JP2004151600A - 可逆熱変色性筆記具セット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】可逆熱変色性顔料をビヒクル中に分散させた温度変化により有色(1)から有色(2)に色変化する可逆熱変色性インキを収容した筆記具と、着色透明性シートとからなり、前記可逆熱変色性インキが呈する有色(2)の色相と着色透明性シートの色相が同色である、或いは、可逆熱変色性インキが呈する有色(2)の色相が着色透明性シートの色相の減法混色による構成色として含まれる可逆熱変色性筆記具セット。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は可逆熱変色性筆記具セットに関する。詳細には、温度変化により可逆的に色変化する筆跡を与える筆記具と、前記筆跡を不可視状態にするシートからなる可逆熱変色性筆記具セットに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、一般の着色剤を含有してなるインキを収容した筆記具と、前記インキの色調と同色関係の着色透明シートからなる学習具が開示されている(特開昭57−37389号公報)。
前記学習具は、筆記具により筆記して得られる筆跡上に、着色透明フィルムを載置して視覚すると、該筆跡は視覚されなくなるため、暗記用に適した学習具である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記筆記具と着色透明シートからなる学習具について更に検討した結果、筆記具に収容されるインキとして温度変化により可逆的に色変化するインキを用いることにより、いっそう暗記に適すると共に、意外性も付与できるため、商品価値の高い学習具が得られることを見いだした。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、可逆熱変色性顔料をビヒクル中に分散させた温度変化により有色(1)から有色(2)に色変化する可逆熱変色性インキを収容した筆記具と、着色透明性シートとからなり、前記可逆熱変色性インキが呈する有色(2)の色相と着色透明性シートの色相が同色である、或いは、可逆熱変色性インキが呈する有色(2)の色相が着色透明性シートの色相の減法混色による構成色として含まれる可逆熱変色性筆記具セットを要件とする。
更には、前記有色(1)の色相が着色透明性シートの色調と補色関係にあること、前記可逆熱変色性顔料は、色濃度−温度曲線に関して大きなヒステリシス特性を示して第1色相と第2色相間の互変性を呈し、両相が共存できる二相保持温度域が常温域にある顔料であり、前記顔料は第1色相状態にあって温度が上昇する過程では、第2の温度T3 に達すると、第1色相は変色し始め、第2の温度T3 より高い温度T4 以上の温度域で完全に第2色相となり、第2色相状態にあって温度が下降する過程では、前記第2の温度T3 より低い第1の温度T2 に達すると、第2色相は変色し始め、第1の温度T2 より低い温度T1 以下の温度域で完全に第1色相となり、前記第1の温度T2 と第2の温度T3 の間の温度域で第1色相と第2色相の両相が共存可能であるヒステリシス特性を示し、温度T1 は−30〜20℃の範囲にあり、温度T4 が28〜65℃の範囲にあること、摩擦体を備えてなること、筆記具に摩擦体が装着されてなること、摩擦体は、ゴム又はプラスチック発泡体であること等を要件とする。
【0005】
【発明の実施の形態】
インキ中に含まれる可逆熱変色性顔料は、従来より公知の(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、及び(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体の必須三成分を少なくとも含む可逆熱変色性組成物をマイクロカプセル中に内包させたり、或いは、樹脂粒子中に分散させた顔料が有効である。
前記可逆熱変色性組成物のうち、加熱により消色する組成物としては、特公昭51−44706号公報、特公昭51−44707号公報、特公平1−29398号公報等に記載された、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=1〜7℃)を有する組成物を例示できる。また、特公平4−17154号公報、特開平7−179777号公報、特開平7−33997号公報、特開平8−39936号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性(ΔH=8〜50℃)を示し、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、低温域での発色状態、又は、高温域での消色状態が、特定温度域で記憶保持できる感温変色性色彩記憶性組成物を用いることもできる。
【0006】
前記組成物の色濃度−温度曲線におけるヒステリシス特性について詳しく説明する。
