JP2022101343A - 摩擦部材およびそれを含む熱変色性筆記体 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱変色性筆記体の筆跡と共に非熱変色性筆記体の筆跡を擦過したときに、熱変色性筆記体の筆跡を消色できると共に、非熱変色性筆記体の筆跡の外観を十分維持できる摩擦部材およびそれを含む熱変色性筆記体を提供する。【解決手段】熱変色性筆記体で形成した筆跡を摩擦熱により熱変色させる摩擦部材であって、タイプDのデュロメータ硬度計で測定した硬さが55~90であり、動摩擦係数が0.25~0.50である、摩擦部材。【選択図】図1

Description

本発明は、摩擦部材およびそれを含む熱変色性筆記体に関する。
熱変色性筆記体で形成した筆跡を摩擦熱により消色及び/又は変色させる摩擦部材、およびそれを含む熱変色性筆記体は、従来から広く知られている。当該摩擦部材としては、特許文献1に記載のような、スチレン-ブチレン-スチレン(SBS)共重合体又はスチレン-エチレン・ブチレン-スチレン(SEBS)共重合体からなるものが挙げられる。
特開2006-123324号公報
近年、熱変色性筆記体は、非熱変色性筆記体と共に用いられるようになり、同一紙面において、熱変色性筆記体で形成した筆跡が、非熱変色性筆記体で形成した筆跡と混在する場合が多くなった。
上記のような場合に、従来の摩擦部材で擦過することにより熱変色性筆記体の筆跡を消色させたときに、その近傍の非熱変色性筆記体の筆跡も同時に擦過された結果、当該非熱変色性筆記体の筆跡が周囲に伸びてしまう(又は散ってしまう)など、筆跡の外観(見栄え)が損なわれることがあった。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、熱変色性筆記体の筆跡と共に非熱変色性筆記体の筆跡を擦過したときに、熱変色性筆記体の筆跡を消色できると共に、非熱変色性筆記体の筆跡の外観を十分維持できる摩擦部材およびそれを含む熱変色性筆記体を提供することである。
本発明の態様1は、
熱変色性筆記体で形成した筆跡を摩擦熱により熱変色させる摩擦部材であって、
タイプDのデュロメータ硬度計で測定した硬さが55~90であり、
動摩擦係数が0.25~0.50である、摩擦部材である。
本発明の態様2は、前記硬さが65~80であり、前記動摩擦係数が0.25~0.35である、態様1に記載の摩擦部材である。
本発明の態様3は、前記摩擦部材が有機高分子材料を含む、態様1または2に記載の摩擦部材である。
本発明の態様4は、前記有機高分子材料がポリエチレン樹脂を含む、態様3に記載の摩擦部材である。
本発明の態様5は、態様1~4のいずれか1つに記載の摩擦部材を含む熱変色性筆記体である。
本発明の実施形態によれば、熱変色性筆記体の筆跡と共に非熱変色性筆記体の筆跡を擦過したときに、熱変色性筆記体の筆跡を消色できると共に、非熱変色性筆記体の筆跡の外観を十分維持できる摩擦部材およびそれを含む熱変色性筆記体を提供することが可能である。
可逆熱変色性組成物の色濃度-温度曲線である。 実施例1の評価1の結果を示す画像である。 実施例2の評価1の結果を示す画像である。 実施例3の評価1の結果を示す画像である。 比較例1の評価1の結果を示す画像である。 比較例2の評価1の結果を示す画像である。 実施例1の評価2の結果を示す画像である。 実施例2の評価2の結果を示す画像である。 実施例3の評価2の結果を示す画像である。 比較例1の評価2の結果を示す画像である。 比較例2の評価2の結果を示す画像である。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、本発明者らは、摩擦部材の硬度および動摩擦係数を適切な範囲に制御することによって、熱変色性筆記体の筆跡と共に非熱変色性筆記体の筆跡を擦過したときに、熱変色性筆記体の筆跡を消色できると共に、非熱変色性筆記体の筆跡の外観を十分維持できる摩擦部材およびそれを含む熱変色性筆記体が得られることを見出した。
以下に、本発明の実施形態に係る摩擦部材およびそれを含む熱変色性筆記体の詳細を説明する。
1.摩擦部材
本発明の実施形態に係る摩擦部材は、熱変色性筆記体で形成した筆跡を摩擦熱により熱変色させるための部材であり、タイプDのデュロメータ硬度計で測定した硬さが55~90であり、動摩擦係数が0.25~0.50である。上記の硬さ範囲および動摩擦係数範囲にすることにより、熱変色性筆記体の筆跡と共に非熱変色性筆記体の筆跡を擦過したときに、熱変色性筆記体の筆跡を消色できると共に、非熱変色性筆記体の筆跡の外観を十分維持することが可能となる。
上記硬さが55未満であると、擦過時に、筆跡と共に形成される紙面上の凹みに沿って変形しやすくなり、非熱変色性筆記体の筆跡上のインキを移動させやすくなり、結果として非熱変色性筆記体の筆跡が周囲に伸びてしまう(又は散ってしまう)。好ましくは、上記硬さが65以上である。一方、上記硬さが90超であると、熱変色性筆記体の筆跡を消色しにくくなり、消色するために何度も(又は強く)擦過する必要性が生じ、その結果として非熱変色性筆記体の筆跡も周囲に伸びてしまう(又は散ってしまう)。好ましくは上記硬さが80以下である。
上記動摩擦係数が0.25未満であると、熱変色性筆記体の筆跡を消色しにくくなり、消色するために何度も(又は強く)擦過する結果、非熱変色性筆記体の筆跡も周囲に伸びてしまう(又は散ってしまう)。一方、上記動摩擦係数が0.50超であると、擦過時に非熱変色性筆記体の筆跡上のインキを移動させやすくなり、結果として非熱変色性筆記体の筆跡が周囲に伸びてしまう(又は散ってしまう)。好ましくは、上記動摩擦係数が0.35以下である。
上記硬さは、Dタイプのデュロメータ硬度計(株式会社テクロック社製デュロメータ、型式:GS-720G)を用いて、以下のようにして測定する。まず、デュロメータ硬度計の押芯先端を、当該押芯先端の法線と摩擦部体の先端部(筆記体に装着されたときの当該筆記体長手方向における摩擦部体の先端部(擦過部)に相当)の法線とが概ね一致するように、摩擦部材の先端部の上方に設置する。そして、25℃50%RHの環境下、加重5.0kgf・速度3mm/secで押芯先端を摩擦部材に押し付けたときのデュロメータ硬度計のピーク値を摩擦部材の硬さとする。
上記のように測定するために、例えば、摩擦部材が装着された筆記体の長手方向と当該摩擦部材の先端部の法線とが概ね一致する場合、摩擦部材が装着された筆記体を、切断面が当該筆記体の長手方向と略垂直となるように切断して、次に、切断面を下にして、摩擦部材の先端部上方にデュロメータ硬度計の押芯先端が位置するように、摩擦部材を含む部分をデュロメータ硬度計に配置して、押芯先端を摩擦部材に押し付けることで摩擦部材の硬さを測定してもよい。このとき、摩擦部材の先端部が平面である場合、当該平面の中心の上方にデュロメータ硬度計の押芯先端が位置するように、摩擦部材を含む部分を配置してもよい。
