JP2004152538A - メタルバック付き蛍光面とその形成方法および画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】FEDのような画像表示装置のメタルバック付き蛍光面において、異常放電の発生を抑制し耐電圧特性を向上させるとともに、輝度を高める。
【解決手段】本発明は、フェースプレート内面に蛍光体層およびメタルバック層を有する蛍光面であり、蛍光体層上に、SiO2、Naのようなアルカリ金属を含むSiO2、Al2O3、TiO2、ZrO2などの無機酸化物の少なくとも1種を含む第1の処理層が形成され、その上にメタルバック層が形成されている。さらにメタルバック層上にも、前記した無機酸化物を含む第2の処理層を形成することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明は、フェースプレート内面に蛍光体層およびメタルバック層を有する蛍光面であり、蛍光体層上に、SiO2、Naのようなアルカリ金属を含むSiO2、Al2O3、TiO2、ZrO2などの無機酸化物の少なくとも1種を含む第1の処理層が形成され、その上にメタルバック層が形成されている。さらにメタルバック層上にも、前記した無機酸化物を含む第2の処理層を形成することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像表示装置に適用されるメタルバック付き蛍光面とその形成方法、およびメタルバック付き蛍光面を有する画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、陰極線管(CRT)などの画像表示装置では、蛍光体層の内面(電子源側の面)にアルミニウム(Al)膜などの金属膜が形成されたメタルバック方式の蛍光面が広く採用されている。
【0003】
この蛍光面の金属膜はメタルバック層と呼ばれ、電子源から放出された電子により蛍光体から発せられた光のうちで、電子源側に進む光をフェースプレート側へ反射して輝度を高めること、および蛍光面に導電性を付与しアノード電極の役割を果たすことを目的としたものである。また、真空外囲器内に残留するガスの電離により生じるイオンによって、蛍光体が損傷することを防ぐ機能をも有している。
【0004】
長年の間、このようなメタルバック方式の蛍光面を適用したCRTが、表示装置の主流を占めていたが、近年、装置の薄型化・大型化に対するニーズの高まりにより、冷陰極を用いた電子線無偏向型のフィールドエミッション方式の画像表示装置(FED)の開発が急速に進められている。
【0005】
一般に画像表示装置では、アノード(メタルバック側)とカソード(電子源側)との間の電位差が大きいほど、高い発光輝度を得ることができるが、装置の薄型化に伴いアノードとカソードとの間の距離が狭まることで、電極間に異常放電が発生しやすいという問題があった。そして、異常放電が発生すると、安定した画像を表示することができないばかりでなく、数Aから数百Aに及ぶ大きな放電電流が瞬時に流れるため、カソード部の電子放出素子やアノード部の蛍光面が破壊され、あるいは損傷を受けるおそれがあった。
【0006】
異常放電が発生した場合のこのようなダメージを緩和するために、アノード電極として使用しているメタルバック層に間隙を設け、ジグザグ状(蛇行状)や平面コイル状(スパイラル状)に形成して放電電流を低減する技術が、に提案されている。そして、アノード電極を加工形成する方法として、レーザによる切断やメタルマスクによる蒸着の方法が示されている。(例えば、特許文献1、特許文献2参照)
【0007】
【特許文献1】
特開2000−251797号公報(第2頁、第3−4頁)
【特許文献2】
特開2000−311642号公報(第2頁、第5−6頁)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記したメタルバック層を平面コイル状などに形成して放電電流を低減する方法は、異常放電が発生した場合にメタルバック層や電子源の損傷・破壊を抑制するための技術であり、異常放電の起こる確率そのものを減らすことができなかった。
【0009】
そして、異常放電の発生を抑制する対策として、従来から、放電の起こらないような領域まで電子線加速電圧を下げる方法が採られているが、この方法では、電極間の間隙(ギャップ)が狭い画像表示装置ほど、電子線加速電圧を低くしなければならず、したがってFEDでは発光輝度が極めて低くなるのが現状であった。
【0010】
また、本発明者らは、FEDのような薄型の画像表示装置において、メタルバック層の表面に放電トリガとなる突起部がない場合でも、異常放電の発生により、カソード側にメタルバック層の微細片が多数付着することに着目した。そして、放電を起こした画像表示装置の蛍光面を調べたところ、図16に示すように、メタルバック層21であるAl膜の表面に無数の微小な突起22が形成され、この突起22部が剥れかけていることを見つけた。
【0011】
このことから、アノード−カソード間の電界によるメタルバック層21を引き剥す力が、蛍光体層23とメタルバック層21との間の接着力を上回った場合に、メタルバック層21に微小な突起22のかたちで剥れが形成され、これが放電トリガとなって異常放電が発生するものと考えられる。なお、図中符号24はフェースプレート、25はブラックマトリクスである光吸収層を示す。
【0012】
本発明は、これらの点に鑑みてなされたものであり、耐電圧特性が良好で、異常放電の発生を引き起こすことなく電子線加速電圧を高めることができ、発光輝度の高い薄型の画像表示装置に適用可能なメタルバック付き蛍光面を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、FEDのような薄型の画像表示装置において、蛍光体層とメタルバック層との間の接着力と放電発生との相関関係について、鋭意実験を重ねた結果得られたものである。
【0014】
本発明のメタルバック付き蛍光面は、フェースプレート内面に蛍光体層およびメタルバック層を有する蛍光面であり、前記蛍光体層上に、酸化ケイ素、アルカリ金属元素の1種または2種以上を含むケイ素酸化物、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウムから選ばれる1種または2種以上の無機酸化物を含有する第1の処理層が形成され、その上にメタルバック層が形成されていることを特徴とする。
【0015】
本発明のメタルバック付き蛍光面において、第1の処理層中の無機酸化物の含有量を、蛍光体層中の蛍光体の含有量に対して、2〜20%の割合とすることができる。また、第1の処理層は、二酸化ケイ素(SiO2)と酸化チタン(TiO2)および酸化ジルコニウム(ZrO2)をそれぞれ含むことができる。そして、第1の処理層中での各成分の含有割合を、二酸化ケイ素をa%、酸化チタンをb%、酸化ジルコニウムをc%としたとき、次の式が全て成り立たせるようにすることで、さらに効果を発揮する。
【0016】
a < −b +100
a ≦ −0.5b +80
a ≧ −b +70
c = 100−(a+b)
(但し、a>0、b>0、c>0)
【0017】
さらに、本発明のメタルバック付き蛍光面においては、メタルバック層上に、酸化ケイ素、アルカリ金属元素の1種または2種以上を含むケイ素酸化物、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウムから選ばれる1種または2種以上の無機酸化物を含有する第2の処理層を有することができる。そして、第2の処理層中の無機酸化物の含有量を、蛍光体層上のメタルバック層の単位面積当たりの成分重量として、4〜40μg/cm2とすることができる。また、第2の処理層が、二酸化ケイ素(SiO2)と酸化チタン(TiO2)および酸化ジルコニウム(ZrO2)をそれぞれ含むことができる。さらに、第2の処理層中での各成分の含有割合を、二酸化ケイ素をa%、酸化チタンをb%、酸化ジルコニウムをc%としたとき、次の式が全て成り立たせるようにすることで、さらに効果を発揮する。
【0018】
a < −b +100
a ≦ −0.5b +80
a ≧ −b +70
c = 100−(a+b)
(但し、a>0、b>0、c>0)
【0019】
本発明のメタルバック付き蛍光面の形成方法は、フェースプレート内面に蛍光体層を形成する工程と、前記蛍光体層上に、酸化ケイ素、アルカリ金属元素の1種または2種以上を含むケイ素酸化物、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウムから選ばれる1種または2種以上の無機酸化物を含有する第1の処理層を形成する工程と、前記第1の処理層の上にメタルバック層を形成する工程とを備えることを特徴とする。
【0020】
本発明のメタルバック付き蛍光面の形成方法において、第1の処理層を形成する工程が、蛍光体層上に、水を溶媒の主成分とする塗布液を塗布・乾燥して下層塗膜を形成する工程と、該工程により形成された下層塗膜の上に、有機溶剤を溶媒の主成分とする塗布液を塗布・乾燥し上層塗膜を形成する工程と、前記下層塗膜と上層塗膜とが積層された塗膜を加熱処理し、無機酸化物を主体とする層を形成する工程を備えることができる。また、第1の処理層を形成する工程が、Si、Ti、Zrから選ばれる少なくとも1種のアルコレート(アルコキシド)を溶液中で加水分解し重合する工程と、前記工程により得られたオリゴマーを含む液を塗布・乾燥して塗膜を形成する工程と、前記塗膜を加熱処理し、無機酸化物を主体とする層を形成する工程を備えることができる。
【0021】
さらに、本発明のメタルバック付き蛍光面の形成方法においては、メタルバック層上に、酸化ケイ素、アルカリ金属元素の1種または2種以上を含むケイ素酸化物、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウムから選ばれる1種または2種以上の無機酸化物を含有する第2の処理層を形成する工程をさらに備えることができる。そして、第2の処理層を形成する工程が、Si、Ti、Zrから選ばれる少なくとも1種のアルコレート(アルコキシド)を溶液中で加水分解し重合する工程と、前記工程により得られたオリゴマーを含む液を塗布・乾燥して塗膜を形成する工程と、前記塗膜を加熱処理し、無機酸化物を主体とする層を形成する工程を備えることができる。また、第2の処理層を形成する工程において、スパッタリング法により、Siターゲットの溶射時に酸素を導入しつつSiOx層を形成することができる。
【0022】
本発明の画像表示装置は、フェースプレートと、前記フェースプレートと対向配置されたリアプレートと、前記リアプレート上に形成された多数の電子放出素子と、前記フェースプレート上に前記リアプレートに対向して形成され、前記電子放出素子から放出される電子線により発光する蛍光面とを具備し、前記蛍光面が、前記した本発明のメタルバック付き蛍光面であることを特徴とする。
【0023】