図1において、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されている。温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全消色状態に達する最低温度T4 (以下、完全消色温度と称す)における濃度を示す点であり、Bは完全発色状態を保持できる最高温度T3 (以下、消色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Cは完全消色状態を保持できる最低温度T2 (以下、発色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Dは完全発色状態に達する最高温度T1 (以下、完全発色温度と称す)における濃度を示す点である。
変色温度域は前記T1 とT4 間の温度域であり、第1色相と第2色相の両相が共存でき、色濃度の差の大きい領域であるT2 とT3 の間の温度域が実質変色温度域(二相保持温度域)である。
また、線分EFの長さが変色のコントラストを示す尺度であり、線分EFの中点を通る線分HGの長さがヒステリシスの程度を示す温度幅(以下、ヒステリシス幅ΔHと記す)であり、このΔH値が小さいと変色前後の両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在しえない。また、前記ΔH値が大きいと変色前後の各状態の保持が容易となる。
【0007】
前記感温変色性色彩記憶性組成物を用いることにより、第1の状態から第2の状態に色彩を簡易に変色させることができ、常態と異なる色彩を互変的に視覚させることができ、完全発色温度T1 を水、氷、冷凍室、寒冷地等で得られる温度、即ち−30〜20℃、且つ、完全消色温度T4 を体温、摩擦体による摩擦熱、ヘアードライヤー等身近な加熱体から得られる温度、即ち28〜65℃の範囲に特定し、ΔH値を10〜60℃に特定することにより、常態(日常の生活温度域)で呈する色彩の保持に有効に機能させることができる。
【0008】
又、加熱発色型の組成物として、消色状態からの加熱により発色する、電子受容性化合物として、炭素数3乃至18の直鎖又は側鎖アルキル基を有する特定のアルコキシフェノール化合物を適用した系(特開平11−129623号公報、特開平11−5973号公報)、特定のヒドロキシ安息香酸エステルを適用した系(特開2001−105732号公報)、没食子酸エステル等を適用した系(特公昭51−44706号公報)等を例示できる。
【0009】
ここで、前記可逆熱変色性顔料中、或いはインキ中に非熱変色性の染料、顔料等の着色剤を配合して、有色(1)から有色(2)への互変的色変化を呈する構成とする。
染料としては、酸性染料、塩基性染料、直接染料、蛍光染料が全て使用可能である。
顔料は、カーボンブラック、群青、二酸化チタン顔料等の無機顔料、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、スレン顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、スロン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリノン系顔料等の有機顔料や蛍光顔料を例示できる。
【0010】
本発明に適用される可逆熱変色性顔料のうち、マイクロカプセルを用いる場合、前記カプセルの形態は円形断面の形態のものの適用を拒まないが、非円形断面の形態が効果的である。
筆記により形成される可逆熱変色性筆跡は、前記マイクロカプセル顔料が被筆記面に対して長径側(最大外径側)を密接させて濃密に配向、固着されており、高濃度の発色性を示すと共に、前記筆跡をゴム等の摩擦体による擦過等による外力に対して、前記マイクロカプセル顔料は外力を緩和する形状に微妙に弾性変形し、マイクロカプセルの壁膜の破壊が抑制され、熱変色機能を損なうことなく有効に発現させることができる。
ここで、前記非円形断面形状のマイクロカプセル顔料は、最大外径の平均値が0.5〜5.0μmの範囲にあり、且つ、可逆熱変色性組成物/壁膜=7/1〜1/1(重量比)の範囲を満たしていることが好ましい。
前記マイクロカプセル顔料(円形断面形状のものを含む)は、最大外径の平均値が、5.0μmを越える系では、毛細間隙からの流出性の低下を来し、一方、最大外径の平均値が、0.5μm以下の系では高濃度の発色性を示し難く、好ましくは、最大外径の平均値が、1〜4μmの範囲、当該マイクロカプセルの平均粒子径〔(最大外径+中央部の最小外径)/2〕が1〜3μmの範囲が好適である。
可逆熱変色性組成物の壁膜に対する比率が前記範囲より大になると、壁膜の厚みが肉薄となり過ぎ、圧力や熱に対する耐性の低下を起こし、逆に、壁膜の可逆熱変色性組成物に対する比率が前記範囲より大になると発色時の色濃度及び鮮明性の低下を免れず、好適には、可逆熱変色性組成物/壁膜=6/1〜1/1(重量比)である。
【0011】
前記可逆熱変色性組成物のマイクロカプセル化は、界面重合法、界面重縮合法、in Situ重合法、コアセルベート法等の公知の手段が適用できるが、本発明の前記した要件を満たす粒子径範囲の、非円形断面形状のマイクロカプセル顔料を得るためには、凝集、合一化が生じ難い界面重合法又は界面重縮合法の適用が効果的である。
【0012】