上記動摩擦係数は、HEIDON摩擦摩耗試験機(新東科学株式会社製、トライボギアTYPE:14)を用いて、摩擦部材を、摩擦部材の先端部と紙面とが摩擦するように紙面上を走行させたときに、摩擦部材に係る力F(紙面と平行方向の荷重)を測定する。力Fと、(紙面と垂直方向の)摩擦部材に係る荷重N(200gf)とをF=μ(動摩擦係数)×Nに適用し、動摩擦係数μを算出する。力Fのサンプリングは0.001秒間隔とし、測定開始から測定開始後0.3秒までに計測される力Fは動摩擦係数の算出に用いないこととする。紙面はNPiフォーム<55>(日本製紙株式会社製)の紙面表側を使用し、測定環境は23℃42%RHとし、走行速度は4m/分とし、走行距離は10cmとし、摩擦体の先端部の法線と紙面との角度は90°として測定する。また、摩擦部材1つにつき測定用サンプルを3つ用意し、測定サンプル1つにつき1回の測定を行い、3つの測定用サンプルの測定値の平均値を、当該摩擦部材の動摩擦係数とする。
上記摩擦部材は、有機高分子材料を含むことが好ましい。これにより上記の硬さ範囲および動摩擦係数範囲に調整しやすくなる。好ましくは、上記摩擦部材が有機高分子材料を50質量%超含むことであり、より好ましくは、有機高分子材料を75質量%以上含むことであり、さらに好ましくは、有機高分子材料を90質量%以上含むことであり、さらにより好ましくは、有機高分子材料からなることである。
上記有機高分子材料としては、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアセタール、アクリル、ナイロン、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂(AS樹脂)およびアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)等の比較的硬質な合成樹脂、スチレン系、オレフィン系、ポリスチレンとポリオレフィンのブロック共重合体、ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、1、2-ポリブタジエン系、塩化ビニル系およびフッ素系等の熱可塑性エラストマー、ポリプロピレンとエチレンプロピレン系ゴムとのブレンド、ブタジエンとアクリロニトリルの共重合体とのブレンドおよび塩素化ポリエチレンとナイロンとのブレンド等のブレンドされたエラストマー、シリコーンゴム等のゴムエラストマーならびに天然ゴムからなる群から選択される一種以上を含むことが好ましい。これにより上記の硬さ範囲および動摩擦係数範囲に、より調整しやすくなる。中でもポリエチレンを含むことにより、上記硬さの好ましい範囲および上記動摩擦係数の好ましい範囲に調整しやすくなる。ポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンおよび高圧法低密度ポリエチレン等のポリエチレン樹脂、アイソタクティックポリプロピレンおよびシンジオタクティックポリプロピレン等のポリプロピレン樹脂、ポリ1-ブテン、ポリ4-メチル-1-ペンテン、ポリ3-メチル-1-ブテン、エチレン・αオレフィン共重合体、プロピレン・αオレフィン共重合体、1-ブテン・αオレフィン共重合体、環状オレフィン共重合体ならびに塩素化ポリオレフィン等が挙げられる。
中でもポリエチレン樹脂は、例えばポリプロピレン樹脂等と比較して、酸化されにくく耐候性が良いことおよび低温でも強度が低下しないことから、長期使用しても劣化しにくい、および寒冷地での使用に適しているといった利点がある。好ましくは、上記摩擦部材がポリエチレン樹脂を50質量%超含むことであり、より好ましくは、ポリエチレン樹脂を75質量%以上含むことであり、さらに好ましくは、ポリエチレン樹脂を90質量%以上含むことであり、さらにより好ましくは、ポリエチレン樹脂からなることである。
上記摩擦部材は凸曲面形状を有することが好ましい。凸曲面形状を有することにより、筆跡を剥がすことなく、適度に擦過しやすくなる。また、筆跡との接触角度によらず一定の接触面積が得られ、広域を擦過することなく目的の部分のみを擦過できる。さらに摩擦部材自体の磨耗性を低減でき、熱の発生効率が高めることができ、削れカスが出難くなり、変色させたい部分を的確且つ容易に変色することが可能となる。上記凸曲面の曲率半径は、1mm~10mmの範囲に設定することが好ましい。上記範囲とすることで、筆記体により形成される幅の狭い筆跡を的確且つ容易に変色させ得る。
上記摩擦部材は、本発明の目的を達成する範囲で、種々の添加剤を含んでいてもよい。例えば、上記摩擦部材に汎用の染料、顔料から選ばれる着色剤を添加してデザイン性を向上させたり、筆跡の色に合わせて色表示部とすることもできる。更に、上記摩擦部材に、必要に応じて充填剤等の各種添加剤を加えることもできる。
上記摩擦部材の製造方法については、特に制限されず、公知の方法を用いることができ、例えば上記摩擦部材の素材を混錬して、所定の形状に成型することにより製造できる。
2.熱変色性筆記体
本発明の実施形態に係る熱変色性筆記体は、上記摩擦部材を含む。携帯性を考慮し、例えば、摩擦部材を熱変色性筆記体に固着させてよい。摩擦部材を固着する箇所は特に限定されず、例えば、キャップ先端部(頂部)、軸筒後端部(筆記先端部を設けていない部分)等が挙げられる。
上記熱変色性筆記体は、熱変色性インキ組成物を内蔵することができる。熱変色性インキ組成物は、着色剤として、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(以下、「マイクロカプセル顔料」又は「MC顔料」(Micro Capsule顔料)と呼ぶことがある)を含有する。マイクロカプセル顔料は、マイクロカプセルに可逆熱変色性組成物が内包されたものである。可逆熱変色性組成物は、電子供与性呈色性有機化合物と、電子受容性化合物と、電子供与性呈色性有機化合物及び電子受容性化合物の呈色反応の生起温度を決定する反応媒体とを含む。マイクロカプセル顔料は、熱により消色する、すなわち、有色から、例えば、白色、薄い有色になる。
マイクロカプセル顔料に含まれる可逆熱変色性組成物として、特公昭51-44706号公報、特公昭51-44707号公報、特公平1-29398号公報、特公平4-17154号公報、特開平7-179777号公報、特開平7-33997号公報、及び特開平8-39936号公報等に記載されたものを用いることができる。可逆熱変色性組成物は、所定の温度を境としてその前後で変色して、発色状態又は消色状態を呈し、また、変色にヒステリシスがある。可逆熱変色性組成物の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性について、図1を参照して説明する。
図1において、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されており、温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。Aは完全消色状態に達する温度t(以下、完全消色温度と称す)における濃度を示す点であり、Bは消色を開始する温度t(以下、消色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Cは発色を開始する温度t(以下、発色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Dは完全発色状態に達する温度t(以下、完全発色温度と称す)における濃度を示す点である。
