JP4326817B2 - 金属光沢調可逆熱変色性筆記具用インキ組成物 - Google Patents

金属光沢調可逆熱変色性筆記具用インキ組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、筆記具に収容して用いられる金属光沢調可逆熱変色性インキ組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より筆記具に用いられる可逆熱変色性インキ組成物(例えば、特許文献1参照)や、金属光沢調インキ組成物(例えば、特許文献2参照)が開示されている。
前記インキ組成物筆跡が温度変化により変色したり、筆跡に金属光沢を付与して装飾性を高め、商品価値の高いものである。
【0003】
【特許文献1】
特開平1−54081公報。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−72995号公報。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記した筆跡の装飾性を更に高めるようとするものであって、即ち、筆跡に金属光沢性と変色性を備えてなり、しかも、前記金属光沢性と変色性は互いの特性を損なうことなく、明瞭な色調が視認できる金属光沢調可逆熱変色性筆記具用インキ組成物を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、着色剤として可逆熱変色性顔料及び透明性金属光沢顔料、水、水溶性有機溶剤、剪断減粘性付与剤を含み、前記着色剤がインキ全量中4〜50重量%を占めてなり、且つ、着色剤中の可逆熱変色性顔料と透明性金属光沢顔料の重量比率が1:0.2〜10である金属光沢調可逆熱変色性筆記具用インキ組成物を要件とする。
更には、透明性金属光沢顔料は、天然雲母、合成雲母、ガラス、酸化アルミニウムから選ばれる材料を芯物質とし、前記芯物質を金属酸化物で被覆した顔料であることを要件とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
インキ中に含まれる可逆熱変色性顔料は、従来より公知の(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、及び(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体の必須三成分を少なくとも含む可逆熱変色性組成物を樹脂中に分散した顔料、或いは、マイクロカプセル中に内包させた顔料が有効である。
前記可逆熱変色性組成物のうち、加熱により消色する組成物としては、特公昭51−44706号公報、特公昭51−44707号公報、特公平1−29398号公報等に記載された、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=1〜7℃)を有する組成物を例示できる。
また、特公平4−17154号公報、特開平7−179777号公報、特開平7−33997号公報、特開平8−39936号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性(ΔH=8〜50℃)を示し、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、低温域での発色状態、又は、高温域での消色状態が、特定温度域で記憶保持できる感温変色性色彩記憶性組成物を用いることもできる。
前記感温変色性色彩記憶性組成物を用いると、特に常態(日常の生活温度域)で呈する色彩の保持を有効に機能させることができる。
【0008】
又、加熱発色型の組成物として、消色状態からの加熱により発色する、電子受容性化合物として、炭素数3乃至18の直鎖又は側鎖アルキル基を有する特定のアルコキシフェノール化合物を適用した系(特開平11−129623号公報、特開平11−5973号公報)、特定のヒドロキシ安息香酸エステルを適用した系(特開2001−105732号公報)、没食子酸エステル等を適用した系(特公昭51−44706号公報)等を例示できる。
【0009】
前記カプセルに内包した顔料の場合、その形態は円形断面の形態のものの適用を拒まないが、非円形断面の形態が効果的である。
筆記により形成される可逆熱変色性筆跡は、前記マイクロカプセル顔料が被筆記面に対して長径側(最大外径側)を密接させて濃密に配向、固着されており、高濃度の発色性を示すと共に、前記筆跡をゴム等の摩擦体による擦過等による外力に対して、前記マイクロカプセル顔料は外力を緩和する形状に微妙に弾性変形し、マイクロカプセルの壁膜の破壊が抑制され、熱変色機能を損なうことなく有効に発現させることができる。
ここで、前記非円形断面形状のマイクロカプセル顔料は、最大外径の平均値が0.5〜5.0μmの範囲にあり、且つ、可逆熱変色性組成物/壁膜=7/1〜1/1(重量比)の範囲を満たしていることが好ましい。
前記マイクロカプセル顔料(円形断面形状のものを含む)は、最大外径の平均値が、5.0μmを越える系では、毛細間隙からの流出性の低下を来し、一方、最大外径の平均値が、0.5μm以下の系では高濃度の発色性を示し難く、好ましくは、最大外径の平均値が、1〜4μmの範囲、当該マイクロカプセルの平均粒子径〔(最大外径+中央部の最小外径)/2〕が1〜3μmの範囲が好適である。
