JP2004150886A - 応力センサ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】付与される応力が基板2の片状領域5面に配された歪みゲージ1を刺激し、当該歪みゲージ1の特性値変化により、当該応力の方向と大きさとを把握し得る応力センサにおいて、当該歪みゲージ1が配される基板2片状領域5の幅が、他の片状領域5の幅よりも狭くする。若しくは基板2が中央領域4及び当該中央領域4と接合する1以上の片状領域5を有し、付与される応力が当該接合領域に配された歪みゲージ1を刺激し、当該歪みゲージ1の特性値変化により、当該応力の方向と大きさとを把握し得る応力センサにおいて、当該歪みゲージ1が配される上記接合領域を構成する片状領域5の幅が、他の片状領域5の幅よりも狭くする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はパーソナルコンピュータ用ポインティングディバイスや、各種電子機器用多機能・多方向スイッチ等に用いることができる応力センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
付与される応力が基板面に配された歪みゲージを刺激し、当該歪みゲージの特性値変化により、当該応力の方向と大きさとを把握し得る応力センサについては、例えば図6に示すような構成が開示されている(特開2000−112652号公報)。即ち基板114にキャビティ124を設け、当該キャビティ124の存在により薄肉になった基板114部分と、基板114の厚肉部分の境目を跨ぐように基板114面に歪みゲージ116(チップ抵抗器)を配置する構成が提案されている。
【0003】
上記構成の応力センサは、ポスト111への応力付与に対する歪みゲージ特性値変化率が高まる利点を有すると考えられる。即ちセンサの出力を大きくすることができる。その理由は、キャビティ124の存在により薄肉になった基板114部分と、基板114の厚肉部分の境目は、ポスト111への応力付与に対して最も敏感であることによる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記構成の応力センサは、第1にキャビティ124を形成することが一般に困難である不利な点を有する。一般にキャビティ124を形成するには、基板114を成型した後の掘削加工を要する。かかる掘削加工は、基板114を貫通させずに一定の厚みを有する薄肉としなければならない。応力センサを大量に生産しようとした場合には、かかる薄肉部厚みが一定であるか否かによって応力センサ感度のばらつきが生じる。特に掘削加工が困難なキャビティ底面周縁134の形状は、直接的に歪みゲージ116が配置された基板114部分の撓み易さ、即ち歪みゲージへの刺激の与え方に大きく影響する。従ってかかる掘削加工により上記構成とするのは困難を伴う。
【0005】
そこで、前記成型時の金型にキャビティ124を形成する凸部を設けておく手段も考えられる。しかし一般に金型に凸部を設けることにより、成型材料が当該凸部を回り込むのが困難となり、成型が困難となる。例えばプリプレグを積層させてプレス成型する場合に本手段を採用することは非常に困難である。プリプレグを構成するガラス繊維の張力が、前記凸部を回り込むようなプリプレグ全体の流動を妨げるためである。またセラミック粉末と増粘剤とを混ぜたものをプレス成型し、その後焼結させる作業を伴う場合にあっては、上記回り込みの困難さに加えて、当該焼結の段階での焼結物の収縮が起こる。従ってかかる収縮量及び収縮後の形状を一定にすることは更に困難となる。
【0006】
また上記構成の応力センサは、第2に上記薄肉部の存在により応力センサ全体の強度が低下するものと考えられる。その理由は、応力受け部材としてのポスト111が基板114の薄肉部にのみ配されており、ポスト111に過度の応力が付与された場合には薄肉部が、弾性変形の領域を越えた塑性変形し易いと考えられるためである。前記塑性変形すると、その後のポスト111への応力付与に対する応力センサからの出力値が不正確となる。その理由は、塑性変形が可逆性を失った変形であり、応力を除いても復元せず、そのような基板114上の歪みゲージ116は、常に基板114の塑性変形に起因する応力が付与されることとなるためである。このような応力センサは、使用者の所望の機能を発揮し得ないものである。
【0007】
