JP4314130B2 - 建物の間柱構造 - Google Patents

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この発明は、鉄骨造建物、鉄筋コンクリート造建物、及び鉄骨鉄筋コンクリート造建物(以下、総称して単に建物と云う)の間柱であって、軸力を伝達せず、水平力のみ伝達して、主として耐震機能を発揮させる構造の技術分野に属し、更に云えば、建物の剛性とバランスする曲げ剛性を設定(調整)することが可能な建物の間柱構造に関する。
従来、建物に地震や風等の水平力が入力した際の建物震動を早期に低減して建物の耐震性を向上させる耐震技術として、水平力が入力すると塑性変形して履歴エネルギーを吸収する低降伏点鋼などの履歴減衰部材を間柱に適用した建物の間柱構造が知られている(例えば、特許文献1)。前記間柱は、ブレース材や耐震壁などと比して、柱梁架構面内の開口部の自由度を損なうことなく水平剛性・耐力を確保できる利点があり、近年、その需要が高まっている。
前記特許文献1に開示された建物の間柱構造は、柱と梁とが形成する架構面内にほぼ鉛直に設置して、地震や風等の水平力の入力による震動を低減して耐震性を向上させる技術であり、従来のダイナミックダンパーの如き制震装置や、水平力をセンサで検知して質点系が建物の動きと逆位相になるように自動制御する制震装置などと比して、特殊な施工技術を必要としないで実施できるので、施工性及び経済性に優れている。
しかし、前記間柱を耐震(制震)要素として有効に機能させるためには、建物の長期軸力を当該間柱に伝達させないことが肝要である。前記間柱に建物の軸力が伝達されると、当該間柱の累積履歴エネルギーが低下する虞があること、及び前記間柱の曲げ耐力が低減し、必要とする水平耐力が確保されない可能性があるからである。また、前記間柱に建物の軸力が伝達されると、図16に示したように、当該間柱aが鉛直方向に連続して設置されていない高層建物の場合には、間柱a自体の軸力が、ある階層の梁2aに集中し、当該梁2aの剛性および耐力を大きく設計しなければならないという不都合もある。ちなみに図16の符号1は柱を示し、符号2は梁を示している。
そこで、間柱に建物の軸力を伝達させない構成として、制震効果(累積履歴エネルギーなど)の低下を防止する建物の制震間柱が、例えば特許文献2などに開示されている。
前記特許文献2に開示された建物の制震間柱は、間柱とその上下の連結部とを塗装層により連結して間柱に対する上下の連結部の軸方向の保持力を低下させている。よって、当該制震間柱は、地震や風等の水平力が入力した際に制震効果を発揮するので、制震間柱の緊結等の仕上げ作業を鉄筋コンクリート躯体の構築工事とほぼ同時に効率的に進めることができる。したがって、竣工後のコンクリートの乾燥収縮やクリープ変形により制震間柱の累積履歴エネルギーが低下する虞もない。
特開平10−82201号公報 特開平11−303450号公報
ところで、建物に地震や風等の水平力が入力したときの建物震動の大きさ(応答)は建物の各階層毎に異なる。よって、建物の間柱構造に必要な水平剛性も建物の階層毎(厳密には設置位置毎)に異なる。したがって、建物の間柱構造は、前記建物の剛性とバランスする曲げ剛性をフレキシブルに設定(調整)できることが望ましい。
しかし、上記特許文献2に開示された建物の制震間柱には、建物の剛性とバランスする曲げ剛性の設定については一切記載されていない。
したがって、本発明の目的は、軸力を伝達せず、水平力のみ伝達することにより、建物震動を早期に低減して建物の耐震性を向上させることは勿論、建物の剛性とバランスする曲げ剛性を簡易に設定することが可能な、施工性及び経済性に大変優れた建物の間柱構造を提供することにある。
上記従来技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る建物の間柱構造は、例えば、図1〜図3に示したように、
