JP2004149746A - ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

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JP2004149746A JP2002323507A JP2002323507A JP2004149746A JP 2004149746 A JP2004149746 A JP 2004149746A JP 2002323507 A JP2002323507 A JP 2002323507A JP 2002323507 A JP2002323507 A JP 2002323507A JP 2004149746 A JP2004149746 A JP 2004149746A
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Masaaki Tanaka
正章 田中
Mutsuko Higo
睦子 肥後
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】ポリカーボネートの加工時等において、流動化が防止されたポリカーボネート樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ポリカーボネート及び下記式(I)
【化1】
Figure 2004149746

[式中、R、Rは水素、アルキル、シクロアルキル等を表す。R〜R10は水素、カルボキシ、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルキル置換アルキル、単環のアリール、単環のアリールアルキル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルスルホニルオキシ、単環のアリールカルボニルオキシを表す。更にR〜R10で表されるシクロアルキル及びシクロアルキル置換アルキルにおけるシクロアルキルは、1個のアリール基と縮環していてもよい。]で示されるジヒドロアントラセン系化合物を含有するポリカーボネート樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物及びポリカーボネート用流動化防止剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネートは、耐衝撃性、透明性や寸法安定性等が優れていることから、電子機器のハウジング、光学レンズや建材(窓ガラス等)に汎用されている。しかしながら、ポリカーボネートを上記用途に使用する際は、高温における加工、成形時に分解されて流動しやすくなってしまうという問題があった。又、ポリカーボネートを製造する際の重合反応工程、及び重合反応後の反応物から未反応モノマーや溶剤を除去する脱揮工程等においても、ポリカーボネートが分解されて流動しやすくなってしまうという問題点があった。
【0003】
上記問題点を解決するために、9,10−ジヒドロアントラセンとポリカーボネートからなり、流動化や、光による黄変が抑制された樹脂組成物が提案されている(非特許文献1参照)。
【0004】
【非特許文献1】
Research Disclosure,August1994/407−408頁
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ポリカーボネートに9,10−ジヒドロアントラセンを添加して得た樹脂組成物は、添加剤を加えないポリカーボネートに比べて、黄変しやすいという問題があった。
本発明の目的は、高温の加工、成形時やポリカーボネートの製造時における流動化や、光による黄変が抑制されたポリカーボネート樹脂組成物、及びポリカーボネート用流動化防止剤を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意検討した結果、ジヒドロアントラセン骨格における1〜8位の炭素原子の一つ以上に水素原子以外の置換基が結合したジヒドロアントラセン系化合物をポリカーボネートに添加すると、得られた樹脂組成物中のポリカーボネートの流動化が抑制され、しかも、9,10−ジヒドロアントラセンとポリカーボネートからなる公知の樹脂組成物に比べて、ポリカーボネートが黄変しにくいことを見出し、本発明を完成した。
【0007】
即ち、本発明は、下記の(イ)及び(ロ)を提供するものである。
(イ)ポリカーボネート及び下記一般式(I)で示されるジヒドロアントラセン系化合物を含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物:
【0008】
【化9】
Figure 2004149746
【0009】
[式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシル基、シクロアルキル基、シクロアルキルで置換されたアルキル基、単環若しくは二環のアリール基、単環若しくは二環のアリールアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、単環若しくは二環のアリールカルボニル基、単環若しくは二環のアリールオキシカルボニル基、単環若しくは二環のアリールカルボニルオキシ基、次式(Ia)
【0010】
【化10】
Figure 2004149746
【0011】
で示される基、又は次式(Ia’)
【0012】
【化11】
Figure 2004149746
【0013】
<式中、R及びR’はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシル基、シクロアルキル基、シクロアルキルで置換されたアルキル基、単環若しくは二環のアリール基、単環若しくは二環のアリールアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、単環若しくは二環のアリールカルボニル基、単環若しくは二環のアリールオキシカルボニル基、又は単環若しくは二環のアリールカルボニルオキシ基を表す。R11〜R18及びR11’〜R18’は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルキル基、アルコキシル基、シクロアルキル基、シクロアルキルで置換されたアルキル基、単環若しくは二環のアリール基、単環若しくは二環のアリールオキシ基、単環若しくは二環のアリールアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、単環若しくは二環のアリールカルボニルオキシ基、−COOR{式中、Rはシクロアルキル基、単環若しくは二環のアリール基、又は単環若しくは二環のアリールアルキル基を表す。}で示される基、下式(a)
【0014】
【化12】
Figure 2004149746
【0015】
{式中、Bは単環若しくは二環のアリーレン基、−CH−基又はアルキレン基を表し、Z及びZは互いに独立にアルキル基又は単環若しくは二環のアリール基を表し、Aは有機酸又は無機酸を表す。}
で示されるアミン塩の残基、下式(b)
【0016】
【化13】
Figure 2004149746
【0017】
{式中、R、R及びRは互いに独立にアルキル基を表し、Xはハロゲン原子又はヒドロキシル基を表す。}
で示される4級アンモニウム塩の残基、下式(c)
【0018】
【化14】
Figure 2004149746
【0019】
{式中、X及びXは、互いに独立に、水素原子、アルキル基、カルボキシル基、アルコキシル基又はカルバモイル基を表す。}
で示されるピリジニウム基、又は−SOM{式中、Mは水素原子又はアルカリ金属原子を表す。}で示される基を表す。X及びXは、互いに独立に直接結合、−CH−基若しくはアルキレン基を表し、該アルキレン基の炭素−炭素結合は−O−、−S−、−NH−、カルバモイル基若しくはカルボニル基で中断されていてもよい。又、上記の上記のX及びXで表される−CH−基若しくはアルキレン基の水素原子はヒドロキシル基で置換されていてもよい。>
で示される基を表す。
〜R10は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルキル基、アルコキシル基、シクロアルキル基、シクロアルキルで置換されたアルキル基、単環若しくは二環のアリール基、単環若しくは二環のアリールオキシ基、単環若しくは二環のアリールアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、単環若しくは二環のアリールカルボニルオキシ基、−COORで示される基、上記アミン塩の残基、上記4級アンモニウム塩の残基、上記ピリジニウム基、−SOMで示される基、下式(Ib)
【0020】
【化15】
Figure 2004149746
【0021】
で示される基、又は下式(Ib’)
【0022】
【化16】
Figure 2004149746
【0023】
{式中、R、R、及びR11〜R18は前記の意味である。X’は直接結合、−CH−基又はアルキレン基を表し、該アルキレン基の炭素−炭素結合は−O−、−S−、−NH−、カルバモイル基若しくはカルボニル基で中断されていてもよい。}
で示される基を表す。
又、R〜R10において、互いに隣接する2つの基は、これらの基が各々結合する炭素−炭素結合と共にベンゼン環を形成してもよい。
上記のR〜R10、Z、Z、R、R、R、R11〜R18及びR11’〜R18’で表されるアルキル基はハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルカルボニルアミノ、アミノ及びカルバモイルからなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよく、上記のR〜R10、R11〜R18及びR11’〜R18’で表されるアルコキシル基はハロゲン、ヒドロキシ、フェニル、アルキルカルボニルアミノ、アミノ及びカルバモイルからなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよく、上記のR、R〜R10、R11〜R18、及びR11’〜R18’で表されるシクロアルキル基、シクロアルキルで置換されたアルキル基におけるシクロアルキルは、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、フェニル、アミノ及びカルバモイルからなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよく、上記のR、R〜R10、R11〜R18、R11’〜R18’、Z、及びZで表される単環若しくは二環のアリール基はハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、アミノ及びカルバモイルからなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよく、上記のR、R〜R10、R11〜R18及びR11’〜R18’で表される単環若しくは二環のアリールアルキル基におけるアリールはハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、アミノ及びカルバモイルからなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよく、前記のR、R〜R10、R11〜R18及びR11’〜R18’で表される単環若しくは二環のアリールアルキル基におけるアルキルはハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ及びカルバモイルからなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよい。
