JP2004151535A - 画像形成用トナー、トナー容器、画像形成方法および画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも着色剤、結着樹脂および離型剤を含有する画像形成用トナーにおいて、該結着樹脂は少なくとも2種類のポリエステルA、Bを含有し、その一方のポリエステル樹脂Aは結晶性を有する脂肪族不飽和ポリエステル樹脂であり、その他方のポリエステル樹脂Bは非晶質で分子内に脂肪族不飽和二重結合部位を有するポリエステル樹脂であり、かつこれらポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bは相互に非相溶の相分離構造をとることを特徴とする画像形成用トナー。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真法、静電記録法、静電印刷法などで静電潜像を現像するときに用いられる画像形成用トナーに関し、詳しくは、特に充分な低温定着性を有する画像形成用トナー、このトナーを用いる画像形成方法および画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法による画像形成としては、カールソン法、PIP法などが知られており、一般には光導電性物質を用いて作成された感光体に種々の手段により電気的潜像を形成し、次いで該潜像を現像剤を用いて現像した後、該現像剤による像を必要に応じて紙などに転写し、さらに加熱、加圧あるいは溶剤蒸気などによって定着して、行われるものである。
【0003】
電気的潜像を現像する方式には、大別して、絶縁性有機液体中に各種の顔料や染料を微細に分散させた液体現像剤を用いる液体現像方式と、カスケード法、磁気ブラシ法、パウダークラウド法などのように天然又は合成樹脂にカーボンブラックなどの着色剤を分散して作成される乾式現像剤(以下トナーと称する)を用いる乾式現像方式があり、近年乾式現像方式が広く使用されている。
【0004】
乾式現像方式で用いられている定着方式としては、そのエネルギー効率の良さから、加熱ヒートローラ方式が広く一般に用いられている。近年はトナーの低温定着化による省エネルギーを図るため、定着時にトナーに与えられる熱エネルギーは小さくなる傾向にある。1999年度の国際エネルギー機関(IEA)のDSM(Demand−side Management)プログラム中には、次世代複写機の技術調達プロジェクトが存在し、その要求仕様が公表され、30cpm以上の複写機については、前記待機時間が10秒以内、待機時の消費電力が10〜30ワット以下(複写速度で異なる)とするよう、従来の複写機に比べて飛躍的な省エネ化の達成が要求されている。
【0005】
この要求を達成するための方法の一つとして、加熱ヒートローラー等の定着部材を低熱容量化させて、トナーの温度応答性を向上させる方法が考えられるが、十分満足できるものではない。
前記要求を達成し待機時間を極小にするためには、トナー自体の定着温度を下げ、使用可能時のトナー定着温度を低下させることが必須の技術的達成事項であると考えられる。
【0006】
こうした低温定着化に対応すべく、従来多用されてきたスチレン−アクリル系樹脂にかえて、低温定着性にすぐれ耐熱保存性も比較的良いポリエステル樹脂の使用や、炭素数12〜22の長鎖アルキル基を有する架橋構造を有する結晶性ポリマーを結着樹脂として用いることが試みられている(例えば、特許文献1〜7等参照)。また、低温定着性の改善を目的にバインダー中にガラス転移温度でシャープメルト性を有する特定の非オレフィン系結晶性重合体を添加する試みられている(例えば、特許文献8等参照)が、分子構造、分子量について最適化されているとはいえない。また、同じくシャープメルト性を有する結晶性ポリエステルを用いる試みもなされている(例えば、特許文献9、10等参照)が、この特許文献9記載の発明では結晶性ポリエステルトナーの酸価、水酸基価がそれぞれ5mgKOH/g以下、20mgKOH/g以下と低く、紙と結晶性ポリエステルとの親和性が低いため十分な低温定着性が得られない。また、結晶性ポリエステルの分子構造、分子量について最適化されておらず、さらに結晶性ポリエステルのシャープメルト性を発揮させるためのトナー中のマイクロドメイン構造についても開示されていないため、十分な低温定着性が得られない。また、特許文献10記載の発明においても、結晶性ポリエステルのシャープメルト性を発揮させるためのトナー中のマイクロドメイン構造について開示されていないため、十分な低温定着性が得られない。
【0007】
したがって、これら従来公知の技術を適用してもDSM(Demand−side Management)プログラムの仕様を達成することは不可能であり、従来の技術領域よりさらに進んだ低温定着技術の確立が必要である。
更なる低温定着化のためには、樹脂そのものの熱特性をコントロールすることが必要となるが、ガラス転移温度(Tg)を下げすぎると耐熱保存性を悪化させたり、分子量を小さくして樹脂の軟化温度[T(F1/2)]を下げすぎるとホットオフセット発生温度を低下させるなどの問題がある。このため、樹脂そのものの熱特性をコントロールすることにより、低温定着性に優れかつホットオフセット発生温度の高いトナーを得るには至っていない。
【0008】
【特許文献1】
特開昭60−90344号公報
【特許文献2】
特開昭64−15755号公報
【特許文献3】
特開平2−82267号公報
【特許文献4】
特開平3−229264号公報
【特許文献5】
特開平3−41470号公報
【特許文献6】
特開平11−305486号公報
【特許文献7】
特開平7−181726号公報
【特許文献8】
特開昭62−63940号公報
【特許文献9】
特許第2931899号公報
【特許文献10】
特開2001−222138号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の欠点を解消し、望ましい低温定着性および耐オフセット性を有する画像形成用トナー、このトナーを用いる又は画像形成方法・装置を提供することをその課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、画像形成用トナーについて鋭意検討を行ってきた結果、トナーを構成する樹脂に、結晶性を有し分子量分布がシャープで、かつその低分子量分の絶対量を可能な限り多くした脂肪族系ポリエステル樹脂Aを導入することがトナーの低温定着性を向上させることに非常に有効であることを見出した。さらに、ポリエステル樹脂Aと、そのポリエステル樹脂Aより高分子量でありかつ高い軟化温度[T(F1/2)]を有するポリエステル樹脂Bとを互いに非相溶の相分離構造とすることにより、高い軟化温度[T(F1/2)]を有するポリエステル樹脂Bの存在がトナーの弾性を高め、耐ホットオフセット性に寄与することを見出した。本発明はこれら知見に基づいてなされたものである。
本発明によれば、上記課題は下記(1)〜(21)によって達成される。
【0011】
(1)少なくとも着色剤、結着樹脂および離型剤を含有する画像形成用トナーにおいて、該結着樹脂は少なくとも2種類のポリエステルA、Bを含有し、その一方のポリエステル樹脂Aは結晶性を有する脂肪族不飽和ポリエステル樹脂であり、その他方のポリエステル樹脂Bは非晶質で分子内に脂肪族不飽和二重結合部位を有するポリエステル樹脂であり、かつこれらポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bは相互に非相溶の相分離構造をとることを特徴とする画像形成用トナー。
【0012】