そこで本発明が解決しようとする課題は、製造の困難性を伴わず、且つ応力センサ全体の強度低下を引き起こさずにセンサの出力を大きくすることができる応力センサを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の第1の応力センサは、付与される応力が基板2の片状領域5面に配された歪みゲージ1を刺激し、当該歪みゲージ1の特性値変化により、当該応力の方向と大きさとを把握し得る応力センサにおいて、当該歪みゲージ1が配される基板2片状領域5の幅が、他の片状領域5の幅よりも狭いことを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決するための本発明の第2の応力センサは、基板2が中央領域4及び当該中央領域4と接合する1以上の片状領域5を有し、付与される応力が当該接合領域に配された歪みゲージ1を刺激し、当該歪みゲージ1の特性値変化により、当該応力の方向と大きさとを把握し得る応力センサにおいて、当該歪みゲージ1が配される上記接合領域を構成する片状領域5の幅が、他の片状領域5の幅よりも狭いことを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決するための本発明の第3の応力センサは、基板2が外枠領域6及び当該外枠領域6と接合する1以上の片状領域5を有し、付与される応力が当該接合領域に配された歪みゲージ1を刺激し、当該歪みゲージ1の特性値変化により、当該応力の方向と大きさとを把握し得る応力センサにおいて、当該歪みゲージ1が配される上記接合領域を構成する片状領域5の幅が、他の片状領域5の幅よりも狭いことを特徴とする。
【0011】
一般的に応力センサは、上記抵抗値等の電気特性を検知、演算等する制御部があってはじめて応力センサとして機能する。しかし本明細書では、便宜上前記制御部を除いた部分について「応力センサ」と表現することとする。
【0012】
第1の応力センサの一例の概要(上面図)を示したのが図1(a)である。基板2を構成する片状領域5の幅狭領域であって、基板2の例えば下面に歪みゲージ1が配されている。付与される応力は例えばポスト3が受け、当該ポスト3が基板2へ当該応力を伝達する。伝達された応力は基板2の片状領域5へ更に伝達される。当該応力は片状領域の中で撓み・変形がされ易い領域、即ち幅狭領域に集中する。かかる集中した応力が前記幅狭領域を撓ませるよう変形させる。当該変形が歪みゲージ1を刺激(伸張・収縮)し、当該歪みゲージ1の特性値を変化させる。かかる特性値変化量により付与される応力の大きさを把握し得ることとなり、またどの歪みゲージ1が主として刺激されたかにより、付与された応力の方向を把握し得ることとなる。また図1(a)に示すように、片状領域5の略中央を幅狭領域とすることの利点は、当該中央は、他の部材との接続・固着がないため変形の自由度が高く、片状領域5の中で最も撓み易く歪みゲージ1への刺激を大きくできる領域であり、付与された応力に対する出力を大きくすることができることである。
【0013】
応力付与から応力情報取得までの機構は、第2並びに第3の応力センサと略共通している。第2並びに第3の応力センサについて、第1の応力センサの前記機構と異なる点について以下に述べる。
【0014】
第2の応力センサが第1の応力センサと異なる点は、基板2が中央領域4及び当該中央領域4と接合する1以上の片状領域5を有し、応力が集中する幅狭領域が中央領域4と片状領域5との接合領域にある点である(図1(b))。仮に図1(b)に示すように、応力受け部材としてのポスト3が基板2の中央領域に固着又は一体化される場合には、当該応力が基板2を伝達する際の応力の減衰を極力なくすることができる利点がある。ポスト3のすぐそばに歪みゲージ1を配置できるためである。その結果センサの出力値を更に大きくできる点、電気ノイズ以外であって応力センサの構造に起因するノイズを極力防止できる点で第1及び第3の応力センサよりも第2の応力センサは優れている。
【0015】
第3の応力センサが第1の応力センサと異なる点は、基板2が外枠領域6及び当該外枠領域6と接合する1以上の片状領域5を有し、応力が集中する幅狭領域が外枠領域6と片状領域5との接合領域にある点である(図1(c))。
【0016】
これら第1〜第3の応力センサは、センサの出力を大きくする手段として、基板2に切欠き11の形成を採用している。かかる手段は打ち抜き加工等の比較的容易な作業を採用することができる。また基板2を多数重ねた状態で打ち抜き加工することもでき、量産性にも優れる。仮に基板2の材料がプリプレグを積層させて成型したものであっても、ガラス繊維の存在は、打ち抜き加工時の障害とはなり難い。また焼結前のセラミック粉末材料を金型にて切欠き11を形成するよう成型した後、焼結した場合の収縮後の形状を上記従来に比して一定にすることができると考えられる。その理由は、図6に示した上記従来の基板114は、キャビティ124の存在により三次元形状となっているのに対し、第1〜第3の応力センサの切欠き11を含む基板2形状は二次元形状に過ぎず、形状の単純さを比較すると遙かに後者が勝っていることによる。単純な形状であれば、収縮のされ方も単純になる。