本発明のメタルバック付き蛍光面においては、蛍光体層上に、酸化ケイ素、アルカリ金属元素の1種または2種以上を含むケイ素酸化物、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウムから選ばれる1種または2種以上の無機酸化物を含有する第1の処理層が形成され、その上にメタルバック層が形成されているので、前記した無機酸化物を含む層とメタルバック層との接着強度が大きく、電圧印加によるメタルバック層の剥れが生じにくい。したがって、耐電圧特性に優れ異常放電が起こりにくい。また、電子線加速電圧を高くすることができるので、発光輝度の高い画像表示装置を得ることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0025】
図1は、本発明のメタルバック付き蛍光面の第1の実施形態を示す断面図である。
【0026】
図1において、符号1はガラス基板(フェースプレート)を示す。このガラス基板1の内面には、黒色顔料などから成る所定のパターン(例えばストライプ状)の光吸収層2がフォトリソ法などにより形成されており、これらの光吸収層2のパターンの上に、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の蛍光体層3が、ZnS系、Y2O3系、Y2O2S系などの蛍光体液を用いたスラリー法により形成されている。なお、各色の蛍光体層3の形成は、スプレー法や印刷法で行うこともできる。スプレー法や印刷法においても、必要に応じてフォトリソグラフィによるパターニングを併用することができる。
【0027】
この蛍光体層3上に、無機酸化物を含有する第1の処理層4が形成され、さらにその上にメタルバック層5が形成されている。ここで、無機酸化物としては、二酸化ケイ素(SiO2)、Na,K,Liのようなアルカリ金属を含むケイ素酸化物、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化チタン(TiO2)、あるいは酸化ジルコニウム(ZrO2)などが挙げられる。
【0028】
これらの層を形成するには、例えば、コロイダルシリカ液あるいはNaシリケート(水ガラス)液を塗布・乾燥し、得られ塗膜を加熱処理(ベーキング)する方法を採ることができる。コロイダルシリカ液を塗布・乾燥し加熱処理することにより、シリカ(SiO2)粒子層が形成される。また、Naシリケート液を塗布・乾燥し加熱処理する方法では、Naが部分結合された二酸化ケイ素(ケイ酸アルカリガラスNa2O・nSiO2)層が形成される。
【0029】
さらに、ゾルゲル法を用い、Si、Ti、Zrから選ばれる少なくとも1種の元素のアルコレート(アルコキシド)から、SiO2、TiO2、ZrO2から選ばれる少なくとも1種の酸化物を含む膜を形成することもできる。例えば、エチルシリケートやメチルシリケートのようなアルコレート(アルコキシド)を溶液中で加水分解させ重縮合させて得られるオリゴマーを含む液を塗布・乾燥し、さらに塗膜を加熱処理(ベーキング)することにより、SiO2膜を形成することができる。
【0030】
またさらに、二酸化ケイ素(SiO2)と酸化チタン(TiO2)および酸化ジルコニウム(ZrO2)の3成分を含む共重合タイプの酸化物で第1の処理層を構成することにより、発光輝度の低下を抑え、かつメタルバック層の接着力を最大限に向上させることができる。このとき、第1の処理層中での各成分の含有割合は、二酸化ケイ素をa%、酸化チタンをb%、酸化ジルコニウムをc%としたときに、次の式が全て成り立つようにすることが望ましい。
【0031】
a < −b +100
a ≦ −0.5b +80
a ≧ −b +70
c = 100−(a+b)
(但し、a>0、b>0、c>0)
【0032】
さらに、第1の実施形態においては、このような無機酸化物を含有する第1の処理層4の上に、Al膜のような金属膜から成るメタルバック層5が形成されている。メタルバック層5を形成するには、例えばスピン法で形成されたニトロセルロース等の有機樹脂からなる薄い膜の上に、Alなどの金属膜を真空蒸着し、さらに約400〜450℃の温度で加熱処理(ベーキング)して有機物を分解・除去する方法を採ることができる。
【0033】
第1の実施形態においては、蛍光体層3上に、二酸化ケイ素(SiO2)、Na,K,Liのようなアルカリ金属を含むケイ素酸化物、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化チタン(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)のような無機酸化物を含有する第1の処理層4が設けられ、その上にメタルバック層5が形成されているので、メタルバック層5の下層との接着強度が大きく、電界が印加された場合もメタルバック層5の剥れが生じにくい。したがって、異常放電が起こりにくく、耐電圧特性に優れている。
【0034】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0035】
第2の実施形態のメタルバック付き蛍光面では、図2に示すように、メタルバック層5上に第2の処理層6が形成されている。なお、その他の部分の構成は第1の実施形態と同一であるので、説明を省略する。
【0036】
第2の処理層6を構成する材料としては、第1の処理層4と同種の無機酸化物を挙げることができる。また、第1の処理層4の形成と同様にして第2の処理層6を形成することができる。さらに、第2の処理層6の形成では、Siターゲットを使用し、真空容器内に酸素を導入しながらスパッタリング法によりSiOx層を溶射・形成することも可能である。
【0037】
第2の実施形態においては、蛍光体層3上に二酸化ケイ素(SiO2)、酸化チタン(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)等の無機酸化物を含む第1の処理層4が形成されているうえに、メタルバック層5上にも前記した無機酸化物を含む第2の処理層6が形成されているので、メタルバック層5の接着強度がさらに向上する。したがって、メタルバック層5の剥れがよりいっそう生じにくく、異常放電の発生が防止される。
【0038】
このように、蛍光体層3上への第1の処理層4の形成と、メタルバック層5上への第2の処理層6の形成とを併用し最適化することで、メタルバック層5の接着力を増大し効率的に耐電圧特性を向上させることができる。
【0039】
さらに、本発明の第3の実施形態として、以下に示すように、2段階で第1の処理層を形成することができる。
【0040】
すなわち、蛍光体層上に、まずコロイダルシリカ液やNaシリケート液のような水を溶媒とする塗布液を塗布・乾燥することにより、有機溶剤のバリアとなる下層塗膜を形成した後、この下層塗膜の上に、アルコキシドを加水分解し重縮合させたオリゴマーを含む混合液のような、有機溶剤を溶媒とする塗布液を塗布・乾燥することにより、上層の塗膜を形成することができる。その後、下層塗膜と上層塗膜とが積層された塗膜全体を加熱処理(ベーキング)することにより、無機酸化物から成る処理層が形成される。こうして、有機溶媒の付着による蛍光体の劣化を抑え、輝度低下を防止することができる。
【0041】
次に、本発明の第4の実施形態として、メタルバック付き蛍光面をアノード電極とするFEDを、図3に示す。
【0042】
このFEDでは、前記した第1の実施形態のメタルバック付き蛍光面Mを有するフェースプレート7と、マトリックス状に配列された電子放出素子8を有するリアプレート9とが、1mm〜数mm程度の狭い間隙を介して対向配置され、フェースプレート7とリアプレート9との間に、5〜15kVの高電圧が印加されるように構成されている。図中符号10は支持枠(側壁)を示す。
【0043】
フェースプレート7とリアプレート9との間隙が極めて狭く、これらの間で放電(絶縁破壊)が起こりやすいが、このFEDでは、メタルバック層の接着強度が大きく剥れが生じにくいので、放電トリガとなる突起部が生じにくい。したがって、放電の発生が抑制され耐圧特性が大幅に向上する。
【0044】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。以下の実施例で、%は全て重量%を示す。
【0045】
実施例1
固形分濃度を調整したコロイダルシリカの塗布液と、同じく固形分濃度を調整したNaシリケートの塗布液により、蛍光体層上に塗膜を形成し、蛍光体層−メタルバック層間の接着力と放電発生との相関関係を調べた。試料の作製手順を以下に示す。
【0046】
まず、縦10cm×横10cmのソーダガラスの基板をフェースプレートとし、その上にスラリー法により、青色の蛍光体層を形成した。
【0047】
次いで、純水希釈により固形分濃度を2%、5%、10%、20%にそれぞれ調整したコロイダルシリカ液、および同様に濃度を調整したNaシリケート(水ガラス)液を、前記蛍光体層の上にスプレー法により塗布し、塗膜を形成した。また、比較のために、蛍光体層上に前記した塗膜を形成しないものも用意した。
【0048】
次に、こうして形成された塗膜の上に、公知のラッカー法によりフィルミングを行い、有機被膜を形成した後、有機被膜上にAlを蒸着し、膜厚100nmのAl膜を形成した。しかる後、430℃で30分間加熱処理(ベーキング)を行い、有機分を分解・除去した。こうして、蛍光体層上に無機酸化物から成る第1の処理層を形成した。
【0049】
なお、最終的に加熱処理(ベーキング)を行うことにより、コロイダルシリカ液により形成された塗膜は、シリカ(SiO2)粒子から成る層となる。同様に、Naシリケート液により形成された塗膜は、Naが部分結合されたケイ素酸化物(ケイ酸アルカリガラスNa2O・nSiO2)粒子から成る層となる。
【0050】
次いで、こうして作製されたメタルバック付き蛍光面の試料において、メタルバック層の接着力を、以下に示すようにして評価した。まず、厚さ20μmのポリエチレンフィルム上に、酢酸ビニルのトルエン溶液(固形分濃度1%、2%、4%)をバーコーターにより塗布・乾燥し、粘着力の異なる3種類の粘着シートを作製した。
【0051】
これらの粘着シートを1cm×1cm角にカットし、粘着面が各試料のメタルバック層(Al膜)の表面に接するように配置した。次いで、ゴムローラーにより3kgfの荷重で押圧した後、粘着シートを剥し取った。そして、剥離された粘着シートの粘着面へのAl膜の付着具合を調べ、点数をつけた。粘着面にAl膜が全く付着しない場合を4点、小片状に剥れた少量のAl膜が付着する場合を3点、試料からAl膜の半分程度が剥れて粘着面に付着する場合を2点、Al膜の殆どが剥れる場合を1点、Al膜が全て剥れる場合を0点とし、3種類の粘着シートでの合計点(12点満点)で評価を行った。
【0052】
以上のような方法でメタルバック層の接着力を評価した結果を、図4のグラフaおよび図5のグラフaにそれぞれ示す。なお、図4は、コロイダルシリカ液の固形分濃度と接着力の評価点数との関係を示し、図5は、Naシリケート(水ガラス)液の固形分濃度と接着力の評価点数との関係を示す。
【0053】
図4および図5から、コロイダルシリカ液およびNaシリケート液の塗布においては、いずれの場合も、塗布液中の固形分濃度が高くなるほど、形成される第1の処理層とメタルバック層との間の接着力が増大することがわかる。しかし、固形分濃度がある値以上となると、濃度の増加による接着力の増大効果は飽和する。
【0054】
