JP2004150188A - 建物の制震間柱 - Google Patents

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Abstract

【課題】軸力を伝達せず、水平力のみ伝達して制震機能を発揮する構成とすることは勿論、建物の剛性とバランスする曲げ剛性を簡易に設定することが可能な、施工性及び経済性に大変優れた建物の制震間柱を提供する。
【解決手段】制震間柱の制震部材は、低降伏点鋼などでウエブを形成し、普通鋼でフランジを形成した断面H形状に構成され、同制震部材の上部又は下部のいずれか一方が梁側の間柱部材に定着され、他方は、梁側の間柱部材と水平力は伝達するが軸力は伝達しないスライド構造で連結され、同連結部分に水平力を伝達する調整ボルトが設置されている。
【選択図】図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、軸力を伝達せず、水平力のみ伝達して制震機能を発揮させる鉄骨造建物、鉄筋コンクリート造建物、及び鉄骨鉄筋コンクリート造建物(以下、総称して単に建物と云う)の制震間柱の技術分野に属し、更に云えば、建物の剛性とバランスする曲げ剛性を設定(調整)することが可能な建物の制震間柱に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、建物に地震や風等の水平力が入力した際の建物震動を早期に低減する制震装置として、水平力が入力すると塑性変形して履歴エネルギーを吸収する低降伏点鋼などの履歴減衰部材を間柱に適用した建物の制震間柱が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
この建物の制震間柱は、柱と梁とが形成する架構面内にほぼ鉛直に設置して、地震や風等の水平力の入力による震動を低減する技術であり、従来のダイナミックダンパーの如き制震装置や、水平力をセンサで検知して質点系が建物の動きと逆位相になるように自動制御する制震装置などと比して、特殊な施工技術を必要としないで実施できるので、施工性及び経済性に優れている。
【0004】
しかし、制震間柱を制震装置として有効に機能させるためには、建物の長期軸力を制震間柱に伝達させないことが肝要である。制震間柱に建物の軸力が伝達されると、制震間柱の累積履歴エネルギーが低下する可能性があるからである。
【0005】
そこで、制震間柱に軸力を伝達させない構成として、制震効果(累積履歴エネルギーなど)の低下を防止する、建物の制震間柱が例えば、特許文献2などに開示されている。
【0006】
この制震間柱は、間柱とその上下の連結部とを塗装層により連結して間柱に対する上下の連結部の軸方向の保持力を低下させている。よって、当該制震間柱は、地震や風等の水平力が入力した際に制震効果を発揮するので、制震間柱の緊結等の仕上げ作業を鉄筋コンクリート躯体の構築工事とほぼ同時に効率的に進めることができる。したがって、竣工後のコンクリートの乾燥収縮やクリープ変形により制震間柱の累積履歴エネルギーが低下する虞もない。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−82201号公報
【特許文献2】
特開平11−303450号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、建物に地震や風等の水平力が入力したときの建物震動の大きさ(応答)は建物の各階層毎に異なる。よって、制震間柱に必要な水平剛性も建物の階層毎(厳密には設置位置毎)に異なるので、制震間柱は、前記建物の剛性とバランスする曲げ剛性をフレキシブルに設定(調整)できることが望ましい。
【0009】
しかし、上記特許文献2に開示された建物の制震間柱には、建物の剛性とバランスする曲げ剛性の設定については一切記載されていない。
【0010】