可逆熱変色性組成物の壁膜に対する比率が前記範囲より大になると、壁膜の厚みが肉薄となり過ぎ、圧力や熱に対する耐性の低下を起こし、逆に、壁膜の可逆熱変色性組成物に対する比率が前記範囲より大になると発色時の色濃度及び鮮明性の低下を免れず、好適には、可逆熱変色性組成物/壁膜=6/1〜1/1(重量比)である。
【0010】
前記可逆熱変色性組成物のマイクロカプセル化は、界面重合法、界面重縮合法、in Situ重合法、コアセルベート法等の公知の手段が適用できるが、本発明の前記した要件を満たす粒子径範囲の、非円形断面形状のマイクロカプセル顔料を得るためには、凝集、合一化が生じ難い界面重合法又は界面重縮合法の適用が効果的である。
【0011】
次に、透明性金属光沢顔料について説明する。
前記透明性金属光沢顔料は、天然雲母、合成雲母、偏平ガラス片、薄片状酸化アルミニウムから選ばれる材料を芯物質とし、前記芯物質を金属酸化物で被覆した透明性金属光沢顔料、コレステリック液晶型金属光沢顔料が挙げられる。
【0012】
天然雲母を芯物質とする透明性金属光沢顔料は、天然雲母粒子の表面に酸化チタンを被覆したもの、前記酸化チタンの上層に酸化鉄や非熱変色性染顔料を被覆したもの等が有効であり、天然雲母の表面を41〜44重量%の酸化チタンで被覆した粒度が5〜50μmの金色金属光沢顔料、天然雲母の表面を30〜38重量%の酸化チタンで被覆し、その上に0.5〜10重量%の非熱変色性有色顔料を被覆した粒度が5〜60μmの金色金属光沢顔料、天然雲母の表面を16〜39重量%の酸化チタンで被覆した粒度が5〜100μmの銀色金属光沢顔料、天然雲母の表面を45〜58重量%の酸化チタンで被覆したメタリック色金属光沢顔料、天然雲母の表面を45〜58重量%の酸化チタンで被覆し、その上に0.5〜10重量%の非熱変色性有色染顔料を被覆したメタリック色金属光沢顔料等が挙げられる。
前記天然雲母の表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆した顔料として具体的には、メルク社製の商品名「イリオジン」品番:100(粒度分布10〜60μm:シルバーパール)、120(粒度分布5〜25μm:ラスターサテン)、201(粒度分布5〜25μm:ルチルファインゴールド)、205(粒度分布10〜60μm:ルチルプラチナゴールド)、221(粒度分布5〜25μm:ルチルファインブルー)、225(粒度分布10〜60μm:ルチルブルーパール)、231(粒度分布5〜25μm:ルチルファインレッド)、235(粒度分布10〜60μm:ルチルグリーンパール)、エンゲルハード社製の商品名「ルミナカラーズ」品番:ルミナゴールド(粒度分布10〜48μm:金色)、ルミナレッド(粒度分布10〜48μm:メタリックレッド)、ルミナレッドブルー(粒度分布10〜48μm:メタリックブルー)、ルミナアクアブルー(粒度分布10〜48μm:メタリックブルー)、ルミナグリーン(粒度分布10〜48μm:メタリックグリーン)、ルミナターコイズ(粒度分布10〜48μm:メタリックグリーン)等を例示できる。
【0013】
合成雲母を芯物質とし、その表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆した透明性金属光沢顔料は、芯物質として天然雲母を用いた系に較べて不純物や鉄等の着色因子となる金属イオンの含有量が少なく、光輝性に優れ、キラキラ光る様相を呈すると共に、透明性も優れる。
前記顔料は、合成雲母の表面を被覆する金属酸化物の被覆率によって、金色、銀色、或いはメタリック色の金属光沢を呈する。
合成雲母としては、KMg(AlSi10)Fが挙げられる。
前記雲母の形状は特定されないが、偏平形状や鱗片形状のものを例示できる。
合成雲母の表面を被覆する金属酸化物としては、チタン、ジルコニウム、クロム、バナジウム、鉄等の金属酸化物を例示できるが、好適には酸化チタンを主成分とする金属酸化物が挙げられる。
前記顔料は平均の厚みが0.1〜5μmであり、平均粒子径が2〜200μm、好ましくは2〜100μmのものが有効である。
前記合成雲母の表面を金属酸化物で被覆した顔料として具体的には、日本光研工業(株)製の商品名「アルティミカ」品番:SB−100(5〜30μm:銀色)、SD−100(10〜60μm:銀色)、SE−100(15〜100μm:銀色)、SF−100(44〜150μm:銀色)、SH−100(150〜600μm:銀色)、YB−100(5〜30μm:金色)、YD−100(10〜60μm:金色)、YE−100(15〜100μm:金色)、YF−100(44〜150μm:金色)、RB−100(5〜300μm:メタリックレッド)、RD−100(10〜60μm:メタリックレッド)、RE−100(15〜100μm:メタリックレッド)、RF−100(44〜150μm:メタリックレッド)、RBB−100(5〜30μm:メタリックパープル)、RBD−100(10〜60μm:メタリックパープル)、RBE−100(15〜100μm:メタリックパープル)、RBF−100(44〜150μm:メタリックパープル)、VB−100(5〜30μm:メタリックバイオレット)、VD−100(10〜60μm:メタリックバイオレット)、VE−100(15〜100μm:メタリックバイオレット)、VF−100(44〜150μm:メタリックバイオレット)、BB−100(5〜30μm:メタリックブルー)、BD−100(10〜60μm:メタリックブルー)、BE−100(15〜100μm:メタリックブルー)、BF−100(44〜150μm:メタリックブルー)、GB−100(5〜30μm:メタリックグリーン)、GD−100(10〜60μm:メタリックグリーン)、GE−100(15〜100μm:メタリックグリーン)、GF−100(44〜150μm:メタリックグリーン)等を例示できる。