間柱部材4が鋼材で形成されており、同間柱部材4の上部又は下部のいずれか一方が梁2へ接合され、他方は前記梁2と反対側の梁2へ水平力は伝達するが軸力は伝達しないスライド構造5で連結され、同連結部分に水平力を伝達する調整ボルト6が水平方向に貫通して設置されて前記間柱部材4の外側面に当接していること、
柱梁架構の降伏耐力を超える水平力が作用する以前に、前記間柱部材4が塑性変形するように、前記調整ボルト6の設置位置と数量が調整されていることを特徴とする。
請求項に記載した発明は、請求項1に記載した建物の間柱構造において、間柱部材4の上部又は下部は、鋼材、プレキャストコンクリート製腰壁、又はプレキャストコンクリート製垂れ壁などの取付部材7を介して梁へ接合されていることを特徴とする。
請求項に記載した発明は、請求項1又は2に記載した建物の間柱構造において、スライド構造5(15)が、鋼材、プレキャストコンクリート製腰壁、又はプレキャストコンクリート製垂れ壁などの取付部材7を介して梁へ接合されていることを特徴とする。
請求項に記載した発明は、請求項1〜のいずれか一に記載した建物の間柱構造において、間柱部材4は、低降伏点鋼、普通鋼、高張力鋼などの鋼材から成る角形鋼管4、又はウエブ部とフランジ部を低降伏点鋼、普通鋼、高張力鋼などの鋼材を任意に組み合わせて構成されたH形鋼(図7参照)、ダブルH形鋼(図9参照)、若しくはクロスH形鋼(図13参照)で形成されていることを特徴とする。
請求項1〜に記載した建物の間柱構造は、下記する効果を奏する。
1)地震や風等の大きな水平力が柱梁架構に入力すると、スライド構造5が間柱部材4の水平方向の動きをしっかり拘束しているので、当該間柱部材4に水平力(せん断力或いは曲げ力)は確実に伝達される。よって、柱梁架構の降伏耐力を超える水平力が作用する以前に前記間柱部材4が塑性変形し、それにより履歴エネルギーを吸収する履歴減衰作用が生じるので、前記柱梁架構は安定した耐力を維持することができる。
2)スライド構造5が、間柱部材4の鉛直方向のスライドを許容しているので、上階の軸力が間柱部材4に伝達されたとしても、間柱部材4は、スライド構造5の内部を鉛直方向に相対的にスライドするだけなので、間柱部材4の曲げ耐力が低下する虞もなく、当該間柱部材4の累積履歴エネルギーが低下する虞もない。
3)調整ボルト6の設置位置と数量を調整して建物の剛性とバランスする曲げ剛性を自在に設定できるので、間柱部材4を最適値で塑性変形させることができ、或いは間柱部材4の材端部で曲げ降伏させることができ、更なる安定した柱梁架構、ひいては建物を実現することができるのである。
4)間柱部材4が鉛直方向に連続していない高層建物の場合でも、間柱部材4の軸力が直下の梁2に伝達されることはないため、間柱部材4を支持する梁2の剛性および耐力を大きく設計する必要がなく、経済的である。
5)上下の梁2の間に間柱部材4とスライド構造5を直列に連結した簡便な構造なので、設置作業に特殊な技術を必要としない。しかも設置作業に手間や時間がかからないので、工期の短縮を図りつつ経済性に優れた施工を実現できる。また、既存の建物の柱梁架構面3内に設置して実施することもできる。
請求項1〜に記載した建物の間柱構造10(20)は、柱1と梁2とが形成する架構面3内における上下の梁2、2の長手方向中央部にほぼ鉛直に設けられ、地震や風等の水平力の入力による震動を低減して耐震性を向上させるべく、以下のように実施される。
図1〜図3は、請求項1に記載した発明に係る建物の間柱構造10の実施例を示している。
この建物の間柱構造10の主な構成要素である間柱部材4は鋼材で形成されており、同間柱部材4の上部又は下部のいずれか一方が梁2へ接合され、他方は前記梁2と反対側の梁2へ水平力は伝達するが軸力は伝達しないスライド構造5で連結され、同連結部分に水平力を伝達する調整ボルト6が水平方向に貫通して設置されて前記間柱部材4の外側面に当接している。また、柱梁架構の降伏耐力を超える水平力が作用する以前に、前記間柱部材4が塑性変形するように、前記調整ボルト6の設置位置と数量が調整されている(請求項1記載の発明)。
