JP2004152512A - 有機エレクトロルミネセンス表示装置、及びその製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネセンス表示装置、及びその製造方法 Download PDF

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Kazuo Suzuki
一雄 鈴木
Shigemi Suzuki
成己 鈴木
Isamu Kawada
勇 川田
Munetoshi Yoshikawa
宗利 吉川
Junichi Takahashi
純一 高橋
Tomomi Shimokawa
知美 下川
Tomoshi Takaoka
智志 高岡
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Abstract

【課題】発光部にダメージを与えることなく、取り出し電極上に形成された有機層の除去を可能とし、簡便な製造プロセスにより低コストで製造することができ、有効発光面積の大きい有機EL表示装置、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基板1上に、陽極2、少なくとも有機発光材料からなる発光層6を含む有機層、及び陰極8を積層して成る積層体を有する発光部と、この積層体を有しない非発光部とを有する有機EL表示装置の製造方法であって、発光部と非発光部との間に撥液部7を形成した後、有機層のうちの少なくとも1層を塗布法により形成し、撥液部7よりも外側の非発光部に形成された有機層をその形成後に溶剤により拭き取り除去する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示デバイスや光源として利用される有機エレクトロルミネセンス表示装置、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機エレクトロルミネセンス(以下、「EL」と称する。)素子から構成された画素を多数備えてなる有機EL表示装置は、図4に示すように、ガラス基板等の透明基板1上にITO(Indium tin oxide)等の透明導電膜からなる陽極2が設けられ、その上に正孔輸送層5および発光層6からなる有機層、及び陽極2と交差してストライプ状に成膜されたアルミニウム等からなる陰極8がこの順に設けられることにより構成されたものである。陽極2と陰極8との交差部の各々が1画素となる有機EL素子であり、各有機EL素子に電圧が印加されてその陰極から電子が、陽極から正孔がそれぞれ有機層に注入され、この有機層中で電子−正孔の再結合が起こることにより発光が生じる。
【0003】
また、図3に示すように、有機EL素子がマトリクス状に配置された画素部の周辺部には陽極2及び陰極8を外部回路または内部駆動回路に接続するための陽極側取り出し電極4及び陰極側取り出し電極3が形成されている。
【0004】
このような有機EL表示装置の製造方法の一例を以下に説明する。
まず、図4に示すように、透明基板1上に透明導電材料、例えばITOをスパッタ法や真空蒸着法にて成膜し、さらにこれをフォトエッチングなどによりパターニングしてストライプ状の透明電極(陽極)2を形成する。このとき、陽極側取り出し電極4及び陰極側取り出し電極3も透明電極2と同時に形成される。
【0005】
次いで、透明基板1上に有機発光材料を成膜し、正孔輸送層5および発光層6からなる有機層を順次形成する。正孔輸送層5および発光層6の成膜は真空蒸着法によるものが一般的であるが、これをスピンコート法やディップ法などの塗布法により形成すれば、より簡便に有機EL表示装置を作製でき、大面積化の際にも大型の真空蒸着装置を必要としないため有利である。
【0006】
続いて、前記発光層6上に陰極として導電材料を蒸着法によって成膜し、透明電極2に直交するストライプ状の陰極8を形成する。そして、封止缶9を封止樹脂12で接着し、さらに外部駆動回路に接続するためのFPC11を異方性導電膜10にて接着することにより有機EL表示装置を得ることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、表示装置の配線パターンは細く複雑であり、外部駆動回路に接続するための取り出し電極においてはさらに複雑になる。よって、蒸着マスクを介してAlなどの金属を蒸着して形成する陰極8をそのまま取り出し電極3として使うのは困難であり、透明基板1上に複雑なパターンが形成可能なフォトエッチング法を用いて予めパターニングされた取り出し電極3に陰極8を蒸着・接合している。
【0008】
