JP6049064B2 - ボールペン用光輝性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペン - Google Patents
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Description
そこで、前記問題を解決するために、インキ組成物中に各種材料を添加することでボール受け座の摩耗を低減する試みがなされている(例えば、特許文献1乃至3参照)。
また、特許文献2,3では、中空樹脂粒子や球状樹脂微粒子をインキ中に添加することでボールの回転を助勢したり、板状顔料同士の密着を抑制する等、物理的な潤滑性を付与することで座摩耗を抑制するものであるが、インキ中で凝集を生じ易く、更に筆跡の金属光沢感を高めるために板状顔料の配合量を増やした際には十分な効果が得られず、座摩耗を生じることがあった。
更に、前記板状顔料が、パール顔料、アルミニウム粉顔料、金属または金属酸化物コーティングガラスフレーク、アルミコーティングポリエステルフィルムから選ばれる一種以上の板状光輝性顔料であること、前記マイクロカプセル粒子の壁膜がアミノ樹脂又はウレタン樹脂により形成されることを要件とする。
更には、前記ボールペン用光輝性インキ組成物を内蔵したボールペンを要件とし、前記ボールペンが直径0.5mm以下のボールを筆記先端部に備えることを要件とする。
また、本発明のインキ組成物に使用される板状顔料において、特に粒子径の制限はないが、使用するボールペンにおいて筆記できなかったり、筆記中に顔料が吐出溝(インキ流出孔)を閉塞させたりして、筆記できなくなる虞のない粒子径が選択される。
尚、前記内包物とは、染料や香料やフォトクロミック材料等の外的付加を及ぼすものではなく、マイクロカプセルを萎ませることなく形状を保持するために封入されるものである。この要件を満たすものであればいずれも適用できるが、高温条件下においても物性変化が生じ難く、マイクロカプセル外部への放出が生じ難い点から、常圧で沸点250℃以上の液体が最適である。具体的には、エステル類やアルコール類が好適である。
前記マイクロカプセル粒子は、保存安定性や筆記性能の更なる向上の点から、壁膜がアミノ樹脂で形成されることが好ましく、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などで形成されることが望ましい。尚、壁膜をアミノ樹脂で形成するためには、各マイクロカプセル化法を用いる際に、好適なアミノ樹脂原料(メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアンアミン樹脂等)、並びに、分散剤、保護コロイド等を選択する。
尚、マイクロカプセル粒子の壁膜の厚さは、必要とする壁膜強度に応じて適宜決められる。
平均粒子径が0.1μm未満では、十分な摩耗抑制効果が得られ難く、3.0μmを越えると、マイクロカプセル粒子の分散安定性が低下することがあるため好ましくない。
含有量が1%未満では摩耗抑制効果が不十分となり、20%を超えると、マイクロカプセル粒子の分散安定性が低下することがあるため好ましくない。
前記配合比率(b/a)が0.5より小さい場合、マイクロカプセル粒子による板状顔料への作用が不十分となるため、長期的な摩耗抑制効果が得られ難くなり、5を越えると、マイクロカプセル粒子過多によって板状顔料の光輝性を阻害することがあるため好ましくない。
前記染料としては、酸性染料、塩基性染料、直接染料等を使用することができる。
酸性染料としては、ニューコクシン(C.I.16255)、タートラジン(C.I.19140)、アシッドブルーブラック10B(C.I.20470)、ギニアグリーン(C.I.42085)、ブリリアントブルーFCF(C.I.42090)、アシッドバイオレット6B(C.I.42640)、ソルブルブルー(C.I.42755)、ナフタレングリーン(C.I.44025)、エオシン(C.I.45380)、フロキシン(C.I.45410)、エリスロシン(C.I.45430)、ニグロシン(C.I.50420)、アシッドフラビン(C.I.56205)等が用いられる。
塩基性染料としては、クリソイジン(C.I.11270)、メチルバイオレットFN(C.I.42535)、クリスタルバイオレット(C.I.42555)、マラカイトグリーン(C.I.42000)、ビクトリアブルーFB(C.I.44045)、ローダミンB(C.I.45170)、アクリジンオレンジNS(C.I.46005)、メチレンブルーB(C.I.52015)等が用いられる。
直接染料としては、コンゴーレッド(C.I.22120)、ダイレクトスカイブルー5B(C.I.24400)、バイオレットBB(C.I.27905)、ダイレクトディープブラックEX(C.I.30235)、カヤラスブラックGコンク(C.I.35225)、ダイレクトファストブラックG(C.I.35255)、フタロシアニンブルー(C.I.74180)等が用いられる。
蛍光顔料としては、各種蛍光性染料を樹脂マトリックス中に固溶体化した合成樹脂微細粒子状の蛍光顔料が使用できる。
その他、蓄光性顔料、二酸化チタン等の白色顔料、更には熱変色性組成物、光変色性組成物、香料等を直接又はマイクロカプセル化したカプセル顔料等を例示できる。
