JP2004147954A - 釘調整部材及びそれを用いた釘調整方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】パチンコ機の釘調整を容易に精度高く行うことができる釘調整部材及びそれを用いた釘調整方法を提供する。
【解決手段】パチンコ機における多数本の釘15が立てられる盤面部に対面して着脱可能に配置されるシート部材20に、釘15の頭部15aの調整位置を示す黒丸マーク28を印刷している。調整すべき釘15の頭部15aの位置を黒丸マーク28と照らし合わせ、位置を確認した上で、釘15の頭部15aを移動させることができる。このため、熟練者はもちろん未熟練者にも釘15の調整を精度高くかつ容易に行うことができる。
【選択図】 図3
【解決手段】パチンコ機における多数本の釘15が立てられる盤面部に対面して着脱可能に配置されるシート部材20に、釘15の頭部15aの調整位置を示す黒丸マーク28を印刷している。調整すべき釘15の頭部15aの位置を黒丸マーク28と照らし合わせ、位置を確認した上で、釘15の頭部15aを移動させることができる。このため、熟練者はもちろん未熟練者にも釘15の調整を精度高くかつ容易に行うことができる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ機の遊技盤に立てられた釘の調整に用いられる釘調整部材及びそれを用いた釘調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
パチンコ機は、遊技盤の盤面に立てられる釘の調整によって出玉率(入賞度合い)が大きく左右される。出玉率によっては、客の入りが大きく変わりパチンコホールの売上に大きく影響する。そして、遊技者とパチンコホールとのバランスを図るため、いわゆる釘師といわれる釘調整者によって釘調整が行われ、個々のパチンコ機における出玉率を設定するのが一般的である。このような釘調整の方法の一例として、釘調整指示用紙に、出玉率をどの程度にするか、又は隣接する釘の間の距離をどのくらいにするか等の指示データを記載しておき、釘調整者がその釘調整指示用紙の内容を確認し、例えばゲージを用いて、勘や経験によって釘の角度等を変えて行う方法(特許文献1参照)がある。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−342766号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来技術では、勘や経験によって釘調整をおこなうため、目標の出玉率に対してバラツキが生じやすい。また、釘調整は釘師のような熟練技術者だけなく、未熟練者が行うこともたびたびあり、この場合、前記バラツキはさらに大きくなる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、パチンコ機の釘調整を容易に精度高く行うことができる釘調整部材及びそれを用いた釘調整方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載に係る釘調整部材の発明は、パチンコ機における複数本の釘が立てられる盤面部に対面して着脱可能に配置されるシート部材からなり、該シート部材に、前記釘の頭部の調整位置を示す調整位置表示部を設けたことを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の構成において、前記シート部材は、可撓性材料からなり、一部が支持部材を介して盤面部に支持されることを特徴とする。
【0006】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成において、前記シート部材は、光透過部材からなり、調整位置表示部は、目視可能のマークであることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成において、前記シート部材は、光非透過部材からなり、調整位置表示部は、孔であることを特徴とする。請求項5記載の発明は、請求項1から4までのいずれかに記載の構成において、前記シート部材は、出玉率に応じて前記調整位置表示部を配置した異なる種類の複数枚からなることを特徴とする。
