する(ステップS2)。圧力が設定値になった後、高周波電源711、712、713より高周波電力を印加する(ステップS3)。
【0043】
次にセンサ601、602、603により処理容器101、102、103のそれぞれにおけるグロー放電の生起を検知する(ステップS4a、S4b、S4c)が、グロー放電がすぐに生起しない場合には印加する高周波電力や高周波の周波数、マッチングボックス等を調整し、グロー放電が発生するよう、処置を行う(ステップS4a’、S4b’、S4c’)。この操作はおのおのの処理容器101、102、103に個別に行うことができる。おのおのの処理容器101、102、103についてグロー放電が発生した後、高周波電力を所定の設定値に調整すると同時に、マッチングボックス701、702、703を操作して放電を安定させるが、この操作も、グロー放電が生起した処理容器から順次行って差し支えない(ステップS5a、S5b、S5c)。
【0044】
このとき、高周波電力の設定値は、グロー放電が維持できるものであれば、真空処理に用いる電力と同一、それより低い電力、あるいは高い電力のいずれの電力であっても差し支えないが、基体の材質や不活性ガスの種類、また放電条件によって、不活性ガスによるグロー放電で基体が損傷を受けるような場合には、特に、真空処理に用いるよりも低い高周波電力でグロー放電を維持することができる。
【0045】
例えば堆積膜の形成などにおいては基体の損傷部も球状突起の原因となるが、このように、不活性ガスでのグロー放電において、真空処理に用いるよりも低い電力で放電を維持することで球状突起の発生を抑制できる。
【0046】
すべての処理容器101、102、103についてグロー放電が生起し、高周波電力を設定値に調整して放電を安定させたところでタイムマークを設定(ステップS6)し、以降、すべての処理容器に対して同時に制御を行い不活性ガスと原料ガスを入れ替え(ステップS7)、以降、あらかじめ定められた真空処理プロセスに従って処理を行えばよい。
【0047】
本発明では不活性ガスと原料ガスを入れ替える際、グロー放電を維持したまま行う必要がある。具体的には、マスフローコントローラ301によってArの流量を徐々に絞ると同時に、供給バルブ472〜475、1次バルブ462〜465、2次バルブ452〜455を開き、マスフローコントローラ302〜305によって原料ガスを徐々に処理容器101、102、103へ供給する。
【0048】
原料ガスが所定の流量で供給されたところで供給バルブ471、1次バルブ461、2次バルブ451を閉じ、処理容器への不活性ガスの導入を終え、真空プロセスを継続する。その後はあらかじめ定められた処理時間、ガス流量、圧力、高周波電力に従った制御により真空処理を行えばよい。
【0049】
なお、真空処理中も、グロー放電生起に用いた不活性ガスをプロセスに使用する場合は、原料ガスの供給と同時に不活性ガスの流量を所定の流量に変化させればよい。
【0050】
なお、本発明におけるタイムマークとは、すべての処理容器101、102、103へのプロセスを同時に時間制御を行う際の時間上の起点、すなわち時間制御のタイマの開始点を意味する。また、時間制御とは、あらかじめ定められた時間に従って順次制御を行うことを指す。例えば、堆積膜の形成を行う際には、膜の堆積速度と必要な膜厚から計算した処理時間にしたがって処理を行うことができる。この方法は堆積膜の形成など、センサによる真空処理プロセスの終了点の検知が困難な場合には有効に用いられる。
【0051】
図5の例ではステップ6にタイムマークを設定したが、本発明では、すべての処理容器101、102、103にグロー放電が生起したことを検知した後であれば、いつの時点でタイムマークを設定しても差し支えない。例えば、すべての処理容器101、102、103にグロー放電が生起した時点であっても良いし、原料ガスを供給し始める時点であっても良い。すなわち、すべての処理容器101、102、103にグロー放電が生起した時点で制御部604により自動的にタイムマークを設定し、以降、すべての処理容器101、102、103に時間制御を行うこともできるし、すべての処理容器101、102、103にグロー放電が生起したのちオペレータによって、放電が安定したのを確認してから手動でタイムマークを設定し、時間制御を開始させることもできる。