次に、同様の試料について、以下に示すようにして耐電圧特性を評価した。すなわち、前述の方法で作製されたメタルバック付き蛍光面の試料と、ソーダガラス板上にITO膜を蒸着により形成した基板とを、ITO蒸着面がメタルバック付き蛍光面と対向するように配置し、それらのギャップを2mmに保持した。次いで、雰囲気を1×10−5Pa程度の真空とし、メタルバック付き蛍光面を陽極、ITO膜を陰極として直流電源に接続して、擬似的な電子線加速装置を作製した。
【0055】
次に、このような電子線加速装置において、0.1kV/秒の速さで電極間に電位差を設けていき、放電の起こった電圧Vaを測定した。1種類の蛍光面について数十個のVaを測定した後、Vaの平均値から標準偏差σの3倍を減じた電圧(Va―3σ)を、試料の限界保持電圧とした。
【0056】
以上のような方法で試料の耐電圧特性を評価した結果を、図6のグラフaおよび図7のグラフaにそれぞれ示す。なお、図6は、コロイダルシリカ液の固形分濃度と限界保持電圧との関係を示し、図7は、Naシリケート液の固形分濃度と限界保持電圧との関係を示す。
【0057】
図6および図7から、コロイダルシリカ液とNaシリケート液の塗布においては、いずれの場合も、塗布液中の固形分濃度が高くなるほど、試料の限界保持電圧が高くなることがわかる。しかし、固形分濃度がある値以上となると濃度の増加による限界保持電圧の増大効果は飽和する。
【0058】
さらに、図4〜図7から、メタルバック層の接着力が大きいメタルバック付き蛍光面の試料ほど、限界保持電圧が高くなり、異常放電が起きにくいことが確認された。
【0059】
実施例2
メタルバック層上への塗膜の形成と、メタルバック層の接着力並びに耐電圧特性との関係を、以下に示すようにして調べた。
【0060】
すなわち、実施例1で作製された各試料のメタルバック層(Al膜)の上に、純水希釈により固形分濃度を2%、5%、10%、20%にそれぞれ調整したコロイダルシリカ液と、同様に固形分濃度を調整したNaシリケート液を、スプレー法により塗布し、塗膜を形成した。しかる後、430℃で30分間加熱処理(ベーキング)を行い、メタルバック層上に無機酸化物から成る第2の処理層を形成した。
【0061】
次に、こうして作製された試料の接着力および耐電圧特性を、実施例1と同様にして測定・評価した。接着力を評価した結果を、図4のグラフb〜eおよび図5のグラフb〜eにそれぞれ示す。限界保持電圧の測定結果を、図6のグラフb〜eおよび図7のグラフb〜eにそれぞれ示す。
【0062】
なお、図4のグラフbおよび図6のグラフbは、コロイダルシリカ液により蛍光体層上に第1の処理層を形成するとともに、固形分濃度が2%のコロイダルシリカ液によりAl膜上に第2の処理層を形成したものを示し、同様に蛍光体層上の塗布液がコロイダルシリカ液であり、Al膜上の塗布液が5%、10%、20%のコロイダルシリカ液であるものを、図4および図6のグラフc、グラフd、グラフeにそれぞれ示す。
【0063】
また、図5のグラフbおよび図7のグラフbは、Naシリケート液により蛍光体層上に第1の処理層を形成するとともに、固形分濃度が2%のNaシリケート液によりAl膜上に第2の処理層を形成したものを示し、同様に蛍光体層上の塗布液がNaシリケート液であり、Al膜上の塗布液が5%、10%、20%のNaシリケート液であるものを、図5および図7のグラフc、グラフd、グラフeにそれぞれ示す。
【0064】
図4〜図7の各グラフから、蛍光体層上に第1の処理層を形成することなくAl膜上に第2の処理層を形成しただけでは、メタルバック層の接着力を増大し耐電圧特性を向上させる効果が得られないことがわかる。そして、蛍光体層上に第1の処理層を形成するとともにAl膜上に第2の処理層を形成した場合には、第1の処理層と第2の処理層との相乗効果により、メタルバック層の接着力がさらに増大し耐電圧特性が向上することがわかる。さらに、蛍光体層上に塗布する液(コロイダルシリカ液またはNaシリケート液)の固形分濃度が高くなるほど、接着力向上の相乗効果が大きくなることがわかる。
【0065】
実施例3
Al膜上に第2の処理層を形成したことによる効果は、この処理層がAl膜に存在するピンホール等の微小欠点を補修するためではないかと考えられる。それを検証するため、予めAl膜上にキズを付けたもので、実施例2と同様の試験を行い、耐電圧特性(限界保持電圧)を測定・評価した。測定結果を、図8のグラフa〜eおよび図9のグラフa〜eにそれぞれ示す。
【0066】
蛍光体層上に塗布する液がコロイダルシリカ液であり、かつAl膜上への塗布処理を行わなかったものを、図8のグラフaに示し、同様に蛍光体層上の塗布液がコロイダルシリカ液であり、Al膜上に塗布する液が固形分濃度2%、5%、10%、20%のコロイダルシリカ液であるものを、図8のグラフb、グラフc、グラフd、グラフeにそれぞれ示す。
【0067】
また、蛍光体層上に塗布する液がNaシリケート液であり、Al膜上への塗布処理を行わなかったものを、図9のグラフaに示し、同様に蛍光体層上の塗布液がNaシリケート液であり、Al膜上に塗布する液が固形分濃度2%、5%、10%、20%のNaシリケート液であるものを、図9のグラフb、グラフc、グラフd、グラフeにそれぞれ示す。
【0068】
図8および図9から、Al膜にキズをつけた場合には、蛍光体層上への第1の処理層形成による耐電圧の向上効果が低減することがわかる。しかし、蛍光体層上に第1の処理層を形成するとともにAl膜上にさらに第2の処理層を形成することで、耐電圧特性の向上効果が、キズなしのものと同等レベルまで回復する。
【0069】
次に、メタルバック付き蛍光面における限界保持電圧の下限値を調べるために、駆動電圧(アノード電圧)を5〜15kVの範囲で変化させ、メタルバック層であるAl膜の膜厚と発光輝度(相対輝度)との関係を測定した。測定結果を図10に示す。
【0070】
図10中グラフaは、アノード電圧が5kVの場合、bは7kV、cは10kV、dは15kVの場合をそれぞれ示す。駆動電圧が低いほど、Al膜の膜厚が50nm前後のところに輝度のピークが現れる。Alの膜厚を50nm前後に設定したとき、駆動電圧が3kV未満では、電子線がメタルバック層を通過しにくく、蛍光体がほとんど発光しない。したがって、メタルバック方式の蛍光面においては、限界保持電圧が3kV以上でないと、蛍光面として成立しないことになる。
【0071】
塗布液であるコロイダルシリカ液あるいはNaシリケート液中の固形分濃度と、これらの塗布液から形成される第1または第2の処理層中の無機酸化物の含有量は比例する。したがって、前記した塗布液中の固形分濃度の最適範囲から、第1または第2の処理層中の無機酸化物の含有量の最適範囲を求めることができる。
【0072】
まず、試料のAl膜形成面に粘着テープを指で押圧し貼り付けた。次いで、粘着テープを剥し取り、Al膜より下層(分解試料a)と、Al膜を含むAl膜より上層(分解試料b)に分離した。次いで、各々を酸により分解し、ICP−AES法により元素分析を行った。
【0073】
分解試料aについては、蛍光体の単位面積当りの重量を次の方法により求めた。まず、使用した青色蛍光体の母体成分であるZnの重量を求めた後、ZnSに換算し蛍光体の重量とした。次に、第1の処理層成分であるSiの重量を求めた後、SiO2に換算し、第1の処理層の重量とした。
【0074】
すなわち、第1の処理層中の無機酸化物の含有量(単位面積当り。以下同じ。)が、蛍光体層中の蛍光体の単位面積当りの含有量に対して2〜20%の割合のとき、3kV以上の限界保持電圧を有するメタルバック付き蛍光面が得られ、薄型表示装置の蛍光面として使用可能になる。そして、Al膜上にもさらに処理層(第2の処理層)を形成する場合も同様の手法を用い、分解試料bにおけるSiO2の重量を求めた結果、第2の処理層中の無機酸化物の含有量を、蛍光体層上のメタルバック層の単位面積当たりの成分重量として、4〜40μg/cm2とすることにより、さらに限界保持電圧を高めることができる。第2の処理層中の無機酸化物が4〜40μg/cm2を超えると、限界保持電圧の向上効果は飽和し、それ以上改善されない。
【0075】
実施例4
まず、各種のアルコキシドを加水分解し重縮合させたオリゴマーを含む混合液を、以下に示すようにして調製した。アルコキシドとして、ケイ酸テトラエチル(テトラエトキシシラン)とチタン酸テトラエチル(テトラエトキシチタン)およびジルコニウムテトラ‐n‐ブトキシドの少なくとも1種を使用し、使用するアルコキシド数だけ加水分解を段階的に行い、オリゴマーが混合された塗布液を調製した。
【0076】
すなわち、第1のアルコキシドに、エタノール、硝酸、純水を適量加え、数十分間撹拌した後、これに第2のアルコキシドと純水を適量加え、数十分間撹拌した。第3のアルコキシドを使用する場合は、これを純水とともに適量加え、さらに数十分間撹拌した。その後、液を50℃に昇温し適当な時間撹拌した後、さらに純水を適量加え、50℃で適当な時間撹拌した。次いで、室温程度まで降温した後、IPA(イソプロピルアルコール)を加えて3〜5倍に希釈し、ゲル化を抑えて塗布液とした。なお、アルコキシド以外の構成材料と撹拌時間、希釈濃度などの条件は、アルコキシドの配合量により適宜調整した。
【0077】
次いで、以上の手順を経て調製された2種以上のオリゴマーを含む混合液を、コロイダルシリカ液およびNaシリケート液の代わりに使用し、蛍光体層上にスプレー法により塗膜を形成した。次に、こうして形成された塗膜の上に、公知のラッカー法でフィルミング処理を行い有機被膜を形成した後、有機被膜上に蒸着法によりAlを蒸着し、膜厚100nmのAl膜を形成し、430℃で30分間加熱処理(ベーキング)を行い、有機分を分解・除去した。さらに、こうして形成されたAl膜上にも、必要に応じて前記した混合液を用いて塗膜を形成した後、塗膜を加熱処理(ベーキング)した。
【0078】
こうして、蛍光体層上およびAl膜上に、SiO2成分、TiO2成分およびZrO2成分が、それぞれ表1に示す比率(重量比)でマトリクス状に結合された処理層を形成した。なお、混合液を塗布する際には、加熱処理により最終的に形成される無機酸化物全体の単位面積当りの含有量が、下層の蛍光体の含有量に対して10%の割合になるように、混合液の固形分濃度および塗布厚を調整した。
【0079】
また、種々の配合比に調整し得られたメタルバック付き蛍光面の試料について、その配合量と接着力の関係を調べた。結果を図11に示す。図11は、SiO2とTiO2の比率に対する接着力の分布を示し、比率の残部はZrO2の比率である。図中、領域Aは接着力が8点未満の領域で、コロイダルシリカ、Naシリケート等を単体で使用した場合と接着力が変わらなかった領域、領域Bは接着力が8〜10点で若干向上した領域、領域Cは接着力が12点満点であった領域をそれぞれ示す。
【0080】
図11に示すように、TiO2、ZrO2の比率が高まるほど、接着力は向上している。近似数式で表すと、SiO2をa%、TiO2をb%、ZrO2をc%としたとき、次の式が全て成り立つ領域で、接着力がより向上するといえる。
【0081】
a < −b +100
a ≦ −0.5b +80
a ≧ −b +70
c = 100−(a+b)
(但し、a>0、b>0、c>0)
【0082】