【0014】
偏平ガラス片を芯物質とし、その表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆した透明性金属光沢顔料は、金属酸化物の被覆率により金色、銀色、或いはメタリック色の金属光沢を呈する。
前記偏平ガラス片の表面を金属酸化物で被覆した顔料として具体的には、鱗片状のガラス片を酸化チタンで被覆した日本板硝子(株)製の商品名「メタシャイン」MC5090RS(90μm:銀色)、MC5090RY(90μm:金色)、MC5090RR(90μm:赤色)、MC5090RV(90μm:紫色)、MC5090RB(90μm:青色)、MC5090RG(90μm:緑色)、MC1080RS(80μm:銀色)、MC1080RY(80μm:金色)、MC1080RR(80μm:赤色)、MC1080RB(80μm:青色)、MC1080RG(80μm:緑色)、MC1040RS(40μm:銀色)、MC1040RY(40μm:金色)、MC1040RR(40μm:赤色)、MC1040RB(40μm:青色)、MC1040RG(40μm:緑色)、MC1020RS(20μm:銀色)、MC1020RY(20μm:金色)、MC1020RR(20μm:赤色)、MC1020RB(20μm:青色)、MC1020RG(20μm:緑色)、MC1080RSS1(80μm:銀色)、MC1080RYS1(80μm:金色)等を例示できる。
【0015】
薄片状酸化アルミニウムを芯物質とし、その表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆した透明性金属光沢顔料は、芯物質が天然雲母の系と比較して不純物の含有量が少なく、光輝性に優れている。
前記酸化アルミニウムの表面を被覆する金属酸化物としては、チタン、ジルコニウム、クロム、バナジウム、鉄等の金属酸化物を例示できるが、好適には酸化チタンを主成分とする金属酸化物が適用され、前記金属酸化物の被覆率によって、金色、銀色、メタリック色等の金属色を呈する。
前記金属光沢顔料は平均の厚みが0.1〜5μmであり、平均粒子径が2〜200μm、好ましくは2〜100μmのものが有効である。
前記薄片状酸化アルミニウムの表面を金属酸化物で被覆した顔料として具体的には、メルク社製の商品名「シラリック」品番:T50−10(10〜30μm:銀色)、T60−10WNT(10〜30μm:銀色)、T60−20WNT(10〜30μm:金色)、T60−24WNT(10〜30μm:メタリックグリーン)、T60−23WNT(10〜30μm:メタリックブルー)等を例示できる。
【0016】
前記コレステリック液晶型金属光沢顔料について説明する。
コレステリック液晶型金属光沢顔料として用いられる液晶ポリマーは光の干渉効果によって広いスペクトル領域で入射する光の一部の領域のみが反射し、これ以外の領域は全て光が透過する性質を有する。反射スペクトルの領域は、らせん状のポリマーのピッチ幅、及び材料の屈折率によって決まり、また、反射スペクトル領域は左、及び右らせんに偏光した光線成分に分割され、その際、らせんの回転方向に応じて一方は反射され、他方は透過させることが可能となる。これによりコレステリック液晶型金属光沢顔料は全体的なスペクトル領域にわたり、透過、及び反射する性質、即ち、優れた金属光沢と視点により色調が変化するカラーフロップ性を有する。
また、前記コレステリック液晶型金属光沢顔料は、光輝性と共に透明性も有する。
前記コレステリック液晶型金属光沢顔料として具体的には、メソジェンを側鎖に持つシロキサン骨格をベースとした材料を例示できる。
前記コレステリック液晶型金属光沢顔料として具体的には、ワッカーケミー社製の商品名「ヘリコーンHC」、品番:Sapphire(SLM90020)〔青色→暗色〕、Scarabeus(SLM90120)〔緑色→青色〕、Jade(SLM90220)〔金色→緑青色〕、Maple(SLM90320)〔赤銅色→緑色〕等を例示できる。
前記コレステリック液晶型金属光沢顔料は平均の厚みが3〜15μm、好ましくは5〜10μmの範囲であり、平均の粒度が1〜100μmの範囲のものが好適に用いられる。
平均の厚み、粒度が前記範囲外の場合、光輝性やカラーフロップ性が損なわれたり、光輝性顔料の配向及び安定性に悪影響を及ぼすこともあり、実用が制限される。
【0017】
前記透明性金属光沢顔料は、芯物質を金属で被覆した金属光沢顔料や金属粉顔料のように透明性を有さない金属光沢顔料を用いた場合の筆跡、即ち、可逆熱変色性材料の色調と金属光沢顔料の色調が単に混合された色調とは異なり、前記可逆熱変色性材料の色変化が影響して金属光沢色が変化するため、視覚的相乗効果を付与でき、より多彩な金属光沢調の色変化を視認することができる。
