JP2004152592A - 燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】起動時等において液体循環系内で循環される液体の導電率を速やかに改善する。
【解決手段】燃料電池スタック1と、燃料電池スタック1に供給する冷却水を循環させる冷却水循環系2とを備える燃料電池システムにおいて、冷却水のうちで導電率が悪化した部分のみを選択的に系外に誘導して、導電率を改善させる。すなわち、循環初期における冷却水には導電率の偏りがあることから、この導電率の偏りを導電率計11にて検知し、その検知結果に基づいてバルブコントローラ10が可変バルブ8,9を制御することにより、導電率が悪化した部分の冷却水のみをサブ流路7に誘導してイオン除去フィルタ12等により導電率を改善する。
【選択図】 図1
【解決手段】燃料電池スタック1と、燃料電池スタック1に供給する冷却水を循環させる冷却水循環系2とを備える燃料電池システムにおいて、冷却水のうちで導電率が悪化した部分のみを選択的に系外に誘導して、導電率を改善させる。すなわち、循環初期における冷却水には導電率の偏りがあることから、この導電率の偏りを導電率計11にて検知し、その検知結果に基づいてバルブコントローラ10が可変バルブ8,9を制御することにより、導電率が悪化した部分の冷却水のみをサブ流路7に誘導してイオン除去フィルタ12等により導電率を改善する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷却水等の液体を循環させる液体循環系を備えた燃料電池システムに関するものであり、特に、液体の導電率の改善技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池システムは、燃料電池スタックの燃料極(水素極)に水素ガス、空気極に空気をそれぞれ供給し、電解質膜を介してこれら水素と酸素とを電気化学的に反応させて発電電力を得るものである。このような燃料電池システムは、例えば自動車の動力源等としての実用化に大きな期待が寄せられており、現在、実用化に向けての研究開発が盛んに行われている。
【0003】
燃料電池システムに用いられる燃料電池スタックとしては、例えば自動車に搭載する上で好適なものとして、固体高分子タイプの燃料電池スタックが知られている。固体高分子タイプの燃料電池スタックは、水素極と空気極との間に電解質膜として固体高分子膜が設けられたものである。前記固体高分子タイプの燃料電池スタックでは、水素極で水素ガスが水素イオンと電子とに分離される反応が起き、空気極で酸素ガスと水素イオンと電子とから水を生成する反応が行われる。このとき、固体高分子膜がイオン伝導体として機能し、水素イオンは固体高分子膜を空気極に向かって移動することになる。
【0004】
前記燃料電池システムにおいては、発電の際に燃料電池スタックが発熱することから、これを冷却して適正な運転温度(80℃程度)に維持する必要があり、何らかの冷却機構を設ける必要がある。前記冷却機構としては、冷却水を循環させながら燃料電池スタックに供給してこの燃料電池スタックを冷却する冷却システムが一般的である。
【0005】
ところで、燃料電池スタックに供給する液体を循環させる循環系においては、液体の導電率の悪化が問題になる。例えば、循環させる冷却水の導電率が高くなると、いわゆる液絡を生じ、発電電力が無駄に消費されるととともに、液絡に起因した不測の事態が生じる可能性もある。そこで、系内を循環させる液体(冷却水)の導電率を改善するための技術が種々提案されている(例えば、特許文献1や特許文献2参照)。
【0006】
例えば、特許文献1には、オフガス中の水蒸気を凝縮して得られる復水に水道水を混合し、この混合水をイオン交換式処理装置を通して低電気電導度の補給水とし、冷却水循環系に補給する水処理システムが開示されている。
【0007】
また、特許文献2には、メインタンクに貯留されている純水冷却水を、サブ配管に通流させて、このサブ配管上に設けられているイオン除去フィルタによって冷却水中の導電性イオンを除去し、冷却水の導電性イオン濃度を常に所定値以下に維持する技術が開示されている。
【0008】
【特許文献1】
特開平5−315002号公報
【0009】
【特許文献2】
特開2000−208157号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、液体が循環する系において、その系自身に液体の導電率を悪化させる因子を持った部品がある場合、補給水の導電率のみを改善する特許文献1記載の水処理システムでは、これに対応することは難しい。例えば、冷却水循環系内の冷却水の導電率が悪化した場合、特許文献1記載の水処理システムでも冷却水循環系内の水を外部に排出することでこの問題を解決することができるが、導電率を改善した補給水を外部から大量に補給する必要があり、あまり現実的ではない。
【0011】
一方、特許文献2に記載される技術は、冷却水循環系内で循環している冷却水のみで導電率の改善を成立させており、循環系自身に液体の導電率を悪化させる因子を持った部品があった場合にも、これに対応可能である。ただし、例えば起動時に導電率の悪化が検出された場合、メインタンク内の全ての冷却水に対してイオン除去フィルタによる処理を施す必要がある。したがって、導電率の改善に長時間を要することになり、例えば長期放置後の導電率の悪化に対して迅速な導電率改善が困難である。これは円滑な起動の妨げになり、その改善が望まれるところである。
【0012】
本発明は、このような従来技術の有する課題を解決することを目的に提案されたものであり、起動時等においても液体循環系内で循環される液体の導電率を速やかに改善することができ、導電率の悪化した液体が燃料電池内に循環されることにより発生する液絡を、外部からの大量の補給水等を要することなく低減することが可能な燃料電池システムを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前述の目的を達成するために、長期に亘り種々の検討を重ねてきた。その結果、次のような知見を得るに至った。
【0014】
液体が循環する系において、その系自身に液体の導電率を悪化させる因子をもった部品がある場合、循環初期において、液体の導電率には部分的に偏りが生ずる。その後、イオン除去フィルタを液体が通過することと、液体が循環することで、液体の導電率の悪化が徐々に平坦化する。従来技術では、起動初期における液体の導電率の悪化の偏りに対する知見が欠けており、導電率の改善に長時間を要する。また、起動初期段階では、この導電率が悪化している液体が燃料電池内に供給されることで液絡が生じ、発電電力が無駄に消費されることや、最悪、液絡により感電事故を引き起こす可能性もある。
【0015】
この問題を解決するためには、循環初期における液体の導電率の偏りを検知して、その悪化部分だけを取り除き、代わりに取り除いた液体の分だけ改善した液体を循環系に供給すればよいものと考えられる。
【0016】
本発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。すなわち、本発明の燃料電池システムは、燃料電池スタックと、液体を循環させながら前記燃料電池スタックへと供給する液体循環系とを備える燃料電池システムにおいて、前記液体のうち導電率が悪化した部分のみが選択的に前記液体循環系外に誘導され、導電率が低減されることを特徴とする。
【0017】
前述の通り、循環初期における液体には導電率の偏りがある。本発明では、液体の導電率の偏りを検知し、検知結果に基づいて導電率が悪化した部分の液体のみを外部に誘導してイオン除去フィルタ等により導電率を改善する。したがって、液体循環系の外部に誘導され導電率の改善対象となる液体は必要最小限で済み、迅速な処理が実現される。
【0018】
【発明の効果】
本発明によれば、液体の導電率の偏りを検知して、その悪化部分だけを取り除いているので、迅速な処理が可能であり、起動時等においても液体循環系内で循環される液体の導電率を速やかに改善することができる。また、導電率が悪化した液体は、速やかに液体循環系の外部に誘導されるので、導電率の悪化した液体が燃料電池内に循環されることにより発生する液絡の問題を確実に解消することができる。さらに、本発明では、液体循環系で循環される液体のみで一連の処理を成立させることができるので、外部から大量の水を補給する必要もない。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した燃料電池システムについて、図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
(第1の実施形態)
本実施形態は、冷却水循環系のメイン流路と並列にサブ流路を設け、導電率の悪化した冷却水をこのサブ流路に誘導し、導電率を改善するものである。
【0021】
図1に、本実施形態の燃料電池システムの構成を示す。この燃料電池システムは、例えば電気自動車の動力源となる燃料電池スタック1と、冷却水を循環させながら燃料電池スタック1へと供給して燃料電池スタック1を冷却する冷却水循環系2とを備える。その他、この燃料電池システムには、燃料電池スタック1に燃料である水素を供給する燃料供給系や空気を供給する空気供給系、燃料電池スタック1の電解質を加湿するための加湿機構等を有するが、これらは通常の構成であればよく、本発明の特徴的な部分ではないので、ここでは図示及び詳細な説明は省略する。
【0022】
前記燃料電池スタック1は、水素が供給される燃料極と酸素(空気)が供給される空気極とが電解質・電極触媒複合体を挟んで重ね合わされた発電セルが多段積層された構造を有し、電気化学反応により化学エネルギーを電気エネルギーに変換する。燃料極では、水素が供給されることで水素イオンと電子に解離し、水素イオンは電解質を通り、電子は外部回路を通って電力を発生させ、空気極にそれぞれ移動する。空気極では、供給された空気中の酸素と前記水素イオン及び電子が反応して水が生成し、外部に排出される。
【0023】
燃料電池スタック1の電解質としては、高エネルギー密度化、低コスト化、軽量化等を考慮して、例えば固体高分子電解質が用いられる。固体高分子電解質は、例えばフッ素樹脂系イオン交換膜等、イオン(プロトン)伝導性の高分子膜からなるものであり、飽和含水することによってイオン伝導性電解質として機能するものである。
