JPH1160356A - 窒化アルミニウム複合基材及びこれを用いた窒化アルミニウム複合発熱体、窒化アルミニウム複合静電チャック、窒化アルミニウム複合ヒータ付静電チャック - Google Patents

窒化アルミニウム複合基材及びこれを用いた窒化アルミニウム複合発熱体、窒化アルミニウム複合静電チャック、窒化アルミニウム複合ヒータ付静電チャック

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JPH1160356A
JPH1160356A JP22738497A JP22738497A JPH1160356A JP H1160356 A JPH1160356 A JP H1160356A JP 22738497 A JP22738497 A JP 22738497A JP 22738497 A JP22738497 A JP 22738497A JP H1160356 A JPH1160356 A JP H1160356A
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aluminum nitride
aln
electrostatic chuck
heater
nitride composite
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Toshimi Kobayashi
利美 小林
Yoshikazu Otani
義和 大谷
Kazuyoshi Tamura
和義 田村
Atsuo Kawada
敦雄 川田
Hiroshi Mogi
弘 茂木
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 諸特性に優れているが不純物の多い窒化アル
ミニウム(AlN)焼結体中の不純物を封じ込めて半導
体デバイスの不純物汚染を防ぎ、デバイスの歩留り向上
を図り、耐熱性、耐食性、高い熱応答性、強誘電性等に
優れたAlN複合基材、同発熱体、同静電チャック及び
同ヒータ付静電チャックを提供する。 【解決手段】 AlN複合発熱体、同静電チャック、或
は同ヒータ付静電チャックに用いられる基材であって、
AlN焼結体の表面上にCVD法によるSiC被覆層を
有するAlN複合基材。AlN焼結体の表面にCVD法
によるSiC導電層ヒータパターンを有するAlN複合
発熱体。AlN焼結体の表面にCVD法によるSiC導
電層電極パターンを有するAlN複合静電チャック。A
lN焼結体の片面にCVD法によるSiCヒータパター
ンが形成され、他面にCVD法によるSiC電極パター
ンが形成されているAlN複合ヒータ付静電チャック。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体デバイスの
製造装置等に使用される高純度表面層を持つ窒化アルミ
ニウムの複合基材及びこれを用いた発熱体、静電チャッ
ク、ヒータ付静電チャックに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から半導体デバイスの製造装置に
は、その製造目的によって、各種の部材、部品、補助装
置が使用されている。例えば被処理物である半導体シリ
コンウエーハを処理温度まで加熱するヒータ、ウエーハ
を所定の位置に一時的に固定したり、搬送するための静
電チャック等がある。近年、これらの部品や補助装置を
構成する部材に、耐熱性、耐食性、高熱伝導率、強誘電
性、易焼結性等の特性を生かした窒化アルミニウム焼結
体の用途開発が盛んになってきた。
【0003】しかしながら、窒化アルミニウム(以下、
AlNと略記する)焼結体は、通常AlNの粉末にイッ
トリアのような酸化物を数%焼結助剤として混合し、ホ
ットプレスまたは常圧焼結法によって製造されており、
しかも原料粉末が既に不純物としてのFe、Na等を含
有しているので、焼結体そのままでは高温の半導体装置
の中に組み込んで使用した時に、被処理物であるシリコ
