JP2004149371A - フッ素添加ガラス材料の製造方法、フッ素添加ガラス材料 - Google Patents

フッ素添加ガラス材料の製造方法、フッ素添加ガラス材料 Download PDF

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忠之 稲葉
Tomohiro Nunome
智宏 布目
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圭祐 内山
Takafumi Kajima
孝文 鹿嶋
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Abstract

【課題】大型で、内部に気泡が無く、屈折率の均一性の高いフッ素添加ガラス材料を容易に製造できるフッ素添加ガラス材料の製造方法、およびこの製造方法によって製造されたフッ素添加ガラス材料を提供する。
【解決手段】気相法により合成した多孔質ガラスをフッ素化合物の存在下で加熱する工程にて、フッ素化合物および該フッ素化合物と反応してフッ素ガスを遊離する物質を同時に添加し、前記多孔質ガラスの存在する雰囲気中にフッ素ガスを遊離する。前記フッ素化合物をフッ化ケイ素、フッ化炭素、フッ化窒素の中から選ばれるものとし、該フッ素化合物と反応してフッ素ガスを遊離する物質が酸素とする。多孔質ガラスを、前記フッ素化合物および酸素の存在する雰囲気中で加熱する温度を、900〜1200℃とする。フッ素化合物の流量に対する酸素の流量の比を2.0〜20.0とする。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、気相法により合成した多孔質ガラスを、フッ素化合物の存在下で加熱することにより、フッ素が添加されたガラス材料を製造するフッ素添加ガラス材料の製造方法、およびこの製造方法によって製造されたフッ素添加ガラス材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
VAD(Vapour Phase Axial Deposition) 法、OVD(Outside Vapour Deposition)法などの気相法により作製された多孔質ガラスを焼結し、透明ガラス化して得られたガラス材料は、純度が高く、広い波長範囲で光の透過率が高いため、光ファイバやレンズ、プリズムなどの光学材料に好適な材料である。このような光学材料の中でも、半導体製造用の縮小投影型露光装置などに用いられるレンズは大型であり、紫外線透過率や、屈折率の均一性が高いことが要求される。
【0003】
このようなレンズの材料となる石英ガラスには、紫外線の透過率を高めるために、フッ素を添加する場合がある。石英ガラスにフッ素を添加すると石英ガラスの屈折率が低下し、石英ガラスに添加されたフッ素の濃度が高いほど、石英ガラスの屈折率は低下する。したがって、石英ガラスの屈折率の均一性を高く維持するためには、フッ素を石英ガラスに均一に添加しなければならない。
【0004】
気相法で作製された多孔質ガラスは、一般的に、ヘリウム(He)ガス気流中、四フッ化ケイ素(SiF)などのフッ素化合物の存在下、温度900〜1300℃で数時間加熱されて、フッ素が添加される。その後、加熱温度を1350〜1450℃程度に上昇し、多孔質ガラスを焼結して、透明化する。
気相法により作製されたガラス材料の屈折率の均一性を確保する方法としては、例えば、気相法により多孔質ガラスを作製する際に、多孔質ガラスの外周部の嵩密度を、中心部の嵩密度よりも高くなるようにするフッ素添加ガラス物品の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、多孔質ガラスとフッ素化合物との反応工程を二段階とし、第1の工程では加熱によって多孔質ガラスの外周部の嵩密度を高くし、これにより、第2の工程で多孔質ガラスとフッ素が反応する時に、多孔質ガラスの透明化が進行するのを防ぐガラス物品の製造方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−114522号公報
【特許文献2】