変色温度域はtとt間の温度域であり、発色状態及び消色状態のいずれかの状態を呈することができ、色濃度の差の大きい領域であるtとtの間の温度域が実質二相保持温度域である。
また、線分EFの長さが変色のコントラストを示す尺度であり、線分EFの中点を通る線分HGの長さがヒステリシスの程度を示す温度幅(以下、「ヒステリシス幅ΔH」と呼ぶことがある)である。ヒステリシス幅が大きいと、変色温度域より低温側から温度を上昇させていく場合と、逆に変色温度域より高温側から温度を低下させていく場合とで、大きく異なる経路を辿って色濃度が変化する。このΔH値が小さいと変色前後の両状態のうち常温域では特定の一方の状態のみが存在し、一方、ΔH値が大きいと変色前後の各状態の保持が容易となる。
上述した特公昭51-44706号公報、特公昭51-44707号公報、及び特公平1-29398号公報等には、ヒステリシス幅ΔHが1.5℃以上3.8℃以下と比較的小さい加熱消色型(加熱により消色し、冷却により発色する)の可逆熱変色性組成物が記載されている。また、上述した特公平4-17154号公報、特開平7-179777号公報、特開平7-33997号公報、及び特開平8-39936号公報等には、ヒステリシス幅ΔHが8℃以上70℃以下と比較的大きい加熱消色型の可逆熱変色性組成物が記載されている。すなわち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色する。
例えば、可逆熱変色性組成物は、完全発色温度tを冷凍室又は寒冷地等の温度(例えば、-50℃以上0℃以下であり、好ましくは-40℃以上、より好ましくは-30℃以上であり、好ましくは-5℃以下、より好ましくは-10℃以下である)とし、完全消色温度tを摩擦体による摩擦熱又はヘアドライヤー等の加熱体からの熱(例えば、45℃以上95℃以下であり、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上であり、好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下である)とし、更にΔH値を40℃以上100℃以下とすることにより、常態(日常の生活温度域)で呈する色彩の保持により有効に機能することができる。また、常態で呈する色彩の保持により更に有効に機能させる観点から、可逆熱変色性組成物の発色開始温度は、好ましくは-10℃以下である。また、完全発色温度は、発色開始温度より低温であることが好ましい。
可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包させる方法は特に限定されず、例えば界面重合法、界面重縮合法、in Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、及びスプレードライング法等が挙げられ、用途に応じて適宜選択してよい。
マイクロカプセルの材質として、有機樹脂、例えば、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、及びイソシアネート樹脂等が挙げられる。
マイクロカプセルの表面に目的に応じて二次的な樹脂皮膜を設けることにより、耐久性を付与することができ、また、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
マイクロカプセル(すなわち、可逆熱変色性組成物が内包されていないマイクロカプセル壁部分)と可逆熱変色性組成物との質量比率は、マイクロカプセル1質量部に対して、可逆熱変色性組成物が、好ましくは1質量部以上、より好ましくは1質量部以上であり、好ましくは7質量部以下、より好ましくは6質量部以下である。マイクロカプセル1質量部に対して、可逆熱変色性組成物を7質量部以下とすることにより、マイクロカプセル壁が肉薄になり過ぎずに適正な壁厚とすることが容易となるため、マイクロカプセル顔料の耐熱性及び耐圧性等を高めることが容易となる。また、マイクロカプセル1質量部に対して、可逆熱変色性組成物を1質量部以上とすることにより、マイクロカプセル顔料が発色した際の色濃度及び鮮明性を高めることが容易となる。
マイクロカプセル顔料は、熱により消色した後、例えば、白色又は薄い有色を呈した状態で被筆記体上(紙面等)に残存する。そのため、筆跡を熱で消色した後の跡が目立ち難い(以下、「熱消色性に優れる」と言うことがある)ことが好ましい。また、筆跡を摩擦部材で擦過して摩擦熱で消色した際に、マイクロカプセル顔料の脱離がより抑制されている(以下、「非脱離性に優れる」と言うことがある)ことが好ましい。
熱消色性及び非脱離性の1つ以上をより向上させる観点から、マイクロカプセル顔料の含有量は、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは35質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下である。熱変色性筆記体の筆跡を熱で消色した後の跡に含まれる消色したマイクロカプセル顔料の数を低減できるため、跡がより目立ち難くなる。また、被筆記体に付着するマイクロカプセル顔料の数が少ないため、非熱変色性筆記体の筆跡と共に熱変色性筆記体の筆跡を摩擦部材で擦過した際、被筆記体からの非熱変色性筆記体の筆跡を伴ったマイクロカプセル顔料の脱離をより抑制することができ、非熱変色性筆記体の筆跡がより途切れ難くなる。
また、マイクロカプセル顔料の含有量を好ましくは50質量%以下、より好ましくは35質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下とすることにより、インキ吐出性がより良好となり、熱変色性筆記体を使用する際、滑らかな筆記感をより容易に得ることができる。
マイクロカプセル顔料の含有量の下限は特に限定されないが、熱変色性筆記体の筆跡の視認性をより容易に高める観点から、マイクロカプセル顔料の含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上である。
マイクロカプセル顔料は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい
熱消色性及び非脱離性の1つ以上をより向上させる観点から、マイクロカプセル顔料の平均粒子径は、好ましくは50μm以下であり、より好ましくは5.0μm以下であり、さらに好ましくは1.0μm以下である。熱変色性筆記体の筆跡を熱で消色した後の跡に含まれる消色したマイクロカプセル顔料が小さく、消色後のマイクロカプセル顔料の透明性が高くなるため、跡がより目立ち難くなる。また、被筆記体に付着するマイクロカプセル顔料が小さいため、非熱変色性筆記体の筆跡と共に熱変色性筆記体の筆跡を摩擦部材で擦過した際、被筆記体からの非熱変色性筆記体の筆跡を伴ったマイクロカプセル顔料の脱離をより抑制することができ、非熱変色性筆記体の筆跡がより途切れ難くなる。