ここで、前述したように簡便な成膜方法であるスピンコート法により正孔輸送層5や発光層6などの有機層を塗布すると予めパターニングされた取り出し電極3を含めた透明基板1上の全面に有機層が成膜されてしまう。有機層の形成を蒸着法によって行う場合には、発光部以外をマスクすることで取り出し電極3上への有機層の形成を防げるが、スピンコート法により有機層を形成すると基板1上の全面に成膜されてしまうため、そのまま陰極8を蒸着すると陰極8と取り出し電極3との間に有機層が介在することになる。有機層は前述した有機EL素子の発光原理からも分かるように、10−3cm・V−1・S−1程度のキャリア移動度を有するものの、絶縁物であることは周知の事実であり、電気接点に有機層があれば導通不良を引き起こすことになる。そこで、この取り出し電極3上の有機層を陰極8形成前に除去し、陰極8と取り出し電極3との導通を確保する必要がある。
【0009】
有機層を除去する手段として、異方性のドライエッチングである反応性イオンエッチング法(RIE)が効果的であるが、発光部の保護のためにマスクをおいても有機層とマスクの隙間などから若干の反応ガスの回り込みがあり、発光部にダメージを与えてしまう問題がある。有機物の除去には一般に反応ガスとして酸素が用いられるため、酸素や水分に弱い有機EL素子の製造には好ましくない。
【0010】
また他の手段としては、発泡ウレタンなどの吸水性の弾性体に有機層を形成する有機材料を可溶なクロロホルムやトルエンなどの有機溶剤を含ませて有機層を拭き取り除去する方法があるが、これらの有機溶剤は有機層を可溶であり、また、表面張力が20〜40mN/m程度と小さいために有機層に浸透しやすく、除去部周囲にまで浸透・拡散してしまう。画素部と取り出し電極3とが離れていれば画素部まで有機溶剤は浸透していかないが、陰極8と取り出し電極3の接点を画素部から離れるほど基板も大型になり、陰極8を形成する真空蒸着装置も大型化してしまう。画素部にまで有機溶剤が浸透・拡散してしまうと、有機層が膨潤して膜厚が変化したり、乾燥速度の違いから膜質が不均一になってしまう。
【0011】
本発明は、上記の課題に鑑みて創案されたものであり、その目的は、発光部にダメージを与えることなく、取り出し電極上に形成された有機層の除去を可能とし、簡便な製造プロセスにより低コストで製造することができ、有効発光面積の大きい有機EL表示装置、及びその製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決すべく、本発明に係る有機EL表示装置の製造方法は、基板上に、陽極、少なくとも有機発光材料からなる発光層を含む有機層、及び陰極を積層して成る積層体を有する発光部と、前記積層体を有しない非発光部とを有する有機EL表示装置の製造方法において、
発光部と非発光部との間に撥液部を形成した後、有機層のうちの少なくとも1層を塗布法により形成し、撥液部よりも外側の非発光部に形成された有機層をその形成後に溶剤により拭き取り除去することを特徴とする。
【0013】
上記の有機EL表示装置の製造方法において、非発光部には、陰極と駆動回路とを電気的に接続するための取り出し電極が配設されており、塗布法により取り出し電極上に形成された有機層をその形成後に溶剤により拭き取り除去することが好ましい。
【0014】
また、本発明に係る有機EL表示装置は、上記のいずれかの方法により製造されたことを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明するが、本発明は本実施形態に限られない。
【0016】
本発明に係る有機EL表示装置は、陰極と陽極との間に、少なくとも有機発光材料からなる発光層を含む有機層を積層して成る積層体としての有機EL素子を備えており、例えば、▲1▼陽極/発光層/陰極、▲2▼陽極/正孔輸送層/発光層/陰極、▲3▼陽極/正孔注入層/発光層/陰極、▲4▼陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極、▲5▼陽極/発光層/電子輸送層/陰極、▲6▼陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/陰極、▲7▼陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極の積層構造を挙げることができる。
【0017】
上記▲1▼〜▲7▼の積層構造において、それぞれの層は1層から成っていてもよいし、2層以上から成っていてもよい。
【0018】
図1は、本発明に係る有機EL表示装置の製造方法を工程順に示す説明図であり、ここでは上記▲2▼の積層構造である陽極/正孔輸送層/発光層/陰極からなる有機層を有する有機EL表示装置について説明する。
【0019】
まず、図1(A)に示すように透明基板1を用意し、この上に透明導電材料、本実施形態ではITO(Indium tin oxide)をスパッタ法等の物理的成膜法によって成膜し、さらにこれを公知のリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いてパターニングし、ストライプ状の透明電極2を形成する。
【0020】
透明基板1は透光性を有するもので、ガラス基板や合成樹脂からなる平滑な基板であり、ガラス板としてはソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス、無アルカリガラスなどが用いられ、合成樹脂基板としては耐溶剤性樹脂であるポリサルフォン樹脂などが用いられる。