【0024】
前記固体高分子電解質型の燃料電池スタック1は、発電の際には化学反応に伴って発熱するが、適正な作動温度が80℃程度と比較的低いことから、これを冷却することが必要である。そこで、この燃料電池システムにおいては、冷却水を循環させながら燃料電池スタック1へと供給し、この冷却水によって燃料電池スタック1を冷却する冷却水循環系2が設けられている。
【0025】
この冷却水循環系2は、冷却水を燃料電池スタック1へと供給するためのメイン流路3を備える。このメイン流路3には、冷却水を貯水する冷却水タンク4と冷却水ポンプ5とが設けられており、冷却水ポンプ5によって冷却水タンク4内の冷却水を循環させて燃料電池スタック1に供給することにより、燃料電池スタック1を冷却水によって冷却して、これを最適な温度に維持する。また、この冷却水循環系2のメイン流路3には、熱交換器(ラジエータ)6が設けられており、燃料電池スタック1の冷却により加熱された冷却水は、ここで熱交換されて冷却される。
【0026】
本実施形態の燃料電池システムでは、以上のようなメイン流路3に加えて、メイン流路3をバイパスするサブ流路7がメイン流路3に対して並列に設けられており、ここに導電率の悪化した冷却水を選択的に誘導し、これを改善するように構成されている。
【0027】
ここで、サブ流路7とメイン流路3との接続部には、それぞれ可変バルブ8,9が設けられており、さらには、これら可変バルブ8,9を制御するバルブコントローラ10が設けられている。これら可変バルブ8,9は、メイン流路3とサブ流路7との流路切り替えを行うものであり、バルブコントローラ10によって切り替え制御される。
【0028】
メイン流路3には導電率計11が設置されており、この導電率計11の下流位置にメイン流路3とサブ流路7とを接続する可変バルブ9が設置されている。したがって、導電率計11で冷却水の導電率を検知し、これに基づきバルブコントローラ10において冷却水の導電率が悪化していると判断された場合に、バルブコントローラ10から可変バルブ8,9に流路切り替え信号を出して、例えば可変バルブ8を切り替えることで導電率の悪化した液体のみをサブ流路7に誘導することができる。
【0029】
サブ流路7には、イオン除去フィルタ12が設置されており、導電率が悪化した冷却水がこのイオン除去フィルタ12を通過することで、冷却水の導電率を改善することができるようになっている。また、このイオン除去フィルタ12によって導電率が改善された冷却水は、メイン流路3と接続される可変バルブ9を通過してメイン流路3に供給することができるようになっている。
【0030】
さらに、サブ流路7には、メイン流路3の導電率計11とは別に導電率計13が設置されている。サブ流路7にこの導電率計13が設置されることによって、導電率の悪化した冷却水がサブ流路7へ誘導されたことが、この導電率計13によって検知できるようになっている。そして、この導電率計13によって導電率の悪化した冷却水のサブ流路7への誘導が検知された場合、バルブコントローラ10は、導電率計13からの検知信号に基づいて、可変バルブ8,9に流路切り替え信号を出力して、導電率の悪化した冷却水をサブ流路7内に封じ込める。
【0031】
次に、以上のように構成される燃料電池システムにおける、冷却水の導電率改善制御について説明する。
【0032】
冷却水が循環する系において、その系自身に冷却水の導電率を悪化させる因子をもった部品がある場合、循環初期において、例えば図2に示すように、メイン流路3内の冷却水の導電率には部分部分に偏りが生じる。本実施形態の燃料電池システムでは、循環初期における冷却水の導電率の偏りを検知して、その悪化部分だけをサブ流路7に誘導して取り除き、代わりに取り除いた冷却水の分だけ導電率が改善された冷却水をサブ流路7から冷却水循環系2のメイン流路3に供給する。
【0033】
図3は、本実施形態の燃料電池システムの制御フローを示すものである。燃料電池スタック1の起動を行った場合(ステップS1)、燃料電池スタック1の起動に伴い、冷却水ポンプ5を起動させて冷却水の循環を行う(ステップS2)。
【0034】
このとき、メイン流路3に設けられた導電率計11によりメイン流路3内の冷却水の導電率を検出し、検出値Nをバルブコントローラ10に出力する(ステップS3)。そして、導電率計11により検出された検出値Nに基づいて、バルブコントローラ10において冷却水の導電率判断を行う(ステップS4)。
【0035】
ここで、検出値Nが所定値αを越えていない場合にはステップS5に進み、越えている場合にはステップS6に進む。起動初期段階では、導電率が悪化している冷却水が燃料電池スタック1内に供給されることで液絡が生じ、発電電力が無駄に消費されることや、液絡により不測の事態を生じさせる可能性もあるために、冷却水の導電率判断を行って、冷却水の導電率が悪化している場合にはその対応が必要となる。したがって、ここでいう所定値αとしては、このような液絡を生じさせない程度の導電率が選択される。
【0036】
導電率計11による検出値Nが所定値αを越えていない場合には、冷却水をそのまま燃料電池スタック1に循環することができるので、ステップS5において、冷却水の流路としてメイン流路3を選択する。この流路の選択は、バルブコントローラ10から流路切り替えのための流路切り替え信号を可変バルブ8,9に出力することにより行う。
【0037】
一方、導電率計11による検出値Nが所定値αを越えている場合には、ステップS6において、冷却水の流路としてイオン除去フィルタ12を備えたサブ流路7を選択して、バルブコントローラ10から流路切り替えのための流路切り替え信号を可変バルブ8,9に出力し、導電率の悪化した冷却水をサブ流路7に導入する。なお、このようにメイン流路3に設けられた導電率計11により冷却水の導電率の悪化を検知した場合、冷却水の流速、導電率計11の応答性、導電率計11と流路切り替えバルブである可変バルブ8までの距離をそれぞれ計算し、その算出結果に基づいて可変バルブ8の切り替え操作を行って、導電率の悪化した冷却水をサブ流路7に誘導する。
【0038】
次のステップS7では、サブ流路7に設けられた導電率計13によりサブ流路7内の冷却水の導電率を検出し、検出値Pを出力する。そして、この導電率計13による検出値Pを導電率計11の検出値Nと比較し(ステップS8)、サブ流路7の入口側の冷却水の導電率の検出値Nがサブ流路7の出口側の冷却水の導電率の検出値Pよりも小さい場合はステップS9に進み、大きい場合はステップS10に進む。ステップS9では、可変バルブ8,9を閉じてサブ流路7をメイン流路3から切り離し、導電率の悪化した冷却水をサブ流路7内へ封じ込める。
【0039】
本実施形態によれば、導電率計11で冷却水の導電率の悪化を検知した場合、バルブコントローラ10に検知信号を出力して、バルブコントローラ10から可変バルブ8,9に流路切り替え信号を出し、可変バルブ8,9を切り替えることで導電率の悪化した冷却水のみをサブ流路7に誘導することができる。その結果、図2に示すような導電率が上下するような状況で、導電率の悪化部分だけを選択的に取り除くことができ、導電率の改善を速やかに行うことができる。また、起動時には、予めサブ流路で導電率が改善されていた冷却水をメイン流路3に供給することができ、その結果、メイン流路3の冷却水の導電率を起動初期から導電率の低い状態に保つことができ、液絡によるショートや電力の消費を抑えることができる。
【0040】
さらに、導電率の改善具合により可変バルブ9の切り替えが可能なことから、導電率の悪化したままの冷却水はサブ流路7内に封じ込めて、これがメイン流路3に流入することを防ぐことができる。さらにまた、メイン流路3とサブ流路3内にある冷却水のみで燃料電池スタック1の運転が可能であるため、導電率の改善を目的に外部から液体の供給をする必要がなくなり、自動車等の外部からの液体の供給が難しい場合や、定置型の場合でも適用可能であり、例えば水の供給に要するポンプ等のコストを抑えることも可能である。
【0041】
(第2の実施形態)
本実施形態は、図4に示すように、図1に示す第1の実施形態の構成に加えて、サブ流路7にバイパス配管14を設置し、さらにバイパス配管14上にサブポンプ15を設置するようにしたものである。その他の構成は第1の実施形態と同様である。
【0042】
本実施形態の燃料電池システムでは、以上の構成によって、サブ流路7内に封じ込めた導電率の悪化した冷却水を、サブポンプ15を用いてサブ流路7内で循環させて、導電率の改善を行うことができる。本実施形態における制御フローを図5に示す。
【0043】
燃料電池スタック1の起動を行った場合(ステップS11)、燃料電池1の起動に伴い、冷却水ポンプ5を起動させて冷却水の循環を行う(ステップS12)。このとき、メイン流路3に設けられた導電率計11によりメイン流路3内の冷却水の導電率を検出し、検出値Nをバルブコントローラ10に出力する(ステップS13)。そして、導電率計11により検出された検出値Nに基づいて、バルブコントローラ10において冷却水の導電率判断を行う(ステップS14)。
【0044】
ここで、導電率計11による検出値Nが所定値αを越えていない場合には、冷却水をそのまま燃料電池スタック1に循環することができるので、ステップS15において、冷却水の流路としてメイン流路3を選択する。この流路の選択は、バルブコントローラ10から流路切り替えのための流路切り替え信号を可変バルブ8,9に出力することにより行う。
【0045】
一方、導電率計11による検出値Nが所定値αを越えている場合には、ステップS16において、冷却水の流路としてイオン除去フィルタ12を備えたサブ流路7を選択し、バルブコントローラ10から流路切り替えのための流路切り替え信号を可変バルブ8,9に出力して、導電率の悪化した冷却水をサブ流路7に導入する。
【0046】
次のステップS17では、サブ流路7に設けられた導電率計13によりサブ流路7内の冷却水の導電率を検出し、検出値Pを出力する。そして、この導電率計13による検出値Pを導電率計11の検出値Nと比較し(ステップS18)、サブ流路7の入口側の冷却水の導電率の検出値Nがサブ流路7の出口側の冷却水の導電率の検出値Pよりも小さい場合はステップS19に進み、大きい場合はステップS20に進む。
【0047】