(2)該ポリエステル樹脂Aおよび該ポリエステル樹脂Bの酸成分が、少なくとも脂肪族不飽和二重結合部位を有するジカルボン酸を含有することを特徴とする上記(1)記載の画像形成用トナー。
【0013】
(3)該ジカルボン酸がフマル酸であることを特徴とする上記(2)記載の画像形成用トナー。
【0014】
(4)該ポリエステル樹脂Bの軟化温度[T(F1/2)]が、該ポリエステル樹脂Aの軟化温度[T(F1/2)]より高いことを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の画像形成用トナー。
【0015】
(5)該ポリエステル樹脂Aのガラス転移温度(Tg)が90〜130℃であり、その軟化温度[T(F1/2)]が80〜130℃であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の画像形成用トナー。
【0016】
(6)該ポリエステル樹脂Aの酸価が20〜45mgKOH/gであることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の画像形成用トナー。
【0017】
(7)該ポリエステル樹脂Aの水酸価が5〜50mgKOH/gであることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の画像形成用トナー。
【0018】
(8)該ポリエステル樹脂Aのo−ジクロロベンゼンの可溶分のGPCによる分子量分布において、その重量平均分子量(Mw)が5500〜6500、その数平均分子量(Mn)が1300〜1500、そのMw/Mnが2〜5であることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載の画像形成用トナー。
【0019】
(9)該ポリエステル樹脂Aの粉末X線回折装置によるX線回折パターンにおいて、少なくとも2θ=19〜20°、21〜22°、23〜25°、29〜31°の位置に回折ピークが存在することを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載の画像形成用トナー。
【0020】
(10)該ポリエステル樹脂Bのガラス転移温度(Tg)が40〜70℃であり、その軟化温度[T(F1/2)]が120〜160℃であることを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれかに記載の画像形成用トナー。
【0021】
(11)該離型剤が70〜90℃のガラス転移温度(Tg)を有するものであることを特徴とする上記(1)〜(10)のいずれかに記載の画像形成用トナー。
【0022】
(12)該離型剤が脱遊離脂肪酸型カルナウバワックス、合成エステルワックス、モンタンワックス及び酸化ライスワックスから選ばれた1種または2種以上であることを特徴とする上記(1)〜(11)のいずれかに記載の記載の画像形成用トナー。
【0023】
(13)該ポリエステル樹脂Aの含有率が該結着樹脂の1〜50重量%であることを特徴とする上記(1)〜(12)のいずれかに記載の画像形成用トナー。
【0024】
(14)該ポリエステル樹脂Bの含有率が該結着樹脂の30〜99重量%であることを特徴とする上記(1)〜(13)のいずれかに記載の画像形成用トナー。
【0025】
(15)該トナーの誘電正接が2.5×10−3〜10.0×10−3であることを特徴とする上記(1)〜(14)のいずれかに記載の画像形成用トナー。
【0026】
(16)該トナーのDSCによる吸熱ピーク測定において、少なくとも3つの吸熱ピーク(A)(B)(C)が存在し、該吸熱ピーク(A)が40〜70℃の範囲にピークトップを有するものであり、該吸熱ピーク(B)が70〜90℃の範囲にピークトップを有するものであり、該吸熱ピーク(C)が90〜130℃の範囲にピークトップを有するものであることを特徴とする上記(1)〜(15)のいずれかに記載の画像形成用トナー。
【0027】
(17)該トナーの粉末X線回折装置によるX線回折パターンにおいて、少なくとも2θ=20〜25°の位置に回折ピークが存在することを特徴とする上記(1)〜(16)のいずれかに記載の画像形成用トナー。
【0028】
(18)上記(1)〜(17)のいずれかに記載の画像形成用トナーが充填されたトナー容器。
【0029】
(19)像担持体上に形成した静電潜像をトナーで現像する画像形成方法において、該トナーが上記(1)〜(17)のいずれかに記載の画像形成用トナーであることを特徴とする画像形成方法。
【0030】
(20)像担持体上に形成した静電潜像をトナーで現像する画像形成装置において、該トナーが上記(1)〜(17)のいずれかに記載の画像形成用トナーであることを特徴とする画像形成装置。
【0031】
(21)上記(1)〜(17)のいずれかに記載の画像形成用トナーと、帯電手段、現像手段、クリーニング手段より選ばれる少なくとも一つの手段とを一体に具備し、画像形成装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下に本発明をさらに詳細に説明する。
着色剤、結着樹脂および離型剤を主成分とする本発明のトナーは、その結着樹脂として少なくともポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bとが用いられる。ポリエステル樹脂Aは結晶性を有する脂肪族不飽和ポリエステル樹脂であり、ポリエステル樹脂Bは非晶質で分子内に脂肪族不飽和二重結合部位を有するポリエステル樹脂、かつこれらポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bとは互いに非相溶の相分離構造をとることを特徴とする。
【0033】
本発明においては、ポリエステル樹脂Aの分子構成を不飽和脂肪族系の低分子量の結晶性を有するポリエステルとすることにより、ポリエステル樹脂Aはガラス転移温度(Tg)において結晶転移を起こすと同時に、固体状態から急激に溶融粘度が低下し、紙への定着機能を発現する。不飽和脂肪族は平面構造を取るため結晶構造を形成しやすいという特徴を有する。
したがって、ポリエステル樹脂Aのガラス転移温度(Tg)および軟化温度[T(F1/2)]を制御することにより、定着下限温度を制御することが可能となり、耐熱保存性が悪化しない範囲、すなわち65〜140℃の範囲でポリエステル樹脂Aのガラス転移温度(Tg)およびF1/2温度を下げることにより、従来得ることの出来なかったレベルの低温定着性を得ることが出来る。
【0034】
また本発明においては、ポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bとを互いに非相溶の層分離構成とすることにより、従来得ることのできなかった耐ホットオフセット性を得ることができる。これは相分離構造の形成により、それぞれの相、すなわち樹脂の異なった特性が発揮され、低温定着性と定着温度範囲の確保が可能となる。相分離構造を形成しない場合は、このような効果は得られない。相分離構造の形成の有無は次の▲1▼〜▲3▼の方法のいずれかで確認できる。
【0035】
▲1▼ トナー断面の透過型電子顕微鏡(TEM)によるトナー断面の観察により相分離構造の形成の有無を確認できる。着色剤として加えたカーボンブラックがポリエステル樹脂Aに分散せずポリエステル樹脂B中に選択的に分散するため、TEMによりカーボンブラックの存在しない個所が島状に存在することを観察することにより相分離構造を確認できる
【0036】
