JP5659200B2 - ボールペン - Google Patents
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Description
前記摩擦体としては、消しゴム、エラストマー、プラスチック発泡体が例示されているが、消しゴムは紙面上を擦る際、消しカスが発生して周囲を汚すと共に摩耗により永続した使用を満足させ難い。また、エラストマーやプラスチック発泡体については、材質やグレードによって適度な摩擦係数を有さず、紙面を擦る際、摩擦係数が大き過ぎて紙を破損したり、紙に皺を生じたり、紙表面があれる(けばだつ)ことがある。よって、擦った箇所に再筆記できなかったり、或いは、再筆記しても滲みを生じて良好な筆跡を形成できないといった不具合を生じる。これとは逆に、摩擦係数が小さ過ぎると擦る感覚に乏しく、その結果、無意識に必要以上の荷重をかけて擦ることから、紙に凹凸を生じて見栄えを損なうと共に、擦る回数が多くなる傾向にあり、煩わしさや疲れを感じて使用しなくなることから、商品性を損なうことになる。
更には、キャップを有してなり、前記キャップの先端部に摩擦体を備えてなること等を要件とする。
前記摩擦体は、摩擦係数が0.4〜0.8の範囲にある材料であれば全て用いることができる。
摩擦係数が0.8を超えると、紙面との抵抗が大き過ぎて紙が破れたり、紙に皺を生じたり、紙表面があれる(けばだつ)ことがある。
よって、紙の見栄えを損なうばかりか、擦った箇所に再び筆記することができなかったり、筆記しても皺があったり紙表面があれているため、滲みを生じて良好な筆跡を形成できない。
一方、摩擦係数が0.4未満では、紙面との抵抗が小さ過ぎて擦る感覚に乏しくなる。よって、必要以上に荷重をかけて強く擦る傾向にあり、紙に凹凸が発生して見栄えを損なう。また、擦る回数も増える傾向にあり、使用者が煩わしさと疲れを感じて使用しなくなることがある。
なお、本発明において摩擦体の摩擦係数は、100mm/分、荷重500gの条件下で紙面上を摩擦した時の摩擦係数(=摩擦力/荷重)を算出してなる。
前記摩擦体の材質は摩擦時に消しゴムで擦るような感触が得られるゴム等の弾性を有する樹脂が用いられ、筆跡を消色させる際に生じる紙と摩擦体の衝撃を緩和することができ、使用者に不快な衝撃を与えることなく摩擦させることができる。
前記摩擦体の材質としては、フッ素系樹脂、クロロプレン樹脂、ニトリル樹脂、ポリエステル系樹脂が用いられる。
具体的には、ボールペンに熱変色性インキを内蔵し、摩擦体を軸胴の後端部に設けたもの(図1、2、4参照)、摩擦体を先端部に装着したキャップを適用したもの(図3参照)を例示できる。
更に、前記摩擦体には、必要に応じて充填剤等の各種添加剤を加えることもできる。
前記可逆熱変色性組成物としては、特公昭51−44706号公報、特公昭51−44707号公報、特公平1−29398号公報等に記載された、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=1〜7℃)を有する組成物を用いることもできるが、好ましくは、特公平4−17154号公報、特開平7−179777号公報、特開平7−33997号公報、特開平8−39936号公報、特開2005−1369号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性(ΔH=8〜70℃)を示し、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、低温域での発色状態、又は、高温域での消色状態を特定温度域で保持できる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物が用いられる。
図5において、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されている。温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全消色状態に達する温度T4(以下、完全消色温度と称す)における濃度を示す点であり、Bは消色を開始する温度T3(以下、消色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Cは発色を開始する温度T2(以下、発色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Dは完全発色状態に達する温度T1(以下、完全発色温度と称す)における濃度を示す点である。
変色温度域は前記T1とT4間の温度域であり、第1色相と第2色相の両相が共存でき、色濃度の差の大きい領域であるT2とT3の間の温度域が実質変色温度域(二相保持温度域)である。
また、線分EFの長さが変色のコントラストを示す尺度であり、線分EFの中点を通る線分HGの長さがヒステリシスの程度を示す温度幅(以下、ヒステリシス幅ΔHと記す)であり、このΔH値が小さいと変色前後の両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在しえない。また、前記ΔH値が大きいと変色前後の各状態の保持が容易となる。