上記のR〜R10、R11〜R18、及びR11’〜R18’で表されるアルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基及びアルキルスルホニルオキシ基は、それぞれハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、フェニル、アミノ及びカルバモイルからなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよく、上記のR〜R10、R11〜R18、及びR11’〜R18’で表される単環若しくは二環のアリールカルボニルオキシ基は、それぞれハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、アミノ及びカルバモイルからなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよい。
上記のBで表される単環若しくは二環のアリーレン基はハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、アミノ及びカルバモイルからなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよく、前記Bで表される−CH−及びアルキレン基はハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ及びカルバモイルからなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよい。
又、前記Rで表されるシクロアルキル基、R〜R10、R11〜R18及びR11’〜R18’で表されるシクロアルキル基、並びに、シクロアルキルで置換されたアルキル基におけるシクロアルキルは、1個のアリール基と縮環していてもよい。更に、この1個のアリール基と縮環していてもよいR、R〜R10、R11〜R18及びR11’〜R18’で表されるシクロアルキル基におけるアリール基は、単環のアリール基でもよく、複数の環が縮合したアリール基であってもよい。
但し、R〜R10の全てが同時に水素原子であることはない。又、R及びRの少なくとも一つが式(Ia)基又は(Ia’)基を表すときは、R〜R10は式(Ib)基又は(Ib’)基を表すことはなく、更に、R〜R10の少なくとも一つが式(Ib)基又は(Ib’)基を表すときは、R及びRは式(Ia)又は(Ia’)基を表すことはない。]
【0024】
(ロ)上記(イ)記載の一般式(I)で示されるポリカーボネート用流動化防止剤。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の(イ)において用いられるポリカーボネートとしては、例えば、二価フェノールとハロゲン化カルボニル、ハロホルメートやカーボネートエステル等のカーボネート前駆体等とを反応させることにより製造された樹脂を挙げることができる。
【0026】
上記の二価フェノールとしては、例えば、ビスフェノールA、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、レゾルシノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、ビフェノール、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニルエーテル、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド又は9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等が挙げられる。
【0027】
上記のハロゲン化カルボニルとしては、例えば、ホスゲンや臭化カルボニル等が挙げられる。
上記のハロホルメートとしては、例えば、ハイドロキノンビスクロロホルメート等の二価フェノールのハロホルメートや、エチレングリコールハロホルメート等のグリコールホルメート等が挙げられる。
上記のカーボネートエステルとしては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジ(クロロフェニル)カーボネート、ジ(トリル)カーボネート、ジナフチルカーボネートやジメチルカーボネート等が挙げられる。
【0028】
本発明の(イ)において用いられるポリカーボネートとしては、分岐状ポリカーボネートも挙げられる。該分岐状ポリカーボネートは、フェノール性水酸基を3個以上有する化合物及び二価フェノールのフェノール混合物と上記カーボネート前駆体とを反応させて調製することができる。
フェノール性水酸基を3個以上有する化合物としては、例えば、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニルイソプロピル)フェノール、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス{ジ(4−ヒドロキシフェニル)メチル}ベンゼン等が挙げられる。
以上のポリカーボネートは、界面重合法、ピリジン法やエステル交換法等の方法により製造することができる。該方法で製造されたポリカーボネートはホモポリマーやコポリマーであってもよい。又、ポリカーボネートは、ポリエステルカーボネートやポリホスホネートカーボネートであってもよい。
【0029】
ポリカーボネートの分子量は、粘度平均分子量(25℃における塩化メチレン溶融粘度より換算した値)で表すと、好ましくは10000〜100000の範囲、より好ましくは12000〜50000の範囲である。
又、ポリカーボネートはポリマーアロイであってもよい。ポリマーアロイを形成する他の樹脂としては、ポリオレフィン(ポリエチレン等)、メタクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート等)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS樹脂)、飽和ポリエステル(PET,PBT)、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル(PPE)、熱可塑性エラストマー{例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)}、水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、水素添加スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)等のオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂及びアクリレート系樹脂やシリコーン系樹脂等が挙げられる。
更に、ポリカーボネートは、ガラス繊維、カーボン繊維やフッ素樹脂等を充填したものであってもよい。
【0030】
ジヒドロアントラセン化合物(I)において、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシル基、シクロアルキル基、シクロアルキルで置換されたアルキル基、単環若しくは二環のアリール基、単環若しくは二環のアリールアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、単環若しくは二環のアリールカルボニル基、単環若しくは二環のアリールオキシカルボニル基、単環若しくは二環のアリールカルボニルオキシ基、又は上式(Ia)若しくは(Ia’)で示される基を表す。
式(Ia)及び(Ia’)におけるR及びR’はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシル基、シクロアルキル基、シクロアルキルで置換されたアルキル基、単環若しくは二環のアリール基、単環若しくは二環のアリールアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、単環若しくは二環のアリールカルボニル基、単環若しくは二環のアリールオキシカルボニル基、又は単環若しくは二環のアリールカルボニルオキシ基を表す。
式(Ia)及び(Ia’)におけるX及びXは、それぞれ独立に直接結合、−CH−基若しくはアルキレン基を表し、該アルキレン基の炭素−炭素結合は−O−、−S−、−NH−、カルバモイル基若しくはカルボニル基で中断されていてもよい。又、上記の−CH−基若しくはアルキレン基の水素原子はヒドロキシル基で置換されていてもよい。
上式(I)におけるRが式(Ia)で示される基を表す場合は、式(Ia)基におけるジヒドロアントラセン骨格の9’位は、一般式(I)におけるジヒドロアントラセン骨格の9位とXを介して結合する。又、Rが式(Ia’)で示される基を表す場合は、式(Ia’)基におけるジヒドロアントラセン骨格の10”位は、上式(I)におけるジヒドロアントラセン骨格の10位とXを介して結合する。
【0031】
〜R10は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルキル基、アルコキシル基、シクロアルキル基、シクロアルキルで置換されたアルキル基、単環若しくは二環のアリール基、単環若しくは二環のアリールオキシ基、単環若しくは二環のアリールアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、単環若しくは二環のアリールカルボニルオキシ基、−COORで示される基、上記アミン塩の残基、上記4級アンモニウム塩の残基、上式で示されるピリジニウム基、−SOMで示される基、又は上式(Ib)若しくは式(Ib’)で示される基を表す。
但し、R〜R10の全てが同時に水素原子であることはない。
【0032】
上記の−COOR基におけるRは、シクロアルキル基、単環若しくは二環のアリール基又は単環若しくは二環のアリールアルキル基を表し、上式(a)で示されるアミン塩の残基におけるBは、単環若しくは二環のアリーレン基、−CH−基又はアルキレン基を表し、上記アミン塩の残基におけるZ及びZは、それぞれ独立にアルキル基又は単環若しくは二環のアリール基を表し、前記アミン塩の残基におけるAは有機酸又は無機酸を表し、上式−SOM基におけるMは水素原子又はアルカリ金属原子を表す。
上式(b)で示される4級アンモニウム塩の残基におけるR、R及びRは、それぞれ独立にアルキル基を表し、同4級アンモニウム塩の残基におけるXは塩素原子、臭素原子若しくは沃素原子等のハロゲン原子又はヒドロキシル基を表し、上式(c)で示されるピリジニウム基におけるX及びXは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、カルボキシル基、アルコキシル基又はカルバモイル基を表す。
但し、ジヒドロアントラセン化合物(I)のR〜R10において互いに隣接する2つの基は、該基が各々結合する炭素−炭素結合と共にベンゼン環を形成してもよい。又、前記の−COOR基におけるRで表されるシクロアルキル基、及びR〜R10で表されるシクロアルキルで置換されたアルキル基におけるシクロアルキルは、1個のアリール基と縮環していてもよい。更に、該1個のアリール基と縮環していてもよいシクロアルキル基におけるアリール基は、単環のアリール基でもよく、複数の環が縮合したアリール基であってもよい。