したがって、本発明の目的は、軸力を伝達せず、水平力のみ伝達して制震機能を発揮する構成とすることは勿論、建物の剛性とバランスする曲げ剛性を簡易に設定することが可能な、施工性及び経済性に大変優れた建物の制震間柱を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記従来技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る建物の制震間柱は、
建物の制震間柱において、
制震間柱の制震部材は、低降伏点鋼などでウエブを形成し、普通鋼でフランジを形成した断面H形状に構成され、同制震部材の上部又は下部のいずれか一方が梁側の間柱部材に定着され、他方は、梁側の間柱部材と水平力は伝達するが軸力は伝達しないスライド構造で連結され、同連結部分に水平力を伝達する調整ボルトが設置されていることを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載した発明に係る建物の制震間柱において、
調整ボルトの位置と数量を調整することにより建物の剛性とバランスする曲げ剛性が設定されていることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載した発明に係る建物の制震間柱は、
建物の制震間柱において、
制震間柱の制震部材は、低降伏点鋼などでウエブを形成し、普通鋼でフランジを形成した断面H形状に構成され、同制震部材の上部又は下部のいずれか一方が梁側の間柱部材に定着され、他方は、梁側の間柱部材と水平力は伝達するが軸力は伝達しないスライド構造で連結され、同連結部分に水平力を伝達する充填材が一定の長さ範囲に充填されていることを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項3に記載した発明に係る建物の制震間柱において、
充填材の充填長さを調整することにより建物の剛性とバランスする曲げ剛性が設定されていることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態、及び実施例】
図1〜図3は、請求項1に記載した発明に係る建物の制震間柱の実施形態を示している。
【0016】
この建物の制震間柱1は、柱2と梁3とが形成する架構面内4における上下の梁3、3の長手方向中央部にほぼ鉛直に設けられ、地震や風等の水平力の入力による震動を低減している。
【0017】
具体的に、この制震間柱1の制震部材5は、前記水平力が入力した際に塑性変形する低降伏点鋼などでウエブ5aを形成し、普通鋼でフランジ5bを形成した断面H形状に構成されている。ここで普通鋼とは、一般の建築用鋼材(SM490、SS400等)を指し、低降伏点鋼とは、前記普通鋼と比して降伏点、引っ張り強度が低い鋼材を指す。もちろん、低降伏点鋼を使用する代わりに極低降伏点鋼を用いてもほぼ同様に実施できる。即ち、前記ウエブ5aは、水平力が入力した際に塑性変形する構造設計であればよく、低降伏点鋼や極低降伏点鋼の代わりに薄肉の普通鋼を用いて実施することもできる。
【0018】
また、前記制震部材5の下部は、下梁3側の間柱部材9に定着され、その上部は、上梁3側の間柱部材6と水平力は伝達するが軸力は伝達しないスライド構造で連結されている。
【0019】
前記制震部材5の下部と下梁3側の間柱部材9との定着手段は、同制震部材5の下端に一体的に溶接接合された鋼製プレート8が、下梁3の上面に載置された間柱部材9の上面に載置され、アンボンドPC鋼棒10とナット11を利用して下梁3へ強固に定着されている。なお、制震部材5をアンボンドPC鋼棒10とナット11を利用して下梁3へ定着する技術は格別新規でなく、制震部材5を鋼製プレート8と溶接接合することなく直接、前記間柱部材9に埋め込んでスタッドボルトにより強固に定着して実施することもできる。ちなみに、図示例の間柱部材9は、プレキャストコンクリート製腰壁が使用されているがこれに限定されず、アンボンドPC鋼棒10等を一切使用しない現場打ち施工でも勿論実施できる。
【0020】