また、マイクロカプセル顔料の平均粒子径を好ましくは50μm以下、より好ましくは5.0μm以下、さらに好ましくは1.0μm以下とすることにより、インキ吐出性がより良好となり、熱変色性筆記体を使用する際、滑らかな筆記感をより容易に得ることができる。
マイクロカプセル顔料の平均粒子径の下限は特に限定されないが、マイクロカプセル顔料が発色した際の色濃度及び鮮明性をより容易に高める観点から、マイクロカプセル顔料の平均粒子径は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.1μm以上、さらに好ましくは0.5μm以上である。また、マイクロカプセル顔料の平均粒子径を以上の範囲とすることにより、被筆記体、例えば、紙の繊維間へのマイクロカプセル顔料の侵入をより抑制することができるため、擦過部材で熱変色性筆記体の筆跡を擦って消色する際、消色することがより容易となる。
マイクロカプセル顔料の平均粒子径は、例えば、マウンテック社製の画像解析式粒度分布測定ソフトウェア「マックビュー」を用いて粒子の領域を判定し、粒子の領域の面積から投影面積円相当径(Heywood径)を算出し、その値による等体積球相当の粒子の平均粒子径として測定してよい。
また、全ての粒子、あるいは、大部分の粒子の粒子径が0.2μmを超える場合、マイクロカプセル顔料の平均粒子径は、例えば、ベックマン・コールター社製の粒度分布測定装置「Multisizer 4e」を用いてコールター法により等体積球相当の粒子の平均粒子径として測定してよい。また、マイクロカプセル顔料について、例えば、標準試料又はコールター法(電気的検知帯法)による測定装置を用いて計測した数値を基にしてキャリブレーションを行った堀場製作所社製のレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置「LA-300」を用いて、体積基準の粒子径および平均粒子径(メジアン径)を測定してよい。
熱変色性インキ組成物は、油性であってよく、水性であってもよいが、例えば、インキ吐出性等を考慮して、水性の熱変色性インキ組成物を用いてよい。
熱変色性インキ組成物が水性である場合、主たる溶媒として水を含有する。水は特に限定されず、例えば、イオン交換水、限外ろ過水又は蒸留水であってよい。水の含有量は、所望の特性が得られるように、成分組成を考慮して適切に制御してよい。
以下、熱変色性インキ組成物が水性である場合を例として、熱変色性インキ組成物に含まれ得る他の成分を説明する。
熱変色性インキ組成物は、多糖類を含有してよい。多糖類は、種々の効果を有し、主に、剪断減粘性の付与(剪断減粘性付与剤)、耐ドライアップ性能の向上、インキ粘度の調整(増粘剤)等の効果を有する。
ここで、剪断減粘性とは、静置時には高粘度を有し、剪断力が加えられると粘度が低下する特性である。ボールペンとして、一般にゲルインキと呼ばれるインキ組成物を内蔵するものが挙げられる。ゲルインキは、剪断応力が加わらない静置時には高粘度であり、筆記体内に安定的に保持されており、筆記時にはボールの高速回転によって生じる高剪断力によってボール近傍のインキが低粘度化し、その結果、インキがボールとボール収容部との間隙からインキが吐出して被筆記体に付着する。多糖類を含有することにより、熱変色性インキ組成物をゲルインキとすることができる。
また、例えば、熱変色性インキ組成物をボールペン又はマーキングペン、特にノック式ボールペンに用いた場合、そのペン先は乾燥しやすい状況に置かれる。その結果、それらの筆記体は筆記不能な状態になることがあり、このような状態をドライアップという。
多糖類として、例えば、サクシノグリカン、キサンタンガム、ウェランガム、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン及びダイユータンガム、並びにそれらの誘導体等が挙げられ、また、セルロース誘導体、グリコマンナン、寒天及びカラゲニン等の海藻から抽出されるゲル化能を有する増粘多糖類、並びにデキストリン等が挙げられる。また、セルロース誘導体として、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、並びにカルボキシメチルセルロース及びその塩等が挙げられる。
デキストリン又はセルロース誘導体を用いることにより、剪断減粘性の付与、耐ドライアップ性能の向上、及びインキ粘度の調整等の効果を同時に得ることができることがある。デキストリンは耐ドライアップ性能の向上の効果が大きいため好ましい。
デキストリンとして、例えば、8糖以上の澱粉糖化物及び/又はその還元物を含む糖混合物であることが好ましい。当該糖混合物は、8糖以上の澱粉糖化物等を30質量%以上含むことが好ましく、50質量%以上含むことがより好ましく、70質量%以上含むことが更に好ましい。デキストリンは、皮膜形成性に優れるため、熱変色性インキ組成物を筆記体に適用した場合、ペン先からの水分蒸発抑制の効果が大きいため好ましい。
多糖類は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
熱変色性インキ組成物が多糖類を含有する場合、多糖類の含有量は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。
熱変色性インキ組成物がサクシノグリカン及び/又はキサンタンガムを含有する場合、サクシノグリカン及び/又はキサンタンガムの含有量の合計は、0.01質量%以上1.0質量%以下であることが好ましい。これにより、ペン先からのインキ吐出特性を高いレベルで容易に維持し、且つマイクロカプセル顔料の凝集を容易に抑制することができる。サクシノグリカン又はキサンタンガムの含有量は、より好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以下である。
熱変色性インキ組成物がデキストリン又はセルロース誘導体を含有する場合、デキストリン又はセルロース誘導体の含有量は、0.1質量%以上5質量%以下であることが好ましい。これにより、ペン先からのインキ吐出特性を高いレベルで容易に維持し、且つペン先からのインキ垂れ下がり及び水分蒸発を容易に抑制することができる。
熱変色性インキ組成物は、N-ビニル-2-ピロリドンの重合体であるポリビニルピロリドン(以下、「PVP」と呼ぶことがある)を含有してよい。これらは、耐ドライアップ性能の向上、インキ粘度の調整(増粘剤)、マイクロカプセル顔料の凝集の抑制、インキ成分の紙への固着性及び粘着性の改良等の効果を有し、また、PVPを用いることにより、これらの効果を同時に得ることができることがある。
PVPは、重合度が2以上20以下であることが好ましく、より好ましくは10以下、更に好ましくは6以下である。重合度を2以上20以下とすることにより、熱変色性インキ組成物中の水分が蒸発した際、インキ粘度の上昇及びマイクロカプセル顔料の凝集を容易に抑制することができる。
熱変色性インキ組成物がPVPを含有する場合、PVPの含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