前記可逆熱変色性顔料は、インキ組成物全量に対し、2〜50重量%(好ましくは3〜40重量%、更に好ましくは、4〜30重量%)配合することができる。2重量%未満では発色濃度が不充分であり、50重量%を越えるとインキ流出性が低下し、筆記性が阻害される。
【0013】
本発明に適用される可逆熱変色性インキは、可逆熱変色性顔料をビヒクル中に分散させたものが有効である。
前記ビヒクルは水性ビヒクルが好ましいが、油性ビヒクルであってもよい。
具体的には、剪断減粘性付与剤を含む剪断減粘性インキや、水溶性高分子凝集剤により可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を緩やかな凝集状態に懸濁させた凝集性インキが挙げられる。更には、可逆熱変色性顔料とビヒクルと比重差を0.05以下になるよう調節したインキが挙げられる。
【0014】
前記剪断減粘性付与剤を添加することによって、顔料の凝集・沈降を抑制することができると共に、筆跡の滲みを抑制することができるため、紙面は勿論、浸透性の高い布帛等の繊維材料に筆記しても筆跡は滲むことなく、良好な筆跡を形成できる。
更に、前記インキを充填する筆記具がボールペン形態の場合、不使用時のボールとチップの間隙からのインキ漏れだしを防止したり、筆記先端部を上向き(正立状態)で放置した場合のインキの逆流を防止することができる。
尚、前記剪断減粘性付与剤を添加したインキ組成物の粘度は、20℃でのE型回転粘度計による3.84S−1の剪断速度におけるインキ粘度が20〜300mPa・sを示し、且つ、剪断減粘指数が0.1〜0.9を示すことが好ましい。
前記した粘度範囲及び剪断減粘指数を示すことによって、更にインキ漏れだし、インキの逆流を防止することができる。
なお、剪断減粘指数(n)は、剪断応力値(T)及び剪断速度値(j)の如き粘度計による流動学測定から得られる実験式T=Kjn (Kは非ニュートン粘性係数)にあてはめることによって計算される値である。
【0015】
前記剪断減粘性付与剤としては、キサンタンガム、ウェランガム、構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量約100乃至800万)、グアーガム、ローカストビーンガム及びその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸アルキルエステル類、メタクリル酸のアルキルエステルを主成分とする分子量10万〜15万の重合体、グルコマンナン、寒天やカラゲニン等の海藻より抽出されるゲル化能を有する増粘多糖類、ベンジリデンソルビトール及びベンジリデンキシリトール又はこれらの誘導体、架橋性アクリル酸重合体、無機質微粒子、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリン・ラノリンアルコール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸アミド等のHLB値が8〜12のノニオン系界面活性剤、ジアルキル又はジアルケニルスルホコハク酸の塩類。N−アルキル−2−ピロリドンとアニオン系界面活性剤の混合物、ポリビニルアルコールとアクリル系樹脂の混合物を例示できる。
【0016】
前記水溶性高分子凝集剤としては、非イオン性水溶性高分子化合物が好適に用いられる。
具体的にはポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、水溶性多糖類、非イオン性水溶性セルロース誘導体等が挙げられる。このうち水溶性多糖類の具体例としてはトラガントガム、グアーガム、プルラン、サイクロデキストリンが挙げられ、また非イオン性水溶性セルロース誘導体の具体例としてはメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。
本発明の可逆熱変色性インキ組成物中において顔料粒子間の緩い橋架け作用を示す水溶性高分子であればすべて適用することができるが、なかでも前記の非イオン性水溶性セルロース誘導体が最も有効に作用する。
前記高分子凝集剤は、インキ組成物全量に対し、0.05〜20重量%配合することができる。
【0017】
インキ中に水と共に添加される水溶性有機溶剤としては、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセリン、ソルビトール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、スルフォラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
【0018】
また、本発明のインキ組成物をボールペンに充填して用いる場合は、オレイン酸等の高級脂肪酸、長鎖アルキル基を有するノニオン性界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンオイル、チオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルメチルエステル)やチオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルエチルエステル)等のチオ亜燐酸トリエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸モノエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸ジエステル、或いは、それらの金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、アルカノールアミン塩等の潤滑剤を添加してボール受け座の摩耗防止効果を付与することが好ましい。