前記制震部材5の上部と上梁3側の間柱部材6とで構成するスライド構造について、前記間柱部材6は、その下端面の中央部に制震部材5の上部を十分に挿入し得る深さを有する非貫通孔(凹部)6aが設けられ、同非貫通孔6a内に制震部材5が鉛直方向に相対的にスライドできるように連結された構造とされている。この間柱部材6はコンクリートで施工され、上梁3の下面に前記アンボンドPC鋼棒10とナット11を利用して強固に定着されている。
【0021】
また、前記間柱部材6には、その非貫通孔6a内に挿入された制震部材5に対して前記スライド構造の連結部分に水平力を伝達する調整ボルト7が一定の長さ範囲Lにほぼ水平に貫通して設置されている。
【0022】
具体的に、前記間柱部材6の非貫通孔6aは、前記制震部材5の鉛直方向のスライドを許容できるように、正面方向にみて、前記制震部材5の上端部が前記非貫通孔6aの頂部に衝突しないような十分な隙間Hを確保した深さとされている(図2参照)。また、前記間柱部材6の非貫通孔6aは、前記制震部材5の水平方向の動きを拘束するように、平面方向にみて、短辺が制震部材5のフランジ5b長さとほぼ同一で、長辺が制震部材5のせいより若干長い矩形状とされている(図3参照)。また、前記調整ボルト7は、所要の高さ位置毎に複数本用いて実施され、その先端は前記制震部材5のフランジ5b、5b面に当接した状態で前記間柱部材6に強固に定着されている。
【0023】
よって、上記構成の制震間柱1は、上梁側の間柱部材6が、制震部材5の水平方向の動きをしっかり拘束し、鉛直方向のスライドを許容しているので、建物の水平力(せん断力或いは曲げ力)は伝達するが軸力は伝達しない構成を実現できるのである(以上、請求項1記載の発明)。
【0024】
なお、本実施形態に係る調整ボルト7の位置と数量は、1枚のフランジ5bに対して、所要の高さ位置毎に3本ずつ3段階に設けて計9本で実施しているが、勿論これに限定されない。当該調整ボルト7の位置及び数量は、構造設計上、建物の剛性とバランスする曲げ剛性に応じて設定する(請求項2記載の発明)。この場合、使用する調整ボルト7の一定の長さ範囲(最上段と最下段の高さの差)Lに応じて曲げ剛性は大きな影響を受けることに特に留意する。参考として、制震間柱に係る曲げモーメント図を、図8に概略的に示した。このように、La>LbのときにP1>P3、P2>P4となり、伝達できる曲げ力及びせん断力が異なるのである。
【0025】
したがって、上記構成の建物の制震間柱1によれば、地震や風等の大きな水平力が柱梁架構に入力すると、上梁3側の間柱部材6が、制震部材5の水平方向の動きをしっかり拘束しているので、当該制震間柱1の制震部材5に水平力(せん断力或いは曲げ力)が繰り返し作用する。このとき、柱梁架構の降伏耐力を越える水平力が作用する以前に、制震部材5のウエブ(低降伏点鋼)5aが塑性変形し、それにより履歴減衰作用が生じて履歴エネルギーを吸収していくので、前記柱梁架構は安定した耐力を維持することができる。
【0026】
また、前記制震間柱1は、上梁3側の間柱部材6が、制震部材5の鉛直方向のスライドを許容しているので、建物の軸力が制震間柱1に伝達されたとしても、制震部材5が間柱部材6の内部を鉛直方向に相対的にスライドするのみで、当該制震間柱1の累積履歴エネルギーが低下する虞もない。
【0027】
更に、前記制震間柱1は、調整ボルト7の位置と数量を調整して建物の剛性とバランスする曲げ剛性を自在に設定できるので、制震部材5のウエブ(低降伏点鋼)5aを最適値で塑性変形することができ、更なる安定した柱梁架構、ひいては建物を実現することができる。
【0028】
図4〜図6は、請求項1に記載した発明に係る建物の制震間柱の異なる実施形態を示している。なお、制震部材5や間柱部材9等については、図1〜図3と同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
【0029】
この建物の制震間柱12は、前記図1〜図3に基づいて説明した実施形態と比して、主に前記制震部材5の上部と上梁3側の間柱部材13とで構成するスライド構造が相違する。
【0030】