【0033】
、R’、R、R、R、X、X、R〜R10、R11〜R18、R11’〜R18’、Z及びZで表されるアルキル基としては、炭素数1〜25の直鎖又は分岐状のアルキル基が挙げられる。該アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、1−メチルペンチル基、1,3,−ジメチルブチル基、n−ヘキシル基、1−メチルヘキシル基、n−ヘプチル基、1−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、n−オクチル基、t−オクチル基、2−エチルヘキシル基、1,1,3−トリメチルヘキシル基、1,1,3,3−テトラメチルペンチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、1−メチルウンデシル基、ドデシル基、1,3,3,5,5−ヘキサメチルヘキシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、エイコシル基やドコシル基、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、1−ヒドロキシ−1,1−ジフェニルメチル基、1−ヒドロキシ−1−フェニル−1−プロピル基、カルバモイルメチル基、カルバモイルエチル基やアミノメチル基のように、アルキル基中の水素原子がハロゲン(フッ素、塩素や臭素。以下、単にハロゲンという場合はフッ素、塩素や臭素を表す。)、ヒドロキシ、アルコキシ、フェニル、アミノやカルバモイル等で置換されていてもよい基が例示される。
【0034】
R、R〜R10、R11〜R18、R11’〜R18’、Z及びZで表される1個のアリール基と縮環していてもよいシクロアルキル基としては、炭素数5〜35のシクロアルキル基が好ましい。該シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、トリメチルシクロヘキシル基、t−ブチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基のように、シクロアルキル基の水素原子がハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ等で置換されていてもよい基が例示される。
【0035】
式(Ia)、(Ia’)、(Ib)及び(Ib’)基におけるX、X、X’及びX’を除いたジヒドロアントラセン骨格を有する基としては、例えば、9,10−ジヒドロ−7−アントラセニル基、9,10−ジヒドロ−9−アントラセニル基、9,10−ジヒドロ−10−メチル−9−アントラセニル基、9,10−ジヒドロ−10−イソプロピル−9−アントラセニル基や9,10−ジヒドロ−10−メトキシ−9−アントラセニル基等が挙げられる。
【0036】
、R’、R、R〜R10、R11〜R18、R11’〜R18’及びZ〜Zで表されるアリール基としては、好ましくは、炭素数6〜20のアリール基が挙げられる。該アリール基としては、フェニル基、o−トリル基、p−トリル基、o−メトキシフェニル基、p−メトキシフェニル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、メシチル基やナフチル基等のように、アリール基の水素原子がハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、アミノやカルバモイル等で置換されていてもよい基が例示される。
【0037】
、R’、R、R〜R10、R11〜R18及びR11’〜R18’で表されるアリールアルキル基としては、炭素数7〜20のアリールアルキル基が好ましい。該アリールアルキル基としては、ベンジル基、フェニルエチル基、トリルメチル基やナフチルメチル基のように、アリールアルキル基の水素原子がハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノやカルバモイル等で置換されていてもよい基が例示される。
、R’、R、R〜R10、R11〜R18及びR11’〜R18’で表されるアリールカルボニル基としては、炭素数8〜21のアリールカルボニル基が好ましい。該アリールカルボニル基としては、上記アリールアルキル基において例示した基のアルキルをカルボニルに換えた基が挙げられ、アリールの水素原子がハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、アミノやカルバモイル等で置換されていてもよい基が例示される。
、R’、R、R〜R10、R11〜R18及びR11’〜R18’で表されるアリールオキシカルボニル基としては、炭素数8〜21のアリールオキシカルボニル基が好ましい。該アリールオキシカルボニル基としては、上記アリールアルキル基において例示した基のアルキルを酸素原子に換えた基が挙げられ、アリールの水素原子がハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、アミノやカルバモイル等で置換されていてもよい基が例示される。
、R’、R〜R10、R11〜R18及びR11’〜R18’で表されるアリールカルボニルオキシ基としては、炭素数7〜15のアリールカルボニルオキシ基が好ましい。該アリールカルボニルオキシ基としては、フェニルカルボニルオキシ基、ビフェニルカルボニルオキシ基やナフチルカルボニルオキシ基等のように、アリールカルボニルオキシ基の水素原子がハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、アミノやカルバモイル等で置換されていてもよい基が例示される。
【0038】
、R’、R〜R10、R11〜R18及びR11’〜R18’で表されるシクロアルキル基としては、炭素数5〜7のシクロペンチル基、シクロへキシル基やシクロヘプチルのように、シクロアルキル基の水素原子がアルキル、アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、フェニル、アミノやカルバモイル等で置換されていてもよい基が例示される。
、R’、R〜R10、R11〜R18及びR11’〜R18’で表されるシクロアルキルで置換されたアルキル基としては、炭素数6〜12のシクロペンチルアルキル基のように、シクロアルキル基の水素原子がアルキル、アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、フェニル、アミノやカルバモイル等で置換されていてもよく、且つ直鎖若しくは分枝状のアルキル基の水素原子がヒドロキシル基で置換されていてもよい基が例示される。
、R’、R〜R10、R11〜R18及びR11’〜R18’で表されるアルコキシル基としては、炭素数1〜5の直鎖又は分岐状のアルコキシル基が好ましい。該アルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基やペンチルオキシ基のように、アルコキシル基の水素原子がハロゲン、ヒドロキシ、フェニル、アミノやカルバモイル等で置換されていてもよい基が例示される。
【0039】
、R’、R〜R10、R11〜R18及びR11’〜R18’で表されるアルキルカルボニルオキシ基としては、炭素数2〜7の直鎖又は分岐状のアルキルカルボニルオキシ基が好ましい。該アルキルカルボニルオキシ基としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基やイソブチリルオキシ基等のように、アルキルカルボニルオキシ基の水素原子がハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、フェニル、アミノやカルバモイル等で置換されていてもよい基が例示される。R、R’、R〜R10、R11〜R18及びR11’〜R18’で表されるアルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜7の直鎖又は分岐状のアルコキシカルボニル基が好ましい。該アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基やブトキシカルボニル基等のようにアルコキシカルボニル基の水素原子がハロゲン、ヒドロキシ、フェニル、アミノやカルバモイル等で置換されていてもよい基が例示される。
、R’、R〜R10、R11〜R18及びR11’〜R18’で表されるアルキルスルホニルオキシ基としては、炭素数1〜6の直鎖又は分岐状のアルキルスルホニルオキシ基が好ましい。該アルキルスルホニルオキシ基としては、メチルスルホニルオキシ基、エチルスルホニルオキシ基、プロピルスルホニルオキシ基やイソプロピルスルホニルオキシ基等のように、アルキルスルホニルオキシ基の水素原子がハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、フェニル、アミノやカルバモイル等で置換されていてもよい基が例示される。
及びRとしては、水素原子が好ましい。
〜R10の一つ以上は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルキル基、アルコキシル基、シクロアルキル基、シクロアルキルで置換されたアルキル基、単環若しくは二環のアリール基、単環若しくは二環のアリールオキシ基、単環若しくは二環のアリールアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、単環若しくは二環のアリールカルボニルオキシ基、−COORで示される基、上式で示されるアミン塩の残基、上式で示される4級アンモニウム塩の残基、上式で示されるピリジニウム基、−SOMで示される基、又は上式(Ib)若しくは式(Ib’)で示される基が好ましい。
【0040】
ジヒドロアントラセン系化合物(I)としては、R〜R10の一つ以上が、炭素数3〜10のアルキル基、炭素数3〜10のアルコキシル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキルで置換された炭素数1〜10のアルキル基、単環のアリール基、単環のアリールオキシ基、又は単環のアリールアルキル基である化合物がとりわけ好ましい。
又、好ましいジヒドロアントラセン系化合物(I)は、分子中におけるジヒドロアントラセン骨格の数が、合計3個までの化合物である。
【0041】
一般式(I)で示されるジヒドロアントラセン系化合物としては、下記の一般式(II)〜(VII)で示される化合物群が例示される。
【0042】
【化17】
Figure 2004149746
【0043】
[式中、R、R及びR〜R10は前記の意味を表し、R14〜R21はR〜R10と同じ意味を表す。Dは直接結合、−CH−又は炭素数2〜5のアルキレン基を表し、該−CH−又はアルキレン基の水素原子はヒドロキシルで置換されていてもよく、上記炭素数2〜5のアルキレン基の炭素−炭素結合は−O−、−S−、−NH−、カルボニル基又はカルバモイル基で中断されていてもよい。]
【0044】
【化18】
Figure 2004149746
【0045】
[式中、R、R、R及びRは前記の意味を表す。]
【0046】
【化19】
Figure 2004149746
[式中、R及びRは前記の意味を表す。]
【0047】
【化20】
Figure 2004149746
【0048】
