JP2004149306A - 高所作業車 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、高所作業車のブーム先端に取り付けられる作業台をレベリングするレベリング機構の構成部品点数を減らしてコストを軽減し、なおかつ重量のバランスを改善して安全性を高めることが可能な高所作業車を提供する。
【解決手段】本高所作業車のレベリング機構としては、ブーム5内に第一伸縮シリンダ7に連動した第二伸縮シリンダ21を設けることによりブーム5が伸縮動しても、ブーム基端とブーム先端の間に平行四辺形P1P2P3P4を維持できる平行リンク機構を利用する。この平行リンク機構によって、従来のレベリング装置より構成部品点数を減少させることができる。また、この第二伸縮シリンダ21をブーム5内に配設することによって重心が車体側に移動して重量のバランスも良く、ブーム作動による作用する車体の転倒モーメントも小さくして高所作業車の全性を向上させることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】本高所作業車のレベリング機構としては、ブーム5内に第一伸縮シリンダ7に連動した第二伸縮シリンダ21を設けることによりブーム5が伸縮動しても、ブーム基端とブーム先端の間に平行四辺形P1P2P3P4を維持できる平行リンク機構を利用する。この平行リンク機構によって、従来のレベリング装置より構成部品点数を減少させることができる。また、この第二伸縮シリンダ21をブーム5内に配設することによって重心が車体側に移動して重量のバランスも良く、ブーム作動による作用する車体の転倒モーメントも小さくして高所作業車の全性を向上させることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、起伏動および伸縮動自在なブーム先端に作業者搭乗用の作業台を有した高所作業車に関する。
【0002】
【従来の技術】
このような高所作業車では、ブーム先端の作業台に搭乗した作業者の安全性および使い勝手等の観点から、作業台を常に水平に保つ水平取り(レベリング)が行われる。このレベリングを行うレベリング装置は、従来より種々のものが提供されている。例えば、ブームと作業台との間にブラケットを設け、ブームの先端に設けられた油圧レベリングシリンダによりブームに対してブラケットをレベリングすることでブラケットに支持される作業台をレベリングさせるものが存在する。このようにブームの先端でレベリングシリンダによりレベリングする場合、シリンダの作動を制御する方法としては、ブームの起伏に応じて伸縮作動する下部レベリングシリンダと、ブームの先端に設けられて作業台を水平状態に支持する上部レベリングシリンダとを連通した油圧閉回路をもって構成したものや(例えば、特開2001−341993号)、下部レベリングシリンダを用いず、水平面と作業台との傾き(傾斜角)を検出して(上部)レベリングシリンダを制御する構成を有するものなどがある(例えば、特開平9−20497号)。
【0003】
このようなレベリング装置を有する従来の高所作業車では、ブームの先端に上部レベリングシリンダや、作業台に作業台の水平を検出するための検出器(機種によってはさらにレベリングシリンダを作動させる油圧ポンプユニットや制御装置等も)を設ける必要があり、いきおいブーム先端の重量が重くなる傾向にある。その結果、ブーム作動の際に車体を転倒させようとする転倒モーメントが過大に作用し、車体の安定性の低下や、安定性確保のための車体重量の増加等の問題があった。
【0004】
また、上部レベリングシリンダと下部レベリングシリンダとの間に油圧閉回路を構成するタイプのものでは、上部レベリングシリンダのロッド側油室と下部レベリングシリンダのロッド側油室との間を連通する油圧ホースと、上部レベリングシリンダのボトム側油室と下部レベリングシリンダのボトム側油室とを連通する油圧ホースとの2本の油圧ホースを必要とする。一方、作業台の水平を検出してレベリングを行うタイプのものでも、検出器、制御装置および油圧ポンプユニットなどを必要とする。このように、従来のレベリング装置には多くの構成部品が必要であり製作コストや維持・管理のコストがかかるといった問題があった。
【0005】
また、他のレベリング装置として平行リンク機構を応用するものも存在する(例えば、特開平10−1295号)。平行リンク機構は、図4に略示するように、互いに平行で同一長さの2対のリンク要素で構成されたものであり、要素Cを固定し要素B、Dを揺動させると要素Aは、要素Cと平行状態を維持する。従って、要素Aに作業台を取り付けた場合には、作業台を支持する要素Aは固定の要素Cに対して平行を維持するため、結果、作業台も要素Cに対して平行状態を維持する、すなわち、上述する装置のように特にレベリング機構を設ける必要なしに作業台のレベリングを達成することができる。このような平行リンク機構を利用する場合には、作業台の近傍にレベリング部品が必要でなく、過大重量の付加による転倒モーメントの増加の問題が解消される。
【0006】
しかしながら、平行リンク機構を利用して作業台をレベリングする場合、要素B、D、すなわち作業台を揺動させるブームが伸縮されないため、高所作業の自由度が小さくなるという問題があった。
さらに、要素B、Dの伸縮を図る場合、両要素が同一長さを保持しなければ、要素AとCとを平行に保持できない、すなわち作業台をレベリングできない。従って、2つの要素の伸縮を同時に制御する必要があり、制御が困難又はコストが増加することとなる。
【0007】
【特許文献】特開2001−341993号
【特許文献】特開平9−20497号
【特許文献】特開平10−1295号