すなわち、本実施形態に係る間柱部材13は、制震部材5を挿入できる空洞部を有する断面矩形状の鋼製部材13aとプレキャストコンクリート製垂れ壁13bとから成り、前記鋼製部材13aの上端に一体的に溶接接合された鋼製プレート16が、上梁3の下面に載置されたプレキャストコンクリート製垂れ壁13bの下面に載置され、アンボンドPC鋼棒10とナット11を利用して上梁3へ強固に定着されている。そして、前記間柱部材13の鋼製部材13a内に制震部材5が鉛直方向に相対的にスライドできるように連結された構造とされている。また、前記間柱部材13の鋼製部材13aには、同鋼製部材13a内に挿入された制震部材5に対して前記スライド構造の連結部分に水平力を伝達する調整ボルト14が一定の長さ範囲Lにほぼ水平に貫通して設置されている。
【0031】
具体的に、前記間柱部材13の鋼製部材13aは、前記制震部材5の鉛直方向のスライドを許容できるように、正面方向にみて、同制震部材5の上端部が前記鋼製部材13aの上端の鋼製プレート16の下面に衝突しないような十分な隙間Hを確保した高さとされている(図5参照)。また、前記間柱部材13の鋼製部材13aは、前記制震部材5の水平方向の動きを拘束するように、平面方向にみて、短辺が制震部材5のフランジ5b長さとほぼ同一で、長辺が制震部材5のせいより若干長い矩形状とされている(図6参照)。また、前記調整ボルト14は、所要の高さ位置毎に複数本用いて実施され、その先端は前記制震部材5のフランジ5b、5b面に当接した状態で前記間柱部材6に強固に定着されている。
【0032】
よって、上記構成の制震間柱12は、上梁側の間柱部材13が、制震部材5の水平方向の動きをしっかり拘束し、鉛直方向のスライドを許容しているので、建物の水平力(せん断力或いは曲げ力)は伝達するが軸力は伝達しない構成を実現できるのである。
【0033】
なお、本実施形態に係る調整ボルト14の位置と数量は、1枚のフランジ5bに対して、所要の高さ位置毎に3本ずつ3段階に設けて計9本で実施しているが、勿論これに限定されない。当該調整ボルト14の位置と数量は、構造設計上、建物の剛性とバランスする曲げ剛性に応じて設定する(請求項2記載の発明)。この場合、使用する調整ボルト14の一定の長さ範囲(最上段と最下段の高さの差)Lに応じて曲げ剛性は大きな影響を受けることに特に留意する。参考として、制震間柱に係る曲げモーメント図を、図8に概略的に示した。このように、La>LbのときにP1>P3、P2>P4となり、伝達できる曲げ力及びせん断力が異なるのである。
【0034】
したがって、上記構成の建物の制震間柱12によれば、前記図1〜図3に基づいて説明した実施形態とほぼ同様の作用効果を奏する。すなわち、地震や風等の大きな水平力が柱梁架構に入力すると、上梁3側の間柱部材13の鋼製部材13aが、制震部材5の水平方向の動きをしっかり拘束しているので、当該制震間柱12の制震部材5に水平力(せん断力或いは曲げ力)が繰り返し作用する。このとき、柱梁架構の降伏耐力を越える水平力が作用する以前に、制震部材5のウエブ(低降伏点鋼)5aが塑性変形し、それにより履歴減衰作用が生じて履歴エネルギーを吸収していくので、前記柱梁架構は安定した耐力を維持することができる。
【0035】
また、前記制震間柱12は、上梁3側の間柱部材13の鋼製部材13aが、制震部材5の鉛直方向のスライドを許容しているので、建物の軸力が制震間柱1に伝達されたとしても、制震部材5が鋼製部材13aの内部を鉛直方向に相対的にスライドするのみで、当該制震間柱12の累積履歴エネルギーが低下する虞もない。
【0036】
更に、前記制震間柱12は、調整ボルト14の位置と数量を調整して建物の剛性とバランスする曲げ剛性を自在に設定できるので、制震部材5のウエブ(低降伏点鋼)5aを最適値で塑性変形することができ、更なる安定した柱梁架構、ひいては建物を実現することができる。
【0037】
図7は、請求項3に記載した発明に係る建物の制震間柱の実施形態を示している。なお、制震部材5や間柱部材13等については、図4〜図6と同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
【0038】
