JP2004151611A - ポジ型感光性樹脂組成物及び半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一般式(1)で示されるポリアミド樹脂(A)、光により酸を発生する化合物(B)特定の化合物(C)及び溶剤(D)を含むことを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物。
【化1】
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高感度かつ高解像度の特性を有するポジ型感光性樹脂組成物及びそれを用いた半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜には、耐熱性に優れ又卓越した電気特性、機械特性等を有するポリイミド樹脂が用いられているが、近年半導体素子の高集積化、大型化、半導体装置の薄型化、小型化、半田リフローによる表面実装への移行等により耐熱サイクル性、耐熱ショック性等の著しい向上の要求があり、更に高性能の樹脂が必要とされるようになってきた。
【0003】
一方、ポリイミド樹脂自身に感光性を付与する技術が注目を集めてきており、例えば下記式(10)に示されるネガ型感光性ポリイミド樹脂が挙げられる。
【化8】
【0004】
これを用いるとパターン作成工程の一部が簡略化でき、工程短縮及び歩留まり向上の効果はあるが、現像の際にN−メチル−2−ピロリドン等の溶剤が必要となるため、安全性、取扱い性に問題がある。そこで、アルカリ水溶液で現像ができるポジ型感光性樹脂組成物が開発されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5参照。)。これらには、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸と感光材であるジアゾキノン化合物より構成されるポジ型感光性樹脂組成物が開示されている。これらの感光材として用いられているジアゾキノン化合物は露光することにより化学変化を起こし、アルカリ水溶液に可溶となる。しかしその変化率は40%程度であるだけでなく、それ自身の光に対する吸収が大きいために、厚膜に塗布した場合、膜の底面にまで十分な光が届かない。そのため露光部を開口させるために多くの露光量を必要とし、感度が低くなるという問題があった。
【0005】
更に、g線、i線等の紫外線を光源として用いる半導体用レジストに代表されるポジ型感光性樹脂組成物は、ベース樹脂としてフェノールノボラック樹脂が用いられているが、これらに比べ、上述のポリアミド樹脂は単位分子量当たりの水酸基濃度が小さいために、ジアゾキノン化合物と相互作用することで発揮されるアルカリ水溶液に対する溶解阻止能が弱く、現像後における未露光部の膜減り量が大きい。従って露光部が現像液で十分に溶解除去される前に、未露光部が目的とする膜厚以下になるために、結果として感度が低下するだけでなく、パターンの壁面が削られることにより、開口部の寸法安定性が低下する。又カルボキシル基の場合には、ジアゾキノン化合物と相互作用することがなく、更にフェノール性水酸基よりもアルカリ水溶液に対する溶解性が非常に高いという理由により、未露光部の溶解阻止能が発揮されず、目的とする膜厚が得られないばかりかパターンの形成自体が困難になる問題がある。又適当な保護基でブロックされたカルボキシル基の場合、未露光部のアルカリ水溶液に対する耐性は十分あるが、露光部の溶解性が劣るために感度の低下、現像後に樹脂の残り(スカム)が見られるという問題がある。
【0006】
そこで、光化学反応による触媒作用を取り入れた化学増幅型のポジ型感光性樹脂組成物が開発されている。この化学増幅型のポジ型感光性樹脂組成物は、一般的に水酸基又はカルボキシル基を適当な酸不安定基で保護されたベース樹脂と光の照射により酸を発生する光酸発生材から構成されている。この化学増幅型のポジ型感光性樹脂組成物の現像メカニズムは以下のようになっている。未露光部において酸不安定基で保護されたベース樹脂は現像液であるアルカリ水溶液に耐性がある。一方露光部は、光酸発生材から発生した酸が露光後の熱処理により拡散して触媒として働き、ベース樹脂中の保護基を脱離し、水酸基又はカルボキシル基を再生させてアルカリ水溶液に可溶となる。この露光部と未露光部との溶解性の差を利用し、露光部を溶解除去することにより未露光部のみの塗膜パターンの形成が可能となるものである。更に、この触媒酸は脱離反応後も存在し、多くの反応を引き起こすため見かけの量子収率が高く、高感度化が容易となるだけでなく高い溶解コントラストが得られるために高解像度化も期待できる。半導体用レジストとしては、例えば第2847414号公報、第2848611号公報、特開平3−249654号公報、特開平9−230588号公報等が挙げられるが、これらに使用されているベース樹脂は主にポリヒドロキシスチレンであり、高い解像度は得られるが耐熱性に乏しく、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜用途には適さない。
【0007】