熱変色性インキ組成物は、増粘剤として、多糖類以外のものを含有してよい。増粘剤として、例えば、アルギン酸アルキルエステル類、メタクリル酸のアルキルエステルを主成分とする分子量10万以上15万以下の重合体、ベンジリデンソルビトール及びベンジリデンキシリトール並びにこれらの誘導体が挙げられ、また、架橋性アクリル酸重合体、無機質微粒子、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリン・ラノリンアルコール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、及び脂肪酸アミド等のHLB値が8~12のノニオン系界面活性剤が挙げられ、更に、ジアルキルスルホコハク酸の塩類又はジアルケニルスルホコハク酸の塩類等が挙げられる。
多糖類以外の増粘剤は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
熱変色性インキ組成物は、界面活性剤を含有してよい。界面活性剤として、例えば、リン酸エステル系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、アセチレン結合を構造中に有する界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤等が挙げられる。これらの界面活性剤は、熱変色性インキ組成物の成分及び用途等に応じて適切に選択することができる。例えば、熱変色性インキ組成物をボールペンに用いる場合、リン酸エステル系界面活性剤が好ましい。
界面活性剤は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
熱変色性インキ組成物が界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上であり、好ましくは2.0質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下である。
熱変色性インキ組成物は、pH調整剤を含有してよい。熱変色性インキ組成物のpHを適切な範囲に調整するために、各種の酸又は塩基をpH調整剤として用いることができる。pH調整剤として、例えば、アンモニア、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム及び水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム等の無機塩類、トリエタノールアミン及びジエタノールアミン等の水溶性のアミン化合物等の有機塩基性化合物、乳酸並びにクエン酸等が挙げられる。
pH調整剤は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
熱変色性インキ組成物がpH調整剤を含有する場合、pH調整剤の含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは2.0質量%以下である
また、熱変色性インキ組成物をボールペンに内蔵させて用いる場合、ボール受け座の摩耗を容易に防止するため、熱変色性インキ組成物は、潤滑剤を含有してよい。潤滑剤として、例えば、オレイン酸等の高級脂肪酸、長鎖アルキル基を有するノニオン性界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンオイル、チオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルメチルエステル)及びチオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルエチルエステル)等のチオ亜燐酸トリエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸モノエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸ジエステル、それらの金属塩、アンモニウム塩及びアミン塩、並びにアルカノールアミン塩等であってよい。
潤滑剤は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
必要に応じて、例えば、アクリル樹脂、スチレンマレイン酸共重合物又はポリビニルアルコール等の樹脂を熱変色性インキ組成物に添加して紙面への固着性及び粘性を付与することができる。
当該樹脂は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
熱変色性インキ組成物は、例えば、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト及びサポニン等の防錆剤を含有してよい。
防錆剤は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
熱変色性インキ組成物は、例えば、石炭酸、1、2-ベンズチアゾリン3-オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、及び2,3,5,6-テトラクロロ-4-(メチルスルフォニル)ピリジン等の防腐剤又は防黴剤を含有してよい。
防腐剤及び防黴剤はそれぞれ、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
熱変色性インキ組成物は、例えば、尿素、還元デンプン加水分解物又は非還元デンプン加水分解物、及びトレハロース等のオリゴ糖類、ショ糖、ぶどう糖、ソルビット、マンニット、ピロリン酸ナトリウム等の湿潤剤を含有してよい。
湿潤剤は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
熱変色性インキ組成物は、消泡剤、分散剤、及び比重調整剤等を含有してよく、これらはそれぞれ、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
熱変色性インキ組成物は、速乾性を向上させるため、水に相溶性のある水溶性有機溶剤を含有してよい。水溶性有機溶剤として、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセリン、ソルビトール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、スルフォラン、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン等が挙げられる。
水溶性有機溶剤は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
熱変色性インキ組成物の製造方法は特に限定されず、通常知られている方法を用いてよい。例えば、上述の成分を配合した混合物を、プロペラ攪拌、ホモディスパー若しくはホモミキサー等の攪拌機で攪拌することにより、又はビーズミル等の分散機等を用いて分散することにより、熱変色性インキ組成物を製造してよい。
熱変色性筆記体として、例えば、ボールペン、マーキングペン、筆ペン、万年筆及びカリグラフィーペン等が挙げられる。ある実施形態において、熱変色性筆記体は、ボールペンレフィル又はマーキングペンレフィル(以下、これらを合わせて「レフィル」と呼ぶことがある)である。
