JP4771162B2 - 鉄骨柱と鉄骨梁との接合構造 - Google Patents

鉄骨柱と鉄骨梁との接合構造 Download PDF

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Description

本発明は鉄骨造建物に係わり、鉄骨梁を鉄骨柱に対してダンパー機能を有するブラケットを介して接合するための構造に関する。
周知のように、一般に鉄骨造の建物では梁降伏先行形となるように設計が行われ、梁端部での塑性変形によるエネルギー吸収能力が要求されることから、たとえば特許文献1に示されるように梁端部に塑性ヒンジを形成するためのブラケットを介して梁と柱とを接合することが行われる。
また、たとえば特許文献2には、梁としてのH形鋼の端部のウェブ自体をせん断降伏させることでエネルギー吸収効果を得る構造が提案されている。
特開平11−140978号公報 特開2005−330679号公報
しかし、特許文献1に示されるものは単に梁と同断面のブラケットを介して梁を柱に対して接合するものであるので、ブラケットによるエネルギー吸収効果を必ずしも充分に得られない場合がある。
また、最近の設計手法ではより高強度化の鋼材を使用する傾向にあるが、そのような高強度の鋼材では塑性変形能力は逆に低下するので、特許文献2に示されるように梁自体を塑性変形させるという設計手法は採用し難いものである。
上記事情に鑑み、本発明は、梁端部におけるエネルギー吸収能力を充分に確保し得る有効適切な接合構造を提供することを目的としている。
請求項1記載の発明は、鉄骨梁を鉄骨柱に対してダンパー機能を有するブラケットを介して接合するための構造であって、前記鉄骨梁はフランジを有するとともに、前記ブラケットは鉄骨柱に固定した上下のフランジとそれらフランジの間に設けた鋼板からなるシヤパネルを有してなり、該ブラケット全体の曲げ剛性および曲げ耐力を鉄骨梁よりも大きく設定するとともに、該ブラケット全体のせん断耐力は前記シヤパネルを鉄骨梁に先行させてせん断降伏させるように設定し、該ブラケットの基部および先端部の2箇所に対して前記鉄骨梁をせん断力を伝達可能な状態でそれぞれピン接合するとともに、それら2箇所のピン接合箇所のうち少なくとも1箇所は双方のフランジどうしのボルト締結によるピン接合とすることによって、前記鉄骨梁を前記ブラケットを介して前記鉄骨柱に対して構造力学的に剛接合するとともに、該鉄骨梁の前記ブラケットに対するシヤパネル面内方向の相対回転を許容せしめてなることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の鉄骨柱と鉄骨梁との接合構造であって、鉄骨梁は対のチャンネル形鋼からなり、それらチャンネル形鋼の先端部をブラケットの構成要素であるシヤパネルに両面側に綴りボルトによって連結するとともに、各チャンネル形鋼のフランジと前記ブラケットのフランジどうしをそれぞれ2箇所においてピン接合することによって前記鉄骨梁を前記ブラケットに対して剛接合してなることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の鉄骨柱と鉄骨梁との接合構造であって、鉄骨梁はH形鋼からなる本体部とその先端部に接合端部として一体にボルト締結された対のチャンネル形鋼からなり、前記接合端部としてのチャンネル形鋼の先端部をブラケットの構成要素であるシヤパネルに両面側に綴りボルトによって連結するとともに、各チャンネル形鋼のフランジと前記ブラケットのフランジどうしをそれぞれ2箇所においてピン接合することによって、前記鉄骨梁の本体部としてのH形鋼を該鉄骨梁の接合端部としての前記チャンネル形鋼を介して前記ブラケットに対して剛接合してなることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1記載の鉄骨柱と鉄骨梁との接合構造であって