[R’’及びR30は上記のR及びRと同義であり、R〜R10及びR14〜R18は上記と同じ意味を表す。又、R19〜R29は前記のR〜R10と同義である。
D及びD’は直接結合、−CH−又は炭素数2〜5のアルキレン基を表し、上記の−CH−又はアルキレン基の水素原子はヒドロキシルで置換されていてもよい。又、炭素数2〜5のアルキレン基の炭素−炭素結合は、−O−、−S−、−NH−、カルバモイル基又はカルボニル基で中断されていてもよい。]
【0049】
【化21】
Figure 2004149746
【0050】
[式中、R、R〜R及びR14〜R17は前記の意味を表し、R’はRと同義である。Dは直接結合、−CH−又は炭素数2〜5のアルキレン基を表し、該アルキレン基の炭素−炭素結合は−O−、−S−、−NH−、カルバモイル基又はカルボニル基で中断されていてもよい。]
【0051】
【化22】
Figure 2004149746
【0052】
[式中、R〜RとRは前記の意味を表す。]
【0053】
一般式(I)で示されるジヒドロアントラセン系化合物の具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
【0054】
9,10−ジヒドロアントラセンスルホン酸ナトリウム、下式
【0055】
【化23】
Figure 2004149746
【0056】
で示される化合物、9,10−ジヒドロ−1−メチルアントラセン、9,10−ジヒドロ−2−メチルアントラセン、9,10−ジヒドロ−2−エチルアントラセン、2−(1’,1’−ジメチルエチル)−9,10−ジヒドロアントラセン、9,10−ジヒドロ−2−フェニルアントラセン、9,10−ジヒドロ−1−(フェニルメチル)−アントラセン、9,10−ジヒドロ−2−(フェニルメチル)−アントラセン、9,10−ジヒドロ−1−(クロロメチル)−アントラセン、9,10−ジヒドロ−1−アントラセンメタノール、1−シクロヘキシル−9,10−ジヒドロアントラセン、2−シクロヘキシル−9,10−ジヒドロアントラセン、9,10−ジヒドロ−2−メトキシアントラセン、9,10−ジヒドロ−1−アントラセンカルボン酸、9,10−ジヒドロ−2−アントラセンカルボン酸、1−フロオロ−9,10−ジヒドロアントラセン、2−フロオロ−9,10−ジヒドロアントラセン、1−クロロ−9,10−ジヒドロアントラセン、2−クロロ−9,10−ジヒドロアントラセン、9,10−ジヒドロ−1,4−ジメチルアントラセン、9,10−ジヒドロ−2,6−ジメチルアントラセン、9,10−ジヒドロ−2,7−ジメチルアントラセン、2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−9,10−ジヒドロアントラセン、2,7−ビス(1’,1’−ジメチルエチル)−9,10−ジヒドロアントラセン、9,10−ジヒドロ−1,4−ジメトキシアントラセン、9,10−ジヒドロ−1,5−ジメトキシアントラセン、9,10−ジヒドロ−2,6−ジメトキシアントラセン、9,10−ジヒドロ−2,7−ジメトキシアントラセン、9,10−ジヒドロ−1,8−ジメトキシアントラセン、1,5−ジエトキシ−9,10−ジヒドロアントラセン、1,8−ジエトキシ−9,10−ジヒドロアントラセン、1−エトキシ−9,10−ジヒドロ−8−メトキシアントラセン、9,10−ジヒドロ−8−メトキシ−1−アントラセノール、8−クロロ−9,10−ジヒドロ−1−アントラセンカルボン酸、9,10−ジヒドロ−1,8−ジメトキシアントラセンジカルボン酸、9,10−ジヒドロ−1,4−アントラセンジオール、9,10−ジヒドロ−1,8−アントラセンジオール、9,10−ジヒドロ−2,6−アントラセンジカルボン酸、1,5−ジクロロ−9,10−ジヒドロアントラセン、2,6−ジクロロ−9,10−ジヒドロアントラセン、2,3−ジクロロ−9,10−ジヒドロアントラセン、9,10−ジヒドロ−2,3,6,7−テトラメチルアントラセン、9,10−ジヒドロ−2,3,7,8−アントラセンテトロール四酢酸、9,10−ジヒドロ−1,2,5,6−アントラセンテトロール、9,10−ジヒドロ−2,3,6,7−テトラメトキシアントラセン、2,3,6,7−テトラエトキシ−9,10−ジヒドロアントラセン、1,2,3,4−テトラクロロ−9,10−ジヒドロアントラセン、1,4,5,6−テトラフルオロ−9,10−ジヒドロアントラセン、1,2,3,4,5,6,7,8−オクタメチル−9,10−ジヒドロ−アントラセン、下式
【0057】
【化24】
Figure 2004149746
【0058】
で示される化合物、9,10−ジヒドロ−2,7−アントラセンジカルボン酸ジメチルエステル、下式
【0059】
【化25】
Figure 2004149746
【0060】
で示される化合物、9,10−ジメチル−9,10−ジヒドロアントラセン、9,10−ジエチル−9,10−ジヒドロアントラセン、9,10−ジヒドロ−9,10−ジイソプロピルアントラセン、9,10−ジ−t−ブチル−9,10−ジヒドロアントラセン、9,10−ジ−n−ブチル−9,10−ジヒドロアントラセン、9,10−ジ−i−ブチル−9,10−ジヒドロアントラセン、9−エチル−9,10−ジヒドロ−10−メチルアントラセン、9,10−ジヒドロ−9−メチル−10−イソプロピルアントラセン、9−t−ブチル−9,10−ジヒドロ−10−メチルアントラセン、9−エチル−9,10−ジヒドロ−10−イソプロピルアントラセン、9−t−ブチル−9,10−ジヒドロ−10−イソプロピルアントラセン、下式
【0061】
【化26】
Figure 2004149746
【0062】
で示される化合物、9,10−ジヒドロ−9,10−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アントラセン、9,10−ジヒドロ−9−(p−トリル)アントラセン、9,10−ジヒドロ−9−(p−メトキシフェニル)アントラセン、9−シクロヘキシル−9,10−ジヒドロアントラセン、9,10−ジベンジル−9,10ジヒドロアントラセン、下式
【0063】
【化27】
Figure 2004149746
【0064】
で示される化合物、1−(9,10−ジヒドロ−10−メチル−9−アントラセニル)−エタン、1,1’−(9,10−ジヒドロ−9,10−アントラセンジイエル)ビスエタノン、9,10−ジヒドロ−9,10−アントラセンジオール ジアセテート、下式
【0065】
【化28】
Figure 2004149746
【0066】
で示される化合物、α−メチル9,10−ジヒドロ−α−フェニル−9−アントラセンメタノール、9,10−ジヒドロ−α,α−ジフェニル−9−アントラセンメタノール、9,9’,10,10’−テトラヒドロ−9,9’−ビアントラセン、9,9’,10,10’−テトラヒドロ−10,10’−ジメチル−9,9’−ビアントラセン、9,9’,10,10’−テトラヒドロ−10,10’−ジメトキシ−9,9’−ビアントラセン、9,9’,10,10’−テトラヒドロ−10,10’−ジ−t−ブチル−9,9’−ビアントラセン、下式
【0067】
【化29】
Figure 2004149746
【0068】
で示される化合物、9,9’−(1,2−エタンジイル)ビス〔9,10−ジヒドロ−10’−メチルアントラセン〕、9,9’−(1,3−プロパンジイル)ビス〔9,10−ジヒドロアントラセン〕、9,9’’−(1,3−プロパンジイル)ビス〔9’,10’−ジヒドロ−10’−プロピルアントラセン〕、9,9’−(1,4−ブタンジイル)ビス〔9,10−ジヒドロアントラセン〕、9,10−ビス〔3−(9,10−ジヒドロ−9−アントラセニル)エチル〕−9,10−ジヒドロ−10−メチルアントラセン、下式
【0069】
【化30】
Figure 2004149746
【0070】
で示される化合物、又は9,9’−(1,3−プロパンジイル)ビス〔10−〔3−(9,10−ジヒドロ−9−アントラセニル)プロピル〕−9,10−ジヒドロアントラセン〕等が挙げられる。
ジヒドロアントラセン系化合物(I)のうち、一部の化合物は例えばアルドリッチ(登録商標)等の市販のものを用いることができる。又、ジヒドロアントラセン系化合物(I)のうち、他の化合物は例えばChem.Ber. 11,1177−1186(1988)に記載の方法若しくは該記載の方法に準じて製造することができる。
【0071】
本発明の(イ)におけるジヒドロアントラセン系化合物(I)の含有量は、ポリカーボネート100重量部当り、好ましくは0.001重量部以上、より好ましくは0.01重量部以上である。ポリカーボネート100重量部当りのジヒドロアントラセン系化合物(I)の含有量が0.001重量部未満であると、ポリカーボネートの流動化が十分に防止できない場合がある。又、ジヒドロアントラセン系化合物(I)の含有量の上限値は、経済性の観点から、好ましくは10重量部以下、好ましくは5重量部以下である。
【0072】
本発明の(イ)はポリカーボネート及びジヒドロアントラセン系化合物(I)を含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物であるが、必要に応じて、他の添加剤、例えばフェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、ヒドロキシルアミン、金属不活性化剤、金属石鹸類、造核剤、滑剤、防曇剤、可塑剤、難燃剤、離型剤、帯電防止剤、顔料、染料、充填剤や発泡剤等を添加することもできる。更に、米国特許第4,325,853号明細書、米国特許第4,338,244号明細書、米国特許第5,175,312号明細書、米国特許第5,216,053号明細書、米国特許第5,252,643号明細書、DE−A−4,316,611号公報、DE−A−4,316,622号公報、DE−A−4,316,876号公報、EP−A−589,839号公報、EP−A−591,102号公報、CA−2,132,132号公報等に記載のベンゾフラノン類やインドリン類等を添加することもできる。
上記の添加剤、ベンゾフラノン類やインドリン類等はジヒドロアントラセン系化合物(I)と同時にポリカーボネートに添加してもよく、先ずジヒドロアントラセン系化合物(I)をポリカーボネートに添加後、次いで得られた組成物に前記の添加剤、ベンゾフラノン類やインドリン類等を添加してもよく、或いは、先ず前記添加剤、ベンゾフラノン類やインドリン類等をポリカーボネートに添加後、次いで得られた組成物にジヒドロアントラセン系化合物(I)を添加してもよい。
【0073】
上記のフェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−イソブチルフェノール、2,6−ジシクロペンチル−4−メチルフェノール、2−(α−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジオクダデシル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリシクロヘキシルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノール、2,6−ジ−ノニル−4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルウンデシル−1’−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルヘプタデシル−1’−イル)フェノールや2,4−ジメチル−6−(1’−メチルトリデシル−1’−イル)フェノール、及びこれらの混合物等のアルキル化モノフェノール類が挙げられる。