【0021】
透明基板1上には、透明電極2、取り出し電極3及び4が形成されている。透明電極2は仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物、或いはこれらの混合物により形成することが好ましく、具体的には、Au、Pt、Ag、Cu、CuI、ITO、SnO、ZnOなどが挙げられる。
【0022】
この透明電極2は、正孔輸送層5および発光層6からなる有機層からの発光を取り出すために、可視光透過率が10%以上であることが望ましい。また、透明電極2のシート抵抗は500Ω/□以下であるものが望ましく、さらに膜厚は材料にもよるが、通常5nm〜1μmの範囲で適宜選択される。
【0023】
取り出し電極3及び4は導電性材料であれば制限はなく、可視光透過性も不要である。透明電極2と同じ材料が使えることは言うまでもなく、異なる材料、抵抗値、膜厚のものでも使用することができる。また、ITOとCrなど異種材料の積層構造であっても問題はない。
【0024】
透明電極2、取り出し電極3及び4の形成は、真空蒸着法やスパッタリング法、メッキ法等の方法で成膜し、さらにこれを公知のリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いてパターニングし、ストライプ状の透明電極2、取り出し電極3及び4を形成する。透明電極2、取り出し電極3及び4は同時に形成しても順次形成しても良い。
【0025】
図2に示すように画素部(発光部または表示部)と取り出し電極部との間には撥液材からなる撥液部7を形成する。撥液材としては特に限定されるものでなく、その表面張力γcが後述する有機層の塗布液の溶媒として用いる有機溶媒の表面張力γよりも小さい物質であればよく、有機溶媒として通常用いられるトルエン(γ=28mN/m)、クロロホルム(γ=27mN/m)、ジオキサン(γ=34mN/m)等に対し、各溶媒と組み合わせて用いる撥液材のγcが溶媒のγよりも小さいものを使用することが好ましい。
【0026】
具体的には、ポリシロキサン、クロルシラン化合物、アルコキシシラン化合物、およびシラザン化合物などの有機シリコン化合物やヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシランなどのフッ素含有シリコン化合物、および有機フッ素化合物などのγcが30mN/m程度以下のものが用いられる。
【0027】
撥液部7の形成は上記撥液材を透明基板1上に蒸着法、スパッタ法、塗布法、スプレー法などにより付着させる。また、特開平08−302016号に開示されるような撥水性を有するポリイミドなどで撥液部7を形成しても良い。
【0028】
撥液部を形成する簡便な手段としては塗布法が好ましく、例えば前記撥液材をフッ素系、脂肪族系、芳香族系、ケトン系、エステル系溶媒などに溶解し、発泡ポリウレタンなどに含浸させて図2のように画素部の外側に塗布・形成し風乾あるいは50〜200℃程度の温度で加熱乾燥させる。取り出し電極上の有機層を除去するためには少なくとも取り出し電極と画素部の間に撥液部を形成する必要が有るが、図1(E)に示すように封止缶9を透明基板1上に接着する場合は、画素部周囲に撥液部を形成し図1(C)に示すように撥液部の外側に形成された有機層を除去することにより、接着部に有機層が存在することによる接着強度の低下を防止できる。
【0029】
続いて、図4(B)に示すように透明基板1上に正孔輸送層5を形成する。本実施形態の有機EL表示装置の製造方法は、前述した透明基板1上に1層目の有機層をスピンコート法またはディップ法などの塗布法にて形成するが、少なくとも1層が塗布法であれば良く、例えば、有機層が2層以上から構成される場合には1層目に引き続き2層目以降を塗布法で形成することも可能であるし、1層目を蒸着法で形成し、2層目を塗布法で形成することも可能である。通常、1層目の有機層としては正孔注入層、正孔輸送層、正孔注入輸送層、および発光層のいずれかが形成される。
【0030】
有機層としては、材料の種類、構成、膜厚、色素のドーピング形態などについて特に限定されるものではなく、1種類または多種類の有機発光材料のみからなる薄膜や、1種類または多種類の有機発光材料と正孔輸送材料、電子注入材料との混合物からなる薄膜など有機EL素子の発光層として機能する単層構造でも発光層以外に正孔輸送材料、電子注入材料を個別に有する2層以上の積層構造であってもよい。
【0031】
