JP2004296326A - 燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】冷却水の供給圧力がガス系の供給圧力を上回らないようにしながら、低温起動時にも必要量の冷却水を確実に循環供給することができるようにする。
【解決手段】冷却水を燃料電池に循環供給して燃料電池の温度調整を行う冷却水供給系を備える燃料電池システムにおいて、冷却水の粘度が高くなる低温時には、冷却水供給圧力に基づいて、水素や空気のガス供給圧力を制御する。また、通常運転時には、ガス供給圧力を基準として冷却水供給圧力を制御するようにし、これらの制御の切り替えは、外気温度を検出し、或いは冷却水の状態を検出して、これらの検出値に応じて行う。
【選択図】 図2
【解決手段】冷却水を燃料電池に循環供給して燃料電池の温度調整を行う冷却水供給系を備える燃料電池システムにおいて、冷却水の粘度が高くなる低温時には、冷却水供給圧力に基づいて、水素や空気のガス供給圧力を制御する。また、通常運転時には、ガス供給圧力を基準として冷却水供給圧力を制御するようにし、これらの制御の切り替えは、外気温度を検出し、或いは冷却水の状態を検出して、これらの検出値に応じて行う。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池に冷却水を循環供給して燃料電池の温度調整を行う機能を備えた燃料電池システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池システムは、燃料電池の燃料極に燃料ガスとして水素を供給し、燃料電池の酸化剤極に酸化剤ガスとして空気を供給し、これら水素と空気中の酸素とを電気化学的に反応させて発電電力を得るものである。このような燃料電池システムは、例えば自動車の動力源等としての実用化に大きな期待が寄せられており、現在、実用化に向けての研究開発が盛んに行われている。
【0003】
燃料電池システムに用いられる燃料電池としては、例えば自動車に搭載する上で好適なものとして、固体高分子タイプの燃料電池が知られている。固体高分子タイプの燃料電池は、燃料極と酸化剤極との間に電解質膜として固体高分子膜が設けられたものである。この固体高分子タイプの燃料電池では、固体高分子膜がイオン伝導体として機能し、燃料極で水素が水素イオンと電子とに分離される反応が起き、酸化剤極で空気中の酸素と水素イオンと電子とから水を生成する反応が行われる。
【0004】
以上のような燃料電池システムにおいては、発電の際に燃料電池が発熱することから、これを冷却して適正な運転温度(80℃程度)に維持する必要があり、何らかの冷却機構を設ける必要がある。このような冷却機構としては、燃料電池に冷却水を循環供給して燃料電池の温度調整を行うものが一般的である。
【0005】
ところで、この種の冷却機構においては、冷却水の圧力が燃料電池に供給される燃料ガスや酸化剤ガスの圧力よりも高くなると、燃料電池において冷却水循環経路のシール性の劣化が進んだり、破損を引き起こす要因となる可能性がある。そこで、この種の冷却機構を備える燃料電池システムにおいては、従来、燃料電池に供給される燃料ガスや酸化剤ガスのガス供給圧力を基準として、冷却水供給の圧力がガス供給圧力を越えないように制御することで、燃料電池の冷却水循環経路のシール性の劣化や破損を防ぐようにしている(例えば、特許文献1等を参照)。
【0006】
特許文献1記載の技術では、燃料電池の発電出力増大に伴いガス供給圧力及び冷却水供給圧力を増大方向に調整する際に、冷却水供給圧力の目標値がガス供給圧力の目標値より遅れて立ち上がるようにすることで、冷却用に十分な冷却水流量を確保しつつ、冷却水供給圧力がガス供給圧力を越えるのを回避するようにしている。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−280036号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、以上のような従来の技術では、ガス系の供給圧力を基準として、冷却水の供給圧力がガス供給圧力を越えないように制御しているために、低温起動時等、冷却水粘度が高くなっているときには、冷却に必要な冷却水流量を確保することができない場合がある。
【0009】
また、冷却水を燃料電池の暖機促進に使うことを考えた場合、冷却水が十分に流れない状態であると、局部的に冷却水が温められることになって、燃料電池の暖機促進が効率よく行えない虞があり、さらには、局部的に冷却水の温度が上がるために冷却水の劣化が進むことも懸念される。
【0010】
本発明は、このような従来技術の有する課題を解決するために提案されたものであり、冷却水の供給圧力がガス系の供給圧力を上回らないようにしながら、低温起動時にも必要量の冷却水を確実に循環供給することができ、しかも燃料電池の暖機促進を効率的に行え、また冷却水の劣化の懸念のない燃料電池システムを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の燃料電池システムは、酸化剤ガス及び燃料ガスの供給により発電を行う燃料電池を備え、前記燃料電池に冷却水が循環供給される燃料電池システムである。このような燃料電池システムにおいて、本発明では、前述の目的を達成するため、冷却水の粘度が高くなる低温時に、前記冷却水の供給圧力を基準として、前記酸化剤ガス、燃料ガスのうちの少なくとも一方の供給圧力を制御することを特徴としている。
【0012】
冷却水は温度が低くなるにつれて粘度が高くなり圧力損失が増えるために、低温時には通常時と同じ供給圧力では必要な流量を確保することができなくなる。本発明では、冷却水の粘度が高くなる低温時には、これに応じて冷却水供給圧力を上げ、冷却水の流量を確保し得る冷却水供給圧力とする。このとき、冷却水供給圧力を基準として、酸化剤ガスや燃料ガスのガス供給圧力が冷却水供給圧力よりも若干高くなるように制御し、冷却水の供給圧力がガス供給圧力を越えないようにする。
【0013】
【発明の効果】
本発明の燃料電池システムによれば、低温起動時にも冷却水を確実に必要量循環させることができ、しかもガス系の供給圧力が冷却水供給圧力を上回ることなく運転することが可能である。したがって、低温起動時にも、燃料電池システムにおいて必要な冷却性能を確保しつつ、燃料電池の冷却水循環経路のシール性の劣化や破損を防止することができ、信頼性の高い燃料電池システムを構築することが可能である。
【0014】
また、本発明の燃料電池システムによれば、低温起動時にも必要量の冷却水が確実に循環されることから、局部的に冷却水が暖められることはなく、燃料電池の暖機促進を効率良く行うことが可能であり、冷却水の劣化も抑制できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した燃料電池システムについて、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
本発明を適用した燃料電池システムの概略構成を図1に示す。この燃料電池システムは、図1に示すように、主に、酸化剤ガス及び燃料ガスの供給により発電を行う燃料電池1と、この燃料電池1に酸化剤ガスである空気を供給する空気供給系と、燃料電池1に燃料ガスである水素を供給する水素供給系と、燃料電池1に冷却水を循環供給して燃料電池1を適正温度に維持する冷却水供給系とを備えて構成される。
【0017】