この建物の制震間柱15は、前記図4〜図6に基づいて説明した実施形態と比して、建物の剛性とバランスする曲げ剛性の調整手段のみが相違する。
【0039】
すなわち、前記間柱部材13の鋼製部材13a内に制震部材5が鉛直方向に相対的にスライドするスライド構造の連結部分に、水平力を伝達するグラウト材等の充填材17が一定の長さ範囲Lに充填されている(以上、請求項3記載の発明)。
【0040】
本実施形態に係る充填材17は、グラウト材が好適に用いられ、前記鋼製部材13aの内側面と前記制震部材5のフランジ5b、5b面との間に充填されている。当該充填材17の高さは、構造設計上、建物の剛性とバランスする曲げ剛性に応じて調整する(請求項4記載の発明)。この場合、充填材17の上端と下端の高さの差Lに応じて曲げ剛性は大きな影響を受けるのでその設定に特に留意する。また、充填材17の性質によっては制震部材5のフランジ5bに付着して同制震部材5の鉛直方向のスライドを阻害する虞があるので、必要に応じて、充填材とフランジ5b面との間にプレート19を介在させたり、同フランジ5b面の表面に潤滑剤20を塗布したりして実施することもできる。因みに、図中の符号18は、充填材17の漏れを防止するためのシール材を示している。
【0041】
したがって、上記構成の建物の制震間柱15によれば、前記図1〜図3及び図4〜図6に基づいて説明した実施形態とほぼ同様の作用効果を奏する。すなわち、地震や風等の大きな水平力が柱梁架構に入力すると、上梁3側の間柱部材13の鋼製部材13aが、制震部材5の水平方向の動きをしっかり拘束しているので、当該制震間柱1の制震部材5に水平力(せん断力或いは曲げ力)が繰り返し作用する。このとき、柱梁架構の降伏耐力を越える水平力が作用する以前に制震部材5のウエブ(低降伏点鋼)5aが塑性変形し、それにより履歴減衰作用が生じて履歴エネルギーを吸収していくので、前記柱梁架構は安定した耐力を維持することができる。
【0042】
また、前記制震間柱15は、上梁3側の間柱部材13の鋼製部材13aが、制震部材5の鉛直方向のスライドを許容しているので、建物の軸力が制震間柱12に伝達されたとしても、制震部材5が鋼製部材13aの内部を鉛直方向に相対的にスライドするのみで、当該制震間柱15の累積履歴エネルギーが低下する虞もない。
【0043】
更に、前記制震間柱15は、充填材17の長さ範囲Lを調整して建物の剛性とバランスする曲げ剛性を自在に設定できるので、制震部材5のウエブ(低降伏点鋼)5aを最適値で塑性変形することができ、更なる安定した柱梁架構、ひいては建物を実現することができるのである。
【0044】
以上に実施形態を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の実施形態の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。
【0045】
例えば、図示は省略したが、前記充填材17で曲げ剛性を調整する手段は、図1〜図3に示した制震間柱1にも勿論適用することができる(請求項3記載の発明)。また、前記制震部材の上部を上梁側の間柱部材に定着し、その下部を、下梁側の間柱部材と水平力は伝達するが軸力は伝達しないスライド構造で連結して実施することもできる。なお、この場合に、図7に係る実施形態についてはシール材18は必須ではない。
【0046】
【本発明が奏する効果】
請求項1〜4に記載した建物の制震間柱によれば、下記する効果を奏する。
1)地震や風等の大きな水平力が柱梁架構に入力すると、上梁側の間柱部材の鋼製部材が、制震部材の水平方向の動きをしっかり拘束しているので、当該制震間柱の制震部材に水平力(せん断力或いは曲げ力)が繰り返し作用する。このとき、柱梁架構の降伏耐力を越える水平力が作用する以前に、制震部材のウエブ(低降伏点鋼)が塑性変形し、それにより履歴減衰作用が生じて履歴エネルギーを吸収していくので、前記柱梁架構は安定した耐力を維持することができる。