半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜用途として、ベース樹脂にポリイミド樹脂又はポリアミド樹脂を用いた化学増幅型感光性樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9参照。)。しかし開示されているベース樹脂は、熱で硬化させた後も水酸基が残ってしまうために耐湿信頼性が低下したり、十分な溶解コントラストが得られないために解像度の低下や、結果的に高感度でも未露光部の膜減り量の増加によって目的とする膜厚が得られなかったり、サイドエッチが大きくプロファイル性が悪い等の問題があった。
【0008】
【特許文献1】
特開平3−247655号公報、
【特許文献2】
特開平5−204156号公報、
【特許文献3】
特開平6−258836号公報、
【特許文献4】
特開平10−186658号公報、
【特許文献5】
特開平10−307394号公報
【特許文献6】
特開平3−763号公報
【特許文献7】
特開平4−120171号公報
【特許文献8】
特開平11−202489号公報
【特許文献9】
特開2001−194791号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高感度かつ高解像度で、現像後の未露光部の膜減り量が少ない特性を有するポジ型感光性樹脂組成物及びそれを用いた半導体装置を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
[1] 一般式(1)で示されるポリアミド樹脂(A)、光により酸を発生する化合物(B)、一般式(2)で示される化合物のカルボキシル基を、酸の存在下で分解する酸不安定基で保護された化合物(C)及び溶剤(D)を含むことを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物、
【0011】
【化9】
【0012】
【化10】
【0013】
[2] 一般式(1)で示されるポリアミド樹脂中のXが、式(3)の群より選ばれてなる第[1]項記載のポジ型感光性樹脂組成物、
【0014】
【化11】
【0015】
[3] 一般式(1)で示されるポリアミド樹脂中のYが、式(4)の群より選ばれてなる第[1]項又は[2]項記載のポジ型感光性樹脂組成物、
【0016】
【化12】
【0017】
[4] 一般式(2)で示される化合物のカルボキシル基を、酸の存在下で分解する酸不安定基で保護された化合物(C)が、テトラヒドロピラニル基、又はテトラヒドロフラニル基から選ばれた置換基で保護された化合物である第[1]〜[3]項記載のポジ型感光性樹脂組成物、
[5] 溶剤(D)が炭素数3〜10の環状ケトン、炭素数3〜10の環状ラクトン、ジメチルスルホキシド、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチルより選ばれてなる第[1]〜[4]項記載のポジ型感光性樹脂組成物、
[6] 第[1]項〜[5]項のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物が、更にフェノール化合物(E)を含むポジ型感光性樹脂組成物、
[7] フェノール化合物(E)が、一般式(5)、(6)、(7)、(8)、(9)の群より選ばれてなる第[6]項記載のポジ型感光性樹脂組成物、
【0018】
【化13】
【0019】
【化14】
【0020】
【化15】
【0021】
[8] 第[1]〜[7]項のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物を半導体素子上に塗布し、プリベーク、露光、露光後加熱、現像、加熱して得られることを特徴とする半導体装置、
[9] ポジ型感光性樹脂組成物を加熱脱水閉環後の膜厚が、0.1〜30μmになるように半導体素子上に塗布し、プリベーク、露光、露光後加熱、現像、加熱して得られる第[8]項記載の半導体装置、
である。
【0022】
一般式(1)のポリアミド樹脂は、Xの構造を有するビス(アミノフェノール)、必要により配合されるZの構造を有するシリコーンジアミンとYの構造を有するジカルボン酸或いはジカルボン酸ジクロリド、ジカルボン酸誘導体とを反応した後、酸不安定基となる保護基をポリアミド樹脂中のフェノール性水酸基に置換させて得られるものである。なお、ジカルボン酸の場合には反応収率等を高めるため、1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール等を予め反応させた活性エステル型のジカルボン酸誘導体を用いてもよい。酸不安定基となる保護基は、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜20のアルコキシアルキル基、炭素数1〜10のアルキル置換シリル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基が挙げられる。又現像後の未露光部の膜減り量が少なく、露光部と未露光部の溶解コントラストが大きい樹脂を得るために、ポリアミド樹脂中の全水酸基の5〜80%を酸不安定基となる保護基で置換されていることが必要である。5%未満のときは、未露光部が十分な溶解阻止能を発揮できないので膜減り量が大きくなり、80%を越えると、露光部の溶解性も極端に遅くなり感度が低下するだけでなく、現像後に樹脂の残り(スカム)が発生しやすくなる。現像後、このポリアミド樹脂を約300〜400℃で加熱すると脱水閉環し、ポリベンゾオキサゾールという形で耐熱性樹脂が得られる。