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、平行リンク機構を利用することにより、ブーム先端に取り付けられた作業台を水平に保持しながらもブーム先端付近に大きな転倒モーメントを作用させず安全性を向上させ、構成部品を減少させてコストを下げることができるとともに、平行リンク機構を利用した場合に問題であったリンクの伸縮を容易に達成させることができる高所作業車を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために本発明の高所作業車は、基台(例えば、本発明実施形態における旋回台4および支持アーム35)と、基台に垂直面内で揺動自在に基端が枢結される伸縮ブームと伸縮ロッドと、伸縮ブームと伸縮ロッドとの先端に枢結される垂直部材と、垂直部材に取り付けられる作業台とを備え、伸縮ブーム及び伸縮ロッドにより平行リンクを形成して、伸縮ブーム及び伸縮ロッドの揺動に関係なく常に垂直部材を鉛直状態に保持する高所作業車であって、伸縮ブームを伸縮させる第一伸縮シリンダと、伸縮ロッドを伸縮させる第二伸縮シリンダとを備え、第一伸縮シリンダと第二伸縮シリンダを直列に繋ぐ連通油路を有するとともに、連通油路により繋がる第一伸縮シリンダと第二伸縮シリンダの各油室の体積と同等とし、両伸縮シリンダの伸縮方向及び伸縮長さを同等になるように連動することを特徴とする高所作業車と提供する。
【0010】
このような構成の高所作業車によれば、第一伸縮シリンダと第二伸縮シリンダとの連動によって基台と支持部材との間に平行リンク機構を構成でき、この平行リンク機構によって作業台のレベリングを行うことができる。従って、従来の平行リンク機構を構成しない装置と比べて構成部品点数が少なく製造コスト等を軽減することができる。また、従来のようにブーム先端に(上部)レベリングシリンダの如き重荷物がなく、車体を転倒させようとする転倒モーメントを低減することができ、安全性が増大する。
【0011】
さらに、本高所作業車によれば、平行リンク機構を利用して作業台をレベリングする場合に問題であった作業台の移動範囲が狭くなること、換言すればリンク(本装置におけるブームとロッド)の伸縮に自由度がなく又は伸縮の制御が困難であるという問題も解決されている。具体的には、本高所作業車における装置では、揺動する平行リンク(ブームとロッド)をそれぞれ油圧作動の第一および第二伸縮シリンダが連動して伸縮動するように、両シリンダを互いに連通油路を介して直列に繋ぐこととしている。このように平行リンクを伸縮させるシリンダ同士を直列に繋ぐことで、一方の伸縮シリンダが作動し、流出入した作動油と同体積の作動油が連通油路を経由して他方の伸縮シリンダの油室内に流出入する。従って、同体積の作動油が流出入すると同体積の伸縮を行う伸縮シリンダを準備するだけで、別途の制御手段により各平行リンクごとに伸縮量を制御する必要なく2つの平行リンクを同時に同一長さを伸縮させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について説明する。本発明に係る高所作業車1を 図2に示している。この高所作業車1は、前後輪3a、3bを有して走行可能であり、前部に運転キャビン2aを有したトラック車両をベースに構成されている。このトラック車両の車体2の上に旋回モータ12(図3参照)により駆動されて水平旋回可能に構成された旋回台4が配設されている。この旋回台4には、支持アーム35が固着されており、旋回台4と支持アーム35とから基台を構成している。
【0013】
また、旋回台4に基部が基部枢結軸31で枢結されてブーム5が取り付けられており、このブーム5は起伏シリンダ6により起伏動されるようになっている。ブーム5は、基端ブーム5a(基端部材)および先端ブーム5b(先端部材)を入れ子式に組み合わせて、ブーム5内に沿って内蔵される第一伸縮シリンダ7(図1および3参照)により伸縮動可能に構成されている。第一伸縮シリンダ7は、第一伸縮シリンダロッド部材7aと、第一伸縮シリンダロッド側油室7bと、第一伸縮シリンダボトム側油室7cとを有して構成されている。先端ブーム5bは先端にブームヘッド5cを有し、このブームヘッド5cに先端枢結軸32で枢結されて垂直ポスト10(支持部材)が上下に揺動可能に取り付けられている。
【0014】
また、ブーム5内には、図1に示すように、伸縮可能なロッド要素としての第二伸縮シリンダ21が第一伸縮シリンダと平行関係となるように、基台から垂直ポスト10に架けて配設されている。この第二伸縮シリンダ21は、第二伸縮シリンダロッド部材21aと、第二伸縮シリンダロッド側油室21bと、第二伸縮シリンダボトム側油室21cと、第二伸縮シリンダブラケット部材21dとを有して構成されている。第二伸縮シリンダブラケット部材21dの先端が、基部枢結軸31と一定位置関係にある支持アーム枢結軸34で支持アーム35に上下揺動自在に取り付けられており、また、他方の第二伸縮シリンダロッド部材21aの先端が、先端枢結軸32と前記一定位置関係(方向および距離の位置関係が基部枢結軸31−支持アーム枢結軸34の位置関係と同じ)にあるポスト枢結軸33で垂直ポスト10に上下揺動自在に取り付けられている。
【0015】
これを平行リンク機構として前述した図4に代替して見れば、枢結軸31と34とを有する一体の旋回台4およびアーム35がリンク要素Cに相当し、ブーム5がリンク要素Bに相当する。また、枢結軸32と33とを有する垂直ポスト10とは、リンク要素Aに相当し、両端を枢結軸33と枢結軸34とで枢結されるロッド要素としての第二伸縮シリンダ21がリンク要素Dに相当する。
【0016】
すなわち、図1で本高所作業車について再び詳細に説明すれば、基部枢結軸31、先端枢結軸32、ポスト枢結軸33および支持アーム枢結軸34のそれぞれの中心位置をP1、P2、P3およびP4とすると、辺P1P4(基台(即ち、旋回台4および支持アーム35))と辺P2P3(垂直ポスト10)とが、また辺P1P2(ブーム5)と辺P4P3(第二伸縮シリンダ21)とが常に平行で同じ長さとなるように平行四辺形P1P2P3P4を形作ることにより、平行リンク機構が構成されている。従って、一体の旋回台4とアーム35とで形成される固定の辺P1P4に対して、対辺の辺P2P3は平行状態を維持し続け、辺P1P4の傾きと同じ傾きで配列される。このため、平行リンク機構の任意の位置関係において垂直ポスト10を地面に対して垂直に位置させると、その後、常に垂直な状態を保持させることができる。従って、このような常時垂直に保持される垂直ポスト10に作業台9を取り付けると、作業台9はブーム5の起伏に拘わらず常に水平に保持(レベリング)される。なお、作業台9は、垂直ポスト10に支持部材8を介して首振り自在に取付けられている。