【0074】
フェノール系酸化防止剤の別の例としては、2,4−ジオクチルチオメチル−6−t−ブチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−メチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−エチルフェノールや2,6−ジドデシルチオメチル−4−ノニルフェノール、及びこれらの混合物等のアルキルチオメチルフェノール類、2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2,6−ジフェニル−4−オクタデシルオキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル ステアレートやビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル) アジペート、及びこれらの混合物等のヒドロキノン並びにアルキル化ヒドロキノン類、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロールやδ−トコフェロール、及びこれらの混合物等のトコフェロール類、2,2’−チオビス(6−t−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−オクチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3,6−ジ−t−アミルフェノール)や4,4’−(2,6−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ジスルフィド等のヒドロキシル化チオジフェニルエーテル類、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシル)フェノール]]、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−イソブチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[6−(α−メチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−(α,α−ジメチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、4,4’−メチレンビス(6−t−ブチル−2−メチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、2,6−ビス(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール、1,1,3−トリス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−n−ドデシルメルカプトブタン、エチレングリコール ビス[3,3−ビス−3’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル]ブチレート]、ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ジシクロペンタジエン、ビス[2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−6−t−ブチル−4−メチルフェニル]テレフタレート、1,1−ビス(3,5−ジメチル−2−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−n−ドデシルメルカプトブタン、1,1,5,5−テトラ(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ペンタン、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニル アクリレート、2,4−ジ−t−ペンチル−6−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]フェニル アクリレート、及びこれらの混合物等のアルキリデンビスフェノール並びにその誘導体、3,5,3’,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ジヒドロキシジベンジルエーテル、オクタデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンジルメルカプトアセテート、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)アミン、ビス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)ジチオテレフタレート、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィドやイソオクチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルメルカプトアセテート、及びこれらの混合物等のO−ベンジル誘導体、N−ベンジル誘導体並びにS−ベンジル誘導体、ジオクタデシル2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシベンジル)マロネート、ジオクタデシル2−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)マロネート、ジドデシルメルカプトエチル−2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネートやビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]−2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、及びこれらの混合物等のヒドロキシベンジル化マロネート誘導体、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、2,4,6−トリス(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)フェノール、及びこれらの混合物等の芳香族ヒドロキシベンジル誘導体、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−n−オクチルチオ−4,6−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−n−オクチルチオ−4,6−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−フェノキシ)−1,3,5−トリアジン、トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルエチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピル)−1,3,5−トリアジン、トリス(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレートやトリス[2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシシンナモイルオキシ)エチル]イソシアヌレート、及びこれらの混合物等のトリアジン誘導体、ジメチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジエチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルベンジルホスホネートや3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸モノエステルのカルシウム塩、及びこれらの混合物等のベンジルホスホネート誘導体、4−ヒドロキシラウリル酸アニリド、4−ヒドロキシステアリン酸アニリドやオクチル−N−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)カルバネート、及びこれらの混合物等のアシルアミノフェノール誘導体、β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と、メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、チオエチレングリコール、スピログリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパンや4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン及びこれらの混合物等の一価アルコール又は多価アルコールとのエステル類、β−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸と、メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、チオエチレングリコール、スピログリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパンや4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン及びこれらの混合物等の一価アルコール又は多価アルコールとのエステル類、β−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と、メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、チオエチレングリコール、スピログリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパンや4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン及びこれらの混合物等の一価アルコール又は多価アルコールとのエステル類、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸と、メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、チオエチレングリコール、スピログリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパンや4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン及びこれらの混合物等の一価アルコール又は多価アルコールとのエステル類、N,N’−ビス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、N,N’−ビス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヘキサメチレンジアミンやN,N’−ビス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]トリメチレンジアミン及びこれらの混合物等のβ−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド類等が挙げられる。
