JP2004148143A - 光触媒塗膜の形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗膜表面に頭だしする光触媒の量を増加させて高い光触媒活性を引き出すことができ、しかも長期的な耐久性を保つことができる光触媒塗膜の形成方法を提供する。
【解決手段】基材1の表面に充填材2を含有するシリコーン樹脂塗料を塗布して、充填材1間に空隙を残した多孔質無機塗膜4を形成する。この後、この多孔質無機塗膜4の表面に光触媒5を含有する塗料を塗布する。光触媒塗料中のバインダー樹脂は充填材1間の空隙に吸収されて多孔質無機塗膜4中に浸透するが、固体である光触媒5は多孔質無機塗膜4の表面に残り、光触媒塗膜7の表面に頭だしして露出する光触媒5の粒子の量が多くなる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光触媒塗料を基材に塗布して光触媒塗膜を形成する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、耐汚染性等に優れた塗料として酸化チタンなどの光触媒を配合して混入した光触媒塗料が注目されている。このような光触媒塗料において、混入する光触媒の性能を効果的に発揮させることは重要な因子である。光触媒の性能を効果的に発揮させるためには、基本的に、光触媒塗膜の表面からできるだけ多くの光触媒の粒子を頭だしさせて露出させることが必要である。
【0003】
そこで、バインダーとして用いるシリコーン樹脂に光触媒を混合する際に、光触媒の充填量を多くし、できるだけ多くの光触媒を塗膜表面から頭だしさせることが行なわれているが、塗膜性能の面やコストの面などから光触媒の充填量には限界がある。そこで最近では、光触媒を多孔質材料と組み合わせて用いることによって、光触媒の露出面積を大きくすることの試みが種々なされている。
【0004】
例えば特許文献1のものでは、多孔質となるセメント質基材に光触媒を含有させ、光触媒と気相との接触面積を増加させて活性を増加させるようにしている。また特許文献2のものでは、多孔質なPTFE繊維に光触媒を担持させ、光触媒が機能する表面積を増加させるようにしている。さらに特許文献3のものでは、光触媒を複合化したゼオライトをシリカ溶液中に分散させたものを多孔質な無機繊維に含浸させることによって、光触媒性能を向上させるようにしている。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−122678号公報
【特許文献2】
特開平10−57816号公報
【特許文献3】
特開2002−115176号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のように光触媒を多孔質材料と組み合わせて用いる場合、多孔質材料の耐久性に問題があるため、長期的な耐久性を保つことが難しいという問題があった。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、塗膜表面に頭だしする光触媒の量を増加させて高い光触媒活性を引き出すことができ、しかも長期的な耐久性を保つことができる光触媒塗膜の形成方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る光触媒塗膜の形成方法は、基材の表面に充填材を含有するシリコーン樹脂塗料を塗布して、充填材間に空隙を残した多孔質無機塗膜を形成した後、この多孔質無機塗膜の表面に光触媒を含有する塗料を塗布することを特徴とするものである。
【0009】
また請求項2の発明は、請求項1において、充填材を含有するシリコーン樹脂塗料として、シリコーン樹脂と充填材の合計量に対するシリコーン樹脂の体積比率が40〜90%のものを用いることを特徴とするものである。
【0010】
また請求項3の発明は、請求項1又は2において、多孔質無機塗膜を1〜50μmの厚みで形成することを特徴とするものである。
【0011】
また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、シリコーン樹脂塗料に含有させる充填材の粒径が0.01〜30μmであることを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