ンウエーハを汚染する結果となってしまう。従って、不
純物を含まない高純度AlNであれば、ウエーハその他
を汚染する心配はないが、現在のところ、シリコンウエ
ーハを汚染する心配のないような高純度のAlN焼結体
は未だ得られていない。
【0004】ここで、本発明が目指しているAlNの用
途について、各種応用製品別に従来の技術を述べる。 発熱体(ヒータ):半導体デバイス製造装置に使用され
る加熱装置には、高純度で低熱容量(高速昇温、高速降
温)であることが要求される。そのため発熱体を支える
基体には薄い絶縁性セラミックス等が使用され、また、
導電層には、銀、白金、タングステン等によってヒータ
パターンが形成された発熱体が用いられてきた。しか
し、デバイス製造装置類は、高真空や腐食性ガスが使用
されるため、発熱体からの汚染を避けるべく、発熱体を
石英容器中に納めたり、或は装置外部から間接加熱を行
うのが一般的であった。
【0005】静電チャック:半導体デバイス製造装置に
おいて、装置内での真空の使用機会が増大するにつれ、
静電気的吸着力を利用した静電チャックが真空チャック
やメカニカルチャックに代わって使用され始めている。
従来は、導電層電極をポリイミドフィルム内やその片面
に形成したり、シリコーンゴム内やその片面に形成した
ものが主として使用されてきた。また、最近では、これ
らポリマーのデバイス製造装置内雰囲気下における耐熱
性、耐食性の問題から、アルミナ等のセラミックスに導
電性ぺーストで電極パターンを形成した静電チャックも
使用され始めている。
【0006】ヒータ付静電チャック:近年半導体デバイ
ス製造装置においては、上記のヒータと静電チャックが
同時に使用される機会が多いため、これらを組合せたユ
ニットに対する要望が強い。そこでセラミックス基体の
両面に夫々ヒータまたはチャックパターン(電極パター
ン)を導電性ペーストにより形成し、さらにセラミック
スを絶縁体層として貼り合わせるか、同時に焼成したも
のが考案されている。
【0007】上記した従来の技術には製品別に次のよう
な問題点がある。 発熱体:発熱体を高純度石英で閉じ込めたタイプや、デ
バイス製造装置外からの間接加熱型発熱体では、ヒータ
ユニットの熱容量が必然的に大きくなり、或は、間接加
熱であるため発熱体および被加熱物の温度上昇、下降の
熱応答性が遅く、また、金属ペースト焼き付け型は本質
的に被処理物であるシリコンウエーハを汚染する不純物
としての金属類を使用するという欠点があった。
【0008】静電チャック:ポリマー型静電チャックは
材質的にデバイス製造装置内でのプラズマや高温、腐食
性ガスに弱く、寿命が短いと言う欠点があった。
【0009】ヒータ付静電チャック:金属ペーストを焼
き付けてヒータとするタイプでは、本質的に金属不純物
が含まれると言う問題点と、セラミックス焼結体そのも
のが保有する焼結助剤である金属不純物が存在するた
め、被処理物であるシリコンウエーハを汚染するという
問題点があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような問
題点を解決するためになされたもので、諸特性に優れて
いるが不純物の多いAlN焼結体中の不純物を封じ込め
て半導体デバイスの金属等の不純物汚染を防ぎ、デバイ
スの歩留り向上を図ると共に、耐熱性、耐食性、高い耐
衝撃性、高絶縁抵抗性等に優れた窒化アルミニウム複合
基材、並びにこれをベースにした窒化アルミニウム複合
発熱体、窒化アルミニウム複合静電チャック及び窒化ア
ルミニウム複合ヒータ付静電チャックを提供することを
主目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るため、本発明の請求項1に記載した発明は、窒化アル
ミニウム複合発熱体、窒化アルミニウム複合静電チャッ
クあるいは窒化アルミニウム複合ヒータ付静電チャック
に用いられる基材であって、窒化アルミニウム焼結体の
表面上に、気相沈着法により形成された炭化けい素から
成る被覆層を有することを特徴とする窒化アルミニウム
複合基材である。