また、前記可逆熱変色性材料として色調や変色温度の異なる顔料を複数併用したり、透明性金属光沢顔料として色調の異なる顔料を複数併用したり、非熱変色性の一般染料や顔料を併用することによって色変化をより多彩にすることもできる。
【0018】
本発明のインキ組成物は、着色剤として可逆熱変色性顔料及び透明性金属光沢顔料をビヒクル中に分散させたものが有効である。
前記インキ組成物として具体的には、剪断減粘性付与剤を含む剪断減粘性インキが用いられる。
前記可逆熱変色性顔料と透明性金属光沢顔料は、その合計量がインキ全量中4〜50重量%、好ましくは6〜40重量%を占める。
合計量が4重量%未満では筆跡の濃度が不十分となり、鮮明な筆跡を視認でき難い。また、50重量%を越えるとインキ粘度が上昇してインキ出を損ない易くなり、筆跡がかすれたり、筆記不能になることがある。
更に、着色剤中の可逆熱変色性顔料と透明性金属光沢顔料の重量比率は、可逆熱変色性顔料1に対し、透明性金属光沢顔料0.2〜10である。
透明性金属光沢顔料の重量比率が0.2未満では金属光沢性に乏しくなり、可逆熱変色性顔料が発色時には特に光沢性を視認し難い。また、10を越えると金属光沢性を十分に視認できるものの、可逆熱変色性顔料の変色による色変化が視認し難くなる。
【0019】
前記剪断減粘性付与剤を添加することによって、顔料の凝集・沈降を抑制することができると共に、筆跡の滲みを抑制することができるため、紙面は勿論、浸透性の高い布帛等の繊維材料に筆記しても筆跡は滲むことなく、良好な筆跡を形成できる。
更に、前記インキを充填する筆記具がボールペン形態の場合、不使用時のボールとチップの間隙からのインキ漏れだしを防止したり、筆記先端部を上向き(正立状態)で放置した場合のインキの逆流を防止することができる。
尚、前記剪断減粘性付与剤を添加したインキ組成物の粘度は、20℃でのE型回転粘度計による3.84S−1の剪断速度におけるインキ粘度が20〜300mPa・sを示し、且つ、剪断減粘指数が0.1〜0.9を示すことが好ましい。
前記した粘度範囲及び剪断減粘指数を示すことによって、更にインキ漏れだし、インキの逆流を防止することができる。
なお、剪断減粘指数(n)は、剪断応力値(T)及び剪断速度値(j)の如き粘度計による流動学測定から得られる実験式T=Kj(Kは非ニュートン粘性係数)にあてはめることによって計算される値である。
【0020】
前記剪断減粘性付与剤としては、キサンタンガム、ウェランガム、構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量約100乃至800万)、グアーガム、ローカストビーンガム及びその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸アルキルエステル類、メタクリル酸のアルキルエステルを主成分とする分子量10万〜15万の重合体、グルコマンナン、寒天やカラゲニン等の海藻より抽出されるゲル化能を有する増粘多糖類、ベンジリデンソルビトール及びベンジリデンキシリトール又はこれらの誘導体、架橋性アクリル酸重合体、無機質微粒子、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリン・ラノリンアルコール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸アミド等のHLB値が8〜12のノニオン系界面活性剤、ジアルキル又はジアルケニルスルホコハク酸の塩類、N−アルキル−2−ピロリドンとアニオン系界面活性剤の混合物、ポリビニルアルコールとアクリル系樹脂の混合物を例示できる。
【0021】
【0022】
インキ中に水と共に添加される水溶性有機溶剤としては、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセリン、ソルビトール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、スルフォラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
【0023】
また、本発明のインキ組成物をボールペンに充填して用いる場合は、オレイン酸等の高級脂肪酸、長鎖アルキル基を有するノニオン性界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンオイル、チオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルメチルエステル)やチオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルエチルエステル)等のチオ亜燐酸トリエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸モノエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸ジエステル、或いは、それらの金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、アルカノールアミン塩等の潤滑剤を添加してボール受け座の摩耗防止効果を付与することが好ましい。
【0024】