▲2▼ トナーのDSCによる吸熱ピーク測定により相分離構造の形成の有無を確認できる。DSC吸熱ピーク測定において、少なくともポリエステル樹脂A、ポリエステル樹脂B、離型剤に帰属される3つの吸熱ピーク(A)〜(C)が存在し、ポリエステル樹脂Bに帰属される吸熱ピーク(A)が40〜70℃の範囲にピークトップを有するものであり、離型剤に帰属される吸熱ピーク(B)が70〜90℃の範囲にピークトップを有するものであり、ポリエステル樹脂Aに帰属される吸熱ピーク(C)が90〜130℃の範囲にピークトップを有するものである。相分離構造を有するトナーのDSC吸熱曲線を図1に、相分離構造が形成されていないトナーのDSC吸熱曲線を図2に示す。このように相分離構造を有する場合には3成分はそれぞれ別個の吸熱ピークを有し、相分離構造が形成されていない場合は3成分の吸熱ピークが重なり合う。
【0037】
▲3▼ トナーの粉末X線回折装置によるX線回折パターン測定により、 相分離構造の形成の有無を確認できる。これは、結晶性を有するポリエステル樹脂Aが結晶性を保持した状態で非晶質のポリエステル樹脂Bと相分離した状態で存在するため、ポリエステル樹脂Aに帰属される回折ピークが少なくとも2θ=20〜25°の位置に存在する。相分離構造が形成されていない場合はポリエステル樹脂Aの結晶構造が維持されずに非晶質のポリエステル樹脂Bと相溶するためにポリエステル樹脂Aに帰属される回折ピークが現れない。
【0038】
また、本発明に基づくトナーにおいては、ポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bの相分離構造の形成が達成された上で、ポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bとが均一に分散する、すなわち微小なマイクロドメインを形成して均一に存在することが望ましく、その均一性の指標としてはTEMによるトナー断面の撮影によるポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bのマイクロドメイン径の測定と、着色剤として用いるカーボンブラックの分散性の指標であるトナーの誘電正接の測定の二手法がある。
【0039】
このうち、トナーの誘電正接の測定については、カーボンブラックがポリエステル樹脂B中にのみ存在することから、誘電正接の測定値がポリエステル樹脂Bのマイクロドメインの分散度合いの指標に相当し、かつ定量性のある評価法である。そこで本発明ではポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bの分散性をトナーの誘電正接測定により行うこととした。
【0040】
本発明のトナーは、誘電正接が2.5×10−3〜10.0×10−3であることが好ましく、特に好ましくは2.5×10−3〜7.5×10−3である。トナーの誘電正接を2.5×10−3〜7.5×10−3の範囲にすることにより、トナー中での着色剤等の分散状態が均一で、しかも微分散された状態になり、これにより、トナーの帯電量分布が一定の狭い範囲内に制御されており、優れた電荷保持性及び安定性が得られる。
【0041】
ここで、トナーの誘電正接が10.0×10−3を超える場合は、導電性が高くなり、これにより帯電不良が生じ、地汚れやトナー飛散等が増加する傾向が見られる。また、トナー中の着色剤等の分散性も悪化するため、トナーの帯電量分布が不均一になり、高品位の画像が安定して得られない。また、トナーの誘電正接が2.5×10−3未満の場合は、抵抗が高くなるため帯電量が上昇し、画像濃度が低下する傾向が見られる。
【0042】
ポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bの相分離構造の形成が達成された上で、ポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bとが均一に分散した状態を作るには、混練条件により調整できる。混錬条件については、混練物より大きな混錬シェアがかかるように低温(混練物がが溶融状態になる範囲での最低温度)で混錬を行うことが望ましい。混錬温度が高温過ぎる場合、均一な分散状態が得られないだけでなく、溶融混錬時にポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bとが化学反応し、相分離構造が得られない。このため、混錬温度については樹脂Aとポリエステル樹脂BのF1/2温度、化学的反応性(溶解性パラメータ)を考慮し、溶融混錬が可能な範囲で内の最低温で混練することが望ましい。
【0043】
本発明においては、トナー製造の際の混練操作により、溶融した溶融粘度の低いポリエステル樹脂Aによって、混練時のせん弾力を吸収し、高F1/2温度、高分子量のポリエステル樹脂B(巨大コンフォメーションであるため切断され易い)を切断することなくポリエステル樹脂Bの成分量を保持できるので、耐ホットオフセット性が改善されることが確認された。
【0044】
ポリエステル樹脂Aの分子構造、分子量、ガラス転移温度(Tg)、F1/2温度について鋭意検討した結果、分子構造については、ポリエステル樹脂の結晶性および軟化点の観点から、炭素数2〜6のジオール化合物、特に1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールを含有するアルコール成分と、脂肪族不飽和二重結合部位を有するジカルボン酸、特にフマル酸を含有する酸成分とを用いて合成される下記一般式(1)で表される脂肪族系ポリエステルA
一般式(1)
[−0−CO−CR1=CR2−CO−O−(CH2)n−]m
(ここでn、mは繰り返し単位の数であり、R1、R2は炭化水素基である。)であってエステル結合を60モル%以上を含有することが好ましいことを見出した。
【0045】
また、ポリエステル樹脂の結晶性および軟化点の観点から非線状のポリエステルを合成するためにアルコール成分にグリセリン等の3価以上の多価アルコールを追加し、酸成分に無水トリメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸を追加して縮重合を行っても良い。
【0046】
分子構造は固体C13−NMRにより確認することが出来る。分子量については、上記の分子量分布がシャープで低分子量のものが低温定着性に優れるという観点から鋭意検討した結果、o−ジクロロベンゼンの可溶分のGPCによる分子量分布で、横軸をlog(M)、縦軸を重量%で表した分子量分布図のピーク位置が3.5〜4.0の範囲にあり、ピークの半値幅が1.5以下であり、重量平均分子量(Mw)が5500〜6500、数平均分子量(Mn)が1300〜1500、Mw/Mnが2〜5であることが好ましい。
【0047】
ガラス転移温度(Tg)およびF1/2温度については耐熱保存性が悪化しない範囲で低いことが望ましく、それぞれ65〜140℃の範囲、65〜140℃の範囲に有ることが好ましいことを見出した。ここで、結晶性ポリエステル樹脂Aのガラス転移温度(Tg)とは、DSC測定での2回目の昇温時における吸熱ピーク温度を指す。
ガラス転移温度(Tg)およびF1/2温度が上記範囲以下で、上記要件を満たす結晶性ポリエステルは合成が困難であり、130℃以上の場合には定着下限温度が高くなるため低温定着性が得られなくなる。
【0048】
ポリエステル樹脂A、Bの酸価は、紙と樹脂との親和性の観点から、目的とする低温定着性を達成するためにはその酸価が8mgKOH/g以上、より好ましくは20mgKOH/g以上であることが好ましく、一方、ホットオフセット性を向上させるには45mgKOH/g以下のものであることが好ましい。更に、ポリエステル樹脂A、Bの水酸価について言うならば、所定の低温定着性を達成し、かつ良好な帯電特性を達成するためには0〜50mgKOH/g、より好ましくは5〜50mgKOH/gのものが好ましい。