【0012】このように強度、耐熱性、絶縁耐力、耐熱
衝撃性、熱伝導率等に優れたAlN焼結体を基本基材と
し、この表面を気相沈着法(以下、CVD法という)に
よる高純度SiC薄膜で被覆することにより、高温状態
でのAlN焼結体から半導体デバイスへの不純物の移行
を防止することができる。そして、SiCの導電性を利
用してヒータパターンに加工すれば発熱体が得られる。
また、電極パターンに加工すれば、静電チャックにする
ことができ、片側に電極パターン他の側にヒータパター
ンを加工すればヒータ付静電チャックを作製することが
できる。
【0013】本発明の請求項2に記載した発明は、窒化
アルミニウム焼結体の表面上に、気相沈着法により形成
された炭化けい素から成る導電層ヒータパターンを有す
ることを特徴とする窒化アルミニウム複合発熱体であ
る。
【0014】このように強度、耐熱性、絶縁耐力、耐熱
衝撃性、熱伝導率等に優れたAlN焼結体を基本基材と
し、この表面をCVD法による高純度SiC薄膜で被覆
すれば、SiCは半導体デバイスにとって不純物とはな
らない。そして、SiCの導電性を利用してヒータパタ
ーンに加工すれば、低熱容量で高速昇温、高速降温が可
能なAlN複合発熱体が得られる。また、SiCは熱膨
張係数がAlNに近似しているので、急激な熱履歴にも
SiCのAlNからの剥離が防止される。
【0015】本発明の請求項3に記載した発明は、窒化
アルミニウム焼結体の表面上に、気相沈着法により形成
された炭化けい素から成る導電層電極パターンを有する
ことを特徴とする窒化アルミニウム複合静電チャックで
ある。
【0016】このように強度、耐熱性、絶縁耐力、耐熱
衝撃性、熱伝導率等に優れたAlN焼結体を基本基材と
し、この表面をCVD法による高純度SiC薄膜で被覆
し、SiCの導電性を利用して電極パターンに加工すれ
ば、高温、腐食性雰囲気で使用可能なAlN複合静電チ
ャックが得られる。そしてSiCは熱膨張係数がAlN
に近似しているので、急激な熱履歴下で使用してもSi
Cの剥離が防止される。加えて、SiCは半導体デバイ
スにとって不純物とはならないのでチャッキングに適し
たものとなる。
【0017】本発明の請求項4に記載した発明は、窒化
アルミニウム焼結体の表面上に、気相沈着法により形成
された炭化けい素から成る導電層ヒータパターンを有
し、該パターン上または焼結体面上全面にシリコンと窒
素と炭素とを主成分とする気相沈着法による絶縁体層が
形成されていることを特徴とする窒化アルミニウム複合
発熱体である。そして、請求項5では、この絶縁体層が
気相沈着法により形成された窒化アルミニウムとするこ
とができる。
【0018】発熱体は、SiC導電層ヒータパターンに
高電流を流すので、直接シリコンウエーハに接触した
り、AlN焼結体から発生する金属による汚染を避けた
い場合には、AlNとSiCの両方に接着性の良好な絶
縁性の高いSiとCとNとから成るCVD法による絶縁
体層を形成するのがよい。また、この絶縁体層をCVD
法によるAlNとすることもでき、CVD法によるAl
Nであれば高純度であるから金属汚染の心配はなくな
る。
【0019】本発明の請求項6に記載した発明は、窒化
アルミニウム焼結体の表面上に、気相沈着法により形成
された炭化けい素から成る導電層電極パターンを有し、
該電極パターン上または焼結体面上全面にシリコンと窒
素と炭素とを主成分とする気相沈着法による絶縁体層が
形成されていることを特徴とする窒化アルミニウム複合
静電チャックである。そして、請求項7では、この絶縁
体層が気相沈着法により形成された窒化アルミニウムと
することができる。
【0020】静電チャックは、電極パターンに高電圧を
印加するため、この電極パターン上とこのパターンが形
成された基材上に絶縁体層を設ける必要がある。また、
導電層電極パターンに直接シリコンウエーハが接触した
り、AlN焼結体からの金属汚染を避けたい場合は、A
lNとSiCの両方に接着性の良好な絶縁性の高いSi
とCとNとから成るCVD法による絶縁体層が形成され