かかるフェノール系酸化防止剤は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0075】
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリル ペンタエリスリトール ジホスファイト、ジイソデシル ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、トリステアリルソルビトールトリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ジフェニレンジホスホナイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)2−エチルヘキシル ホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル) フルオロ ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル) エチルホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル) メチル ホスファイト、2−(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)−5−エチル−5−ブチル−1,3,2−オキサホスホリナン、2,2’,2’’−ニトリロ[トリエチル−トリス(3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル) ホスファイトや2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン及びこれらの混合物等が挙げられる。
かかるリン系酸化防止剤は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0076】
イオウ系酸化防止剤としては、例えばジラウリル 3,3’−チオジプロピオネート、トリデシル 3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル 3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル 3,3’−チオジプロピオネート、ラウリル ステアリル 3,3’−チオジプロピオネートやネオペンタンテトライルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)等が挙げられる。
かかるイオウ系酸化防止剤は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0077】
本発明の(イ)の組成物において、前記の酸化防止剤を含有する場合、ポリカーボネート100重量部当りの酸化防止剤量は、好ましい下限値は0.001重量部であり、好ましい上限値は、経済性の観点から、10重量部である。
【0078】
紫外線吸収剤としては、例えばフェニル サリシレート、4−t−ブチルフェニル サリシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル 3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、4−t−オクチルフェニル サリシレート、ビス(4−t−ブチルベンゾイル)レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、ヘシサデシル 3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、オクタデシル 3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエートや2−メチル−4,6−ジ−t−ブチルフェニル 3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、及びこれらの混合物等のサリシレート誘導体、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタンや2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、及びこれらの混合物等の2−ヒドロキシベンゾフェノン誘導体、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(5’−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−s−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−アミル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[3’−t−ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−ドデシル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールや2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール及びこれらの混合物、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2,2’−メチレンビス[4−t−ブチル−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]やポリ(3〜11)(エチレングリコール)と2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル]ベンゾトリアゾールとの縮合物、ポリ(3〜11)(エチレングリコール)とメチル 3−[3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネートとの縮合物、2−エチルヘキシル 3−[3−t−ブチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート、オクチル 3−[3−t−ブチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート、メチル 3−[3−t−ブチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネートや3−[3−t−ブチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸及びこれらの混合物等の2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類等が挙げられる。
かかる紫外線吸収剤は単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0079】
光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル) セバケート、ビス((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル) スクシネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル) セバケート、ビス(N−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル) セバケート、ビス(N−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1−アクロイル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル) 2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルデカンジオエート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル メタクリレート、4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−1−[2−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロピオンアミド、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートや1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び1−トリデカノールとの混合エステル化物、1,2,3,4−ブタンテトラボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール及び1−トリデカノールとの混合エステル化物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び3、9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンとの混合エステル化物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンとの混合エステル化物、ジメチルサクシネートと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、ポリ[(6−モルホリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)]、ポリ[(6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ))やN,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと1,2−ジブロモエタンとの重縮合物、N,N’,4,7−テトラキス[4,6−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−4,7−ジアザデカン−1,10ジアミン、N,N’,4−トリス[4,6−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、N,N’,4,7−テトラキス[4,6−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミンやN,N’,4−トリス[4,6−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、及びこれらの混合物等のヒンダードアミン系光安定剤、エチル α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、イソオクチル α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル α−カルボメトキシシンナメート、メチルα−シアノ−β−メチル−p−メトキシシンナメート、ブチル α−シアノ−β−メチル−p−メトキシシンナメート、メチル α−カルボメトキシ−p−メトキシシンナメートやN−(β−カルボメトキシ−β−シアノビニル)−2−メチルインドリン、及びこれらの混合物等のアクリレート系光安定剤、2,2’−チオビス−[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]のニッケル錯体、ニッケルジブチルジチオカルバメート、モノアルキルエステルのニッケル塩やケトキシムのニッケル錯体、及びこれらの混合物等のニッケル系光安定剤、4,4’−ジオクチルオキシオキサニリド、2,2’−ジエトキシオキサニリド、2,2’−ジオクチルオキシ−5,5’−ジ−t−ブチルアニリド、2,2’−ジドデシルオキシ−5,5’−ジ−t−ブチルアニリド、2−エトキシ−2’−エチルオキサニリド、N,N’−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)オキサミド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エトキシアニリドや2−エトキシ−5,4’−ジ−t−ブチル−2’−エチルオキサニリド、及びこれらの混合物等のオキサミド系光安定剤、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2,4−ジヒドロキシフェニル−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ブチルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンや2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−オクチルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン及びこれらの混合物等の2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン系光安定剤等が挙げられる。