前記可逆熱変色性組成物としては、特公昭51−44706号公報、特公昭51−44707号公報、特公平1−29398号公報等に記載された、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=1〜7℃)を有する可逆熱変色性組成物をマイクロカプセル中に内包させた加熱消色型のマイクロカプセル顔料が適用できる。
更に、特公平4−17154号公報、特開平7−179777号公報、特開平7−33997号公報、特開平8−39936号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性(ΔHB=8〜50℃)を示す、即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度以下の低温域での発色状態、又は完全消色温度以上の高温域での消色状態が、特定温度域で色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物をマイクロカプセル中に内包させた加熱消色型のマイクロカプセル顔料も適用できる。
尚、前記色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物として具体的には、完全発色温度を冷凍室、寒冷地等でしか得られない温度、即ち−50〜0℃、好ましくは−40〜−5℃、より好ましくは−30〜−10℃、且つ、完全消色温度を摩擦体による摩擦熱、ヘアドライヤー等身近な加熱体から得られる温度、即ち50〜95℃、好ましくは50〜90℃、より好ましくは60〜80℃の範囲に特定し、ΔH値を40〜100℃に特定することにより、常態(日常の生活温度域)で呈する色彩の保持に有効に機能させることができる。
尚、前記水溶性有機溶剤は一種又は二種以上を併用して用いることができ、2〜60重量%、好ましくは5〜35重量%の範囲で用いられる。
更に、アスコルビン酸類、エリソルビン酸類、α−トコフェロール、カテキン類、合成ポリフェノール、コウジ酸、アルキルヒドロキシルアミン、オキシム誘導体、α−グルコシルルチン、α−リポ酸、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、亜硫酸塩、スルホキシル酸塩、亜ジチオン酸塩、チオ硫酸塩、二酸化チオ尿素等を添加して化学的に気泡を除去することもできる。
また、N−ビニル−2−ピロリドンのオリゴマー、N−ビニル−2−ピペリドンのオリゴマー、N−ビニル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム、N−ビニル−ε−カプロラクタムのオリゴマー等の増粘抑制剤を添加することで、出没式形態での機能を高めることもできる。
更に、潤滑剤を使用することができ、例えば、金属石鹸、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイド付加型カチオン活性剤、リン酸エステル系活性剤、β−アラニン型界面活性剤、N−アシルアミノ酸、N−アシルメチルタウリン、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールやその塩やオリゴマー、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、チオカルバミン酸塩、ジメチルジチオカルバミン酸塩、α−リポ酸、N−アシル−L−グルタミン酸とL−リジンとの縮合物やその塩等が用いられる。
前記インキ逆流防止体としては、液状または固体のいずれを用いることもでき、前記液状のインキ逆流防止体としては、ポリブテン、α−オレフィンオリゴマー、シリコーン油、精製鉱油等の不揮発性媒体が挙げられ、所望により前記媒体中にシリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、脂肪酸アマイド等を添加することもできる。また、固体のインキ逆流防止体としては樹脂成形物が挙げられる。前記液状及び固体のインキ逆流防止体は併用することも可能である。
また、前記ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック等からなる汎用のものが適用でき、直径0.1mm〜2.0mm、好ましくは0.2mm〜1.0mmの範囲のものが好適に用いられる。特に、ボール径が0.5mm以下の小径のものでは、筆記距離に対するボールの回転数が多くなることから、本発明のインキがより好適に作用する。そのため、ボール径がより小さい0.5mm、0.4mm、0.38mm、0.35mm、0.3mm、0.28mm、0.25mm等、小さくなるにつれて本発明のインキは非常に有利に作用する。
また、前記ボールの材質のうち、硬度が高い超硬合金ボールは座摩耗を生じやすいため、特に本発明の光輝性インキ組成物が有用なものとなる。
前記軸筒にはチップを直接連結する他、接続部材を介して前記軸筒とチップを連結してもよい。
前記軸筒内に収容されるインキ組成物は、インキ組成物が低粘度である場合は軸筒前部にインキ保留部材を装着し、軸筒内に直接インキ組成物を収容する方法と、多孔質体或いは繊維加工体に前記インキ組成物を含浸させて収容する方法が挙げられる。