【0017】
以上、平行リンク機構を利用するだけで作業台9がレベリングできることを説明してきた。次に、リンク要素が伸縮、すなわち、ブーム5が伸縮しても平行リンク機構を保維し続け、作業台9をレベリングすることができることについて説明する。
【0018】
ブーム5が伸縮しない状態においては、平行リンク機構を構成する、特にブーム5の枢結位置間の距離(P1P2の距離)が第二伸縮シリンダ21の枢結位置間の距離(P4P3の距離)と等しいことが必要である。従って、ブーム5を伸縮させる第一伸縮シリンダ7の伸縮量とロッド要素としての第二伸縮シリンダ21の伸縮量が常に等しくなるように制御される必要がある。
【0019】
このように制御されるために、本実施の形態では図3および図1に示すように、第一伸縮シリンダ7の第一伸縮シリンダロッド側油室7bと第二伸縮シリンダボトム側油室21cとを、連通油路44によって直列に繋ぎ、第一伸縮シリンダ7の伸縮動と第二伸縮シリンダ21の伸縮動とが同時に行われるように構成されている。
【0020】
例えば、第一伸縮シリンダ7の伸長動にともない第一伸縮シリンダロッド側油室7bから作動油が送り出されると、その油量は第一伸縮シリンダの断面積から第一伸縮シリンダロッド7aを引いた断面積と伸縮量との積となる。このような断面積と伸縮量との関係から、第二伸縮シリンダ21の伸縮量と第一伸縮シリンダ7の伸縮量とが等しくなるように第二伸縮シリンダ21の断面積は、第一伸縮シリンダ7の断面積から第一伸縮シリンダロッド7aの断面積を引いたものとなっている。
【0021】
従って、本実施の形態では、第一伸縮シリンダ7を作動させることによりブーム5を伸縮させても、第一伸縮シリンダ7の伸縮に連動して該シリンダ7の伸縮量と同量の伸縮を、第二伸縮シリンダ21がなすため、ブーム5の枢結位置間の距離と第二伸縮シリンダ21の枢結位置間の距離とは等距離に維持され、結果、平行リンク機構が維持されることとなる。すなわち、ブーム5を伸縮させた場合、別途、レベリング装置を設ける必要なしに作業台9をレベリングすることができる。
【0022】
次に、本実施形態の装置の実際に操作について説明する。まず、作業台9にはブーム5の作動操作を行うための操作装置50が配設されており、操作装置50はブーム5の伸縮操作を行う伸縮操作レバー51、起伏操作を行う起伏操作レバー52および旋回台4の旋回操作をおこなう旋回操作レバー53などから構成されている。作業台9に搭乗する作業者はこの操作装置50を操作することによって、第一伸縮シリンダ7、起伏シリンダ6、旋回モータ12を作動させ、作業台9を所望高所に移動させて高所作業を行うことができる。
【0023】
なお、車体2の前後左右の四カ所に下方に伸縮自在なアウトリガ11が設けられており、高所作業を行うときには、図示のようにアウトリガ11を下方に張り出して車体2を持ち上げることによって安定的な作業を可能にしている。
【0024】
また、図3を参照すればブーム5の作動制御装置が示されている。図に見るように、油タンク39内の作動油をエンジン38の駆動力によって油圧ポンプ40を作動させて上流油路41に送油する。上流油路41には、伸縮作動制御弁42、起伏作動制御弁48および旋回作動制御弁49に接続されており、第一伸縮シリンダ7、第二伸縮シリンダ21、起伏シリンダ6および旋回モータ12の作動を制御している。なお、図3では、油圧接続を実線で、電気的接続を破線で、回転駆動力の伝達を白抜き二重線で表している。
【0025】
伸縮作動制御弁42は、コントローラ46からの制御信号に応じて伸長ソレノイド42aもしくは縮小ソレノイド42eを励磁して油路を切り替える電磁式3位置方向切替制御弁であり、第一および第二伸縮シリンダ7、21を伸長作動させる伸長位置42bと、第一および第二伸縮シリンダ7、21への圧油の給排制御を遮断する中立位置42cと、第一および第二伸縮シリンダ7、21を縮小作動させる縮小位置42dとを有して構成される。
【0026】
また、上記の伸縮作動制御弁42以外の起伏作動制御弁48および旋回作動制御弁49もまた起伏シリンダ6および旋回モータ12の作動を制御する電磁式3位置方向切替弁であり、コントローラ46からの制御信号に応じて起伏シリンダ6の伸縮作動および旋回台4の旋回作動を制御する。
【0027】
これら上記の3つの制御弁42、48、49によって制御される第一伸縮シリンダ7、第二伸縮シリンダ21、起伏シリンダ6、旋回モータ12からの排出される圧油は排出油路47を通って油タンク39に戻される。
【0028】
なお、コントローラ46は、操作装置50の伸縮操作レバー51、起伏操作レバー52および旋回操作レバー53からの操作信号に応じて、制御信号を生成して、制御弁42、48、49を制御する。
【0029】
次に、上記制御に基づいた本発明の高所作業車1の作動について図1および図3を参照して説明する。ここではブーム5を伸長動させ、図示されているブームを伸長させた姿勢Aにした後、起仰させて2点鎖線で描かれた姿勢Bにする作動を考える。
【0030】