【0080】
ヒドロキシアミンとしては、例えばN,N−ジベンジルヒドロキシアミン、N,N−ジエチルヒドロキシアミン、N,N−ジオクチルヒドロキシアミン、N,N−ジラウリルヒドロキシアミン、N,N−ジテトラデシルヒドロキシアミン、N,N−ジヘキサデシルヒドロキシアミン、N,N−ジオクタデシルヒドロキシアミン、N−ヘキサデシル−N−オクタデシルヒドロキシアミンやN−ヘプタデシル−N−オクタデシルヒドロキシアミン及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0081】
金属不活性化剤としては、例えばN,N’−ジフェニルオキサミド、N−サリチラル−N’−サリチロイルヒドラジン、N,N’−ビス(サリチロイル)ヒドラジン、N,N’−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジン、3−サリチロイルアミノ−1,2,4−トリアゾール、ビス(ベンジリデン)オキサリルジヒドラジド、オキサニリド、イソフタロイルジヒドラジド、セバコイルビスフェニルヒドラジド、N,N’−ビス(サリチロイル)オキサリルジヒドラジドやN,N’−ビス(サリチロイル)チオプロピオニルジヒドラジド、及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0082】
金属石鹸類としては、例えばステアリン酸カルシウムやステアリン酸ニッケル等が挙げられる。造核剤としては、例えば(4−t−ブチルフェニル)ホスホン酸ナトリウム、ジベンジリデンソルビトール及びメチルデンビス(2,4−ジ−t−ブチルフェノール)アシッドホスフェートナトリウム等のソルビトール系やリン酸塩系化合物が挙げられる。可塑剤としては、例えばミネラルオイル、シリコンオイルやエポキシ化大豆油等が挙げられる。難燃剤としては、例えばトリス(2−クロロエチル)ホスフェート等の含ハロゲンリン酸エステル類、ヘキサブロモシクロドデカンやデカブロモフェニルオキサイド等のハロゲン化物、三酸化アンチモン、五酸化アンチモンや水酸化アルミニウム等の金属無機化合物、及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0083】
離型剤としては、例えば脂肪族カルボン酸と多価アルコールとの部分エステルが挙げられる。この部分エステルは、多価アルコールにおける水酸基の1つ以上が未反応であるエステルである。
上記の脂肪族カルボン酸としては、ドデシル酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸やリグノセリン酸等が挙げられる。又、多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパンやペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0084】
帯電防止剤としては、例えば(β−ラウラミドプロピル)トリメチルアンモニウムメチルスルフェート等の第4級アンモニウム塩系や、アルキルホスフェート系化合物が挙げられる。
滑剤としては、例えばパラフィンやワックス等の脂肪族炭化水素、炭素数8〜22の高級脂肪族酸、炭素数8〜22の高級脂肪族酸の金属塩(アルミニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩や亜鉛塩等)、炭素数8〜22の脂肪族1価アルコール、炭素数8〜22の脂肪族多価アルコール、炭素数4〜22の高級脂肪酸と炭素数4〜18の脂肪族1価アルコールとのエステル、炭素数8〜22の高級脂肪族アマイド、シリコーン油やロジン誘導体等が挙げられる。
【0085】
ジヒドロアントラセン系化合物(I)や、必要に応じて使用されるその他の添加剤をポリカーボネートに添加する場合は、均質な組成物を得るようにすればよく、そのための方法や装置は特に限定されるものではない。例えば、ジヒドロアントラセン系化合物(I)やその他の添加剤をポリカーボネートの製造工程(重合工程)において添加する場合は、重合途中又は重合直後のポリマー液に、ジヒドロアントラセン系化合物(I)及び/又はその他の添加剤を、溶液又は分散剤の形で添加してもよく、溶融状態で添加してもよい。
ジヒドロアントラセン系化合物(I)やその他の添加剤を脱揮後の加熱工程において添加する場合は、上記ジヒドロアントラセン系化合物(I)及び/又はその他の添加剤をポリカーボネートに、直接、ドライブレンドしてもよく、ヘンシェルミキサー等のミキサーを用いて混合してもよい。又、ジヒドロアントラセン系化合物(I)やその他の添加剤をマスターバッチの形でポリカーボネートに配合することもできる。
【0086】
ポリカーボネートは、通常、250〜380℃の温度範囲で加工されるが、本発明のポリカーボネート樹脂組成物(イ)の加工温度は、好ましくは320〜350℃の範囲である。本発明のポリカーボネート樹脂組成物(イ)は、ポリカーボネートの熱分解が防止されており、例えば電子機器のハウジング、光学レンズや窓ガラス等の建材に成形する際に、外観に優れた製品を得ることができる。
又、ジヒドロアントラセン系化合物(I)はポリカーボネート用流動化防止剤として有用である。本発明の(ロ)に相当する一般式(I)で示されるポリカーボネート用流動化防止剤は、ジヒドロアントラセン系化合物(I)以外に前記の酸化防止剤や添加剤を含有していてもよい。
【0087】
本発明の(イ)、(ロ)におけるジヒドロアントラセン系化合物(I)の使用量は、ポリカーボネートの100重量部に対して、好ましくは0.01重量部〜10重量部の範囲であり、より好ましくは0.05重量部〜5重量部の範囲である。
【0088】
【実施例】
以下、実施例等により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0089】
参考例1
ポリカーボネート〔住友ダウ社製 カリバー 200−3〕の100重量部に9,10−ジヒドロアントラセンを0.05重量部加え、30mmφの一軸押出機を用いて340℃で溶融混練してポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。上記方法で得たペレットを熱風乾燥後、キャピログラフ〔東洋精機製作所製のCAPIROGRAPH 1C、キャピラリーの長さは1cm、径は1mm〕を用い、340℃、荷重移動速度10mm/min.における粘度〔Pa・s〕を測定した。粘度(ηa)は540〔Pa・s〕であった。
【0090】
実施例1
ポリカーボネート〔住友ダウ社製 カリバー 200−3〕の100重量部に2−(1’,1’−ジメチルエチル)−9,10−ジヒドロアントラセンを0.1重量部加え、30mmφの一軸押出機を用いて340℃で溶融混練してポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。得られたペレットを熱風乾燥後、5.5oz.射出成型機〔東芝機械プラスチックエンジニアリング、型式 IS 100 E−BAV〕を用いて340℃で成型することにより、長さ60mm、幅60mm、厚さ10mmの平板シートを作製した。得られたシートを耐候性試験機(XeWOM、アトラス社製、型式Ci35)を用いて、63℃で24時間連続的に照射し、照射後のシートの色相変化〔ΔYI〕を測定した。色相の測定結果を表1に示した。なお、ΔYI=照射後の色相〔YI〕−照射前の色相〔YI〕であり、ΔYI値が小さいほど黄変が少ないことを示す。
【0091】
比較例1
2−(1’,1’−ジメチルエチル)−9,10−ジヒドロアントラセンの代わりに9,10−ジヒドロアントラセンを0.1重量部加える以外は、実施例1と同様にして平板シートを作製した。このシートを実施例1と同様にして照射し、照射後のシートの色相変化〔ΔYI〕を測定した。色相の測定結果を表1に示した。
【0092】
【表1】
Figure 2004149746
【0093】
【発明の効果】
本発明によれば、公知のポリカーボネート樹脂組成物に比べて、ポリカーボネートの耐候性が改良される。

Claims (9)

  1. ポリカーボネート及び下記一般式(I)で示されるジヒドロアントラセン系化合物を含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
    Figure 2004149746
    [式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシル基、シクロアルキル基、シクロアルキルで置換されたアルキル基、単環若しくは二環のアリール基、単環若しくは二環のアリールアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、単環若しくは二環のアリールカルボニル基、単環若しくは二環のアリールオキシカルボニル基、単環若しくは二環のアリールカルボニルオキシ基、次式(Ia)
    Figure 2004149746
    で示される基、又は次式(Ia’)
    Figure 2004149746
    <式中、R及びR’はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシル基、シクロアルキル基、シクロアルキルで置換されたアルキル基、単環若しくは二環のアリール基、単環若しくは二環のアリールアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、単環若しくは二環のアリールカルボニル基、単環若しくは二環のアリールオキシカルボニル基、又は単環若しくは二環のアリールカルボニルオキシ基を表す。R11〜R18及びR11’〜R18’は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルキル基、アルコキシル基、シクロアルキル基、シクロアルキルで置換されたアルキル基、単環若しくは二環のアリール基、単環若しくは二環のアリールオキシ基、単環若しくは二環のアリールアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、単環若しくは二環のアリールカルボニルオキシ基、−COOR{式中、Rはシクロアルキル基、単環若しくは二環のアリール基、又は、単環若しくは二環のアリールアルキル基を表す。}で示される基、下式(a)