次に、同様にして限界保持電圧を調べたところ、上記の分布とほぼ比例する関係が得られた。領域Aの限界保持電圧は6kV未満、領域Bの限界保持電圧は6〜9kV、領域Cにおいては限界保持電圧が9〜12kVであった。
【0083】
また、ZrO2の成分であるZrは原子番号が大きく、電子線の透過率低下が懸念されるため、前記試料について輝度低下率を調べた。
【0084】
測定は、以下に示す方法により行った。輝度測定装置の概略構造を、図12に示す。図中符号11は、試料を内蔵する真空チャンバー兼アース、12は真空ポンプ、13は試料取り出し用蓋、14は輝度測定用ガラス窓、15は偏向ヨーク、16はCRT用電子銃、17は電子銃大気遮断装置、18はアノード供給端子をそれぞれ示す。
【0085】
まず、試料を真空チャンバー内にメタルバックが電子銃側になるように設置し、メタルバックとアノード端子を接続する。メタルバックの成膜に起因する放電が起こらないように、電子銃と試料との間を30cmとした。真空チャンバー内を1×10−5程度の真空にし、所望のアノード電圧で、電子銃、偏向ヨークを駆動し、輝度測定ガラス窓より輝度を測定した。測定結果を図13に示す。
【0086】
図13は、SiO2とTiO2の比率に対するアノード電圧5kVのときの輝度低下率の分布を示し、比率の残部はZrO2の比率である。図中、領域Aは輝度低下率が30%以上で実用に供し得ない領域、領域Bは輝度低下率が10%以上30%未満で実用レベルの領域、領域Cは輝度低下率が10%未満で輝度が特に良好な領域をそれぞれ示す。
【0087】
図13に示されるように、ZrO2の比率が高まるほど輝度低下率が高まる。近似数式で表すと、SiO2をa%、TiO2をb%、ZrO2をc%としたとき、次の式が全て成り立つ領域で、実用レベルの輝度特性を維持することができる。
【0088】
a < −b +100
a ≦ −0.5b +80
a ≧ −b +70
c = 100−(a+b)
(但し、a>0、b>0、c>0)
【0089】
前述の結果をまとめると、SiO2,TiO2,ZrO2のマトリクス結合膜の接着力の高い性能を輝度の実用域で効率的に活用するために、前記それぞれの領域の合成領域において配合比を決定すればよい。これを、図14の領域Aに示す。近似数式で表すと、SiO2をa%、TiO2をb%、ZrO2をc%としたとき、次の式が全て成り立つ領域で、実用レベルの輝度特性を維持しつつ接着力および限界保持電圧を向上することができる。
【0090】
a < −b +100
a ≦ −0.5b +80
a ≧ −b +70
c = 100−(a+b)
(但し、a>0、b>0、c>0)
【0091】
また、上記組成範囲内で、さらにメタルバック上への第2の処理層の形成・試験したところ、コロイダルシリカ等と同様の傾向が得られ、相乗効果があることもわかった。前記合成領域の範囲で、限界保持電圧が最大20kVに達するものも得られた。
【0092】
また、ゾルゲル法で、ケイ素アルコキシドとチタンアルコキシドとを加水分解・重縮合(共重合)させることにより得られる、SiO2成分とTiO2成分とが所定の比率でマトリックス状に結合した酸化物(以下、SiO2・TiO2共重合タイプの酸化物と示す。)を、蛍光体層上に設けた場合にも、接着力および耐電圧特性の向上効果が得られた。さらに、SiO2・ZrO2共重合タイプの酸化物を蛍光体層上に設けた場合には、メタルバック層の接着力および耐電圧特性がさらに大きく向上した。
【0093】
2種以上の成分が共重合したタイプの酸化物を設けたものでは、ZrO2成分の含有比率が高いほど、接着力および耐電圧特性の向上効果が大きくなる。
【0094】
また、Al膜上の処理については、コロイダルシリカ液およびNaシリケート液により処理を行った場合と同様の効果が得られた。すなわち、蛍光体層上に混合液により処理を行うとともにAl膜上にも処理を行った場合には、これらの相乗効果によりメタルバック層の接着力がさらに増大し、耐電圧特性が向上する。
【0095】
実施例5
蛍光体層上およびAl膜上への無機酸化物層の形成により、電子線の透過率が低下し、輝度特性が劣化することが予測されるため、実施例1、2および実施例4でそれぞれ作製されたメタルバック付き蛍光面の試料について、アノード電圧5kV時の発光輝度の測定を前記と同様の方法で行った。測定の結果得られた、メタルバック層の接着力と輝度低下との関係を示すグラフを、図15に示す。
【0096】
図中(a)は、コロイダルシリカ液あるいはNaシリケート液を塗布した場合の輝度劣化率を示す。どのような組み合わせにおいても、ほぼ同様の結果を得た。接着力飽和濃度まで輝度劣化は少なく、接着力の飽和点で塗布すれば実用的に問題はない。図中(b)は、SiO2:20%、TiO2:70%、ZrO2:10%の比率のもの、(c)はSiO2:15%、TiO2:60%、ZrO2:25%の比率のものをそれぞれ示す。
【0097】
濃度変更により接着力が変化するが、(b)のグラフをみると、輝度劣化は接着力に依存せず、一様に約7%程度輝度が劣化していることがわかる。そこで、蛍光体層がゾルゲル液の溶媒で溶解・変形しているのではないかと考え、次の試験を行った。
【0098】
まず、水溶媒であるNaシリケート液を塗布乾燥した後、SiO2:20%、TiO2:70%、ZrO2:10%の比率のものと、SiO2:15%、TiO2:60%、ZrO2:25%の比率のものを、濃度を可変し、接着力の様々な液を塗布した。もう一度輝度評価をしたところ、図中の(d)、(e)で示すようになり、輝度劣化が抑制された。
【0099】
この図に示すように、蛍光体層上およびAl膜上ともに、コロイダルシリカ液あるいはNaシリケート液の塗布により無機酸化物から成る層を形成した試料では、メタルバック層の接着力が向上する度合いに対する発光輝度低下の度合いが大きくなっている。これに対して、アルコキシドを加水分解し重合させたオリゴマーを含む混合液から得られる無機酸化物の層を有する試料では、接着力の向上に対する輝度低下の度合いが少ない。
【0100】
TiO2成分を含む無機酸化物の層を有する試料では、発光輝度の低下が少なく、特にSiO2・TiO2共重合タイプの酸化物層が形成された試料は、輝度特性に優れている。また、SiO2・ZrO2共重合タイプの酸化物層を有する試料では、メタルバック層の接着力が大幅に改善されている。
【0101】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、メタルバック層の接着強度が大きく、電圧印加によるメタルバック層の剥れが生じにくい蛍光面が得られる。したがって、耐電圧特性に優れ異常放電が起こりにくいので、電子線加速電圧を高くすることができ、高電圧駆動で発光輝度の高い薄型表示装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るメタルバック付き蛍光面の第1の実施形態を示す断面図。
【図2】本発明に係るメタルバック付き蛍光面の第2の実施形態を示す断面図。
【図3】本発明の第4の実施形態であるFEDの構造を示す断面図。
【図4】実施例において、コロイダルシリカ液の固形分濃度とメタルバック層の接着力との関係を測定・評価した結果を示すグラフ。
【図5】実施例において、Naシリケート液の固形分濃度とメタルバック層の接着力との関係を測定・評価した結果を示すグラフ。
【図6】実施例において、コロイダルシリカ液の固形分濃度と限界保持電圧との関係を測定・評価した結果を示すグラフ。
【図7】実施例において、Naシリケート液の固形分濃度と限界保持電圧との関係を測定・評価した結果を示すグラフ。
【図8】実施例において、予めAl膜上にキズを付けた場合のコロイダルシリカ液の固形分濃度と限界保持電圧との関係を測定・評価した結果を示すグラフ。
【図9】実施例において、予めAl膜上にキズを付けた場合のNaシリケート液の固形分濃度と限界保持電圧との関係を測定・評価した結果を示すグラフ。
【図10】メタルバック層であるAl膜の膜厚と発光輝度との関係を測定した結果を示すグラフ。
【図11】実施例において、メタルバック付き蛍光面の試料についてSiO2およびTiO2の配合比率と接着力との関係を調べた結果を示すグラフ。
【図12】実施例で使用する輝度測定装置の概略構造を示す図。
【図13】実施例において、メタルバック付き蛍光面の試料についてSiO2およびTiO2の配合比率とアノード電圧5kVのときの輝度低下率との関係を調べた結果を示すグラフ。
【図14】実施例におけるSiO2,TiO2,ZrO2のマトリクス結合膜において、輝度特性を維持しつつ接着力および限界保持電圧が向上した合成領域を示す図。
【図15】実施例において、メタルバック層の接着力と輝度低下との関係を測定した結果を示すグラフ。
【図16】放電を起こした画像表示装置の蛍光面の状態を示す断面図。
【符号の説明】
1………ガラス基板(フェースプレート)、2………光吸収層、3………蛍光体層、4………無機酸化物を含有する第1の処理層、5………メタルバック層、6………無機酸化物を含有する第2の処理層
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像表示装置に適用されるメタルバック付き蛍光面とその形成方法、およびメタルバック付き蛍光面を有する画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、陰極線管(CRT)などの画像表示装置では、蛍光体層の内面(電子源側の面)にアルミニウム(Al)膜などの金属膜が形成されたメタルバック方式の蛍光面が広く採用されている。
【0003】
この蛍光面の金属膜はメタルバック層と呼ばれ、電子源から放出された電子により蛍光体から発せられた光のうちで、電子源側に進む光をフェースプレート側へ反射して輝度を高めること、および蛍光面に導電性を付与しアノード電極の役割を果たすことを目的としたものである。また、真空外囲器内に残留するガスの電離により生じるイオンによって、蛍光体が損傷することを防ぐ機能をも有している。
【0004】
長年の間、このようなメタルバック方式の蛍光面を適用したCRTが、表示装置の主流を占めていたが、近年、装置の薄型化・大型化に対するニーズの高まりにより、冷陰極を用いた電子線無偏向型のフィールドエミッション方式の画像表示装置(FED)の開発が急速に進められている。
【0005】
一般に画像表示装置では、アノード(メタルバック側)とカソード(電子源側)との間の電位差が大きいほど、高い発光輝度を得ることができるが、装置の薄型化に伴いアノードとカソードとの間の距離が狭まることで、電極間に異常放電が発生しやすいという問題があった。そして、異常放電が発生すると、安定した画像を表示することができないばかりでなく、数Aから数百Aに及ぶ大きな放電電流が瞬時に流れるため、カソード部の電子放出素子やアノード部の蛍光面が破壊され、あるいは損傷を受けるおそれがあった。
【0006】
異常放電が発生した場合のこのようなダメージを緩和するために、アノード電極として使用しているメタルバック層に間隙を設け、ジグザグ状(蛇行状)や平面コイル状(スパイラル状)に形成して放電電流を低減する技術が、に提案されている。そして、アノード電極を加工形成する方法として、レーザによる切断やメタルマスクによる蒸着の方法が示されている。(例えば、特許文献1、特許文献2参照)