【0007】
請求項6記載の発明は、パチンコ機の盤面部に立てられる釘についての釘調整方法であって、前記釘の頭部の調整位置を示す調整位置表示部を設けたシート部材を前記盤面部に対面させるように配置し、前記盤面部に対面した状態でのシート部材の調整位置表示部の位置に、前記釘の頭部がくるように、前記釘の頭部を移動させることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の第1実施の形態を図1ないし図6に基づいて説明する。図1ないし図3において、パチンコ機1は、外枠2と、外枠2に開閉自在に装着される内枠3とを備えている。内枠3には窓部が形成されておりその窓部4には、遊技盤5が着脱自在に納められている。さらに、内枠3には、遊技盤5のベニヤ板からなる前面部(盤面部という。)6を被うガラス7をはめたガラス枠8と、前面板9とが上下に並べてそれぞれ開閉自在に蝶着されている。前面板9は、前面に賞球を受ける上皿10を備えている。
【0009】
遊技盤5の盤面部6の中央には、図柄変動装置(以下、第1役物という。)11が設けられ、第1役物11の左右には左右第2役物12,12が設けられ、第1役物11の下側、さらにその下側には、この順に入賞装置(以下、第3役物という。)13、特別入賞装置(以下、第4役物という。)14が設けられている。また、盤面部6には多数本の釘15(図1では第3役物13の真上にある2本の釘15のみを示している。)が立てられている。さらに、盤面部6には風車(図示省略)及びその他の各種遊技部品が装着されている。盤面部6の上部左右には、後述するシート部材20を装着するための穴(以下、盤面部側穴という。)23が形成されている。
【0010】
このパチンコ機1は、釘調整部材であるシート部材20を用いて釘15の調整を行うようにしている。シート部材20は、盤面部6にほぼ沿う形状(この実施の形態では矩形)でこの盤面部6に後述するようにして配置され、ピン25により遊技盤5に固定されるようになっている。シート部材20は、可撓性を有する透明材料(光透過部材)で構成されている。シート部材20の上側(図2上側)左右には、前記盤面部側穴23に対応して2つの孔(以下、シート部材側孔という。)26が形成されている。
【0011】
前記ピン25がシート部材側孔26を通して盤面部側穴23に挿入されることにより、シート部材20が盤面部6に装着されるようになっている。この際、シート部材20は、盤面部6から所定距離を空けて盤面部6と対面して垂れ下がるように装着されている。シート部材20は、上述したように所定距離を空けて盤面部6と対面していることにより、第1〜第4役物11〜14及び遊技部品に接しておらず、また釘15の頭部15aに近接したものとなっている。なお、釘15の頭部15aに当接するように前記所定距離を設定してもよい。
【0012】
シート部材20は3枚用意されており、3枚のシート部材20は前記ピン25により遊技盤5に選択的に着脱可能とされている。各シート部材20には、釘15の頭部15aの基準位置(例えばメーカからホールへの出荷時点における位置)を示すリング状の丸(○)のマーク(以下、白丸マークという。)と、釘15の頭部15aの調整位置を示す黒丸(●)のマーク(調整位置表示部。以下、黒丸マークという。)28と、遊技盤5の風車に対応して設けた風車マークと、が印刷されている。
【0013】
黒丸マーク28は、出玉率に関係する所定の部分の釘15に対応して設けられている。各シート部材20は、前記黒丸マーク28を、あらかじめ想定される3種類の出玉率に対応して異なるように配置している。ここでは、3種類の出玉率は、平常の値、大きい値、小さい値とされ、これらに対応するシート部材20を、以下、平常調整用シート部材20a(図3)、甘い調整用シート部材20b(図5)、辛い調整用シート部材20c(図6)という。なお、平常調整用、甘い調整用、辛い調整用シート部材20a,20b,20cを、以下、適宜、シート部材20と総称する。
【0014】
平常調整用シート部材20aは、図3に示すように、第3役物13の真上にある2本の釘15の頭部15aに対応する黒丸マーク28の間隔が、基準間隔(前記出荷時点における間隔)に比してわずかに広く設定されている。