    Figure 2004149746
    {式中、Bは単環若しくは二環のアリーレン基、−CH−基又はアルキレン基を表し、Z及びZはそれぞれ独立にアルキル基又は単環若しくは二環のアリール基を表し、Aは有機酸又は無機酸を表す。}
    で示されるアミン塩の残基、下式(b)
    Figure 2004149746
    {式中、R、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基を表し、Xはハロゲン原子又はヒドロキシル基を表す。}
    で示される4級アンモニウム塩の残基、下式(c)
    Figure 2004149746
    {式中、X及びXは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、カルボキシル基、アルコキシル基又はカルバモイル基を表す。}
    で示されるピリジニウム基、又は−SOM{式中、Mは水素原子又はアルカリ金属原子を表す。}で示される基を表す。X及びXは、それぞれ独立に直接結合、−CH−基若しくはアルキレン基を表し、該アルキレン基の炭素−炭素結合は−O−、−S−、−NH−、カルバモイル基若しくはカルボニル基で中断されていてもよい。又、上記のX及びXで表される−CH−基若しくはアルキレン基の水素原子はヒドロキシル基で置換されていてもよい。>
    で示される基を表す。
    〜R10は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルキル基、アルコキシル基、シクロアルキル基、シクロアルキルで置換されたアルキル基、単環若しくは二環のアリール基、単環若しくは二環のアリールオキシ基、単環若しくは二環のアリールアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、単環若しくは二環のアリールカルボニルオキシ基、−COORで示される基、上記アミン塩の残基、上記4級アンモニウム塩の残基、上記ピリジニウム基、−SOMで示される基、下式(Ib)
    Figure 2004149746
    で示される基、又は下式(Ib’)
    Figure 2004149746
    {式中、R、R、及びR11〜R18は前記の意味である。X’は直接結合、−CH−基若しくはアルキレン基を表し、該アルキレン基の炭素−炭素結合は−O−、−S−、−NH−、カルバモイル基若しくはカルボニル基で中断されていてもよい。}
    で示される基を表す。
    又、R〜R10において、互いに隣接する2つの基は、これらの基が各々結合する炭素−炭素結合と共にベンゼン環を形成してもよい。
    上記のR〜R10、Z、Z、R、R、R、R11〜R18及びR11’〜R18’で表されるアルキル基はハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルカルボニルアミノ、アミノ及びカルバモイルからなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよく、上記のR〜R10、R11〜R18及びR11’〜R18’で表されるアルコキシル基はハロゲン、ヒドロキシ、フェニル、アルキルカルボニルアミノ、アミノ及びカルバモイルからなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよく、上記のR、R〜R10、R11〜R18及びR11’〜R18’で表されるシクロアルキル基、シクロアルキルで置換されたアルキル基におけるシクロアルキルは、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、フェニル、アミノ及びカルバモイルからなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよく、上記のR、R〜R10、R11〜R18、R11’〜R18’、Z及びZで表される単環若しくは二環のアリール基はハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、アミノ及びカルバモイルからなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよく、上記のR、R〜R10、R11〜R18及びR11’〜R18’で表される単環若しくは二環のアリールアルキル基におけるアリールはハロ
    ゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、アミノ及びカルバモイルからなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよく、前記のR、R〜R10、R11〜R18及びR11’〜R18’で表される単環若しくは二環のアリールアルキル基におけるアルキルはハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ及びカルバモイルからなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよい。
    上記のR〜R10、R11〜R18、及びR11’〜R18’で表されるアルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基及びアルキルスルホニルオキシ基は、それぞれハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、フェニル、アミノ及びカルバモイルからなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよく、上記のR〜R10、R11〜R18及びR11’〜R18’で表される単環若しくは二環のアリールカルボニルオキシ基は、それぞれハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、アミノ及びカルバモイルからなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよい。
    上記のBで表される単環若しくは二環のアリーレン基はハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、アミノ及びカルバモイルからなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよく、前記Bで表される−CH−及びアルキレン基はハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ及びカルバモイルからなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよい。
    又、前記Rで表されるシクロアルキル基、R〜R10、R11〜R18及びR11’〜R18’で表されるシクロアルキル基、並びに、シクロアルキルで置換されたアルキル基におけるシクロアルキルは、1個のアリール基と縮環していてもよい。更に、この1個のアリール基と縮環していてもよいR、R〜R10、R11〜R18及びR11’〜R18’で表されるシクロアルキル基におけるアリール基は、単環のアリール基でもよく、複数の環が縮合したアリール基であってもよい。
    但し、R〜R10の全てが同時に水素原子であることはない。又、R及びRの少なくとも一つが式(Ia)基又は式(Ia’)基を表すときは、R〜R10は式(Ib)基又は式(Ib’)基を表すことはなく、更に、R〜R10の少なくとも一つが式(Ib)基又は式(Ib’)基を表すときは、R及びRは式(Ia)又は(Ia’)基を表すことはない。]
  2. ジヒドロアントラセン系化合物(I)の含有量が、ポリカーボネート100重量部当り0.001重量部以上である請求項1に記載の組成物。
  3. 及びRが、水素原子である請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 〜R10の一つ以上が、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルキル基、アルコキシル基、シクロアルキル基、シクロアルキルで置換されたアルキル基、単環若しくは二環のアリール基、単環若しくは二環のアリールオキシ基、単環若しくは二環のアリールアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、単環若しくは二環のアリールカルボニルオキシ基、−COOR[式中、Rは請求項1に記載の意味を表す。]で示される基、式(a)で示されるアミン塩の残基、式(b)で示される4級アンモニウム塩の残基、式(c)で示されるピリジニウム基、−SOM[式中、Mは請求項1に記載の意味を表す。]で示される基、式(Ib)で示される基、又は式(Ib’)で示される基である請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
  5. 〜R10の一つ以上が、炭素数3〜10のアルキル基、炭素数3〜10のアルコキシル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキルで置換された炭素数1〜10のアルキル基、単環のアリール基、単環のアリールオキシ基、又は単環のアリールアルキル基である請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
  6. 請求項1に記載の一般式(I)で示されるポリカーボネート用流動化防止剤。
  7. 及びRが、水素原子である請求項6に記載のポリカーボネート用流動化防止剤。
  8. 〜R10の一つ以上が、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルキル基、アルコキシル基、シクロアルキル基、シクロアルキルで置換されたアルキル基、単環若しくは二環のアリール基、単環若しくは二環のアリールオキシ基、単環若しくは二環のアリールアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、単環若しくは二環のアリールカルボニルオキシ基、−COOR[式中、Rは請求項1に記載の意味を表す。]で示される基、式(a)で示されるアミン塩の残基、式(b)で示される4級アンモニウム塩の残基、式(c)で示されるピリジニウム基、−SOM[式中、Mは請求項1に記載の意味を表す。]で示される基、式(Ib)で示される基、又は式(Ib’)で示さ
    れる基である請求項6又は7に記載のポリカーボネート用流動化防止剤。
  9. 〜R10の一つ以上が、炭素数3〜10のアルキル基、炭素数3〜10のアルコキシル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキルで置換された炭素数1〜10のアルキル基、単環のアリール基、単環のアリールオキシ基、又は単環のアリールアルキル基である請求項6〜8のいずれかに記載のポリカーボネート用流動化防止剤。
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