【0052】
また、センサによる真空処理プロセスの終了点の検知が可能で時間制御を行わない場合にはタイムマークの設定を行わなくても差し支えない。
(実施例)
以下、本発明の効果を実証するための実施例を詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されない。
(実施例1)
図1から図4に示した装置を用いて、表1に示した条件で基体上にアモルファスシリコンによる光導電性堆積膜を、先に示した手順に従って作成した。
【0053】
なお、本実施例では、図2および図3に示した処理容器を用いて、円筒状の基体上にガラス基板(コーニング社製7059 25mm×40mm 厚さ0.8mm)を設置し、ガラス基板上に堆積膜を形成した。
【0054】
【表1】
Figure 2004153104
【0055】
なお、表1において、ガス流量は1つの処理容器あたりの流量を示している。
【0056】
本実施例では、原料ガスを処理容器に供給する前にHeを100ml/min(normal)、3Paで供給した状態で1000Wの高周波電力を印加し、すべての処理容器でグロー放電が生起したところで原料ガスを供給し堆積膜の形成を開始した。また、処理容器の1つに中に振動式の膜厚センサを設置し、膜厚が1μmになったところで堆積膜の形成を終えた。
【0057】
本実施例では、3つの処理容器内において、最初にグロー放電が生起した時点を0秒とし、28秒、48秒時点でそれぞれ第2、第3の処理容器にグロー放電が生起し、第3のグロー放電が生起した処理容器のグロー放電が安定したところ(54秒)で、10秒間かけてHeと原料ガス(SiH)を徐々に入れ替えた。図6にはじめにグロー放電が生起した処理容器の圧力変化を示した。Heの場合、グロー放電生起の前後で圧力の変化はないが、SiHと入れ替える際、排気装置の排気特性によって若干の圧力変化が見られた。しかし、この変化は緩やかで、変化量も少ないため、プロセスに与える影響は軽微である。
【0058】
こうして作成した堆積膜上にCr(クロム)を真空蒸着して、厚さ0.1μm、幅0.5mm、長さ25mmのギャップ電極を形成し、各処理容器ごとに光導電率、暗導電率を測定し、その比をとってS/Nとして評価した。なお、明導電率の測定には出力1mWのHe−Neレーザ光源を用いた。
【0059】
同様の手順で堆積膜の形成を10サイクル繰り返し、各サイクル毎に得られた最大の膜厚と最小の膜厚、および、最大のS/Nと最小のS/N、堆積膜形成中の放電切れの有無を比較した。
【0060】
以上、実施例1の結果を表2に示す。
【0061】
【表2】
Figure 2004153104
【0062】
なお、表2においてS/Nの値は1サイクル目の最大のS/Nの値を1として相対評価で示した。
【0063】
表2の結果によれば、いずれのサイクルにおいても、膜厚、S/Nともばらつきが少なく良好な範囲の堆積膜が得られた。
(比較例1)
グロー放電生起時に不活性ガスを用いず、はじめから原料ガスを供給した状態でグロー放電を生起して、表1の条件で実施例1と同様にして光導電性堆積膜を形成した。本比較例では、おのおのの処理容器に振動式の膜厚センサを設置し、おのおのの処理容器において堆積膜の層厚が1μmになったところで高周波電力の印加を個別に停止して、すべての処理容器で膜厚1μmの堆積膜が得られるようにした。
【0064】
比較例1における最初にグロー放電が生起した処理容器の圧力の変化を図7に示した。図7は、はじめの処理容器にグロー放電が生起した時点を0秒(タイムマーク)とし、69秒と78秒の時点で第2、第3のグロー放電が生起する。SiHの場合、グロー放電が生起することで圧力が減少する。スロットルバルブを圧力が3Paとなるように操作するが、一時的に圧力減少が見られる。また、第2、第3のグロー放電が生起した場合も、それぞれの処理容器で圧力の変動により、原料ガスの供給バランスが変化するため、はじめにグロー放電が生起した処理容器でも圧力変化が観測された。