る。この絶縁体層をCVD法によるAlNとすれば、高
純度であるから金属汚染の心配はなくなる。
【0021】本発明の請求項8に記載した発明は、窒化
アルミニウム焼結体の片面に気相沈着法による炭化けい
素から成る導電層ヒータパターンが形成され、他面に気
相沈着法による炭化けい素から成る導電層電極パターン
が形成されていることを特徴とする窒化アルミニウム複
合ヒータ付静電チャックである。そして請求項9では、
前記窒化アルミニウム複合ヒータ付静電チャックの全面
上に、シリコンと窒素と炭素とを主成分とする気相沈着
法による絶縁体層が形成されているものとする。さらに
請求項10では、前記絶縁体層が気相沈着法により形成
された窒化アルミニウムとすることができる。
【0022】このように構成すると、基本基材であるA
lN焼結体を中心に上面は静電チャックを構成し、裏面
は発熱体を構成した複合製品となる。この製品を構成す
る焼結体上の各層はCVD法で形成されているので高純
度の層となり、高温下で使用しても半導体デバイスを汚
染することは殆どない。
【0023】本発明の請求項11に記載した発明は、前
記窒化アルミニウム複合基材を構成する窒化アルミニウ
ムが、気相沈着法により形成された窒化アルミニウムで
あることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか
1項に記載した窒化アルミニウム複合基材、窒化アルミ
ニウム複合発熱体、窒化アルミニウム複合静電チャッ
ク、または窒化アルミニウム複合ヒータ付静電チャック
である。
【0024】このようにすると、基本基材のAlNが焼
結助剤を含む焼結体ではなく、CVD法で作製された高
純度AlNとなるので、前記製品を構成する全ての層が
CVD法で作製された高純度層となる。従って、高温下
において金属等不純物を発生して半導体デバイスを汚染
することは殆どなく、デバイスの歩留りを向上させるこ
とができる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳細
に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。本発明者等らは、半導体デバイス製造装置用部材と
して有用なAlN焼結体をベースとし、これにSiC高
純度表面層を設けた高性能AlN複合基材を開発すれ
ば、これを基材に使用したAlN複合発熱体、AlN複
合静電チャック及びAlN複合ヒータ付静電チャックを
作製できることを発想し、本発明を完成させたものであ
る。以下、AlN複合基材、AlN複合発熱体の順にそ
の詳細を説明する。
【0026】AlN複合基材:本発明の発熱体、静電チ
ャック及びヒータ付静電チャックを構成する基本的基材
であって、これら三者に共通する特性を十分発揮させる
ことのできる材料として、優れた耐熱性、耐食性、高い
熱応答性、強誘電性、易焼結性等を有するAlNを選択
した。
【0027】しかしながら、AlN焼結体は、通常Al
Nの粉末にイットリアのような酸化物を数%焼結助剤と
して混合し、ホットプレスまたは常圧焼結法によって製
造されており、しかも原料粉末が既に不純物としてのF
e、Na等を含有しているので、焼結体そのままでは高
温の半導体装置の中に組み込んで使用した時に、被処理
物であるシリコンウエーハを汚染する結果となってしま
う。そこで本発明では、AlN焼結体の表面上にCVD
法による高純度SiC被覆層を形成させて不純物を封じ
込め、窒化アルミニウム複合基材とした。
【0028】このAlN基材の材質としては、本発明の
各種製品の場合、CVD法による金属等の不純物を含有
しない絶縁体層、導電体層等で被覆される場合は主にA
lN焼結体を使用し、被覆層のない場合やAlN基材の
一部が露出する場合はCVD法による高純度AlNを使
用すればよく、これにより半導体デバイスに対する汚染
はなくなる。
【0029】発熱体:本発明のヒータについては、前記
課題を解決するため、発熱体基材として、高熱伝導性を
保持するAlNを用いる。AlNは、熱衝撃性に優れ、