、鉄骨梁はH形鋼からなるとともに、ブラケットは鉄骨梁の両側に配置される対のシヤパネルを有してなり、鉄骨梁としてのH形鋼の先端部におけるフランジをブラケットの基端部におけるフランジに対してボルト締結することによりピン接合するとともに、該H形鋼の側部に溶接した縦リブに対して前記シヤパネルの先端部をボルト締結によりピン接合してなることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、鉄骨梁を鉄骨柱に対してダンパー機能を有するブラケットおよび該ブラケットと鉄骨梁とを接合する中間材を介して接合するための構造であって、前記鉄骨梁はフランジを有するとともに、前記ブラケットは鉄骨柱に固定した上下のフランジとそれらフランジの間に設けた鋼板からなるシヤパネルを有してなり、前記ブラケットの曲げ剛性および曲げ耐力を前記鉄骨梁および前記中間材よりも大きく設定するとともに、該ブラケットのせん断耐力は前記シヤパネルを前記鉄骨梁および前記中間材に先行させてせん断降伏させるように設定し、該ブラケットの基部および先端部の2箇所に対して前記中間材の先端部をせん断力を伝達可能な状態でそれぞれピン接合するとともに、該中間材の基部の2箇所に対して前記鉄骨梁の先端部をせん断力を伝達可能な状態でそれぞれピン接合し、かつ、それら2箇所ずつのピン接合箇所のうち少なくとも1箇所ずつは双方のフランジどうしのボルト締結によるピン接合とすることによって、前記鉄骨梁を前記中間材および前記ブラケットを介して前記鉄骨柱に対して構造力学的に剛接合してなることを特徴とする。
本発明によれば、鉄骨梁に作用するせん断力が「てこの原理」により拡大されてブラケットに作用してシヤパネルをせん断降伏させ、それによってシヤパネルにダンパー機能を発揮させて優れたエネルギー吸収効果が得られる。また、大地震時においても鉄骨柱および鉄骨梁による主架構自体は塑性変形せずに弾性を維持するので主架構の損傷が生じることはないし、シヤパネルがせん断降伏した後も鉄骨梁が鉄骨柱に対して単純支持された状態となって鉄骨梁の荷重支持能力は失われないから、自ずとフェイルセーフ機構を構成したものとなる。
まず、本発明の基本構造と基本原理について図1を参照して説明する。
図1に模式的に示すように、本発明では鉄骨柱1に対して鉄骨梁2をブラケット3を介して接合するものであるが、その前提として鉄骨柱1および鉄骨梁2はいずれも大地震時にも降伏せずに弾性を維持するものとする。
ブラケット3はせん断降伏により履歴ダンパーとして機能するシヤパネル5(詳細後述)を有するものであって、そのブラケット3全体の曲げ剛性および曲げ耐力は鉄骨梁2よりも大きく設定されているが、ブラケット3全体のせん断耐力はシヤパネル5が鉄骨梁2に先行してせん断降伏するように設定されている。
そして、ブラケット3の基部および先端部の2箇所において鉄骨梁2の端部がそれぞれ実質的にピン接合されるとともに、それらのピン接合は双方のフランジどうし(図1では下フランジどうし)をボルト締結することでなされており、それにより鉄骨柱1に対する鉄骨梁2の接合形態は構造力学的に剛接合とされ、かつ、各ピン接合箇所においては鉄骨柱1やブラケット3に対する鉄骨梁2のシヤパネル面内方向の相対回転が許容されている。
このような接合構造によれば、鉄骨梁2の中央部でのせん断力をQ,ブラケット3の長さ(鉄骨柱1からの突出寸法)Lとすると、ブラケット3の端部に生じる剪断力
=(M/L)+Q
となって鉄骨梁2の中央部での剪断力Qよりも数倍も大きなものとなる(長期応力の影響は一般に小さいから、ここでは無視する)。
つまり、この接合構造は接合箇所を前後に間隔をおいて2箇所のみに設定していることからいわゆる「てこの原理」を利用した「せん断力拡大伝達機構」となっていて、鉄骨梁2に作用するせん断力を拡大してブラケット3に伝達させることによりシヤパネル5をせん断降伏させ、それによってシヤパネル5にダンパー機能を発揮させてエネルギー吸収効果を得るものである。