【0065】
グロー放電が生起したときに圧力がどのように変化するかは、原料ガスが分解してどのようなラジカルが生成されるか、また、接続する排気装置の排気特性などによって左右される。
【0066】
また、図7には示していないが、本比較例による制御ではグロー放電の終了タイミングもばらばらになるため、グロー放電終了時にも同様の圧力変化が観測される。
【0067】
同様の手順で堆積膜の形成を10サイクル繰り返し、各サイクル毎に得られた最大の膜厚と最小の膜厚、および、最大のS/Nと最小のS/N、堆積膜形成中の放電切れの有無を比較した。
【0068】
以上、比較例1の結果を表3に示す。
【0069】
【表3】
Figure 2004153104
【0070】
なお、表3において最大S/N、最小S/Nの値は、実施例1における1サイクル目の最大の値を基準とした相対評価で示した。
【0071】
表3の結果によれば、膜厚は実施例1と同様に良好な範囲に分布している。しかしながらグロー放電生起のタイミングのずれによる圧力変動によって放電切れが発生したサイクルでは放電切れの発生した処理容器の堆積膜で光導電特性の悪化が見られた。
【0072】
このように、グロー放電生起のタイミングのずれによる圧力変動は、場合によっては放電切れに繋がる場合もあり、特性のばらつきに大きな影響を与えることがわかる。
(実施例2)
図1から図4に示した装置を用いて、表4に示した条件で基体上にアモルファスシリコンによる光導電性体積膜を、実施例1と同様にしてガラス基板上に形成した。
【0073】
【表4】
Figure 2004153104
【0074】
なお、表4において、ガス流量は1つの処理容器あたりの流量を示している。
【0075】
本実施例では、原料ガスを処理容器に供給する前にHeを300ml/min(normal)、3Paで供給した状態で1500Wの高周波電力を印加し、すべての処理容器でグロー放電が生起した時点をタイムマークとして設定し、ここを起点として堆積速度から計算した膜厚1μmが得られる時間ですべての処理容器に同時に時間制御を行った。なお、HeとSiHを入れ替える時間は実施例1と同様に10秒に設定した。
【0076】
同様の手順で堆積膜の形成を10サイクル繰り返し、各サイクル毎に得られた最大の膜厚と最小の膜厚、および、最大のS/Nと最小のS/N、堆積膜形成中の放電切れの有無を比較した。
【0077】
【表5】
Figure 2004153104
【0078】
なお、表5において最大S/N、最小S/Nの値は、実施例1における1サイクル目の最大の値を基準とした相対評価で示した。
【0079】
表5の結果によれば、いずれのサイクルにおいても、膜厚、S/Nともばらつきが少なく良好な範囲の堆積膜が得られた。このように、本発明では、すべての処理容器にグロー放電が生起した時点以降にタイムマークを設定し、同時に時間制御を行うことで処理容器内に膜厚センサなど、真空処理の終了点を検知するセンサを設けなくても同等の安定性をもって真空処理を行うことができることがわかる。
(比較例2)
グロー放電生起時に不活性ガスを用いず、はじめから原料ガスを供給した状態でグロー放電を生起して、表2の条件で実施例2と同様にして光導電性堆積膜を形成した。なお、本比較例では、はじめの処理容器にグロー放電が生起した時点をタイムマークに設定し、ここを起点として堆積速度から計算した層厚1μmが得られる時間ですべての処理容器に同時に時間制御を行った。
【0080】
同様の手順で堆積膜の形成を10サイクル繰り返し、各サイクル毎に得られた最大の膜厚と最小の膜厚、および、最大のS/Nと最小のS/N、堆積膜形成中の放電切れの有無を比較した。
【0081】
以上、比較例2の結果を表6に示す。
【0082】
【表6】