【0019】
その他、必要に応じてケトン樹脂、ケトン−ホルムアルデヒド樹脂、アミド樹脂、アルキッド樹脂、ロジン変性樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、α−及びβ−ピネン・フェノール重縮合樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂、スチレンマレイン酸共重合物、セルローズ誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストリン等の樹脂を添加して紙面への固着性や粘性を付与することもできる。
また、炭酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、酢酸ソーダ等の無機塩類、水溶性のアミン化合物等の有機塩基性化合物等のpH調整剤、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、サポニン等の防錆剤、石炭酸、1、2−ベンズチアゾリン3−オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン等の防腐剤或いは防黴剤、尿素、ノニオン系界面活性剤、還元又は非還元デンプン加水分解物、トレハロース等のオリゴ糖類、ショ糖、サイクロデキストリン、ぶどう糖、デキストリンソルビット、マンニット、ピロリン酸ナトリム等の湿潤剤、消泡剤、分散剤、インキの浸透性を向上させるフッ素系界面活性剤やノニオン系の界面活性剤を添加してもよい。
【0020】
前記インキ組成物は、マーキングペンチップやボールペンチップを筆記先端部に装着したマーキングペンやボールペンに充填して実用に供される。
なお、ボールペンに充填する場合、ボールペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、軸筒内に剪断減粘性インキを充填したインキ収容管を有し、該インキ収容管はボールを先端部に装着したチップに連通しており、さらにインキの端面には逆流防止用の液栓が密接しているボールペンを例示できる。
【0021】
前記ボールペンチップについて更に詳しく説明すると、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、或いは、金属材料をドリル等による切削加工により形成したボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、金属又はプラスチック製チップ内部に樹脂製のボール受け座を設けたチップ、或いは、前記チップに抱持するボールをバネ体により前方に付勢させたもの等を適用できる。
又、前記ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック、樹脂、ゴム等の0.3〜30.0mm径程度のものが適用できる。
なお、本発明のインキを充填する筆記具は、ボールと同様の転動作用により筆跡を形成させる、転動機構を筆記先端部に備えたものを含む。
【0022】
前記インキ組成物を収容するインキ収容管は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等の熱可塑性樹脂からなる成形体が用いられる。
更に、前記インキ収容管として透明、着色透明、或いは半透明の成形体を用いることにより、インキ色やインキ残量等を確認できる。
前記インキ収容管にはチップを直接連結する他、接続部材を介して前記インキ収容管とチップを連結してもよい。
尚、前記インキ収容管はレフィルの形態として、前記レフィルを軸筒内に収容するものでもよいし、先端部にチップを装着した軸筒自体をインキ収容体として、前記軸筒内に直接インキを充填してもよい。
【0023】
前記インキ収容管に収容したインキ組成物の後端にはインキ逆流防止体が充填される。
前記インキ逆流防止体組成物は不揮発性液体又は難揮発性液体からなる。
具体的には、ワセリン、スピンドル油、ヒマシ油、オリーブ油、精製鉱油、流動パラフィン、ポリブテン、α−オレフィン、α−オレフィンのオリゴマーまたはコオリゴマー、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル等があげられ、一種又は二種以上を併用することもできる。
【0024】
前記不揮発性液体及び/又は難揮発性液体には、ゲル化剤を添加して好適な粘度まで増粘させることが好ましく、表面を疎水処理したシリカ、表面をメチル化処理した微粒子シリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、疎水処理を施したベントナイトやモンモリロナイトなどの粘土系増粘剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属石鹸、トリベンジリデンソルビトール、脂肪酸アマイド、アマイド変性ポリエチレンワックス、水添ひまし油、脂肪酸デキストリン等のデキストリン系化合物、セルロース系化合物を例示できる。