絶縁抵抗値も高く、ヒータを作製するのに好適である。
導電性ヒータパターンとしては、半導体素子にとって基
本的に不純物とならないCVD法によるSiCを選択す
る。基材に対する密着性を考慮すると気相からの沈着が
好ましいし、これは同時にSiCそのものへの不純物の
混入を防止することができるからである。通常のSiC
焼結体は、Be、Mg、Ca、Fe等が原料SiC、或
は焼結助剤から不可避的に混入するため、発熱体として
は使用できない。
【0030】SiCが選択されるもう一つの理由は、熱
膨張係数が基材のAlNに近いことが挙げられる。この
ため加熱時に、導電層の基材からの剥離が防止される。
このようにして、形成された発熱体が直接シリコンウエ
ーハ等に接触したり、AlNからのコンタミネーション
を避けたい場合は、このヒータパターンが形成された基
材上にこれら基材及びSiCの両者に対する接着性の良
好な絶縁性の高いSiとCとNからなる気相反応沈着絶
縁体、または気相からのAlN沈着が行われる。
【0031】静電チャック:本発明の静電チャックは、
前記課題を解決するため、静電チャック基材として高熱
伝導性を保持するAlNを用いる。デバイス作製時のウ
エーハ等への熱伝達を迅速に行えるためと、AlNが比
較的デバイス素子に対する有害不純物となりにくいため
である。AlN基材の片面にSiCによる電極パターン
が気相から沈着される。SiCが選択される理由は、ヒ
ータの場合と同様、半導体素子にとって不純物とならな
い点と熱膨張係数がAlNに近いことによる。静電チャ
ックの場合は、電極パターンに高電圧を印加するため、
このパターンが形成された基材上に絶縁体層が形成され
る。この絶縁材は、装置の形状にもよるが、シリコーン
ゴム、ポリイミド樹脂等を使用してもよい。より好まし
くは絶縁耐力とAlN基材及びSiCの両者に対する接
着性の良好な絶縁性のSiとCとNからなる気相反応沈
着絶縁体または気相からのAlN沈着が行われる。静電
チャック面は、パターンの形成されていないAlN面で
も絶縁体層が形成されたパターン側でも構わない。
【0032】ヒータ付静電チャック:本発明のヒータ付
静電チャックは、一枚のAlN板の片面にヒータパター
ン、反対面に静電チャックパターンが形成される。Al
N基材の両面に夫々気相からのSiCの導電層が沈着形
成される。SiCが選択される理由は、ヒータあるいは
チャックの場合と同様である。この電極パターンが形成
された後、静電チャック側には絶縁体層の形成が行われ
る。この絶縁材は、半導体装置の形状にもよるが、シリ
コーンゴム、ポリイミド樹脂等を使用することができ
る。より好ましくは絶縁耐力とAlN基材及びSiCの
両者に対する接着性の良好な絶縁性のSiとCとNから
なる気相反応沈着絶縁体層または気相からのAlN沈着
が行われる。
【0033】静電チャック面は、絶縁体層が形成された
ヒータパターン側でも絶縁体層が形成された静電チャッ
クパターン側でも構わない。ヒータ側も必要によっては
絶縁体層が形成される。ヒータ側絶縁体層はAlN基材
及びSiCの両者に対する接着性の良好な絶縁性のSi
とCとNからなる気相反応沈着絶縁体、または気相から
のAlN沈着のいずれかを選択するのが好ましい。
【0034】上記のAlN基材は、通常の焼結体でもC
VD法によるものでも構わないが、より高純度が要求さ
れる場合は、CVD法によって合成されたものが選択さ
れる。
【0035】ヒータおよび静電チャックパターンの形成
にはSiC層を形成する際に、黒鉛によるマスクパター
ンを用いる方法と、平滑な面を形成後、サンドブラス
ト、ダイヤツール等による後加工等があるが、好ましく
は成膜時にマスクを用い、かつ、サンドブラストまたは
ダイヤツール等による機械加工を加えた方法がより高寸
法精度のものができるので好ましい。
【0036】
【実施例】以下、本発明の実施の形態を実施例を挙げて
具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるもの
ではない。 (実施例1)[AlN焼結体の作製] AlN粉末950g、イットリア(Y23 )粉末50
g、ワックス100g、ポリスチレン50g、トリクレ
ン2リットルを、ポリマー被覆ボールミルに仕込み、2
4時間混合粉砕した。このスラリーをバーコータによっ
て厚さ3mmのウエットシートを作製し、乾燥後、15
0mm角のグリーンシートを形成した。このグリーンシ
ートを450℃、空気雰囲気下で脱脂し、窒素ガス雰囲
気下で1800℃で焼結した。得られたAlN焼結体の
両面を1000番のアルミナ砥粒によって湿式研磨し
た。以下に述べる実施例において使用したAlN焼結体
は、全てこの実施例1で作製したものである。
【0037】(実施例2)[CVD法AlN基材の作
製] 耐圧製のステンレス容器中に塩化アルミニウムを充填し
て190℃に加熱し、この容器よりテフロンチューブで
反応容器に該塩化アルミニウム昇華ガスを導入した。テ
フロンチューブはリボンヒータによって190℃に保温
した。流量の制御は、容器の重量変化をフィードバック
し、190℃に保温された耐熱性のオールステンレスニ
ードルバルブによって、流量を0.5モル/時間になる
ように行った。アンモニアガスは、ボンベより減圧弁を
介してマスフローコントローラーによって流量1.5モ
ル/時間として反応容器に導入した。
【0038】反応容器として水冷ジャケットを有する内
容積250リットルの密閉型SUS製反応器を用いた。
反応器の内側には黒鉛フェルト断熱材を貼り、その内側
に黒鉛製の発熱体を置き、その内側に外部より回転駆動
できる黒鉛製のターンテーブルを設置した。塩化アルミ
ニウムガスもアンモニアガスもこのターンテーブル上の
中心にガス流が来るようにPBN(熱分解窒化ほう素)
製のノズルから吹き込むようにした。このターンテーブ
ル上に等方性黒鉛からなる厚さ30mmで100mm角
のサセプタを置いた。反応容器を真空ポンプによって1
Paまで排気した後、黒鉛ヒータによってサセプタの加
熱を始め、サセプタ温度が1400℃になった段階で塩
化アルミニウム、アンモニアガスの供給を開始した。反
応中はサセプタ温度は1400℃を維持し、内圧は20
0Paになるように排気ポンプ側に設置したバルブで調
整した。
【0039】24時間に亙って反応を行い、反応終了後
冷却し、AlNによってコートされた黒鉛サセプタを取
り出した。研磨機によって黒鉛を削り落し、得られたA
lN角板の両面を1000番のアルミナ砥粒によって湿
式研磨した。以下に述べる実施例におけるCVD法Al
N基材は全てこの実施例2の方法で作製したものであ
る。
【0040】(実施例3)[SiC膜の形成] 実施例2で使用したSUS製反応器を用いてAlN基材
上にSiC膜を形成した。Si源としてはメチルトリク
ロロシランを用い、これをSUS製耐圧容器中に充填
し、78℃に加熱してガスを発生させた。発生ガスは、
リボンヒータで78℃に保温されたテフロンチューブを
通して反応器に導入した。反応によって生成する塩素を
トラップするために、同時に水素を導入した。流量調整
は耐熱性マスフローコントローラーを用い、メチルトリ
クロロシランは0.5モル/時間とし、水素は5モル/
時間とした。サセプタとして前記実施例1で作製したA
lN焼結体を用いた。
【0041】反応容器を真空ポンプによって1Paまで
排気した後、黒鉛ヒータによってサセプタの加熱を始
め、サセプタ温度が1350℃になった段階でメチルト
リクロロシランおよび水素ガスの供給を開始した。反応
中はサセプタ温度を1350℃に、内圧は300Paに
なるように排気ポンプ側に設置したバルブで調整、維持
した。パターンを形成する場合、必要によって厚さ10
mmの逆パターンをくり貫いた(メス型)熱膨張係数が
4.8×10-6程度の等方性黒鉛をサセプタの上に密着
させておいた。反応時間は、所望の厚さのSiCが得ら
れるまで行った。
【0042】(実施例4)[Si、C、Nから成る絶縁
膜の形成] 実施例3のSiC膜の形成に使用したのと同様の反応容
器を使用した。Si源としてはテトラクロロシランを用