Figure 2004153104
【0083】
なお、表6において最大S/N、最小S/Nの値は、実施例1における1サイクル目の最大の値を基準とした相対評価で示した。
【0084】
表6の結果において、膜厚の最大値と最小値のばらつきが大きくなっており、グロー放電生起タイミングのばらつきの影響が現れている。
【0085】
また、比較例1、比較例2をあわせて20サイクルについて1回、放電切れが発生し、真空処理プロセスに影響を及ぼす結果となった。
(実施例3)
図1から図4に示した装置に直径80mm、厚さ3mm、長さ358mmのアルミ製シリンダを基体に用いて、上記の手順に基づいて表7に示した条件で、基体上に電荷注入阻止層、光導電層、表面層を順次形成してなるアモルファスシリコン電子写真感光体の形成を、先に示した手順に従って行った。
【0086】
【表7】
Figure 2004153104
【0087】
本実施例では、原料ガスを処理容器に供給する前にHeを100ml/min(normal)、3Paで供給した状態で500Wの高周波電力を印加し、すべての処理容器でグロー放電が生起した時点をタイムマークとして設定し、ここを起点として堆積速度から計算した目標の層厚に達する時間ですべての処理容器に同時に時間制御を行った。なお、HeとSiHを入れ替える時間は実施例1と同様に10秒に設定した。また、各層の堆積膜形成条件の移行は30秒間で連続的な変化層領域を設けた。
(比較例3)
グロー放電生起時に不活性ガスを用いず、はじめから原料ガスを供給した状態でグロー放電を生起して、実施例3と同様の手順でアモルファスシリコン電子写真感光体を形成した。
【0088】
以上、実施例3、比較例3で形成したアモルファスシリコン電子写真感光体を、帯電能、残留電位、感度、球状突起の数、密着性について次の手順で評価した。
・帯電能:電子写真感光体を電子写真装置(キヤノン製 NP6350)を改造した実験装置に設置し、帯電器に+6kVの電圧を印加してコロナ帯電を行い、表面電位計により電子写真感光体表面の暗部表面電位を現像器位置で測定し、このときの電位を帯電能とした。したがって数値が大きいものが優れた特性を有するといえる。
・残留電位:電子写真感光体を一定の暗部表面電位が得られるように帯電させ、直ちにフィルタを用いて600nm以上の波長を取り除いたハロゲンランプ光を一定の光量で照射し、このときの明部表面電位を残留電位とする。したがって数値が小さいものが優れた特性を有するといえる。
・感度:電子写真感光体を一定の暗部表面電位が得られるように帯電させ、直ちにフィルタを用いて600nm以上の波長を取り除いたハロゲンランプ光を照射し、電子写真感光体の明部表面電位が所定の値となるように光量を調整する。このときの光量を感度とする。したがって数値が小さいものが優れた特性を有するといえる。
・球状突起の数:電子写真感光体の表面を光学顕微鏡で目視観察し、3mmの範囲に発生した直径5μm以上の球状突起の数を計測する。これを任意の30点計測し、計90mmの範囲に存在する球状突起の合計の数を評価する。したがって数値が小さいものが欠陥の少ない良質な感光体といえる。
・密着性:質量0.1kgの鋼球を0.5mの高さから落下させて、電子写真感光体の表面に打撃を与え、生じた打痕を目視で観察し、膜剥がれの状態を評価する。
密着性について、
◎ 打痕の周囲にひび割れや膜剥がれは生じない
○ ひび割れが生じるが、膜剥がれは生じない
△ ひび割れの周囲に膜剥がれが生じる(ひび割れの形状が確認できる)
× 打痕を中心として広範囲に膜剥がれが生じる(ひび割れの形状が確認できない)
として比較した。
【0089】
なお、密着性の評価では、△レベル以上であれば、実際の電子写真装置での使用において実用上の支障は現れない。
【0090】
以上、実施例3および比較例3の結果を表8に示す。
【0091】
【表8】
Figure 2004153104
【0092】
表8において、処理容器1、処理容器2、処理容器3は、グロー放電が生起した順番に序列した。また帯電能、残留電位、感度、球状突起の数は実施例3における処理容器1の値を1とした相対評価で示した。