【0049】
本発明のポリエステル樹脂Aの結晶性の存在は粉末X線回折装置による回折パターンの2θ=19〜20°、21〜22°、23〜25°、29〜31°の位置に回折ピークが現れることで確認することが出来る。
【0050】
本発明に基づくトナーにおいては、低温定着性を発現させるためポリエステル樹脂Aを結着樹脂の1〜50重量%含有させることが好ましい。ポリエステル樹脂Aの含有量が1重量%未満の場合は低温定着性が悪化し、50重量%を超える場合はホットオフセット性が悪化するほか、着色剤が、ポリエステル樹脂A中に分散しないため着色剤の分散性が悪化し、着色剤としてカーボンブラックを使用した場合にはトナーの体積固有抵抗が著しく低下する不具合を生じることがある。
【0051】
ポリエステル樹脂BのF1/2温度およびガラス転移温度(Tg)については、F1/2温度120〜160℃、ガラス転移温度(Tg)40〜70℃であることが好ましい。F1/2温度が120℃未満の場合はホットオフセット性が悪化し、160℃を超える場合は、トナー製造時の溶融混練工程において、ポリエステル樹脂Bを溶融させるために高温を要するため製造コストが高くなること、およびトナーが高弾性のため混連シェアがかかり高い混練動力を要すること、および粉砕工程における粉砕効率が悪いく製造コストが高くなる等の不具合が生じる。ガラス転移温度(Tg)が40℃未満の場合はトナーの耐熱保存性が著しく悪化し、ブロッキングを生じる。ガラス転移温度(Tg)が70℃を超える場合はトナーの低温定着性が悪化する。ここで、ポリエステル樹脂Bのガラス転移温度(Tg)とは、DSC測定での2回目の昇温時における接線法より求めたガラス転移温度(Tg)を指す。
【0052】
ポリエステル樹脂Bの分子構造については特にアルコール成分がビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物の少なくとも一つであり、酸成分が少なくとも脂肪族不飽和二重結合部位を有するジカルボン酸を含有することが望ましく、特に少なくともフマル酸を含有することが望ましい。
【0053】
本発明に基づくトナーにおいては、良好な耐オフセット性、生産性確保のために、ポリエステル樹脂Bを結着樹脂の30〜99重量%含有させることが好ましい。ポリエステル樹脂Bの含有量が30重量%未満の場合は耐オフセット性、溶融混練工程での作業性が悪化し、99重量%を超える場合は低温定着性の悪化の不具合を生じることがある。
【0054】
ポリエステル樹脂Aおよびポリエステル樹脂Bの酸成分が脂肪族不飽和二重結合部位を有する場合には、トナー製造における溶融混練工程においてポリエステル樹脂Aの脂肪族不飽和二重結合部位とポリエステル樹脂Bの脂肪族不飽和二重結合部位とが相互作用を生じ、ポリエステル樹脂Aおよびポリエステル樹脂Bのが微分散されて混合される。これは両樹脂の分子構造が類似しドメインの界面で部分的に可塑化が生じているためである。これに対して、ポリエステル樹脂Aおよびポリエステル樹脂Bのいずれかに脂肪族不飽和二重結合部位が無い場合には、微分酸化が行われず、ポリエステル樹脂Aドメインのオフセット(ホットオフセット現象として発生)およびポリエステル樹脂Bドメインのオフセット(コールドオフセット現象として発生)が発生し易いという問題がある。さらに、十分な耐ホットオフセット性を達成するためにはポリエステル樹脂Bはクロロホルムに不溶なゲルを有するものであることが好ましい。
【0055】
本発明においては、トナー製造の際の混練特作により、溶融粘度の低いポリエステル樹脂Aによって混練時のせん弾力を吸収し、高い軟化温度[T(F1/2)]を有する高分子量のポリエステル樹脂Bを切断することなくポリエステル樹脂Bの成分量を保持できるので、ホットオフセット性が改善されることが確認された。
【0056】
次に本発明のトナーに用いられる材料について詳細に説明する。
本発明で用いられるポリエステル樹脂A、Bは、アルコールとカルボン酸との縮重合によって通常得られるものである。
【0057】
該アルコールとしては、前述のものの他、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、1.4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、及びビスフェノールA等のエーテル化ビスフェノール類、その他二価のアルコール単量体、三価以上の多価アルコール単量体を挙げることができる。
【0058】
また、カルボン酸としては、前述のものの他、例えばマレイン酸、フマール酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、マロン酸等の二価の有機酸単量体、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸等の三価以上の多価カルボン酸単量体を挙げることができる。
【0059】
ここで、ポリエステル樹脂としては、熱保存性の関係から、ガラス転位温度Tgが55℃以上のもの、さらに60℃以上のものが好ましい。
【0060】
本発明において、トナー中の樹脂成分として、前述のように、ポリエステル樹脂を用いることが最も適しているが、ポリエステル樹脂以外の樹脂も、上記トナー分子量分布を満足すれば、単独若しくはブレンド使用において低温定着化を達成できる。
また、ポリエステル樹脂を用いる場合においても、トナーの性能を損なわない範囲で、他の樹脂を併用することもできる。
【0061】
ポリエステル樹脂以外の使用可能な樹脂を例示すると、次のようなものを挙げることができる。なお、これらの樹脂は単独使用に限らず、二種以上併用することも可能である。
ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリα−メチルスチレン、スチレン/クロロスチレン共重合体、スチレン/プロピレン共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/塩化ビニル共重合体、スチレン/酢酸ビニル共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体、スチレン/アクリル酸エステル共重合体(スチレン/アクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリル酸エチル共重合体、スチレン/アクリル酸ブチル共重合体、スチレン/アクリル酸オクチル共重合体、スチレン/アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン/メタクリル酸エステル共重合体(スチレン/メタクリル酸メチル共重合体、スチレン/メタクリル酸エチル共重合体、スチレン/メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン/メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン/α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリロニトリル/アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレン又はスチレン置換体を含む単独重合体又は共重合体)、塩化ビニル樹脂、スチレン/酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン/エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等、石油系樹脂、水素添加された石油系樹脂。