特開2002−274876号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のようなガラス物品の製造方法では、大型のフッ素が添加されたガラス材料(以下、「フッ素添加ガラス材料」とする。)を製造する場合、以下に示す(1)〜(3)のような問題がある。
(1)目的とするフッ素添加ガラス材料の外径が大きいため、その前駆体である多孔質ガラスの外径も大きくする必要がある。多孔質ガラスの外径が大きくなるほど、フッ素が多孔質ガラスの中心部まで浸透するには時間がかかり、製造時間が長くなる。
【0008】
(2)フッ素が添加された多孔質ガラスは軟化温度が低下するため、フッ素添加工程における加熱によっても、フッ素化合物が拡散し易い(フッ素が先に添加された)多孔質ガラスの外周部の透明化が進行し、フッ素化合物の多孔質ガラスの中心部への拡散速度が低下することがある。一方、フッ素化合物が拡散し難い多孔質ガラスの中心部は、添加されたフッ素の濃度が低いため、外周部よりも軟化温度が高い。多孔質ガラスの中心部の軟化温度が高いと、中心部の透明化が進行し難く、最終的に得られるフッ素添加ガラス材料の中心部には、内部に空気などのガスを含む気泡が残存する可能性が高くなる。また、場合によっては、温度上昇時に気泡内に含まれるガスが膨張して、フッ素添加ガラス材料が破損することもある。
【0009】
(3)気相法により作製された多孔質ガラスの嵩密度が高い場合、比較的分子量の大きいフッ素化合物は拡散性が悪く、多孔質ガラスの中心部にまで十分に拡散しないため、多孔質ガラスの中心部では、外周部よりもフッ素濃度が低くなる。フッ素濃度にばらつきのあるガラス材料は、高い屈折率の均一性を確保できないので、レンズの材料として使用できない。
【0010】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、大型で、内部に気泡が無く、屈折率の均一性の高いフッ素添加ガラス材料を容易に製造できるフッ素添加ガラス材料の製造方法、およびこの製造方法によって製造されたフッ素添加ガラス材料を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、気相法により合成した多孔質ガラスをフッ素化合物の存在下で加熱した後、該多孔質ガラスを焼結して透明化するフッ素添加ガラス材料の製造方法において、前記多孔質ガラスをフッ素化合物の存在下で加熱する際に、フッ素化合物および該フッ素化合物と反応してフッ素ガスを遊離する物質を同時に添加し、前記多孔質ガラスの存在する雰囲気中にフッ素ガスを遊離するフッ素添加ガラス材料の製造方法によって解決できる。
上記フッ素添加ガラス材料の製造方法において、前記フッ素化合物がフッ化ケイ素、フッ化炭素、フッ化窒素の中から選ばれるものであり、該フッ素化合物と反応してフッ素ガスを遊離する物質が酸素であることが好ましい。
前記多孔質ガラスを、前記フッ素化合物および酸素の存在する雰囲気中で加熱する温度を、900〜1300℃とするか、あるいは1000〜1200℃とすることが好ましい。
前記多孔質ガラスを、前記フッ素化合物および酸素の存在する雰囲気中で加熱した後、該多孔質ガラスを1350〜1450℃まで昇温させることにより焼結して透明化することが好ましい。
前記フッ素化合物の流量に対する酸素の流量の比を2.0〜20.0とすることが好ましい。
前記多孔質ガラスを、前記フッ素化合物と酸素の存在下で加熱する時間を5時間以上とすることが好ましい。
前記多孔質ガラスの平均嵩密度が0.3〜0.5g/cmであることが好ましい。
また、前記課題は、上記の製造方法で製造されたフッ素添加ガラス材料によって解決できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明のフッ素添加ガラス材料の製造方法では、まず、VAD法、OVD法などの気相法により多孔質ガラスを作製する。ここでは、VAD法による多孔質ガラスの作製方法を説明する。
石英製の多重管バーナに酸素ガスおよび水素ガスを供給し、酸水素火炎を発生させる。この酸水素火炎に多重管バーナの中心部から気体状の四塩化ケイ素(SiCl)を供給し、加水分解反応を起こしてシリカ(SiO)微粒子を生成し、このシリカ微粒子を所定時間、軸周りに回転する石英ガラスからなる出発部材の外周部および下端部に堆積させて、多孔質ガラスを作製する。