ステップS19では、可変バルブ8,9を閉じてサブ流路7をメイン流路3から切り離し、導電率の悪化した冷却水をサブ流路7内へ封じ込める。それとともに、サブポンプ15の起動信号をバルブコントローラ10から出力し、導電率の悪化した冷却水をサブ流路7で循環させて繰り返しイオン除去フィルタ12を通過させることにより、冷却水の導電率を速やかに改善する。
【0048】
前記ステップS19における導電率改善操作が進んだら、導電率計13によりサブ流路7内の冷却水の導電率(検出値Q)を検出する(ステップS21)。そして、ステップS22において、導電率計13の検出値Qに基づいてバルブコントローラ10において冷却水の導電率判断を行う。検出値Qが所定値βを越えている場合には、冷却水の導電率改善が不十分と判断してステップS21に戻り、更に導電率改善操作を進めた後に再度冷却水の導電率の測定を行う。これを検出値Qが所定値βを下回るまで繰り返し行う。そして、検出値Qが所定値β以下となった場合には、ステップS23に進み、サブポンプ15の運転を停止する。
【0049】
本実施形態によれば、導電率が悪化した冷却水を短時間のうちに改善することができ、第1の実施形態に比べて冷却水の導電率改善を速やかに行うことができる。
【0050】
(第3の実施形態)
本実施形態は、図6に示すように、図1に示す第1の実施形態の構成に加えて、サブ流路7内にサブタンク16を設けている。そして、このサブタンク16内にイオン除去フィルタ12を設置すると共に、導電率計13がサブタンク16内の冷却水の導電率を検知するようにしたものである。また、サブタンク16にはシャットバルブ17が設けられている。その他の構成は第1の実施形態と同様である。
【0051】
本実施形態の燃料電池システムでは、以上の構成により、サブ流路7内に封じ込めた導電率の悪化した冷却水を、サブタンク16に誘導して、このサブタンク16内のイオン除去フィルタ12により導電率の改善を行うことができる。また、このサブタンク16内の冷却水の導電率の改善を導電率計13で検知して、シャットバルブ17を開くことにより、サブタンク16からメイン流路3に導電率が改善された冷却水を供給することができる。本実施形態の制御フローを図7に示す。
【0052】
燃料電池スタック1の起動を行った場合(ステップS31)、燃料電池1の起動に伴い、冷却水ポンプ5を起動させて冷却水の循環を行う(ステップS32)。このとき、メイン流路3に設けられた導電率計11によりメイン流路3内の冷却水の導電率を検出し、検出値Nをバルブコントローラ10に出力する(ステップS33)。そして、導電率計11により検出された検出値Nに基づいて、バルブコントローラ10において冷却水の導電率判断を行う(ステップS34)。
【0053】
ここで、導電率計11による検出値Nが所定値αを越えていない場合には、冷却水をそのまま燃料電池スタック1に循環することができるので、ステップS35において、冷却水の流路としてメイン流路3を選択する。この流路の選択は、バルブコントローラ10から流路切り替えのための流路切り替え信号を可変バルブ8,9に出力することにより行う。
【0054】
一方、導電率計11による検出値Nが所定値αを越えている場合には、ステップS36において、冷却水の流路としてイオン除去フィルタ12を備えたサブ流路7を選択し、バルブコントローラ10から流路切り替えのための流路切り替え信号を可変バルブ8,9に出力して、導電率の悪化した冷却水をサブ流路7のサブタンク16内に導入する。このとき、シャットバルブ17を開けておき、サブタンク16内の予め導電率が改善された冷却水をメイン流路3に補給する。
【0055】
次のステップS37では、サブタンク16に設けられた導電率計13によりサブタンク16内の冷却水の導電率を検出し、検出値Pを出力する。そして、この導電率計13による検出値Pを導電率計11の検出値Nと比較し(ステップS38)、サブ流路7の入口側の冷却水の導電率の検出値Nがサブタンク16内の冷却水の導電率の検出値Pよりも小さい場合はステップS39に進み、大きい場合はステップS40に進む。ステップS39では、可変バルブ8,9を閉じてサブ流路7をメイン流路3から切り離し、サブ流路7への冷却水の導入を遮断した後、サブタンク16内においてイオン除去フィルタ12により冷却水の導電率を改善させる。
【0056】
本実施形態では、導電率の改善をサブポンプ15を用いることなく行うことが可能であり、サブポンプ15を作動させるための電力が不要となるので、省電力化を図る上で有利である。また、導電率が悪化した冷却水をサブ流路7の配管内に滞留させずに、サブタンク16内に誘導してイオン除去フィルタ12で処理しているので、導電率の改善を効果的に行うことができる。
【0057】
(第4の実施形態)
本実施形態は、第3の実施形態の変形例に相当するものであり、図8に示すように、図6に示した第3の実施形態の構成に対して、導電率計11と導電率計13を外し、代わりに冷却水タンク4にレベルセンサ18及びコントローラ19を設けるようにしている。また、サブタンク16の上流位置にサブポンプ15を設置している。
【0058】
本実施形態は、冷却水の導電率を悪化させる部位が予め特定できている場合において有効に適用されるものである。すなわち、予め導電率を悪化させる部位が特定できている場合、メイン流路3において、導電率を悪化させる部位(本例では燃料電池スタック1)の直後に可変バルブ8を設置し、冷却水の循環開始前に可変バルブ8を切り替えて、サブ流路7に導電率の悪化した冷却水を誘導する。その際、サブポンプ15も同時に起動して冷却水をサブタンク16まで誘導する。
【0059】
そして、ある規定時間に達した時点で可変バルブ8,9をメイン流路3に切り替えて燃料電池スタック1を起動する。これにより、起動初期段階の導電率が悪化している冷却水が燃料電池スタック1内に供給されることで生ずる液絡及びそれに起因する種々の問題を未然に回避することができる。
【0060】
本実施形態の利点は、導電率計によるバルブの制御が必要ないため、制御が難しくなく、確実に導電率の悪化した冷却水を取り除くことができる点にある。また、図8に示す構成ではサブタンク16を設置しているが、冷却水循環系の水収支上で成り立つならば、可変バルブ8を切り替えて取り除いた冷却水をそのまま外部に排出することも可能である。また、冷却水循環系2の冷却水の量については、レベルセンサ18にて常に検知しており、冷却水タンク4の冷却水量が所定値以下であるとコントローラ19が判断した場合は、シャットバルブ17にバルブ開の出力をし、サブタンク16内の冷却水をメイン流路3に供給することができる。
【0061】
(第5の実施形態)
本実施形態は、図9に示すように、メイン流路3内の冷却水タンク4を仕切板20によってA槽4AとB槽4Bの2つの槽に分け、A槽4Aにイオン除去フィルタ12を設置して上述したサブ流路7と同様の機能を持たせるようにしたものである。また、B槽4Bにはレベルセンサ18を設置し、メイン流路3上には導電率計11に加えて温度センサ21を設置するようにしている。
【0062】
本実施形態では、冷却水タンク4の入口及び出口に可変バルブ8,9がそれぞれ設けられており、これら可変バルブ8,9の切り換えによってA槽4AとB槽4Bとが使い分けられる。また、イオン除去フィルタ12が設置されたA槽4A内の冷却水の導電率が導電率計13によって検知されるようになっている。コントローラ19は、前記導電率計11,13、レベルセンサ18、及び温度センサ21からの出力情報に基づいて前記可変バルブ8,9を切り替え制御する。
【0063】
本実施形態の燃料電池システムも、固体高分子型の燃料電池スタック1に対して冷却水タンク4からメイン流路3を通じて冷却水ポンプ5により冷却水を供給し、燃料電池スタック1を通過した冷却水が、ラジエータ等の熱交換器6によって冷却された後に冷却水タンク4に帰還させるメイン循環系統を持つシステムである。
【0064】
本実施形態の燃料電池システムでは、導電率計11によりメイン流路3の導電率を検知し、コントローラ19において導電率の悪化を検知した場合に,コントローラ19から可変バルブ8に流路切り替え信号を出力し、可変バルブ8を切り替えることで導電率の悪化した冷却水のみを冷却水タンク4のA槽4Aに誘導する。その結果、図2に示すような導電率が上下するような状況で、導電率の悪化部分だけを選択的に取り除くことができ、導電率の改善を速やかに行うことができる。また、予め冷却水タンク4のA槽4Aで導電率が改善された冷却水をメイン流路3に供給することができる。その結果、メイン循環系統の冷却水の導電率を起動初期から低い状態に保つことができ、液絡によるショートや電力の消費を抑えることができる。また、導電率の改善具合により、可変バルブ9の切り替えが可能なことから、導電率の悪化したままの冷却水がメイン流路3に流入するのを防ぐことができる。
【0065】
また、導電率計11の他にも、レベルセンサ18を冷却水タンク4のB槽4Bに設置することで、メイン循環系統の冷却水不足をレベルセンサ18で検知した場合、コントローラ19に冷却水不足の信号を出力し、コントローラ19から可変バルブ9に切り替え信号を出力して、冷却水タンク4のA槽4Aにある冷却水をメイン循環系統に供給することができる。さらに、温度センサ21をメイン流路3上に設置することで、温度センサ21で温度異常を検知した場合は、コントローラ19に温度異常の信号を出力し、コントローラ19から可変バルブ8に切り替え信号を出力することで、温度異常の冷却水を冷却水タンク4のA槽4Aに誘導し、同時にコントローラ19から可変バルブ9に切り替え信号を出力することで、冷却水タンク4のA槽4A中の温度が異常値以下の冷却水をメイン循環系統に供給することができる。
【0066】
本実施形態の制御フローを図10に示す。燃料電池スタック1の起動を行った場合(ステップS41)、燃料電池1の起動に伴い、冷却水ポンプ5を起動させて冷却水の循環を行う(ステップS42)。このとき、メイン流路3に設けられた導電率計11によりメイン流路3内の冷却水の導電率を検出し、検出値Nをコントローラ19に出力する(ステップS43)。そして、導電率計11により検出された検出値Nに基づいて、コントローラ19において冷却水の導電率判断を行う(ステップS44)。
【0067】
