JP2004152900A - 半導体製造装置用ウェハ保持リング及びその製造方法、並びに半導体ウェハの熱処理方法及び加熱処理装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】半導体ウェハを保持するためのウェハ保持リング1であって、炭化珪素質セラミックスからなり、表面に厚み0.05〜5μmの酸化珪素膜5が形成されている。このウェハ保持リング1は、炭化珪素質セラミックスからなる基材9をリング状に成形し、酸化雰囲気下で酸化処理して表面に酸化珪素膜5を形成することによって製造される。半導体ウェハの熱処理方法は、上記ウェハ保持リングに半導体ウェハを保持させて、加熱処理装置を用いて半導体ウェハを熱処理する。加熱処理装置は上記ウェハ保持リングを備える。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウェハの製造工程で用いるRTP装置等の加熱処理装置においてウェハを保持するウェハ保持リング及びその製造方法、並びに半導体ウェハの熱処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体の製造工程において、加熱処理装置を用いて半導体ウェハを熱処理する技術としてRTP装置が用いられるようになってきている。RTPとはRapid Thermal Process(急速加熱処理)の略語であり、このRTP装置によって厚さ10nm以下の超薄型シリコン酸化膜が作れる。
【0003】
RTP装置は、ランプ加熱を用いた比較的新しい熱処理技術で、この技術の特徴は、ウェハを急速に加熱(数十秒で1,000℃)させると共に、等配列に配置された赤外線ランプをウェハ表面温度からのフィードバックにより個々に制御することで、ウェハ表面温度の温度差の制御性に優れる。
【0004】
一般的なRTP装置は、光源ランプとしてタングステン・ハロゲンランプ等を用いる。そして、ウェハ保持リング上に載置・保持された半導体ウェハに光源ランプのエネルギーを直接吸収させるものである。半導体ウェハを処理する環境としてはN2ガス等のクリーンなガス雰囲気が必要なため、処理室本体をハロゲン光の透過効率が良く熱的に安定した材料である石英からなる石英窓で密閉する構造としている。ウェハは、光の照射バランスが良い処理室中央付近で、ウェハ保持リング上に載置される。このRTP装置方を用いる方式では、熱媒体を介さずにウェハを加熱できることから熱応答を決定づける熱容量を最低限に抑えることが可能となる。その結果、瞬時加熱が実現できるため、ウェハの構造を破壊する可能性が小さく、ウェハのアニールに特に有効とされてきた(特許文献1参照)。
【0005】
このRTP装置において、ウェハを載置するウェハ保持リングは、図4に示すような構造を有する炭化珪素質セラミックス10から形成されている。これは、炭化珪素質セラミックスが高い耐熱性、熱伝導率を有することから、半導体ウェハを均一に加熱でき、かつ破損し難いからである(特許文献1参照)。また、カーボン等の基材の表面にCVD法によって炭化珪素膜を施したものが多用されている(特許文献2参照)。
【0006】
特に、RTP装置のような短時間に大きな熱が印加される場合には、装置の熱応答を決定づける熱容量を最低限に抑えるために、ウェハ保持リングの厚みを低減することが試みられており、現在では厚み0.6mmまでが実用化されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−315720号公報
【特許文献2】
特開2002−231713号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のウェハ保持リング10は、その厚みが薄いほど熱的特性が向上するが、ウェハ保持リング10を形成する炭化珪素質セラミックスは、靱性が低いため、薄くすることで機械的強度が下がり、構造的・熱的に破損をする可能性が高かった。
【0009】
特に、熱伝達方向の肉厚を1.2mm以下とするためには、ダイヤモンド砥石・遊離砥粒等を用いた機械加工を行う必要があるが、ウェハ保持リング10の被加工面に微細な研磨傷(ツールマーク)が残るために、炭化珪素本来の強度に比べ大幅に強度が低下する。すなわち、被加工面の微細な研磨傷が起点となってウェハ保持リング10が破損することが多い。