熱変色性筆記体がボールペンである場合、ボールペン自体の構造及び形状は特に限定されず、例えば、軸筒内部に直接熱変色性インキ組成物を収容し、櫛溝状のインキ流量調節部材又は繊維束からなるインキ流量調節部材を介在させ、ボールを先端部に装着したボールペンチップとインキ流量調節部材とが直接またはホルダーを介して連結されてなる構造のボールペンが挙げられる。
また、熱変色性筆記体がボールペンである場合、例えば、軸筒内に熱変色性インキ組成物を充填したインキ収容管を有し、インキ収容管がボールペンチップに流体連通してなる構造のボールペンが挙げられる。また、軸筒内に直接熱変色性インキ組成物を収容し、インキの後部にインキの消費と共に追従するグリース状の追従体を充填し、軸筒の後端部内に、軸筒の内外を連通する空気流通路(通気孔)を有する尾栓の圧入部を圧入装着し、ボールを先端部に装着したボールペンチップが直接またはホルダーを介して装着されてなる構造のボールペンも挙げられる。ある態様において、熱変色性筆記体は、熱変色性インキ組成物を充填したインキ収容管とボールペンチップとが連通してなるボールペンレフィルである。
熱変色性インキ組成物を収容するインキ収容管として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート又はナイロン等の熱可塑性樹脂からなる成形体を用いてよい。
インキ収容管にボールペンチップを直接連結してよく、接続部材を介してインキ収容管とボールペンチップとを連結してもよい。
インキ収容管に収容した熱変色性インキ組成物の後端にはインキ逆流防止体が充填されることが好ましい。インキ逆流防止体として、液栓及び固体栓が挙げられる。
液栓として、不揮発性液体又は難揮発性液体、例えば、ワセリン、スピンドル油、ヒマシ油、オリーブ油、精製鉱油、流動パラフィン、ポリブテン、α-オレフィン、α-オレフィンのオリゴマー及びコオリゴマー、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、及び脂肪酸変性シリコーンオイル等が挙げられ、単独で用いてよく、二種以上を併用してもよい。
不揮発性液体及び/又は難揮発性液体は、増粘剤を添加して好適な粘度まで増粘させることが好ましい。増粘剤として、例えば、表面を疎水処理したシリカ、表面をメチル化処理した微粒子シリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、疎水処理を施したベントナイト及びモンモリロナイト等の粘土系増粘剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム及びステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属石鹸、トリベンジリデンソルビトール、脂肪酸アマイド、アマイド変性ポリエチレンワックス、水添ひまし油、及び脂肪酸デキストリン等のデキストリン系化合物、並びにセルロース系化合物等が挙げられる。
固体栓として、例えば、樹脂製、例えばポリエチレン製、ポリプロピレン製及びポリメチルペンテン製の固体栓が挙げられる。インキ逆流防止体として、液栓及び樹脂製の固体栓を併用してよい。
ボールペンチップとして、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたボール抱持部にボールを抱持してなるボールペンチップ(パイプ式ボールペンチップ)、金属材料をドリル等による切削加工により形成したボール抱持部にボールを抱持してなるボールペンチップ、金属又はプラスチック製チップ内部に樹脂製のボール受け座を設けたボールペンチップ、及び上記チップに抱持するボールをバネ体により前方に付勢させたボールペンチップ等が挙げられる。
ボーペンチップは、少なくとも先端部がストレート状の円筒体(直管状円筒体)である金属製パイプを具備したパイプ式ボールペンチップであってよい。パイプ式ボールペンチップの形状として、例えば、ボールペンチップ全体がストレート状円筒体である金属製パイプからなるもの、または、先端部にストレート状の金属製パイプを有し、かつその後方に外径及び内径が拡径する形状を有するものが挙げられる。後者はインキ吐出性が良好であるため好ましい。
また、熱変色性インキ組成物と、ボール径が例えば0.25mm以上0.5mm以下であるボールを備えたパイプ式ボールペンチップとを組み合わせることにより、インキ吐出性及び耐ドライアップ性能に優れたボールペンを得ることができる。
ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック、樹脂又はゴム等からなるものが用いられるのが一般的である。また、ボール径は、一般に0.2mm以上3.0mm以下である。
熱変色性筆記体がマーキングペンである場合、マーキングペン自体の構造、形状は特に限定されず、例えば、軸筒内部に直接熱変色性インキ組成物を収容し、櫛溝状のインキ流量調節部材又は繊維束からなるインキ流量調節部材を介在させ、毛細間隙が形成された、繊維加工体又は樹脂成型体からなるマーキングペンチップとインキ流量調節部材とが連結されてなる構造のマーキングペン、及びマーキングペンチップの押圧により開放する弁体を介してマーキングペンチップとインキ収容管とを配置し、インキ収容管内に熱変色性インキ組成物を直接収容させてなる構造のマーキングペン等が挙げられる。
また、熱変色性筆記体がマーキングペンである場合、例えば、軸筒内に熱変色性インキ組成物を含浸させた繊維集束体からなるインキ吸蔵体を内蔵し、マーキングペンチップが直接又は中継部材を介して軸筒に装着され、インキ吸蔵体とチップとが流体連通してなる構造のマーキングペンが挙げられる。ある態様において、熱変色性筆記体は、熱変色性インキ組成物を含侵したインキ吸蔵体とマーキングペンチップとが連通してなるマーキングペンレフィルである。
マーキングペンチップは、繊維の樹脂加工体、熱溶融性繊維の融着加工体、又はフェルト体等の従来から汎用の気孔率が概ね30%以上70%以下の範囲である連通気孔の多孔質部材、又は軸方向に延びる複数のインキ導出孔を有する合成樹脂の押出成型体であり、一端が砲弾形状、長方形状、又はチゼル形状等の目的に応じた形状に加工されている。
インキ吸蔵体は、捲縮状繊維を長手方向に集束させたものであり、プラスチック筒体又はフィルム等の被覆体に内在させて、気孔率が概ね40~90%の範囲に調整して構成される。
また、弁体は、従来から汎用のポンピング式であってよく、筆圧により押圧開放可能なバネ圧に設定したものが好適である。
熱変色性筆記体は、筆記先端部の保護及び乾燥防止のためにキャップを備えてよい。
熱変色性筆記体は、レフィルを軸筒内に収容して出没機構の作動によって軸筒開口部から筆記先端部が突出する構造の出没式筆記体であってよい。出没機構の操作方法としては、例えば、ノック式、回転式及びスライド式等が挙げられる。出没式筆記体の一例として、軸筒内に複数のボールペンレフィルを収容してなり、出没機構の作動によっていずれかのボールペンレフィルの筆記先端部が軸筒前端開口部から出没する複合タイプの出没式ボールペンが挙げられる。
非熱変色性インキ組成物を内蔵した非熱変色性筆記体は、本発明の実施形態に係る熱変色性筆記体と共に用いられ得る。