い、これをSUS製耐圧容器中に充填し50℃に加熱し
た。発生するガスは、リボンヒータで50℃に保温され
たテフロンチューブを用いて反応器に導入した。流量調
整は耐熱性マスフローコントローラーを用い、流量は
0.5モル/時間とした。窒素源としては、アンモニア
を用いた。アンモニアガスはボンベより減圧弁を通して
マスフローコントローラーによって流量を0.2モル/
時間とし、テトラクロロシランとは別のノズルによって
反応容器中に導入した。
【0043】炭素源としては、メタンガスを用い、ボン
ベより減圧弁を介してマスフローコントローラーによっ
て流量を0.4モル/時間とした。テトラクロロシラン
の分解によって発生する塩素をトラップするために、同
時に水素を2モル/時間導入した。ターンテーブル上に
実施例3で作製したSiCのパターンが形成されたAl
N膜をサセプタとして置いた。反応温度は1400℃
で、圧力は150Paに制御した。反応時間は所望膜厚
によって調整した。
【0044】(実施例5)[AlNから成る絶縁膜の形
成] 実施例2のCVD法AlN基材の作製で使用したのと同
様の反応容器、反応方法、反応条件を採用した。また、
ターンテーブル上には、SiCのパターンの形成された
AlNをサセプタとして用いた。反応時間は所望の厚さ
になるように調整した。
【0045】(実施例6、比較例)[SiC被覆AlN
焼結体の特性(不純物のシリコンウエーハへの移行)] AlN焼結体を直径100mmの円板状に切り出し、こ
の上に前記したSiC膜を4時間CVD反応させ、厚さ
60μmのSiCが被覆された基材を得た。本基材のS
iC被覆面にポリッシュした4”シリコン単結晶ウエー
ハを静置し、その上に50gの荷重を加え、150℃に
加熱されたクリーンオーブン中に2時間置いた。比較の
ためにSiC被覆をしていないAlN焼結体でも同様の
加熱処理を行った。そのあと、シリコンウエーハ中の不
純物を測定した。その結果を表1に示す。表から明らか
なようにSiCを被覆した面からは不純物のシリコンウ
エーハへの移行が抑えられていることが判る。
【0046】
【表1】
【0047】(実施例7)[AlN複合発熱体の特性] 実施例1で得たAlN焼結体を巾1cm×長さ7cmに
切り出し、この上に実施例3の方法でSiC膜を12時
間CVD反応させ、厚さ180μmのSiC導電層が被
覆された発熱体を得た。この発熱体の両端をクリップで
挟み、電流を流して窒素雰囲気中での昇温状況を測定
し、その結果を図1に示した。図から高速昇温が可能な
ことがよく判る。
【0048】なお、本発明は、上記実施形態に限定され
るものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明
の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同
一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いか
なるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0049】
【発明の効果】本発明のAlN複合基材及びこれを使用
したAlN複合発熱体、AlN複合静電チャック及びA
lN複合ヒータ付静電チャックは、いずれもCVD法で
合成した高純度SiC表面層、高純度Si・C・N絶縁
体層または高純度AlN表面層を有し、耐熱性、耐食
性、絶縁耐力、熱応答性、誘電性等の諸特性に優れてい
る。従って、半導体デバイス製造装置において、高温や
腐食性ガスに長時間曝されても、劣化がなく、劣化によ
る塵埃の発生も不純物金属による汚染も殆どなく、長寿
命である。発熱体としては高速昇温、高速降温が容易に
なり、デバイスの生産性向上が図れ、静電チャックとし
ては吸着面や被吸着物であるウエーハ、ガラス基板等に
汚染を与えないと共に、歪み、割れ、クラック等のダメ
ージを与えることのない高性能を発揮するもので、産業