まず、作業者は伸縮操作レバー51を(図3では図の左側へ)傾動させブーム伸長操作信号をコントローラ46へ出力し、コントローラ46はブーム伸長制御信号を生成して、伸縮作動制御弁42へ伸長位置42bとなるように伸長ソレノイド42aを励磁する。すると油圧ポンプ40から吐出される圧油は、伸縮シリンダボトム側油路43に流れ込み第一伸縮シリンダ7を伸長動させる。第一伸縮シリンダ7の伸縮動に応じて、第一伸縮シリンダロッド側油室7b内の油が押し出されて連通油路44を介して、第二伸縮シリンダ21のボトム側油室21cに流れ込み第二伸縮シリンダ21を伸長動させる。既に述べたように第二伸縮シリンダ21は第一伸縮シリンダ7の伸長動と連動しているので、この第二伸縮シリンダ21の伸長動は第一伸縮シリンダ7の伸長動と同時かつ同量の伸長量であり、結果、平行リンク機構が維持される。そして、第二伸縮シリンダ21の伸長動にともない押し出される作動油は伸縮シリンダロッド側油路45から排出され、さらに、伸縮作動制御弁42および排出油路47を通って油タンク39へ排出される。このようにブーム5は伸長動し、図1に示すブーム姿勢Aとなる。なお、縮小動に対しても、伸縮作動制御弁42の位置が縮小位置42dとなるように縮小ソレノイド42eを励磁して、上記油圧回路を逆転させることによって、上記と全く同様に行われる。
【0031】
続いて、ブーム5を起仰させて図1に示すようなブーム姿勢Aからブーム姿勢Bにすることを考える。作業者は、起伏操作レバー52を(図3では図の左側へ)傾動操作させてブーム起伏操作信号をコントローラ46へ出力し、コントローラ46はブーム起伏制御信号を起伏作動制御弁48へ送出し起伏シリンダ6を伸長動させてブーム5を起仰動させる。このブーム5の起伏にともない、平行リンク機構の平行四辺形P1P2P3P4は、辺P1P2(ブーム5)(および辺P4P3(第二伸縮シリンダ21))の水平に対する仰角が増加して変形する。しかし、平行四辺形P1P2P3P4の対辺の平行関係は変化せず、辺P1P4は基台(旋回台4および支持アーム35)に固定されおり傾斜が変わらないので、辺P1P4の対辺である辺P2P3の傾斜も変わらない。このため、垂直ポスト10は常に垂直に保持される。その結果、ブーム5は作業台9をレベリングした状態で姿勢Bに到達する。
【0032】
なお、これまでの説明ではブーム5を基端ブーム5aと先端ブーム5bとからなる2段ブームとして説明してきたが、本発明は、これに限るものではなく、より多段式のブームを用いても第一伸縮シリンダと第二伸縮シリンダとの油室体積の比を調整するなどしてブーム伸縮量と第二伸縮シリンダ伸縮量とを等しくすることによって、上記の第二伸縮シリンダ21と同様の効果を奏することができる。
【0033】
また、第一伸縮シリンダ7もしくは第二伸縮シリンダ21のいずれかの向きを変えて平行リンク機構を構成しても上記構成のものと同様の効果を奏することができる。例えば、第二伸縮シリンダ21を逆向きにした場合、つまり第二伸縮シリンダロッド部材21aを支持アーム35に、第二伸縮シリンダブラケット部材21dを垂直ポスト10にそれぞれ枢結して平行リンク機構30を構成してもよい。この場合、第一伸縮シリンダ7の第一伸縮シリンダロッド側油室7bと第二伸縮シリンダロッド側油室21bとが、連通油路44によって直列に繋がれて、第一伸縮シリンダ7の伸縮動と第二伸縮シリンダ21の伸縮動とが同時かつ同一方向に連動して行われる。なお、この構成では、第二伸縮シリンダ21の断面積は第一伸縮シリンダ7の断面積と等しくなる。
【0034】
また、本発明に係る平行リンク機構を用いた高所作業車1の構成と、従来の上下部にレベリングシリンダ装置を用いた高所作業車の構成とを比較すると、本発明の平行リンク機構を用いた高所作業車1はブーム先端にシリンダ等の重荷重部材がないので、ブーム作動による転倒モーメントが軽減される。一方、従来の高所作業車はレベリングシリンダが2つ必要であるが、本発明では第二伸縮シリンダ21の1つだけで良く、従来は上下部レベリングシリンダのロッド側油室同士を接続する油圧ホースとボトム側油室同士を接続する油圧ホースとの2本の油圧ホースが必要であったが、本発明では油圧ホースは、伸縮シリンダ制御油圧回路内に連通油路44の1本を増設するだけでよいので、構成部品数が少なくてすむ。また、作業台に水平を検出してレベリングを行うタイプのレベリング装置と比較しても、前述と同様にブーム先端の重量が軽減されて転倒モーメントが減少し、かつ構成部品数も減っている。さらに、単なる平行リンク機構のみを用いて作業台9をレベリングする場合に比してリンク要素(ブーム5等)を伸縮させることができるため自由度の高い高所作業も可能になる。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、第二伸縮シリンダを有して、基台、ブーム、垂直ポストおよび第二伸縮シリンダとから平行リンク機構を形成して作業台のレベリングを行っているので、構成部品数を従来より減らし、製造コスト等を下げることができる。また、ブームヘッド近傍の部品を減らすことにより構造重心を下げて転倒の危険性を小さい高所作業車を提供することができる。
【0036】
また、レベリングが容易な平行リンク機構を用いるにもかかわらずブームの伸縮をも容易に可能とし、作業車の作業性の向上を図ることができる。さらに、このような単純構造にすることにより高所作業車を組み立てる際にも、組み立てがしやすくなるという効果を奏することにもなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る高所作業車のレベリング機構を説明するための側面図である。
【図2】上記レベリング機構を用いた高所作業車の斜視図である。
【図3】上記高所作業車のブームの油圧制御装置のブロック図である。
【図4】作業台を支持する平行リンク機構を略示した図である。
【符号の説明】
4 旋回台
5 ブーム
7 第一伸縮シリンダ
9 作業台
10 垂直ポスト
21 第二伸縮シリンダ
31〜34 枢結軸(枢結位置)
35 アーム
44 連通油路
【発明の属する技術分野】
本発明は、起伏動および伸縮動自在なブーム先端に作業者搭乗用の作業台を有した高所作業車に関する。
【0002】
【従来の技術】