【0013】
この多孔質ガラスの作製方法においては、その平均嵩密度を0.3〜0.5g/cm、好ましくは0.4〜0.5g/cmとなるように、酸素ガス、水素ガスおよび四塩化ケイ素の供給量などを適宜調節する。得られた多孔質ガラスの平均嵩密度が0.3g/cm未満では、多孔質ガラスが脆いため、フッ素添加工程において割れたりすることがある。一方、多孔質ガラスの平均嵩密度が0.5g/cmを超えると、フッ素が多孔質ガラスの中心部まで十分に拡散し難くなる。
【0014】
次に、得られた多孔質ガラスを、石英製のマッフル内に収容する。この状態で、マッフル内にヘリウムガスを、その外壁部に設けられた導入口から導入し、外壁部に設けられた排出口から排出するようにする。なお、このときフッ素化合物および酸素と共にマッフル内に導入されるヘリウムの流量を、10〜20L/minとすることが好ましい。
【0015】
ここで用いられるマッフルは外形が円筒形状の焼結炉で、内部に多孔質ガラスを収容できるようになっており、その大きさは、収容される多孔質ガラスの大きさに応じて適宜設定される。
マッフルの外壁部は、複数の抵抗加熱体で包囲されており、これにより、マッフル内の温度を500〜1500℃までの範囲で所定温度に調節可能となっている。
【0016】
このマッフルの外壁部には、マッフルの内部にフッ素化合物およびこのフッ素化合物と反応してフッ素を遊離する物質を導入するための導入口が設けられている。この導入口としては、フッ素化合物を導入するためのものと、フッ素化合物と反応してフッ素を遊離する物質を導入するためのものとを個別に設けても、共用してもよい。導入口には、フッ素化合物またはフッ素化合物と反応してフッ素を遊離する物質が収容されたガスボンベなどの容器に接続された導入管が接続されている。
また、マッフルの外壁部には、フッ素化合物、フッ素化合物と反応してフッ素を遊離する物質およびマッフル内部で発生したガスなどを外部に排出するための排出口が設けられており、この排出口には、これらの物質を回収する装置などに接続された排出管が接続されている。
さらに、マッフルの外壁部には、マッフルの内部にヘリウムガスを導入するための導入口、および、このヘリウムガスをマッフルの外部に排出するための排出口が設けられている。
【0017】
次に、抵抗加熱体に所定の電流を流し(電圧を印加し)てマッフルを加熱し、マッフル内の温度を900〜1300℃、好ましくは1000〜1200℃とする。マッフル内の温度が900℃未満では、多孔質ガラスの内部(中心部)までフッ素が十分に拡散しないため、多孔質ガラスの中心部のフッ素濃度は、外周部よりも低くなり、最終的に得られるフッ素添加ガラス材料の屈折率の均一性が低くなる。また、後述するフッ素化合物と、フッ素化合物と反応してフッ素を遊離する物質との反応が十分に進行しないため、所望のフッ素の発生量が得られず、フッ素添加ガラス材料の製造効率が悪くなる。一方、マッフル内の温度が1300℃を超えると、多孔質ガラスの外周部から透明化が進行し、中心部までフッ素が十分に拡散し難くなる。
【0018】
次に、マッフル内の温度が所定温度に一定に保たれた後、マッフル内に、その外壁部に設けられた一の導入口からフッ素化合物と、このフッ素化合物と反応してフッ素を遊離させる物質とを同時に導入し、他の導入口からヘリウムを導入し、マッフル内の雰囲気をフッ素化合物およびフッ素化合物と反応してフッ素を遊離する物質を含むものとする。
本発明で用いられるフッ素化合物としては、四フッ化ケイ素(SiF)、六フッ化二ケイ素(Si)などのフッ化ケイ素、テトラフルオルメタン(CF)、ヘキサフルオルエタン(C)などのフッ化炭素、三フッ化窒素(NF)などのフッ化窒素などが挙げられる。これらの中でも、フッ素の添加する効率、価格、ガラス材料の純度維持などの理由から、四フッ化ケイ素が好ましく用いられる。
また、本発明では、これらのフッ素化合物と反応してフッ素を遊離させる物質として、酸素が用いられる。
【0019】
本発明では、多孔質ガラスをフッ素化合物XF(X;Si,C,N)と反応させ、多孔質ガラスにフッ素を添加する工程において、フッ素化合物と酸素を同時に添加することにより、マッフル内で下記式(1)のような反応を生じさせる。