甘い調整用シート部材20bは、図5に示すように、第3役物13の真上にある2本の釘15の頭部15aに対応する黒丸マーク28の間隔が、平常調整用シート部材20aの場合に比してさらに広く設定されている。さらに、この甘い調整用シート部材20bにおいては、前記黒丸マーク28は例えば入賞口への流路が拡大する位置になるように設けられ、後述するように釘15の頭部15aを前記黒丸マーク28に対応した位置に移動させることにより出玉率を高くできるようにしている。
【0015】
辛い調整用シート部材20cは、図6に示すように、第3役物13の真上にある2本の釘15の頭部15aに対応する黒丸マーク28の間隔が、前記基準間隔に比してわずかに狭く設定されている。さらに、この辛い調整用シート部材20cにおいては、前記黒丸マーク28は例えば入賞口への流路が狭くなる位置になるように設けられ、釘15の頭部15aを前記黒丸マーク28に対応した位置に移動させることにより出玉率を低くできるようにしている。
【0016】
そして、前記パチンコ機1の釘15を調整する場合、まず、3枚のシート部材20(平常調整用、甘い調整用、辛い調整用シート部材20a,20b,20c)のうち、設定すべき出玉率に相当するシート部材20(ここでは、平常調整用シート部材20aを例にする。)を選択する。次に、ガラス枠8を開いて、内枠3に装着された遊技盤5の盤面部6を露出した状態にする。このように遊技盤5の盤面部6を露出した状態で、遊技盤5の盤面部側穴23にシート部材側孔26が一致するようにして前記選択した平常調整用シート部材20aを盤面部6に対面させる。そして、シート部材側孔26を通してピン25を盤面部側穴23に押し込み、シート部材20を盤面部6に対面させて保持させる。
【0017】
次に、シート部材20を通して正面から盤面部6を見て、2つの黒丸マーク28のうち一方(例えば図3右側)の黒丸マーク28とこれに対応する釘15の頭部15aの位置を確認する。そして、釘15の頭部15aが図3右側の黒丸マーク28と一致していない場合、ピン25を中心にしてシート部材20を持ち上げて前記図3右側の黒丸マーク28に対応する釘15の頭部15aにゲージなどにより図3の矢印方向に力を加え、図4に示すように図4右側の黒丸マーク28(図3右側の黒丸マーク28と同じ)と一致させる。
なお、図3では矢印を示しているが、これは釘15の頭部15aの移動方法を説明するために記載したものであり、シート部材20には付されてはいない。しかし、シート部材20に前記矢印を印刷するように構成してもよい。
【0018】
次に、図3右側の黒丸マーク28と同様にして、図3左側の黒丸マーク28に対応する釘15の頭を図4に示すように図4左側の黒丸マーク28(図3左側の黒丸マーク28と同じ)と一致させる。
上述した釘15の頭部15aの移動が終了すると、ピン25を盤面部側穴23から抜いて平常調整用シート部材20aを盤面部6から外し、平常調整用シート部材20aによる釘15の調整は終了する。
前記甘い調整用、辛い調整用シート部材20b,20cによる釘15の調整も上述した平常調整用シート部材20aの場合と同様に行われる。
【0019】
この実施の形態の釘調整方法によれば、調整すべき釘15の頭部15aの位置を黒丸マーク28と照らし合わせ、位置を確認した上で、釘15の頭部15aを移動させることができる。このため、熟練者はもちろん未熟練者にも釘15の調整を精度高くかつ容易に行うことができる。また、シート部材20を持ち上げて釘15の頭部15aの移動を行う一方、シート部材20の持ち上げを止めてシート部材20の下側を垂らすだけでシート部材20が盤面部6に対面して黒丸マーク28と釘15の頭部15aの位置を確認することができるので、黒丸マーク28と釘15の頭部15aとの位置照合を迅速かつ容易に果たすことができる。このため、釘15の頭部15aを一度移動した段階では釘15の頭部15aが黒丸マーク28に一致していない場合にも、釘15の頭部15a位置を容易に確認して再度、釘15の頭部15aを移動し、これにより所望の位置(黒丸マーク28に対応する位置)に釘15の頭部15aを移動することが可能であり、その分、作業性が向上する。
【0020】