上その利用価値は極めて高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のAlN・SiC複合発熱体の窒素ガス
雰囲気下における投入電力と上昇温度の関係を示すグラ
フである。
フロントページの続き (72)発明者 川田 敦雄 群馬県安中市磯部2丁目13番1号 信越化 学工業株式会社精密機能材料研究所内 (72)発明者 茂木 弘 群馬県安中市磯部2丁目13番1号 信越化 学工業株式会社精密機能材料研究所内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒化アルミニウム複合発熱体、窒化アル
    ミニウム複合静電チャックあるいは窒化アルミニウム複
    合ヒータ付静電チャックに用いられる基材であって、窒
    化アルミニウム焼結体の表面上に、気相沈着法により形
    成された炭化けい素から成る被覆層を有することを特徴
    とする窒化アルミニウム複合基材。
  2. 【請求項2】 窒化アルミニウム焼結体の表面上に、気
    相沈着法により形成された炭化けい素から成る導電層ヒ
    ータパターンを有することを特徴とする窒化アルミニウ
    ム複合発熱体。
  3. 【請求項3】 窒化アルミニウム焼結体の表面上に、気
    相沈着法により形成された炭化けい素から成る導電層電
    極パターンを有することを特徴とする窒化アルミニウム
    複合静電チャック。
  4. 【請求項4】 窒化アルミニウム焼結体の表面上に、気
    相沈着法により形成された炭化けい素から成る導電層ヒ
    ータパターンを有し、該パターン上または焼結体面上全
    面にシリコンと窒素と炭素とを主成分とする気相沈着法
    による絶縁体層が形成されていることを特徴とする窒化
    アルミニウム複合発熱体。
  5. 【請求項5】 前記絶縁体層が気相沈着法により形成さ
    れた窒化アルミニウムであることを特徴とする請求項4
    に記載の窒化アルミニウム複合発熱体。
  6. 【請求項6】 窒化アルミニウム焼結体の表面上に、気
    相沈着法により形成された炭化けい素から成る導電層電
    極パターンを有し、該パターン上または焼結体面上全面
    にシリコンと窒素と炭素とを主成分とする気相沈着法に
    よる絶縁体層が形成されていることを特徴とする窒化ア
    ルミニウム複合静電チャック。
  7. 【請求項7】 前記絶縁体層が気相沈着法により形成さ
    れた窒化アルミニウムであることを特徴とする請求項6
    に記載の窒化アルミニウム複合静電チャック。
  8. 【請求項8】 窒化アルミニウム焼結体の片面に気相沈
    着法による炭化けい素から成る導電層ヒータパターンが
    形成され、他面に気相沈着法による炭化けい素から成る
    導電層電極パターンが形成されていることを特徴とする
    窒化アルミニウム複合ヒータ付静電チャック。
  9. 【請求項9】 前記窒化アルミニウム複合ヒータ付静電
    チャックの全面上に、シリコンと窒素と炭素とを主成分
    とする気相沈着法による絶縁体層が形成されていること
    を特徴とする請求項8に記載した窒化アルミニウム複合
    ヒータ付静電チャック。
  10. 【請求項10】 前記絶縁体層が気相沈着法により形成
    された窒化アルミニウムであることを特徴とする請求項
    9に記載した窒化アルミニウム複合ヒータ付静電チャッ
    ク。
  11. 【請求項11】 前記窒化アルミニウム複合基材を構成
    する窒化アルミニウムが、気相沈着法により形成された
    窒化アルミニウムであることを特徴とする請求項1〜請
    求項10のいずれか1項に記載した窒化アルミニウム複
    合基材、窒化アルミニウム複合発熱体、窒化アルミニウ
    ム複合静電チャック、または窒化アルミニウム複合ヒー
    タ付静電チャック。
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