【0093】
表8の結果から実施例3では、いずれの項目も良好な結果が得られた。一方、比較例3では、球状突起の数、密着性に若干の悪化が見られた。処理容器3(最後にグロー放電が生起した処理容器)の電子写真感光体では、悪化が見られないことから、グロー放電生起のタイミングのずれによる内圧変動が放電の不安定要因となり、処理容器内各部の堆積の密着性を悪化させることで、堆積膜形成中にダストを発生させて球状突起を形成したものと考えられる。また、これによって、基体上の堆積膜にも応力が蓄積され、密着性の悪化に繋がったと考えられる。なお、実施例3、比較例3とも放電切れは発生せず、また、比較例3のグロー放電生起のタイミングのずれによる層厚のばらつきの影響は、この条件においては帯電能、残留電位、感度のいずれの項目にも見られなかった。
(実施例4)
図1から図4に示した装置に直径80mm、厚さ3mm、長さ358mmのアルミ製シリンダを基体に用いて、上記の手順に基づいて表9に示した条件で、基体上に密着層、電荷注入阻止層、光導電層、表面層を順次形成してなるアモルファスシリコン電子写真感光体の形成を、先に示した手順に従って行った。
【0094】
【表9】
Figure 2004153104
【0095】
本実施例では、原料ガスを処理容器に供給する前にHeを550ml/min(normal)3Paで供給した状態で高周波電力を印加し、すべての処理容器でグロー放電が生起した時点をタイムマークとして設定し、ここを起点として堆積速度から計算した目標の層厚に達する時間ですべての処理容器に同時に時間制御を行った。なお、HeとSiHおよびCHを入れ替える時間は実施例1と同様に10秒に設定した。また、密着層と電荷注入阻止層の間は10秒、他の各層の間の堆積膜形成条件の移行は30秒間で連続的な変化層領域を設けた。
(比較例4)
グロー放電生起時に不活性ガスを用いず、はじめから原料ガスを供給した状態でグロー放電を生起して、実施例4と同様の手順でアモルファスシリコン電子写真感光体を形成した。
【0096】
以上、実施例4、比較例4で形成したアモルファスシリコン電子写真感光体を、帯電能、残留電位、感度、球状突起の数、密着性について実施例3、比較例3と同様に評価した。
【0097】
実施例4、比較例4の結果を表10に示す。
【0098】
【表10】
Figure 2004153104
【0099】
表10において、処理容器1、処理容器2、処理容器3は、グロー放電が生起した順番に序列した。また帯電能、残留電位、感度、球状突起の数は実施例3における処理容器1の値を1とした相対評価で示した。
【0100】
表10の結果から、実施例4ではいずれの項目も良好な結果が得られた。一方、比較例4では、比較例3と同様の傾向で球状突起の数、密着性について若干の悪化が見られるとともに、残留電位、感度についても、先にグロー放電が生起した処理容器ほど悪化している傾向が見られた。これは、グロー放電生起のタイミングのずれにより密着層の層厚がばらついた影響と考えられる。
(実施例5)
図1から図4に示した装置に直径80mm、厚さ3mm、長さ358mmのアルミ製シリンダを基体に用いて、上記の手順に基づいて表11に示した条件で、基体上に電荷注入阻止層、光導電層、表面層を順次形成してなるアモルファスシリコン電子写真感光体の形成を、先に示した手順に従って行った。
【0101】
【表11】
Figure 2004153104
【0102】
本実施例では、原料ガスを処理容器に供給する前にArを100ml/min(normal)、1Paで供給した状態で高周波電力を印加し、すべての処理容器でグロー放電が生起した時点をタイムマークとして設定し、ここを起点として堆積速度から計算した目標の層厚に達する時間ですべての処理容器に同時に時間制御を行った。なお、ArとSiHを入れ替える時間は実施例1と同様に10秒に設定した。また、各層の堆積膜形成条件の移行は30秒間で連続的な変化層領域を設けた。
(実施例6)