前記間柱部材4(鋼材)は、本実施例では、普通鋼から成る中空の角形鋼管で形成されている(請求項記載の発明)。ここで、普通鋼とは一般の建築用鋼材(SM490、SS400等)を指す。
なお、前記間柱部材4(鋼材)は、前記普通鋼から成る中空の角形鋼管に限定されず、構造設計上、柱梁架構の降伏耐力を超える水平力が作用する以前に、当該間柱部材4における調整ボルト6により拘束される部位が塑性変形するように形成することを条件として、後述するような種々の形状・強度を有するバリエーションに富む鋼材で実施可能である。
本実施例に係る前記間柱部材4の上部は、上梁2へ直接接合して実施されている。一方、前記間柱部材4の下部は前記スライド構造5で連結され、同スライド構造5は取付部材(鋼材)7を介して下梁2へ接合して実施されている(請求項記載の発明)。
なお、前記取付部材(鋼材)7は、施工性、経済性を考慮して、前記間柱部材4と同様の普通鋼から成る角形鋼管で実施されているが、勿論これに限定されない。H形鋼やプレキャストコンクリート製腰壁(図14の符号7a参照)などでもほぼ同様に実施できる(請求項記載の発明)。図5に示したように、前記取付部材7を使用しないで、スライド構造5を下梁2に直接接合して実施することもできる。また、前記間柱部材4の上部は、上梁2へ直接接合して実施しているがこれに限定されず、プレキャストコンクリート製垂れ壁(図14の符号7b参照)などの取付部材7を介して上梁2に接合して実施することもできる(請求項記載の発明)。ちなみに、図14の符号12は、アンボンドPC鋼棒を示しており、符号13はナットを示しており、符号16は鋼製プレートを示している。以下の実施例についても同様の技術的思想とする。
前記スライド構造5は、前記間柱部材4の下部を十分に挿入し得る深さを有する上面が開口した鋼製ボックスで実施され、同鋼製ボックス内で前記間柱部材4が鉛直方向に相対的にスライド可能な構造とされている。このスライド構造の左右側面には、調整ボルト6をねじ込み可能なボルト孔が所要の数(図示例では42個)設けられ、同ボルト孔に水平力を伝達する調整ボルト6が一定の長さ(高さ)範囲L1にほぼ水平にねじ込まれている。ちなみに、本実施例では、前記スライド構造5(鋼製ボックス)の下端面と前記取付部材(鋼材)7の上端面とは溶接等の接合手段で強固に定着されている。
また、前記スライド構造5は、前記間柱部材4の鉛直方向のスライドを許容できるように、正面方向にみて、前記間柱部材4の下端部が当該スライド構造5の底面部に衝突しないような隙間Hを確保して構成されている。また、前記スライド構造5は、前記間柱部材4の水平方向の動きを拘束するように、平面方向にみて、その短辺方向の内径が間柱部材4の外径とほぼ一致してきっちり嵌め込み可能な長さとされ、その長辺方向の内径が間柱部材4の外径より若干長い長さとされた矩形状で実施されている(図3参照)。また、前記調整ボルト6は、所要の高さ位置毎に複数本ずつ用いて実施され、その先端は前記間柱部材4の外側面に当接した状態で定着されている。
よって、上記構成の建物の間柱構造10は、下梁2側の取付部材(鋼材)7に固定されたスライド構造5が、前記上梁2側の間柱部材4の水平方向の動きをしっかり拘束すると共に鉛直方向のスライドを許容しているので、建物の水平力(せん断力或いは曲げ力)は伝達するが軸力は伝達しない構成を実現できるのである。
したがって、地震や風等の大きな水平力が柱梁架構に入力すると、下梁2側のスライド構造5と調整ボルト6が、上梁2側の間柱部材4の水平方向の動きをしっかり拘束しているので、当該間柱部材4に水平力(せん断力或いは曲げ力)が繰り返し作用する。このとき、柱梁架構の降伏耐力を超える水平力が作用する以前に、間柱部材4における調整ボルト6により拘束される部位が塑性変形し、それにより履歴エネルギーを吸収する履歴減衰作用が生じるので、前記柱梁架構は安定した耐力を維持することができる。
下梁2側のスライド構造5が、上梁2側の間柱部材4の鉛直方向のスライドを許容しているので、上階の軸力が間柱部材4に伝達されたとしても、前記間柱部材4は、スライド構造5の内部を鉛直方向に相対的にスライドするだけなので、間柱部材4の曲げ耐力が低下する虞もなく、当該間柱部材4の累積履歴エネルギーが低下する虞もない。