したがって本発明の接合構造によれば、単に鉄骨梁2のせん断力をそのまま(拡大することなく)ブラケット3に伝達して降伏させる従来一般の場合に比べて格段にエネルギー吸収能力を高めることが可能である。
なお、この場合、ブラケット3の負担せん断力にブラケット3の長さLを乗じることで見かけ上の梁端モーメントが決定され、その梁端モーメントMはシヤパネル5のせん断降伏により頭打ちとなるから、鉄骨梁2が弾性を維持しても梁端に塑性ヒンジが生じたのと同じ応力状態となる。
そして、この接合構造では大地震時においても鉄骨柱1および鉄骨梁2による主架構自体は塑性変形せずに弾性を維持するので主架構の損傷が生じることはないし、シヤパネルがせん断降伏した後も鉄骨梁2が鉄骨柱1に対して単純支持された状態となって鉄骨梁2の荷重支持能力は失われないから自ずとフェイルセーフ機構を構成したものとなる。
以上の原理による本発明の接合構造の具体的な実施形態を以下に示す。
「第1実施形態」
図2〜図4に示す第1実施形態は、角形鋼管からなる鉄骨柱1に対して対のチャンネル形鋼からなる鉄骨梁2をブラケット3を介して接合するようにしたものである。
本第1実施形態におけるブラケット3は、上下のフランジ4と、それら上下のフランジ4間にウェブの形態で設けられた低降伏点鋼からなるシヤパネル5とによるH形断面とされ、その基部が鉄骨柱1の周面に対して溶接され、先端上下には補強板6が溶接されているものである。上述したようにこのブラケット3全体の曲げ剛性および曲げ耐力は鉄骨梁2よりも大きくなるように、また、ブラケット3全体のせん断耐力は鉄骨梁2に先行して降伏するように、上下のフランジ4の断面寸法およびシヤパネル5としての低降伏点鋼の寸法と強度が適正に設定されている。
なお、図示例では一方向のブラケット3を図示するに留めたが、ブラケット3の数と位置は鉄骨柱1に接合される鉄骨梁2の本数とその方向に応じて設定すれば良く、通常のように4方向に鉄骨梁2が接合される内部柱の場合にはブラケット3を十字形をなすように4方向に設ければ良く、同様に外周柱であればT状に3方向に、隅柱であればL状に2方向にブラケット3を設ければ良い。
本実施形態における鉄骨梁2は、対のチャンネル形鋼2aが背中合わせとされて要所がスペーサ7を介して連結される組立梁であって、その先端部はシヤパネル5を当て板8を介して両面側から挟持する状態で綴りボルト9によりシヤパネル5に対して連結され、その連結位置の両側には補強リブ10が設けられているものであるが、ブラケット3に対する鉄骨梁2の構造的な接合形態は、図1に模式的に示したように、ブラケット3の基部および先端部の2箇所においてその下フランジに対して各チャンネル形鋼2aの下フランジをせん断力伝達用のスペーサ11を介してせん断力伝達ボルト12によりボルト締結することで行われている。
このような接合形式では、各箇所の接合は実質的にピン接合ではあるものの、構造力学的には全体として剛接合とされており、かつ想定規模を超える地震時には鉄骨柱1やブラケット3に対する鉄骨梁2のシヤパネル面内方向の相対的な回転は拘束されることなく許容されるものとなっている。
なお、鉄骨梁2としてのチャンネル形鋼2aの先端部は、ブラケット3における上下のフランジ4間に当て板8を介して装着されており、したがって、シヤパネル5の周囲は当て板8と上下のフランジ4により拘束されて補剛されているので、その内側に明確なせん断変形領域が形成されて理想的なせん断降伏を生じさせることができるものとなっている。
本第1実施形態によれば、上述したように鉄骨梁2に作用するせん断応力が「てこの原理」により拡大されてシヤパネル5に伝達し、そのシヤパネル5のせん断降伏による優れたダンパー効果、すなわちエネルギー吸収効果が得られる。