シリコーン樹脂塗料は、塗膜を形成するバインダー成分のシリコーン樹脂と充填材とを含有し、溶剤で希釈されたものであり、まず基材1の表面にこのシリコーン樹脂塗料を塗布する。図1(a)は基材1の表面にシリコーン樹脂塗料を塗布して乾燥することによって得られる無機塗膜4を示すものであり、塗膜を形成するシリコーン樹脂3内に含まれる充填材2間や、シリコーン樹脂3から突出する充填材2間に隙間が形成され、この充填材2間の隙間が空隙となって無機塗膜4は多孔質になっている。
【0014】
次に、この多孔質無機塗膜4の上に光触媒塗料を塗布して乾燥する。光触媒塗料は、塗膜を形成するバインダー樹脂6と、酸化チタンなどの光触媒5とを含有し、アルコールなどの溶剤で希釈されたものである。このバインダー樹脂6としては、上記と同様なシリコーン樹脂を用いることができる。
【0015】
ここで、この光触媒塗料を基材1の表面に直接塗布すると、酸化チタンなどの光触媒5の比重は一般的にシリコーン樹脂などのバインダー樹脂6よりも高いので、光触媒5の粒子は光触媒塗料のバインダー樹脂6中や溶剤中を沈降し、図2に示すように、光触媒5はその多くがバインダー樹脂6中に埋没することになり、バインダー樹脂6の表面に頭だしして露出する光触媒5の量は少なくなる。
【0016】
これに対して、多孔質無機塗膜4の上に光触媒塗料を塗布すると、光触媒塗料中のバインダー樹脂6はアルコールなどの溶剤に溶け込んだ状態で存在するので、バインダー樹脂6は溶剤とともに充填材2間の空隙に吸収されて多孔質無機塗膜4中に浸透する。一方、光触媒5は固体であるため、一部を除いて多孔質無機塗膜4の表面に残る。そしてこのように光触媒塗料中のバインダー樹脂6は多孔質無機塗膜4中に浸透し、多孔質無機塗膜4の表面に残る量が少なくなるが、光触媒5は大部分が多孔質無機塗膜4の表面に残るので、バインダー樹脂6中を沈降して埋没する光触媒5の量が少なくなり、図1(b)に示すように、光触媒塗膜7の表面に頭だしして露出する光触媒5の粒子の量が多くなる。このようにして、光触媒塗料に含有させる光触媒の量を多くせずとも、光触媒塗膜7の表面に露出する光触媒5の量を多くすることができ、光触媒活性を高めることができるものである。
【0017】
また、上記のように多孔質無機塗膜4の内部に光触媒塗量のバインダー樹脂6が浸透していることによって、多孔質無機塗膜4を緻密化して耐久性を高めることができると共に、光触媒塗膜7と多孔質無機塗膜4との界面の密着性が高くなって、多孔質無機塗膜4を下塗り塗膜として基材1に対する密着強度を高めることができ、光触媒塗膜7の長期的な耐久性を向上することができるものである。
【0018】
ここで、多孔質無機塗膜4を形成するシリコーン樹脂塗料において、シリコーン樹脂としては、テトラエトキシシラン、メチルテトラメトキシシラン等の部分加水分解縮合物など、オルガノシロキサン樹脂を好適に用いることができる。シリコーン樹脂塗料は光触媒塗料の下塗り塗料となるので、上塗り塗料となる光触媒塗料に含まれる光触媒の光触媒反応による有機物分解作用で、上塗りと下塗りの塗膜間の密着性が低下することを防ぐため、シリコーン骨格をもつオルガノシロキサン樹脂を用いるのが好ましいのである。用途に応じては、多孔質無機塗膜4に柔軟性を出すために、アクリルシリコーン樹脂などを使用してもよい。
【0019】
そしてこの多孔質無機塗膜4を形成するシリコーン樹脂塗料にあって、シリコーン樹脂3の比率が高く充填材2の比率が低くなると、多孔質無機塗膜4は空隙が少なくなって緻密になるが、シリコーン樹脂3の比率が充填材2の比率より高くなり過ぎると、多孔質無機塗膜4への光触媒塗料のバインダー樹脂6の浸透性が小さくなり、光触媒5を頭だしさせる効果が不十分になる。また逆にシリコーン樹脂3の比率が低く充填材2の比率が高くなると、多孔質無機塗膜4は空隙が多くなり、多孔質無機塗膜4への光触媒塗料のバインダー樹脂6の浸透性が高くなるが、シリコーン樹脂3の比率が充填材2の比率より低くなり過ぎると、多孔質無機塗膜4が脆くなって耐久性を保つことができなくなる。このために、シリコーン樹脂塗料においてシリコーン樹脂3と充填材2の比率は、充填材2の種類、形状、比表面積等によって変動するが、一般的に、シリコーン樹脂3と充填材2の合計量に対するシリコーン樹脂3の体積比率が40〜90%の範囲になるように設定するのが好ましく、多孔質無機塗膜4の耐久性を保ちつつ、光触媒塗膜7の光触媒活性を高めることができるものである。