本発明で適用されるボールペンは、有色状態の可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料を含むインキが収容されてなり、前記ボールペンにより形成された筆跡が指触等では容易に消色されない構成であることが好ましく、しかも、消色した筆跡は再び現出しないことが好ましい。
従って、前述したT1とT4の温度設定は極めて重要な要件となる。
筆記により形成される筆跡は、前記マイクロカプセル顔料が被筆記面に対して長径側(最大外径側)を密接させて濃密に配向、固着されており、高濃度の発色性を示すと共に、前記筆跡を摩擦体による擦過による外力に対して、前記マイクロカプセル顔料は外力を緩和する形状に微妙に弾性変形し、マイクロカプセルの壁膜の破壊が抑制され、熱変色機能を損なうことなく有効に発現させることができる。
ここで、前記非円形断面形状のマイクロカプセル顔料は、最大外径の平均値が0.5〜5.0μmの範囲にあり、且つ、可逆熱変色性組成物/壁膜=7/1〜1/1(重量比)の範囲を満たしていることが好ましい。
前記マイクロカプセル顔料(円形断面形状のものを含む)は、最大外径の平均値が、5.0μmを越える系では、毛細間隙からの流出性の低下を来し、一方、最大外径の平均値が、0.5μm以下の系では高濃度の発色性を示し難く、好ましくは、最大外径の平均値が、1〜4μmの範囲、当該マイクロカプセルの平均粒子径〔(最大外径+中央部の最小外径)/2〕が1〜3μmの範囲が好適である。
可逆熱変色性組成物の壁膜に対する比率が前記範囲より大になると、壁膜の厚みが肉薄となり過ぎ、圧力や熱に対する耐性の低下を起こし、逆に、壁膜の可逆熱変色性組成物に対する比率が前記範囲より大になると発色時の色濃度及び鮮明性の低下を免れず、好適には、可逆熱変色性組成物/壁膜=6/1〜1/1(重量比)である。
前記マイクロカプセル顔料は、インキ全量に対し、2〜50重量%(好ましくは3〜40重量%、更に好ましくは、4〜30重量%)配合することができる。2重量%未満では発色濃度が不充分であり、50重量%を越えるとインキ流出性が低下し、筆記性が阻害される。
具体的には、剪断減粘性付与剤を含む剪断減粘性インキや、水溶性高分子凝集剤によりマイクロカプセル顔料を緩やかな凝集状態に懸濁させた凝集性インキが挙げられる。更には、マイクロカプセル顔料とビヒクルとの比重差を0.05以下になるよう調節したインキが挙げられる。
更に、前記インキを充填するボールペン形態の場合、不使用時のボールとチップの間隙からのインキ漏れだしを防止したり、筆記先端部を上向き(正立状態)で放置した場合のインキの逆流を防止することができる。
具体的にはポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、水溶性多糖類、非イオン性水溶性セルロース誘導体等が挙げられる。このうち水溶性多糖類の具体例としてはトラガントガム、グアーガム、プルラン、サイクロデキストリンが挙げられ、また非イオン性水溶性セルロース誘導体の具体例としてはメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。
本発明の可逆熱変色性インキ中において顔料粒子間の緩い橋架け作用を示す水溶性高分子であればすべて適用することができるが、なかでも前記の非イオン性水溶性セルロース誘導体が最も有効に作用する。
前記高分子凝集剤は、インキ組成物全量に対し、0.05〜20重量%配合することができる。
前記水溶性有機溶剤としては、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセリン、ソルビトール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、スルフォラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
その他、必要に応じてアクリル樹脂、スチレンマレイン酸共重合物、セルローズ誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストリン等の樹脂を添加して紙面への固着性や粘性を付与することもできる。
また、pH調整剤、防錆剤、防黴剤、尿素、湿潤剤、消泡剤、分散剤、インキの浸透性を向上させるフッ素系界面活性剤やノニオン系の界面活性剤を添加してもよい。
又、前記ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック、樹脂、ゴム等の0.3〜3.0mm、好ましくは0.4〜1.5mm、より好ましくは0.5〜1.0mm径程度のものが適用できる。
更に、前記インキ収容管として透明、着色透明、或いは半透明の成形体を用いることにより、インキ色やインキ残量等を確認できる。
前記インキ収容管にはチップを直接連結する他、接続部材を介して前記インキ収容管とチップを連結してもよい。
尚、前記インキ収容管はレフィルの形態として、前記レフィルを軸筒内に収容するものでもよいし、先端部にチップを装着した軸筒自体をインキ収容体として、前記軸筒内に直接インキを充填してもよい。
更に、前記液状のインキ逆流防止体組成物と、固体のインキ逆流防止体を併用することもできる。
なお、表中の摩擦係数は新東科学(株)製、表面性測定機:HEIDON−14Dを用いて、10mm/分、荷重500gの条件下で紙面上を擦った時の値である。
摩擦試験
◎:紙に皺、破れ、凹凸は全く発生しない。
○:紙に僅かな皺や凹凸が発生する。