勿論、シヤパネル5としての低降伏点鋼の寸法(板厚、高さ、長さ)や材種の設定によりそれが負担する応力を自由にかつ幅広く調節することが可能であり、その塑性変形能力を充分に高く設定しておけば大地震でも破壊されることがなく、したがって大地震時後にもシヤパネル5を交換する必要はまず生じない。
また、主架構はもとよりブラケット3もシヤパネル5以外は降伏せずに弾性を維持するので、地震後の残留変形は小さいものとなる。特に、シヤパネル5として用いる低降伏点鋼のせん断降伏ひずみγは1.6×10−3程度であるので、ブラケット3の長さLがたとえば600mmである場合にはその先端部での降伏時の鉛直変位は僅か1mm程度に過ぎず、したがってシヤパネル5が降伏し始める程度の中規模地震を受けた際に想定される床スラブの変形も僅かであって、ひび割れが生じるような被害を生じることはないといえる。
そして、本第1実施形態では、シヤパネル5として単なる矩形平板状の低降伏点鋼を採用しているので、ブラケット3の加工を容易にかつ安価に行い得るし、鉄骨柱1に対してフランジ4とシヤパネル5とを溶接する以外は全てボルト締結のみで組み立てることができるので現場溶接を無くすことも可能であり、現場作業の効率化、省力化を図ることができる。勿論、ブラケット3の高さ寸法は鉄骨梁2の梁成寸法よりわずかに大きい程度の範囲内に納めることができるから、そのブラケット3を設置するために格別のスペースを確保する必要はないし、ブラケット3を設置するがために有効階高や有効天井高が低くなるようなこともない。
なお、上記のようにチャンネル形鋼2aとブラケット3の下フランジどうしを2箇所でせん断力伝達ボルト12によって締結することに代えて、図4(a)に示すように上フランジどうしをせん断力伝達ボルト12により2箇所で締結したり、(b)に示すように下フランジと上フランジを1箇所ずつせん断力伝達ボルト12により締結しても構造力学的には同様に機能するものであるし、さらには「てこの原理」によるせん断力の拡大伝達はフランジどうしの締結を1箇所のみとすることでも同様に可能であるので、そのように構成することでも良い。このことは本第1実施形態のみならず以下に示す第2〜第4実施形態においても同様に適用可能である。
「第2実施形態」
図5〜図7に示す第2実施形態は、鉄骨梁2をH形鋼21からなる本体部と、そのH形鋼21の先端部に接合端部として一体に締結した対のチャンネル形鋼22により構成したものである。
すなわち、上記第1実施形態においては鉄骨梁2の全長をチャンネル形鋼2aにより構成していたのに対し、本第2実施形態においては鉄骨梁2をH形鋼21とチャンネル形鋼22とを組み合わせることで構成している。
そして、対のチャンネル形鋼22の基端部によってH形鋼21の先端部を両側から挟み込んだ状態で双方のウエブどうしおよびフランジどうしをそれぞれ当て板23を介して多数のボルトにより締結することによって双方を構造力学的に確実に剛接合している。この際、図示しているように、対のチャンネル形鋼22のウェブの間、およびH形鋼21のウェブと当て板23との間には、必要に応じて適宜のスペーサ24を介装すれば良い。なお、鉄骨梁2の本体部としてのH形鋼21には必要に応じて要所に補強リブ25を設ければ良い。
そして、第1実施形態の場合と同様に、接合端部としてのチャンネル形鋼22とブラケット3の下フランジどうしをせん断力伝達ボルト12により2箇所で締結することにより、この鉄骨梁2全体に作用するせん断力をブラケット3に対して拡大して伝達可能であり、充分なるダンパー効果が得られるものとなっている。
本第2実施形態においては、鉄骨梁2を本体部としのてH形鋼21と接合端部としてのチャンネル形鋼22とにより構成したので、その施工も図7(a)〜(b)に示す手順で効率的に行うことができる。