【0010】
また、ウェハ保持リング10を形成する炭化珪素質セラミックスは、その純度を99.5%以上、理論密度97%以上の緻密質とすると、熱伝導率が低くなり、RTP装置では製品全体の熱分布差が大きくなり、発生する熱応力が増加し、使用時に破壊に至る可能性がある。
【0011】
また、ウェハ保持リング10の表面粗さ(Ra)が1.6μmを越えると、肉厚1mm以下の場合、熱応力の為、破損する可能性が非常に高い。
【0012】
本発明は、上述した課題に鑑みなされたものであってその目的は、被加工面の微細な研磨傷などによる機械的強度の低下や熱応力による破損を防止し、RTP装置等の急速加熱処理装置に用いるのに適したウェハ保持リングを提供することである。
本発明は、このようなウェハ保持リングの製造方法、並びに該ウェハ保持リングを用いた半導体ウェハの熱処理方法及び加熱処理装置を提供することをも目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するための本発明の半導体製造装置用ウェハ保持リングは、半導体ウェハを保持するものであって、炭化珪素質セラミックスからなり、表面に厚み0.05〜5μmの酸化珪素膜を形成したことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の半導体製造装置用ウェハ保持リングは、上記炭化珪素質セラミックスの熱伝導率が80W/m・K以上であることを特徴とする。さらに、本発明の半導体製造装置用ウェハ保持リングは、上記炭化珪素質セラミックスが、純度99.5%以上、理論密度97%以上であることを特徴とする。本発明の半導体製造装置用ウェハ保持リングは、表面粗さ(Ra)が1.6μm以下であることを特徴とする。また、本発明の半導体製造装置用ウェハ保持リングの厚みは1.2mm以下であることを特徴とする。
【0015】
本発明にかかる半導体製造装置用ウェハ保持リングの製造方法は、炭化珪素質セラミックスからなる基材を得、該基材を酸化雰囲気下で酸化処理することによって表面に酸化珪素膜を形成することを特徴とする。
【0016】
本発明にかかる半導体ウェハの熱処理方法は、上記ウェハ保持リングに半導体ウェハを保持させて、加熱処理装置を用いて半導体ウェハを熱処理することを特徴とする。上記加熱処理装置はRTP装置であるのが好ましい。
本発明にかかるRTP装置等の加熱処理装置は、半導体ウェハを熱処理するためのものであって、上記ウェハ保持リングを備えたことを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態にかかる半導体装置用ウェハ保持リング(以下、単にウェハ保持リングという)を図面を参照して説明する。図1は本発明のウェハ保持リングの概要を示す断面図である。図1に示すように、本発明のウェハ保持リング1は、リング状の枠部2と、この枠部2の内側下方に形成された、半導体ウェハを載置するためのウェハ保持部3とから構成されている。
このウェハ保持リング1は、炭化珪素質セラミックスからなる基材9の表面に特定厚みの酸化珪素膜5を形成したものである。
【0018】
酸化珪素膜5の厚さは0.05〜5μm、好ましくは0.3〜2μm程度である。これにより、研削加工面に存在するマイクロクラックの影響を緩和し、製品で材料が本来持つ強度に近づける事ができ、熱応力による破損を防ぐことができる。
【0019】
酸化珪素膜5の厚みが0.05μm未満である場合は、マイクロクラックの影響を緩和する効果が薄く、強度を向上しきれない。また、酸化珪素膜5の厚みが5μmを超える場合は、酸化珪素膜5は熱処理によって形成されるため、基材9である炭化珪素質セラミックスと酸化珪素膜5であるSiO2の熱膨張率の差のため酸化処理温度(約1300℃前後)から、室温までの熱膨張の差のために、酸化膜が剥離する恐れがある。
【0020】
基材9の表面に酸化珪素膜5を施すには、基材9に空気中などの酸化雰囲気下で酸化処理を施す。この酸化処理条件としては、炭化珪素質セラミックスからなる基材9を酸化雰囲気下で700℃乃至1500℃で熱を印加して酸化処理する。