【0023】
本発明の一般式(1)のポリアミド樹脂のXは、例えば、
【化16】
等であるが、これらに限定されるものではない。これら中で特に好ましいものとしては、式(3)で示される群より選ばれるものであり、又2種以上用いても良い。
【0024】
又一般式(1)のポリアミド樹脂のYは、例えば、
【化17】
等であるが、これらに限定されるものではない。これらの中で特に好ましいものとしては、式(4)で示される群より選ばれるものであり、又2種以上用いても良い。
【0025】
又本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、保存性という観点から、Xの構造を有するビス(アミノフェノール)とYの構造を有するジカルボン酸或いはジカルボン酸ジクロリド又はジカルボン酸誘導体とを反応させてポリアミド樹脂を合成した後、アルケニル基又はアルキニル基を少なくとも1個有する脂肪族基又は環式化合物基を含む酸無水物を用いて末端のアミノ基をキャップすることが重要である。アルケニル基又はアルキニル基を少なくとも1個有する脂肪族基又は環式化合物基を含む酸無水物に起因する基として、例えば、
【0026】
【化18】
等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
これらの中で特に好ましいものとしては、
【化19】
より選ばれるものであり、又2種以上用いても良い。
【0028】
更に、必要によって用いる一般式(1)のポリアミド樹脂のZは、例えば
【化20】
【0029】
等であるがこれらに限定されるものではなく、又2種以上用いても良い。
一般式(1)のZは、例えば、シリコンウェハーのような基板に対して、特に優れた密着性が必要な場合に用いるが、その使用割合bは最大40モル%までである。40モル%を越えると現像液に対する樹脂の溶解性が極めて低下し、現像残り(スカム)が発生し、パターン加工ができなくなる。なお、これらX、Y、Zの使用にあたっては、それぞれ1種類であっても2種類以上の混合物であっても構わない。一般式(1)のnは、2〜300であるが、300を越えると現像後にスカムが発生する恐れがあるので好ましくない。
【0030】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物に用いられる、光により酸を発生する化合物(B)は、
Photograph.Sci.Eng.,18,p387(1974)、CHEMTECH,Oct.p624(1980)、Polym.Mater.Sci.Eng.,72,p406(1995)、Macromol.Chem.Rapid Commun.14,p203(1993)、J.Photopolym.Sci.Technol.,6,p67(1993)記載のオニウム塩類、Macromolecules,21,p2001(1988)、Chem.Mater.3,p462(1991)、Proc.SPIE,1086,2(1989)記載の2−ニトロベンジルエステル類、J.Photopolym.Sci.Technol.,2,p429(1989)、Proc.SPIE,1262,p575(1990)記載のN−イミノスルホネート類、Polym.Mat.Sci.Eng.,61,269(1989)記載のナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル類、J.Photopolym.Sci.Technol.,4,p389(1991)、Proc.SPIE,2195,p173(1994)記載のハロゲン系化合物類等が挙げられる。これらは単独でも2種以上用いても良い。
【0031】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、更に露光部と未露光部の溶解コントラストを向上させるために、一般式(2)で示される化合物のカルボキシル基を、酸の存在下で分解する酸不安定基で保護された化合物(C)を配合することが重要である。これにより、未露光部においてはアルカリ水溶液に対する耐性が向上し、露光部では光酸発生材から発生した触媒酸の作用により酸不安定基が脱離することによってカルボキシル基が再生し、水酸基より強い溶解促進作用を促す。
【0032】
酸の存在下で分解する酸不安定基としては、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニルメチル基、炭素数2〜20のアルコキシアルキル基、炭素数1〜10のアルキル置換シリル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられるが、特に好ましいものは、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基である。具体的には下記のものを挙げることができるが、これらに限定されない。又これらは単独でも2種以上用いても良い。