その他、必要に応じてケトン樹脂、ケトン−ホルムアルデヒド樹脂、アミド樹脂、アルキッド樹脂、ロジン変性樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、α−及びβ−ピネン・フェノール重縮合樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂、スチレンマレイン酸共重合物、セルローズ誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストリン等の樹脂を添加して紙面への固着性や粘性を付与することもできる。
また、炭酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、酢酸ソーダ等の無機塩類、水溶性のアミン化合物等の有機塩基性化合物等のpH調整剤、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、サポニン等の防錆剤、石炭酸、1、2−ベンズチアゾリン3−オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン等の防腐剤或いは防黴剤、尿素、ノニオン系界面活性剤、還元又は非還元デンプン加水分解物、トレハロース等のオリゴ糖類、ショ糖、サイクロデキストリン、ぶどう糖、デキストリンソルビット、マンニット、ピロリン酸ナトリム等の湿潤剤、消泡剤、分散剤、インキの浸透性を向上させるフッ素系界面活性剤やノニオン系の界面活性剤を添加してもよい。
【0025】
前記インキ組成物は、マーキングペンチップやボールペンチップを筆記先端部に装着したマーキングペンやボールペンに充填して実用に供される。
なお、ボールペンに充填する場合、ボールペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、軸筒内に剪断減粘性インキを充填したインキ収容管を有し、該インキ収容管はボールを先端部に装着したチップに連通しており、さらにインキの端面には逆流防止用の液栓が密接しているボールペンを例示できる。
【0026】
前記ボールペンチップについて更に詳しく説明すると、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、或いは、金属材料をドリル等による切削加工により形成したボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、金属又はプラスチック製チップ内部に樹脂製のボール受け座を設けたチップ、或いは、前記チップに抱持するボールをバネ体により前方に付勢させたもの等を適用できる。
又、前記ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック、樹脂、ゴム等の0.3〜3.0mm径程度のものが適用できる。
なお、本発明のインキを充填する筆記具は、ボールと同様の転動作用により筆跡を形成させる、転動機構を筆記先端部に備えたものを含む。
【0027】
前記インキ組成物を収容するインキ収容管は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等の熱可塑性樹脂からなる成形体が用いられる。
更に、前記インキ収容管として透明、着色透明、或いは半透明の成形体を用いることにより、インキ色やインキ残量等を確認できる。
前記インキ収容管にはチップを直接連結する他、接続部材を介して前記インキ収容管とチップを連結してもよい。
尚、前記インキ収容管はレフィルの形態として、前記レフィルを軸筒内に収容するものでもよいし、先端部にチップを装着した軸筒自体をインキ収容体として、前記軸筒内に直接インキを充填してもよい。
【0028】
前記インキ収容管に収容したインキ組成物の後端にはインキ逆流防止体が充填される。
前記インキ逆流防止体組成物は不揮発性液体又は難揮発性液体からなる。
具体的には、ワセリン、スピンドル油、ヒマシ油、オリーブ油、精製鉱油、流動パラフィン、ポリブテン、α−オレフィン、α−オレフィンのオリゴマーまたはコオリゴマー、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル等があげられ、一種又は二種以上を併用することもできる。
【0029】
前記不揮発性液体及び/又は難揮発性液体には、ゲル化剤を添加して好適な粘度まで増粘させることが好ましく、表面を疎水処理したシリカ、表面をメチル化処理した微粒子シリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、疎水処理を施したベントナイトやモンモリロナイトなどの粘土系増粘剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属石鹸、トリベンジリデンソルビトール、脂肪酸アマイド、アマイド変性ポリエチレンワックス、水添ひまし油、脂肪酸デキストリン等のデキストリン系化合物、セルロース系化合物を例示できる。
更に、前記液状のインキ逆流防止体組成物と、固体のインキ逆流防止体を併用することもできる。
【0030】