このような高所作業車では、ブーム先端の作業台に搭乗した作業者の安全性および使い勝手等の観点から、作業台を常に水平に保つ水平取り(レベリング)が行われる。このレベリングを行うレベリング装置は、従来より種々のものが提供されている。例えば、ブームと作業台との間にブラケットを設け、ブームの先端に設けられた油圧レベリングシリンダによりブームに対してブラケットをレベリングすることでブラケットに支持される作業台をレベリングさせるものが存在する。このようにブームの先端でレベリングシリンダによりレベリングする場合、シリンダの作動を制御する方法としては、ブームの起伏に応じて伸縮作動する下部レベリングシリンダと、ブームの先端に設けられて作業台を水平状態に支持する上部レベリングシリンダとを連通した油圧閉回路をもって構成したものや(例えば、特開2001−341993号)、下部レベリングシリンダを用いず、水平面と作業台との傾き(傾斜角)を検出して(上部)レベリングシリンダを制御する構成を有するものなどがある(例えば、特開平9−20497号)。
【0003】
このようなレベリング装置を有する従来の高所作業車では、ブームの先端に上部レベリングシリンダや、作業台に作業台の水平を検出するための検出器(機種によってはさらにレベリングシリンダを作動させる油圧ポンプユニットや制御装置等も)を設ける必要があり、いきおいブーム先端の重量が重くなる傾向にある。その結果、ブーム作動の際に車体を転倒させようとする転倒モーメントが過大に作用し、車体の安定性の低下や、安定性確保のための車体重量の増加等の問題があった。
【0004】
また、上部レベリングシリンダと下部レベリングシリンダとの間に油圧閉回路を構成するタイプのものでは、上部レベリングシリンダのロッド側油室と下部レベリングシリンダのロッド側油室との間を連通する油圧ホースと、上部レベリングシリンダのボトム側油室と下部レベリングシリンダのボトム側油室とを連通する油圧ホースとの2本の油圧ホースを必要とする。一方、作業台の水平を検出してレベリングを行うタイプのものでも、検出器、制御装置および油圧ポンプユニットなどを必要とする。このように、従来のレベリング装置には多くの構成部品が必要であり製作コストや維持・管理のコストがかかるといった問題があった。
【0005】
また、他のレベリング装置として平行リンク機構を応用するものも存在する(例えば、特開平10−1295号)。平行リンク機構は、図4に略示するように、互いに平行で同一長さの2対のリンク要素で構成されたものであり、要素Cを固定し要素B、Dを揺動させると要素Aは、要素Cと平行状態を維持する。従って、要素Aに作業台を取り付けた場合には、作業台を支持する要素Aは固定の要素Cに対して平行を維持するため、結果、作業台も要素Cに対して平行状態を維持する、すなわち、上述する装置のように特にレベリング機構を設ける必要なしに作業台のレベリングを達成することができる。このような平行リンク機構を利用する場合には、作業台の近傍にレベリング部品が必要でなく、過大重量の付加による転倒モーメントの増加の問題が解消される。
【0006】
しかしながら、平行リンク機構を利用して作業台をレベリングする場合、要素B、D、すなわち作業台を揺動させるブームが伸縮されないため、高所作業の自由度が小さくなるという問題があった。
さらに、要素B、Dの伸縮を図る場合、両要素が同一長さを保持しなければ、要素AとCとを平行に保持できない、すなわち作業台をレベリングできない。従って、2つの要素の伸縮を同時に制御する必要があり、制御が困難又はコストが増加することとなる。
【0007】
【特許文献】特開2001−341993号
【特許文献】特開平9−20497号
【特許文献】特開平10−1295号
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、平行リンク機構を利用することにより、ブーム先端に取り付けられた作業台を水平に保持しながらもブーム先端付近に大きな転倒モーメントを作用させず安全性を向上させ、構成部品を減少させてコストを下げることができるとともに、平行リンク機構を利用した場合に問題であったリンクの伸縮を容易に達成させることができる高所作業車を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために本発明の高所作業車は、基台(例えば、本発明実施形態における旋回台4および支持アーム35)と、基台に垂直面内で揺動自在に基端が枢結される伸縮ブームと伸縮ロッドと、伸縮ブームと伸縮ロッドとの先端に枢結される垂直部材と、垂直部材に取り付けられる作業台とを備え、伸縮ブーム及び伸縮ロッドにより平行リンクを形成して、伸縮ブーム及び伸縮ロッドの揺動に関係なく常に垂直部材を鉛直状態に保持する高所作業車であって、伸縮ブームを伸縮させる第一伸縮シリンダと、伸縮ロッドを伸縮させる第二伸縮シリンダとを備え、第一伸縮シリンダと第二伸縮シリンダを直列に繋ぐ連通油路を有するとともに、連通油路により繋がる第一伸縮シリンダと第二伸縮シリンダの各油室の体積と同等とし、両伸縮シリンダの伸縮方向及び伸縮長さを同等になるように連動することを特徴とする高所作業車と提供する。
【0010】
このような構成の高所作業車によれば、第一伸縮シリンダと第二伸縮シリンダとの連動によって基台と支持部材との間に平行リンク機構を構成でき、この平行リンク機構によって作業台のレベリングを行うことができる。従って、従来の平行リンク機構を構成しない装置と比べて構成部品点数が少なく製造コスト等を軽減することができる。また、従来のようにブーム先端に(上部)レベリングシリンダの如き重荷物がなく、車体を転倒させようとする転倒モーメントを低減することができ、安全性が増大する。
【0011】