燃料電池1は、水素が供給される燃料極と空気が供給される酸化剤極とが電解質を挟んで重ね合わされて発電セルが構成されるとともに、複数の発電セルが多段積層されたスタック構造を有しており、水素と空気中の酸素とを基にした電気化学反応により化学エネルギを電気エネルギに変換するものである。この燃料電池1の各発電セルでは、燃料極に供給された水素が水素イオンと電子とに分離される反応が起き、水素イオンは電解質を通り、電子は外部回路を通って電力を発生させ、酸化剤極にそれぞれ移動する。酸化剤極では、供給された空気中の酸素と電解質を通って移動した水素イオン及び電子が反応して水が生成され、外部に排出される。
【0018】
燃料電池1の電解質としては、高エネルギ密度化、低コスト化、軽量化等を考慮して、例えば固体高分子電解質膜が用いられる。固体高分子電解質膜は、例えばフッ素樹脂系イオン交換膜等、イオン(プロトン)伝導性の高分子膜からなるものであり、飽和含水することによりイオン伝導性電解質として機能する。
【0019】
燃料電池1においては、酸化剤ガスである空気や燃料ガスである水素を各発電セルの酸化剤極や燃料極にそれぞれ供給する必要があり、そのための機構が空気供給系及び水素供給系である。
【0020】
空気供給系は、例えばコンプレッサ2、空気供給配管3、圧力制御弁4及び空気排気配管5等から構成され、コンプレッサ2によって外気から取り込まれた空気が、圧力制御弁4の動作により調圧され、空気供給配管3を通って燃料電池1の酸化剤極に送り込まれるようになっている。また、燃料電池1で消費されなかった酸素及び空気中の他の成分は、空気排気配管5から排出されるようになっている。
【0021】
水素供給系は、例えば水素供給源である水素タンク6、圧力制御弁7、水素供給配管8、エゼクタポンプ9及び水素循環配管10等から構成され、水素タンク6から供給される水素が、圧力制御弁7の動作によって調圧され、水素供給配管8を通って燃料電池1の燃料極に送り込まれるようになっている。また、燃料電池1での発電に寄与しなかった余剰分の水素が、水素循環配管10を通ってエゼクタポンプ9により循環され、新たに水素タンク6から供給される水素と混合されて、再び燃料電池1の燃料極に供給されるようになっている。なお、水素を循環させる機構としては、エゼクタポンプ9の代わりにコンプレッサ等を用いて、これを水素循環配管10に接続するようにしてもよい。
【0022】
電解質に固体高分子膜を用いた固体高分子型の燃料電池1は、適正な作動温度が80℃程度と比較的低いため、過熱時にはこれを冷却することが必要となる。また、低温起動時等においては燃料電池1を適正な作動温度に迅速に到達させるために、暖機促進を図る必要がある。そこで、燃料電池システムにおいては、燃料電池1に冷却水を循環供給する冷却水供給系を設け、これによって燃料電池1を適正温度に維持するようにしている。
【0023】
冷却水供給系は、冷却水を循環させつつ燃料電池1に供給するための冷却水循環配管11及び冷却水ポンプ12を有し、冷却水によって燃料電池1の温度調整を行って、燃料電池1を最適温度に維持するようになっている。冷却水循環配管11内にはラジエータ13が設けられており、燃料電池1の冷却により加熱された冷却水は、ここで冷却される。また、冷却水循環配管11にはその中途部で分岐するバイパス配管14が設けられており、このバイパス配管14内にラジエータ13と並列に加熱装置15が設けられている。そして、バイパス配管14を通る冷却水は、この加熱装置15によって加熱される。
【0024】
冷却水循環配管11のバイパス配管14が分岐する位置には、三方切り替え弁16が設けられており、この三方切り替え弁16を制御することにより、バイパス配管14を流れる冷却水の流量が制御されて、冷却水の温度が調整されることになる。
【0025】
また、本実施形態の燃料電池システムにおいては、燃料電池1の酸化剤極入口、燃料極入口及び冷却水入口に、それぞれ圧力センサ17,18,19が設けられており、さらにはシステム内の適所に外気温センサ20が設けられている。これら各圧力センサ17,18,19からの信号や外気温センサ20からの信号は、本実施形態の燃料電池システムにおける動作全般を司るコントロールユニット(制御手段)21に送られるようになっており、特に、本実施形態の燃料電池システムでは、コントロールユニット21が、これら各圧力センサ17,18,19からの信号や外気温センサ20からの信号に基づいて各種演算処理を行って制御信号を出力し、燃料電池1に対する空気や水素の供給圧力、冷却水の供給圧力を制御するようになっている。
【0026】
次に、以上のように構成される燃料電池システムにおいて、コントロールユニット21が燃料電池1に対する空気や水素の供給圧力、冷却水の供給圧力を制御する具体的な処理について説明する。
【0027】
燃料電池1に供給される冷却水は、温度が低くなるにつれて粘度が高くなり、圧損が増えるために、低温時は通常時(例えば、冷却水温60℃程度のとき)と同じ圧力では必要な流量を確保できなくなる。また、冷却水を燃料電池1の暖機促進に使う際には、冷却水が加熱装置15によって加熱されることになるが、冷却水の流れが滞っていると局部的に冷却水が温められ、燃料電池1の暖機促進を効率良く行うことができない。さらに、局部的に冷却水の温度が上がると、冷却水が劣化することも懸念される。
そこで、本実施形態の燃料電池システムでは、低温時には冷却水の流量を確保できるように、コントロールユニット21が、冷却水供給圧力を基準として空気供給圧力や水素供給圧力の圧力制御を行う。以下、このコントロールユニット21による圧力制御について、図2のフローチャートを用いて説明する。
【0028】
本実施形態の燃料電池システムにおいて、起動時には、先ず、外気温センサ20によって外気温度Teが検出され、その情報がコントロールユニット21に送られる(ステップS1)。コントロールユニット21は、外気温センサ20により検出された外気温度Teを基準温度αと比較する(ステップS2)。そして、外気温度Teが基準温度α以上の場合には、コントロールユニット21は、燃料電池1での要求発電量等に基づいて空気供給圧力や水素供給圧力(ガス供給圧力)を決定し、このガス供給圧力を基準として、冷却水の供給圧力がこのガス供給圧力を超えないように、且つ両者の差圧が過大にならないように、冷却水供給圧力を制御する(ステップS3)。これにより、燃料電池1の冷却経路のシール性の劣化、破損等を防ぐことができる。
【0029】
一方、外気温度Teが基準温度αより低い場合には、冷却水の流量が確保できるように、冷却水供給圧力を基準としてガス供給圧力が制御される。すなわち、先ず、燃料電池1の冷却水入口に設けられた圧力センサ19によって冷却水供給圧力Pcが検出され、その情報がコントロールユニット21に送られる(ステップS4)。次に、コントロールユニット21は、燃料電池1に対する空気供給圧力や水素供給圧力(ガス供給圧力Pg)を冷却水供給圧力Pcより高く、且つ両者の差圧が過大にならないように設定する(ステップS5)。そして、この設定したガス供給圧力Pgとなるように、燃料電池1へ供給する空気や水素の圧力を制御する(ステップS6)。これにより、冷却水の流量を十分に確保しながら、燃料電池1の冷却経路のシール性の劣化、破損を防ぐことができる。なお、本実施形態では、空気、水素のそれぞれの供給圧力を分けて設定していないが、それぞれのガス圧力を分けて設定するようにしてもよい。
【0030】