これら有機層の構成材料は、高分子系、低分子系に関わらず、従来から有機EL素子で用いられている正孔注入材料、正孔輸送材料、有機発光材料、電子注入材料、電子輸送材料をそのまま使用できる。例えば、正孔注入材料及び正孔輸送材料としては、可溶性のフタロシアニン化合物、トリアリールアミン化合物、導電性高分子、ペリレン系化合物、Eu錯体等が挙げられる。有機発光材料としては、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、ポリアリーレン、芳香族縮合多環化合物、芳香族複素環化合物、芳香族複素縮合環化合物、金属錯体化合物等及びこれらの単独オリゴ体あるいは複合オリゴ体等が挙げられる。電子注入材料及び電子輸送材料としては、8−キノリノール・アルミニウム錯体(Alq)、アゾメチン亜鉛錯体、ジスチリルビフェニル誘導体系等、また高分子系材料としてポリ[2−メトキシ−5−(2’−エチルヘキシルオキシ)]−パラ−フェニレンビニレン、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリ(9,9−ジアルキルフルオレン)等が挙げられる。
【0032】
本実施形態では、有機層として正孔輸送層5をスピンコート法にて成膜するが、スピンコート法にて成膜する有機層は正孔輸送層に限定されるものではなく、前述した有機材料が使用でき、成膜法もディップ法などの塗布法が使用できる。正孔輸送層5をスピンコート法にて成膜するにあたり、有機溶媒に溶解させて塗布液を作製する。塗布液に用いる有機溶媒としては、アルコール系、ケトン系、エステル系、エーテル系、芳香族系、ハロゲン化アルキル系等から、用いる有機材料に応じて適宜選択すればよい。
【0033】
スピンコート法による成膜条件は、要求膜厚、塗布液濃度、塗布液粘度などにより異なるが、通常は100〜3000rpmで10秒〜5分間程度回転させる。また、ディップ法による成膜は塗布液に浸漬させた後に所定の速度で引き上げる通常の方法で良い。
【0034】
スピンコート法またはディップ法により成膜される正孔輸送層5の具体的膜厚としては、5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また上限としては、好ましくは1000nm以下、より好ましくは200nm以下が好ましい。有機膜が薄すぎるとピンホールなどが発生し、厚くなりすぎると電荷移動度等が低下し発光効率が低下してくる。
【0035】
ここで透明基板1上に予め設けられた撥液部7は塗布液をはじくため、この撥液部7には正孔輸送層5は成膜されていない。
【0036】
続いて図1(C)に示すように、スピンコート法などの塗布法で成膜したときに同時に成膜される非発光部の正孔輸送層5を除去する。これは、前述したように非発光部の取り出し電極3上に成膜された正孔輸送層5が絶縁物として働くために、陰極8を蒸着して取り出し電極3と電気的に接合する前に正孔輸送層5を除去することを目的とするものである。正孔輸送層5の除去には、正孔輸送層5を溶解可能な溶媒を染み込ませた発泡ウレタンや繊維などを用いて、拭き取り除去する。
【0037】
このとき、発光部と非発光部との間には撥液部7により正孔輸送層5が成膜されていないので、非発光部の正孔輸送層5を前記溶媒で拭き取っても、溶媒が正孔輸送層5に浸透拡散して発光部にまで達することがない。
【0038】
そして、取り出し電極3上の正孔輸送層5を除去した後に、図1(D)に示すように発光層6及び陰極8を蒸着する。発光層6としては前述した有機発光材料が使用でき、非発光部には成膜されないように蒸着マスクを使用する。陰極8としては仕事関数の小さい(4eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物を電極物質として蒸着やスパッタリング等の方法により形成する。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム−銀合金、アルミニウム/酸化アルミニウム、アルミニウム・リチウム合金、インジウム、希土類金属などが挙げられる。
【0039】
なお、陰極8の形成時には、ストライプ状のマスクを使用しても良く、或いは特開平08−315981号公報に開示されているような隔壁を使用しても良く、図3に示すように陰極8の少なくとも一方の端部は前述した取り出し電極3上の有機層を除去した部分に接合される。
【0040】
そして、有機EL素子に水分が吸着することを防ぐために、図1(E)に示すように不図示の水分吸着材を封入した封止缶9を封止樹脂12により透明基板1に接着し、陰極側取り出し電極3と図3に示した陽極側取り出し電極4のそれぞれに外部駆動回路に接続するためのFPC11を異方性導電膜10によって接着する。
【0041】
なお、封止缶9、陰極側取り出し電極3及び陽極側取り出し電極4の各接着面においても前記塗布法による有機層が形成され、そのまま接着したのでは接着力が弱いため接着前に有機層を除去する必要が有るが、その除去を取り出し電極3上の陰極8の接合部と同時に行えば工程が簡略化できる。
【0042】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限られない。
【0043】
〔実施例1〕
図1は、実施例1の有機EL表示装置の製造方法を工程順に示す説明図である。まず、図1(A)に示す陽極2及び取り出し電極3がパターニングされたITO付きガラス基板1をアセトン、IPAで超音波洗浄し、UV/O処理した後に、図3に示すように市販の撥液コーティング剤(タイホー工業(株)ガラスコート)を発光部(表示部)の周辺に幅1mmの帯状に塗布し撥液部7を形成した。