【0017】
またこれら第1〜第3の応力センサは、上記幅狭領域を有するがため、過度な応力が付与された場合に当該幅狭領域の基板2又は歪みゲージ1の塑性変形が起こり易いのではないかとの懸念も生じ得る。しかしながら、かかる幅狭領域には歪みゲージ1が配される。そのため当該幅狭領域には妥当な大きさの歪みゲージ1、及びそこから導出される配線を配するに十分な幅を確保することが要求される。従って上記幅狭領域を極端に狭くすることはできない。そのため通常応力センサ全体として要求される強度は確保されると考えられる。
【0018】
例えば歪みゲージ1を膜形成した抵抗素子とした場合、一般にその素子が大きい程温度特性や、刺激に対する抵抗値変化特性等の諸特性が安定する。またその素子が大きい程、大量に素子形成する際の形状や抵抗値等の特性値のばらつきを抑えることができる。ここでは膜形成した抵抗素子を例に説明したが、歪みゲージ1となり得るキャパシタ素子や、圧電素子等のその他の素子についても一般に同様と考えられる。これらのことから、上記幅狭領域を極端に狭くすることが困難であることが裏付けられた。
【0019】
以上からこれら第1〜第3の応力センサは、製造の困難性を伴わず、且つ応力センサ全体の強度低下を引き起こさずに応力センサの出力を大きくすることができることがわかる。即ち第1〜第3の応力センサは、本発明が解決しようとする課題を解決できている。また基板2を撓ませる動作を伴って作動する応力センサにあっては、上記幅狭領域の存在で応力センサの出力を大きくできることにより、応力センサ全体のサイズを小さくできることとなる。その理由を以下に述べる。基板2を一定量撓ませるには、図1、図2における片状領域5が一定長さ以上必要となる。これはてこの原理における支点から力点までの距離を大きくすることで、小さな応力を力点に付しても作用点にある重たい物を動かすことができるのと同じ原理である。しかし上記幅狭領域の存在により、当該幅狭領域に応力が集中し易くなり、同じ重たい物を動かすのに、さほど支点から力点までの距離を大きくする必要がなくなる。従って図1、図2における片状領域5長さを短くすることができ、その結果応力センサ全体のサイズを小さくできるのである。
【0020】
これら第1又は第2の応力センサ及びこれらを基本とした好ましい構成の応力センサにおいて、付与される応力を受ける部材が、基板2面に固着又は一体化されたポスト3であって、当該ポスト底面の輪郭7が歪みゲージ1と対応する位置にあることが好ましい。図2に第1及び第2の応力センサについて、本構成を適用した一例の概要を上面図として示した。同図では、便宜上ポスト3を透明にし、本来であればポスト3に隠れて見ることができない部分を示している。
【0021】
図2(a)は第1の応力センサにおいて、ポスト底面の輪郭7が、基板2の片状領域5であって幅狭領域及び歪みゲージ1と重なり合っている構成である。かかる構成では、応力受け部材としてのポスト3からの応力の伝達が、図1(a)に示した構成に比して高い効率でなされる。その理由は、基板2面に固着又は一体化されたポスト3に付与された応力が最も強く基板2面を刺激するのは、ポスト底面の輪郭7に相当する部分であることによる。図2(b)に示した第2の応力センサにおいても同様である。
【0022】
従って、ポスト底面の輪郭7が突起部を有し、当該突起部が歪みゲージ1を重なり合う構成とすることが、応力センサ出力向上のためには更に好適であると言える。具体的には、例えば図1、図2に示したポスト3の四角形の底面の角部を前記突起部とし、当該角部を歪みゲージ1の対応位置とするようポスト3を配置する等である。
【0023】
図2に示した構成の応力センサでは、歪みゲージ1を基板2の下面に配し、ポスト3を基板2の上面に配している。このような構成とすることで、ポスト3に付与された応力は上述した基板2の幅狭領域を撓ませ、歪みゲージ1を伸張・収縮させる刺激となる。これに対し、歪みゲージ1及びポスト3を基板2の上面に配する構成にあっては、付与された応力はポスト底面の輪郭7により略直接的に歪みゲージ1を押圧・押圧解除する刺激、及び当該応力による基板2の幅狭領域を撓ませ、歪みゲージ1を伸張・収縮させる刺激との複合的なものとなる。
【0024】