以上説明したように、本実施形態の燃料電池システムにおいては、低温時には、コントロールユニット21が冷却水供給圧力を基準として燃料電池1に対する空気供給圧力や水素供給圧力(ガス供給圧力)を制御するようにしているので、低温起動時に必要量の冷却水を確実に循環供給させることができ、且つ冷却水圧力がガス系圧力を上回ることのない適切な状態で燃料電池1の運転を行うことが可能となる。したがって、低温起動時にも、必要な冷却性能を確保しつつ、冷却経路のシール性の劣化や破損を防止することができ、高い信頼性を得ることができる。
【0031】
また、温度上昇後は燃料電池1の運転状態に応じてガス供給圧力を設定し、それに基づいて冷却水供給圧力の制御を行うように切り替えることで、通常時は最適な運転圧力で燃料電池1の運転を行うことができ、発電効率を向上させることができる。
【0032】
(第2の実施形態)
次に、コントロールユニット21が燃料電池1に対する空気や水素の供給圧力、冷却水の供給圧力を制御する処理の他の例について説明する。本実施形態は、コントロールユニット21が、冷却水ポンプ12の回転数と冷却水吐出圧力とから冷却水の状態を検出し、検出した冷却水の状態に応じて、冷却水供給圧力を基準としてガス供給圧力を制御するか、ガス供給圧力を基準として冷却水供給圧力を制御するかを切り替えるようにした例である。なお、本実施形態の燃料電池システムの構成は、上述した第1の実施形態のものと同様である。
【0033】
以下、本実施形態における圧力制御について、図3のフローチャートを用いて説明する。
【0034】
本実施形態では、起動時に、先ず、冷却水ポンプ12が所定の回転数で動作されて、そのときの冷却水圧力(吐出圧力)Pc0が圧力センサ19によって検出され、その情報がコントロールユニット21に送られる(ステップS11)。コントロールユニット21は、圧力センサ19によって検出された冷却水吐出圧力Pc0から、冷却水の状態Scを検出する(ステップS12)。ここで、冷却水ポンプ12を所定の回転数で動作させたときの冷却水吐出圧力Pc0と冷却水の状態Scとの関係は例えば図4のような関係となり、コントロールユニット21は図4に示すようなマップを用いて、冷却水吐出圧力Pc0から冷却水の状態Scを検出する。
【0035】
次に、コントロールユニット21は、検出した冷却水の状態(検出値)Scを基準値βと比較する(ステップS13)。そして、冷却水の状態(検出値)Scが基準値β以上の場合には、コントロールユニット21は、燃料電池1での要求発電量等に基づいて空気供給圧力や水素供給圧力(ガス供給圧力)を決定し、このガス供給圧力を基準として、冷却水の供給圧力がこのガス供給圧力を超えないように、且つ両者の差圧が過大にならないように、冷却水供給圧力を制御する(ステップS14)。これにより、燃料電池1の冷却経路のシール性の劣化、破損等を防ぐことができる。
【0036】
一方、冷却水の状態(検出値)Scが基準値βよりも小さい場合には、冷却水の流量が確保できるように、冷却水供給圧力を基準としてガス供給圧力が制御される。この冷却水供給圧力を基準としたガス供給圧力の制御は、上述した第1の実施形態と同様であり、先ず、燃料電池1の冷却水入口に設けられた圧力センサ19によって冷却水供給圧力Pcが検出され、その情報がコントロールユニット21に送られる(ステップS15)。次に、コントロールユニット21は、燃料電池1に対する空気供給圧力や水素供給圧力(ガス供給圧力Pg)を冷却水供給圧力Pcより高く、且つ両者の差圧が過大にならないように設定する(ステップS16)。そして、この設定したガス供給圧力Pgとなるように、燃料電池1へ供給する空気や水素の圧力を制御する(ステップS17)。これにより、冷却水の流量を十分に確保しながら、燃料電池1の冷却経路のシール性の劣化、破損を防ぐことができる。なお、本実施形態においても、空気、水素のそれぞれの供給圧力を分けて設定するようにしてもよい。
【0037】
以上のように、本実施形態では、冷却水の粘度が高くなっているかどうかといった冷却水の状態を、外気温度等の温度から間接的に判断するのではなく直接判断するようにしているので、上述した第1の実施形態の効果に加えて、圧力制御の切り替えをより適切に行えるといった効果が得られる。すなわち、冷却水の状態を外気温度や冷却水温度から判断しようとしても、例えば外気温度の場合、外気温が高くなっても冷却水は冷えたままで、粘度が高い場合がある。また、冷却水の温度を直接測定したとしても、場所により温度に差が有り、全体としてどの程度の粘度(圧力損失)になるかの判断が難しい。
【0038】
本実施形態では、冷却水ポンプ12の回転数と冷却水吐出圧力とにより冷却水の状態を検出し、それに応じて冷却水供給圧力を基準としてガス供給圧力を制御するか、ガス供給圧力を基準として冷却水供給圧力を制御するかを切り替えるようにるようにしているので、冷却水供給系全体の暖機状態を的確に把握して、これに応じて適切に圧力制御の切り替えを行うことができる。
【0039】
(第3の実施形態)
次に、コントロールユニット21が燃料電池1に対する空気や水素の供給圧力、冷却水の供給圧力を制御する処理のさらに他の例について説明する。本実施形態は、上述した第2の実施形態の変形例に相当するものであり、コントロールユニット21が、冷却水ポンプ12の回転数と冷却水吐出圧力とから検出した冷却水の状態と、外気温度から求められる基準となる冷却水の状態とを比較して、その比較結果に基づいて前記冷却水供給手段における障害を検出するようにしたものである。なお、本実施形態の燃料電池システムの構成も、上述した第1の実施形態のものと同様である。
【0040】
以下、本実施形態におけるコントロールユニット21の制御について、図5のフローチャートを用いて説明する。なお、図3に示した第2の実施形態の処理と同様の部分については、重複した説明は省略する。
【0041】
本実施形態では、起動時に、先ず、外気温センサ20によって外気温度Teが検出され、その情報がコントロールユニット21に送られる(ステップS21)。また、冷却水圧力が圧力センサ冷却水ポンプ12が所定の回転数で動作されて、そのときの冷却水圧力(吐出圧力)Pc0が圧力センサ19によって検出され、その情報がコントロールユニット21に送られる(ステップS22)。コントロールユニット21は、圧力センサ19によって検出された冷却水吐出圧力Pc0から、冷却水の状態Scを検出する(ステップS23)。
【0042】
次に、コントロールユニット21は、検出した冷却水の状態(検出値)Scと基本冷却水状態値Scbとの差分を求め、その差分を所定値γと比較する(ステップS24)。ここで、基本冷却水状態値Scbは、例えば図6に示すようなマップを用いて、外気温度Teに基づいて設定される値である。そして、冷却水の状態(検出値)Scと基本冷却水状態値Scbとの差分が所定値γよりも大きい場合には、コントロールユニット21は、冷却水供給系において何らかの障害が発生していると判断して、警告ランプを点灯させる等の警告処理を行う(ステップS25)。一方、冷却水の状態(検出値)Scと基本冷却水状態値Scbとの差分が所定値γ以下の場合には、図3に示した第2の実施形態のステップS13に進み、以後、第2の実施形態と同様の処理が行われる。
【0043】