また、マーキングペンに充填する場合、マーキングペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、軸筒内に繊維集束体からなるインキ吸蔵体を内蔵し、毛細間隙が形成された繊維加工体からなるペン体を直接或いは中継部材を介して軸筒に装着してなり、前記インキ吸蔵体とペン体が連結されてなるマーキングペンの前記インキ吸蔵体にインキを含浸させたマーキングペンを例示できる。
前記ペン体は、繊維の樹脂加工体、熱溶融性繊維の融着加工体、フェルト体等の従来より汎用の気孔率が概ね30〜70%の範囲から選ばれる連通気孔の多孔質部材であり、一端を砲弾形状、長方形状、チゼル形状等の目的に応じた形状に加工して実用に供される。
前記チゼル形状のペン体にあっては、筆記面への当接位置を変えることにより細書き用、或いは太書き用として、更には一定線幅のマークを形成できる多用途性を有し、多様な熱変色性の筆跡を形成できる利便性に優れた筆記具を構成できる。
インキ吸蔵体は、捲縮状繊維を長手方向に集束させたものであり、プラスチック筒体やフイルム等の被覆体に内在させて、気孔率が概ね40〜90%の範囲に調整して構成される。
更に、前記ボールペンやマーキングペンの形態は前述したものに限らず、相異なる形態のペン体を装着させたり、相異なる色調のインキを導出させるペン体を装着させたツインタイプの筆記具であってもよい。
【0031】
前記した筆記具により紙等の被筆記体に筆記して得られる筆跡は、指による擦過や加熱又は冷熱具の適用により金属光沢色(1)から無色、或いは、金属光沢色(1)から金属光沢色(2)に可逆的に変色させることができる。
前記加熱手段としては、抵抗発熱体を装備した通電加熱変色具、温水等を充填した加熱変色具、ヘアドライヤー、摩擦体の適用が挙げれる。
前記摩擦体としては、任意形象のゴム、プラスチック発泡体等の弾性体が弾性感に富み、使い勝手がよいが、プラスチック成形体、石材、木材、金属、布帛等であってもよい。
前記における摩擦体は、筆記具の一部に装着させることもでき、キャップの頂部や筆記具軸胴の後部に装着させて実用に供すると簡易性、利便性に優れる。
冷却手段としては、ペルチエ素子を利用した冷熱変色具、冷水、氷片等の冷媒を充填した冷熱変色具、冷蔵庫や冷凍庫の適用が挙げられる。
【0032】
【実施例】
本発明の実施例について以下に記す。尚、実施例の配合中における部とあるは、重量部である。
実施例1
金属光沢調可逆熱変色性筆記具用インキの調製
可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包した可逆熱変色性顔料(発色温度:28℃、消色温度:32℃、平均粒子径:2.5μm、可逆熱変色性組成物/壁膜=2.6/1.0、ピンク色から無色に色変化する)10部、黄色染料〔ダイワ化成(株)製、商品名:キノリンイエローWS300、C.I.47005〕1.5部、天然雲母の表面を酸化チタンで被覆した透明性金属光沢顔料〔メルクジャパン(株)製、商品名:イリオジン211 Rutile Fine Red、粒子径5〜25μm、メタリックレッド)10部、剪断減粘性付与剤(キサンタンガム)0.33部、尿素10部、グリセリン10部、ノニオン系浸透性付与剤〔サンノプコ(株)製、商品名:ノプコSW−WET−366〕0.6部、変性シリコーン系消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:ノプコ8034〕0.1部、防黴剤〔ゼネカ(株)製、商品名:プロキセルXL−2〕0.1部、水57.37部からなる金属光沢調可逆熱変色性筆記具用インキを調製した。
なお、可逆熱変色性顔料と透明性金属光沢顔料の合計重量は20重量%であり、可逆熱変色性顔料と透明性金属光沢顔料の重量比率は1:1であった。
【0033】
筆記具の作製
前記インキを内径3.3mmのポリプロピレン製パイプに0.8g吸引充填し、樹脂製ホルダーを介して0.7mmステンレス鋼ボールを先端に抱持したボールペンチップと連結させた。
次いで前記ポリプロピレン製パイプの後部より、ポリブテンを主成分とする粘弾性を有するインキ逆流防止体(液栓)を充填した後、軸胴、口金、尾栓、キャップを組み付け、金属光沢調可逆熱変色性ボールペンを得た。
【0034】
筆跡の変色挙動
前記ボールペンを用いて白色の紙面上に筆記して得られる筆跡は、室温下(25℃)でメタリックレッドを呈しており、この状態から加温すると32℃以上の温度で可逆熱変色性顔料が消色状態となるためメタリックイエローに変色した。次いで、この状態から冷却すると28℃以下の温度で再び可逆熱変色性顔料が発色状態となり、メタリックレッドに戻った。
また、前記筆跡を指触や息等の体温で加温したところ、加温部分がメタリックレッドからメタリックイエローに変色し、室温下で放置すると自然にメタリックレッドに戻った。
前記変色挙動は繰り返し再現することができた。
【0035】
実施例2
金属光沢調可逆熱変色性筆記具用インキの調製
感温変色性色彩記憶性組成物をマイクロカプセルに内包した可逆熱変色性顔料(発色温度15℃、消色温度:30℃、平均粒子径:2.5μm、可逆熱変色性組成物/壁膜=2.6/1.0、青色から無色に色変化する)10部、薄片状酸化アルミニウムの表面を金属酸化物で被覆した透明性金属光沢顔料〔メルクジャパン(株)製、商品名:シラリックT50−10 クリスタルシルバー、粒子径10〜30μm、銀色)10部、剪断減粘性付与剤(キサンタンガム)0.33部、尿素10部、グリセリン10部、ノニオン系浸透性付与剤〔サンノプコ(株)製、商品名:ノプコSW−WET−366〕0.6部、変性シリコーン系消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:ノプコ8034〕0.1部、防黴剤〔ゼネカ(株)製、商品名:プロキセルXL−2〕0.1部、水58.87部からなる金属光沢調可逆熱変色性筆記具用インキを調製した。