△:紙に皺が発生する。
▲:筆跡に変色に労力を要し、しかも、紙に凹凸が発生する。
×:紙が破れる。
再筆記試験
○:良好な筆跡が形成できる。
△:紙の皺や凹凸により筆跡の乱れが見られる。
×:紙が破れているため筆記不能。
可逆熱変色性インキの調製
(イ)成分として2−(ブチルアミノ)−8−(ジフェニルアミノ)−4−メチルスピロ〔5H−〔1〕ベンゾピラノ〔2−3−g〕ピリミジン−5,1(3′H)−イソベンゾフラン〕−3−オン2.0部、(ロ)成分として2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5.0部、4,4′−(2−メチルプロピリデン)ビスフェノール3.0部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(T1:−16℃、T2:−8℃、T3:48℃、T4:58℃、ΔH:65℃、平均粒子径:2.5μm、可逆熱変色性組成物/壁膜=2.6/1.0、ピンク色から無色に色変化する)12.5部、サクシノグリカン(剪断減粘性付与剤)0.33部、尿素10部、グリセリン10部、ノニオン系浸透性付与剤0.6部、変性シリコーン系消泡剤0.1部、防黴剤0.1部、水66.37部からなる可逆熱変色性インキを調製した。
前記インキ4(予め−16℃以下に冷却してマイクロカプセル顔料をピンク色に発色させた後、室温下で放置したもの)を内径4.4mmのポリプロピレン製パイプ(インキ収容管21)に吸引充填し、樹脂製ホルダー22を介してボールペンチップ3と連結させた。
次いで、前記ポリプロピレン製パイプの後部より、ポリブテンを主成分とする粘弾性を有するインキ逆流防止体5(液栓)を充填し、尾栓23をパイプの後部に嵌合させてレフィル2とした。更に、前記レフィル2を軸筒6(先軸筒と後軸筒とからなる)内に組み込み、キャップ7を嵌めた後、遠心処理により脱気処理を行なって筆記具1(ボールペン)を得た。
なお、前記ボールペンチップは、金属材料をドリルによる切削加工により形成したボール抱持部に直径0.7mmの超硬合金製ボールを抱持させてなり、且つ、前記ボールはバネ体により前方に付勢させたものである。
また、後軸筒端部には、表中の摩擦体(14)と同材質の樹脂からなる摩擦体8が装着されている。
前記筆跡は、室温(25℃)でピンク色を呈しており摩擦体を用いて文字を擦過すると、該文字は消色して無色となり、この状態は、室温下では保持されており、−16℃以下に冷却することにより、元のピンク色に復色し、前記変色挙動は繰り返し再現された。
また、筆跡を形成、消去した紙面に大きな皺や破れはみられず、摩擦体は繰り返しの実用性を満足させることができた。
可逆熱変色性インキの調製
(イ)成分として2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン4.5部、(ロ)成分として4,4′−(2−メチルプロピリデン)ビスフェノール4.5部、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン7.5部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(T1:−20℃、T2:−9℃、T3:40℃、T4:57℃、ΔH:63℃、平均粒子径:2.5μm、可逆熱変色性組成物/壁膜=2.6/1.0、黒色から無色に色変化する)25.7部、サクシノグリカン(剪断減粘性付与剤)0.2部、尿素5.5部、グリセリン7.5部、ノニオン系浸透性付与剤0.03部、変性シリコーン系消泡剤0.15部、防黴剤0.1部、潤滑剤0.5部、トリエタノールアミン0.5部、水59.82部からなる可逆熱変色性インキを調製した。
前記インキ4(予め−20℃以下に冷却してマイクロカプセル顔料を黒色に発色させた後、室温下で放置したもの)を先端にボールペンチップ3を固着した内径7.0mm、外形10mmのポリプロピレン製軸筒6に充填し、次いで、ポリブテンを主成分とする粘弾性を有するインキ逆流防止体5を充填し、表中の摩擦体(17)と同材質の樹脂からなる摩擦体8を軸筒後部に嵌合させた。
更に、キャップ7を嵌めた後、遠心処理により脱気処理を行なって筆記具1(ボールペン)を得た。
なお、前記ボールペンチップは、金属材料をドリルによる切削加工により形成したボール抱持部に直径0.7mmの超硬合金製ボールを抱持させてなり、且つ、前記ボールはバネ体により前方に付勢させたものである。
前記筆跡は、室温(25℃)で黒色を呈しており摩擦体を用いて文字を擦過すると、該文字は消色して無色となり、この状態は、室温下では保持されており、−20℃以下に冷却することにより、元の黒色に復色し、前記変色挙動は繰り返し再現された。
また、筆跡を形成、消去した紙面に大きな皺や破れはみられず、摩擦体は繰り返しの実用性を満足させることができた。
可逆熱変色性インキの調製