前記間柱部材4は、調整ボルト6の設置位置と数量を調整して建物の剛性とバランスする曲げ剛性を自在に設定できるので、間柱部材4における調整ボルト6により拘束される部位を最適値で塑性変形させることができ、更なる安定した柱梁架構、ひいては建物を実現することができる。また、前記間柱部材4が鉛直方向に連続していない高層建物の場合でも、間柱部材4の軸力が直下の梁2に伝達されることはないため、間柱部材4を支持する梁2の剛性および耐力を大きく設計する必要がなく、経済的である。さらには、上下の梁2の間に間柱部材4とスライド構造5を直列に連結した簡便な構造なので、設置作業に特殊な技術を必要としない。しかも設置作業に手間や時間がかからないので、工期の短縮を図りつつ経済性に優れた施工を実現できる。既存の建物の柱梁架構面3内に設置して実施することもできる。
なお、本実施形態に係る調整ボルト6の設置位置と数量は、前記間柱部材4の左右の側面にそれぞれ、所要の高さ位置毎に3本ずつ7段に設け、計42本で実施しているが、勿論これに限定されない。当該調整ボルト6の設置位置及び数量は、構造設計上、柱梁架構の降伏耐力を超える水平力が作用する以前に、前記間柱部材4が塑性変形するように調整されている。この場合、使用する調整ボルト6の一定の長さ範囲(最上段と最下段の高さの差)L1、L2に応じて曲げ剛性は大きな影響を受けることに特に留意する。参考として、前記間柱部材4に係る曲げモーメント図を、図4A、Bに概略的に示す。このように、L1(7段)とL2(4段)とを対比すると、P1>P3、P2>P4となり、伝達できる曲げ力及びせん断力が異なるのである。以下の実施例についても同様の技術的思想とする。
また、本実施形態に係るスライド構造5を設ける高さ位置は、図示例では、上梁2と下梁2との間の中央より若干下側で実施しているが、勿論これに限定されない。入力する水平力の大きさ、間柱部材4の剛性などを考慮して、適宜、構造設計変更可能である。例えば、前記スライド構造5を図2より低い位置(図5参照)で実施すれば、図4中の符号P1、P3は大きくなり、図2より高い位置で実施すれば、符号P1、P3は小さくなる。以下の実施例についても同様の技術的思想とする。
さらに、図示は省略するが、前記間柱部材4とスライド構造5の位置関係を上下逆、即ち、前記間柱部材4の下部を下梁2へ直接接合し、前記間柱部材4の上部を上梁2へ水平力は伝達するが軸力は伝達しないスライド構造5で連結し、同スライド構造5を、前記取付部材(鋼材)7を介して上梁2へ接合して実施しても、ほぼ同様の作用効果を期待できる。以下の実施例についても同様の技術的思想とする。
図6と図7は、請求項1に記載した発明に係る建物の間柱構造10の異なる実施例を示している。
この実施例2は、上記実施例1と比して、主に間柱部材14の構造が相違する。即ち、上記実施例1に係る間柱部材4は、普通鋼から成る中空の角形鋼管で実施されているのに対し、本実施例2に係る間柱部材14は、水平力が入力した際に塑性変形する低降伏点鋼などでウエブ14aを形成し、普通鋼でフランジ14bを形成した所謂H形鋼で実施されている。
前記低降伏点鋼とは、前記普通鋼と比して降伏点、引っ張り強度が低い鋼材を指す。もちろん、低降伏点鋼を使用する代わりに極低降伏点鋼を用いてもほぼ同様に実施できる。即ち、前記ウエブ14aは、柱梁架構の降伏耐力を超える水平力が作用する以前に塑性変形する構造設計であればよく、低降伏点鋼や極低降伏点鋼の代わりに薄肉の普通鋼を用いて実施することもできる(以上、請求項記載の発明)。
したがって、上記構成の建物の間柱構造10によれば、前記図1〜図3に基づいて説明した実施例1とほぼ同様の作用効果を奏する。すなわち、地震や風等の大きな水平力が柱梁架構に入力すると、下梁2側のスライド構造5と調整ボルト6が、上梁2側の間柱部材14の水平方向の動きをしっかり拘束しているので、当該間柱部材14に水平力(せん断力或いは曲げ力)が繰り返し作用する。このとき、柱梁架構の降伏耐力を超える水平力が作用する以前に、間柱部材14のウエブ(低降伏点鋼)14aが塑性変形し、それにより履歴エネルギーを吸収する履歴減衰作用が生じるので、前記柱梁架構は安定した耐力を維持することができる。