【0033】
【化21】
【0034】
【化22】
【0035】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、これらの成分を溶剤(D)に溶解し、ワニス状にして使用する。溶剤(D)としては、光酸発生材から発生した触媒酸が失活するのを防ぐために窒素原子を含有していない溶媒を選択することが重要である。具体的な例としては、炭素数3〜10の環状ケトン、炭素数3〜10の環状ラクトン、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブタノール、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコール−3−モノアルキルエーテル、トリアルキルベンゼン、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネート等が挙げられ、特に好ましいものとしては、γ−ブチロラクトン、シクロペンタノン、ジメチルスルホキシド、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチルが挙げられ、これらは単独でも混合して用いてもよい。
【0036】
又本発明のポジ型感光性樹脂組成物には、露光部と未露光部の溶解コントラストを高めるという目的で、光酸発生材から発生した触媒酸の拡散を促進するために、更にフェノール化合物(E)を配合することが好ましい。触媒酸の拡散は系中の親水性水酸基を経由する(Jpn.J.Appl.Phys.,vol.35,Pt.1,No.12B,p6501(1996))挙動を示すことに基づくもので、適当なフェノール化合物(E)を配合することにより、保護基の脱離反応を促進させるものである。又これらのフェノール化合物(E)はアルカリ水溶液に可溶なため、露光部の溶解性が増加し、感度を高める働きもある。フェノール化合物(E)の配合量は、一般式(1)で示されるポリアミド樹脂(A)100重量部に対して1〜30重量部が好ましい。1重量部未満だと触媒酸の拡散効果が認められなくなり、30重量部を越えると現像時に著しい残膜率の低下が生じたり、冷凍保存中において析出が起こり実用性に欠けるおそれがあるので好ましくない。
【0037】
フェノール化合物(E)としては下記のものを挙げることができるがこれらに限定されない。又これらは単独でも2種以上用いても良い。
【化23】
【0038】
【化24】
【0039】
【化25】
【0040】
本発明におけるポジ型感光性樹脂組成物には、必要によりレベリング剤、シランカップリング剤等の添加剤を配合することができる。
【0041】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、まず該樹脂組成物を適当な支持体、例えばシリコンウェハー、セラミック基板、アルミ基板等に塗布する。塗布量は、半導体装置の場合、硬化後の最終膜厚が0.1〜30μmになるように塗布する。膜厚が0.1μm未満だと半導体素子の保護表面膜としての機能を十分に発揮することが困難となり、30μmを越えると、微細な加工パターンを得ることが困難となる。塗布方法としては、スピンナーを用いた回転塗布、スプレーコーターを用いた噴霧塗布、浸漬、印刷、ロールコーティング等がある。次に、60〜130℃でプリベークして塗膜を乾燥後、所望のパターン形状に化学線を照射する。化学線としては、X線、電子線、紫外線、可視光線等が使用できるが、200〜500nmの波長のものが好ましい。露光後、オーブンやホットプレートを用い、60〜150℃で熱処理を行う。露光後ベークによって光酸発生材から発生した酸が拡散し、触媒反応により保護基を脱離する。
【0042】
次に照射部を現像液で溶解除去することによりレリーフパターンを得る。現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第1アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン等の第2アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第3アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第4級アンモニウム塩等のアルカリ類の水溶液及びこれにメタノール、エタノールのごときアルコール類等の水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加した水溶液を好適に使用することができる。現像方法としては、スプレー、パドル、浸漬、超音波等の方式が可能である。
【0043】
次に、現像によって形成したレリーフパターンをリンスする。リンス液としては、蒸留水を使用する。次に加熱処理を行い、オキサゾール環を形成して耐熱性に富む最終パターンを得る。