非熱変色性インキ組成物は特に限定されず、着色剤として一般の顔料及び/又は染料を含有するものであってよい。
顔料として、カーボンブラック、群青等の無機顔料、銅フタロシアニンブルー及びベンジジンイエロー等の有機顔料、各種蛍光染料を樹脂マトリックス中に固溶体化した合成樹脂微細粒子状の蛍光顔料、並びにパール顔料、金属粉顔料及び二酸化チタン等の白色顔料等が挙げられる。
染料として、例えば、酸性染料、塩基性染料及び直接染料等が挙げられる。
非熱変色性インキ組成物は、油性であってよく、水性であってもよい。
非熱変色性インキ組成物が水性である場合、非熱変色性インキ組成物は、例えば、熱変色性水性インキ組成物について上述した「熱変色性インキ組成物に含まれ得る他の成分」に記載の成分を適宜含有してよい。
非熱変色性筆記体として、熱変色性筆記体と同様に、例えば、ボールペン、マーキングペン、筆ペン、万年筆及びカリグラフィーペン等が挙げられ、更に、ボールペンレフィル及びマーキングペンレフィルが挙げられる。これらの詳細も、熱変色性筆記体について上述したものと同様であり、非熱変色性インキ組成物を用いて非熱変色性筆記体を得ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明の実施形態をより具体的に説明する。本発明の実施形態は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前述および後述する趣旨に合致し得る範囲で、適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の実施形態の技術的範囲に包含される。
ポリエチレン樹脂(三菱ケミカル株式会社製、商品名:ノバテックLJ809A)を、公知の方法でフリクションボールノック05に付属の摩擦部材と同形状に成型することにより、実施例1の摩擦部材を得た。なお、フリクションボールノック05に付属の摩擦部材は、先端部(擦過部)が凸曲面形状(曲率半径2.5mm)を有している。
ポリエチレン樹脂(三菱ケミカル株式会社製、商品名:ノバテックHJ260)を、公知の方法でフリクションボールノック05に付属の摩擦部材と同形状に成型することにより、実施例2の摩擦部材を得た。
ポリエチレン樹脂(三菱ケミカル株式会社製、商品名:ノバテックMG2TA)を、公知の方法でフリクションボールノック05に付属の摩擦部材と同形状に成型することにより、実施例3の摩擦部材を得た。
比較例として、SEBS共重合体(アロン化成株式会社製、商品名:AR-885C)を、公知の方法でフリクションボールノック05に付属の摩擦部材と同形状に成型することにより、比較例1の摩擦部材を得た。また、市販の熱変色性筆記体に付属の摩擦部材を、比較例2の摩擦部材とした。なお、比較例2の摩擦部材の先端部の法線と熱変色性筆記体の長手方向とは概ね一致していた。
上記実施例1~3および比較例1~2の摩擦部材について、硬さと動摩擦係数を測定した。
硬さは、Dタイプのデュロメータ硬度計(株式会社テクロック社製デュロメータ、型式:GS-720G)を用いて、以下のようにして測定した。まず、熱変色性筆記体(フリクションボールノック05)に実施例1~3および比較例1の摩擦部材を、熱変色性筆記体の長手方向と摩擦部材の先端部(凸曲面形状)の法線とが概ね一致するようにそれぞれ装着した。実施例1~3および比較例1~2の摩擦部材が装着された熱変色性筆記体を、切断面が熱変色性筆記体の長手方向と略垂直となるように切断した。そして、切断面を下にして、各摩擦部材の先端部上方にデュロメータ硬度計の押芯先端が位置するように、各摩擦部材を含む部分をデュロメータ硬度計に配置した。そして、25℃50%RH環境下、加重5.0kgf・速度3mm/secで押芯先端を各摩擦部材に押し付けたときのデュロメータ硬度計に表示されるピーク値を、各摩擦部材の硬さとした。
動摩擦係数は、HEIDON摩擦摩耗試験機(新東科学株式会社製、トライボギアTYPE:14)を用いて、実施例1~3および比較例1~2の各摩擦部材を、各摩擦部材の先端部と紙面とが摩擦するように紙面上を走行させたときに、各摩擦部材に係る力F(紙面と平行方向の荷重)を測定した。なお、比較例2の摩擦部材については、市販の熱変色性筆記体から取り外して測定に使用した。力Fと、(紙面と垂直方向の)各摩擦部材に係る荷重N(200gf)とをF=μ(動摩擦係数)×Nに適用し、動摩擦係数μを算出した。力Fのサンプリングは0.001秒間隔とし、測定開始から測定開始後0.3秒までに計測される力Fは動摩擦係数の算出に用いないこととした。紙面はNPiフォーム<55>(日本製紙株式会社製)の紙面表側を使用し、測定環境は23℃42%RHとし、走行速度は4m/分とし、走行距離は10cmとし、各摩擦部材の先端部の法線と紙面との角度は90°として測定した。また、各摩擦部材につき測定用サンプルを3つ用意し、測定サンプル1つにつき1回の測定を行い、3つの測定用サンプルの測定値の平均値を、各摩擦部材の動摩擦係数とした。
上記実施例1~3および比較例1~2の摩擦部材の評価に用いる熱変色性筆記体を以下のように用意した。
まず、熱変色性インキ組成物中に含まれるマイクロカプセル顔料を以下のように調整した。電子供与性呈色性有機化合物として2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン4.5部、電子受容性化合物として1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン4.5部、及び2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン7.5部、反応媒体としてデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる、可逆熱変色性組成物が内包された可逆熱変色性マイクロカプセル顔料MC1の懸濁液を得た。当該懸濁液を遠心分離してMC1を単離した。MC1は、平均粒子径が2.0μmであり、t1:-20℃、t2:-9℃、t3:40℃、t4:57℃、△H63℃のヒステリシス特性を有する挙動を示し、黒色から白色、白色から黒色へ可逆的に変色した。なお、マイクロカプセル顔料の平均粒子径は、コールター法(電気的検知帯法)による測定装置を用いて計測した数値を基にしてキャリブレーションを行った堀場製作所社製のレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置「LA-300」を用いて、体積基準による平均粒子径(メジアン径)を測定したものである。
上記MC1を8.0質量部、水溶性有機溶剤としてグリセリンを5.0質量部、界面活性剤として第一工業製薬社製、商品名:プライサーフAL、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルリン酸エステルを0.5質量部、pH調整剤としてトリエタノールアミンを0.5質量部、防腐剤としてロンザジャパン社製、商品名:プロキセルXL-2、ベンゾイソチアゾリン-3-オンを0.2質量部、多糖類として三晶社製、商品名:ケルザン、キサンタンガムを0.3質量部および水を85.5質量部配合することにより熱変色性インキ組成物を得た。