すなわち、その施工に際しては、鉄骨柱1に対して予め溶接したブラケット3に対して、まず(a)に示すように接合端部としてのチャンネル形鋼22を装着して綴りボルト9およびせん断力伝達ボルト12により接合し、次いで(b)に示すようにチャンネル形鋼22に対してH形鋼21を当て板23を介してボルト締結すれば良く、それにより第1実施形態のように鉄骨梁2としてのチャンネル形鋼2a全体を一括して揚重してブラケット3に位置決めして接合する場合に比べて作業性を改善でき、施工精度も充分に確保することができる。
なお、ブラケット3を鉄骨柱1に溶接するに先立って予めチャンネル形鋼22をブラケット3に装着しておくことも考えられるし、鉄骨柱1を工場製作する際にブラケット3を一体に溶接するとともにそのブラケット3に対してチャンネル形鋼22を装着してしまうことも考えられ、そのようにすれば現場作業を軽減できてより効率的である。
「第3実施形態」
図8〜図10に示す第3実施形態は、ブラケット3を上下のフランジ4と左右2枚のシヤパネル5とにより箱形に形成し、鉄骨梁2としてH形鋼21を採用したものである。
すなわち、本第3実施形態におけるブラケット3は、第1実施形態におけるものと同様の上下のフランジ4の間に左右2枚のシヤパネル5を溶接し、各シヤパネル5の上部および先端部には枠体5aを溶接し、シヤパネル5の表面には補強リブ5bを溶接したものとなっている。なお、符号26はブラケット3の下フランジを補強する補強リブである。
また、本第3実施形態における鉄骨梁2は通常のH形鋼21からなるものであるが、その先端部には補強リブ25が設けられているとともに、縦リブ27が溶接されている。
そして、鉄骨梁2の先端部を箱形のブラケット3内に挿入し、鉄骨梁2の先端部とブラケット3の基部とをそれらの下フランジどうしをせん断力伝達ボルト12により締結するとともに、シヤパネル5の先端部の枠体5aと鉄骨梁2の縦リブ27とをボルト締結することによって、鉄骨梁2をブラケット3に対して構造力学的に剛接合し、かつせん断力伝達ボルト12による締結点を支点としてブラケット3に対する鉄骨梁2の上下方向の相対回転が許容されるようになっており、それにより上記第1〜第2実施形態と同様に鉄骨梁2に作用するせん断力が拡大されてシヤパネル5に伝達されて優れたダンパー効果が得られるものとなっている。
なお、本第3実施形態においては、せん断力伝達ボルト12によるブラケット3と鉄骨梁2との下フランジどうしの締結を1箇所のみとして、他の1箇所はシヤパネル5の枠体5aと鉄骨梁2の縦リブ27とをボルト締結するようにしたが、図1に示したように下フランジどうしを2箇所で締結することでも良いし、あるいは図4に示したように上フランジどうしを2箇所で、もしくは上下のフランジどうしを1箇所ずつ、締結することでも良い。
本第3実施形態では、ブラケット3を箱形としたことによってその施工を図10(a)〜(b)に示す手順で効率的に行うことができる。すなわち、(a)に示すように、鉄骨柱1に対してブラケット3を装着する時点では下側のフランジ4と左右のシヤパネル5のみをU状に溶接して上側のフランジ4は外しておき、その状態でブラケット3内に鉄骨梁2の先端部を落とし込んで締結した後に、(b)に示すように上側のフランジ4を装着してブラケット3を完成させれば良く、このような施工手順により効率的かつ高精度の施工が可能である。
「第4実施形態」
図11〜図12に示す第4実施形態は、ブラケット3と鉄骨梁2とを中間材30を介して接合するようにしたものである。
本第4実施形態では、H形断面のブラケット3に対してH形鋼21からなる鉄骨梁2を接合するものであるが、鉄骨梁2の先端部をブラケット3に直接接合するのではなく、対のチャンネル形鋼22からなる中間材30を双方に跨るように配して、中間材30の先端部の2箇所をせん断力伝達ボルト12によりブラケット3の下フランジに締結し、中間材の基端部の2箇所をせん断力伝達ボルト12により鉄骨梁2の下フランジに締結することによって、鉄骨梁2を中間材30およびブラケット3を介して鉄骨柱1に対して構造力学的に剛接合し、かつ鉄骨柱1に対する鉄骨梁2の上下方向の回転を許容するものとなっている。