冷却水温度が起動時に外気温度と同等の温度となっていると仮定すると、冷却ポンプ12を所定の回転数で動作させたときの冷却水供給系における圧力損失は計算可能である。そして、この計算された圧力損失と、実測された冷却水の状態検出値に基づく圧力損失とを比較したときに、その差分が大きくなっている場合には、冷却水供給系の配管のどこかがつまりを起こしていたり、冷却水が漏れ出しているといった障害が発生している可能性がある。そこで、本実施形態においては、冷却水供給系に何らかの障害が発生している可能性が検出されたときに、警告ランプを点灯させる等の警告処理を行って、その旨を報知するようにしている。
【0044】
以上のように、本実施形態によれば、冷却水供給系に万が一故障が発生した場合でも、それを素速く検出してその旨を報知するようにしているので、故障に対して迅速な対応を図ることが可能となり、信頼性の向上に寄与することができる。
【0045】
(第4の実施形態)
次に、コントロールユニット21が燃料電池1に対する空気や水素の供給圧力、冷却水の供給圧力を制御する処理のさらに他の例について説明する。本実施形態は、コントロールユニット21が、冷却水供給圧力を所定の閾値を越えないように制御すると共に、冷却水を加熱するエネルギ量を冷却水流量に応じて制御するようにしたものである。なお、本実施形態の燃料電池システムの構成も、上述した第1の実施形態のものと同様である。
【0046】
以下、本実施形態におけるコントロールユニット21の制御について、図7のフローチャートを用いて説明する。
【0047】
本実施形態では、起動時に、先ず、冷却水ポンプ12が所定の回転数で動作されて、そのときの冷却水圧力(吐出圧力)Pc0が圧力センサ19によって検出され、その情報がコントロールユニット21に送られる(ステップS31)。そして、コントロールユニット21は、圧力センサ19によって検出された冷却水吐出圧力Pc0から、冷却水の状態Scを検出する(ステップS32)。
【0048】
次に、コントロールユニット21は、検出した冷却水の状態(検出値)Scを基準値βと比較する(ステップS33)。そして、冷却水の状態(検出値)Scが基準値β以上の場合には、コントロールユニット21は、燃料電池1での要求発電量等に基づいて空気供給圧力や水素供給圧力(ガス供給圧力)を決定し、このガス供給圧力を基準として、冷却水の供給圧力がこのガス供給圧力を超えないように、且つ両者の差圧が過大にならないように、冷却水供給圧力を制御する(ステップS34)。これにより、燃料電池1の冷却経路のシール性の劣化、破損等を防ぐことができる。
【0049】
一方、冷却水の状態(検出値)Scが基準値βよりも小さい場合には、先ず、燃料電池1の冷却水入口に設けられた圧力センサ19によって冷却水供給圧力Pcが検出され、その情報がコントロールユニット21に送られる(ステップS35)。次に、コントロールユニット21は、圧力センサ19によって検出された冷却水供給圧力Pcを許容圧力δと比較する(ステップS36)。そして、冷却水供給圧力Pcが許容圧力δ以上となっている場合には、冷却水供給圧力Pcを下げるために冷却水ポンプ12の回転数をΔN回転分低下させ(ステップS37)、ステップS35に戻って再度冷却水供給圧力Pcを検出する。
【0050】
一方、冷却水供給圧力Pcが許容圧力δに満たない場合には、コントロールユニット21は、次に、燃料電池1に対する空気供給圧力や水素供給圧力(ガス供給圧力Pg)を冷却水供給圧力Pcより高く、且つ両者の差圧が過大にならないように設定する(ステップS38)。そして、この設定したガス供給圧力Pgとなるように、燃料電池1へ供給する空気や水素の圧力を制御する(ステップS39)。これにより、冷却水の流量を十分に確保しながら、燃料電池1の冷却経路のシール性の劣化、破損を防ぐことができる。なお、本実施形態においても、空気、水素のそれぞれの供給圧力を分けて設定するようにしてもよい。
【0051】
以上のような圧力制御を行った後、コントロールユニット21は、次に、冷却水供給系の加熱装置15による冷却水加熱量の設定を行う(ステップS40)。冷却水加熱量の設定に際しては、例えば図8に示すようなマップを用いて、冷却水ポンプ12の回転数と冷却水供給圧力Pcとから加熱量を設定する。これは、冷却水流量が少ないときに多くの熱量を冷却水に与えても、効率良く冷却水を加温できず、また一部分だけ高温になると冷却水の劣化の原因となってしまうからである。本実施形態では、以上のように、冷却水ポンプ12の回転数と冷却水供給圧力Pcとから求められる冷却水流量に応じて冷却水を加熱するエネルギ量を制御することで、以上のような問題を有効に回避できるようにしている。
【0052】
以上のように、本実施形態によれば、冷却水供給圧力を基準としてガス供給圧力を制御する場合であっても、冷却水供給圧力が許容値を越えないように制御しているので、冷却水経路のシール性の劣化や破損等をより効果的に防止することが可能である。また、冷却水を加熱するエネルギ量を冷却水流量に基づいて制御するようにしているので、冷却水に部分的に熱を与えすぎることによる無駄や、冷却水の劣化等の問題を有効に回避することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した燃料電池システムの概略構成を示す図である。
【図2】コントロールユニットにより圧力制御を行う処理の一例を示すフローチャートである。
【図3】コントロールユニットにより圧力制御を行う処理の他の例を示すフローチャートである。
【図4】冷却水ポンプを所定の回転数で動作させたときの冷却水吐出圧力と冷却水の状態検出値との関係を示す図である。
【図5】コントロールユニットにより圧力制御を行う処理のさらに他の例を示すフローチャートである。
【図6】外気温度と基本冷却水状態値との関係を示す図である。
【図7】コントロールユニットにより圧力制御を行う処理のさらに他の例を示すフローチャートである。
【図8】冷却水ポンプ回転数及び冷却水供給圧力と冷却水加熱量との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 燃料電池
2 コンプレッサ
4 圧力制御弁
6 水素タンク
7 圧力制御弁
11 冷却水循環配管
12 冷却水ポンプ
14 加熱装置
17,18,19 圧力センサ
20 外気温センサ
21 コントロールユニット
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池に冷却水を循環供給して燃料電池の温度調整を行う機能を備えた燃料電池システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池システムは、燃料電池の燃料極に燃料ガスとして水素を供給し、燃料電池の酸化剤極に酸化剤ガスとして空気を供給し、これら水素と空気中の酸素とを電気化学的に反応させて発電電力を得るものである。このような燃料電池システムは、例えば自動車の動力源等としての実用化に大きな期待が寄せられており、現在、実用化に向けての研究開発が盛んに行われている。
【0003】
燃料電池システムに用いられる燃料電池としては、例えば自動車に搭載する上で好適なものとして、固体高分子タイプの燃料電池が知られている。固体高分子タイプの燃料電池は、燃料極と酸化剤極との間に電解質膜として固体高分子膜が設けられたものである。この固体高分子タイプの燃料電池では、固体高分子膜がイオン伝導体として機能し、燃料極で水素が水素イオンと電子とに分離される反応が起き、酸化剤極で空気中の酸素と水素イオンと電子とから水を生成する反応が行われる。
【0004】