さらに、本高所作業車によれば、平行リンク機構を利用して作業台をレベリングする場合に問題であった作業台の移動範囲が狭くなること、換言すればリンク(本装置におけるブームとロッド)の伸縮に自由度がなく又は伸縮の制御が困難であるという問題も解決されている。具体的には、本高所作業車における装置では、揺動する平行リンク(ブームとロッド)をそれぞれ油圧作動の第一および第二伸縮シリンダが連動して伸縮動するように、両シリンダを互いに連通油路を介して直列に繋ぐこととしている。このように平行リンクを伸縮させるシリンダ同士を直列に繋ぐことで、一方の伸縮シリンダが作動し、流出入した作動油と同体積の作動油が連通油路を経由して他方の伸縮シリンダの油室内に流出入する。従って、同体積の作動油が流出入すると同体積の伸縮を行う伸縮シリンダを準備するだけで、別途の制御手段により各平行リンクごとに伸縮量を制御する必要なく2つの平行リンクを同時に同一長さを伸縮させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について説明する。本発明に係る高所作業車1を 図2に示している。この高所作業車1は、前後輪3a、3bを有して走行可能であり、前部に運転キャビン2aを有したトラック車両をベースに構成されている。このトラック車両の車体2の上に旋回モータ12(図3参照)により駆動されて水平旋回可能に構成された旋回台4が配設されている。この旋回台4には、支持アーム35が固着されており、旋回台4と支持アーム35とから基台を構成している。
【0013】
また、旋回台4に基部が基部枢結軸31で枢結されてブーム5が取り付けられており、このブーム5は起伏シリンダ6により起伏動されるようになっている。ブーム5は、基端ブーム5a(基端部材)および先端ブーム5b(先端部材)を入れ子式に組み合わせて、ブーム5内に沿って内蔵される第一伸縮シリンダ7(図1および3参照)により伸縮動可能に構成されている。第一伸縮シリンダ7は、第一伸縮シリンダロッド部材7aと、第一伸縮シリンダロッド側油室7bと、第一伸縮シリンダボトム側油室7cとを有して構成されている。先端ブーム5bは先端にブームヘッド5cを有し、このブームヘッド5cに先端枢結軸32で枢結されて垂直ポスト10(支持部材)が上下に揺動可能に取り付けられている。
【0014】
また、ブーム5内には、図1に示すように、伸縮可能なロッド要素としての第二伸縮シリンダ21が第一伸縮シリンダと平行関係となるように、基台から垂直ポスト10に架けて配設されている。この第二伸縮シリンダ21は、第二伸縮シリンダロッド部材21aと、第二伸縮シリンダロッド側油室21bと、第二伸縮シリンダボトム側油室21cと、第二伸縮シリンダブラケット部材21dとを有して構成されている。第二伸縮シリンダブラケット部材21dの先端が、基部枢結軸31と一定位置関係にある支持アーム枢結軸34で支持アーム35に上下揺動自在に取り付けられており、また、他方の第二伸縮シリンダロッド部材21aの先端が、先端枢結軸32と前記一定位置関係(方向および距離の位置関係が基部枢結軸31−支持アーム枢結軸34の位置関係と同じ)にあるポスト枢結軸33で垂直ポスト10に上下揺動自在に取り付けられている。
【0015】
これを平行リンク機構として前述した図4に代替して見れば、枢結軸31と34とを有する一体の旋回台4およびアーム35がリンク要素Cに相当し、ブーム5がリンク要素Bに相当する。また、枢結軸32と33とを有する垂直ポスト10とは、リンク要素Aに相当し、両端を枢結軸33と枢結軸34とで枢結されるロッド要素としての第二伸縮シリンダ21がリンク要素Dに相当する。
【0016】
すなわち、図1で本高所作業車について再び詳細に説明すれば、基部枢結軸31、先端枢結軸32、ポスト枢結軸33および支持アーム枢結軸34のそれぞれの中心位置をP1、P2、P3およびP4とすると、辺P1P4(基台(即ち、旋回台4および支持アーム35))と辺P2P3(垂直ポスト10)とが、また辺P1P2(ブーム5)と辺P4P3(第二伸縮シリンダ21)とが常に平行で同じ長さとなるように平行四辺形P1P2P3P4を形作ることにより、平行リンク機構が構成されている。従って、一体の旋回台4とアーム35とで形成される固定の辺P1P4に対して、対辺の辺P2P3は平行状態を維持し続け、辺P1P4の傾きと同じ傾きで配列される。このため、平行リンク機構の任意の位置関係において垂直ポスト10を地面に対して垂直に位置させると、その後、常に垂直な状態を保持させることができる。従って、このような常時垂直に保持される垂直ポスト10に作業台9を取り付けると、作業台9はブーム5の起伏に拘わらず常に水平に保持(レベリング)される。なお、作業台9は、垂直ポスト10に支持部材8を介して首振り自在に取付けられている。
【0017】
以上、平行リンク機構を利用するだけで作業台9がレベリングできることを説明してきた。次に、リンク要素が伸縮、すなわち、ブーム5が伸縮しても平行リンク機構を保維し続け、作業台9をレベリングすることができることについて説明する。
【0018】
ブーム5が伸縮しない状態においては、平行リンク機構を構成する、特にブーム5の枢結位置間の距離(P1P2の距離)が第二伸縮シリンダ21の枢結位置間の距離(P4P3の距離)と等しいことが必要である。従って、ブーム5を伸縮させる第一伸縮シリンダ7の伸縮量とロッド要素としての第二伸縮シリンダ21の伸縮量が常に等しくなるように制御される必要がある。
【0019】
このように制御されるために、本実施の形態では図3および図1に示すように、第一伸縮シリンダ7の第一伸縮シリンダロッド側油室7bと第二伸縮シリンダボトム側油室21cとを、連通油路44によって直列に繋ぎ、第一伸縮シリンダ7の伸縮動と第二伸縮シリンダ21の伸縮動とが同時に行われるように構成されている。
【0020】
例えば、第一伸縮シリンダ7の伸長動にともない第一伸縮シリンダロッド側油室7bから作動油が送り出されると、その油量は第一伸縮シリンダの断面積から第一伸縮シリンダロッド7aを引いた断面積と伸縮量との積となる。このような断面積と伸縮量との関係から、第二伸縮シリンダ21の伸縮量と第一伸縮シリンダ7の伸縮量とが等しくなるように第二伸縮シリンダ21の断面積は、第一伸縮シリンダ7の断面積から第一伸縮シリンダロッド7aの断面積を引いたものとなっている。
【0021】
従って、本実施の形態では、第一伸縮シリンダ7を作動させることによりブーム5を伸縮させても、第一伸縮シリンダ7の伸縮に連動して該シリンダ7の伸縮量と同量の伸縮を、第二伸縮シリンダ21がなすため、ブーム5の枢結位置間の距離と第二伸縮シリンダ21の枢結位置間の距離とは等距離に維持され、結果、平行リンク機構が維持されることとなる。すなわち、ブーム5を伸縮させた場合、別途、レベリング装置を設ける必要なしに作業台9をレベリングすることができる。