これらの樹脂の製造法は、特に限定されるものではなく、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合のいずれも利用できる。
【0062】
また、上記ポリエステル樹脂以外の樹脂のガラス転移温度Tgは、ポリエステル樹脂と同じく、熱保存性の関係から55℃以上がよく、より好ましくは60℃以上が良い。
【0063】
本発明のトナーに用いる着色剤としては、例えばカーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン6Cレーキ、カルコオイルブルー、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料等の染顔料など、従来公知のいかなる染顔料をも単独あるいは混合して使用し得、ブラックトナーとしてもフルカラートナーとしても使用できる。これらの着色剤の使用量はトナー樹脂成分に対して、通常1〜30重量%、好ましくは3〜20重量%である。
【0064】
本発明においてトナーに使用される離型剤としては公知のものが全て使用できるが、特に脱遊離脂肪酸型カルナウバワックス、モンタンワックス及び酸化ライスワックスを単独又は組み合わせて使用することができる。
カルナウバワックスとしては、微結晶のものが良く、酸価が5以下であり、トナーバインダー中に分散した時の粒子径が1μm以下の粒径であるものが好ましい。
モンタンワックスについては、一般に鉱物より精製されたモンタン系ワックスを指し、カルナウバワックス同様、微結晶であり、酸価が5〜14であることが好ましい。
酸化ライスワックスは、米ぬかワックスを空気酸化したものであり、その酸価は10〜30が好ましい。
【0065】
その他の離型剤としては、固形シリコーンワニス、高級脂肪酸高級アルコール、モンタン系エステルワックス、低分子量ポリプロピレンワックス等、従来公知のいかなる離型剤をも混合して使用できる。
【0066】
離型剤のガラス転移温度(Tg)は70〜90℃のものが好ましく、70℃以下ではトナーの耐熱保存性が悪化し、90℃以上では低温での離型性が発揮されず耐オフセット性の悪化、定着機への紙の巻付き等が発生する。ここで、離型剤のガラス転移温度(Tg)とは、DSC測定での2回目の昇温時における吸熱ピーク温度を指す。
これらの離型剤の使用量は、トナー樹脂成分100重量部に対して、1〜20重量部、好ましくは3〜10重量部である。
【0067】
本発明のトナーは、必要に応じて帯電制御剤、流動性改良剤などを配合することも可能である。
【0068】
帯電制御剤としては、ニグロシン染料、金属錯塩型染料、第四級アンモニウム塩等の従来公知のいかなる帯電制御剤も、単独あるいは混合して使用できる。これらの帯電制御剤の使用量は、トナー樹脂成分100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは1〜5重量部である。
特に、サリチル酸金属錯体、好ましくは6配位の構成を取りうる3価以上の金属を有する錯体が前記理由により良い。ここで、3価以上の金属の例としては、Al、Fe、Cr、Zr等が挙げられる。
【0069】
流動性改良剤としては、疎水性シリカ、酸化チタン、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム等、従来公知のいかなる流動性改良剤をも単独あるいは混合して使用できるが、特に疎水性シリカ又は酸化チタンが流動性向上、帯電安定化及び画質安定化の点で優れている。より好ましくは疎水性シリカと酸化チタンを組み合わせて用いると流動性と帯電性の安定した良好なトナーを得ることができる。これらの流動性改良剤の使用量は、トナー母体粒子100重量部に対して、0.1〜5重量部、好ましくは0.5〜2重量部である。
【0070】
更に本発明のトナーは磁性体を含有した磁性トナーとして用いることができ、トナー中に含まれる磁性材料としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の酸化鉄、鉄、コバルト、ニッケルのような金属あるいはこれら金属のアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属の合金およびその混合物などが挙げられる。特にマグネタイトが磁気特性の点で好ましい。
これらの強磁性体は平均粒径が0.1〜2μm程度のものが望ましく、トナー中に含有させる量としてはトナー樹脂成分100重量部に対し約15〜200重量部、特に好ましくはトナー樹脂成分100重量部に対し20〜100重量部である。
【0071】
本発明のトナーの製造法は限定的でなく、通常の粉砕法でも、例えば重合法のような粉砕法以外の製造法、あるいはそれらの併用であっても良い。
本発明のトナーの粒径については特に限定的でないが、細線再現性等に優れた高画質を得るためには、体積平均粒径が5〜10μmであることが好ましい。
【0072】
以下において、本明細書で示した物性値の測定に用いた方法及び装置について具体的に示す。
【0073】
(1)トナー体積平均粒径
米国コールター・エレクトロニクス社製のコールターカウンターTAIIを用いて測定する。
【0074】
(2)樹脂の分子構造
固体C13−NMRは日本電子社製のFT−NMR SYSTEM JNM−α400を用い、観測核C13、基準物質アダマンタン、積算回数8192回、パルス系列CPMAS、IRMOD:IRLEV、観測周波数100.4MHz、OBSET:134500Hz、POINT:4096、PD:7.0sec、SPIN6088Hzの条件で行い、分子構造推定はソフトウェアとしてChem Draw Pro Ver.4.5を用いて行った。
固体C13−NMRでの分子構造解析結果を裏つける測定として次の二つの測定を併用した。
・フーリエ変換赤外分光光度(FT−IR)透過法にて試料を測定し標準スペクトル比較から構造を推定する。
測定機:Nicolet Magna 850
測定範囲:4000〜400cm−1
標準試料:KBr
・熱分解ガスクロマトグラム質量分析計による熱分解性生物の構造推定
装置:島津製作所GC−17A、島津CR−4A
熱分解温度:日本分析工業JHB−3S
熱分解温度:試料加熱温度×時間を590℃×4秒
カラム:DB−5(JアンドW Co.)L=30m、I.D=0.25mm、Film=0.25μm
カラム温度:50℃(保持時間1分)から10℃/分で300℃まで昇温
インジェクション温度:320℃
キャリアガス圧力:90kPa(保持時間2分)から2kPa/分で150kPaまで昇圧
検出器:FID
【0075】
(3)トナー断面の観察
日立社製の透過型電子顕微鏡H−9000を用い、加速電圧300kVの条件でトナー粒子を約100μmに超薄切片化し、四酸化ルテニウムにより染色した後、透過型電子顕微鏡(TEM)により約10000倍で観察を行い、写真撮影をした。
【0076】
(4)樹脂の分子量
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)を用いて測定する。この場合の測定は以下のようにして行う。
145℃のヒートチャンバー中でカラムを安定させ、この温度におけるカラムに、溶離液として0.3%BHT入りのO−ジクロロベンゼンを毎分1mlの流速で流し、試料濃度として0.3重量%に調製した樹脂の140℃O−ジクロロベンゼン溶解液を50〜200μl注入して測定する。