以上のような燃料電池システムにおいては、発電の際に燃料電池が発熱することから、これを冷却して適正な運転温度(80℃程度)に維持する必要があり、何らかの冷却機構を設ける必要がある。このような冷却機構としては、燃料電池に冷却水を循環供給して燃料電池の温度調整を行うものが一般的である。
【0005】
ところで、この種の冷却機構においては、冷却水の圧力が燃料電池に供給される燃料ガスや酸化剤ガスの圧力よりも高くなると、燃料電池において冷却水循環経路のシール性の劣化が進んだり、破損を引き起こす要因となる可能性がある。そこで、この種の冷却機構を備える燃料電池システムにおいては、従来、燃料電池に供給される燃料ガスや酸化剤ガスのガス供給圧力を基準として、冷却水供給の圧力がガス供給圧力を越えないように制御することで、燃料電池の冷却水循環経路のシール性の劣化や破損を防ぐようにしている(例えば、特許文献1等を参照)。
【0006】
特許文献1記載の技術では、燃料電池の発電出力増大に伴いガス供給圧力及び冷却水供給圧力を増大方向に調整する際に、冷却水供給圧力の目標値がガス供給圧力の目標値より遅れて立ち上がるようにすることで、冷却用に十分な冷却水流量を確保しつつ、冷却水供給圧力がガス供給圧力を越えるのを回避するようにしている。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−280036号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、以上のような従来の技術では、ガス系の供給圧力を基準として、冷却水の供給圧力がガス供給圧力を越えないように制御しているために、低温起動時等、冷却水粘度が高くなっているときには、冷却に必要な冷却水流量を確保することができない場合がある。
【0009】
また、冷却水を燃料電池の暖機促進に使うことを考えた場合、冷却水が十分に流れない状態であると、局部的に冷却水が温められることになって、燃料電池の暖機促進が効率よく行えない虞があり、さらには、局部的に冷却水の温度が上がるために冷却水の劣化が進むことも懸念される。
【0010】
本発明は、このような従来技術の有する課題を解決するために提案されたものであり、冷却水の供給圧力がガス系の供給圧力を上回らないようにしながら、低温起動時にも必要量の冷却水を確実に循環供給することができ、しかも燃料電池の暖機促進を効率的に行え、また冷却水の劣化の懸念のない燃料電池システムを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の燃料電池システムは、酸化剤ガス及び燃料ガスの供給により発電を行う燃料電池を備え、前記燃料電池に冷却水が循環供給される燃料電池システムである。このような燃料電池システムにおいて、本発明では、前述の目的を達成するため、冷却水の粘度が高くなる低温時に、前記冷却水の供給圧力を基準として、前記酸化剤ガス、燃料ガスのうちの少なくとも一方の供給圧力を制御することを特徴としている。
【0012】
冷却水は温度が低くなるにつれて粘度が高くなり圧力損失が増えるために、低温時には通常時と同じ供給圧力では必要な流量を確保することができなくなる。本発明では、冷却水の粘度が高くなる低温時には、これに応じて冷却水供給圧力を上げ、冷却水の流量を確保し得る冷却水供給圧力とする。このとき、冷却水供給圧力を基準として、酸化剤ガスや燃料ガスのガス供給圧力が冷却水供給圧力よりも若干高くなるように制御し、冷却水の供給圧力がガス供給圧力を越えないようにする。
【0013】
【発明の効果】
本発明の燃料電池システムによれば、低温起動時にも冷却水を確実に必要量循環させることができ、しかもガス系の供給圧力が冷却水供給圧力を上回ることなく運転することが可能である。したがって、低温起動時にも、燃料電池システムにおいて必要な冷却性能を確保しつつ、燃料電池の冷却水循環経路のシール性の劣化や破損を防止することができ、信頼性の高い燃料電池システムを構築することが可能である。
【0014】
また、本発明の燃料電池システムによれば、低温起動時にも必要量の冷却水が確実に循環されることから、局部的に冷却水が暖められることはなく、燃料電池の暖機促進を効率良く行うことが可能であり、冷却水の劣化も抑制できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した燃料電池システムについて、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
本発明を適用した燃料電池システムの概略構成を図1に示す。この燃料電池システムは、図1に示すように、主に、酸化剤ガス及び燃料ガスの供給により発電を行う燃料電池1と、この燃料電池1に酸化剤ガスである空気を供給する空気供給系と、燃料電池1に燃料ガスである水素を供給する水素供給系と、燃料電池1に冷却水を循環供給して燃料電池1を適正温度に維持する冷却水供給系とを備えて構成される。
【0017】
燃料電池1は、水素が供給される燃料極と空気が供給される酸化剤極とが電解質を挟んで重ね合わされて発電セルが構成されるとともに、複数の発電セルが多段積層されたスタック構造を有しており、水素と空気中の酸素とを基にした電気化学反応により化学エネルギを電気エネルギに変換するものである。この燃料電池1の各発電セルでは、燃料極に供給された水素が水素イオンと電子とに分離される反応が起き、水素イオンは電解質を通り、電子は外部回路を通って電力を発生させ、酸化剤極にそれぞれ移動する。酸化剤極では、供給された空気中の酸素と電解質を通って移動した水素イオン及び電子が反応して水が生成され、外部に排出される。
【0018】
燃料電池1の電解質としては、高エネルギ密度化、低コスト化、軽量化等を考慮して、例えば固体高分子電解質膜が用いられる。固体高分子電解質膜は、例えばフッ素樹脂系イオン交換膜等、イオン(プロトン)伝導性の高分子膜からなるものであり、飽和含水することによりイオン伝導性電解質として機能する。
【0019】
燃料電池1においては、酸化剤ガスである空気や燃料ガスである水素を各発電セルの酸化剤極や燃料極にそれぞれ供給する必要があり、そのための機構が空気供給系及び水素供給系である。
【0020】
空気供給系は、例えばコンプレッサ2、空気供給配管3、圧力制御弁4及び空気排気配管5等から構成され、コンプレッサ2によって外気から取り込まれた空気が、圧力制御弁4の動作により調圧され、空気供給配管3を通って燃料電池1の酸化剤極に送り込まれるようになっている。また、燃料電池1で消費されなかった酸素及び空気中の他の成分は、空気排気配管5から排出されるようになっている。
【0021】
水素供給系は、例えば水素供給源である水素タンク6、圧力制御弁7、水素供給配管8、エゼクタポンプ9及び水素循環配管10等から構成され、水素タンク6から供給される水素が、圧力制御弁7の動作によって調圧され、水素供給配管8を通って燃料電池1の燃料極に送り込まれるようになっている。また、燃料電池1での発電に寄与しなかった余剰分の水素が、水素循環配管10を通ってエゼクタポンプ9により循環され、新たに水素タンク6から供給される水素と混合されて、再び燃料電池1の燃料極に供給されるようになっている。なお、水素を循環させる機構としては、エゼクタポンプ9の代わりにコンプレッサ等を用いて、これを水素循環配管10に接続するようにしてもよい。
【0022】