下梁2側のスライド構造5が、上梁2側の間柱部材14の鉛直方向のスライドを許容しているので、上階の軸力が間柱部材14に伝達されたとしても、前記間柱部材14がスライド構造5の内部を鉛直方向に相対的にスライドするだけなので、間柱部材14の曲げ耐力が低下する虞もなく、当該間柱部材14の累積履歴エネルギーが低下する虞もない。
前記間柱部材14は、調整ボルト6の設置位置と数量を調整して柱梁架構の降伏耐力を超える水平力が作用する以前に、前記間柱部材4が塑性変形するように設定できるので、間柱部材14のウエブ(低降伏点鋼)14aにおける調整ボルト6により拘束される部位を最適値で塑性変形させることができ、更なる安定した柱梁架構、ひいては建物を実現することができる。また、前記間柱部材14が鉛直方向に連続していない高層建物の場合でも、間柱部材14の軸力が直下の梁2に伝達されることはないため、間柱部材14を支持する梁2の剛性および耐力を大きく設計する必要がなく、経済的である。さらには、上下の梁2の間に間柱部材14とスライド構造5を直列に連結した簡便な構造なので、設置作業に特殊な技術を必要としない。しかも設置作業に手間や時間がかからないので、工期の短縮を図りつつ経済性に優れた施工を実現できる。既存の建物の柱梁架構面3内に設置して実施することもできる。
図8と図9は、請求項1に記載した発明に係る建物の間柱構造10の異なる実施例を示している。
この実施例3は、上記実施例1及び実施例2と比して、主に間柱部材24の構造が相違する。即ち、この実施例3に係る間柱部材24は、前記水平力が入力した際に塑性変形する低降伏点鋼などでウエブ24aを並行に2本形成し、普通鋼でフランジ24bを形成した所謂ダブルH形鋼で実施されている。前記ウエブ24a、24aは、当該間柱部材24における調整ボルト6により拘束される部位が、柱梁架構の降伏耐力を超える水平力が作用する以前に塑性変形する構造設計であればよく、低降伏点鋼や極低降伏点鋼の代わりに薄肉の普通鋼を用いて実施できることは上述した通りである(請求項記載の発明)。したがって、この実施例3に係る建物の間柱構造10によれば、上記実施例2とほぼ同様の作用効果を奏する(段落番号[0035]〜[0037]参照)。
図10と図11は、請求項1に記載した発明に係る建物の間柱構造10の異なる実施例を示している。
この実施例4は、上記実施例1〜実施例3と比して、主に、間柱部材34の構造が相違するほか、調整ボルト6の設置方向が相違する。
この実施例4に係る間柱部材34は、断面がほぼ正方形状の普通鋼の角形鋼管で実施されている(請求項記載の発明)。スライド構造5は、前記間柱部材34を挿入可能な相似形状で実施されている。このスライド構造5の四方の側面には、前記調整ボルト6をねじ込み可能なボルト孔が所要の数(図示例では一側面21個の計84個)設けられ、同ボルト孔に水平力を伝達する調整ボルト6が一定の長さ(高さ)範囲L1にほぼ水平にねじ込まれている。前記調整ボルト6の先端は前記間柱部材34の四方の側面に当接した状態で強固に定着されている。
したがって、この実施例4に係る建物の間柱構造10によれば、上記実施例1とほぼ同様の作用効果を奏することに加え(段落番号[0026]〜[0028]参照)、前記間柱部材34が、直角2方向の水平力に対して塑性変形できる点が構造的に優れている。これは、前記調整ボルト6を設置する方向を考慮しないで前記間柱部材34の設置作業を行い得るので施工性においても優れていると云える。