測定機としてWaters製150CV型、カラムとしてShodex AT−G+AT−806MS(2本)を用いることが出来る。試料(トナー)の分子量測定に当っては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。スライス幅は0.05秒である。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えばPressure Chemical Co.あるいは東洋ソーダ工業社製の分子量が6×102、2.1×103、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。また、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
【0077】
(5)軟化温度[T(F1/2)]
このT(F1/2)は樹脂の溶融しやすさの指標となるもので、T(F1/2)が高くなるとその樹脂の溶融性が悪くなり、その樹脂を溶融に高い温度を要することになり、一方、T(F1/2)が低くなると、その樹脂の溶融性が良くなり、その樹脂の溶融を低い温度で行うことができる。
このT(F1/2)は以下のようにして測定される。
高架式フローテスターCFT−500(島津製作所社製)を用い、ダイス径1mm、加圧10kg/cm2、昇温速度3℃/minの条件下で1cm2の試料を溶融流出させた時の流出開始点から流出終了点までの1/2に相当する温度により測定される。
【0078】
(6)樹脂のガラス転移温度(Tg)
このTgは、理学電機社製のRigaku THRMOFLEX TG8110により、昇温速度10℃/minの条件にてDSC測定を行ない、そのDSC測定での2回目の昇温時における接線法により求める。
【0079】
(7)樹脂の酸価及び水酸基価
これらの測定方法は、JIS K0070に規定の方法による。但しサンプルが溶解しない場合は、溶媒にジオキサンまたはTHF、o−ジクロロベンゼン等の溶媒を用いる。
【0080】
(8)粉末X線回析測定
粉末X線回折測定は、理学電機RINT1100を用い、 管球をCu、管電圧−電流を50kV−30mAの条件で広角ゴニオメーターを用いて測定した。
【0081】
(9)トナーの誘電正接の測定
まず、約2mm厚のペレット状に成形したトナーを、固体用電極(安藤電気社製、SE−70型)にセットし、電極間に1KHzの交流を印加したときの位相のずれを誘電体損測定器(安藤電気社製、TR−10C型)によって測定し、これにより誘電正接を測定した。
【0082】
(10)トナーのDSCによる吸熱測定
前記Tgの測定に用いたのと同じDSC測定装置を用いる。
【0083】
(11)離型剤のガラス転移温度(Tg)
前記樹脂のTg測定と同様にして測定する。
【0084】
本発明のトナーは、一成分現像剤としても、キャリアと組み合わせてなる二成分現像剤としても用いることができる。
【0085】
本発明のトナーを二成分現像剤として使用する場合のキャリアとしては、公知のものがすべて使用可能であり、例えば鉄粉、フェライト粉、ニッケル粉のごとき磁性を有する粉体、ガラスビーズ等及びこれらの表面を樹脂などで処理した物などが挙げられる。
【0086】
本発明におけるキャリアにコーティングし得る樹脂粉末としては、スチレン−アクリル共重合体、シリコーン樹脂、マレイン酸樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル樹脂エポキシ樹脂等がある。スチレン−アクリル共重合体の場合は、30〜90重量%のスチレン分を有するものが好ましい。この場合スチレン分が30重量%未満だと現像特性が低く、90重量%を越えるとコーティング膜が硬くなって剥離しやすくなり、キャリアの寿命が短くなるからである。
また、本発明におけるキャリアの樹脂コーティングは、上記樹脂の他に接着付与剤、硬化剤、潤滑剤、導電材、荷電制御剤等を含有してもよい。
【0087】
本発明のトナーを、一成分現像剤あるいは二成分現像剤いずれで用いる場合においても、トナーは容器に充填され、トナーが充填された容器は、画像形成装置とは別途に流通され、ユーザーが画像形成装置に装着して画像形成するのが、一般的である。
前記容器として用いられるものは限定的でなく、従来のボトル型あるいはカートリッジ型に限らず用いられる。また、画像形成装置とは電子写真法によって画像を形成するための装置であれば限定されず、例えば複写機とかプリンターが包含される。
【0088】
本発明における画像形成方法及び装置の実施の形態を説明する。ここで、図3は、本発明に係る画像形成方法及び装置の一例を示す概略構成図である。
図3において、像担持体である感光体1は図中の矢印方向(反時計回り)に回転され、帯電ローラ2により一様に帯電される。その後、図示しない露光部からの原稿像の露光あるいは図示しない光書き込み装置からのレーザ光による光書き込み等により像露光rされ、感光体1上には静電潜像が形成される。現像装置3内には、現像剤4が入っている。この現像剤4には、キャリアとトナーの混合体である二成分現像剤が用いられる。現像剤4を撹拌すると、摩擦帯電によりトナーが帯電する。現像装置3の感光体1との対向位置には、内部に複数の磁石あるいは複数の磁極を有するマグネットローラが配設された現像スリーブ5が配置されており、現像剤4は磁力により現像スリーブ5上に担持されて感光体1との対向位置に搬送され、感光体1上の静電潜像をトナーで現像する。
【0089】
感光体1の回転方向で現像装置3の下流側には転写ベルト6が配設されており、この転写ベルト6は駆動ローラと従動ローラに張架されて図中の矢印方向に回動される。また、転写ベルト6は図示しない接離機構により感光体1に対して接離可能に設けられており、転写時には感光体1に接触してニップ部を形成し転写紙Sを搬送する。また、転写ベルト6の裏面側にはバイアスローラ6aを介して図示しない電源によりトナーと逆極性の電圧(転写出力)が印加されている。
【0090】
図示しない給紙部から搬送された転写紙Sは、感光体1への作像タイミングに合わせてレジストローラ18により感光体1と転写ベルト6のニップ部に給紙され、感光体1上に現像されたトナー像は、上記転写ベルト6と感光体1間の電界により、感光体1と転写ベルト6の間に挾まれた転写紙S上に転写される。トナー像が転写された転写紙Sは、その後、転写ベルト6により搬送され、図示しない定着装置を通り抜け、この際、トナー像は転写紙上に熱溶着される。そして定着後の転写紙Sは図示しない排紙部に排紙される。一方、転写しきれずに感光体上に残ったトナーは、クリーニングブレード7により堰き止められ、回収ばね8により回収コイル9の上に入れられる。そして回収コイル9によりトナーはリサイクルトナーとして、現像装置3に戻される。またクリーニング後の感光体1は除電ランプ20で除電される。
【0091】
【実施例】
以下、本発明を下記の実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、部数はすべて重量部である。
【0092】
本発明で用いられるポリエステル樹脂Aの物性を表1に示し、ポリエステル樹脂Bの物性を表2に示す。
【0093】
【表1】
【0094】
なお、結晶性有りのものとは粉末X線回折装置によるX線回折パターンにおいて、少なくとも2θ=19〜20°、21〜22°、23〜25°、29〜31°の位置に回折ピークが現れたものであり、推定分子式有りのものとは固体C13NMRにより一般式(1)の分子構造の存在が確認されたものである。
【0095】
【表2】