本第4実施形態においては、図11に示すように鉄骨梁2に作用するせん断力が中間材30を介して拡大されてブラケット3に有効に伝達され、したがって上記各実施形態と同様に、ブラケット3の曲げ剛性および曲げ耐力を鉄骨梁2および中間材30よりも大きく設定するとともに、シヤパネル5が鉄骨梁2および中間材30よりも先行してせん断降伏するように設定することで優れたダンパー効果が得られる。
以上で本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものでは勿論なく、たとえばブラケット3の構成やブラケット3に対する鉄骨梁2の接合の形態は本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、つまり「てこの原理」を利用して鉄骨梁2に作用するせん断力をダンパーとして機能するブラケット3に拡大して伝達させるべく、鉄骨梁とブラケットとを少なくとも1箇所はフランジどうしの締結により接合する構成とする限りにおいて、任意の設計的変更が可能であることは言うまでもない。
たとえば、上記実施形態では、鉄骨梁2としてチャンネル形鋼2aによる組立梁、H形鋼2b、H形鋼21とチャンネル形鋼22とを組み合わせたものを用いたが、鉄骨梁2はそれらに限るものではないし、鉄骨柱1としても角形鋼管柱のみならず円形鋼管柱やH形鋼等の形鋼による通常の鉄骨柱はもとより、コンクリート充填鋼管柱とすることも勿論可能である。
また、上記各実施形態ではシヤパネル5を低降伏点鋼からなる矩形平板状のものとしたが、シヤパネル5は鉄骨梁2よりも先行してせん断降伏する鋼板であれば良く、そのように設定する限りはシヤパネル5の形状や寸法、素材は任意であってたとえば通常の軟鋼を採用することも可能であり、その場合にはダンパー効果はやや低下するもののコスト削減を図ることが可能である。
本発明の基本構造と基本原理を説明するための模式図である。 本発明の第1実施形態を示す図であり、(a)は側面図、(b)は平断面図((a)におけるb−b矢視図)、(c)は正断面図((a)におけるc−c矢視図)である。 同、組立図である。 同、変形例を示す図であり、(a)は上フランジどうしを2箇所で締結する場合、(b)は上下のフランジどうしを1箇所ずる締結する場合の例である。 本発明の第2実施形態を示す図であり、(a)は側面図、(b)は平断面図((a)におけるb−b矢視図)、(c)は正断面図((a)におけるc−c矢視図)、(d)は正断面図((a)におけるd−d矢視図)である。 同、組立図である。 同、施工手順を示す図であり、(a)はブラケットにチャンネル形鋼を接合する状態、(b)はチャンネル形鋼にH形鋼を接合する状態を示す図である。 本発明の第3実施形態を示す図であり、(a)は側面図、(b)は側断面図((c)におけるb−b矢視図)、(c)は平断面図((a)におけるc−c矢視図)、(d)は正断面図((a)におけるd−d矢視図)、(e)は正断面図((a)におけるe−e矢視図)である。 同、組立図である。 同、施工手順を示す図であり、(a)はブラケットに鉄骨梁を接合する状態、(b)はブラケットの上フランジを装着する状態を示す図である。 本発明の第4実施形態の基本構造と基本原理を説明するための模式図である。 同、第4実施形態の具体例を示すもので、(a)は側面図、(b)は平断面図((a)におけるb−b矢視図)である。
符号の説明
1 鉄骨柱
2 鉄骨梁
2a チャンネル形鋼
2b H形鋼
3 ブラケット
4 フランジ
5 シヤパネル
5a 枠体
5b 補強リブ
6 補強板
7 スペーサ
8 当て板
9 綴りボルト
10 補強リブ
11 スペーサ
12 せん断力伝達ボルト
21 H形鋼
22 チャンネル形鋼
23 当て板
24 スペーサ
25 補強リブ
26 補強リブ
27 縦リブ
30 中間材

Claims (5)

  1. 鉄骨梁を鉄骨柱に対してダンパー機能を有するブラケットを介して接合するための構造であって、