【0020】
【数1】
Figure 2004149371
【0021】
上記式(1)のような反応により、マッフル内にフッ素(F)ガスが発生し、このフッ素ガスが多孔質ガラス内に拡散し、多孔質ガラスに添加される。この反応により発生したフッ素ガスは、従来、多孔質ガラスへのフッ素添加に用いられていた四フッ化ケイ素(SiF)などのフッ素化合物よりも分子量が小さいため、比較的拡散性が高い。よって、フッ素ガスは、四フッ化ケイ素よりも短時間で多孔質ガラスの中心部まで浸透する。また、従来と同じ四フッ化ケイ素の使用量で、より多くのフッ素を多孔質ガラスに添加することができるため、高価な四フッ化ケイ素ガスを節約することができ、製造コストを下げることもできる。
【0022】
また、四フッ化ケイ素などのフッ素化合物をマッフル内に導入する際に、フッ素化合物の流量を20mL/minとし、酸素の流量を1.0〜40.0mL/minとする。
さらに、フッ素化合物の流量に対する酸素の流量の比(酸素の流量/フッ素化合物の流量)を2.0〜20.0とし、好ましくは2.0〜4.0とする。両物質の流量の比(以下、「流量比」とする。)が2.0未満では、フッ素化合物と酸素との反応が十分に進行しないため、所望のフッ素ガスの発生量が得られない。一方、流量比が20.0を超えると、焼結時に酸素が多孔質ガラス内部に残留し、気泡を生じる原因となる。
【0023】
ところで、多孔質ガラスとフッ素化合物単体を反応させると、多孔質ガラスに添加されたフッ素が脱離することにより、酸素欠乏型欠陥を生じる。
そこで、上記のように、流量比を2.0〜20.0の範囲とすれば、多孔質ガラスにフッ素を添加する際に、フッ素化合物に対して、酸素を過剰に添加することになるので、この酸素によって、酸素欠乏型欠陥を修復することができる。特に、真空紫外域における吸収の大きい酸素欠乏型欠陥が減るので、紫外線透過率が向上したフッ素添加ガラス材料を製造することができる。
【0024】
また、マッフル内の雰囲気をフッ素化合物および酸素を含むものとした状態で、マッフル内の温度を、上記の所定温度に一定時間保持する。フッ素化合物から遊離したフッ素ガスが、多孔質ガラス内に十分に拡散するのに必要な時間は、多孔質ガラスの大きさや嵩密度によって異なる。よって、多孔質ガラスの大きさや嵩密度に応じて、マッフル内に収容した多孔質ガラスを、フッ素化合物と酸素の存在下で所定温度に加熱する時間を5時間以上とすることが好ましい。このようにすれば、多孔質ガラス内にフッ素ガスを十分に拡散させることができる。
【0025】
マッフル内に収容した多孔質ガラスを、フッ素化合物と酸素の存在下で所定温度に一定時間保持し、フッ素ガスを多孔質ガラス内に十分に拡散させた後、マッフルを抵抗加熱体によりさらに加熱して、マッフル内の温度を1350〜1450℃とし、フッ素が添加された多孔質ガラスを焼結して、透明化し、フッ素添加ガラス材料を得る。
【0026】
本発明のフッ素添加ガラス材料の製造方法によれば、多孔質ガラスにフッ素を添加する際に、従来用いられていた四フッ化ケイ素などのフッ素化合物よりも分子量が小さく、拡散性の高いフッ素ガスを用いるので、多孔質ガラスの外径が大きくなっても、フッ素が多孔質ガラスの中心部まで十分に拡散、浸透するので、製造時間を短縮することができる。
また、フッ素が添加された多孔質ガラスの外周部と中心部におけるフッ素濃度のばらつきが少ないため、この多孔質ガラスの外周部の軟化温度と、中心部の軟化温度に差が生じないから、この多孔質ガラスを焼結して得られるフッ素添加ガラス材料の内部には気泡が残存することはない。
また、フッ素が添加された多孔質ガラスの外周部と中心部におけるフッ素濃度のばらつきが少なくなるから、この多孔質ガラスを焼結して得られるフッ素添加ガラス材料は、屈折率の均一性の高いものとなる。
さらに、従来のように、多孔質ガラスとフッ素化合物単体を反応させると、多孔質ガラスに添加されたフッ素が脱離することにより、酸素欠乏型欠陥を生じる。本発明のフッ素添加ガラス材料の製造方法によれば、多孔質ガラスにフッ素を添加する際に、フッ素化合物と共に酸素を添加するので、この酸素によって、酸素欠乏型欠陥を修復することができる。特に、真空紫外域における吸収の大きい酸素欠乏型欠陥が減るので、紫外線透過率が向上したフッ素添加ガラス材料を製造することができる。