ここで、導電率計11による検出値Nが所定値αを越えている場合には、ステップS45において、コントローラ19から流路切り替えのための流路切り替え信号を可変バルブ8,9に出力し、冷却水が流入される槽をB槽4Bからイオン除去フィルタ12を備えたA槽4Aに切り替え、導電率の悪化した冷却水をA槽4A内に導入する。このとき、可変バルブ9を開けておき、A槽4A内の予め導電率が改善された冷却水をメイン流路3に補給する。
【0068】
次のステップS46では、A槽4Aに設けられた導電率計13によりA槽4A内の冷却水の導電率を検出し、検出値Pを出力する。そして、この導電率計13による検出値Pを導電率計11の検出値Nと比較し(ステップS47)、導電率の悪化を判断し、メイン流路3の冷却水の導電率の検出値NがA槽4A内の冷却水の導電率の検出値Pよりも小さい場合はステップS48に進み、大きい場合はステップS49に進む。ステップS48では、可変バルブ8,9を閉じてA槽4Aをメイン流路3から切り離し、A槽4Aへの冷却水の導入を遮断した後、A槽4A内においてイオン除去フィルタ12により冷却水の導電率を改善させる。
【0069】
一方、導電率計11による検出値Nが所定値αを越えていない場合には、ステップS50において、温度センサ21とレベルセンサ18によりメイン循環系統の冷却水温度Tと冷却水タンク4のB槽4Bの液面Hとを検出する。そして、ステップS51では、温度センサ21の検出値Tよりコントローラ19において冷却水の温度判断を行う。ここで、温度センサ21の検出値Tが所定値γを越えている場合にはステップS52に進み、越えていない場合にはステップS53に進む。
【0070】
ステップS52では、可変バルブ8,9に流路切り替えのための流路切り替え信号をコントローラ19から出力し、冷却水流路を冷却水タンク4のB槽4Bから冷却水温度の低いA槽4Aに切り替え、温度異常が生じている冷却水をA槽4Aに誘導する。
【0071】
一方、ステップS53では、レベルセンサ18の検出値Hよりコントローラ19において冷却水の液面低下判断を行う。ここで、レベルセンサ18の検出値Hが所定値φを越えていない場合には液面低下と判断してステップS54に進み、越えている場合にはステップS55に進む。
【0072】
ステップS54では、液面レベルを所定値以上にするために、バルブ9に流路切り替え信号をコントローラ19から出力し、冷却水タンク4のA槽4A中の冷却水をメイン循環系統に誘導する。一方、ステップS55では、流路切り替えのためのバルブ8,9に流路切り替え信号をコントローラ19から出力し、冷却水流路をイオン除去フィルタ12が設置されたA槽4AからB槽4Bに切り替えて、メイン配管系統に切り替える。
【0073】
以上のように、本実施形態では、第1の実施形態と同様、導電率の悪化が検知された場合のみ、導電率が悪化した冷却水を選択的にメイン循環系から取り除くことができ、メイン循環系内の冷却水の導電率を低く維持することができる。また、本実施形態は、冷却水タンクに改良を加えるだけで成立するシステムであるので、低コスト、省スペースで実現することが可能であり、加えて温度異常や水位レベル異常にも対応できるという利点も有する。
【0074】
(第6の実施形態)
本実施形態は、第5の実施形態と同様に、冷却水タンク4を2分割したものであるが、図11に示すように、冷却水タンク4のA槽4AとB槽4Bを全く別の槽となるように完全に2つに分割した点、及びイオン除去フィルタ12を設置したA槽4Aに放熱ファンのような放熱装置22を設置した点が第5の実施形態のものと異なる。
【0075】
本実施形態の制御フローを図12に示す。燃料電池スタック1の起動を行った場合(ステップS61)、燃料電池1の起動に伴い、冷却水ポンプ5を起動させて冷却水の循環を行う(ステップS62)。このとき、メイン流路3に設けられた導電率計11によりメイン流路3内の冷却水の導電率を検出し、検出値Nをコントローラ19に出力する(ステップS63)。そして、導電率計11により検出された検出値Nに基づいて、コントローラ19において冷却水の導電率判断を行う(ステップS64)。
【0076】
ここで、導電率計11による検出値Nが所定値αを越えている場合には、ステップS65において、コントローラ19から流路切り替えのための流路切り替え信号を可変バルブ8,9に出力し、冷却水が流入される槽をB槽4Bからイオン除去フィルタ12を備えたA槽4Aに切り替え、導電率の悪化した冷却水をA槽4A内に導入する。このとき、可変バルブ9を開けておき、A槽4A内の予め導電率が改善された冷却水をメイン流路3に補給する。
【0077】
次のステップS66では、A槽4Aに設けられた導電率計13によりA槽4A内の冷却水の導電率を検出し、検出値Pを出力する。そして、この導電率計13による検出値Pを導電率計11の検出値Nと比較し(ステップS67)、導電率の悪化を判断し、メイン流路3の冷却水の導電率の検出値NがA槽4A内の冷却水の導電率の検出値Pよりも小さい場合はステップS68に進み、大きい場合はステップS69に進む。ステップS68では、可変バルブ8,9を閉じてA槽4Aをメイン流路3から切り離し、A槽4Aへの冷却水の導入を遮断した後、A槽4A内においてイオン除去フィルタ12により冷却水の導電率を改善させる。
【0078】
一方、導電率計11による検出値Nが所定値αを越えていない場合には、ステップS70において、温度センサ21とレベルセンサ18によりメイン循環系統の冷却水温度Tと冷却水タンク4のB槽4Bの液面Hとを検出する。そして、ステップS71では、温度センサ21の検出値Tよりコントローラ19において冷却水の温度判断を行う。ここで、温度センサ21の検出値Tが所定値γを越えている場合にはステップS72に進み、越えていない場合にはステップS73に進む。
【0079】
ステップS72では、可変バルブ8,9に流路切り替えのための流路切り替え信号をコントローラ19から出力し、冷却水流路を冷却水タンク4のB槽4Bから冷却水温度の低いA槽4Aに切り替え、温度異常が生じている冷却水位をA槽4Aに誘導する。これと同時に放熱装置22を起動して、A槽4A内の冷却水の冷却を促進する。
【0080】
一方、ステップS73では、A槽4Aに設けられた放熱装置22を停止する。そして、ステップS74において、レベルセンサ18の検出値Hに基づいてコントローラ19で冷却水の液面低下判断を行う。ここで、レベルセンサ18の検出値Hが所定値φを越えていない場合には液面低下と判断してステップS75に進み、越えている場合にはステップS76に進む。
【0081】
ステップS75では、液面レベルを所定値以上にするために、バルブ9に流路切り替え信号をコントローラ19から出力し、冷却水タンク4のA槽4A中の冷却水をメイン循環系統に誘導する。一方、ステップS76では、流路切り替えのためのバルブ8,9に流路切り替え信号をコントローラ19から出力し、冷却水流路をイオン除去フィルタ12が設置されたA槽4AからB槽4Bに切り替えて、メイン配管系統に切り替える。
【0082】
本実施形態では、先の第5の実施形態と同様の効果が得られることに加え、冷却水タンク4を完全に2つの槽に分離して、イオン除去フィルタ12を設置した槽に放熱装置22を設置しているので、温度異常時の燃料電池スタック1の保護機能を一層向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態の燃料電池システムの要部構成を示す図である。
【図2】燃料電池スタック起動時のメイン流路における冷却水の導電率変化を示す特性図である。
【図3】第1の実施形態における制御フローを示すフローチャートである。
【図4】第2の実施形態の燃料電池システムの要部構成を示す図である。
【図5】第2の実施形態における制御フローを示すフローチャートである。
【図6】第3の実施形態の燃料電池システムの要部構成を示す図である。
【図7】第3の実施形態における制御フローを示すフローチャートである。
【図8】第4の実施形態の燃料電池システムの要部構成を示す図である。
【図9】第5の実施形態の燃料電池システムの要部構成を示す図である。
【図10】第5の実施形態における制御フローを示すフローチャートである。
【図11】第6の実施形態の燃料電池システムの要部構成を示す図である。
【図12】第6の実施形態における制御フローを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 燃料電池スタック
2 冷却水循環系
3 メイン流路
4 冷却水タンク
4A A槽
4B B槽
5 冷却水ポンプ
6 熱交換器
7 サブ流路
8,9 可変バルブ
10 バルブコントローラ
11,13 導電率計
12 イオン除去フィルタ
14 バイパス配管
15 サブポンプ
16 サブタンク
18 レベルセンサ
19 コントローラ
20 仕切板
21 温度センサ
22 放熱装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷却水等の液体を循環させる液体循環系を備えた燃料電池システムに関するものであり、特に、液体の導電率の改善技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池システムは、燃料電池スタックの燃料極(水素極)に水素ガス、空気極に空気をそれぞれ供給し、電解質膜を介してこれら水素と酸素とを電気化学的に反応させて発電電力を得るものである。このような燃料電池システムは、例えば自動車の動力源等としての実用化に大きな期待が寄せられており、現在、実用化に向けての研究開発が盛んに行われている。
【0003】
燃料電池システムに用いられる燃料電池スタックとしては、例えば自動車に搭載する上で好適なものとして、固体高分子タイプの燃料電池スタックが知られている。固体高分子タイプの燃料電池スタックは、水素極と空気極との間に電解質膜として固体高分子膜が設けられたものである。前記固体高分子タイプの燃料電池スタックでは、水素極で水素ガスが水素イオンと電子とに分離される反応が起き、空気極で酸素ガスと水素イオンと電子とから水を生成する反応が行われる。このとき、固体高分子膜がイオン伝導体として機能し、水素イオンは固体高分子膜を空気極に向かって移動することになる。
【0004】