なお、不飽和結合有りは酸成分に脂肪族不飽和二重結合部位あるものである。
【0096】
(トナーの製造例1)
ポリエステル樹脂A1 30部
ポリエステル樹脂B1 70部
脱遊離脂肪酸型カルナウバワックスス(Tg:83℃) 5部
カーボンブラック(三菱化学社製、#44) 10部
上記のトナー構成材料をヘンシェルミキサー中で十分撹拌混合した後、2軸押出し機にて混練し、冷却後粉砕、分級し体積平均径6.8μmの母体トナーを得た。混錬条件については、混練物を低温(混練物が溶融状態になる範囲での最低温度)の状態で混錬を行うべく、混錬機の温度設定を行った結果、混練機出口での混錬品の温度が120℃となるよう混錬機の温度設定を行った。得られたトナー母体粒子100部に疎水性シリカ0.5部と酸化チタン0.3部を添加混合し、最終的なトナーとした。
【0097】
(トナーの製造例2)
トナーの製造例1でポリエステルA1をポリエステルA2に変更した以外はトナーの製造例1と同様にトナーを作成した。
【0098】
(トナーの製造例3)
トナーの製造例1でポリエステルA1をポリエステルA3に変更した以外はトナーの製造例1と同様にトナーを作成した。
【0099】
(トナーの製造例4)
トナーの製造例1でポリエステルA1をポリエステルA4に変更した以外はトナーの製造例1と同様にトナーを作成した。
【0100】
(トナーの製造例5)
トナーの製造例1でポリエステルA1をポリエステルA5に変更した以外はトナーの製造例1と同様にトナーを作成した。
【0101】
(トナーの製造例6)
処方を下記のものに変更した以外はトナーの製造例1と同様にトナーを作成した。
ポリエステル樹脂A1 60部
ポリエステル樹脂B1 40部
脱遊離脂肪酸型カルナウバワックスス(Tg:83℃) 5部
カーボンブラック(三菱化学社製、#44) 10部
【0102】
(トナーの製造例7)
処方を下記のものに変更した以外はトナーの製造例1と同様にトナーを作成した。
ポリエステル樹脂A1 0.5部
ポリエステル樹脂B1 90.5部
脱遊離脂肪酸型カルナウバワックス(Tg83℃) 5部
カーボンブラック(三菱化学社製、#44) 10部
【0103】
(トナーの製造例8)
トナーの製造例1でポリエステルB1をポリエステルB2に変更した以外はトナーの製造例1と同様にトナーを作成した。
【0104】
(トナーの製造例9)
トナーの製造例1でポリエステルB1をポリエステルB3に変更した以外はトナーの製造例1と同様にトナーを作成した。
【0105】
(トナーの製造例10)
トナーの製造例1でポリエステルB1をポリエステルB4に変更した以外はトナーの製造例1と同様にトナーを作成した。
【0106】
(トナーの製造例11)
トナーの製造例1の脱遊離脂肪酸型カルナウバワックスをポリエチレンワックス(Tg110℃)に変更した以外は、トナーの製造例1と同様な方法によってトナーを得た。
【0107】
(トナーの製造例12)
トナーの製造例1の脱遊離脂肪酸型カルナウバワックスをポリエチレンワックス(Tg58℃)に変更した以外は、トナーの製造例1と同様な方法によってトナーを得た。
【0108】
(トナーの製造例13)
トナーの製造例1でポリエステルA1をポリエステルA6に変更した以外はトナーの製造例1と同様にトナーを作成した。
【0109】
(トナーの製造例14)
トナーの製造例1でポリエステルA1をポリエステルA7に変更した以外はトナーの製造例1と同様にトナーを作成した。
【0110】
(トナーの製造例15)
トナーの製造例1で混練機出口での混錬品の温度が160℃となるよう混錬機の温度設定を行った以外はトナーの製造例1と同様にトナーを作成した。
【0111】
(トナーの製造例16)
トナーの製造例1で混練機出口での混錬品の温度が200℃となるよう混錬機の温度設定を行った以外はトナーの製造例1と同様にトナーを作成した。
【0112】
上記コート材を10分間スターラーで分散してコート液を調整し、このコート液と芯材を流動床内に回転式底板ディスクと攪拌羽根を設けた、旋回流を形成させながらコートを行うコーティング装置に投入して、当該コート液を芯材上に塗布した。
さらに、得られたキャリアを電気炉で250℃で2時間焼成を行い、製造例のキャリア粒子(3kOe印加時の飽和磁化65emu/g、3kOe印加時の残留磁化0emu/g、比抵抗3.2×108Ω・cm、体積平均径45μm)を得た。
【0113】
(現像剤の製造例)
上記製造例1〜16のトナー各2.5部と、上記製造例のキャリア97.5部をターブラーミキサーで混合し、製造例の現像剤を得た。
【0114】
[実施例1〜13及び比較例1〜3]
各実施例で作成したトナーの特性評価方法について、説明する。
【0115】
1)定着性評価
定着ローラーとしてテフロンローラーを使用した(株)リコー製複写機 MF2200定着部を改造した装置を用いて、これにリコー製のタイプ6200紙をセットし複写テストを行った。このときの結果を表7に示した。
定着温度を変化させてコールドオフセット温度(定着下限温度)とホットオフセット温度(耐ホットオフセット温度)を求めた。従来の低温定着トナーの定着下限温度は180〜200℃程度である。尚低温定着の評価条件は、紙送りの線速度を200mm/sec、面圧1.0 Kgf/cm2、ニップ幅3mm、高温オフセットの評価条件は紙送りの線速度を50mm/sec、面圧2.0Kgf/cm2、ニップ幅4.5mmと設定した。
各特性評価の基準は以下のとおりである。
▲1▼ 耐コールドオフセット性(低温定着性)
◎:160℃未満、○:160〜180℃、□:180〜200℃、
△:200〜220℃、×:220℃以上
▲2▼ ホットオフセット性
◎:201℃以上、○:200〜191℃、□:190〜181℃、
△:180〜171℃、×:170℃以下
【0116】
2)地汚れ評価
(株)リコー製MF−2200に現像剤をセットし、常温/常湿の環境下において100,000枚の連続複写を行い、非画像部における地汚れの発生の程度を目視にて評価した。
◎:非常に良好なレベル、○:良好なレベル、□:一般的なレベル、
△:実用上は問題のないレベル、×:実用上問題があるレベル
【0117】
3)熱保存性の評価
ガラス容器にトナーを充填し、50℃の恒温槽にて24時間放置する。このトナーを24℃に冷却し、針入度試験(JIS K2235−1991)にて針入度を測定する。この値が大きいトナー程、熱に対する保存性が優れている。この値が5mm以下の場合は、使用上問題が発生する可能性が高い。
針入度に基づく熱保存性の判定基準は次の通りである。
◎:貫通、○:25mm以上、□:20〜25mm、△:15〜20mm、×:15mm未満
【0118】
4)トナーの分散状態の評価方法
トナー粒子を約100μmに超薄切片化し、四酸化ルテニウムにより染色した後、透過型電子顕微鏡(TEM)により約10000倍で観察を行い、写真撮影をした。この写真を画像評価することによりトナー中のポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bとの不連続相の有無を確認した。
【0119】
5)粉砕性の評価
平均粒径1mm以下に破砕されている混練物を、日本ニューマティック社製のIDS型粉砕機で粉砕したときの単位時間あたりの処理量から粉砕容易性を求めた。単位時間あたりの処理量が大きいほど粉砕が容易であり、トナーの生産性に優れる。
単位時間あたりの処理量に基づく粉砕容易性の判定基準は次の通りである。
◎:1.5kg/H以上、○:0.8〜1.5kg/H、
□:0.5〜0.8kg/H、△:0.2〜0.5kg/H、
×:0.2kg/H未満
【0120】