電解質に固体高分子膜を用いた固体高分子型の燃料電池1は、適正な作動温度が80℃程度と比較的低いため、過熱時にはこれを冷却することが必要となる。また、低温起動時等においては燃料電池1を適正な作動温度に迅速に到達させるために、暖機促進を図る必要がある。そこで、燃料電池システムにおいては、燃料電池1に冷却水を循環供給する冷却水供給系を設け、これによって燃料電池1を適正温度に維持するようにしている。
【0023】
冷却水供給系は、冷却水を循環させつつ燃料電池1に供給するための冷却水循環配管11及び冷却水ポンプ12を有し、冷却水によって燃料電池1の温度調整を行って、燃料電池1を最適温度に維持するようになっている。冷却水循環配管11内にはラジエータ13が設けられており、燃料電池1の冷却により加熱された冷却水は、ここで冷却される。また、冷却水循環配管11にはその中途部で分岐するバイパス配管14が設けられており、このバイパス配管14内にラジエータ13と並列に加熱装置15が設けられている。そして、バイパス配管14を通る冷却水は、この加熱装置15によって加熱される。
【0024】
冷却水循環配管11のバイパス配管14が分岐する位置には、三方切り替え弁16が設けられており、この三方切り替え弁16を制御することにより、バイパス配管14を流れる冷却水の流量が制御されて、冷却水の温度が調整されることになる。
【0025】
また、本実施形態の燃料電池システムにおいては、燃料電池1の酸化剤極入口、燃料極入口及び冷却水入口に、それぞれ圧力センサ17,18,19が設けられており、さらにはシステム内の適所に外気温センサ20が設けられている。これら各圧力センサ17,18,19からの信号や外気温センサ20からの信号は、本実施形態の燃料電池システムにおける動作全般を司るコントロールユニット(制御手段)21に送られるようになっており、特に、本実施形態の燃料電池システムでは、コントロールユニット21が、これら各圧力センサ17,18,19からの信号や外気温センサ20からの信号に基づいて各種演算処理を行って制御信号を出力し、燃料電池1に対する空気や水素の供給圧力、冷却水の供給圧力を制御するようになっている。
【0026】
次に、以上のように構成される燃料電池システムにおいて、コントロールユニット21が燃料電池1に対する空気や水素の供給圧力、冷却水の供給圧力を制御する具体的な処理について説明する。
【0027】
燃料電池1に供給される冷却水は、温度が低くなるにつれて粘度が高くなり、圧損が増えるために、低温時は通常時(例えば、冷却水温60℃程度のとき)と同じ圧力では必要な流量を確保できなくなる。また、冷却水を燃料電池1の暖機促進に使う際には、冷却水が加熱装置15によって加熱されることになるが、冷却水の流れが滞っていると局部的に冷却水が温められ、燃料電池1の暖機促進を効率良く行うことができない。さらに、局部的に冷却水の温度が上がると、冷却水が劣化することも懸念される。
そこで、本実施形態の燃料電池システムでは、低温時には冷却水の流量を確保できるように、コントロールユニット21が、冷却水供給圧力を基準として空気供給圧力や水素供給圧力の圧力制御を行う。以下、このコントロールユニット21による圧力制御について、図2のフローチャートを用いて説明する。
【0028】
本実施形態の燃料電池システムにおいて、起動時には、先ず、外気温センサ20によって外気温度Teが検出され、その情報がコントロールユニット21に送られる(ステップS1)。コントロールユニット21は、外気温センサ20により検出された外気温度Teを基準温度αと比較する(ステップS2)。そして、外気温度Teが基準温度α以上の場合には、コントロールユニット21は、燃料電池1での要求発電量等に基づいて空気供給圧力や水素供給圧力(ガス供給圧力)を決定し、このガス供給圧力を基準として、冷却水の供給圧力がこのガス供給圧力を超えないように、且つ両者の差圧が過大にならないように、冷却水供給圧力を制御する(ステップS3)。これにより、燃料電池1の冷却経路のシール性の劣化、破損等を防ぐことができる。
【0029】
一方、外気温度Teが基準温度αより低い場合には、冷却水の流量が確保できるように、冷却水供給圧力を基準としてガス供給圧力が制御される。すなわち、先ず、燃料電池1の冷却水入口に設けられた圧力センサ19によって冷却水供給圧力Pcが検出され、その情報がコントロールユニット21に送られる(ステップS4)。次に、コントロールユニット21は、燃料電池1に対する空気供給圧力や水素供給圧力(ガス供給圧力Pg)を冷却水供給圧力Pcより高く、且つ両者の差圧が過大にならないように設定する(ステップS5)。そして、この設定したガス供給圧力Pgとなるように、燃料電池1へ供給する空気や水素の圧力を制御する(ステップS6)。これにより、冷却水の流量を十分に確保しながら、燃料電池1の冷却経路のシール性の劣化、破損を防ぐことができる。なお、本実施形態では、空気、水素のそれぞれの供給圧力を分けて設定していないが、それぞれのガス圧力を分けて設定するようにしてもよい。
【0030】
以上説明したように、本実施形態の燃料電池システムにおいては、低温時には、コントロールユニット21が冷却水供給圧力を基準として燃料電池1に対する空気供給圧力や水素供給圧力(ガス供給圧力)を制御するようにしているので、低温起動時に必要量の冷却水を確実に循環供給させることができ、且つ冷却水圧力がガス系圧力を上回ることのない適切な状態で燃料電池1の運転を行うことが可能となる。したがって、低温起動時にも、必要な冷却性能を確保しつつ、冷却経路のシール性の劣化や破損を防止することができ、高い信頼性を得ることができる。
【0031】
また、温度上昇後は燃料電池1の運転状態に応じてガス供給圧力を設定し、それに基づいて冷却水供給圧力の制御を行うように切り替えることで、通常時は最適な運転圧力で燃料電池1の運転を行うことができ、発電効率を向上させることができる。
【0032】
(第2の実施形態)
次に、コントロールユニット21が燃料電池1に対する空気や水素の供給圧力、冷却水の供給圧力を制御する処理の他の例について説明する。本実施形態は、コントロールユニット21が、冷却水ポンプ12の回転数と冷却水吐出圧力とから冷却水の状態を検出し、検出した冷却水の状態に応じて、冷却水供給圧力を基準としてガス供給圧力を制御するか、ガス供給圧力を基準として冷却水供給圧力を制御するかを切り替えるようにした例である。なお、本実施形態の燃料電池システムの構成は、上述した第1の実施形態のものと同様である。
【0033】
以下、本実施形態における圧力制御について、図3のフローチャートを用いて説明する。
【0034】
本実施形態では、起動時に、先ず、冷却水ポンプ12が所定の回転数で動作されて、そのときの冷却水圧力(吐出圧力)Pc0が圧力センサ19によって検出され、その情報がコントロールユニット21に送られる(ステップS11)。コントロールユニット21は、圧力センサ19によって検出された冷却水吐出圧力Pc0から、冷却水の状態Scを検出する(ステップS12)。ここで、冷却水ポンプ12を所定の回転数で動作させたときの冷却水吐出圧力Pc0と冷却水の状態Scとの関係は例えば図4のような関係となり、コントロールユニット21は図4に示すようなマップを用いて、冷却水吐出圧力Pc0から冷却水の状態Scを検出する。
【0035】
次に、コントロールユニット21は、検出した冷却水の状態(検出値)Scを基準値βと比較する(ステップS13)。そして、冷却水の状態(検出値)Scが基準値β以上の場合には、コントロールユニット21は、燃料電池1での要求発電量等に基づいて空気供給圧力や水素供給圧力(ガス供給圧力)を決定し、このガス供給圧力を基準として、冷却水の供給圧力がこのガス供給圧力を超えないように、且つ両者の差圧が過大にならないように、冷却水供給圧力を制御する(ステップS14)。これにより、燃料電池1の冷却経路のシール性の劣化、破損等を防ぐことができる。