前記燃料電池システムにおいては、発電の際に燃料電池スタックが発熱することから、これを冷却して適正な運転温度(80℃程度)に維持する必要があり、何らかの冷却機構を設ける必要がある。前記冷却機構としては、冷却水を循環させながら燃料電池スタックに供給してこの燃料電池スタックを冷却する冷却システムが一般的である。
【0005】
ところで、燃料電池スタックに供給する液体を循環させる循環系においては、液体の導電率の悪化が問題になる。例えば、循環させる冷却水の導電率が高くなると、いわゆる液絡を生じ、発電電力が無駄に消費されるととともに、液絡に起因した不測の事態が生じる可能性もある。そこで、系内を循環させる液体(冷却水)の導電率を改善するための技術が種々提案されている(例えば、特許文献1や特許文献2参照)。
【0006】
例えば、特許文献1には、オフガス中の水蒸気を凝縮して得られる復水に水道水を混合し、この混合水をイオン交換式処理装置を通して低電気電導度の補給水とし、冷却水循環系に補給する水処理システムが開示されている。
【0007】
また、特許文献2には、メインタンクに貯留されている純水冷却水を、サブ配管に通流させて、このサブ配管上に設けられているイオン除去フィルタによって冷却水中の導電性イオンを除去し、冷却水の導電性イオン濃度を常に所定値以下に維持する技術が開示されている。
【0008】
【特許文献1】
特開平5−315002号公報
【0009】
【特許文献2】
特開2000−208157号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、液体が循環する系において、その系自身に液体の導電率を悪化させる因子を持った部品がある場合、補給水の導電率のみを改善する特許文献1記載の水処理システムでは、これに対応することは難しい。例えば、冷却水循環系内の冷却水の導電率が悪化した場合、特許文献1記載の水処理システムでも冷却水循環系内の水を外部に排出することでこの問題を解決することができるが、導電率を改善した補給水を外部から大量に補給する必要があり、あまり現実的ではない。
【0011】
一方、特許文献2に記載される技術は、冷却水循環系内で循環している冷却水のみで導電率の改善を成立させており、循環系自身に液体の導電率を悪化させる因子を持った部品があった場合にも、これに対応可能である。ただし、例えば起動時に導電率の悪化が検出された場合、メインタンク内の全ての冷却水に対してイオン除去フィルタによる処理を施す必要がある。したがって、導電率の改善に長時間を要することになり、例えば長期放置後の導電率の悪化に対して迅速な導電率改善が困難である。これは円滑な起動の妨げになり、その改善が望まれるところである。
【0012】
本発明は、このような従来技術の有する課題を解決することを目的に提案されたものであり、起動時等においても液体循環系内で循環される液体の導電率を速やかに改善することができ、導電率の悪化した液体が燃料電池内に循環されることにより発生する液絡を、外部からの大量の補給水等を要することなく低減することが可能な燃料電池システムを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前述の目的を達成するために、長期に亘り種々の検討を重ねてきた。その結果、次のような知見を得るに至った。
【0014】
液体が循環する系において、その系自身に液体の導電率を悪化させる因子をもった部品がある場合、循環初期において、液体の導電率には部分的に偏りが生ずる。その後、イオン除去フィルタを液体が通過することと、液体が循環することで、液体の導電率の悪化が徐々に平坦化する。従来技術では、起動初期における液体の導電率の悪化の偏りに対する知見が欠けており、導電率の改善に長時間を要する。また、起動初期段階では、この導電率が悪化している液体が燃料電池内に供給されることで液絡が生じ、発電電力が無駄に消費されることや、最悪、液絡により感電事故を引き起こす可能性もある。
【0015】
この問題を解決するためには、循環初期における液体の導電率の偏りを検知して、その悪化部分だけを取り除き、代わりに取り除いた液体の分だけ改善した液体を循環系に供給すればよいものと考えられる。
【0016】
本発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。すなわち、本発明の燃料電池システムは、燃料電池スタックと、液体を循環させながら前記燃料電池スタックへと供給する液体循環系とを備える燃料電池システムにおいて、前記液体のうち導電率が悪化した部分のみが選択的に前記液体循環系外に誘導され、導電率が低減されることを特徴とする。
【0017】
前述の通り、循環初期における液体には導電率の偏りがある。本発明では、液体の導電率の偏りを検知し、検知結果に基づいて導電率が悪化した部分の液体のみを外部に誘導してイオン除去フィルタ等により導電率を改善する。したがって、液体循環系の外部に誘導され導電率の改善対象となる液体は必要最小限で済み、迅速な処理が実現される。
【0018】
【発明の効果】
本発明によれば、液体の導電率の偏りを検知して、その悪化部分だけを取り除いているので、迅速な処理が可能であり、起動時等においても液体循環系内で循環される液体の導電率を速やかに改善することができる。また、導電率が悪化した液体は、速やかに液体循環系の外部に誘導されるので、導電率の悪化した液体が燃料電池内に循環されることにより発生する液絡の問題を確実に解消することができる。さらに、本発明では、液体循環系で循環される液体のみで一連の処理を成立させることができるので、外部から大量の水を補給する必要もない。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した燃料電池システムについて、図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
(第1の実施形態)
本実施形態は、冷却水循環系のメイン流路と並列にサブ流路を設け、導電率の悪化した冷却水をこのサブ流路に誘導し、導電率を改善するものである。
【0021】
図1に、本実施形態の燃料電池システムの構成を示す。この燃料電池システムは、例えば電気自動車の動力源となる燃料電池スタック1と、冷却水を循環させながら燃料電池スタック1へと供給して燃料電池スタック1を冷却する冷却水循環系2とを備える。その他、この燃料電池システムには、燃料電池スタック1に燃料である水素を供給する燃料供給系や空気を供給する空気供給系、燃料電池スタック1の電解質を加湿するための加湿機構等を有するが、これらは通常の構成であればよく、本発明の特徴的な部分ではないので、ここでは図示及び詳細な説明は省略する。
【0022】
前記燃料電池スタック1は、水素が供給される燃料極と酸素(空気)が供給される空気極とが電解質・電極触媒複合体を挟んで重ね合わされた発電セルが多段積層された構造を有し、電気化学反応により化学エネルギーを電気エネルギーに変換する。燃料極では、水素が供給されることで水素イオンと電子に解離し、水素イオンは電解質を通り、電子は外部回路を通って電力を発生させ、空気極にそれぞれ移動する。空気極では、供給された空気中の酸素と前記水素イオン及び電子が反応して水が生成し、外部に排出される。
【0023】
燃料電池スタック1の電解質としては、高エネルギー密度化、低コスト化、軽量化等を考慮して、例えば固体高分子電解質が用いられる。固体高分子電解質は、例えばフッ素樹脂系イオン交換膜等、イオン(プロトン)伝導性の高分子膜からなるものであり、飽和含水することによってイオン伝導性電解質として機能するものである。
【0024】
前記固体高分子電解質型の燃料電池スタック1は、発電の際には化学反応に伴って発熱するが、適正な作動温度が80℃程度と比較的低いことから、これを冷却することが必要である。そこで、この燃料電池システムにおいては、冷却水を循環させながら燃料電池スタック1へと供給し、この冷却水によって燃料電池スタック1を冷却する冷却水循環系2が設けられている。
【0025】
この冷却水循環系2は、冷却水を燃料電池スタック1へと供給するためのメイン流路3を備える。このメイン流路3には、冷却水を貯水する冷却水タンク4と冷却水ポンプ5とが設けられており、冷却水ポンプ5によって冷却水タンク4内の冷却水を循環させて燃料電池スタック1に供給することにより、燃料電池スタック1を冷却水によって冷却して、これを最適な温度に維持する。また、この冷却水循環系2のメイン流路3には、熱交換器(ラジエータ)6が設けられており、燃料電池スタック1の冷却により加熱された冷却水は、ここで熱交換されて冷却される。
【0026】
本実施形態の燃料電池システムでは、以上のようなメイン流路3に加えて、メイン流路3をバイパスするサブ流路7がメイン流路3に対して並列に設けられており、ここに導電率の悪化した冷却水を選択的に誘導し、これを改善するように構成されている。
【0027】
ここで、サブ流路7とメイン流路3との接続部には、それぞれ可変バルブ8,9が設けられており、さらには、これら可変バルブ8,9を制御するバルブコントローラ10が設けられている。これら可変バルブ8,9は、メイン流路3とサブ流路7との流路切り替えを行うものであり、バルブコントローラ10によって切り替え制御される。
【0028】
メイン流路3には導電率計11が設置されており、この導電率計11の下流位置にメイン流路3とサブ流路7とを接続する可変バルブ9が設置されている。したがって、導電率計11で冷却水の導電率を検知し、これに基づきバルブコントローラ10において冷却水の導電率が悪化していると判断された場合に、バルブコントローラ10から可変バルブ8,9に流路切り替え信号を出して、例えば可変バルブ8を切り替えることで導電率の悪化した液体のみをサブ流路7に誘導することができる。
【0029】
サブ流路7には、イオン除去フィルタ12が設置されており、導電率が悪化した冷却水がこのイオン除去フィルタ12を通過することで、冷却水の導電率を改善することができるようになっている。また、このイオン除去フィルタ12によって導電率が改善された冷却水は、メイン流路3と接続される可変バルブ9を通過してメイン流路3に供給することができるようになっている。
【0030】
さらに、サブ流路7には、メイン流路3の導電率計11とは別に導電率計13が設置されている。サブ流路7にこの導電率計13が設置されることによって、導電率の悪化した冷却水がサブ流路7へ誘導されたことが、この導電率計13によって検知できるようになっている。そして、この導電率計13によって導電率の悪化した冷却水のサブ流路7への誘導が検知された場合、バルブコントローラ10は、導電率計13からの検知信号に基づいて、可変バルブ8,9に流路切り替え信号を出力して、導電率の悪化した冷却水をサブ流路7内に封じ込める。