以上のことから、本発明のフッ素添加ガラス材料の製造方法によれば、半導体製造用の縮小投影型露光装置などに用いられる大型レンズ用のガラス材料を容易に製造することが可能となる。
【0027】
なお、本発明と同様の効果は、多孔質ガラスにフッ素ガス単体あるいはフッ化水素ガス単体を添加することによっても達成できる。しかしながら、フッ素ガスやフッ化水素ガスは腐食性が高く、人体への毒性も強いため、安全に取り扱うためには、高価な供給装置が必要となるので、経済的ではない。
【0028】
以下、具体的な実施例を示して、本発明の効果を明らかにする。
(実施例)
石英製の多重管バーナに、酸素を流量60L/min、水素を流量120L/minで供給して生じる酸水素火炎に、この多重管バーナの中心部から気体状の四塩化ケイ素(SiCl)を流量10L/minで供給し、加水分解反応を起こして、シリカ微粒子を生成し、このシリカ微粒子を、鉛直に吊り下げられ、軸回りに回転する出発部材の外周部および下端部に堆積させた。シリカ微粒子の出発部材への堆積を20時間継続し、多孔質ガラスを作製した。得られた多孔質ガラスは、長さ1000mm、外径200mmで、平均嵩密度が0.3〜0.5g/cmであった。
次に、この多孔質ガラスを、直径300mm、高さ2000mmの円筒形状で、外壁部が複数の抵抗加熱体で包囲された石英製マッフル内に収容した。この状態で、マッフル内にヘリウムガスを流量20L/minで、その外壁部に設けられた導入口から導入し、外壁部に設けられた排出口から排出するようにした。
次に、抵抗加熱体によりマッフルを加熱し、マッフル内の温度を900〜1300℃の範囲内の一定温度に保持した後、マッフル内に、その外壁部に設けられた導入口から四フッ化ケイ素(SiF)と、酸素とを同時に導入した。この時、四フッ化ケイ素の流量を2mL/min、酸素の流量を1〜40mL/minとした。
表1に示す実験番号1〜6では、マッフル内の温度(SiFの反応温度)を900〜1300℃の範囲で変化させた。
表1に示す実験7、8では、マッフル内の温度(SiFの反応温度)を1200℃とし、SiFの流量に対する酸素の流量の比を変化させた。
この状態で、マッフル内の温度を一定に保持する時間(SiFの反応時間)を5時間とした。
その後、マッフルを抵抗加熱体によりさらに加熱して、マッフル内の温度を1350〜1450℃とし、フッ素が添加された多孔質ガラスを焼結して、透明化し、フッ素が添加されたガラス材料を得た。
得られたガラス材料を冷却した後、出発部材から切り離し、所定の加工、研磨を施して、表1に示す実験番号1〜8のレンズ材料を作製した。
【0029】
(比較例)
マッフル内の温度を1200℃に保持した後、四フッ化ケイ素を流量2mL/minでマッフル内に導入し、酸素を用いずに、マッフル内の温度を5時間または10時間一定に保持した以外は実施例と同様にして、表1に示す実験番号9、10のレンズ材料を作製した。
【0030】
【表1】
Figure 2004149371
【0031】
また、実施例および比較例で作製したレンズ材料を、その軸方向と垂直に切断し、切断面の中心部および外周部のフッ素濃度を、ラマン分析に測定した。結果を表2に示す。なお、表2中、フッ素濃度差は、外周部のフッ素濃度と中心部のフッ素濃度の差を示している。
また、実施例および比較例で作製したレンズ材料の光の透過率を、紫外線分光測定器を用いて測定した。
【0032】
【表2】
Figure 2004149371
【0033】
ガラス材料が、半導体製造用の縮小投影型露光装置のレンズとして用いられる場合、ガラス材料の外周部と中心部の屈折率差は2.0×10−5以下でなければならない。この屈折率差を2.0×10−5以下とするには、フッ素濃度差を60ppm以下に抑えなければならない。
表2の結果から、実験番号1〜4および6は、フッ素濃度差を60ppm以下に抑えることができた。
特に、実験番号2、3、4では、フッ素濃度差が10ppmと最も低くなっており、SiFの反応温度は1000〜1200℃が最適であることが確認された。