(イ)成分として3−(4−ジエチルアミノ−2−ヘキシルオキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド2.0部、(ロ)成分として4,4′−(2−メチルプロピリデン)ビスフェノール3.0部、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5.0部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(T1:−14℃、T2:−6℃、T3:48℃、T4:60℃、ΔH:64℃、平均粒子径:2.5μm、可逆熱変色性組成物/壁膜=2.6/1.0、青色から無色に色変化する)25.7部、サクシノグリカン(剪断減粘性付与剤)0.2部、尿素5.5部、グリセリン7.5部、ノニオン系浸透性付与剤0.03部、変性シリコーン系消泡剤0.15部、防黴剤0.1部、潤滑剤0.5部、トリエタノールアミン0.5部、水59.82部からなる可逆熱変色性インキを調製し
た。
前記インキ4(予め−14℃以下に冷却してマイクロカプセル顔料を青色に発色させた後、室温下で放置したもの)を内径4.4mmのポリプロピレン製パイプ(インキ収容管21)に吸引充填し、樹脂製ホルダー22を介してボールペンチップ3と連結させた。
次いで、前記ポリプロピレン製パイプの後部より、ポリブテンを主成分とする粘弾性を有するインキ逆流防止体5(液栓)を充填し、尾栓23をパイプの後部に嵌合させてレフィル2とした。更に、前記レフィル2を軸筒6(先軸筒と後軸筒とからなる)内に組み込み、キャップ7を嵌めた後、遠心処理により脱気処理を行なって筆記具1(ボールペン)を得た。
なお、前記ボールペンチップは、金属材料をドリルによる切削加工により形成したボール抱持部に直径0.7mmの超硬合金製ボールを抱持させてなり、且つ、前記ボールはバネ体により前方に付勢させたものである。
また、キャップは先端部に、表中の摩擦体(7)と同材質の樹脂からなる摩擦体8が装着されている。
前記筆跡は、室温(25℃)で橙色を呈しており摩擦体を用いて文字を擦過すると、該文字は消色して無色となり、この状態は、室温下では保持されており、−14℃以下に冷却することにより、元の青色に復色し、前記変色挙動は繰り返し再現された。
また、筆跡を形成、消去した紙面に大きな皺や破れはみられず、摩擦体は繰り返しの実用性を満足させることができた。
可逆熱変色性インキの調製
(イ)成分として2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン4.5部、(ロ)成分として4,4′−(2−メチルプロピリデン)ビスフェノール4.5部、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン7.5部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(T1:−20℃、T2:−9℃、T3:40℃、T4:57℃、ΔH:63℃、平均粒子径:2.5μm、可逆熱変色性組成物/壁膜=2.6/1.0、黒色から無色に色変化する)20.0部、尿素5.0部、グリセリン15.0部、石炭酸5.0部、潤滑剤〔第一工業製薬(株)
製プライサーフAL〕0.5部、トリエタノールアミン0.5部、水54.0部からなる可逆熱変色性インキを調製した。
前記インキ4(予め−20℃以下に冷却してマイクロカプセル顔料を黒色に発色させた後、室温下で放置したもの)を軸筒6内に直接収容し、軸筒内の前方に櫛溝状のインキ調節部材12を有し、且つ、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたチップの先端部に直径0.5mmの超硬合金製ボールを抱持させたボールペンチップ3を備えたボールペン1を得た。
なお、前記筆記具には着脱自在のキャップ(図示せず)を備えてなり、且つ、軸筒後端部には表中の摩擦体(16)と同材質の樹脂からなる摩擦体8を装着してなる。
前記筆跡は、室温(25℃)で黒色を呈しており摩擦体を用いて文字を擦過すると、該文字は消色して無色となり、この状態は、室温下では保持されており、−20℃以下に冷却することにより、元の黒色に復色し、前記変色挙動は繰り返し再現された。
また、筆跡を形成、消去した紙面に大きな皺や破れはみられず、摩擦体は繰り返しの実用性を満足させることができた。
2 レフィル
21 インキ収容筒
22 ホルダー
23 尾栓
3 チップ
4 可逆熱変色性インキ
5 インキ逆流防止体
6 軸筒
7 キャップ
8 摩擦体
12 インキ調節部材
T1 完全発色温度
T2 発色開始温度
T3 消色開始温度
T4 完全消色温度
Claims (2)
- 直径0.3〜0.5mmのボールを先端部に装着したボールペンチップを備えてなり、着色剤として(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、及び(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体の必須三成分を少なくとも含む加熱により消色する可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包させたマイクロカプセル顔料を用いたボールペンであって、熱変色性筆跡を摩擦により生じた熱により消色させる摩擦体をボールペンの一部に備えてなり、前記摩擦体は紙面上を摩擦した時の摩擦係数が0.4〜0.8の範囲にあるフッ素系樹脂、クロロプレン樹脂、ニトリル樹脂、ポリエステル系樹脂から選ばれる材質の摩擦体であることを特徴とするボールペン。
- キャップを有してなり、前記キャップの先端部に摩擦体を備えてなる請求項1記載のボールペン。
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