【0031】
次に、以上のように構成される燃料電池システムにおける、冷却水の導電率改善制御について説明する。
【0032】
冷却水が循環する系において、その系自身に冷却水の導電率を悪化させる因子をもった部品がある場合、循環初期において、例えば図2に示すように、メイン流路3内の冷却水の導電率には部分部分に偏りが生じる。本実施形態の燃料電池システムでは、循環初期における冷却水の導電率の偏りを検知して、その悪化部分だけをサブ流路7に誘導して取り除き、代わりに取り除いた冷却水の分だけ導電率が改善された冷却水をサブ流路7から冷却水循環系2のメイン流路3に供給する。
【0033】
図3は、本実施形態の燃料電池システムの制御フローを示すものである。燃料電池スタック1の起動を行った場合(ステップS1)、燃料電池スタック1の起動に伴い、冷却水ポンプ5を起動させて冷却水の循環を行う(ステップS2)。
【0034】
このとき、メイン流路3に設けられた導電率計11によりメイン流路3内の冷却水の導電率を検出し、検出値Nをバルブコントローラ10に出力する(ステップS3)。そして、導電率計11により検出された検出値Nに基づいて、バルブコントローラ10において冷却水の導電率判断を行う(ステップS4)。
【0035】
ここで、検出値Nが所定値αを越えていない場合にはステップS5に進み、越えている場合にはステップS6に進む。起動初期段階では、導電率が悪化している冷却水が燃料電池スタック1内に供給されることで液絡が生じ、発電電力が無駄に消費されることや、液絡により不測の事態を生じさせる可能性もあるために、冷却水の導電率判断を行って、冷却水の導電率が悪化している場合にはその対応が必要となる。したがって、ここでいう所定値αとしては、このような液絡を生じさせない程度の導電率が選択される。
【0036】
導電率計11による検出値Nが所定値αを越えていない場合には、冷却水をそのまま燃料電池スタック1に循環することができるので、ステップS5において、冷却水の流路としてメイン流路3を選択する。この流路の選択は、バルブコントローラ10から流路切り替えのための流路切り替え信号を可変バルブ8,9に出力することにより行う。
【0037】
一方、導電率計11による検出値Nが所定値αを越えている場合には、ステップS6において、冷却水の流路としてイオン除去フィルタ12を備えたサブ流路7を選択して、バルブコントローラ10から流路切り替えのための流路切り替え信号を可変バルブ8,9に出力し、導電率の悪化した冷却水をサブ流路7に導入する。なお、このようにメイン流路3に設けられた導電率計11により冷却水の導電率の悪化を検知した場合、冷却水の流速、導電率計11の応答性、導電率計11と流路切り替えバルブである可変バルブ8までの距離をそれぞれ計算し、その算出結果に基づいて可変バルブ8の切り替え操作を行って、導電率の悪化した冷却水をサブ流路7に誘導する。
【0038】
次のステップS7では、サブ流路7に設けられた導電率計13によりサブ流路7内の冷却水の導電率を検出し、検出値Pを出力する。そして、この導電率計13による検出値Pを導電率計11の検出値Nと比較し(ステップS8)、サブ流路7の入口側の冷却水の導電率の検出値Nがサブ流路7の出口側の冷却水の導電率の検出値Pよりも小さい場合はステップS9に進み、大きい場合はステップS10に進む。ステップS9では、可変バルブ8,9を閉じてサブ流路7をメイン流路3から切り離し、導電率の悪化した冷却水をサブ流路7内へ封じ込める。
【0039】
本実施形態によれば、導電率計11で冷却水の導電率の悪化を検知した場合、バルブコントローラ10に検知信号を出力して、バルブコントローラ10から可変バルブ8,9に流路切り替え信号を出し、可変バルブ8,9を切り替えることで導電率の悪化した冷却水のみをサブ流路7に誘導することができる。その結果、図2に示すような導電率が上下するような状況で、導電率の悪化部分だけを選択的に取り除くことができ、導電率の改善を速やかに行うことができる。また、起動時には、予めサブ流路で導電率が改善されていた冷却水をメイン流路3に供給することができ、その結果、メイン流路3の冷却水の導電率を起動初期から導電率の低い状態に保つことができ、液絡によるショートや電力の消費を抑えることができる。
【0040】
さらに、導電率の改善具合により可変バルブ9の切り替えが可能なことから、導電率の悪化したままの冷却水はサブ流路7内に封じ込めて、これがメイン流路3に流入することを防ぐことができる。さらにまた、メイン流路3とサブ流路3内にある冷却水のみで燃料電池スタック1の運転が可能であるため、導電率の改善を目的に外部から液体の供給をする必要がなくなり、自動車等の外部からの液体の供給が難しい場合や、定置型の場合でも適用可能であり、例えば水の供給に要するポンプ等のコストを抑えることも可能である。
【0041】
(第2の実施形態)
本実施形態は、図4に示すように、図1に示す第1の実施形態の構成に加えて、サブ流路7にバイパス配管14を設置し、さらにバイパス配管14上にサブポンプ15を設置するようにしたものである。その他の構成は第1の実施形態と同様である。
【0042】
本実施形態の燃料電池システムでは、以上の構成によって、サブ流路7内に封じ込めた導電率の悪化した冷却水を、サブポンプ15を用いてサブ流路7内で循環させて、導電率の改善を行うことができる。本実施形態における制御フローを図5に示す。
【0043】
燃料電池スタック1の起動を行った場合(ステップS11)、燃料電池1の起動に伴い、冷却水ポンプ5を起動させて冷却水の循環を行う(ステップS12)。このとき、メイン流路3に設けられた導電率計11によりメイン流路3内の冷却水の導電率を検出し、検出値Nをバルブコントローラ10に出力する(ステップS13)。そして、導電率計11により検出された検出値Nに基づいて、バルブコントローラ10において冷却水の導電率判断を行う(ステップS14)。
【0044】
ここで、導電率計11による検出値Nが所定値αを越えていない場合には、冷却水をそのまま燃料電池スタック1に循環することができるので、ステップS15において、冷却水の流路としてメイン流路3を選択する。この流路の選択は、バルブコントローラ10から流路切り替えのための流路切り替え信号を可変バルブ8,9に出力することにより行う。
【0045】
一方、導電率計11による検出値Nが所定値αを越えている場合には、ステップS16において、冷却水の流路としてイオン除去フィルタ12を備えたサブ流路7を選択し、バルブコントローラ10から流路切り替えのための流路切り替え信号を可変バルブ8,9に出力して、導電率の悪化した冷却水をサブ流路7に導入する。
【0046】
次のステップS17では、サブ流路7に設けられた導電率計13によりサブ流路7内の冷却水の導電率を検出し、検出値Pを出力する。そして、この導電率計13による検出値Pを導電率計11の検出値Nと比較し(ステップS18)、サブ流路7の入口側の冷却水の導電率の検出値Nがサブ流路7の出口側の冷却水の導電率の検出値Pよりも小さい場合はステップS19に進み、大きい場合はステップS20に進む。
【0047】
ステップS19では、可変バルブ8,9を閉じてサブ流路7をメイン流路3から切り離し、導電率の悪化した冷却水をサブ流路7内へ封じ込める。それとともに、サブポンプ15の起動信号をバルブコントローラ10から出力し、導電率の悪化した冷却水をサブ流路7で循環させて繰り返しイオン除去フィルタ12を通過させることにより、冷却水の導電率を速やかに改善する。
【0048】
前記ステップS19における導電率改善操作が進んだら、導電率計13によりサブ流路7内の冷却水の導電率(検出値Q)を検出する(ステップS21)。そして、ステップS22において、導電率計13の検出値Qに基づいてバルブコントローラ10において冷却水の導電率判断を行う。検出値Qが所定値βを越えている場合には、冷却水の導電率改善が不十分と判断してステップS21に戻り、更に導電率改善操作を進めた後に再度冷却水の導電率の測定を行う。これを検出値Qが所定値βを下回るまで繰り返し行う。そして、検出値Qが所定値β以下となった場合には、ステップS23に進み、サブポンプ15の運転を停止する。
【0049】
本実施形態によれば、導電率が悪化した冷却水を短時間のうちに改善することができ、第1の実施形態に比べて冷却水の導電率改善を速やかに行うことができる。
【0050】
(第3の実施形態)
本実施形態は、図6に示すように、図1に示す第1の実施形態の構成に加えて、サブ流路7内にサブタンク16を設けている。そして、このサブタンク16内にイオン除去フィルタ12を設置すると共に、導電率計13がサブタンク16内の冷却水の導電率を検知するようにしたものである。また、サブタンク16にはシャットバルブ17が設けられている。その他の構成は第1の実施形態と同様である。
【0051】
本実施形態の燃料電池システムでは、以上の構成により、サブ流路7内に封じ込めた導電率の悪化した冷却水を、サブタンク16に誘導して、このサブタンク16内のイオン除去フィルタ12により導電率の改善を行うことができる。また、このサブタンク16内の冷却水の導電率の改善を導電率計13で検知して、シャットバルブ17を開くことにより、サブタンク16からメイン流路3に導電率が改善された冷却水を供給することができる。本実施形態の制御フローを図7に示す。
【0052】
燃料電池スタック1の起動を行った場合(ステップS31)、燃料電池1の起動に伴い、冷却水ポンプ5を起動させて冷却水の循環を行う(ステップS32)。このとき、メイン流路3に設けられた導電率計11によりメイン流路3内の冷却水の導電率を検出し、検出値Nをバルブコントローラ10に出力する(ステップS33)。そして、導電率計11により検出された検出値Nに基づいて、バルブコントローラ10において冷却水の導電率判断を行う(ステップS34)。
【0053】
ここで、導電率計11による検出値Nが所定値αを越えていない場合には、冷却水をそのまま燃料電池スタック1に循環することができるので、ステップS35において、冷却水の流路としてメイン流路3を選択する。この流路の選択は、バルブコントローラ10から流路切り替えのための流路切り替え信号を可変バルブ8,9に出力することにより行う。