本発明によるポジ型感光性樹脂組成物は、半導体用途のみならず、多層回路の層間絶縁やフレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜や液晶配向膜等としても有用である。
【0044】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
<実施例1>
ポリアミド樹脂の合成
テレフタル酸0.9モルとイソフタル酸0.1モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール2モルとを反応させて得られたジカルボン酸誘導体(活性エステル)352.4g(0.88モル)とヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン366.3g(1モル)とを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、γ−ブチロラクトン3000gを加えて溶解させた。その後オイルバスを用いて75℃にて12時間反応させた。
【0045】
次にγ−ブチロラクトン500gに溶解させた5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物32.8g(0.2モル)を加え、更に12時間攪拌して反応を終了した。反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/メタノール=3/1(体積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥した。
【0046】
乾燥後のポリアミド樹脂49.6gを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、γ−ブチロラクトン250gを加えて溶解させた。その後二炭酸ジ−tert−ブチル6.5g(0.03モル)をγ−ブチロラクトン25gと共に滴下した。その後ピリジン2.3g(0.03モル)をγ−ブチロラクトン10gと共に滴下し、室温で5時間反応させた。反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/メタノール=3/1(体積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、一般式(1)で示され、Xが下記式X−1、Yが下記式Y−1及びY−2の混合物で、a=100、b=0、n=41からなり、核磁気共鳴法[装置:JNM−GSX400型FT−NMR装置(日本電子(株)製)、共鳴周波数:100MHz(プロトン)、溶媒(ジメチルスルホキシド)]により全水酸基の15%がtert−ブトキシカルボニル基で保護された目的のポリアミド樹脂(A−1)を合成した。
【0047】
ポジ型感光性樹脂組成物の作製
合成したポリアミド樹脂(A−1)10g、N−ヒドロキシナフタルイミドトリフルオロメタンスルホネート0.5g、2−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−2−(4−メトキシフェニル)アセトニトリル0.5g、下記式(C−1)の構造を有する酸不安定基で保護された化合物2.0g、下記式(E−1)の構造を有するフェノール化合物0.5gをγ−ブチロラクトン25gに溶解した後、0.2μmのフッ素系樹脂フィルターで濾過しポジ型感光性樹脂組成物を得た。
【0048】
特性評価
このポジ型感光性樹脂組成物をシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートにて90℃で3分プリベークし、膜厚7.0μmの塗膜を得た。この塗膜に凸版印刷(株)製・マスク(テストチャートNo.1:幅0.88〜50μmの残しパターン及び抜きパターンが描かれている)を通して、i線ステッパー((株)ニコン製・4425i)を用いて、露光量を変化させて照射した。その後ホットプレートにて110℃で5分露光後ベークを行った。
次に2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に20秒間2回浸漬することによって露光部を溶解除去した後、純水で10秒間リンスした。その結果、露光量140mJ/cm2で照射した部分よりパターンが成形されていることが確認できた。(感度は140mJ/cm2)。膜減り量は0.2μmと低い値を示し、解像度は3μmと非常に高い値を示した。又パターンのプロファイルも良好な形状を示した。
【0049】
<実施例2>