【0021】
酸化珪素膜5の厚み測定法としては、以下の方法がある。
▲1▼破断面方向の表面酸化珪素膜5の付近のSEM(走査電子顕微鏡)による観察でBEI(反射電子像)により、構成元素の差(炭化珪素質セラミックスがBとC、SiO2がOを含む)により呈色が違うため、表面部分の黒色呈色部の厚さを測ることで酸化珪素膜5の厚みを測定する。
▲2▼酸化珪素膜5の表面方向からのAUS(オージェ)により、SiとOとCの存在する厚さで測定する。
【0022】
上記炭化珪素質セラミックスからなる基材9は純度99.5%以上、理論密度97%以上であることにより、熱伝導率が80W/m・K以上となり、RTP装置用ウェハ保持リングでは、製品全体の熱分布差が小さくなり、発生する熱応力が減少し、使用時に破壊に至る可能性が低減できる。
【0023】
炭化珪素質セラミックスは純度99.5%未満のときは、直接接触する半導体ウェハが金属元素等に汚染されやいため、ウェハと直接接触するRTP装置用ウェハ保持リングとしては使用できない。純度の測定法としては、蛍光X線測定により全元素定性分析を行い、検出された元素についてICP分析を使用して定量分析を行い、その定量値の合計を不純物として算出する。
【0024】
炭化珪素質セラミックスの理論密度は、厳密には測定方法に議論があるが、特公昭59−34147号公報にBC系炭化珪素質セラミックスの理論密度は3.21(g/cc)と記載されており、現在ではこれが業界標準値の位置づけとなっている。
炭化珪素質セラミックスが理論密度の97%未満の場合、熱伝導率が80W/m・Kとならず、RTP装置用ウェハ保持リングでは、製品全体の熱分布差が大きくなり、発生する熱応力が増加し、使用時に破壊に至る可能性がある。
【0025】
炭化珪素質セラミックスの熱伝導率が80W/m・K未満のときは、RTP装置用リングでは、製品全体の熱分布差が大きくなり、発生する熱応力が増加し、使用時に破壊に至る可能性がある。
【0026】
この様な熱伝導率80W/m・K以上を有する炭化珪素質セラミックスからなる焼結体を得るためには、焼結させる際に、結晶の過度の成長を抑制してより緻密な焼結体を得る目的で、300℃から1950℃迄、好ましくは300℃から1500〜1800℃迄の昇温速度勾配を1時間当たり200℃以上、好ましくは250〜500℃とすることで、粒成長を防止し、成長した結晶粒に阻まれることなく緻密化させる製造方法を用いると良い。
【0027】
熱伝導率が80W/m・K以上と高い炭化珪素質セラミックスを用いることで熱分布のムラが低減されると共に、更に熱伝達方向の肉厚を1.2mm以下、より好ましくは0.6mm以下とすることで熱分布のムラや熱伝達ロスが低減される。
【0028】
その一方、炭化珪素質セラミックスは、肉厚を薄くする事で機械的な絶対強度が低下すると共に、RTP装置は昇温・降温の温度勾配が1〜300℃/秒と大きいため、大きな熱的応力が発生する。更に、熱伝達方向の肉厚を1.2mm以下とするために、ダイヤモンド砥石・遊離砥粒等を用いた機械加工を行う際に、被加工面に微細な研磨傷(ツールマーク)が残り、炭化珪素本来の強度に比べ大幅に強度が低下する。本発明におけるRTP装置では昇温・降温の温度勾配が1〜300℃/秒と大きいと共に、熱伝達方向の肉厚が1.2mm以下と薄いため、被加工面の微細な研磨傷が破壊の起点となることが多い。
【0029】
そこで本発明では、機械的・熱適応力による破損の原因となる被加工面の微細な研磨傷の影響を低減し、炭化珪素質セラミックスが本来有する強度に近づける目的で、炭化珪素質セラミックスを酸化処理して、厚み0.05〜5μmの酸化珪素膜を形成している。かかる酸化処理は、ダイヤモンド砥石、遊離砥粒等を用いた研磨などの機械加工を行って肉厚を1.2mm以下とした後に行われる。このとき、酸化珪素膜の厚み(セラミックス表裏面の酸化珪素膜うち一方の厚み)は、基材9である炭化珪素室セラミックスの平均結晶粒径の約50%以下であるのがよい。
【0030】