【0054】
一方、導電率計11による検出値Nが所定値αを越えている場合には、ステップS36において、冷却水の流路としてイオン除去フィルタ12を備えたサブ流路7を選択し、バルブコントローラ10から流路切り替えのための流路切り替え信号を可変バルブ8,9に出力して、導電率の悪化した冷却水をサブ流路7のサブタンク16内に導入する。このとき、シャットバルブ17を開けておき、サブタンク16内の予め導電率が改善された冷却水をメイン流路3に補給する。
【0055】
次のステップS37では、サブタンク16に設けられた導電率計13によりサブタンク16内の冷却水の導電率を検出し、検出値Pを出力する。そして、この導電率計13による検出値Pを導電率計11の検出値Nと比較し(ステップS38)、サブ流路7の入口側の冷却水の導電率の検出値Nがサブタンク16内の冷却水の導電率の検出値Pよりも小さい場合はステップS39に進み、大きい場合はステップS40に進む。ステップS39では、可変バルブ8,9を閉じてサブ流路7をメイン流路3から切り離し、サブ流路7への冷却水の導入を遮断した後、サブタンク16内においてイオン除去フィルタ12により冷却水の導電率を改善させる。
【0056】
本実施形態では、導電率の改善をサブポンプ15を用いることなく行うことが可能であり、サブポンプ15を作動させるための電力が不要となるので、省電力化を図る上で有利である。また、導電率が悪化した冷却水をサブ流路7の配管内に滞留させずに、サブタンク16内に誘導してイオン除去フィルタ12で処理しているので、導電率の改善を効果的に行うことができる。
【0057】
(第4の実施形態)
本実施形態は、第3の実施形態の変形例に相当するものであり、図8に示すように、図6に示した第3の実施形態の構成に対して、導電率計11と導電率計13を外し、代わりに冷却水タンク4にレベルセンサ18及びコントローラ19を設けるようにしている。また、サブタンク16の上流位置にサブポンプ15を設置している。
【0058】
本実施形態は、冷却水の導電率を悪化させる部位が予め特定できている場合において有効に適用されるものである。すなわち、予め導電率を悪化させる部位が特定できている場合、メイン流路3において、導電率を悪化させる部位(本例では燃料電池スタック1)の直後に可変バルブ8を設置し、冷却水の循環開始前に可変バルブ8を切り替えて、サブ流路7に導電率の悪化した冷却水を誘導する。その際、サブポンプ15も同時に起動して冷却水をサブタンク16まで誘導する。
【0059】
そして、ある規定時間に達した時点で可変バルブ8,9をメイン流路3に切り替えて燃料電池スタック1を起動する。これにより、起動初期段階の導電率が悪化している冷却水が燃料電池スタック1内に供給されることで生ずる液絡及びそれに起因する種々の問題を未然に回避することができる。
【0060】
本実施形態の利点は、導電率計によるバルブの制御が必要ないため、制御が難しくなく、確実に導電率の悪化した冷却水を取り除くことができる点にある。また、図8に示す構成ではサブタンク16を設置しているが、冷却水循環系の水収支上で成り立つならば、可変バルブ8を切り替えて取り除いた冷却水をそのまま外部に排出することも可能である。また、冷却水循環系2の冷却水の量については、レベルセンサ18にて常に検知しており、冷却水タンク4の冷却水量が所定値以下であるとコントローラ19が判断した場合は、シャットバルブ17にバルブ開の出力をし、サブタンク16内の冷却水をメイン流路3に供給することができる。
【0061】
(第5の実施形態)
本実施形態は、図9に示すように、メイン流路3内の冷却水タンク4を仕切板20によってA槽4AとB槽4Bの2つの槽に分け、A槽4Aにイオン除去フィルタ12を設置して上述したサブ流路7と同様の機能を持たせるようにしたものである。また、B槽4Bにはレベルセンサ18を設置し、メイン流路3上には導電率計11に加えて温度センサ21を設置するようにしている。
【0062】
本実施形態では、冷却水タンク4の入口及び出口に可変バルブ8,9がそれぞれ設けられており、これら可変バルブ8,9の切り換えによってA槽4AとB槽4Bとが使い分けられる。また、イオン除去フィルタ12が設置されたA槽4A内の冷却水の導電率が導電率計13によって検知されるようになっている。コントローラ19は、前記導電率計11,13、レベルセンサ18、及び温度センサ21からの出力情報に基づいて前記可変バルブ8,9を切り替え制御する。
【0063】
本実施形態の燃料電池システムも、固体高分子型の燃料電池スタック1に対して冷却水タンク4からメイン流路3を通じて冷却水ポンプ5により冷却水を供給し、燃料電池スタック1を通過した冷却水が、ラジエータ等の熱交換器6によって冷却された後に冷却水タンク4に帰還させるメイン循環系統を持つシステムである。
【0064】
本実施形態の燃料電池システムでは、導電率計11によりメイン流路3の導電率を検知し、コントローラ19において導電率の悪化を検知した場合に,コントローラ19から可変バルブ8に流路切り替え信号を出力し、可変バルブ8を切り替えることで導電率の悪化した冷却水のみを冷却水タンク4のA槽4Aに誘導する。その結果、図2に示すような導電率が上下するような状況で、導電率の悪化部分だけを選択的に取り除くことができ、導電率の改善を速やかに行うことができる。また、予め冷却水タンク4のA槽4Aで導電率が改善された冷却水をメイン流路3に供給することができる。その結果、メイン循環系統の冷却水の導電率を起動初期から低い状態に保つことができ、液絡によるショートや電力の消費を抑えることができる。また、導電率の改善具合により、可変バルブ9の切り替えが可能なことから、導電率の悪化したままの冷却水がメイン流路3に流入するのを防ぐことができる。
【0065】
また、導電率計11の他にも、レベルセンサ18を冷却水タンク4のB槽4Bに設置することで、メイン循環系統の冷却水不足をレベルセンサ18で検知した場合、コントローラ19に冷却水不足の信号を出力し、コントローラ19から可変バルブ9に切り替え信号を出力して、冷却水タンク4のA槽4Aにある冷却水をメイン循環系統に供給することができる。さらに、温度センサ21をメイン流路3上に設置することで、温度センサ21で温度異常を検知した場合は、コントローラ19に温度異常の信号を出力し、コントローラ19から可変バルブ8に切り替え信号を出力することで、温度異常の冷却水を冷却水タンク4のA槽4Aに誘導し、同時にコントローラ19から可変バルブ9に切り替え信号を出力することで、冷却水タンク4のA槽4A中の温度が異常値以下の冷却水をメイン循環系統に供給することができる。
【0066】
本実施形態の制御フローを図10に示す。燃料電池スタック1の起動を行った場合(ステップS41)、燃料電池1の起動に伴い、冷却水ポンプ5を起動させて冷却水の循環を行う(ステップS42)。このとき、メイン流路3に設けられた導電率計11によりメイン流路3内の冷却水の導電率を検出し、検出値Nをコントローラ19に出力する(ステップS43)。そして、導電率計11により検出された検出値Nに基づいて、コントローラ19において冷却水の導電率判断を行う(ステップS44)。
【0067】
ここで、導電率計11による検出値Nが所定値αを越えている場合には、ステップS45において、コントローラ19から流路切り替えのための流路切り替え信号を可変バルブ8,9に出力し、冷却水が流入される槽をB槽4Bからイオン除去フィルタ12を備えたA槽4Aに切り替え、導電率の悪化した冷却水をA槽4A内に導入する。このとき、可変バルブ9を開けておき、A槽4A内の予め導電率が改善された冷却水をメイン流路3に補給する。
【0068】
次のステップS46では、A槽4Aに設けられた導電率計13によりA槽4A内の冷却水の導電率を検出し、検出値Pを出力する。そして、この導電率計13による検出値Pを導電率計11の検出値Nと比較し(ステップS47)、導電率の悪化を判断し、メイン流路3の冷却水の導電率の検出値NがA槽4A内の冷却水の導電率の検出値Pよりも小さい場合はステップS48に進み、大きい場合はステップS49に進む。ステップS48では、可変バルブ8,9を閉じてA槽4Aをメイン流路3から切り離し、A槽4Aへの冷却水の導入を遮断した後、A槽4A内においてイオン除去フィルタ12により冷却水の導電率を改善させる。
【0069】
一方、導電率計11による検出値Nが所定値αを越えていない場合には、ステップS50において、温度センサ21とレベルセンサ18によりメイン循環系統の冷却水温度Tと冷却水タンク4のB槽4Bの液面Hとを検出する。そして、ステップS51では、温度センサ21の検出値Tよりコントローラ19において冷却水の温度判断を行う。ここで、温度センサ21の検出値Tが所定値γを越えている場合にはステップS52に進み、越えていない場合にはステップS53に進む。
【0070】
ステップS52では、可変バルブ8,9に流路切り替えのための流路切り替え信号をコントローラ19から出力し、冷却水流路を冷却水タンク4のB槽4Bから冷却水温度の低いA槽4Aに切り替え、温度異常が生じている冷却水をA槽4Aに誘導する。
【0071】
一方、ステップS53では、レベルセンサ18の検出値Hよりコントローラ19において冷却水の液面低下判断を行う。ここで、レベルセンサ18の検出値Hが所定値φを越えていない場合には液面低下と判断してステップS54に進み、越えている場合にはステップS55に進む。
【0072】
ステップS54では、液面レベルを所定値以上にするために、バルブ9に流路切り替え信号をコントローラ19から出力し、冷却水タンク4のA槽4A中の冷却水をメイン循環系統に誘導する。一方、ステップS55では、流路切り替えのためのバルブ8,9に流路切り替え信号をコントローラ19から出力し、冷却水流路をイオン除去フィルタ12が設置されたA槽4AからB槽4Bに切り替えて、メイン配管系統に切り替える。
【0073】
以上のように、本実施形態では、第1の実施形態と同様、導電率の悪化が検知された場合のみ、導電率が悪化した冷却水を選択的にメイン循環系から取り除くことができ、メイン循環系内の冷却水の導電率を低く維持することができる。また、本実施形態は、冷却水タンクに改良を加えるだけで成立するシステムであるので、低コスト、省スペースで実現することが可能であり、加えて温度異常や水位レベル異常にも対応できるという利点も有する。