【0036】
一方、冷却水の状態(検出値)Scが基準値βよりも小さい場合には、冷却水の流量が確保できるように、冷却水供給圧力を基準としてガス供給圧力が制御される。この冷却水供給圧力を基準としたガス供給圧力の制御は、上述した第1の実施形態と同様であり、先ず、燃料電池1の冷却水入口に設けられた圧力センサ19によって冷却水供給圧力Pcが検出され、その情報がコントロールユニット21に送られる(ステップS15)。次に、コントロールユニット21は、燃料電池1に対する空気供給圧力や水素供給圧力(ガス供給圧力Pg)を冷却水供給圧力Pcより高く、且つ両者の差圧が過大にならないように設定する(ステップS16)。そして、この設定したガス供給圧力Pgとなるように、燃料電池1へ供給する空気や水素の圧力を制御する(ステップS17)。これにより、冷却水の流量を十分に確保しながら、燃料電池1の冷却経路のシール性の劣化、破損を防ぐことができる。なお、本実施形態においても、空気、水素のそれぞれの供給圧力を分けて設定するようにしてもよい。
【0037】
以上のように、本実施形態では、冷却水の粘度が高くなっているかどうかといった冷却水の状態を、外気温度等の温度から間接的に判断するのではなく直接判断するようにしているので、上述した第1の実施形態の効果に加えて、圧力制御の切り替えをより適切に行えるといった効果が得られる。すなわち、冷却水の状態を外気温度や冷却水温度から判断しようとしても、例えば外気温度の場合、外気温が高くなっても冷却水は冷えたままで、粘度が高い場合がある。また、冷却水の温度を直接測定したとしても、場所により温度に差が有り、全体としてどの程度の粘度(圧力損失)になるかの判断が難しい。
【0038】
本実施形態では、冷却水ポンプ12の回転数と冷却水吐出圧力とにより冷却水の状態を検出し、それに応じて冷却水供給圧力を基準としてガス供給圧力を制御するか、ガス供給圧力を基準として冷却水供給圧力を制御するかを切り替えるようにるようにしているので、冷却水供給系全体の暖機状態を的確に把握して、これに応じて適切に圧力制御の切り替えを行うことができる。
【0039】
(第3の実施形態)
次に、コントロールユニット21が燃料電池1に対する空気や水素の供給圧力、冷却水の供給圧力を制御する処理のさらに他の例について説明する。本実施形態は、上述した第2の実施形態の変形例に相当するものであり、コントロールユニット21が、冷却水ポンプ12の回転数と冷却水吐出圧力とから検出した冷却水の状態と、外気温度から求められる基準となる冷却水の状態とを比較して、その比較結果に基づいて前記冷却水供給手段における障害を検出するようにしたものである。なお、本実施形態の燃料電池システムの構成も、上述した第1の実施形態のものと同様である。
【0040】
以下、本実施形態におけるコントロールユニット21の制御について、図5のフローチャートを用いて説明する。なお、図3に示した第2の実施形態の処理と同様の部分については、重複した説明は省略する。
【0041】
本実施形態では、起動時に、先ず、外気温センサ20によって外気温度Teが検出され、その情報がコントロールユニット21に送られる(ステップS21)。また、冷却水圧力が圧力センサ冷却水ポンプ12が所定の回転数で動作されて、そのときの冷却水圧力(吐出圧力)Pc0が圧力センサ19によって検出され、その情報がコントロールユニット21に送られる(ステップS22)。コントロールユニット21は、圧力センサ19によって検出された冷却水吐出圧力Pc0から、冷却水の状態Scを検出する(ステップS23)。
【0042】
次に、コントロールユニット21は、検出した冷却水の状態(検出値)Scと基本冷却水状態値Scbとの差分を求め、その差分を所定値γと比較する(ステップS24)。ここで、基本冷却水状態値Scbは、例えば図6に示すようなマップを用いて、外気温度Teに基づいて設定される値である。そして、冷却水の状態(検出値)Scと基本冷却水状態値Scbとの差分が所定値γよりも大きい場合には、コントロールユニット21は、冷却水供給系において何らかの障害が発生していると判断して、警告ランプを点灯させる等の警告処理を行う(ステップS25)。一方、冷却水の状態(検出値)Scと基本冷却水状態値Scbとの差分が所定値γ以下の場合には、図3に示した第2の実施形態のステップS13に進み、以後、第2の実施形態と同様の処理が行われる。
【0043】
冷却水温度が起動時に外気温度と同等の温度となっていると仮定すると、冷却ポンプ12を所定の回転数で動作させたときの冷却水供給系における圧力損失は計算可能である。そして、この計算された圧力損失と、実測された冷却水の状態検出値に基づく圧力損失とを比較したときに、その差分が大きくなっている場合には、冷却水供給系の配管のどこかがつまりを起こしていたり、冷却水が漏れ出しているといった障害が発生している可能性がある。そこで、本実施形態においては、冷却水供給系に何らかの障害が発生している可能性が検出されたときに、警告ランプを点灯させる等の警告処理を行って、その旨を報知するようにしている。
【0044】
以上のように、本実施形態によれば、冷却水供給系に万が一故障が発生した場合でも、それを素速く検出してその旨を報知するようにしているので、故障に対して迅速な対応を図ることが可能となり、信頼性の向上に寄与することができる。
【0045】
(第4の実施形態)
次に、コントロールユニット21が燃料電池1に対する空気や水素の供給圧力、冷却水の供給圧力を制御する処理のさらに他の例について説明する。本実施形態は、コントロールユニット21が、冷却水供給圧力を所定の閾値を越えないように制御すると共に、冷却水を加熱するエネルギ量を冷却水流量に応じて制御するようにしたものである。なお、本実施形態の燃料電池システムの構成も、上述した第1の実施形態のものと同様である。
【0046】
以下、本実施形態におけるコントロールユニット21の制御について、図7のフローチャートを用いて説明する。
【0047】
本実施形態では、起動時に、先ず、冷却水ポンプ12が所定の回転数で動作されて、そのときの冷却水圧力(吐出圧力)Pc0が圧力センサ19によって検出され、その情報がコントロールユニット21に送られる(ステップS31)。そして、コントロールユニット21は、圧力センサ19によって検出された冷却水吐出圧力Pc0から、冷却水の状態Scを検出する(ステップS32)。
【0048】
次に、コントロールユニット21は、検出した冷却水の状態(検出値)Scを基準値βと比較する(ステップS33)。そして、冷却水の状態(検出値)Scが基準値β以上の場合には、コントロールユニット21は、燃料電池1での要求発電量等に基づいて空気供給圧力や水素供給圧力(ガス供給圧力)を決定し、このガス供給圧力を基準として、冷却水の供給圧力がこのガス供給圧力を超えないように、且つ両者の差圧が過大にならないように、冷却水供給圧力を制御する(ステップS34)。これにより、燃料電池1の冷却経路のシール性の劣化、破損等を防ぐことができる。
【0049】