    前記鉄骨梁はフランジを有するとともに、前記ブラケットは鉄骨柱に固定した上下のフランジとそれらフランジの間に設けた鋼板からなるシヤパネルを有してなり、
    該ブラケット全体の曲げ剛性および曲げ耐力を鉄骨梁よりも大きく設定するとともに、該ブラケット全体のせん断耐力は前記シヤパネルを鉄骨梁に先行させてせん断降伏させるように設定し、
    該ブラケットの基部および先端部の2箇所に対して前記鉄骨梁をせん断力を伝達可能な状態でそれぞれピン接合するとともに、それら2箇所のピン接合箇所のうち少なくとも1箇所は双方のフランジどうしのボルト締結によるピン接合とすることによって、前記鉄骨梁を前記ブラケットを介して前記鉄骨柱に対して構造力学的に剛接合するとともに、該鉄骨梁の前記ブラケットに対するシヤパネル面内方向の相対回転を許容せしめてなることを特徴とする鉄骨柱と鉄骨梁との接合構造。
  2. 請求項1記載の鉄骨柱と鉄骨梁との接合構造であって、
    鉄骨梁は対のチャンネル形鋼からなり、それらチャンネル形鋼の先端部をブラケットの構成要素であるシヤパネルに両面側に綴りボルトによって連結するとともに、各チャンネル形鋼のフランジと前記ブラケットのフランジどうしをそれぞれ2箇所においてピン接合することによって前記鉄骨梁を前記ブラケットに対して剛接合してなることを特徴とする鉄骨柱と鉄骨梁との接合構造。
  3. 請求項1記載の鉄骨柱と鉄骨梁との接合構造であって、
    鉄骨梁はH形鋼からなる本体部とその先端部に接合端部として一体にボルト締結された対のチャンネル形鋼からなり、
    前記接合端部としてのチャンネル形鋼の先端部をブラケットの構成要素であるシヤパネルに両面側に綴りボルトによって連結するとともに、各チャンネル形鋼のフランジと前記ブラケットのフランジどうしをそれぞれ2箇所においてピン接合することによって、前記鉄骨梁の本体部としてのH形鋼を該鉄骨梁の接合端部としての前記チャンネル形鋼を介して前記ブラケットに対して剛接合してなることを特徴とする鉄骨柱と鉄骨梁との接合構造。
  4. 請求項1記載の鉄骨柱と鉄骨梁との接合構造であって、
    鉄骨梁はH形鋼からなるとともに、ブラケットは鉄骨梁の両側に配置される対のシヤパネルを有してなり、
    鉄骨梁としてのH形鋼の先端部におけるフランジをブラケットの基端部におけるフランジに対してボルト締結することによりピン接合するとともに、該H形鋼の側部に溶接した縦リブに対して前記シヤパネルの先端部をボルト締結によりピン接合してなることを特徴とする鉄骨柱と鉄骨梁との接合構造。
  5. 鉄骨梁を鉄骨柱に対してダンパー機能を有するブラケットおよび該ブラケットと鉄骨梁とを接合する中間材を介して接合するための構造であって、
    前記鉄骨梁はフランジを有するとともに、前記ブラケットは鉄骨柱に固定した上下のフランジとそれらフランジの間に設けた鋼板からなるシヤパネルを有してなり、
    前記ブラケットの曲げ剛性および曲げ耐力を前記鉄骨梁および前記中間材よりも大きく設定するとともに、該ブラケットのせん断耐力は前記シヤパネルを前記鉄骨梁および前記中間材に先行させてせん断降伏させるように設定し、
    該ブラケットの基部および先端部の2箇所に対して前記中間材の先端部をせん断力を伝達可能な状態でそれぞれピン接合するとともに、該中間材の基部の2箇所に対して前記鉄骨梁の先端部をせん断力を伝達可能な状態でそれぞれピン接合し、かつ、それら2箇所ずつのピン接合箇所のうち少なくとも1箇所ずつは双方のフランジどうしのボルト締結によるピン接合とすることによって、前記鉄骨梁を前記中間材および前記ブラケットを介して前記鉄骨柱に対して構造力学的に剛接合してなることを特徴とする鉄骨柱と鉄骨梁との接合構造。
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