更に、前記液状のインキ逆流防止体組成物と、固体のインキ逆流防止体を併用することもできる。
【0025】
また、マーキングペンに充填する場合、マーキングペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、軸筒内に繊維集束体からなるインキ吸蔵体を内蔵し、毛細間隙が形成された繊維加工体からなるペン体を直接或いは中継部材を介して軸筒に装着してなり、前記インキ吸蔵体とペン体が連結されてなるマーキングペンの前記インキ吸蔵体に凝集性インキを含浸させたマーキングペンを例示できる。
前記ペン体は、繊維の樹脂加工体、熱溶融性繊維の融着加工体、フェルト体等の従来より汎用の気孔率が概ね30〜70%の範囲から選ばれる連通気孔の多孔質部材であり、一端を砲弾形状、長方形状、チゼル形状等の目的に応じた形状に加工して実用に供される。
前記チゼル形状のペン体にあっては、筆記面への当接位置を変えることにより細書き用、或いは太書き用として、更には一定線幅のマークを形成できる多用途性を有し、多様な熱変色性の筆跡を形成できる利便性に優れた筆記具を構成できる。
インキ吸蔵体は、捲縮状繊維を長手方向に集束させたものであり、プラスチック筒体やフイルム等の被覆体に内在させて、気孔率が概ね40〜90%の範囲に調整して構成される。
更に、前記ボールペンやマーキングペンの形態は前述したものに限らず、相異なる形態のペン体を装着させたり、相異なる色調のインキを導出させるペン体を装着させたツインタイプの筆記具であってもよい。
【0026】
前記した筆記具により紙等の被筆記体に筆記して得られる筆跡は、指による擦過や加熱又は冷熱具の適用により第1の状態から第2の状態に色調を変色させることができる。
前記加熱手段としては、抵抗発熱体を装備した通電加熱変色具、温水等を充填した加熱変色具、ヘアドライヤーの適用が挙げれるが、好ましくは、簡便な方法により変色可能な手段として摩擦体が用いられる。
前記摩擦体としては、任意形象のゴム、プラスチック発泡体等の弾性体が弾性感に富み、使い勝手がよいが、プラスチック成形体、石材、木材、金属、布帛等であってもよい。
前記における摩擦体は、筆記具の一部に装着させることもでき、キャップの頂部や筆記具軸胴の後部に装着させて実用に供すると簡易性、利便性に優れる。
冷却手段としては、ペルチエ素子を利用した冷熱変色具、冷水、氷片等の冷媒を充填した冷熱変色具、冷蔵庫や冷凍庫の適用が挙げられる。
【0027】
前記着色透明性シートは、透明性樹脂中に着色剤を含有させて成形したシート状物、或いは、透明性樹脂により成形したシート状物を着色したものであって、その大きさや厚みは特に限定されるものではなく、下敷き程度の大きさと厚みを有するもの、定規、短冊程度の大きさと厚みを有するものが挙げられる。
着色透明性シートは可逆熱変色性インキが呈する有色(2)の色相と同色(類似色も含む)の色関係を満たす。
これを具体的に説明すると、有色(1)として赤色を呈する場合、着色透明性シートも同様の赤色のシートである。また、緑色を呈する場合、着色透明性シートも同様の緑色のシートである。前記の場合、筆跡の色調に対して、着色透明性シートの色調が濃色であると、シートを筆跡上に載置した際、筆跡の視覚を不能にする効果に優れる。
また、可逆熱変色性インキが呈する有色(2)の色相が着色透明性シートの色相と同色を呈しない場合であっても、可逆熱変色性インキが呈する有色(2)の色相が着色透明性シートの色相の減法混色による構成色であることにより同様の効果を奏することができる。
これを具体的に説明すると、前記した筆跡の色調と、筆跡を視覚不能にするシートの色調の組み合わせとしては、黄色の筆跡と橙色、赤色、緑色のシート、橙色の筆跡と赤色のシート、ピンク色の筆跡と赤色、紫色のシート、青色の筆跡と紫色、緑色のシートの組み合わせが挙げられる。
【0028】
本発明の筆記具と着色透明性シートからなる筆記具セットの具体的な使用方法を説明すると、黒色から赤色に色変化する可逆熱変色性インキを収容した筆記具と、赤色透明シートからなる筆記具セットの場合、前記筆記具で紙面上に所望の文字列を筆記して得られる黒色の筆跡は、通常の状態では黒色であり、前記筆跡上に赤色透明シートを載置しても筆跡は黒色の状態を維持している。
前記筆跡の一部を摩擦体により擦過すると、擦過した部分の筆跡は赤色に変色する。
この状態は黒色の筆跡と赤色の筆跡が混在した状態であるが、前記筆跡上に赤色透明シートを載置すると、黒色の筆跡部分は視覚され、赤色の筆跡部分は視覚されなくなる。
従って、使用者が筆記した任意の文字列のうち、記憶したい箇所を変色させた後、着色透明シートを載置すると視覚不能になるため、暗記に有効である。
前記した筆記具は黒色から赤色に色変化する可逆熱変色性インキを用いてなるが、例えば、緑色から赤色に色変化する可逆熱変色性インキを用いた筆記具と、赤色透明シートからなる筆記具セットの場合、前記筆記具で紙面上に所望の文字列を筆記して得られる緑色の筆跡は、通常の状態では緑色であり、前記筆跡上に赤色透明シートを載置すると、筆跡部分は補色の関係にある緑色と赤色が混色となった黒色の筆跡となる。