詳述すると、ポスト底面の輪郭7が歪みゲージ1を略直接押圧すると、それに伴い基板2の幅狭領域が歪みゲージ1を収縮するように撓む。この場合これら2つの歪みゲージ1への刺激は、いずれも歪みゲージ1を圧縮し、歪みゲージ1が抵抗素子の場合にあっては当該抵抗素子の抵抗値を低くする。その後ポスト底面の輪郭7が歪みゲージ1への押圧を解除した場合には、押圧時とは逆の挙動を示す。その結果、付与する応力の大きさを同じくした場合、歪みゲージ1及びポスト3を基板2の上面に配する構成の応力センサは、歪みゲージ1を基板2の下面に配し、ポスト3を基板2の上面に配する構成の応力センサよりも大きな歪みゲージ1特性値変化を得ることができる。
【0025】
また第1〜第3の応力センサ及びこれらを基本とした好ましい構成の応力センサにおいて、付与される応力を受ける部材が、基板2面に固着又は一体化されたポスト3であって、当該ポスト3が基板2よりも剛性の高い材料からなることが好ましい。より大きな幅狭領域の撓み量を得ることができ、そのことは応力センサ出力増大に資するためである。具体的には、例えば基板2材料がプリプレグを積層してプレス成型した、ガラス繊維混入樹脂である場合には、ポスト3材料をセラミックや金属にする等である。
【0026】
また第1〜第3の応力センサ及びこれらを基本とした好ましい構成の応力センサにおいて、歪みゲージ1が配される基板2領域であって、幅狭となる基板2の輪郭が、曲線で構成されることが好ましい。幅狭領域への過度の応力集中があっても、当該応力を幾分か分散することができ、基板2や歪みゲージ1の塑性変形の抑制に資すると考えられるためである。また切欠き部11を形成する際に打ち抜き加工をする場合は、かかる加工に用いる打ち抜き金型の摩耗を抑制することにも資するためである。
【0027】
また第1〜第3の応力センサ及びこれらを基本とした好ましい構成の応力センサにおいて、基板2の幅狭領域から幅広領域へ向かう基板2の輪郭が、実質的な直線で構成されることが好ましい。ここで、「基板2の幅狭領域から幅広領域へ向かう基板2の輪郭」とは、基板2面を除く基板2の幅狭領域及び幅広領域であって、外端を構成する部分をいう。具体的には例えば図1や図2に示した辺状領域5の側部形状等である。辺状領域5の側部形状が直線のみ以外、例えば階段状や曲線等で構成されると、幅狭領域への応力集中の妨げとなる場合があることを考慮したものである。
【0028】
また第1〜第3の応力センサ及びこれらを基本とした好ましい構成の応力センサにおいて、歪みゲージ1が基板2の幅広領域から幅狭領域を経由し、その延長上の幅広領域に至る状態で存在することが好ましい。具体的には例えば図1や図2に示した歪みゲージ1の存在状態等である。ここで言う幅広領域は、図1、図2における中央領域4及び外枠領域6を含む。応力センサに応力が付与されると、幅狭領域が撓み、幅広領域は殆ど撓まない。そこで歪みゲージ1を基板2の幅広領域から幅狭領域を経由し、その延長上の幅広領域に至る状態で存在させることにより、撓む領域と撓まない領域との境界を跨いで歪みゲージ1が存在することとなる。すると応力センサへの応力付与により、当該境界では確実に歪みゲージ1が屈曲することとなる。かかる屈曲は歪みゲージ1への主たる刺激となるため、相対的にかかる屈曲以外の刺激が無視できる程度の小さいものとみなすことができる効果があると考えられる。すると、応力センサを大量生産する場合、かかる屈曲のし易さにばらつきが生じ難くなる一要因となり得ると考えられる。また、上記屈曲により歪みゲージ1への刺激を確実ならしめる効果をも有すると考えられる。ここで幅狭領域のみに歪みゲージ1が存在していても、付与された応力が歪みゲージ1を刺激することは言うまでもない。
【0029】
また第1〜第3の応力センサ及びこれらを基本とした好ましい構成の応力センサにおいて、基板2の幅狭領域長さ9が、基板2の幅広領域長さ8の1/3以下であることが好ましい。ここで言う幅広領域は、図1、図2における中央領域4及び外枠領域6を含む。かかる「1/3」は、経験から導き出しており、明確な根拠はない。概ね「1/3」以下とすることにより、十分に幅狭領域及びそこに付された歪みゲージ1への応力集中が実現できる。図5に図1(b)の応力センサを例に、基板2の幅狭領域長さ9と、基板2の幅広領域長さ8を示し、両者の関係を明確化する。図5(a)は、幅狭領域長さ9が極めて0に近く、計測が困難な例である。この場合は基板2の幅狭領域長さ9が、基板2の幅広領域長さ8の0、即ち「1/3以下」ということができる。基板2の幅広領域の輪郭が直線で構成され、図5(a)のように、かかる直線同士の交点で幅狭領域が形成される場合等に幅狭領域長さ9が極めて0に近くなる。また図5(b)は、幅狭領域長さ9が僅かながら計測可能な場合である。上述した幅狭領域にRを設けた場合等には、当該Rを構成する分が幅狭領域長さ9に該当する。
【0030】