表3に実施例および比較例におけるトナーおよび現像剤の評価結果を示す。
【表3】
【0121】
なお、トナー相分離構造有りのものとはTEMによるトナー断面観察において、相分離構造が確認されたものである。トナー吸熱ピーク有りのものとはDSC測定において少なくとも3つの吸熱ピーク(A)〜(C)が存在し、吸熱ピーク(A)が40〜70℃の範囲にピークトップを有するものであり、かつ吸熱ピーク(B)が70〜90℃の範囲にピークトップを有するものであり、かつ吸熱ピーク(C)が90〜130℃の範囲にピークトップを有するものであることが確認されたものである。結晶性有りのものとは粉末X線回折装置によるX線回折パターンにおいて、少なくとも2θ=20〜25°の位置に回折ピークの存在が確認されたものである。
【0122】
【発明の効果】
以上の如き本発明によれば、低温定着性と耐ホットオフセット性を両立させ、定着温度幅の広いトナー、現像方法および装置を提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】相分離構造を形成するトナーのDSC曲線
【図2】相分離構造を形成しないトナーのDSC曲線
【図3】本発明に係る画像形成方法及び装置の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 感光体(像担持体)
2 帯電ローラ
3 現像装置
4 現像剤
5 現像スリーブ(現像剤担持体)
6 転写ベルト(転写手段)
6a バイアスローラ
7 クリーニングブレード
8 回収ばね
9 回収コイル
10 感光体及びクリーニングユニット(PCU)
13 搬送スクリュー
14 パドル(撹拌機構)
16 反射濃度検知センサー(Pセンサー)
17 トナー濃度センサー
18 レジストローラ
20 除電ランプ
S 転写紙
Claims (21)
- 少なくとも着色剤、結着樹脂および離型剤を含有する画像形成用トナーにおいて、該結着樹脂は少なくとも2種類のポリエステルA、Bを含有し、その一方のポリエステル樹脂Aは結晶性を有する脂肪族不飽和ポリエステル樹脂であり、その他方のポリエステル樹脂Bは非晶質で分子内に脂肪族不飽和二重結合部位を有するポリエステル樹脂であり、かつこれらポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bは相互に非相溶の相分離構造をとることを特徴とする画像形成用トナー。
- 該ポリエステル樹脂Aおよび該ポリエステル樹脂Bの酸成分が、少なくとも脂肪族不飽和二重結合部位を有するジカルボン酸を含有することを特徴とする請求項1記載の画像形成用トナー。
- 該ジカルボン酸がフマル酸であることを特徴とする請求項2記載の画像形成用トナー。
- 該ポリエステル樹脂Bの軟化温度[T(F1/2)]が、該ポリエステル樹脂Aの軟化温度[T(F1/2)]がより高いことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成用トナー。
- 該ポリエステル樹脂Aのガラス転移温度(Tg)が65〜140℃であり、その軟化温度[T(F1/2)]が65〜140℃であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成用トナー。
- 該ポリエステル樹脂Aの酸価が20〜45mgKOH/gであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成用トナー。
- 該ポリエステル樹脂Aの水酸価が5〜50mgKOH/gであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成用トナー。
- 該ポリエステル樹脂Aのo−ジクロロベンゼンの可溶分のGPCによる分子量分布において、その重量平均分子量(Mw)が5500〜6500、その数平均分子量(Mn)が1300〜1500、そのMw/Mnが2〜5であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の画像形成用トナー。
- 該ポリエステル樹脂Aの粉末X線回折装置によるX線回折パターンにおいて、少なくとも2θ=19〜20°、21〜22°、23〜25°、29〜31°の位置に回折ピークが存在することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の画像形成用トナー。
- 該ポリエステル樹脂Bのガラス転移温度(Tg)が40〜70℃であり、その軟化温度[T(F1/2)]が120〜160℃であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の画像形成用トナー。
- 該離型剤が70〜90℃のガラス転移温度(Tg)を有するものであることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の画像形成用トナー。
- 該離型剤が脱遊離脂肪酸型カルナウバワックス、合成エステルワックス、モンタンワックス及び酸化ライスワックスから選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の記載の画像形成用トナー。
- 該ポリエステル樹脂Aの含有率が該結着樹脂の1〜50重量%であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の画像形成用トナー。
- 該ポリエステル樹脂Bの含有率が該結着樹脂の30〜99重量%であることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の画像形成用トナー。
- 該トナーの誘電正接が2.5×10−3〜10.0×10−3であることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の画像形成用トナー。
- 該トナーのDSCによる吸熱ピーク測定において、少なくとも3つの吸熱ピーク(A)(B)(C)が存在し、該吸熱ピーク(A)が40〜70℃の範囲にピークトップを有するものであり、該吸熱ピーク(B)が70〜90℃の範囲にピークトップを有するものであり、該吸熱ピーク(C)が90〜130℃の範囲にピークトップを有するものであることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の画像形成用トナー。
- 該トナーの粉末X線回折装置によるX線回折パターンにおいて、少なくとも2θ=20〜25°の位置に回折ピークが存在することを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の画像形成用トナー。
- 請求項1〜17のいずれかに記載の画像形成用トナーが充填されたトナー容器。
- 像担持体上に形成した静電潜像をトナーで現像する画像形成方法において、該トナーが請求項1〜17のいずれかに記載の画像形成用トナーであることを特徴とする画像形成方法。
- 像担持体上に形成した静電潜像をトナーで現像する画像形成装置において、該トナーが請求項1〜17のいずれかに記載の画像形成用トナーであることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1〜17のいずれかに記載の画像形成用トナーと、帯電手段、現像手段、クリーニング手段より選ばれる少なくとも一つの手段とを一体に具備し、画像形成装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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