前記筆跡の一部を摩擦体により擦過すると、擦過した部分の筆跡は赤色に変色する。
この状態は緑色の筆跡と赤色の筆跡が混在した状態であるが、前記筆跡上に赤色透明シートを載置すると、緑色の筆跡部分は黒色に視覚され、赤色の筆跡部分は視覚されなくなる。
なお、前記補色の関係とは筆跡上に着色透明シートを載置しても筆跡が視覚可能な色調の組み合わせをいう。
【0029】
前記した構成は暗記に適したものであるが、例えば、橙色から黄色に色変化する可逆熱変色性インキを収容した筆記具と、赤色透明シートからなる筆記具セットの場合、前記筆記具で紙面上に所望の文字列を筆記して得られる橙色の筆跡は、通常の状態では橙色であり、前記筆跡上に赤色透明シートを載置すると筆跡部分は全て視覚されなくなる。また、前記筆跡の一部を摩擦体により擦過すると、擦過した部分の筆跡は黄色に変色した状態になるが、前記筆跡上に赤色透明シートを載置すると、前記と同様に筆跡部分は全て視覚されなくなり、意外性を付与した筆記具セットを得ることもできる。
【0030】
【実施例】
以下に実施例を示すが、本発明はこれら実施例に限定されない。
なお、実施例中の部は重量部である。
実施例1
可逆熱変色性インキの調製
感温変色性色彩記憶性組成物をマイクロカプセルに内包した可逆熱変色性顔料(T 1:2℃、T2 :6℃、T 3:37℃、T 4:44℃、平均粒子径:2.5μm、可逆熱変色性組成物/壁膜=2.6/1.0、暗緑色から無色に色変化する)12.5部、感温変色性色彩記憶性組成物をマイクロカプセルに内包した可逆熱変色性顔料(T 1:3℃、T2 :6℃、T 3:38℃、T 4:45℃、平均粒子径:2.5μm、可逆熱変色性組成物/壁膜=2.6/1.0、青色から無色に色変化する)5.5部、赤色染料〔アイゼン保土谷(株)製、商品名:ニューコクシン、C.I.16255〕0.25部、キサンタンガム(剪断減粘性付与剤)0.33部、尿素10部、グリセリン10部、ノニオン系浸透性付与剤〔サンノプコ(株)社製、商品名:ノプコSW−WET−366〕0.6部、変性シリコーン系消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:ノプコ8034〕0.1部、防黴剤〔ゼネカ(株)製、商品名:プロキセルXL−2〕0.1部、水60.62部からなる可逆熱変色性インキを調製した。
【0031】
筆記具の作製
前記インキ(予め2℃以下に冷却して可逆熱変色性顔料を発色させた後、室温下で放置したもの)を内径4.4mmのポリプロピレン製パイプに0.97g吸引充填し、樹脂製ホルダーを介して0.7mmステンレス鋼ボールを先端に抱持したボールペンチップと連結させた。
次いで、前記ポリプロピレン製パイプの後部より、ポリブテンを主成分とする粘弾性を有するインキ逆流防止体(液栓)を充填し、更に尾栓をパイプの後部に嵌合させ、先軸胴、後軸胴を組み付け、キャップを嵌めた後、遠心処理により脱気処理を行い、可逆熱変色性ボールペンを得た。
なお、前記キャップには頂部に摩擦体としてシリコーンゴムを装着してなる。
【0032】
着色透明性シートの作製
透明性樹脂を赤色に着色した赤色透明性シート(130mm×30mm、厚み0.5mm)を得た。
【0033】
可逆熱変色性筆記具セットの作製
前記可逆熱変色性ボールペンと赤色透明性シートを組み合わせて可逆熱変色性筆記具セットを得た。
前記ボールペンを用いて紙面1に筆記して黒色の「LMN」の文字(筆跡2)を形成した(図2参照)。
前記筆跡2は、室温(25℃)で黒色を呈しており、摩擦体を用いて「M」の文字を擦過すると、該文字は変色して赤色となり、この状態は室温で維持することができた(図3参照)。
前記文字上に赤色透明性シート3を載置すると、「L」と「N」の文字が視覚されるが、「M」の文字はシートと同色のため視覚されなくなった(図4参照)。
なお、前記レポート用紙を冷凍庫に入れて2℃以下に冷却すると、再び「M」の文字は黒色になる変色挙動を示し、前記変色挙動は繰り返し再現することができた。
【0034】
実施例2
可逆熱変色性インキの調製
感温変色性色彩記憶性組成物をマイクロカプセルに内包した可逆熱変色性顔料(T 1:16℃、T2 :18℃、T 3:32℃、T 4:35℃、平均粒子径:2.5μm、可逆熱変色性組成物/壁膜=2.6/1.0、ピンク色から無色に色変化する)12部、及び、青色染料〔アイゼン保土谷(株)製、商品名:ブリリアントブルーFCF、C.I.42090〕0.2部を、グリセリン5部、防黴剤〔ゼネカ(株)製、商品名:プロキセルXL−2〕0.7部、シリコーン系消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー381〕0.1部、水74部からなる水性媒体中に均一に分散状態となした後、ヒドロキシエチルセルロース〔ユニオンカーバイド日本(株)製、商品名:セロサイズWP−09L、水溶性高分子凝集剤〕5重量%水溶液8部を攪拌しながら、前記分散状態にある液中に添加して、前記可逆熱変色性顔料をゆるやかな凝集状態に懸濁させた可逆熱変色性インキを調製した。
【0035】