また第1〜第3の応力センサ及びこれらを基本とした好ましい構成の応力センサにおいて、基板2が樹脂材料を主成分とし、当該樹脂材料よりも張力が大きい繊維が混入した材料からなることが好ましい。かかる繊維混入樹脂系材料は、例えばガラス繊維混入エポキシ系樹脂等である。これら材料は幅狭領域を形成し、当該領域に応力集中させたとしても可塑変形を起こさない程度に十分な変形の可逆性を有する。これは混入された繊維が、基板2の前記可逆性を維持するためと考えられる。かかる繊維には、ガラス繊維の他にアラミド樹脂系繊維、ナイロン繊維、ポリオレフィン系樹脂等の1種以上が好適である。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態の一例を、以下図面を参照しながら説明する。
図2(b)に示した形態の応力センサの製法について説明する。厚み0.5mmのガラス繊維混入エポキシ系樹脂を主成分とする積層板(基板2)を用意する。基板2の片面に厚み12μmの銅箔を貼付する。その後、当該銅箔の必要部分を除いて、ドライフィルムレジストによるフォトエッチング法により、エッチング処理を施す。すると基板2面に銅箔の残部として、対となる歪みゲージ1(抵抗素子)用電極及びそこから応力センサ制御部まで歪みゲージ1特性を伝達する導体が形成される。
【0032】
次いで、基板2を多数積み重ねた状態で切欠き部11を形成するための打ち抜き加工を実施する。この加工が終了すると、基板2の中央領域4、4つの片状領域5、及び外枠領域6が形成される。このとき打ち抜き金型には、幅狭部を構成する基板2の中央領域4と片状領域5との接合領域を打ち抜く部分に直径約1mmのRを設けることで、幅狭となる基板2の輪郭を曲線で構成する。この打ち抜き加工の結果、歪みゲージ1が基板2の4つの幅狭部にそれぞれ一つずつ配されることとなった。
【0033】
次に熱硬化性樹脂及び炭素材粉末を主たる構成材料とする抵抗体ペーストを、対となる電極双方に跨るようにスクリーン印刷する。その後当該ペーストを加熱硬化することで上記電極及び抵抗体で構成された、抵抗素子からなる歪みゲージ1が形成される。更に当該歪みゲージを1保護するエポキシ系樹脂ペーストをスクリーン印刷して、その後加熱硬化する。
【0034】
次にアルミナセラミックを加工したポスト3底面を、上記歪みゲージ1が配された基板2面とは逆側の面に固着する。固着箇所は基板2の中央領域4の中心と、ポスト3の底面中心とが一致するよう、且つポスト底面の輪郭7が基板2の幅狭領域のそれぞれに位置するような位置とする。また固着方法は、エポキシ系接着剤を用いる方法である。
【0035】
以上の過程を経ることで、本発明の応力センサを得ることができた。かかる応力センサは、これ単体では動作することができず、信号制御部を介して電子機器の制御が可能となる。図4には本発明の応力センサにおける、電気信号入出力の状態の概要を示した。基板2の幅狭領域に形成した四つの抵抗素子(歪みゲージ1)がブリッジ回路を構成している。このために必要な基板2面上の導体の配線は、便宜上図2(b)から省略している。このブリッジ回路の電圧印加端子(Vcc)−(GND)間には所定の電圧が印加されている。また同図左側の歪みゲージ1(抵抗素子)及びY端子(Yout)によりY軸方向の応力センサが構成され、更に同図右側の歪みゲージ1(抵抗素子)及びX端子(Xout)によりX軸方向の応力センサが構成される。
【0036】
上記X軸方向又はY軸方向に、応力受け部材としてのポスト3へ応力付与した状態を図3(a)に示す。またポスト3頂面を押下したとき、即ちZ軸方向へ応力付与した状態を図3(b)に示す。Z軸方向に応力付与することにより、4つの歪みゲージ1(抵抗素子)全てを伸張させ、各々の抵抗値を略同程度にまで大きくする。このような電気特性は、任意の横方向(X軸方向、Y軸方向)に応力を付与した場合と異なる電気的特性であり、それらとは区別できる。
【0037】
上記Z軸方向への応力の付与を感知する場合は、例えばコンピュータのポインティングディバイスとして本発明の応力センサを使用し、いわゆるマウスをクリックする信号に上記Z軸方向への応力の付与を割り当てる場合である。また、例えばいわゆる携帯電話等の小型携帯機器用の多機能・多方向スイッチとして本発明の応力センサを使用した場合である。この場合は、所定時間下向きへの応力付与をしたときに当該携帯機器の電源のオン・オフの命令に対応させる等が可能となる。これら2つの場合では、付与された応力の大小を精度良く感知する必要性は乏しい。一定レベルの応力が付与されたことを感知できればよい。しかしこれらの場合であっても付与された応力の大きさを把握することには変わりはない。また後者の場合は任意の横方向(X軸方向、Y軸方向)に応力を付与した場合についても、一定レベルの応力が付与されたことを感知できればよいことになる。