なお、可逆熱変色性顔料と透明性金属光沢顔料の合計重量は20重量%であり、可逆熱変色性顔料と透明性金属光沢顔料の重量比率は1:1であった。
【0036】
筆記具の作製
前記インキ(予め15℃以下で冷却して可逆熱変色性顔料を発色させた後、室温下で放置したもの)を内径3.3mmのポリプロピレン製パイプに0.8g吸引充填し、樹脂製ホルダーを介して1mmステンレス鋼ボールを先端に抱持したボールペンチップと連結させた。
次いで前記ポリプロピレン製パイプの後部より、ポリブテンを主成分とする粘弾性を有するインキ逆流防止体(液栓)を充填した後、軸胴、口金、尾栓、キャップを組み付け、金属光沢調可逆熱変色性ボールペンを得た。
【0037】
筆跡の変色挙動
前記ボールペンを用いて白色の紙面上に筆記して得られる筆跡は、室温下(25℃)でメタリックブルーを呈しており、この状態から加温すると30℃以上の温度で可逆熱変色性顔料が消色状態となるため、無色となった。次いで、この状態から冷却すると15℃以下の温度で再び可逆熱変色性顔料が発色状態となり、メタリックブルーに戻った。
メタリックブルーを呈している前記筆跡の一部を指触、息等の体温で加温したところ、加温部分が消色し、この変色状態は室温下に放置しても維持することができた。
更に、前記筆跡を冷蔵庫内(10℃)で冷却すると再び消色部分がメタリックブルーに発色した。
前記変色挙動は繰り返し再現することができた。
【0038】
実施例3
金属光沢調可逆熱変色性筆記具用インキの調製
可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包した可逆熱変色性顔料(発色温度:15℃、消色温度:18℃、平均粒子径:2.5μm、可逆熱変色性組成物/壁膜=2.6/1.0、青色から無色に色変化する)20部、ピンク色染料〔アイゼン保土谷(株)製、商品名:エリスロシン、C.I.45430〕0.5部、合成雲母の表面を金属酸化物で被覆した透明性金属光沢顔料〔日本光研工業(株)製、商品名:アルティミカ VB−100、粒子径5〜30μm、メタリックバイオレット〕10部、剪断減粘性付与剤(キサンタンガム)0.33部、尿素10部、グリセリン10部、ノニオン系浸透性付与剤〔サンノプコ(株)製、商品名:ノプコSW−WET−366〕0.6部、変性シリコーン系消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:ノプコ8034〕0.1部、防黴剤〔ゼネカ(株)製、商品名:プロキセルXL−2〕0.1部、水48.37部からなる金属光沢調可逆熱変色性筆記具用インキを調製した。
なお、可逆熱変色性顔料と透明性金属光沢顔料との合計重量は30重量%であり、可逆熱変色性顔料と透明性金属光沢顔料の重量比率は1:0.5であった。
【0039】
筆記具の作製
前記インキを内径3.3mmのポリプロピレン製パイプに0.8g吸引充填し、樹脂製ホルダーを介して0.88mmステンレス鋼ボールを先端に抱持したボールペンチップと連結させた。
次いで前記ポリプロピレン製パイプの後部より、ポリブテンを主成分とする粘弾性を有するインキ逆流防止体(液栓)を充填した後、軸胴、口金、尾栓、キャップを組み付け、金属光沢調可逆熱変色性ボールペンを得た。
【0040】
筆跡の変色挙動
前記ボールペンを用いて白色の紙面上に筆記して得られる筆跡は、室温下(25℃)でメタリックピンクを呈しており、この状態から冷却すると15℃以下の温度で可逆熱変色性顔料が発色状態となるため、メタリックバイオレットに変色した。 次いで、この状態から加温すると18℃以上の温度で可逆熱変色性顔料が再び消色状態となり、メタリックピンクに戻った。
メタリックピンク色を呈している前記筆跡を冷蔵庫内(10℃)で冷却したところ、メタリックバイオレットに変色し、この状態で室温下に放置すると自然にメタリックピンクに戻った。
前記変色挙動は繰り返し再現することができた。
【0041】
実施例4
金属光沢調可逆熱変色性筆記具用インキの調製
可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包した可逆熱変色性顔料(発色温度:28℃、消色温度:32℃、平均粒子径:2.5μm、可逆熱変色性組成物/壁膜=2.6/1.0、青色から無色に色変化する)10部、黄色染料〔ダイワ化成(株)製、商品名:キノリンイエローWS300、C.I.47005〕3部、偏平状のガラス片を酸化チタンでを被覆した透明性金属光沢顔料〔日本板硝子(株)製、商品名:メタシャイン MC1020RY(旧商品名:メタシャイン RCFSX−1020RC 9551、平均粒子径20μm、ゴールド〕10部、剪断減粘性付与剤(キサンタンガム)0.33部、尿素10部、グリセリン10部、ノニオン系浸透性付与剤〔サンノプコ(株)製、商品名:ノプコSW−WET−366〕0.6部、変性シリコーン系消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:ノプコ8034〕0.1部、防黴剤〔ゼネカ(株)製、商品名:プロキセルXL−2〕0.1部、水55.87部からなる金属光沢調可逆熱変色性筆記具用インキを調製した。