図12と図13は、前記実施例4に係る間柱部材34が、直角2方向の水平力に対して塑性変形できるバリエーションを示している。図示例の間柱部材44は、前記水平力が入力した際に塑性変形する低降伏点鋼などでウエブ44aを形成し、普通鋼でフランジ44bを形成した所謂H形鋼をクロスさせた形状(所謂クロスH形鋼)で実施されている(請求項記載の発明)。したがって、この実施例5に係る建物の間柱構造10によれば、上記実施例4とほぼ同様の作用効果を奏するのである(段落番号[0043]参照)。
以上に実施例1〜を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の実施形態の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。
例えば、前記スライド構造5の側面の上端部を取り囲むように補強リブを設けて実施することもできる。
また、前記スライド構造5の構成は、上面部を開口した鋼製ボックスに限定されない。図15に示したように、下梁2にアンボンドPC鋼棒12とナット13により定着したプレキャストコンクリート製腰壁7aの上面中央部に間柱部材4(又は14等)の下部を十分に挿入し得る深さを有する非貫通孔17(凹部)を設け、当該非貫通孔17をスライド構造として実施することもできる。
請求項1に係る建物の間柱構造の実施例を概略的に示した立面図である。 請求項1に係る建物の間柱構造の実施例1を示した立面図である。 図2の建物の間柱構造を示した断面図である。 A、Bはそれぞれ、調整ボルトの長さ範囲に応じた間柱部材の曲げモーメント図を示している。 請求項1に係る建物の間柱構造の実施例1のバリエーションを示した立面図である。 請求項1に係る建物の間柱構造の実施例2を示した立面図である。 図6の建物の間柱構造を示した断面図である。 請求項1に係る建物の間柱構造の実施例3を示した立面図である。 図8の建物の間柱構造を示した断面図である。 請求項1に係る建物の間柱構造の実施例4を示した立面図である。 図10の建物の間柱構造を示した断面図である。 請求項1に係る建物の間柱構造の実施例5を示した立面図である。 図12の建物の間柱構造を示した断面図である。 請求項1に係る建物の間柱構造の異なる実施例を示した立面図である。 請求項1に係る建物の間柱構造の異なる実施例を示した立面図である。 従来技術を示した立面図である。
1 柱
2 梁
3 柱梁架構面
4、14、24、34、44 間柱部材
スライド構造
6 調整ボルト
7 取付部材
10 間柱構造
11 補強リブ
12 アンボンドPC鋼棒
13 ナット
16 鋼製プレート
17 非貫通孔

Claims (4)

  1. 間柱部材が鋼材で形成されており、同間柱部材の上部又は下部のいずれか一方が梁へ接合され、他方は前記梁と反対側の梁へ水平力は伝達するが軸力は伝達しないスライド構造で連結され、同連結部分に水平力を伝達する調整ボルトが水平方向に貫通して設置されて前記間柱部材の外側面に当接していること、
    柱梁架構の降伏耐力を超える水平力が作用する以前に、前記間柱部材が塑性変形するように、前記調整ボルトの設置位置と数量が調整されていることを特徴とする、建物の間柱構造。
  2. 間柱部材の上部又は下部は、鋼材、プレキャストコンクリート製腰壁、又はプレキャストコンクリート製垂れ壁などの取付部材を介して梁へ接合されていることを特徴とする、請求項1に記載した建物の間柱構造。
  3. スライド構造が、鋼材、プレキャストコンクリート製腰壁、又はプレキャストコンクリート製垂れ壁などの取付部材を介して梁へ接合されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載した建物の間柱構造。
  4. 間柱部材は、低降伏点鋼、普通鋼、高張力鋼などの鋼材から成る角形鋼管、又はウエブ部とフランジ部を低降伏点鋼、普通鋼、高張力鋼などの鋼材を任意に組み合わせて構成されたH形鋼、ダブルH形鋼、若しくはクロスH形鋼で形成されていることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一に記載した建物の間柱構造。
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