筆記具の作製
ポリエステルスライバーを合成樹脂フィルムで被覆した繊維集束インキ吸蔵体(気孔率約80%)中に、前記可逆熱変色性インキ(予め16℃以下に冷却して可逆熱変色性顔料を発色させた後、室温下で放置したもの)を均一状態に攪拌した直後に含浸させて軸胴内に収容し、軸筒先端部に装着させたポリエステル繊維の樹脂加工ペン体(気孔率約50%)と接触状態に組み立て、可逆熱変色性マーキングペンを得た。
なお、前記軸胴には後部に摩擦体としてシリコーンゴムを装着してなる。
【0036】
着色透明性シートの作製
透明性樹脂を緑色に着色した緑色透明性シート(260mm×180mm、厚み1mm)を得た。
【0037】
可逆熱変色性筆記具セットの作製
前記可逆熱変色性マーキングペンと緑色透明性シートを組み合わせて可逆熱変色性筆記具セットを得た。
前記マーキングペンを用いてレポート用紙に筆記して紫色の「あいう」の文字(筆跡)を形成した。
前記筆跡は、室温(25℃)で紫色を呈しており、摩擦体を用いて「い」の文字を擦過すると、該文字は変色して青色となり、この状態は室温で維持することができた。
前記文字上に緑色透明性シートを載置すると、「あ」と「う」の文字が視覚されるが、「い」の文字はシートの緑色の減法混色の構成色である青色に変色しているため視覚されなくなった。
なお、前記レポート用紙を冷蔵庫に入れて16℃以下に冷却すると、再び「い」の文字は紫色になる変色挙動を示し、前記変色挙動は繰り返し再現することができた。
更に、前記緑色透明性シートのかわりに青色透明性シートを用いて前記と同様の操作を行っても、青色に変色した筆跡は視覚されなくなる挙動を示した。
【0038】
実施例3
可逆熱変色性インキの調製
感温変色性色彩記憶性組成物をマイクロカプセルに内包した可逆熱変色性顔料(T 1:11℃、T2 :15℃、T 3:36℃、T 4:40℃、平均粒子径:2.5μm、可逆熱変色性組成物/壁膜=2.6/1.0、暗緑色から無色に色変化する)15部、感温変色性色彩記憶性組成物をマイクロカプセルに内包した可逆熱変色性顔料(T 1:11℃、T2 :14℃、T 3:38℃、T 4:42℃、平均粒子径:2.5μm、可逆熱変色性組成物/壁膜=2.6/1.0、青色から無色に色変化する)3部、ピンク色染料〔アイゼン保土谷(株)製、商品名:エリスロシン、C.I.45430〕0.12部、キサンタンガム(剪断減粘性付与剤)0.33部、尿素10部、グリセリン10部、ノニオン系浸透性付与剤〔サンノプコ(株)社製、商品名:ノプコSW−WET−366〕0.6部、変性シリコーン系消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:ノプコ8034〕0.1部、防黴剤〔ゼネカ(株)製、商品名:プロキセルXL−2〕0.1部、水60.75部からなる可逆熱変色性インキを調製した。
【0039】
筆記具の作製
前記インキ(予め11℃以下に冷却して可逆熱変色性顔料を発色させた後、室温下で放置したもの)を内径4.4mmのポリプロピレン製パイプに0.97g吸引充填し、樹脂製ホルダーを介して0.7mmステンレス鋼ボールを先端に抱持したボールペンチップと連結させた。
次いで、前記ポリプロピレン製パイプの後部より、ポリブテンを主成分とする粘弾性を有するインキ逆流防止体(液栓)を充填し、更に尾栓をパイプの後部に嵌合させ、先軸胴、後軸胴を組み付け、キャップを嵌めた後、遠心処理により脱気処理を行い、可逆熱変色性ボールペンを得た。
なお、前記軸胴後部には摩擦体としてシリコーンゴムを装着してなる。
【0040】
着色透明性シートの作製
透明性樹脂を赤色に着色した赤色透明性シート(150mm×50mm、厚み0.3mm)を得た。
【0041】
可逆熱変色性筆記具セットの作製
前記可逆熱変色性ボールペンと赤色透明性シートを組み合わせて可逆熱変色性筆記具セットを得た。
前記ボールペンを用いて紙面に筆記して黒色の「ABC」の文字(筆跡)を形成した。
前記筆跡は、室温(25℃)で黒色を呈しており、摩擦体を用いて「B」の文字を擦過すると、該文字は変色してピンク色となり、この状態は室温で維持することができた。
前記文字上に赤色透明性シートを載置すると、「A」と「C」の文字が視覚されるが、「B」の文字はシートの赤色の減法混色の構成色であるピンク色に変色しているため視覚されなくなった。
なお、前記レポート用紙を冷蔵庫に入れて11℃以下に冷却すると、再び「B」の文字は黒色になる変色挙動を示し、前記変色挙動は繰り返し再現することができた。
更に、前記赤色透明性シートのかわりにピンク色透明性シートや紫色透明性シートを用いて前記と同様の操作を行っても、ピンク色に変色した筆跡は視覚されなくなる挙動を示した。
【0042】
実施例4
可逆熱変色性インキの調製
感温変色性色彩記憶性組成物をマイクロカプセルに内包した可逆熱変色性顔料(T 1:14℃、T2 :15℃、T 3:28℃、T 4:31℃、平均粒子径:2.5μm、可逆熱変色性組成物/壁膜=2.6/1.0、ピンク色から無色に色変化する)15部、黄色染料〔ダイワ化成(株)製、商品名:キノリンイエローWS300、C.I.47005〕1.5部、キサンタンガム(剪断減粘性付与剤)0.33部、尿素10部、グリセリン10部、ノニオン系浸透性付与剤〔サンノプコ(株)社製、商品名:ノプコSW−WET−366〕0.6部、変性シリコーン系消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:ノプコ8034〕0.1部、防黴剤〔ゼネカ(株)製、商品名:プロキセルXL−2〕0.1部、水62.37部からなる可逆熱変色性インキを調製した。