上記熱変色性インキ組成物を、ボールペン((株)パイロットコーポレーション製、商品名:フリクションボールノック05)に充填し、熱変色性筆記体とした。なお、当該ボールペンは、ボールペンチップ(ボール径0.5mm)がポリプロピレン製パイプの一端に嵌着されたインキ収容管に熱変色性インキ組成物を充填でき、かつインキ逆流防止体をインキ後端面に密着させて充填できるボールペンレフィルを収容している。
上記実施例1~3および比較例1~2の摩擦部材の評価に用いる非熱変色性筆記体を以下のように用意した。
染料としてオリエント化学工業製、商品名:ウォーターブラック191L(固形分:15%)、黒色染料を10.0質量部、水溶性有機溶剤としてエチレングリコールを10.0質量部、界面活性剤として川研ファインケミカル社製、商品名:アセチレノールE100、アセチレングリコールとポリオキシエチレンとのエーテルを1.0質量部および第一工業製薬社製、商品名:プライサーフAL、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルリン酸エステルを0.5質量部、pH調整剤としてトリエタノールアミンを0.5質量部、防腐剤としてロンザジャパン社製、商品名:プロキセルXL-2、ベンゾイソチアゾリン-3-オンを0.2質量部、多糖類として三晶社製、商品名:ケルザン、キサンタンガムを0.2質量部および水を77.6質量部配合することにより非熱変色性インキ組成物を得た。
上記非熱変色性インキ組成物を、ボールペン((株)パイロットコーポレーション製、商品名:VボールRT05)に充填し、非熱変色性筆記体とした。なお、当該ボールペンは、ボールペンチップ(ボール径0.5mm)がポリプロピレン製パイプの一端に嵌着されたインキ収容管に熱変色性インキ組成物を充填でき、かつインキ逆流防止体をインキ後端面に密着させて充填できるボールペンレフィルを収容している。
上記実施例1~3および比較例1~2の摩擦部材に対して、上記熱変色性筆記体および非熱変色性筆記体を用いて、下記評価1および2を行った。
(評価1)
試験紙(コクヨ履歴書用紙(多枚数)B5 JIS様式準拠10枚 シン-51J)上に、25℃50%RH環境下において、上記熱変色性筆記体で形成した筆跡および上記非熱変色性筆記体で形成した筆跡「古」を、非熱変色性筆記体の筆跡形成から3秒後に上記実施例1~3および比較例1~2の摩擦部材を用いて、角度60度・荷重300g・速度10cm/secで擦過して、熱変色性筆記体の筆跡を消色した後の、非熱変色性筆記体で形成した筆跡のインキの伸びを目視で確認した。
(評価2)
試験紙(コクヨ履歴書用紙(多枚数)B5 JIS様式準拠10枚 シン-51J)上に、25℃50%RH環境下において、上記熱変色性筆記体で形成した筆跡の上を上記非熱変色性筆記体でトレースして形成した筆跡「名古屋」を、非熱変色性筆記体の筆跡形成から10秒後に上記実施例1~3および比較例1~2の摩擦部材を用いて、角度60度・荷重300g・速度10cm/secで擦過して、熱変色性筆記体の筆跡を消色した後の、非熱変色性筆記体で形成した筆跡のインキの伸びを目視で確認した。
実施例1~3および比較例1~2の摩擦部材の硬さ、動摩擦係数、評価1および2の結果を表1にまとめた。また、実施例1~3および比較例1~2の評価1および2の結果を示す画像を、それぞれ図2A~図2Eおよび図3A~図3Eに、以下のように示した。
図2A:実施例1の評価1の結果
図2B:実施例2の評価1の結果
図2C:実施例3の評価1の結果
図2D:比較例1の評価1の結果
図2E:比較例2の評価1の結果
図3A:実施例1の評価2の結果
図3B:実施例2の評価2の結果
図3C:実施例3の評価2の結果
図3D:比較例1の評価2の結果
図3E:比較例2の評価2の結果
なお、表1の評価1および2の結果について、以下のように判定した。
A:インキが筆跡周囲に広がった形跡は確認されない
B:インキがわずかに筆跡周囲に広がった形跡が確認される
C:インキが筆跡周囲に広がった形跡が明瞭に確認される
Figure 2022101343000002
表1の結果より、次のように考察できる。表1の実施例1~3は、いずれも本発明の実施形態で規定する要件の全てを満足する例であり、評価1および2においてAまたはB判定であり、熱変色性筆記体の筆跡と共に非熱変色性筆記体の筆跡を擦過したときに、熱変色性筆記体の筆跡を消色できると共に、非熱変色性筆記体の筆跡の外観を十分維持できていた。特に実施例2は、実施例1および3とは異なり、硬さが65~80および動摩擦係数が0.25~0.35という好ましい要件を満たしたため、評価1および2において、特に優れた結果(A判定)を示した。
一方、表1の比較例1は、本発明の実施形態で規定する要件を満たしていない例であり、硬さが55未満であり、動摩擦係数が0.50超であったため、評価1および2においてC判定であった。表2の比較例2も、本発明の実施形態で規定する要件を満たしていない例であり、動摩擦係数が0.50超であったため、評価1および2においてC判定であった。
本発明の実施形態には、以下の応用例が含まれ得る。
(1)上記熱変色性筆記体(ボールペン)と上記非熱変色性筆記体(ボールペン)とのセット(出没式ボールペンのセット)。
(2)上記熱変色性インキ組成物を充填したレフィルを収容し、上記摩擦体(例えば実施例2)をキャップ先端部に備えた(固着した)キャップ式ボールペンと、上記非熱変色性インキ組成物を充填したレフィルを収容したキャップ式ボールペンのセット
(3)第1の上記熱変色性インキ組成物(例えば本願実施例に記載の黒色から白色に可逆的に変化するインキ)を充填したレフィルと、第2の上記熱変色性インキ組成物(黒色とは異なる色(例えばピンク色)から白色に可逆的に変化するインキ)を充填したレフィルと、上記非熱変色性インキを充填したレフィルを収容し、上記摩擦体(例えば実施例2)を軸筒後端部に備えた(固着した)複合タイプの出没式ボールペン
t1 加熱消色型のマイクロカプセル顔料の完全発色温度
t2 加熱消色型のマイクロカプセル顔料の発色開始温度
t3 加熱消色型のマイクロカプセル顔料の消色開始温度
t4 加熱消色型のマイクロカプセル顔料の完全消色温度
ΔH ヒステリシス幅

Claims (5)

  1. 熱変色性筆記体で形成した筆跡を摩擦熱により熱変色させる摩擦部材であって、
    タイプDのデュロメータ硬度計で測定した硬さが55~90であり、
    動摩擦係数が0.25~0.50である、摩擦部材。
  2. 前記硬さが65~80であり、前記動摩擦係数が0.25~0.35である、請求項1に記載の摩擦部材。
  3. 前記摩擦部材は有機高分子材料を含む、請求項1または2に記載の摩擦部材。
  4. 前記有機高分子材料はポリエチレン樹脂を含む、請求項3に記載の摩擦部材。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載の摩擦部材を含む熱変色性筆記体。
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