熱伝導率が80W/m・K以上と高い炭化珪素質セラミックスを用いることで熱分布のムラを低減すると共に、更に熱伝達方向の肉厚を1.2mm以下、好ましくは0.6mm以下とすることで熱分布のムラ・熱伝達ロスを低減することができる。また、ウェハ保持リングの熱伝達方向の肉厚の下限は、ハンドリング可能な数値である約0.1mmである。一方、炭化珪素質セラミックスの熱伝導率が80W/m・K未満のときは、RTP装置用ウェハ保持リングでは、製品全体の熱分布差が大きくなり、発生する熱応力が増加し、使用時に破壊に至る可能性がある。熱伝導率は熱拡散測定法により測定することができる。
【0031】
また、炭化珪素質セラミックスは表面粗さ(Ra)が1.6μm以下、好ましくは0.8μm以下であるのが好ましく、これにより研削加工時に表面に存在する破壊源となる加工跡が小さく、発生する熱応力により使用時に破壊に至る可能性が減少する。炭化珪素質セラミックスは面粗さRa1.6μmを超えると、研削加工時に表面に存在する破壊源となる加工跡が大きく、発生する熱応力により使用時に破壊に至る可能性がある。表面粗さは面粗度計により測定することができる。
【0032】
ウェハ保持リング1に形成されるリング状の枠部2の内径としては、半導体ウェハを嵌め込むことができる限りは特に限定されるものではなく、加熱処理を行う半導体ウェハの外径により任意の大きさのものを使用することができる。
【0033】
また、その枠部2の内周側下部に設けられたウェハ保持部3としては、その上面に半導体ウェハ4を載置した際に、該半導体ウェハ4の表面がウェハ保持リング1の上面と略並行な平面を形成するのが好ましく、これにより、RTP装置等による加熱処理の際に半導体ウェハ全体を均一に加熱して処理することができる。
【0034】
また、ウェハ保持部3の内径としては、半導体ウェハを載置することができる限り特に限定されるものではないが、載置する半導体ウェハの外径より少しだけ小さいものであるのが好ましい。これにより、半導体ウェハとの接触部位が小さくなり、半導体ウェハに加えた熱がウェハ支持部3から拡散するのを防ぎ、熱分布のムラを少なくして均一に半導体ウェハを加熱することができる。
【0035】
次に、本発明にかかるウェハ保持リング1の製造方法を説明する。
まず、炭化珪素質セラミックスからなる基材9を製造する際には、炭化珪素を所定のリング状の成形体に形成する。この成形体を前記した条件で焼結させて、高い熱伝導率を有するリング状の基材9を得る。このリング状の基材9の表面を遊離砥粒により面粗さRaが1.6μm以下となるように所定厚さに研磨し、酸化雰囲気下700℃〜1500℃で熱を印加して酸化処理することにより、基材9の全表面に酸化珪素膜5が生成され、本発明のウェハ保持リング1を得る。
【0036】
図2に本発明のウェハ保持リング1を備えたRTP装置の要部を示す。図2に示すように、本発明におけるRTP装置は、半導体ウェハ4を保持するためのリング状のウェハ保持リング1と、その上方に設けられた光源ランプ6とから構成されている。このRTP装置は1〜300℃/秒の昇温・降温の温度勾配で半導体ウェハ4の全体を均一に加熱して処理することができる。
【0037】
光源ランプ6としては、タングステン・ハロゲンランプ等を使用することができる。また、半導体ウェハ4を熱処理する環境としては、N2ガス等のクリーンなガス雰囲気下で処理する必要があるため、処理室(不図示)本体をハロゲン光の透過効率が良く熱的に安定した材料である石英からなる石英窓(不図示)等で密閉する構造である。
【0038】
半導体ウェハ4は、光源ランプ6からの光の照射バランスが良い処理室中央付近のウェハ保持リング1上に載置される。これにより、光源ランプ6のエネルギーを直接ウェハ4に吸収させることができ、熱媒体を介さず加熱できることから熱応答を決定づける熱容量を最低限に抑えることが可能となる。その結果、瞬時加熱が実現でき半導体ウェハ4に加熱処理を施して超薄型シリコン酸化膜を形成することができる。
【0039】
次に、この実施形態にかかるウェハ保持リングを備えたRTP装置による半導体ウェハの加熱処理方法を図2に従って説明する。