2)制震間柱は、間柱部材が、制震部材の鉛直方向のスライドを許容しているので、建物の軸力が制震間柱に伝達されたとしても、制震部材が鋼製部材の内部を鉛直方向に相対的にスライドするのみで、当該制震間柱の累積履歴エネルギーが低下する虞もない。
3)制震間柱は、調整ボルトの位置と数量又は充填材の充填長さ範囲を調整して建物の剛性とバランスする曲げ剛性を自在に設定できるので、制震部材のウエブ(低降伏点鋼)を最適値で塑性変形することができ、更なる安定した柱梁架構、ひいては建物を実現することができるのである
4)その他、制震間柱は、上下の梁の間に、制震部材及び間柱部材を直列に連結した簡便な構造なので、設置作業に特殊の技術を必要とせず、しかも設置作業に手間や時間がかからないので、工期の短縮を図りつつ経済性に優れた建物を提供することができる。また、制震間柱は、既存の建物の柱梁架構内に設置して実施することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1に係る建物の制震間柱の実施形態を示す立面図である。
【図2】図1の部分拡大図である。
【図3】図2の平面図である。
【図4】請求項1に係る建物の制震間柱の異なる実施形態を示す立面図である。
【図5】図4の部分拡大図である。
【図6】図5の平面図である。
【図7】請求項2に係る建物の制震間柱の実施形態を示す立面図である。
【図8】制震間柱にかかる曲げモーメント図を概略的に示している。
【符号の説明】
1、12、15 制震間柱
2 柱
3 梁
4 柱梁架構面
5 制震部材
5a ウエブ
5b フランジ
6、9、13 間柱部材
6a 非貫通孔
7、14 調整ボルト
8、16 鋼製プレート
10 アンボンドPC鋼棒
11 ナット
13a 鋼製部材
13b プレキャストコンクリート製垂れ壁
17 充填材
18 シール材
19 プレート
20 潤滑剤

Claims (4)

  1. 建物の制震間柱において、
    制震間柱の制震部材は、低降伏点鋼などでウエブを形成し、普通鋼でフランジを形成した断面H形状に構成され、同制震部材の上部又は下部のいずれか一方が梁側の間柱部材に定着され、他方は、梁側の間柱部材と水平力は伝達するが軸力は伝達しないスライド構造で連結され、同連結部分に水平力を伝達する調整ボルトが設置されていることを特徴とする、建物の制震間柱。
  2. 調整ボルトの位置と数量を調整することにより建物の剛性とバランスする曲げ剛性が設定されていることを特徴とする、請求項1に記載した建物の制震間柱。
  3. 建物の制震間柱において、
    制震間柱の制震部材は、低降伏点鋼などでウエブを形成し、普通鋼でフランジを形成した断面H形状に構成され、同制震部材の上部又は下部のいずれか一方が梁側の間柱部材に定着され、他方は、梁側の間柱部材と水平力は伝達するが軸力は伝達しないスライド構造で連結され、同連結部分に水平力を伝達する充填材が一定の長さ範囲に充填されていることを特徴とする、建物の制震間柱。
  4. 充填材の充填長さを調整することにより建物の剛性とバランスする曲げ剛性が設定されていることを特徴とする、請求項3に記載した建物の制震間柱。
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JP2006161846A (ja) * 2004-12-02 2006-06-22 Nippon Steel Corp 制振パネル
JP2007211474A (ja) * 2006-02-09 2007-08-23 Takenaka Komuten Co Ltd 建物の制震間柱およびその施工法
JP2010043415A (ja) * 2008-08-11 2010-02-25 Yahagi Construction Co Ltd 制震デバイス
KR101403660B1 (ko) * 2012-04-24 2014-06-11 현대건설주식회사 내진성능 향상을 위한 건축 구조물

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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