【0020】
また多孔質無機塗膜4は、膜厚が厚いと、クラックが発生し易く、基材1との密着性が劣る傾向がある。逆に膜厚が薄いと、多孔質無機塗膜4中に含まれる充填材2の量が少なくなり、結果的に光触媒塗料のバインダー樹脂6の浸透性が不充分になって、光触媒5を頭だしさせる効果が不十分になる。このために、多孔質無機塗膜4の膜厚が1〜50μmの範囲になるように、シリコーン樹脂塗料の塗装を行なうのが好ましく、多孔質無機塗膜4の耐クラック性や密着性を保ちつつ、光触媒塗膜7の光触媒活性を高めることができるものである。
【0021】
また、シリコーン樹脂塗料に含有させる充填材2としては、種々のものを用いることができ、例えば炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム、石膏、カオリン、白土、シリカ、珪藻土、タルク、アルミナホワイト、塩基性炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、マイカ、ベントナイトなどの体質顔料、酸化チタン、弁柄、黄鉛、コバルトブルー、亜鉛華などの着色顔料を挙げることができ、セピオライト、アタパルジャイトなどの繊維状鉱物も多孔性無機塗膜4に空隙層を形成するために好ましく用いることができる。ここで一般的に、充填材2の粒子径は小さくなるほど比表面積が大きくなり、多孔性無機塗膜4中の空隙は小さくなって緻密な塗膜4が形成されるが、光触媒塗料のバインダー樹脂6の浸透性が不充分になって、光触媒5を頭だしさせる効果が不十分になる。これに対して充填材2の粒子径が大きくなると、多孔性無機塗膜4中の空隙が大きくなって光触媒塗料のバインダー樹脂6を浸透させる効果が大きくなるが、多孔質無機塗膜4が脆くなって耐久性を保つことができなくなる。このために、シリコーン樹脂塗料に含有させる充填材2の粒子径は0.1〜30μmの範囲のものを用いるのが好ましく、多孔質無機塗膜4の耐久性を保ちつつ、光触媒塗膜7の光触媒活性を高めることができるものである。
【0022】
一方、光触媒塗膜7を形成する光触媒塗料において、塗膜を形成するバインダー樹脂6としては、シリコーン樹脂塗料と同様なシリコーン樹脂を用いることができる。また光触媒5としては、酸化チタンなど光触媒作用を有するものを用いることができるものであり、光触媒5の粒径は特に制限されるものではないが、0.06〜0.2μm程度の範囲のものが好ましい。バインダー樹脂6と光触媒5の配合比率は特に制限されるものではないが、バインダー樹脂6と光触媒5の合計量に対するバインダー樹脂6の体積比率が50〜95%の範囲になるように設定するのが好ましい。また光触媒塗膜7の膜厚についても特に制限されるものではないが、0.1〜20μmの範囲に設定するのが好ましい。
【0023】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0024】
(シリコーン樹脂塗料の調製)
メチルトリメトキシシラン100質量部に、テトラエトキシシラン10質量部、酸性コロイダルシリカゾルであるIPAオルガノシリカゾル(触媒化成工業(株)製「OSCAL1432」、固形分30質量%)90質量部、ジメチルトリメトキシシラン30質量部、希釈溶剤としてIPA(イソプロピルアルコール)100質量部を混合し、さらに水90質量部を添加して攪拌した。そして得られた液を60℃の恒温槽中で5時間加熱することによって、反応生成物のオルガノシロキサンの重量平均分子量(Mw)を1500に調整し、オルガノシロキサン(A)のアルコール溶液を得た。このときの全縮合化合物換算固形分は23.3質量%であった。
【0025】