【0022】
次に、本実施形態の装置の実際に操作について説明する。まず、作業台9にはブーム5の作動操作を行うための操作装置50が配設されており、操作装置50はブーム5の伸縮操作を行う伸縮操作レバー51、起伏操作を行う起伏操作レバー52および旋回台4の旋回操作をおこなう旋回操作レバー53などから構成されている。作業台9に搭乗する作業者はこの操作装置50を操作することによって、第一伸縮シリンダ7、起伏シリンダ6、旋回モータ12を作動させ、作業台9を所望高所に移動させて高所作業を行うことができる。
【0023】
なお、車体2の前後左右の四カ所に下方に伸縮自在なアウトリガ11が設けられており、高所作業を行うときには、図示のようにアウトリガ11を下方に張り出して車体2を持ち上げることによって安定的な作業を可能にしている。
【0024】
また、図3を参照すればブーム5の作動制御装置が示されている。図に見るように、油タンク39内の作動油をエンジン38の駆動力によって油圧ポンプ40を作動させて上流油路41に送油する。上流油路41には、伸縮作動制御弁42、起伏作動制御弁48および旋回作動制御弁49に接続されており、第一伸縮シリンダ7、第二伸縮シリンダ21、起伏シリンダ6および旋回モータ12の作動を制御している。なお、図3では、油圧接続を実線で、電気的接続を破線で、回転駆動力の伝達を白抜き二重線で表している。
【0025】
伸縮作動制御弁42は、コントローラ46からの制御信号に応じて伸長ソレノイド42aもしくは縮小ソレノイド42eを励磁して油路を切り替える電磁式3位置方向切替制御弁であり、第一および第二伸縮シリンダ7、21を伸長作動させる伸長位置42bと、第一および第二伸縮シリンダ7、21への圧油の給排制御を遮断する中立位置42cと、第一および第二伸縮シリンダ7、21を縮小作動させる縮小位置42dとを有して構成される。
【0026】
また、上記の伸縮作動制御弁42以外の起伏作動制御弁48および旋回作動制御弁49もまた起伏シリンダ6および旋回モータ12の作動を制御する電磁式3位置方向切替弁であり、コントローラ46からの制御信号に応じて起伏シリンダ6の伸縮作動および旋回台4の旋回作動を制御する。
【0027】
これら上記の3つの制御弁42、48、49によって制御される第一伸縮シリンダ7、第二伸縮シリンダ21、起伏シリンダ6、旋回モータ12からの排出される圧油は排出油路47を通って油タンク39に戻される。
【0028】
なお、コントローラ46は、操作装置50の伸縮操作レバー51、起伏操作レバー52および旋回操作レバー53からの操作信号に応じて、制御信号を生成して、制御弁42、48、49を制御する。
【0029】
次に、上記制御に基づいた本発明の高所作業車1の作動について図1および図3を参照して説明する。ここではブーム5を伸長動させ、図示されているブームを伸長させた姿勢Aにした後、起仰させて2点鎖線で描かれた姿勢Bにする作動を考える。
【0030】
まず、作業者は伸縮操作レバー51を(図3では図の左側へ)傾動させブーム伸長操作信号をコントローラ46へ出力し、コントローラ46はブーム伸長制御信号を生成して、伸縮作動制御弁42へ伸長位置42bとなるように伸長ソレノイド42aを励磁する。すると油圧ポンプ40から吐出される圧油は、伸縮シリンダボトム側油路43に流れ込み第一伸縮シリンダ7を伸長動させる。第一伸縮シリンダ7の伸縮動に応じて、第一伸縮シリンダロッド側油室7b内の油が押し出されて連通油路44を介して、第二伸縮シリンダ21のボトム側油室21cに流れ込み第二伸縮シリンダ21を伸長動させる。既に述べたように第二伸縮シリンダ21は第一伸縮シリンダ7の伸長動と連動しているので、この第二伸縮シリンダ21の伸長動は第一伸縮シリンダ7の伸長動と同時かつ同量の伸長量であり、結果、平行リンク機構が維持される。そして、第二伸縮シリンダ21の伸長動にともない押し出される作動油は伸縮シリンダロッド側油路45から排出され、さらに、伸縮作動制御弁42および排出油路47を通って油タンク39へ排出される。このようにブーム5は伸長動し、図1に示すブーム姿勢Aとなる。なお、縮小動に対しても、伸縮作動制御弁42の位置が縮小位置42dとなるように縮小ソレノイド42eを励磁して、上記油圧回路を逆転させることによって、上記と全く同様に行われる。
【0031】
続いて、ブーム5を起仰させて図1に示すようなブーム姿勢Aからブーム姿勢Bにすることを考える。作業者は、起伏操作レバー52を(図3では図の左側へ)傾動操作させてブーム起伏操作信号をコントローラ46へ出力し、コントローラ46はブーム起伏制御信号を起伏作動制御弁48へ送出し起伏シリンダ6を伸長動させてブーム5を起仰動させる。このブーム5の起伏にともない、平行リンク機構の平行四辺形P1P2P3P4は、辺P1P2(ブーム5)(および辺P4P3(第二伸縮シリンダ21))の水平に対する仰角が増加して変形する。しかし、平行四辺形P1P2P3P4の対辺の平行関係は変化せず、辺P1P4は基台(旋回台4および支持アーム35)に固定されおり傾斜が変わらないので、辺P1P4の対辺である辺P2P3の傾斜も変わらない。このため、垂直ポスト10は常に垂直に保持される。その結果、ブーム5は作業台9をレベリングした状態で姿勢Bに到達する。
【0032】
なお、これまでの説明ではブーム5を基端ブーム5aと先端ブーム5bとからなる2段ブームとして説明してきたが、本発明は、これに限るものではなく、より多段式のブームを用いても第一伸縮シリンダと第二伸縮シリンダとの油室体積の比を調整するなどしてブーム伸縮量と第二伸縮シリンダ伸縮量とを等しくすることによって、上記の第二伸縮シリンダ21と同様の効果を奏することができる。
【0033】