なお、可逆熱変色性顔料と透明性金属光沢顔料の合計重量は20重量%であり、可逆熱変色性顔料と透明性金属光沢顔料の重量比率は1:1であった。
【0042】
筆記具の作製
前記インキを内径3.3mmのポリプロピレン製パイプに0.8g吸引充填し、樹脂製ホルダーを介して0.88mmステンレス鋼ボールを先端に抱持したボールペンチップと連結させた。
次いで前記ポリプロピレン製パイプの後部より、ポリブテンを主成分とする粘弾性を有するインキ逆流防止体(液栓)を充填した後、軸胴、口金、尾栓、キャップを組み付け、金属光沢調可逆熱変色性ボールペンを得た。
【0043】
筆跡の変色挙動
前記ボールペンを用いて白色の紙面上に筆記して得られる筆跡は、室温下(25℃)でメタリックグリーンを呈しており、この状態から加温すると32℃以上の温度で可逆熱変色性顔料が消色状態となるためゴールドに変色した。次いで、この状態から冷却すると28℃以下の温度で再び可逆熱変色性顔料が発色状態となり、メタリックグリーンに戻った。また前記筆跡を指触や息等の体温で加温したところ、加温部分がメタリックグリーンからゴールドに変色し、室温に放置すると自然にメタリックグリーンに戻った。
前記変色挙動は繰り返し再現することができた。
【0044】
実施例5
金属光沢調可逆熱変色性筆記具用インキの調製
感温変色性色彩記憶性組成物をマイクロカプセルに内包した可逆熱変色性顔料(発色温度15℃、消色温度:30℃、平均粒子径:2.5μm、可逆熱変色性組成物/壁膜=2.6/1.0、黒色から無色に色変化する)10部、天然雲母の表面を酸化チタンで被覆した透明性金属光沢顔料〔メルクジャパン(株)製、商品名:イリオジン103 Rutile Sterling Silver、粒子径10〜60μm、銀色〕15部、剪断減粘性付与剤(キサンタンガム)0.33部、尿素10部、グリセリン10部、ノニオン系浸透性付与剤〔サンノプコ(株)製、商品名:ノプコSW−WET−366〕0.6部、変性シリコーン系消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:ノプコ8034〕0.1部、防黴剤〔ゼネカ(株)製、商品名:プロキセルXL−2〕0.1部、水53.87部からなる金属光沢調可逆熱変色性筆記具用インキを調製した。
なお、可逆熱変色性顔料と透明性金属光沢顔料の合計重量は25重量%であり、可逆熱変色性顔料と透明性金属光沢顔料の重量比率は1:1.5であった。
【0045】
筆記具の作製
前記インキ(予め15℃以下で冷却して可逆熱変色性顔料を発色させた後、室温下で放置したもの)を内径3.3mmのポリプロピレン製パイプに0.8g吸引充填し、樹脂製ホルダーを介して1mmステンレス鋼ボールを先端に抱持したボールペンチップと連結させた。
次いで前記ポリプロピレン製パイプの後部より、ポリブテンを主成分とする粘弾性を有するインキ逆流防止体(液栓)を充填した後、軸胴、口金、尾栓、キャップを組み付け、金属光沢調可逆熱変色性ボールペンを得た。
【0046】
筆跡の変色挙動
前記ボールペンを用いて白色の紙面上に筆記して得られる筆跡は、室温下(25℃)で銀色を呈しており、この状態から加温すると30℃以上の温度で可逆熱変色性顔料が消色状態となるため、無色となった。次いで、この状態から冷却すると15℃以下の温度で再び可逆熱変色性顔料が発色状態となり銀色に戻った。 黒色の文字上を前記ボールペンで筆記して文字を塗りつぶしたところ、文字が銀色の筆跡で隠蔽されて視認できなくなったが、筆記部分の一部を指触、息等の体温で加温したところ無色となり、前記文字を再び視認することができた。この状態は室温で維持することができた。
更に、前記筆記部分を冷蔵庫内(10℃)で冷却したところ、消色部分が再び銀色に発色し、前記文字を視認できなくなった。
前記変色挙動は繰り返し再現することができた。
【0047】
【発明の効果】
本発明は、着色剤として用いられる可逆熱変色性顔料と透明性金属光沢顔料がインキ全量中4〜50重量%を占め、且つ、可逆熱変色性顔料と透明性金属光沢顔料の重量比率を1:0.2〜10に調整することにより、筆記して得られる筆跡は金属光沢性と変色性を備えてなり、しかも、前記金属光沢性と変色性は互いの特性を損なうことなく、明瞭な色調が視認できる商品価値の高い金属光沢調可逆熱変色性筆記具用インキ組成物を提供できる。

Claims (2)

  1. 着色剤として可逆熱変色性顔料及び透明性金属光沢顔料、水、水溶性有機溶剤、剪断減粘性付与剤を含み、前記着色剤がインキ全量中4〜50重量%を占めてなり、且つ、着色剤中の可逆熱変色性顔料と透明性金属光沢顔料の重量比率が1:0.2〜10であることを特徴とする金属光沢調可逆熱変色性筆記具用インキ組成物。
  2. 前記透明性金属光沢顔料は、天然雲母、合成雲母、ガラス、酸化アルミニウムから選ばれる材料を芯物質とし、前記芯物質を金属酸化物で被覆した顔料である請求項1記載の金属光沢調可逆熱変色性筆記具用インキ組成物。
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