【0038】
【発明の効果】
本発明により、製造の困難性を伴わず、且つ応力センサ全体の強度低下を引き起こさずにセンサの出力を大きくすることができる応力センサを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(c)はいずれも本発明の応力センサの一例の上面図を示している。
【図2】(a)及び(b)は、いずれも本発明の応力センサの一例の上面図を示している。
【図3】(a)は、本発明の応力センサの固着したポストに対し、任意のX軸、Y軸方向に応力を付与した状態の概要であり、(b)はZ軸方向(下方向)に押下した状態の概要を示す側面図である。
【図4】本発明の応力センサの信号入出力の様子の一例を示す図である。
【図5】基板の幅狭領域長さと、基板の幅広領域長さの関係を明確化する説明図である。
【図6】従来の応力センサの概要を示す図である。
【符号の説明】
1.歪みゲージ
2.基板
3.ポスト
4.中央領域
5.片状領域
6.外枠領域
7.ポスト底面の輪郭
8.幅広領域長さ
9.幅狭領域長さ
111.ポスト
114.基板
116.歪みゲージ
124.キャビティ
134.キャビティ底面周縁
Claims (10)
- 付与される応力が基板の片状領域面に配された歪みゲージを刺激し、当該歪みゲージの特性値変化により、当該応力の方向と大きさとを把握し得る応力センサにおいて、
当該歪みゲージが配される基板片状領域の幅が、他の片状領域の幅よりも狭いことを特徴とする応力センサ。 - 基板が中央領域及び当該中央領域と接合する1以上の片状領域を有し、付与される応力が当該接合領域に配された歪みゲージを刺激し、当該歪みゲージの特性値変化により、当該応力の方向と大きさとを把握し得る応力センサにおいて、
当該歪みゲージが配される上記接合領域を構成する片状領域の幅が、他の片状領域の幅よりも狭いことを特徴とする応力センサ。 - 基板が外枠領域及び当該外枠領域と接合する1以上の片状領域を有し、付与される応力が当該接合領域に配された歪みゲージを刺激し、当該歪みゲージの特性値変化により、当該応力の方向と大きさとを把握し得る応力センサにおいて、
当該歪みゲージが配される上記接合領域を構成する片状領域の幅が、他の片状領域の幅よりも狭いことを特徴とする応力センサ。 - 付与される応力を受ける部材が、基板面に固着又は一体化されたポストであって、当該ポスト底面の輪郭が歪みゲージと対応する位置にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の応力センサ。
- 付与される応力を受ける部材が、基板面に固着又は一体化されたポストであって、当該ポストが基板よりも剛性の高い材料からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の応力センサ。
- 歪みゲージが配される基板領域であって、幅狭となる基板の輪郭が、曲線で構成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の応力センサ。
- 基板の幅狭領域から幅広領域へ向かう基板の輪郭が、実質的な直線で構成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の応力センサ。
- 歪みゲージが基板の幅広領域から幅狭領域を経由し、その延長上の幅広領域に至る状態で存在することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の応力センサ。
- 基板の幅狭領域の長さが、基板の幅広領域長さの1/3以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の応力センサ。
- 基板が樹脂材料を主成分とし、当該樹脂材料よりも張力が大きい繊維が混入した材料からなることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の応力センサ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002314559A JP2004150886A (ja) | 2002-10-29 | 2002-10-29 | 応力センサ |
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- 2002-10-29 JP JP2002314559A patent/JP2004150886A/ja active Pending
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