図1から図4に示した装置に直径80mm、厚さ3mm、長さ358mmのアルミ製シリンダを基体に用いて、実施例5と同様の条件でアモルファスシリコン電子写真感光体を形成した。
【0103】
本実施例では、原料ガスを処理容器に供給する前にArを100ml/min(normal)、1Paで供給した状態で高周波電力を印加し、グロー放電が生起した処理容器から順次電荷注入阻止層の形成条件よりも低い200Wの高周波電力で放電を安定させ、すべての処理容器でグロー放電が生起した時点をタイムマークとして設定した。さらにここを起点として、20秒間高周波電力200Wで放電を維持し、その後10秒間で原料ガスを導入すると同時に高周波電力を2000Wまで増加したのち、堆積速度から計算した目標の層厚に達する時間ですべての処理容器に同時に時間制御を行った。
(実施例7)
図1から図4に示した装置に直径80mm、厚さ3mm、長さ358mmのアルミ製シリンダを基体に用いて、実施例5と同様の条件でアモルファスシリコン電子写真感光体を形成した。
【0104】
本実施例では、原料ガスを処理容器に供給する前にArを100ml/min(normal)、1Paで供給した状態で2000Wの高周波電力を印加し、すべての処理容器でグロー放電が生起した時点をタイムマークとして設定した。さらにここを起点として、20秒間高周波電力2000Wで放電を維持し、その後10秒間で原料ガスを導入すると同時に高周波電力を2000Wまで増加したのち、堆積速度から計算した目標の層厚に達する時間ですべての処理容器に同時に時間制御を行った。
【0105】
以上、実施例6および実施例7の結果を表12に示した。
【0106】
【表12】
Figure 2004153104
【0107】
表12において、処理容器1、処理容器2、処理容器3は、グロー放電が生起した順番に序列した。また帯電能、残留電位、感度、球状突起の数は実施例3における処理容器1の値を1とした相対評価で示した。
【0108】
表12の結果から、実施例6の様に原料ガス供給の前にArを用いて高周波電力2000Wでグロー放電を維持すると球状突起の数が若干増加する傾向が現れた。この増加分は、比較例3および比較例4におけるグロー放電生起のタイミングのずれによる放電不安定要因を原因とする球状突起の増加に比べると軽微である。また、実施例7はいずれの項目も良好な結果であった。
【0109】
さらに、実施例6、実施例7で形成した電子写真感光体の球状突起を任意に選び出し、断面を観察して球状突起の発生部位を観察したところ、実施例7に比べて実施例6での球状突起の増加分はほとんどが基体表面近傍から発生していることがわかった。このことは、実施例6の条件でArによるグロー放電で基体が損傷を受け、これが球状突起の増加に繋がったことを裏付けるものと考えられる。
【0110】
以上の様に、実施例7による基体の損傷の軽減効果が確認されたが、Arを用いたグロー放電によって基体の損傷がおきる場合も、比較例3、比較例4に比べて球状突起の増加が軽微であることから、実施例6においても本発明の効果が得られたものと言える。
【0111】
以上、本発明の記録装置の一例、および実施例について詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。以下に、本発明の実施態様の例を列挙する。
〔実施態様1〕
同一の排気装置に接続された複数の処理容器のそれぞれに、同一の原料ガス供給手段より分岐して原料ガスを供給し、前記各処理容器に高周波電力を印加してグロー放電を生起させ、前記各処理容器内に設置された基体に真空処理を行う真空処理方法において、
前記原料ガス供給手段から前記各処理容器のそれぞれへと不活性ガスを導入する不活性ガス導入工程と、
前記不活性ガス導入工程後に高周波電力を印加する工程と、
前記各処理容器内にグロー放電が生起したことを検知する検知工程と、
前記検知工程によりすべての前記処理容器内でグロー放電が生起したことを検知した後、グロー放電を維持したまま前記各処理容器に略同時に原料ガスを供給する工程と、