まず、ウェハ保持リング1に半導体ウェハ4を載置して固定する。このウェハ保持リング1を、酸化雰囲気下の処理室(不図示)内に設置されたRTP装置に設けられた支持部(不図示)の上部に半導体ウェハの上面が略平行になるように固定する。次いで、等配列に配置された光源ランプ6を半導体ウェハ4の表面温度からのフィードバックにより個々に制御して半導体ウェハ4の表面温度を制御しながら急速に加熱(例えば数十秒で約1,000℃)して半導体ウェハ4の加熱処理を行う。これにより、半導体ウェハ4の表面に所望の酸化膜が形成される。
【0040】
【実施例】
以下、実施例および参考例をあげて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
【0041】
実施例
JIS坑折強度試験片(JIS R1601)を用いて、酸化膜の有無による強度の変化を調べた。使用した坑折強度試験片は、焼結助剤としてホウ素と炭素を用いたBC系炭化珪素質セラミックス(純度99.7%、理論密度3.21g/ccの約97%である密度3.12g/cc)を使用し、原料ロット、焼成ロットを同一にした素材を120本用意した。平面研削盤を用いて表面を破断方向に対して垂直に加工したものを60本、表面を破断方向に対して平行に加工したものを60本作製した。図3(a)は矢印cで示す破断方向に対して垂直に研磨加工した試験片7の表面にできたツールマーク11(微細な研磨傷)を示している。図3(b)は破断方向に対して平行に研磨加工した試験片8の表面にできたツールマーク12(微細な研磨傷)を示している。
【0042】
坑折強度試験では、通常、材質の本来持つ強度に近づけるため、坑折強度試験片は表面を破断方向に対して垂直に加工して加工時のツールマークの影響を極力排除するが、酸化膜によるツールマークの影響を顕著に出す目的で意図的に坑折強度試験片の表面を破断方向に対して平行にツールマークを加工したものを作製した。
【0043】
また、試験片の面粗度を面粗度計により測定した結果、10測定箇所平均で面粗さ(Ra)は0.83μmであった。また熱伝導率は、原料ロット、焼成ロットを同一にした測定用試験片を別途作製し、測定した結果、91W/m・Kであった。
更にこれらの試験片の内、各々30本づつに対して1400℃の酸化雰囲気下で酸化処理を行い、酸化膜を生成させた。これらの試験片に関して、酸化膜の有無による強度の変化を調べた。その結果を表1に示す。
【0044】
なお、表1の実施例1及び2に対して、破断面の表面酸化膜付近のSEMによる観察でBEI(反射電子像)による酸化膜厚測定、及び酸化膜表面方向からのAUS(オージェ)によるSiとOとCの存在する厚さの測定の結果より、実施例1及び2で酸化膜が表面に平均0.3μm程度生成していることが確認された。
【0045】
【表1】
【0046】
表1の結果より、破断方向に垂直に加工しツールマークの影響を極力排除した試験片において、酸化処理を施した実施例1では平均破断強度が501.8MPaであるのに対し、酸化処理を施さない比較例1では419.5MPaと、8%程度強度向上が見られ、表面に存在するマイクロクラックの影響を緩和していることがわかる。
【0047】
更に、ツールマークの影響を顕著に出す目的で意図的に表面を破断方向に対して平行に加工した試験片において、酸化処理を施した実施例2では平均破断強度が463.8MPaであるのに対し、酸化処理を施さない比較例2では245.9MPaと、70%以上の強度向上が見られることより、マイクロクラックの影響を緩和するのみならず、研削加工によって生じるツールマークの影響も大きく緩和していることがわかる。
【0048】
参考例
図1に示すような断面形状を持つ軸対称2次元モデルにおいて、FEM(電界放射顕微鏡)計算により、昇温勾配50℃/秒で1200℃まで加熱した際の最大発生応力を解析した。解析には、120W/m・Kの熱伝導率を持つRTP装置用ウェハ保持リングと、比較例として60W/m・Kの熱伝導率を持つRTP装置用ウェハ保持リングとを用いたモデルで行った。その結果を表2に示す。
ここで使用したRTP装置用ウェハ保持リングは、参考例、比較例とも純度は99.5%、表面粗さRa0.8μm、酸化膜は無、ポアソン比:0.16、線熱膨張係数:3.9(×10−6/℃)、比熱容量:0.16(cal/g ℃)であり、参考例および比較例のRTP装置用ウェハ保持リングの密度がそれぞれ3.12(g/cc)、3.00(g/cc)であるものを使用した。