この実施の形態では、出玉率がそれぞれ平常の値、大きい値、小さい値とされるようにして黒丸マーク28(調整位置表示部)を設けた平常調整用、甘い調整用、辛い調整用シート部材20a,20b,20cを用意しているので、出玉率に応じた釘15の調整を選択的に行うことができる。本実施の形態では、3枚のシート部材20を用いる場合を例にしたが、出玉率に応じて4枚以上のシート部材20を用意するようにしてもよい。なお、シート部材20は2枚であっても、1枚であってもよい。
また、この実施の形態では、2本のピン25を用いてシート部材20を2ヶ所で支持するので、シート部材20を確実に位置決めできる。また、上述したようにシート部材20が2ヶ所(2本のピン25)で支持されていることから、シート部材20の黒丸マーク28とこれに対応する釘15の頭部15aの位置とを確認した後にシート部材20を持ち上げる際に、シート部材20の持ち上げをバランスよく行うことができる。
【0021】
なお、この実施の形態では、シート部材20が可撓性材料から構成されている場合を例にしたが、これに代えて、ピン25で保持される部分(ピン保持部分)を中心にして、その下側部分が折れ曲がるように溝などを形成し、非可撓性材料で構成することも可能である。
また、上記第1実施の形態では、盤面部6の上部左右に形成した盤面部側穴23にピン25を挿入することによりシート部材20を保持する場合を例にしたが、これに代えて、図7に示すように、第1役物11に2つの穴(以下、第1役物側穴という。)23aを設け、この第1役物側穴23aにピン25を挿入してシート部材20を保持するように構成してもよい(第2実施の形態)。
また、図8に示すように、左右の第2役物12にそれぞれ穴(以下、第2役物側穴という。)23bを設け、この第2役物側穴23bにピン25を挿入してシート部材20を保持するように構成してもよい(第3実施の形態)。
【0022】
上記第1〜第3実施の形態では、調整位置表示部が黒丸マーク28である場合を例にしたがこれに限らず、黒丸と異なる形状、色を用いた他のマークで構成してもよい。
また、上記第1〜第3実施の形態では、シート部材20が透明部材からなる場合を例にしたが、これに代えて半透明部材(光透過部材)から構成してもよい。また、シート部材20について光を透過しない部材(光非透過部材)で構成してもよい。この場合、上記第1〜第3実施の形態における黒丸マーク28に相当する部分に孔を形成したり、当該部分を光透過部材で構成する。そして、前記孔又は光透過部材が調整位置表示部として用いられる。
【0023】
また、上記第1〜第3実施の形態では、2本のピン25を用いてシート部材20を2ヶ所で支持する場合を例にしたが、これに代えて3本以上のピン25を用いてシート部材20を3ヶ所以上で支持するようにしてもよい。
【0024】
上記実施の形態では、シート部材20を、役物を含む遊技盤5に保持させる場合を例にしたが、これに代えて、図9及び図10に示すように、ガラス枠8に装着される、ガラス7を含むガラスユニット30にシート部材21を装着するようにしてもよい(第4実施の形態)。この第4実施の形態では、ガラスユニット30の上側部分(図9上側)には、ピン25aが挿入される穴(以下、ガラスユニット側穴という。)31が左右方向に所定距離開けて形成されている。そして、ピン25aをシート部材21の孔32に通し、さらにガラスユニット側穴31に挿入することにより、シート部材21をガラスユニット30に装着している。
この第4実施の形態も、第1実施の形態と同様に、シート部材21は、出玉率に応じて黒丸マーク28などの調整位置表示部が配置された異なる種類の複数枚が用意されている。
【0025】
この第4実施の形態では、パチンコ機1の釘15を調整する場合、まず、複数枚のシート部材21のうち、設定すべき出玉率に相当するシート部材21を選択する。次に、ガラス枠8に装着されたガラスユニット30に前記選択されたシート部材21を装着する。
そして、調整すべき釘15の頭部15aの位置を調整位置表示部と照らし合わせ、位置を確認した上で、ガラス枠8を開けて釘15の頭部15aを移動させる。このように調整すべき釘15の頭部15aの位置を調整位置表示部と照らし合わせ位置を確認した上で、釘15の頭部15aを移動させることにより、熟練者はもちろん未熟練者にも釘15の調整を精度高くかつ容易に行うことができる。
【0026】
【発明の効果】