【0044】
そして、この基板1を5分間乾燥させた後に、特開平10−175938号公報に開示されているN−(4−メタクリロイルアミノカルボニルアミノフェニル)−N,N−ビス(4−メチルフェニル)アミン重合体のクロロホルム溶液からスピンコート法にて厚さ50nmの正孔輸送層5を図1(B)に示すように成膜した。その後、クロロホルムを含ませた多孔質ポリウレタンにて、基板1上の撥液部7の隣接外周部、及びその外側領域全ての正孔輸送層5を図1(C)に示すように拭き取り除去した。
【0045】
次に、正孔輸送層5が形成された基板1を真空蒸着装置にセットし、図1(D)に示すように電子輸送層6として8−キノリノール・アルミニウム錯体(Alq)を60nmの厚みに蒸着した。このとき、発光部(表示部)以外の部分には蒸着されないように蒸着マスクを用いた。そして、真空を保持したまま蒸着機内にて蒸着マスクをストライプ状のものに交換し、Mg/Ag(配合重量比10/1)合金からなる厚み300nmの陰極8を形成した。
【0046】
そして、蒸着装置から基板1を取り出し、封止缶9を封止樹脂12により接着すると共に、FPC11を異方性導電膜10により接着して、図1(E)に示すような有機EL表示装置を得た。
【0047】
この様にして作製した有機EL表示装置を外部回路に接続し、直流10Vを印加したところ、1300cd/mの発光が確認され中央部と外周部の輝度差は殆どなかった。
【0048】
そして、そのまま100時間通電し続けたところ、輝度は中央部、外周部ともに720cd/mであった。また、基板1とFPC11の接着強度を引っ張り試験機を用いて測定したところ、11N/cmであった。
【0049】
〔比較例1〕
比較例1は、撥液部を設けなかった以外は実施例1と同様にして、有機EL表示装置を作製した。
【0050】
この様にして作製した有機EL表示装置を外部回路に接続し、直流10Vを印加したところ、中央部では1300cd/mであったが、外周部では最も輝度の低い部分で1200cd/mであった。そして、100時間通電し続けたところ、中央部の輝度は720cd/m、外周部の最低輝度は420cd/mであった。
【0051】
〔比較例2〕
比較例2は、正孔輸送層5を成膜後、拭き取り除去を全く行わなかった以外は実施例1と同様にして、有機EL表示装置を作製した。
【0052】
この様にして作製した有機EL表示装置を外部回路に接続し、直流10Vを印加したが、この有機EL表示装置は発光しなかった。また、基板1とFPC11の接着強度を引っ張り試験機を用いて測定したところ4N/cmであった。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、発光部にダメージを与えることなく取り出し電極上に形成された有機層を除去することが可能であり、簡便な製造プロセスであるスピンコート法やディップ法などの塗布法により低コストで有効発光面積の大きい有機EL表示装置を得ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る有機EL表示装置の製造方法を工程順に示す説明図である。
【図2】本発明に係る有機EL表示装置の製造方法を示す平面図である。
【図3】有機EL表示装置における透明基板上の陽極及び陰極と取り出し電極を示す平面図である。
【図4】従来の一般的な有機EL表示装置の積層構造の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 透明基板
2 陽極
3 陰極側取り出し電極
4 陽極側取り出し電極
5 有機層(正孔輸送層)
6 有機層(発光層)
7 撥液部
8 陰極
9 封止缶
10 異方性導電膜
11 FPC
12 封止缶

Claims (3)

  1. 基板上に、陽極、少なくとも有機発光材料からなる発光層を含む有機層、及び陰極を積層して成る積層体を有する発光部と、前記積層体を有しない非発光部とを有する有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法において、
    発光部と非発光部との間に撥液部を形成した後、有機層のうちの少なくとも1層を塗布法により形成し、撥液部よりも外側の非発光部に形成された有機層をその形成後に溶剤により拭き取り除去することを特徴とする有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法。
  2. 非発光部には、陰極と駆動回路とを電気的に接続するための取り出し電極が配設されており、塗布法により取り出し電極上に形成された有機層をその形成後に溶剤により拭き取り除去することを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンス表示装置の製造方法。
  3. 請求項1または2の方法により製造されたことを特徴とする有機エレクトロルミネセンス表示装置。
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