一方、冷却水の状態(検出値)Scが基準値βよりも小さい場合には、先ず、燃料電池1の冷却水入口に設けられた圧力センサ19によって冷却水供給圧力Pcが検出され、その情報がコントロールユニット21に送られる(ステップS35)。次に、コントロールユニット21は、圧力センサ19によって検出された冷却水供給圧力Pcを許容圧力δと比較する(ステップS36)。そして、冷却水供給圧力Pcが許容圧力δ以上となっている場合には、冷却水供給圧力Pcを下げるために冷却水ポンプ12の回転数をΔN回転分低下させ(ステップS37)、ステップS35に戻って再度冷却水供給圧力Pcを検出する。
【0050】
一方、冷却水供給圧力Pcが許容圧力δに満たない場合には、コントロールユニット21は、次に、燃料電池1に対する空気供給圧力や水素供給圧力(ガス供給圧力Pg)を冷却水供給圧力Pcより高く、且つ両者の差圧が過大にならないように設定する(ステップS38)。そして、この設定したガス供給圧力Pgとなるように、燃料電池1へ供給する空気や水素の圧力を制御する(ステップS39)。これにより、冷却水の流量を十分に確保しながら、燃料電池1の冷却経路のシール性の劣化、破損を防ぐことができる。なお、本実施形態においても、空気、水素のそれぞれの供給圧力を分けて設定するようにしてもよい。
【0051】
以上のような圧力制御を行った後、コントロールユニット21は、次に、冷却水供給系の加熱装置15による冷却水加熱量の設定を行う(ステップS40)。冷却水加熱量の設定に際しては、例えば図8に示すようなマップを用いて、冷却水ポンプ12の回転数と冷却水供給圧力Pcとから加熱量を設定する。これは、冷却水流量が少ないときに多くの熱量を冷却水に与えても、効率良く冷却水を加温できず、また一部分だけ高温になると冷却水の劣化の原因となってしまうからである。本実施形態では、以上のように、冷却水ポンプ12の回転数と冷却水供給圧力Pcとから求められる冷却水流量に応じて冷却水を加熱するエネルギ量を制御することで、以上のような問題を有効に回避できるようにしている。
【0052】
以上のように、本実施形態によれば、冷却水供給圧力を基準としてガス供給圧力を制御する場合であっても、冷却水供給圧力が許容値を越えないように制御しているので、冷却水経路のシール性の劣化や破損等をより効果的に防止することが可能である。また、冷却水を加熱するエネルギ量を冷却水流量に基づいて制御するようにしているので、冷却水に部分的に熱を与えすぎることによる無駄や、冷却水の劣化等の問題を有効に回避することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した燃料電池システムの概略構成を示す図である。
【図2】コントロールユニットにより圧力制御を行う処理の一例を示すフローチャートである。
【図3】コントロールユニットにより圧力制御を行う処理の他の例を示すフローチャートである。
【図4】冷却水ポンプを所定の回転数で動作させたときの冷却水吐出圧力と冷却水の状態検出値との関係を示す図である。
【図5】コントロールユニットにより圧力制御を行う処理のさらに他の例を示すフローチャートである。
【図6】外気温度と基本冷却水状態値との関係を示す図である。
【図7】コントロールユニットにより圧力制御を行う処理のさらに他の例を示すフローチャートである。
【図8】冷却水ポンプ回転数及び冷却水供給圧力と冷却水加熱量との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 燃料電池
2 コンプレッサ
4 圧力制御弁
6 水素タンク
7 圧力制御弁
11 冷却水循環配管
12 冷却水ポンプ
14 加熱装置
17,18,19 圧力センサ
20 外気温センサ
21 コントロールユニット
Claims (7)
- 酸化剤ガス及び燃料ガスの供給により発電を行う燃料電池を備え、前記燃料電池に冷却水が循環供給される燃料電池システムにおいて、
前記冷却水の粘度が高くなる低温時に、前記冷却水の供給圧力を基準として、前記酸化剤ガス、燃料ガスのうちの少なくとも一方の供給圧力を制御することを特徴とする燃料電池システム。 - 酸化剤ガス及び燃料ガスの供給により発電を行う燃料電池と、
前記燃料電池に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給手段と、
前記燃料電池に燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段と、
前記燃料電池に冷却水を循環供給する冷却水供給手段と、
前記酸化剤ガス供給手段によるガス供給圧力と、前記燃料ガス供給手段によるガス供給圧力と、前記冷却水供給手段による冷却水供給圧力とをそれぞれ制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記冷却水の粘度が高くなる低温時と判断されるときに、前記冷却水供給手段による冷却水供給圧力を基準として、前記酸化剤ガス供給手段と前記燃料ガス供給手段との少なくとも一方によるガス供給圧力を制御することを特徴とする燃料電池システム。 - 外気温度を検出する外気温センサをさらに備え、
前記制御手段は、前記外気温センサにより検出された外気温度に応じて、前記冷却水供給手段による冷却水供給圧力を基準として前記酸化剤ガス供給手段と前記燃料ガス供給手段との少なくとも一方によるガス供給圧力を制御するか、前記酸化剤ガス供給手段と前記燃料ガス供給手段との少なくとも一方によるガス供給圧力を基準として前記冷却水供給手段による冷却水供給圧力を制御するかを切り替えることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。 - 前記冷却水供給手段は冷却水ポンプを有し、
前記制御手段は、前記冷却水ポンプの回転数と冷却水吐出圧力とから冷却水の状態を検出し、検出した冷却水の状態に応じて、前記冷却水供給手段による冷却水供給圧力を基準として前記酸化剤ガス供給手段と前記燃料ガス供給手段との少なくとも一方によるガス供給圧力を制御するか、前記酸化剤ガス供給手段と前記燃料ガス供給手段との少なくとも一方によるガス供給圧力を基準として前記冷却水供給手段による冷却水供給圧力を制御するかを切り替えることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。 - 外気温度を検出する外気温センサをさらに備え、
前記制御手段は、前記冷却水ポンプの回転数と冷却水吐出圧力とから検出した冷却水の状態と、前記外気温センサにより検出される外気温度から求められる基準となる冷却水の状態とを比較して、その比較結果に基づいて前記冷却水供給手段における障害を検出することを特徴とする請求項4に記載の燃料電池システム。 - 前記制御手段は、前記冷却水供給圧力が所定の閾値を越えないように制御することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
- 前記冷却水供給手段は冷却水を加熱する加熱装置を有し、
前記制御手段は、前記加熱装置により冷却水を加熱するエネルギ量を冷却水流量に応じて制御することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
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2003
- 2003-03-27 JP JP2003088848A patent/JP2004296326A/ja active Pending
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