【0007】
【特許文献1】
特開2000−251797号公報(第2頁、第3−4頁)
【特許文献2】
特開2000−311642号公報(第2頁、第5−6頁)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記したメタルバック層を平面コイル状などに形成して放電電流を低減する方法は、異常放電が発生した場合にメタルバック層や電子源の損傷・破壊を抑制するための技術であり、異常放電の起こる確率そのものを減らすことができなかった。
【0009】
そして、異常放電の発生を抑制する対策として、従来から、放電の起こらないような領域まで電子線加速電圧を下げる方法が採られているが、この方法では、電極間の間隙(ギャップ)が狭い画像表示装置ほど、電子線加速電圧を低くしなければならず、したがってFEDでは発光輝度が極めて低くなるのが現状であった。
【0010】
また、本発明者らは、FEDのような薄型の画像表示装置において、メタルバック層の表面に放電トリガとなる突起部がない場合でも、異常放電の発生により、カソード側にメタルバック層の微細片が多数付着することに着目した。そして、放電を起こした画像表示装置の蛍光面を調べたところ、図16に示すように、メタルバック層21であるAl膜の表面に無数の微小な突起22が形成され、この突起22部が剥れかけていることを見つけた。
【0011】
このことから、アノード−カソード間の電界によるメタルバック層21を引き剥す力が、蛍光体層23とメタルバック層21との間の接着力を上回った場合に、メタルバック層21に微小な突起22のかたちで剥れが形成され、これが放電トリガとなって異常放電が発生するものと考えられる。なお、図中符号24はフェースプレート、25はブラックマトリクスである光吸収層を示す。
【0012】
本発明は、これらの点に鑑みてなされたものであり、耐電圧特性が良好で、異常放電の発生を引き起こすことなく電子線加速電圧を高めることができ、発光輝度の高い薄型の画像表示装置に適用可能なメタルバック付き蛍光面を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、FEDのような薄型の画像表示装置において、蛍光体層とメタルバック層との間の接着力と放電発生との相関関係について、鋭意実験を重ねた結果得られたものである。
【0014】
本発明のメタルバック付き蛍光面は、フェースプレート内面に蛍光体層およびメタルバック層を有する蛍光面であり、前記蛍光体層上に、酸化ケイ素、アルカリ金属元素の1種または2種以上を含むケイ素酸化物、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウムから選ばれる1種または2種以上の無機酸化物を含有する第1の処理層が形成され、その上にメタルバック層が形成されていることを特徴とする。
【0015】
本発明のメタルバック付き蛍光面において、第1の処理層中の無機酸化物の含有量を、蛍光体層中の蛍光体の含有量に対して、2〜20%の割合とすることができる。また、第1の処理層は、二酸化ケイ素(SiO2)と酸化チタン(TiO2)および酸化ジルコニウム(ZrO2)をそれぞれ含むことができる。そして、第1の処理層中での各成分の含有割合を、二酸化ケイ素をa%、酸化チタンをb%、酸化ジルコニウムをc%としたとき、次の式が全て成り立たせるようにすることで、さらに効果を発揮する。
【0016】
a < −b +100
a ≦ −0.5b +80
a ≧ −b +70
c = 100−(a+b)
(但し、a>0、b>0、c>0)
【0017】
さらに、本発明のメタルバック付き蛍光面においては、メタルバック層上に、酸化ケイ素、アルカリ金属元素の1種または2種以上を含むケイ素酸化物、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウムから選ばれる1種または2種以上の無機酸化物を含有する第2の処理層を有することができる。そして、第2の処理層中の無機酸化物の含有量を、蛍光体層上のメタルバック層の単位面積当たりの成分重量として、4〜40μg/cm2とすることができる。また、第2の処理層が、二酸化ケイ素(SiO2)と酸化チタン(TiO2)および酸化ジルコニウム(ZrO2)をそれぞれ含むことができる。さらに、第2の処理層中での各成分の含有割合を、二酸化ケイ素をa%、酸化チタンをb%、酸化ジルコニウムをc%としたとき、次の式が全て成り立たせるようにすることで、さらに効果を発揮する。
【0018】
a < −b +100
a ≦ −0.5b +80
a ≧ −b +70
c = 100−(a+b)
(但し、a>0、b>0、c>0)
【0019】
本発明のメタルバック付き蛍光面の形成方法は、フェースプレート内面に蛍光体層を形成する工程と、前記蛍光体層上に、酸化ケイ素、アルカリ金属元素の1種または2種以上を含むケイ素酸化物、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウムから選ばれる1種または2種以上の無機酸化物を含有する第1の処理層を形成する工程と、前記第1の処理層の上にメタルバック層を形成する工程とを備えることを特徴とする。
【0020】
本発明のメタルバック付き蛍光面の形成方法において、第1の処理層を形成する工程が、蛍光体層上に、水を溶媒の主成分とする塗布液を塗布・乾燥して下層塗膜を形成する工程と、該工程により形成された下層塗膜の上に、有機溶剤を溶媒の主成分とする塗布液を塗布・乾燥し上層塗膜を形成する工程と、前記下層塗膜と上層塗膜とが積層された塗膜を加熱処理し、無機酸化物を主体とする層を形成する工程を備えることができる。また、第1の処理層を形成する工程が、Si、Ti、Zrから選ばれる少なくとも1種のアルコレート(アルコキシド)を溶液中で加水分解し重合する工程と、前記工程により得られたオリゴマーを含む液を塗布・乾燥して塗膜を形成する工程と、前記塗膜を加熱処理し、無機酸化物を主体とする層を形成する工程を備えることができる。
【0021】
さらに、本発明のメタルバック付き蛍光面の形成方法においては、メタルバック層上に、酸化ケイ素、アルカリ金属元素の1種または2種以上を含むケイ素酸化物、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウムから選ばれる1種または2種以上の無機酸化物を含有する第2の処理層を形成する工程をさらに備えることができる。そして、第2の処理層を形成する工程が、Si、Ti、Zrから選ばれる少なくとも1種のアルコレート(アルコキシド)を溶液中で加水分解し重合する工程と、前記工程により得られたオリゴマーを含む液を塗布・乾燥して塗膜を形成する工程と、前記塗膜を加熱処理し、無機酸化物を主体とする層を形成する工程を備えることができる。また、第2の処理層を形成する工程において、スパッタリング法により、Siターゲットの溶射時に酸素を導入しつつSiOx層を形成することができる。
【0022】
本発明の画像表示装置は、フェースプレートと、前記フェースプレートと対向配置されたリアプレートと、前記リアプレート上に形成された多数の電子放出素子と、前記フェースプレート上に前記リアプレートに対向して形成され、前記電子放出素子から放出される電子線により発光する蛍光面とを具備し、前記蛍光面が、前記した本発明のメタルバック付き蛍光面であることを特徴とする。
【0023】
本発明のメタルバック付き蛍光面においては、蛍光体層上に、酸化ケイ素、アルカリ金属元素の1種または2種以上を含むケイ素酸化物、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウムから選ばれる1種または2種以上の無機酸化物を含有する第1の処理層が形成され、その上にメタルバック層が形成されているので、前記した無機酸化物を含む層とメタルバック層との接着強度が大きく、電圧印加によるメタルバック層の剥れが生じにくい。したがって、耐電圧特性に優れ異常放電が起こりにくい。また、電子線加速電圧を高くすることができるので、発光輝度の高い画像表示装置を得ることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0025】
図1は、本発明のメタルバック付き蛍光面の第1の実施形態を示す断面図である。
【0026】
図1において、符号1はガラス基板(フェースプレート)を示す。このガラス基板1の内面には、黒色顔料などから成る所定のパターン(例えばストライプ状)の光吸収層2がフォトリソ法などにより形成されており、これらの光吸収層2のパターンの上に、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の蛍光体層3が、ZnS系、Y2O3系、Y2O2S系などの蛍光体液を用いたスラリー法により形成されている。なお、各色の蛍光体層3の形成は、スプレー法や印刷法で行うこともできる。スプレー法や印刷法においても、必要に応じてフォトリソグラフィによるパターニングを併用することができる。
【0027】
この蛍光体層3上に、無機酸化物を含有する第1の処理層4が形成され、さらにその上にメタルバック層5が形成されている。ここで、無機酸化物としては、二酸化ケイ素(SiO2)、Na,K,Liのようなアルカリ金属を含むケイ素酸化物、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化チタン(TiO2)、あるいは酸化ジルコニウム(ZrO2)などが挙げられる。
【0028】
これらの層を形成するには、例えば、コロイダルシリカ液あるいはNaシリケート(水ガラス)液を塗布・乾燥し、得られ塗膜を加熱処理(ベーキング)する方法を採ることができる。コロイダルシリカ液を塗布・乾燥し加熱処理することにより、シリカ(SiO2)粒子層が形成される。また、Naシリケート液を塗布・乾燥し加熱処理する方法では、Naが部分結合された二酸化ケイ素(ケイ酸アルカリガラスNa2O・nSiO2)層が形成される。
【0029】
さらに、ゾルゲル法を用い、Si、Ti、Zrから選ばれる少なくとも1種の元素のアルコレート(アルコキシド)から、SiO2、TiO2、ZrO2から選ばれる少なくとも1種の酸化物を含む膜を形成することもできる。例えば、エチルシリケートやメチルシリケートのようなアルコレート(アルコキシド)を溶液中で加水分解させ重縮合させて得られるオリゴマーを含む液を塗布・乾燥し、さらに塗膜を加熱処理(ベーキング)することにより、SiO2膜を形成することができる。
【0030】
またさらに、二酸化ケイ素(SiO2)と酸化チタン(TiO2)および酸化ジルコニウム(ZrO2)の3成分を含む共重合タイプの酸化物で第1の処理層を構成することにより、発光輝度の低下を抑え、かつメタルバック層の接着力を最大限に向上させることができる。このとき、第1の処理層中での各成分の含有割合は、二酸化ケイ素をa%、酸化チタンをb%、酸化ジルコニウムをc%としたときに、次の式が全て成り立つようにすることが望ましい。
【0031】
a < −b +100
a ≦ −0.5b +80
a ≧ −b +70
c = 100−(a+b)
(但し、a>0、b>0、c>0)
【0032】