【0043】
筆記具の作製
前記インキ(予め14℃以下に冷却して可逆熱変色性顔料を発色させた後、室温下で放置したもの)を内径4.4mmのポリプロピレン製パイプに0.97g吸引充填し、樹脂製ホルダーを介して0.7mmステンレス鋼ボールを先端に抱持したボールペンチップと連結させた。
次いで、前記ポリプロピレン製パイプの後部より、ポリブテンを主成分とする粘弾性を有するインキ逆流防止体(液栓)を充填し、更に尾栓をパイプの後部に嵌合させ、先軸胴、後軸胴を組み付け、キャップを嵌めた後、遠心処理により脱気処理を行い、可逆熱変色性ボールペンを得た。
【0044】
着色透明性シートの作製
透明性樹脂を緑色に着色した緑色透明性シート(200mm×100mm、厚み1.5mm)を得た。
【0045】
可逆熱変色性筆記具セットの作製
前記可逆熱変色性ボールペンと緑色透明性シートを組み合わせて可逆熱変色性筆記具セットを得た。
前記ボールペンを用いて紙面に筆記して赤色の「あいう」の文字(筆跡)を形成した。
前記筆跡は、室温(25℃)で赤色を呈しており、消しゴムを用いて「あ」の文字を擦過すると、該文字は変色して黄色となり、この状態は室温で維持することができた。
前記文字上に緑色透明性シートを載置すると、補色の関係にある筆跡の赤色とシートの緑色が混色となった黒色の「い」と「う」の文字が視覚されるが、「あ」の文字はシートの緑色の減法混色の構成色である黄色に変色しているため視覚されなくなった。
なお、前記レポート用紙を冷蔵庫に入れて14℃以下に冷却すると、再び「あ」の文字は赤色になる変色挙動を示し、前記変色挙動は繰り返し再現することができた。
更に、前記緑色透明性シートのかわりに赤色透明性シートを用いて前記と同様の操作を行なうと、赤色の筆跡、及び、黄色に変色した筆跡は共に視覚されなくなる挙動を示した。
また、前記筆跡は指触によっても赤色から黄色に変色させることができ、前記と同様の変色挙動を示した。
【0046】
【発明の効果】
本発明は、筆記具によって任意の筆跡を形成し、前記筆跡の任意個所を変色手段により有色(1)から有色(2)に変色させ、前記筆跡は着色透明性シートによって視覚判別できないよう構成されるため、意外性を付与できると共に、学習、教習、玩具要素における暗記に適した可逆熱変色性筆記具セットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】可逆熱変色性顔料の変色挙動を示す説明図である。
【図2】本発明可逆熱変色性筆記具セットの筆記具を用いて紙面上に筆跡を形成した状態を示す説明図である。
【図3】図2の紙面上に形成された筆跡を変色させた状態を示す説明図である。
【図4】図3の紙面上に形成された筆跡上に着色透明性シートを載置した状態を示す説明図である。
【符号の説明】
T1 完全発色温度
T2 発色開始温度
T3 消色開始温度
T4 完全消色温度
1 紙面
2 筆跡
3 着色透明性シート
Claims (6)
- 可逆熱変色性顔料をビヒクル中に分散させた温度変化により有色(1)から有色(2)に色変化する可逆熱変色性インキを収容した筆記具と、着色透明性シートとからなり、前記可逆熱変色性インキが呈する有色(2)の色相と着色透明性シートの色相が同色である、或いは、可逆熱変色性インキが呈する有色(2)の色相が着色透明性シートの色相の減法混色による構成色として含まれることを特徴とする可逆熱変色性筆記具セット。
- 前記有色(1)の色相が着色透明性シートの色調と補色関係にある請求項1記載の可逆熱変色性筆記具セット。
- 前記可逆熱変色性顔料は、色濃度−温度曲線に関して大きなヒステリシス特性を示して第1色相と第2色相間の互変性を呈し、両相が共存できる二相保持温度域が常温域にある顔料であり、前記顔料は第1色相状態にあって温度が上昇する過程では、第2の温度T3 に達すると、第1色相は変色し始め、第2の温度T3 より高い温度T4 以上の温度域で完全に第2色相となり、第2色相状態にあって温度が下降する過程では、前記第2の温度T3 より低い第1の温度T2 に達すると、第2色相は変色し始め、第1の温度T2 より低い温度T1 以下の温度域で完全に第1色相となり、前記第1の温度T2 と第2の温度T3 の間の温度域で第1色相と第2色相の両相が共存可能であるヒステリシス特性を示し、温度T1 は−30〜20℃の範囲にあり、温度T4 が28〜65℃の範囲にある請求項1又は2記載の可逆熱変色性筆記具セット。
- 摩擦体を備えてなる請求項1乃至3のいずれかに記載の可逆熱変色性筆記具セット。
- 筆記具に摩擦体が装着されてなる請求項4記載の可逆熱変色性筆記具セット。
- 摩擦体は、ゴム又はプラスチック発泡体である請求項4又は5記載の可逆熱変色性筆記具セット。
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