尚、前記軸筒は、ボールペン用レフィルの形態として、前記レフィルを外軸内に収容するものでもよいし、先端部にチップを装着した軸筒自体をインキ収容体として、前記軸筒内に直接インキを充填してもよい。
出没機構の操作方法としては、例えば、ノック式、回転式、スライド式等が挙げられる。
前記ノック式は、外軸後端部や外軸側面にノック部を有し、該ノック部の押圧により、ボールペンレフィルの筆記先端部を外軸前端開口部から出没させる構成、或いは、外軸に設けたクリップ部を押圧することにより、ボールペンレフィルの筆記先端部を外軸前端開口部から出没させる構成を例示できる。
前記回転式は、外軸に回転部(後軸等)を有し、該回転部を回すことによりボールペンレフィルの筆記先端部を外軸前端開口部から出没させる構成を例示できる。
前記スライド式は、軸筒側面にスライド部を有し、該スライドを操作することによりボールペンレフィルの筆記先端部を外軸前端開口部から出没させる構成、或いは、外軸に設けたクリップ部をスライドさせることにより、ボールペンレフィルの筆記先端部を外軸前端開口部から出没させる構成を例示できる。
尚、前記出没式ボールペンは、外軸内に一本のボールペンレフィルを収容したもの以外に、複数のボールペンレフィルを収容してなる複合タイプの出没式ボールペンであってもよい。
以下の表に実施例及び比較例のボールペン用光輝性インキの組成を示す。尚、表中の組成の数値は重量部を示す。
(1)東洋アルミ(株)製、商品名:WMX−0630(固形分:60%)
(2)東洋アルミ(株)製、商品名:EMR−D5660(固形分:50%)
(3)ダイワ化成(株)製、商品名:エオシン(35%水溶液)
(4)ラウリルアルコール(沸点259℃)を内包するメラミン樹脂マイクロカプセル(平均粒子径:1.2μm)
(5)ステアリン酸ブチル(沸点340℃)を内包するウレタン樹脂マイクロカプセル(平均粒子径:2.5μm)
(6)根上工業(株)製、商品名:アートパール MM−120T
(7)日本ゼオン(株)製、商品名:Nipol NIH5055(固形分20%、平均粒子径0.5μm)
(8)第一工業製薬(株)製、商品名:プライサーフAL
(9)アーチケミカルズ社製、商品名:プロキセルXL−2
(10)三晶(株)製、商品名:ケルザンST
水に各成分を添加して、20℃で、ディスパーにて400rpm、1時間攪拌した後、剪断減粘性付与剤を加えて更に1時間攪拌することで各インキを調製した。
基油としてポリブテン98.5部中に、増粘剤として脂肪酸アマイド1.5部を添加した後、3本ロールにて混練してインキ逆流防止体を得た。
前記実施例及び比較例のインキ組成物を、直径0.5mmの超硬合金ボールを抱持するステンレススチール製切削チップがポリプロピレン製パイプの一端に嵌着されたボールペンレフィルに1.0g充填し、該インキの後端に前記インキ逆流防止体を配設した後、前記ボールペンレフィルを外軸に組み込み、キャップを装着して試料ボールペンを作製した。
筆記試験
筆記可能であることを確認した試料ボールペンを、自動筆記試験機にて、旧JIS P3201筆記用紙Aに螺旋状の丸を連続筆記し、筆跡の状況と、充填されるインキが完全に消費できるかどうか確認した。尚、前記試験機は、筆記荷重100g、筆記角度70°、筆記速度4m/分の条件で使用した。
筆跡確認試験
前記筆記試験により得られた各筆跡を目視により確認し、光輝感を官能評価した。
摩耗試験
筆記可能であることを確認した試料ボールペンを、自動筆記試験機にて、旧JIS P3201筆記用紙Aに螺旋状の丸を1000m連続筆記した後のボール受け座部分の初期状態に対する摩耗量(ペン先上向き状態におけるボール沈み量)を測定した。
尚、前記試験機は、筆記荷重100g、筆記角度70°、筆記速度4m/分の条件で使用した。また、測定値は、各5本ずつ試験したものの平均値である。
前記各試験の結果を以下の表に示す。
筆記試験
○:良好な筆跡が形成でき、内蔵するインキを全て書き切ることができた。
×:筆跡に線飛びやカスレが発生し、途中で筆記できなくなりインキが残った。
筆跡確認試験
○:はっきりとした光輝性を有している。
×:光輝性が得られない。
Claims (5)
- 板状顔料と、内包物を有するマイクロカプセル粒子と、剪断減粘性付与剤と、水とを含有し、板状顔料(配合量a)とマイクロカプセル粒子(配合量b)の配合比率(重量比b/a)が0.5〜5であり、前記マイクロカプセル粒子の内包物が常圧で沸点250℃以上の液体であり、前記マイクロカプセル粒子の平均粒子径が0.1μm〜3.0μmであるボールペン用光輝性インキ組成物。
- 前記板状顔料が、パール顔料、アルミニウム粉顔料、金属または金属酸化物コーティングガラスフレーク、アルミコーティングポリエステルフィルムから選ばれる一種以上の板状光輝性顔料である請求項1記載のボールペン用光輝性インキ組成物。
- 前記マイクロカプセル粒子の壁膜がアミノ樹脂又はウレタン樹脂により形成される請求項1又は2に記載のボールペン用光輝性インキ組成物。
- 前記請求項1乃至3のいずれかに記載のボールペン用光輝性インキ組成物を内蔵したボールペン。
- 前記ボールペンが直径0.5mm以下のボールを筆記先端部に備える請求項4記載のボールペン。
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