さらに、第1の実施形態においては、このような無機酸化物を含有する第1の処理層4の上に、Al膜のような金属膜から成るメタルバック層5が形成されている。メタルバック層5を形成するには、例えばスピン法で形成されたニトロセルロース等の有機樹脂からなる薄い膜の上に、Alなどの金属膜を真空蒸着し、さらに約400〜450℃の温度で加熱処理(ベーキング)して有機物を分解・除去する方法を採ることができる。
【0033】
第1の実施形態においては、蛍光体層3上に、二酸化ケイ素(SiO2)、Na,K,Liのようなアルカリ金属を含むケイ素酸化物、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化チタン(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)のような無機酸化物を含有する第1の処理層4が設けられ、その上にメタルバック層5が形成されているので、メタルバック層5の下層との接着強度が大きく、電界が印加された場合もメタルバック層5の剥れが生じにくい。したがって、異常放電が起こりにくく、耐電圧特性に優れている。
【0034】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0035】
第2の実施形態のメタルバック付き蛍光面では、図2に示すように、メタルバック層5上に第2の処理層6が形成されている。なお、その他の部分の構成は第1の実施形態と同一であるので、説明を省略する。
【0036】
第2の処理層6を構成する材料としては、第1の処理層4と同種の無機酸化物を挙げることができる。また、第1の処理層4の形成と同様にして第2の処理層6を形成することができる。さらに、第2の処理層6の形成では、Siターゲットを使用し、真空容器内に酸素を導入しながらスパッタリング法によりSiOx層を溶射・形成することも可能である。
【0037】
第2の実施形態においては、蛍光体層3上に二酸化ケイ素(SiO2)、酸化チタン(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)等の無機酸化物を含む第1の処理層4が形成されているうえに、メタルバック層5上にも前記した無機酸化物を含む第2の処理層6が形成されているので、メタルバック層5の接着強度がさらに向上する。したがって、メタルバック層5の剥れがよりいっそう生じにくく、異常放電の発生が防止される。
【0038】
このように、蛍光体層3上への第1の処理層4の形成と、メタルバック層5上への第2の処理層6の形成とを併用し最適化することで、メタルバック層5の接着力を増大し効率的に耐電圧特性を向上させることができる。
【0039】
さらに、本発明の第3の実施形態として、以下に示すように、2段階で第1の処理層を形成することができる。
【0040】
すなわち、蛍光体層上に、まずコロイダルシリカ液やNaシリケート液のような水を溶媒とする塗布液を塗布・乾燥することにより、有機溶剤のバリアとなる下層塗膜を形成した後、この下層塗膜の上に、アルコキシドを加水分解し重縮合させたオリゴマーを含む混合液のような、有機溶剤を溶媒とする塗布液を塗布・乾燥することにより、上層の塗膜を形成することができる。その後、下層塗膜と上層塗膜とが積層された塗膜全体を加熱処理(ベーキング)することにより、無機酸化物から成る処理層が形成される。こうして、有機溶媒の付着による蛍光体の劣化を抑え、輝度低下を防止することができる。
【0041】
次に、本発明の第4の実施形態として、メタルバック付き蛍光面をアノード電極とするFEDを、図3に示す。
【0042】
このFEDでは、前記した第1の実施形態のメタルバック付き蛍光面Mを有するフェースプレート7と、マトリックス状に配列された電子放出素子8を有するリアプレート9とが、1mm〜数mm程度の狭い間隙を介して対向配置され、フェースプレート7とリアプレート9との間に、5〜15kVの高電圧が印加されるように構成されている。図中符号10は支持枠(側壁)を示す。
【0043】
フェースプレート7とリアプレート9との間隙が極めて狭く、これらの間で放電(絶縁破壊)が起こりやすいが、このFEDでは、メタルバック層の接着強度が大きく剥れが生じにくいので、放電トリガとなる突起部が生じにくい。したがって、放電の発生が抑制され耐圧特性が大幅に向上する。
【0044】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。以下の実施例で、%は全て重量%を示す。
【0045】
実施例1
固形分濃度を調整したコロイダルシリカの塗布液と、同じく固形分濃度を調整したNaシリケートの塗布液により、蛍光体層上に塗膜を形成し、蛍光体層−メタルバック層間の接着力と放電発生との相関関係を調べた。試料の作製手順を以下に示す。
【0046】
まず、縦10cm×横10cmのソーダガラスの基板をフェースプレートとし、その上にスラリー法により、青色の蛍光体層を形成した。
【0047】
次いで、純水希釈により固形分濃度を2%、5%、10%、20%にそれぞれ調整したコロイダルシリカ液、および同様に濃度を調整したNaシリケート(水ガラス)液を、前記蛍光体層の上にスプレー法により塗布し、塗膜を形成した。また、比較のために、蛍光体層上に前記した塗膜を形成しないものも用意した。
【0048】
次に、こうして形成された塗膜の上に、公知のラッカー法によりフィルミングを行い、有機被膜を形成した後、有機被膜上にAlを蒸着し、膜厚100nmのAl膜を形成した。しかる後、430℃で30分間加熱処理(ベーキング)を行い、有機分を分解・除去した。こうして、蛍光体層上に無機酸化物から成る第1の処理層を形成した。
【0049】
なお、最終的に加熱処理(ベーキング)を行うことにより、コロイダルシリカ液により形成された塗膜は、シリカ(SiO2)粒子から成る層となる。同様に、Naシリケート液により形成された塗膜は、Naが部分結合されたケイ素酸化物(ケイ酸アルカリガラスNa2O・nSiO2)粒子から成る層となる。
【0050】
次いで、こうして作製されたメタルバック付き蛍光面の試料において、メタルバック層の接着力を、以下に示すようにして評価した。まず、厚さ20μmのポリエチレンフィルム上に、酢酸ビニルのトルエン溶液(固形分濃度1%、2%、4%)をバーコーターにより塗布・乾燥し、粘着力の異なる3種類の粘着シートを作製した。
【0051】
これらの粘着シートを1cm×1cm角にカットし、粘着面が各試料のメタルバック層(Al膜)の表面に接するように配置した。次いで、ゴムローラーにより3kgfの荷重で押圧した後、粘着シートを剥し取った。そして、剥離された粘着シートの粘着面へのAl膜の付着具合を調べ、点数をつけた。粘着面にAl膜が全く付着しない場合を4点、小片状に剥れた少量のAl膜が付着する場合を3点、試料からAl膜の半分程度が剥れて粘着面に付着する場合を2点、Al膜の殆どが剥れる場合を1点、Al膜が全て剥れる場合を0点とし、3種類の粘着シートでの合計点(12点満点)で評価を行った。
【0052】
以上のような方法でメタルバック層の接着力を評価した結果を、図4のグラフaおよび図5のグラフaにそれぞれ示す。なお、図4は、コロイダルシリカ液の固形分濃度と接着力の評価点数との関係を示し、図5は、Naシリケート(水ガラス)液の固形分濃度と接着力の評価点数との関係を示す。
【0053】
図4および図5から、コロイダルシリカ液およびNaシリケート液の塗布においては、いずれの場合も、塗布液中の固形分濃度が高くなるほど、形成される第1の処理層とメタルバック層との間の接着力が増大することがわかる。しかし、固形分濃度がある値以上となると、濃度の増加による接着力の増大効果は飽和する。
【0054】
次に、同様の試料について、以下に示すようにして耐電圧特性を評価した。すなわち、前述の方法で作製されたメタルバック付き蛍光面の試料と、ソーダガラス板上にITO膜を蒸着により形成した基板とを、ITO蒸着面がメタルバック付き蛍光面と対向するように配置し、それらのギャップを2mmに保持した。次いで、雰囲気を1×10−5Pa程度の真空とし、メタルバック付き蛍光面を陽極、ITO膜を陰極として直流電源に接続して、擬似的な電子線加速装置を作製した。
【0055】
次に、このような電子線加速装置において、0.1kV/秒の速さで電極間に電位差を設けていき、放電の起こった電圧Vaを測定した。1種類の蛍光面について数十個のVaを測定した後、Vaの平均値から標準偏差σの3倍を減じた電圧(Va―3σ)を、試料の限界保持電圧とした。
【0056】
以上のような方法で試料の耐電圧特性を評価した結果を、図6のグラフaおよび図7のグラフaにそれぞれ示す。なお、図6は、コロイダルシリカ液の固形分濃度と限界保持電圧との関係を示し、図7は、Naシリケート液の固形分濃度と限界保持電圧との関係を示す。
【0057】
図6および図7から、コロイダルシリカ液とNaシリケート液の塗布においては、いずれの場合も、塗布液中の固形分濃度が高くなるほど、試料の限界保持電圧が高くなることがわかる。しかし、固形分濃度がある値以上となると濃度の増加による限界保持電圧の増大効果は飽和する。
【0058】
さらに、図4〜図7から、メタルバック層の接着力が大きいメタルバック付き蛍光面の試料ほど、限界保持電圧が高くなり、異常放電が起きにくいことが確認された。
【0059】
実施例2
メタルバック層上への塗膜の形成と、メタルバック層の接着力並びに耐電圧特性との関係を、以下に示すようにして調べた。
【0060】
すなわち、実施例1で作製された各試料のメタルバック層(Al膜)の上に、純水希釈により固形分濃度を2%、5%、10%、20%にそれぞれ調整したコロイダルシリカ液と、同様に固形分濃度を調整したNaシリケート液を、スプレー法により塗布し、塗膜を形成した。しかる後、430℃で30分間加熱処理(ベーキング)を行い、メタルバック層上に無機酸化物から成る第2の処理層を形成した。
【0061】
次に、こうして作製された試料の接着力および耐電圧特性を、実施例1と同様にして測定・評価した。接着力を評価した結果を、図4のグラフb〜eおよび図5のグラフb〜eにそれぞれ示す。限界保持電圧の測定結果を、図6のグラフb〜eおよび図7のグラフb〜eにそれぞれ示す。
【0062】
なお、図4のグラフbおよび図6のグラフbは、コロイダルシリカ液により蛍光体層上に第1の処理層を形成するとともに、固形分濃度が2%のコロイダルシリカ液によりAl膜上に第2の処理層を形成したものを示し、同様に蛍光体層上の塗布液がコロイダルシリカ液であり、Al膜上の塗布液が5%、10%、20%のコロイダルシリカ液であるものを、図4および図6のグラフc、グラフd、グラフeにそれぞれ示す。
【0063】
また、図5のグラフbおよび図7のグラフbは、Naシリケート液により蛍光体層上に第1の処理層を形成するとともに、固形分濃度が2%のNaシリケート液によりAl膜上に第2の処理層を形成したものを示し、同様に蛍光体層上の塗布液がNaシリケート液であり、Al膜上の塗布液が5%、10%、20%のNaシリケート液であるものを、図5および図7のグラフc、グラフd、グラフeにそれぞれ示す。
【0064】