実施例1において、保護基導入前の乾燥後のポリアミド樹脂30gを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、酢酸エチル300gを加えて溶解させた。1.0mol/L塩酸/ジエチルエーテル溶液38.2ml(0.04モル)を滴下した後、40℃に加熱し、エチルビニルエーテル2.2g(0.03モル)を発熱に注意しながら滴下し、40℃で4時間反応させた。その後、10℃以下まで冷却し、トリエチルアミン2.0g(0.02モル)を滴下し、30分攪拌した。反応混合物を濾過した後、反応混合物をヘキサン/酢酸エチル=4/1(体積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し冷水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、一般式(1)で示され、Xが下記式X−1、Yが下記式Y−1及びY−2の混合物で、a=100、b=0、n=41からなり、前記した核磁気共鳴法により全水酸基の30%がエトキシエチル基で保護された目的のポリアミド樹脂(A−2)を合成した。
合成したポリアミド樹脂(A−2)10g、N−ヒドロキシナフタルイミドトリフルオロメタンスルホネート0.5g、2−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−2−(4−メトキシフェニル)アセトニトリル0.5g、下記式(C−2)の構造を有する酸不安定基で保護された化合物2.0g、下記式(E−2)の構造を有するフェノール化合物0.5gをγ−ブチロラクトン25gに溶解した後、0.2μmのフッ素系樹脂フィルターで濾過しポジ型感光性樹脂組成物を得た他は、実施例1と同様の評価を行った。
【0050】
<比較例1>
テレフタル酸0.9モルとイソフタル酸0.1モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール2モルとを反応させて得られたジカルボン酸誘導体(活性エステル)352.4g(0.88モル)とヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン366.3g(1モル)とを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、N−メチル−2−ピロリドン3000gを加えて溶解させた。その後オイルバスを用いて75℃にて12時間反応させた。
次にN−メチル−2−ピロリドン500gに溶解させた5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物32.8g(0.2モル)を加え、更に12時間攪拌して反応を終了した。その他は実施例1と同様に反応し、一般式(1)で示され、Xが下記式X−1、Yが下記式Y−1及びY−2の混合物で、a=100、b=0、n=43からなり、水酸基に対する酸不安定基の置換率が0である目的のポリアミド樹脂(A−3)を合成した。合成したポリアミド樹脂(A−3)10g、下記式(Q−1)の構造を有する感光性ジアゾキノン化合物2g、下記式(E−1)の構造を有するフェノール化合物0.6gをγ−ブチロラクトン25gに溶解した後、0.2μmのフッ素系樹脂フィルターで濾過しポジ型感光性樹脂組成物を得た他は実施例1と同様の評価を行った。
<比較例2>
実施例1における、酸不安定基で保護された化合物(C−1)を(C−3)に代え、その配合量を変えた他は、実施例1と同様の評価を行った。
<比較例3>
実施例2における、酸不安定基で保護された化合物(C−2)を(C−4)に代えた他は、実施例1と同様の評価を行った。
以下に、実施例及び比較例のX−1、Y−1、Y−2、C−1〜C−4、E−1、E−2、Q−1の構造を示す。
以上の評価結果を表1に示す。
【0051】
【化26】
【0052】
【化27】
【0053】
【化28】
【0054】
【化29】
【0055】
【表1】
【0056】
【発明の効果】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、高感度かつ高解像度であり、現像後の未露光部の膜減り量が少なく、形成されたプロファイル性も良好である。
Claims (9)
- 一般式(2)で示される化合物のカルボキシル基を、酸の存在下で分解する酸不安定基で保護された化合物(C)が、テトラヒドロピラニル基又はテトラヒドロフラニル基から選ばれた置換基で保護された化合物である請求項1〜3記載のポジ型感光性樹脂組成物。
- 溶剤(D)が炭素数3〜10の環状ケトン、炭素数3〜10の環状ラクトン、ジメチルスルホキシド、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチルより選ばれてなる請求項1〜4記載のポジ型感光性樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物が、更にフェノール化合物(E)を含むポジ型感光性樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物を半導体素子上に塗布し、プリベーク、露光、露光後加熱、現像、加熱して得られることを特徴とする半導体装置。
- ポジ型感光性樹脂組成物を加熱脱水閉環後の膜厚が、0.1〜30μmになるように半導体素子上に塗布し、プリベーク、露光、露光後加熱、現像、加熱して得られる請求項8記載の半導体装置。
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