一方、従来技術で作製した、実験番号9のレンズ材料のフッ素濃度差は660ppmであった。実験番号9と同一条件で、SiFの反応時間のみを延長した実験番号10のレンズ材料のフッ素濃度差は650ppmであり、反応時間の延長による効果は得られなかった。
また、実験願号6のレンズ材料の光の透過率を、紫外線分光測定器により測定したところ、波長193nmにおける光の透過率は90%であった。一方、同様にして測定した実験番号9のレンズ材料の波長193nmにおける光の透過率は85%であった。また、実験番号9では、波長160nm付近における光の透過率の低下が見られたが、実験番号6では同様の光の透過率の低下が見られなかった。波長160nm付近における光の吸収は、酸素欠乏型欠陥に由来するものである。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のフッ素添加ガラス材料の製造方法によれば、多孔質ガラスにフッ素を添加する際に、従来用いられていた四フッ化ケイ素などのフッ素化合物よりも分子量が小さく、拡散性の高いフッ素ガスを用いるので、多孔質ガラスの外径が大きくなっても、フッ素が多孔質ガラスの中心部まで十分に拡散、浸透するので、フッ素添加ガラス材料の製造時間を短縮することができるため、フッ素添加ガラス材料の製造コストを削減することができる。
また、フッ素が添加された多孔質ガラスの外周部と中心部におけるフッ素濃度のばらつきが少なくなるから、この多孔質ガラスを焼結して得られるフッ素添加ガラス材料は、内部には気泡が無く、屈折率の均一性の高いものとなる。
さらに、従来のように、多孔質ガラスとフッ素化合物単体を反応させると、多孔質ガラスに添加されたフッ素が脱離することにより、酸素欠乏型欠陥を生じる。本発明のフッ素添加ガラス材料の製造方法によれば、多孔質ガラスにフッ素を添加する際に、フッ素化合物と共に酸素を添加するので、この酸素によって、酸素欠乏型欠陥を修復することができる。特に、真空紫外域における吸収の大きい酸素欠乏型欠陥が減るので、紫外線透過率が向上したフッ素添加ガラス材料を製造することができる。

Claims (9)

  1. 気相法により合成した多孔質ガラスをフッ素化合物の存在下で加熱した後、該多孔質ガラスを焼結して透明化するフッ素添加ガラス材料の製造方法において、
    前記多孔質ガラスをフッ素化合物の存在下で加熱する際に、フッ素化合物および該フッ素化合物と反応してフッ素ガスを遊離する物質を同時に添加し、前記多孔質ガラスの存在する雰囲気中にフッ素ガスを遊離することを特徴とするフッ素添加ガラス材料の製造方法。
  2. 請求項1記載のフッ素添加ガラス材料の製造方法において、
    前記フッ素化合物がフッ化ケイ素、フッ化炭素、フッ化窒素の中から選ばれるものであり、該フッ素化合物と反応してフッ素ガスを遊離する物質が酸素であることを特徴とするフッ素添加ガラス材料の製造方法。
  3. 前記多孔質ガラスを、前記フッ素化合物および酸素の存在する雰囲気中で加熱する温度を900〜1300℃とすることを特徴とする請求項2記載のフッ素添加ガラス材料の製造方法。
  4. 前記多孔質ガラスを、前記フッ素化合物および酸素の存在する雰囲気中で加熱する温度を1000〜1200℃とすることを特徴とする請求項2記載のフッ素添加ガラス材料の製造方法。
  5. 前記多孔質ガラスを、前記フッ素化合物および酸素の存在する雰囲気中で加熱した後、該多孔質ガラスを1350〜1450℃まで昇温させることにより焼結して透明化することを特徴とする請求項3または4記載のフッ素添加ガラス材料の製造方法。
  6. 前記フッ素化合物の流量に対する酸素の流量の比を2.0〜20.0とすることを特徴とする請求項3ないし5のいずれかに記載のフッ素添加ガラス材料の製造方法。
  7. 前記多孔質ガラスを、前記フッ素化合物と酸素の存在下で加熱する時間を5時間以上とすることを特徴とする請求項3ないし6のいずれかに記載のフッ素添加ガラス材料の製造方法。
  8. 前記多孔質ガラスの平均嵩密度が0.3〜0.5g/cmであることを特徴とする請求項3ないし7のいずれかに記載のフッ素添加ガラス材料の製造方法。
  9. 請求項1ないし8のいずれかに記載の製造方法で製造されたことを特徴とするフッ素添加ガラス材料。
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