【0049】
【表2】
【0050】
表2の結果より、120W/m・Kの熱伝導率を持つRTP装置用ウェハ保持リングのモデルでは最大発生応力が18.9MPaで、破壊確率が5.25×10−9あるのに対し、60W/m・Kの熱伝導率を持つRTP装置用ウェハ保持リングのモデルでは最大発生応力が39.2MPaで、破壊確率が4.08×10−6であった。この結果より、120W/m・Kの熱伝導率を持つRTP装置用ウェハ保持リングは、60W/m・Kの熱伝導率を持つRTP装置用ウェハ保持リングと比較して、半分以下の熱応力しか発生せず、破壊確率も3オーダー程小さくなっていることがわかる。
【0051】
【発明の効果】
本発明のによれば、RTP装置等の加熱処理装置用チャンバーに使用されるウェハ保持リングにおいて、酸化珪素膜0.05〜5μmを酸化処理により付加したことにより、炭化珪素質セラミックス本来の強度に比べ大幅に強度が低下することを防止することができるため、被加工面の微細な研磨傷などによる機械的強度の低下や熱応力による破損を防止し、RTP装置等の急速加熱処理装置に用いるのに適する。
また、上記ウェハ保持リングは純度99.5%以上、理論密度97%以上、熱伝導率80W/m・K以上、面粗さRa1.6μm以下であることにより、破壊の原因となる熱応力を低減することができるという効果がある。
このウェハ保持リングを使用した本発明の半導体ウェハの加熱処理方法によれば、ウェハ保持リングの破損を防止することができ、効率よく半導体ウェハの加熱処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる半導体製造装置用ウェハ保持リングを示す概略断面図である。
【図2】本発明におけるRTP装置を用いた半導体ウェハの加熱処理方法を示す模式図である。
【図3】(a)および(b)は破断方向に対してそれぞれ垂直および平行に研磨加工した試験片の表面にできたツールマーク(微細な研磨傷)を示す説明図である。
【図4】従来の半導体製造装置用ウェハ保持リングを示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 ウェハ保持リング
2 枠体
3 ウェハ保持部
4 半導体ウェハ
5 酸化珪素膜
6 光源ランプ
7、8 試験片
9 基材
Claims (8)
- 半導体ウェハを保持するウェハ保持リングであって、炭化珪素質セラミックスからなり、表面に厚み0.05〜5μmの酸化珪素膜を形成したことを特徴とする半導体製造装置用ウェハ保持リング。
- 上記炭化珪素質セラミックスは、熱伝導率が80W/m・K以上であることを特徴とする請求項1に記載の半導体製造装置用ウェハ保持リング。
- 上記炭化珪素質セラミックスは、純度99.5%以上、理論密度97%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体製造装置用ウェハ保持リング。
- 表面粗さ(Ra)が1.6μm以下であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の半導体製造装置用ウェハ保持リング。
- 上記ウェハ保持リングの厚みが1.2mm以下であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のウェハ保持リング。
- 請求項1乃至5の何れかに記載のウェハ保持リングの製造方法であって、炭化珪素質セラミックスからなる基材を得、該基材を酸化雰囲気下で酸化処理することによって表面に酸化珪素膜を形成することを特徴とする半導体製造装置用ウェハ保持リングの製造方法。
- 請求項1乃至5の何れかに記載のウェハ保持リングに半導体ウェハを保持させて、加熱処理装置を用いて半導体ウェハを熱処理することを特徴とする半導体ウェハの熱処理方法。
- 請求項1乃至5の何れかに記載のウェハ保持リングを備えたことを特徴とする、半導体ウェハを熱処理するための加熱処理装置。
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