上記のようにして得たオルガノシロキサン(A)のアルコール溶液に、表1に示す充填材を添加し、ディスパーにて均一に攪拌した後に、さらに粒径が5mmのガラスビーズと共に約1時間分散し、シリコーン樹脂塗料(A−1)、シリコーン樹脂塗料(A−2)、シリコーン樹脂塗料(A−3)、シリコーン樹脂塗料(A−4)を調製した。
【0026】
【表1】
Figure 2004148143
【0027】
(光触媒塗料の調製)
メチルトリメトキシシラン90質量部に、テトラエトキシシラン10質量部、酸性コロイダルシリカゾルであるIPAオルガノシリカゾル(触媒化成工業(株)製「OSCAL1432」、固形分30質量%)100質量部、ジメチルトリメトキシシラン30質量部、希釈溶剤としてIPA(イソプロピルアルコール)100質量部を混合し、さらに水90質量部を添加して攪拌した。そして得られた液を60℃の恒温槽中で5時間加熱することによって、反応生成物のオルガノシロキサンの重量平均分子量(Mw)を1000に調整し、オルガノシロキサンのアルコール溶液を得た。このときの全縮合化合物換算固形分は20.3質量%であった。
【0028】
上記のようにして得たオルガノシロキサンのアルコール溶液に、光触媒として酸化チタン(石原産業(株)製「ST−01」)を、オルガノシロキサンの溶液中の樹脂固形分と同量になるように添加し、ディスパーにて均一に攪拌した後に、さらに粒径が5mmのガラスビーズと共に約1時間分散し、光触媒塗料を調製した。
【0029】
(実施例1〜6)
基材として150mm×70mmの寸法のアルミニウム板を用い、アルミニウム板の表面に表2に示すシリコーン樹脂塗料を下塗りとしてエアースプレーして塗布し、常温で24時間乾燥することによって、表2に示す膜厚の多孔質無機塗膜を形成した。次にこの多孔質無機塗膜の上に上記の光触媒塗料を上塗りとしてエアースプレーして塗布し、常温で24時間乾燥することによって、表2に示す膜厚の光触媒塗膜を形成した。
【0030】
(比較例1)
上記のアルミニウム板の表面に、下塗りを行なうことなく、上記の光触媒塗料をエアースプレーして塗布し、常温で24時間乾燥することによって、表2に示す膜厚の光触媒塗膜を形成した。
【0031】
(密着耐久性の評価)
上記のようにして得られた光触媒塗膜の密着耐久性を下記の試験方法で評価した。結果を表2に示す。
【0032】
▲1▼初期密着性:JIS K 5600に記載の方法に従い、塗膜片にカッターを用いて2mm間隔で碁盤目状に切れ込みを入れた後、テープ剥離試験を実施して、下塗りと上塗りの塗膜の密着性を確認した。そして次のように評価した。
【0033】
○:剥離部の面積が0〜10%未満
△:剥離部の面積が10%以上〜50%未満
×:剥離部の面積が50%以上
▲2▼2次密着性:初期密着性試験終了後の塗膜を沸騰水に2時間浸漬した後に、上記と同様の試験を実施し、下塗りと上塗りの塗膜の密着性を確認した。そして次のように評価した。
【0034】
○:剥離部の面積が0〜10%未満
△:剥離部の面積が10%以上〜50%未満
×:剥離部の面積が50%以上
(光触媒塗膜の評価)
上記のようにして得られた光触媒塗膜の光触媒性能を下記の試験方法で評価した。結果を表2に示す。
【0035】
▲1▼親水性:ブラックライトを使用し、1.0mWの照度で紫外線を10時間照射した後、光触媒塗膜の表面の水の接触角を測定した。
【0036】
▲2▼色素分解率:2%のメチレンブルー水溶液を光触媒塗膜の上に滴下し、PETフィルムで押し広げてその上からブラックライトを照射し、5分後のPETフィルムと、メチレンブルー水溶液を滴下する前の光触媒塗膜との色差を測定した。そして次のように評価した。
【0037】
○:5分後の色差ΔEが2未満
△:5分後の色差ΔEが2以上〜3未満
×:5分後の色差ΔEが3以上
▲3▼硝酸銀反応:1%濃度の硝酸銀水溶液を光触媒塗膜の上に滴下し、5分間ブラックライトを照射し、ブラックライトを照射する前と5分間照射した後の硝酸銀水溶液の色差を測定した。そして次のように評価した。
【0038】
○:5分後の色差ΔEが15以上
△:5分後の色差ΔEが10以上〜15未満
×:5分後の色差ΔEが10未満
【0039】
【表2】
Figure 2004148143
【0040】