図4〜図7の各グラフから、蛍光体層上に第1の処理層を形成することなくAl膜上に第2の処理層を形成しただけでは、メタルバック層の接着力を増大し耐電圧特性を向上させる効果が得られないことがわかる。そして、蛍光体層上に第1の処理層を形成するとともにAl膜上に第2の処理層を形成した場合には、第1の処理層と第2の処理層との相乗効果により、メタルバック層の接着力がさらに増大し耐電圧特性が向上することがわかる。さらに、蛍光体層上に塗布する液(コロイダルシリカ液またはNaシリケート液)の固形分濃度が高くなるほど、接着力向上の相乗効果が大きくなることがわかる。
【0065】
実施例3
Al膜上に第2の処理層を形成したことによる効果は、この処理層がAl膜に存在するピンホール等の微小欠点を補修するためではないかと考えられる。それを検証するため、予めAl膜上にキズを付けたもので、実施例2と同様の試験を行い、耐電圧特性(限界保持電圧)を測定・評価した。測定結果を、図8のグラフa〜eおよび図9のグラフa〜eにそれぞれ示す。
【0066】
蛍光体層上に塗布する液がコロイダルシリカ液であり、かつAl膜上への塗布処理を行わなかったものを、図8のグラフaに示し、同様に蛍光体層上の塗布液がコロイダルシリカ液であり、Al膜上に塗布する液が固形分濃度2%、5%、10%、20%のコロイダルシリカ液であるものを、図8のグラフb、グラフc、グラフd、グラフeにそれぞれ示す。
【0067】
また、蛍光体層上に塗布する液がNaシリケート液であり、Al膜上への塗布処理を行わなかったものを、図9のグラフaに示し、同様に蛍光体層上の塗布液がNaシリケート液であり、Al膜上に塗布する液が固形分濃度2%、5%、10%、20%のNaシリケート液であるものを、図9のグラフb、グラフc、グラフd、グラフeにそれぞれ示す。
【0068】
図8および図9から、Al膜にキズをつけた場合には、蛍光体層上への第1の処理層形成による耐電圧の向上効果が低減することがわかる。しかし、蛍光体層上に第1の処理層を形成するとともにAl膜上にさらに第2の処理層を形成することで、耐電圧特性の向上効果が、キズなしのものと同等レベルまで回復する。
【0069】
次に、メタルバック付き蛍光面における限界保持電圧の下限値を調べるために、駆動電圧(アノード電圧)を5〜15kVの範囲で変化させ、メタルバック層であるAl膜の膜厚と発光輝度(相対輝度)との関係を測定した。測定結果を図10に示す。
【0070】
図10中グラフaは、アノード電圧が5kVの場合、bは7kV、cは10kV、dは15kVの場合をそれぞれ示す。駆動電圧が低いほど、Al膜の膜厚が50nm前後のところに輝度のピークが現れる。Alの膜厚を50nm前後に設定したとき、駆動電圧が3kV未満では、電子線がメタルバック層を通過しにくく、蛍光体がほとんど発光しない。したがって、メタルバック方式の蛍光面においては、限界保持電圧が3kV以上でないと、蛍光面として成立しないことになる。
【0071】
塗布液であるコロイダルシリカ液あるいはNaシリケート液中の固形分濃度と、これらの塗布液から形成される第1または第2の処理層中の無機酸化物の含有量は比例する。したがって、前記した塗布液中の固形分濃度の最適範囲から、第1または第2の処理層中の無機酸化物の含有量の最適範囲を求めることができる。
【0072】
まず、試料のAl膜形成面に粘着テープを指で押圧し貼り付けた。次いで、粘着テープを剥し取り、Al膜より下層(分解試料a)と、Al膜を含むAl膜より上層(分解試料b)に分離した。次いで、各々を酸により分解し、ICP−AES法により元素分析を行った。
【0073】
分解試料aについては、蛍光体の単位面積当りの重量を次の方法により求めた。まず、使用した青色蛍光体の母体成分であるZnの重量を求めた後、ZnSに換算し蛍光体の重量とした。次に、第1の処理層成分であるSiの重量を求めた後、SiO2に換算し、第1の処理層の重量とした。
【0074】
すなわち、第1の処理層中の無機酸化物の含有量(単位面積当り。以下同じ。)が、蛍光体層中の蛍光体の単位面積当りの含有量に対して2〜20%の割合のとき、3kV以上の限界保持電圧を有するメタルバック付き蛍光面が得られ、薄型表示装置の蛍光面として使用可能になる。そして、Al膜上にもさらに処理層(第2の処理層)を形成する場合も同様の手法を用い、分解試料bにおけるSiO2の重量を求めた結果、第2の処理層中の無機酸化物の含有量を、蛍光体層上のメタルバック層の単位面積当たりの成分重量として、4〜40μg/cm2とすることにより、さらに限界保持電圧を高めることができる。第2の処理層中の無機酸化物が4〜40μg/cm2を超えると、限界保持電圧の向上効果は飽和し、それ以上改善されない。
【0075】
実施例4
まず、各種のアルコキシドを加水分解し重縮合させたオリゴマーを含む混合液を、以下に示すようにして調製した。アルコキシドとして、ケイ酸テトラエチル(テトラエトキシシラン)とチタン酸テトラエチル(テトラエトキシチタン)およびジルコニウムテトラ‐n‐ブトキシドの少なくとも1種を使用し、使用するアルコキシド数だけ加水分解を段階的に行い、オリゴマーが混合された塗布液を調製した。
【0076】
すなわち、第1のアルコキシドに、エタノール、硝酸、純水を適量加え、数十分間撹拌した後、これに第2のアルコキシドと純水を適量加え、数十分間撹拌した。第3のアルコキシドを使用する場合は、これを純水とともに適量加え、さらに数十分間撹拌した。その後、液を50℃に昇温し適当な時間撹拌した後、さらに純水を適量加え、50℃で適当な時間撹拌した。次いで、室温程度まで降温した後、IPA(イソプロピルアルコール)を加えて3〜5倍に希釈し、ゲル化を抑えて塗布液とした。なお、アルコキシド以外の構成材料と撹拌時間、希釈濃度などの条件は、アルコキシドの配合量により適宜調整した。
【0077】
次いで、以上の手順を経て調製された2種以上のオリゴマーを含む混合液を、コロイダルシリカ液およびNaシリケート液の代わりに使用し、蛍光体層上にスプレー法により塗膜を形成した。次に、こうして形成された塗膜の上に、公知のラッカー法でフィルミング処理を行い有機被膜を形成した後、有機被膜上に蒸着法によりAlを蒸着し、膜厚100nmのAl膜を形成し、430℃で30分間加熱処理(ベーキング)を行い、有機分を分解・除去した。さらに、こうして形成されたAl膜上にも、必要に応じて前記した混合液を用いて塗膜を形成した後、塗膜を加熱処理(ベーキング)した。
【0078】
こうして、蛍光体層上およびAl膜上に、SiO2成分、TiO2成分およびZrO2成分が、それぞれ表1に示す比率(重量比)でマトリクス状に結合された処理層を形成した。なお、混合液を塗布する際には、加熱処理により最終的に形成される無機酸化物全体の単位面積当りの含有量が、下層の蛍光体の含有量に対して10%の割合になるように、混合液の固形分濃度および塗布厚を調整した。
【0079】
また、種々の配合比に調整し得られたメタルバック付き蛍光面の試料について、その配合量と接着力の関係を調べた。結果を図11に示す。図11は、SiO2とTiO2の比率に対する接着力の分布を示し、比率の残部はZrO2の比率である。図中、領域Aは接着力が8点未満の領域で、コロイダルシリカ、Naシリケート等を単体で使用した場合と接着力が変わらなかった領域、領域Bは接着力が8〜10点で若干向上した領域、領域Cは接着力が12点満点であった領域をそれぞれ示す。
【0080】
図11に示すように、TiO2、ZrO2の比率が高まるほど、接着力は向上している。近似数式で表すと、SiO2をa%、TiO2をb%、ZrO2をc%としたとき、次の式が全て成り立つ領域で、接着力がより向上するといえる。
【0081】
a < −b +100
a ≦ −0.5b +80
a ≧ −b +70
c = 100−(a+b)
(但し、a>0、b>0、c>0)
【0082】
次に、同様にして限界保持電圧を調べたところ、上記の分布とほぼ比例する関係が得られた。領域Aの限界保持電圧は6kV未満、領域Bの限界保持電圧は6〜9kV、領域Cにおいては限界保持電圧が9〜12kVであった。
【0083】
また、ZrO2の成分であるZrは原子番号が大きく、電子線の透過率低下が懸念されるため、前記試料について輝度低下率を調べた。
【0084】
測定は、以下に示す方法により行った。輝度測定装置の概略構造を、図12に示す。図中符号11は、試料を内蔵する真空チャンバー兼アース、12は真空ポンプ、13は試料取り出し用蓋、14は輝度測定用ガラス窓、15は偏向ヨーク、16はCRT用電子銃、17は電子銃大気遮断装置、18はアノード供給端子をそれぞれ示す。
【0085】
まず、試料を真空チャンバー内にメタルバックが電子銃側になるように設置し、メタルバックとアノード端子を接続する。メタルバックの成膜に起因する放電が起こらないように、電子銃と試料との間を30cmとした。真空チャンバー内を1×10−5程度の真空にし、所望のアノード電圧で、電子銃、偏向ヨークを駆動し、輝度測定ガラス窓より輝度を測定した。測定結果を図13に示す。
【0086】
図13は、SiO2とTiO2の比率に対するアノード電圧5kVのときの輝度低下率の分布を示し、比率の残部はZrO2の比率である。図中、領域Aは輝度低下率が30%以上で実用に供し得ない領域、領域Bは輝度低下率が10%以上30%未満で実用レベルの領域、領域Cは輝度低下率が10%未満で輝度が特に良好な領域をそれぞれ示す。
【0087】
図13に示されるように、ZrO2の比率が高まるほど輝度低下率が高まる。近似数式で表すと、SiO2をa%、TiO2をb%、ZrO2をc%としたとき、次の式が全て成り立つ領域で、実用レベルの輝度特性を維持することができる。
【0088】
a < −b +100
a ≦ −0.5b +80
a ≧ −b +70
c = 100−(a+b)
(但し、a>0、b>0、c>0)
【0089】
前述の結果をまとめると、SiO2,TiO2,ZrO2のマトリクス結合膜の接着力の高い性能を輝度の実用域で効率的に活用するために、前記それぞれの領域の合成領域において配合比を決定すればよい。これを、図14の領域Aに示す。近似数式で表すと、SiO2をa%、TiO2をb%、ZrO2をc%としたとき、次の式が全て成り立つ領域で、実用レベルの輝度特性を維持しつつ接着力および限界保持電圧を向上することができる。
【0090】
a < −b +100
a ≦ −0.5b +80
a ≧ −b +70
c = 100−(a+b)
(但し、a>0、b>0、c>0)
【0091】
また、上記組成範囲内で、さらにメタルバック上への第2の処理層の形成・試験したところ、コロイダルシリカ等と同様の傾向が得られ、相乗効果があることもわかった。前記合成領域の範囲で、限界保持電圧が最大20kVに達するものも得られた。
【0092】
また、ゾルゲル法で、ケイ素アルコキシドとチタンアルコキシドとを加水分解・重縮合(共重合)させることにより得られる、SiO2成分とTiO2成分とが所定の比率でマトリックス状に結合した酸化物(以下、SiO2・TiO2共重合タイプの酸化物と示す。)を、蛍光体層上に設けた場合にも、接着力および耐電圧特性の向上効果が得られた。さらに、SiO2・ZrO2共重合タイプの酸化物を蛍光体層上に設けた場合には、メタルバック層の接着力および耐電圧特性がさらに大きく向上した。
【0093】