を有することを特徴とする真空処理方法。
〔実施態様2〕
前記各処理容器にグロー放電が生起した時点以降の時点にタイムマークを設定する工程と、
前記タイムマークを基準として略同時に前記各処理容器で真空処理の時間制御を開始する工程と、を含む、実施態様1に記載の真空処理方法。
〔実施態様3〕
前記検知工程後、一旦、真空処理に用いる高周波電力よりも低い高周波電力で、生起したグロー放電を維持する工程を含む、実施態様1または2に記載の真空処理方法。
〔実施態様4〕
前記真空処理として、前記基体上に機能性堆積膜を形成する工程を含む、実施態様1〜3のいずれかに記載の真空処理方法。
〔実施態様5〕
前記機能性堆積膜が、アモルファスシリコン電子写真用感光体である、実施態様4に記載の真空処理方法。
【0112】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、原料ガスを分配して供給するに先立ち、原料ガス供給手段より不活性ガスを導入し、おのおのの処理容器内で不活性ガスを分解してグロー放電を生起させ、次いで不活性ガスによるグロー放電を維持したまま、おのおのの処理容器に同時に原料ガスを供給することで、それぞれの処理容器について同時に真空処理を開始することができる。これにより、おのおのの処理容器間での真空処理の開始を同時に行うことができ、よって、真空処理のばらつきを抑えることができ、高品質なデバイスを安定して供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いられる真空処理装置の一例の模式図である。
【図2】図1の真空処理装置に接続された処理容器の一例の縦断面模式図である。
【図3】図1の真空処理装置に接続された処理容器の一例の横断面模式図である
【図4】本発明で使用できる真空処理装置の制御機構の一例の模式図である。
【図5】本発明の真空処理方法の一例のフローチャートである。
【図6】本発明の実施例1における処理容器の圧力変化を示した図である。
【図7】比較例1における処理容器の圧力変化を示した図である。
【符号の説明】
101、102、103 処理容器
111、112、113 圧力計
121 架台
122 基体
123 保持部材
124 ヒータ
125 キャップ
126 上蓋
127 電極
128 分岐板
129 高周波シールド
130 排気口
131 ガス導入管
135 真空容器
136 ベース板
200 排気手段
300 ガス供給手段
301〜305 マスフローコントローラ
311〜315 圧力調整器
321〜325 ボンベ
451〜455 2次バルブ
461〜465 1次バルブ
471〜475 供給バルブ
411、412、413 スロットル弁
431、432、433 ニードル弁
501、502、503 真空排気路
510 共通の真空排気路
521、522、523 ガス供給路
530 共通のガス供給路
601、602、603 センサ
604 制御部
701、702、703 マッチングボックス
711、712、713 高周波電源

Claims (1)

  1. 同一の排気装置に接続された複数の処理容器のそれぞれに、同一の原料ガス供給手段より分岐して原料ガスを供給し、前記各処理容器に高周波電力を印加してグロー放電を生起させ、前記各処理容器内に設置された基体に真空処理を行う真空処理方法において、
    前記原料ガス供給手段から前記各処理容器のそれぞれへと不活性ガスを導入する不活性ガス導入工程と、
    前記不活性ガス導入工程後に高周波電力を印加する工程と、
    前記各処理容器内にグロー放電が生起したことを検知する検知工程と、
    前記検知工程によりすべての前記処理容器内でグロー放電が生起したことを検知した後、グロー放電を維持したまま前記各処理容器に略同時に原料ガスを供給する工程と、
    を有することを特徴とする真空処理方法。
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