また、第一伸縮シリンダ7もしくは第二伸縮シリンダ21のいずれかの向きを変えて平行リンク機構を構成しても上記構成のものと同様の効果を奏することができる。例えば、第二伸縮シリンダ21を逆向きにした場合、つまり第二伸縮シリンダロッド部材21aを支持アーム35に、第二伸縮シリンダブラケット部材21dを垂直ポスト10にそれぞれ枢結して平行リンク機構30を構成してもよい。この場合、第一伸縮シリンダ7の第一伸縮シリンダロッド側油室7bと第二伸縮シリンダロッド側油室21bとが、連通油路44によって直列に繋がれて、第一伸縮シリンダ7の伸縮動と第二伸縮シリンダ21の伸縮動とが同時かつ同一方向に連動して行われる。なお、この構成では、第二伸縮シリンダ21の断面積は第一伸縮シリンダ7の断面積と等しくなる。
【0034】
また、本発明に係る平行リンク機構を用いた高所作業車1の構成と、従来の上下部にレベリングシリンダ装置を用いた高所作業車の構成とを比較すると、本発明の平行リンク機構を用いた高所作業車1はブーム先端にシリンダ等の重荷重部材がないので、ブーム作動による転倒モーメントが軽減される。一方、従来の高所作業車はレベリングシリンダが2つ必要であるが、本発明では第二伸縮シリンダ21の1つだけで良く、従来は上下部レベリングシリンダのロッド側油室同士を接続する油圧ホースとボトム側油室同士を接続する油圧ホースとの2本の油圧ホースが必要であったが、本発明では油圧ホースは、伸縮シリンダ制御油圧回路内に連通油路44の1本を増設するだけでよいので、構成部品数が少なくてすむ。また、作業台に水平を検出してレベリングを行うタイプのレベリング装置と比較しても、前述と同様にブーム先端の重量が軽減されて転倒モーメントが減少し、かつ構成部品数も減っている。さらに、単なる平行リンク機構のみを用いて作業台9をレベリングする場合に比してリンク要素(ブーム5等)を伸縮させることができるため自由度の高い高所作業も可能になる。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、第二伸縮シリンダを有して、基台、ブーム、垂直ポストおよび第二伸縮シリンダとから平行リンク機構を形成して作業台のレベリングを行っているので、構成部品数を従来より減らし、製造コスト等を下げることができる。また、ブームヘッド近傍の部品を減らすことにより構造重心を下げて転倒の危険性を小さい高所作業車を提供することができる。
【0036】
また、レベリングが容易な平行リンク機構を用いるにもかかわらずブームの伸縮をも容易に可能とし、作業車の作業性の向上を図ることができる。さらに、このような単純構造にすることにより高所作業車を組み立てる際にも、組み立てがしやすくなるという効果を奏することにもなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る高所作業車のレベリング機構を説明するための側面図である。
【図2】上記レベリング機構を用いた高所作業車の斜視図である。
【図3】上記高所作業車のブームの油圧制御装置のブロック図である。
【図4】作業台を支持する平行リンク機構を略示した図である。
【符号の説明】
4 旋回台
5 ブーム
7 第一伸縮シリンダ
9 作業台
10 垂直ポスト
21 第二伸縮シリンダ
31〜34 枢結軸(枢結位置)
35 アーム
44 連通油路
Claims (1)
- 基台と、
基台に垂直面内で揺動自在に基端が枢結される伸縮ブームと伸縮ロッドと、
伸縮ブームと伸縮ロッドとの先端に枢結される垂直部材と、
垂直部材に取り付けられる作業台とを備え、伸縮ブーム及び伸縮ロッドにより平行リンクを形成して、伸縮ブーム及び伸縮ロッドの揺動に関係なく常に垂直部材を鉛直状態に保持する高所作業車であって、
伸縮ブームを伸縮させる第一伸縮シリンダと、伸縮ロッドを伸縮させる第二伸縮シリンダとを備え、
第一伸縮シリンダと第二伸縮シリンダを直列に繋ぐ連通油路を有するとともに、連通油路により繋がる第一伸縮シリンダと第二伸縮シリンダの各油室の体積を同等とし、両伸縮シリンダの伸縮方向及び伸縮長さを同等になるように連動することを特徴とする高所作業車。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002318945A JP2004149306A (ja) | 2002-10-31 | 2002-10-31 | 高所作業車 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002318945A JP2004149306A (ja) | 2002-10-31 | 2002-10-31 | 高所作業車 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004149306A true JP2004149306A (ja) | 2004-05-27 |
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ID=32461947
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004149306A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN111924761A (zh) * | 2020-07-10 | 2020-11-13 | 中铁第四勘察设计院集团有限公司 | 一种可低置运转的接触网腕臂安装助力臂作业车组及作业方法 |
-
2002
- 2002-10-31 JP JP2002318945A patent/JP2004149306A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN111924761A (zh) * | 2020-07-10 | 2020-11-13 | 中铁第四勘察设计院集团有限公司 | 一种可低置运转的接触网腕臂安装助力臂作业车组及作业方法 |
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