表2にみられるように、充填材を含有するシリコーン樹脂塗料を下塗りとして塗布して多孔質無機塗膜を形成し、この多孔質無機塗膜の表面に上塗りとして光触媒塗料を塗布して光触媒塗膜を形成するようにした各実施例のものは、基材の表面に直接光触媒塗料を塗装するようにした比較例1に比べて、光触媒性能が向上していることが確認される。
【0041】
また、下塗りの多孔質無機塗膜の膜厚が薄い実施例3、下塗りのシリコーン樹脂塗料におけるシリコーン樹脂の比率が低い実施例4、下塗りのシリコーン樹脂塗料におけるシリコーン樹脂の比率が高い実施例5、下塗りのシリコーン樹脂塗料における充填材の粒子径が大きい実施例6のものは、実施例1,2よりも光触媒性能及び密着性がやや劣るものであった。
【0042】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1に係る光触媒塗膜の形成方法は、基材の表面に充填材を含有するシリコーン樹脂塗料を塗布して、充填材間に空隙を残した多孔質無機塗膜を形成した後、この多孔質無機塗膜の表面に光触媒を含有する塗料を塗布するようにしたので、光触媒塗料中のバインダー樹脂は充填材間の空隙に吸収されて多孔質無機塗膜中に浸透するが、固体である光触媒は多孔質無機塗膜の表面に残り、光触媒塗膜の表面に頭だしして露出する光触媒の粒子の量が多くなるものであり、光触媒塗料に含有させる光触媒の量を多くせずとも、光触媒塗膜の表面に露出する光触媒の量を多くすることができ、光触媒活性を高めることができるものである。また、多孔質無機塗膜の内部に光触媒塗量のバインダー樹脂が浸透していることによって、多孔質無機塗膜を緻密化して耐久性を高めることができると共に、光触媒塗膜と多孔質無機塗膜との界面の密着性が高くなって、多孔質無機塗膜を下塗り塗膜として基材に対する密着強度を高めることができ、光触媒塗膜の長期的な耐久性を向上することができるものである。
【0043】
また請求項2の発明は、請求項1において、充填材を含有するシリコーン樹脂塗料として、シリコーン樹脂と充填材の合計量に対するシリコーン樹脂の体積比率が40〜90%のものを用いるようにしたので、多孔質無機塗膜の耐久性を保ちつつ、光触媒塗膜の光触媒活性を高めることができるものである。
【0044】
また請求項3の発明は、請求項1又は2において、多孔質無機塗膜を1〜50μmの厚みで形成するようにしたので、多孔質無機塗膜の耐クラック性や密着性を保ちつつ、光触媒塗膜の光触媒活性を高めることができるものである。
【0045】
また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、シリコーン樹脂塗料に含有させる充填材の粒径が0.01〜30μmであるので、多孔質無機塗膜の耐久性を保ちつつ、光触媒塗膜の光触媒活性を高めることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示すものであり、(a),(b)はそれぞれ断面図である。
【図2】比較例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 基材
2 充填材
3 シリコーン樹脂
4 多孔質無機塗膜
5 光触媒
6 バインダー樹脂
7 光触媒塗膜

Claims (4)

  1. 基材の表面に充填材を含有するシリコーン樹脂塗料を塗布して、充填材間に空隙を残した多孔質無機塗膜を形成した後、この多孔質無機塗膜の表面に光触媒を含有する塗料を塗布することを特徴とする光触媒塗膜の形成方法。
  2. 充填材を含有するシリコーン樹脂塗料として、シリコーン樹脂と充填材の合計量に対するシリコーン樹脂の体積比率が40〜90%のものを用いることを特徴とする請求項1に記載の光触媒塗膜の形成方法。
  3. 多孔質無機塗膜を1〜50μmの厚みで形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の光触媒塗膜の形成方法。
  4. シリコーン樹脂塗料に含有させる充填材の粒径が0.01〜30μmであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光触媒塗膜の形成方法。
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