【0074】
(第6の実施形態)
本実施形態は、第5の実施形態と同様に、冷却水タンク4を2分割したものであるが、図11に示すように、冷却水タンク4のA槽4AとB槽4Bを全く別の槽となるように完全に2つに分割した点、及びイオン除去フィルタ12を設置したA槽4Aに放熱ファンのような放熱装置22を設置した点が第5の実施形態のものと異なる。
【0075】
本実施形態の制御フローを図12に示す。燃料電池スタック1の起動を行った場合(ステップS61)、燃料電池1の起動に伴い、冷却水ポンプ5を起動させて冷却水の循環を行う(ステップS62)。このとき、メイン流路3に設けられた導電率計11によりメイン流路3内の冷却水の導電率を検出し、検出値Nをコントローラ19に出力する(ステップS63)。そして、導電率計11により検出された検出値Nに基づいて、コントローラ19において冷却水の導電率判断を行う(ステップS64)。
【0076】
ここで、導電率計11による検出値Nが所定値αを越えている場合には、ステップS65において、コントローラ19から流路切り替えのための流路切り替え信号を可変バルブ8,9に出力し、冷却水が流入される槽をB槽4Bからイオン除去フィルタ12を備えたA槽4Aに切り替え、導電率の悪化した冷却水をA槽4A内に導入する。このとき、可変バルブ9を開けておき、A槽4A内の予め導電率が改善された冷却水をメイン流路3に補給する。
【0077】
次のステップS66では、A槽4Aに設けられた導電率計13によりA槽4A内の冷却水の導電率を検出し、検出値Pを出力する。そして、この導電率計13による検出値Pを導電率計11の検出値Nと比較し(ステップS67)、導電率の悪化を判断し、メイン流路3の冷却水の導電率の検出値NがA槽4A内の冷却水の導電率の検出値Pよりも小さい場合はステップS68に進み、大きい場合はステップS69に進む。ステップS68では、可変バルブ8,9を閉じてA槽4Aをメイン流路3から切り離し、A槽4Aへの冷却水の導入を遮断した後、A槽4A内においてイオン除去フィルタ12により冷却水の導電率を改善させる。
【0078】
一方、導電率計11による検出値Nが所定値αを越えていない場合には、ステップS70において、温度センサ21とレベルセンサ18によりメイン循環系統の冷却水温度Tと冷却水タンク4のB槽4Bの液面Hとを検出する。そして、ステップS71では、温度センサ21の検出値Tよりコントローラ19において冷却水の温度判断を行う。ここで、温度センサ21の検出値Tが所定値γを越えている場合にはステップS72に進み、越えていない場合にはステップS73に進む。
【0079】
ステップS72では、可変バルブ8,9に流路切り替えのための流路切り替え信号をコントローラ19から出力し、冷却水流路を冷却水タンク4のB槽4Bから冷却水温度の低いA槽4Aに切り替え、温度異常が生じている冷却水位をA槽4Aに誘導する。これと同時に放熱装置22を起動して、A槽4A内の冷却水の冷却を促進する。
【0080】
一方、ステップS73では、A槽4Aに設けられた放熱装置22を停止する。そして、ステップS74において、レベルセンサ18の検出値Hに基づいてコントローラ19で冷却水の液面低下判断を行う。ここで、レベルセンサ18の検出値Hが所定値φを越えていない場合には液面低下と判断してステップS75に進み、越えている場合にはステップS76に進む。
【0081】
ステップS75では、液面レベルを所定値以上にするために、バルブ9に流路切り替え信号をコントローラ19から出力し、冷却水タンク4のA槽4A中の冷却水をメイン循環系統に誘導する。一方、ステップS76では、流路切り替えのためのバルブ8,9に流路切り替え信号をコントローラ19から出力し、冷却水流路をイオン除去フィルタ12が設置されたA槽4AからB槽4Bに切り替えて、メイン配管系統に切り替える。
【0082】
本実施形態では、先の第5の実施形態と同様の効果が得られることに加え、冷却水タンク4を完全に2つの槽に分離して、イオン除去フィルタ12を設置した槽に放熱装置22を設置しているので、温度異常時の燃料電池スタック1の保護機能を一層向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態の燃料電池システムの要部構成を示す図である。
【図2】燃料電池スタック起動時のメイン流路における冷却水の導電率変化を示す特性図である。
【図3】第1の実施形態における制御フローを示すフローチャートである。
【図4】第2の実施形態の燃料電池システムの要部構成を示す図である。
【図5】第2の実施形態における制御フローを示すフローチャートである。
【図6】第3の実施形態の燃料電池システムの要部構成を示す図である。
【図7】第3の実施形態における制御フローを示すフローチャートである。
【図8】第4の実施形態の燃料電池システムの要部構成を示す図である。
【図9】第5の実施形態の燃料電池システムの要部構成を示す図である。
【図10】第5の実施形態における制御フローを示すフローチャートである。
【図11】第6の実施形態の燃料電池システムの要部構成を示す図である。
【図12】第6の実施形態における制御フローを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 燃料電池スタック
2 冷却水循環系
3 メイン流路
4 冷却水タンク
4A A槽
4B B槽
5 冷却水ポンプ
6 熱交換器
7 サブ流路
8,9 可変バルブ
10 バルブコントローラ
11,13 導電率計
12 イオン除去フィルタ
14 バイパス配管
15 サブポンプ
16 サブタンク
18 レベルセンサ
19 コントローラ
20 仕切板
21 温度センサ
22 放熱装置
Claims (18)
- 燃料電池スタックと、液体を循環させながら前記燃料電池スタックへと供給する液体循環系とを備える燃料電池システムにおいて、
前記液体のうち導電率が悪化した部分のみが選択的に前記液体循環系外に誘導されて、導電率の改善が図られることを特徴とする燃料電池システム。 - 前記液体循環系は、液体として冷却水を循環させる冷却水循環系であり、
前記冷却水循環系は、熱交換器、冷却水タンク、及びポンプを備えたメイン流路を有することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。 - 前記メイン流路に導電率計が設けられており、前記冷却水の導電率の悪化はこの導電率計によって検知されることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
- 前記メイン流路に対して流路切り替えバルブを介して接続されるサブ流路が設けられるとともに、このサブ流路にはイオン除去フィルタが設けられており、
前記導電率の悪化した冷却水は、前記サブ流路に誘導されて、前記イオン除去フィルタにより導電率が改善されることを特徴とする請求項2又は3に記載の燃料電池システム。 - 循環初期において、前記メイン流路内の冷却水の導電率の偏りを検知して導電率が悪化した部分の冷却水を前記サブ流路に誘導するとともに、前記サブ流路内の導電率が改善された冷却水を前記メイン流路に誘導することを特徴とする請求項4に記載の燃料電池システム。
- 前記メイン流路に設けられた導電率計により前記冷却水の導電率の悪化を検知した場合、冷却水の流速、前記導電率計の応答性、前記導電率計と前記流路切り替えバルブまでの距離をそれぞれ計算し、その算出結果に基づいて前記流路切り替えバルブの切り替え操作を行って、前記導電率の悪化した冷却水を前記サブ流路に誘導することを特徴とする請求項4又は5に記載の燃料電池システム。
- 前記サブ流路に導電率計が設けられており、この導電率計によって導電率の悪化した冷却水の誘導を検知した際、前記サブ流路が前記メイン流路から分離されることを特徴とする請求項4乃至6の何れかに記載の燃料電池システム。
- 前記サブ流路は、冷却水を当該サブ流路内で循環させることが可能な配管構成とされていることを特徴とする請求項4乃至7の何れかに記載の燃料電池システム。
- 前記サブ流路には、冷却水を当該サブ流路内で循環させるためのポンプが設けられていることを特徴とする請求項8に記載の燃料電池システム。
- 前記サブ流路に前記イオン除去フィルタを備えた冷却水サブタンクが設置されていることを特徴とする請求項4乃至9の何れかに記載の燃料電池システム。
- 前記冷却水サブタンクの上流位置にポンプが設けられ、前記冷却水タンクにレベルセンサが設けられていることを特徴とする請求項10に記載の燃料電池システム。
- 前記メイン流路において冷却水の導電率を悪化させる部位が特定されており、この冷却水の導電率を悪化させる部位の直後に前記サブ流路が設けられていることを特徴とする請求項11に記載の燃料電池システム。
- 前記メイン流路に設けられた冷却水タンクの内部が2つの槽に分割されるとともに、分割された一方の槽にイオン除去フィルタが設けられ、
導電率の悪化した冷却水は、前記イオン除去フィルタが設けられた槽内に誘導されて、前記イオン除去フィルタにより導電率が改善されることを特徴とする請求項2又は3に記載の燃料電池システム。 - 前記2つの槽のうち、イオン除去フィルタの設けられていない槽の水位がしきい値以下になったときに、イオン除去フィルタが設けられた槽から冷却水が補給されることを特徴とする請求項13に記載の燃料電池システム。
- 冷却水の温度が所定の温度以上となった場合、冷却水は前記イオン除去フィルタが設けられた槽内に誘導され、同時に前記イオン除去フィルタが設けられた槽内に貯水されていた冷却水が前記メイン流路に供給されることを特徴とする請求項13又は14に記載の燃料電池システム。
- 前記メイン流路に温度センサが設けられ、この温度センサによって前記冷却水の温度が検知されることを特徴とする請求項15に記載の燃料電池システム。
- 前記冷却水タンクは、完全に独立した2つの槽に分割されていることを特徴とする請求項13乃至16の何れかに記載の燃料電池システム。
- 前記イオン除去フィルタが設けられた槽には、放熱機構が設けられていることを特徴とする請求項17に記載の燃料電池システム。
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