2種以上の成分が共重合したタイプの酸化物を設けたものでは、ZrO2成分の含有比率が高いほど、接着力および耐電圧特性の向上効果が大きくなる。
【0094】
また、Al膜上の処理については、コロイダルシリカ液およびNaシリケート液により処理を行った場合と同様の効果が得られた。すなわち、蛍光体層上に混合液により処理を行うとともにAl膜上にも処理を行った場合には、これらの相乗効果によりメタルバック層の接着力がさらに増大し、耐電圧特性が向上する。
【0095】
実施例5
蛍光体層上およびAl膜上への無機酸化物層の形成により、電子線の透過率が低下し、輝度特性が劣化することが予測されるため、実施例1、2および実施例4でそれぞれ作製されたメタルバック付き蛍光面の試料について、アノード電圧5kV時の発光輝度の測定を前記と同様の方法で行った。測定の結果得られた、メタルバック層の接着力と輝度低下との関係を示すグラフを、図15に示す。
【0096】
図中(a)は、コロイダルシリカ液あるいはNaシリケート液を塗布した場合の輝度劣化率を示す。どのような組み合わせにおいても、ほぼ同様の結果を得た。接着力飽和濃度まで輝度劣化は少なく、接着力の飽和点で塗布すれば実用的に問題はない。図中(b)は、SiO2:20%、TiO2:70%、ZrO2:10%の比率のもの、(c)はSiO2:15%、TiO2:60%、ZrO2:25%の比率のものをそれぞれ示す。
【0097】
濃度変更により接着力が変化するが、(b)のグラフをみると、輝度劣化は接着力に依存せず、一様に約7%程度輝度が劣化していることがわかる。そこで、蛍光体層がゾルゲル液の溶媒で溶解・変形しているのではないかと考え、次の試験を行った。
【0098】
まず、水溶媒であるNaシリケート液を塗布乾燥した後、SiO2:20%、TiO2:70%、ZrO2:10%の比率のものと、SiO2:15%、TiO2:60%、ZrO2:25%の比率のものを、濃度を可変し、接着力の様々な液を塗布した。もう一度輝度評価をしたところ、図中の(d)、(e)で示すようになり、輝度劣化が抑制された。
【0099】
この図に示すように、蛍光体層上およびAl膜上ともに、コロイダルシリカ液あるいはNaシリケート液の塗布により無機酸化物から成る層を形成した試料では、メタルバック層の接着力が向上する度合いに対する発光輝度低下の度合いが大きくなっている。これに対して、アルコキシドを加水分解し重合させたオリゴマーを含む混合液から得られる無機酸化物の層を有する試料では、接着力の向上に対する輝度低下の度合いが少ない。
【0100】
TiO2成分を含む無機酸化物の層を有する試料では、発光輝度の低下が少なく、特にSiO2・TiO2共重合タイプの酸化物層が形成された試料は、輝度特性に優れている。また、SiO2・ZrO2共重合タイプの酸化物層を有する試料では、メタルバック層の接着力が大幅に改善されている。
【0101】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、メタルバック層の接着強度が大きく、電圧印加によるメタルバック層の剥れが生じにくい蛍光面が得られる。したがって、耐電圧特性に優れ異常放電が起こりにくいので、電子線加速電圧を高くすることができ、高電圧駆動で発光輝度の高い薄型表示装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るメタルバック付き蛍光面の第1の実施形態を示す断面図。
【図2】本発明に係るメタルバック付き蛍光面の第2の実施形態を示す断面図。
【図3】本発明の第4の実施形態であるFEDの構造を示す断面図。
【図4】実施例において、コロイダルシリカ液の固形分濃度とメタルバック層の接着力との関係を測定・評価した結果を示すグラフ。
【図5】実施例において、Naシリケート液の固形分濃度とメタルバック層の接着力との関係を測定・評価した結果を示すグラフ。
【図6】実施例において、コロイダルシリカ液の固形分濃度と限界保持電圧との関係を測定・評価した結果を示すグラフ。
【図7】実施例において、Naシリケート液の固形分濃度と限界保持電圧との関係を測定・評価した結果を示すグラフ。
【図8】実施例において、予めAl膜上にキズを付けた場合のコロイダルシリカ液の固形分濃度と限界保持電圧との関係を測定・評価した結果を示すグラフ。
【図9】実施例において、予めAl膜上にキズを付けた場合のNaシリケート液の固形分濃度と限界保持電圧との関係を測定・評価した結果を示すグラフ。
【図10】メタルバック層であるAl膜の膜厚と発光輝度との関係を測定した結果を示すグラフ。
【図11】実施例において、メタルバック付き蛍光面の試料についてSiO2およびTiO2の配合比率と接着力との関係を調べた結果を示すグラフ。
【図12】実施例で使用する輝度測定装置の概略構造を示す図。
【図13】実施例において、メタルバック付き蛍光面の試料についてSiO2およびTiO2の配合比率とアノード電圧5kVのときの輝度低下率との関係を調べた結果を示すグラフ。
【図14】実施例におけるSiO2,TiO2,ZrO2のマトリクス結合膜において、輝度特性を維持しつつ接着力および限界保持電圧が向上した合成領域を示す図。
【図15】実施例において、メタルバック層の接着力と輝度低下との関係を測定した結果を示すグラフ。
【図16】放電を起こした画像表示装置の蛍光面の状態を示す断面図。
【符号の説明】
1………ガラス基板(フェースプレート)、2………光吸収層、3………蛍光体層、4………無機酸化物を含有する第1の処理層、5………メタルバック層、6………無機酸化物を含有する第2の処理層
Claims (15)
- フェースプレート内面に蛍光体層およびメタルバック層を有する蛍光面であり、
前記蛍光体層上に、酸化ケイ素、アルカリ金属元素の1種または2種以上を含むケイ素酸化物、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウムから選ばれる1種または2種以上の無機酸化物を含有する第1の処理層が形成され、その上にメタルバック層が形成されていることを特徴とするメタルバック付き蛍光面。 - 前記第1の処理層中の前記無機酸化物の含有量(単位面積当り。以下同じ。)が、前記蛍光体層中の前記蛍光体の含有量に対して、2〜20重量%(以下、単に%と示す。)の割合であることを特徴とする請求項1記載のメタルバック付き蛍光面。
- 前記第1の処理層が、二酸化ケイ素(SiO2)と酸化チタン(TiO2)および酸化ジルコニウム(ZrO2)をそれぞれ含むことを特徴とする請求項1または2記載のメタルバック付き蛍光面。
- 前記第1の処理層中での各成分の含有割合が、二酸化ケイ素をa%、酸化チタンをb%、酸化ジルコニウムをc%としたとき、次の式が全て成り立つことを特徴とする請求項3記載のメタルバック付き蛍光面。
a < −b +100
a ≦ −0.5b +80
a ≧ −b +70
c = 100−(a+b)
(但し、a>0、b>0、c>0) - 前記メタルバック層上に、酸化ケイ素、アルカリ金属元素の1種または2種以上を含むケイ素酸化物、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウムから選ばれる1種または2種以上の無機酸化物を含有する第2の処理層をさらに有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の記載のメタルバック付き蛍光面。
- 前記第2の処理層中の前記無機酸化物の含有量が、前記蛍光体層上のメタルバック層の単位面積当たりの成分重量として、4〜40μg/cm2であることを特徴とする請求項5記載のメタルバック付き蛍光面。
- 前記第2の処理層が、二酸化ケイ素(SiO2)と酸化チタン(TiO2)および酸化ジルコニウム(ZrO2)をそれぞれ含むことを特徴とする請求項5または6記載のメタルバック付き蛍光面。
- 前記第2の処理層中での各成分の含有割合が、二酸化ケイ素をa%、酸化チタンをb%、酸化ジルコニウムをc%としたとき、次の式が全て成り立つことを特徴とする請求項7記載のメタルバック付き蛍光面。
a < −b +100
a ≦ −0.5b +80
a ≧ −b +70
c = 100−(a+b)
(但し、a>0、b>0、c>0) - フェースプレート内面に蛍光体層を形成する工程と、
前記蛍光体層上に、酸化ケイ素、アルカリ金属元素の1種または2種以上を含むケイ素酸化物、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウムから選ばれる1種または2種以上の無機酸化物を含有する第1の処理層を形成する工程と、前記第1の処理層の上にメタルバック層を形成する工程とを備えることを特徴とするメタルバック付き蛍光面の形成方法。 - 前記第1の処理層を形成する工程が、
前記蛍光体層上に、水を溶媒の主成分とする塗布液を塗布・乾燥して下層塗膜を形成する工程と、
該工程により形成された下層塗膜の上に、有機溶剤を溶媒の主成分とする塗布液を塗布・乾燥し上層塗膜を形成する工程と、
前記下層塗膜と上層塗膜とが積層された塗膜を加熱処理し、無機酸化物を主体とする層を形成する工程を備えることを特徴とする請求項9記載のメタルバック付き蛍光面の形成方法。 - 前記第1の処理層を形成する工程が、
Si、Ti、Zrから選ばれる少なくとも1種のアルコレート(アルコキシド)を溶液中で加水分解し重合する工程と、
前記工程により得られたオリゴマーを含む液を塗布・乾燥して塗膜を形成する工程と、
前記塗膜を加熱処理し、無機酸化物を主体とする層を形成する工程を備えることを特徴とする請求項9記載のメタルバック付き蛍光面の形成方法。 - 前記メタルバック層上に、酸化ケイ素、アルカリ金属元素の1種または2種以上を含むケイ素酸化物、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウムから選ばれる1種または2種以上の無機酸化物を含有する第2の処理層を形成する工程をさらに備えることを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項記載のメタルバック付き蛍光面の形成方法。
- 前記第2の処理層を形成する工程が、
Si、Ti、Zrから選ばれる少なくとも1種のアルコレート(アルコキシド)を溶液中で加水分解し重合する工程と、
前記工程により得られたオリゴマーを含む液を塗布・乾燥して塗膜を形成する工程と、
前記塗膜を加熱処理し、無機酸化物を主体とする層を形成する工程を備えることを特徴とする請求項12記載のメタルバック付き蛍光面の形成方法。 - 前記第2の処理層を形成する工程において、スパッタリング法により、Siターゲットの溶射時に酸素を導入しつつSiOx層を形成することを特徴とする請求項9記載のメタルバック付き蛍光面の形成方法。
- フェースプレートと、前記フェースプレートと対向配置されたリアプレートと、前記リアプレート上に形成された多数の電子放出素子と、前記フェースプレート上に前記リアプレートに対向して形成され、前記電子放出素子から放出される電子線により発光する蛍光面とを具備し、前記蛍光面が、請求項1乃至8のいずれか1項記載のメタルバック付き蛍光面であることを特徴とする画像表示装置。
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