請求項1から5までのいずれかに記載の発明に係る釘調整部材によれば、パチンコ機における複数本の釘が立てられる盤面部に対面して着脱可能に配置されるシート部材からなり、該シート部材に、前記釘の頭部の調整位置を示す調整位置表示部を設けており、調整すべき釘の頭部の位置を調整位置表示部と照らし合わせ、位置を確認した上で、釘の頭部を移動させることができる。このため、熟練者はもちろん未熟練者にも釘の調整を精度高くかつ容易に行うことができる。
請求項6に記載の発明によれば、パチンコ機の盤面部に立てられる釘についての釘調整方法であって、前記釘の頭部の調整位置を示す調整位置表示部を設けたシート部材を前記盤面部に対面させるように配置し、前記盤面部に対面した状態でのシート部材の調整位置表示部の位置に、前記釘の頭部がくるように、前記釘の頭部を移動させるので、調整すべき釘の頭部の位置を調整位置表示部と照らし合わせ、位置を確認した上で、釘の頭部を移動させることができる。このため、熟練者はもちろん未熟練者にも釘の調整を精度高くかつ容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る釘調整部材(シート部材)が用いられるパチンコ機を模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施の形態に係る釘調整部材の遊技盤への取付について模式的に示す斜視図である。
【図3】本発明の第1実施の形態に係る釘調整部材の平常調整用シート部材を模式的に示す平面図である。
【図4】図3の平常調整用シート部材による釘の頭部の移動例を模式的に示す断面図である。
【図5】本発明の第1実施の形態に係る釘調整部材の甘い調整用シート部材を模式的に示す平面図である。
【図6】本発明の第1実施の形態に係る釘調整部材の辛い調整用シート部材を模式的に示す平面図である。
【図7】本発明の第2実施の形態に係る釘調整部材の遊技盤への取付について模式的に示す斜視図である。
【図8】本発明の第3実施の形態に係る釘調整部材の遊技盤への取付について模式的に示す斜視図である。
【図9】本発明の第4実施の形態に係る釘調整部材を模式的に示す平面図である。
【図10】図9のA−A線に沿う断面図である。
【符号の説明】
6 盤面部
15 釘
15a 釘の頭部
20,21 シート部材
28 黒丸マーク(調整位置表示部)
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ機の遊技盤に立てられた釘の調整に用いられる釘調整部材及びそれを用いた釘調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
パチンコ機は、遊技盤の盤面に立てられる釘の調整によって出玉率(入賞度合い)が大きく左右される。出玉率によっては、客の入りが大きく変わりパチンコホールの売上に大きく影響する。そして、遊技者とパチンコホールとのバランスを図るため、いわゆる釘師といわれる釘調整者によって釘調整が行われ、個々のパチンコ機における出玉率を設定するのが一般的である。このような釘調整の方法の一例として、釘調整指示用紙に、出玉率をどの程度にするか、又は隣接する釘の間の距離をどのくらいにするか等の指示データを記載しておき、釘調整者がその釘調整指示用紙の内容を確認し、例えばゲージを用いて、勘や経験によって釘の角度等を変えて行う方法(特許文献1参照)がある。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−342766号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来技術では、勘や経験によって釘調整をおこなうため、目標の出玉率に対してバラツキが生じやすい。また、釘調整は釘師のような熟練技術者だけなく、未熟練者が行うこともたびたびあり、この場合、前記バラツキはさらに大きくなる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、パチンコ機の釘調整を容易に精度高く行うことができる釘調整部材及びそれを用いた釘調整方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載に係る釘調整部材の発明は、パチンコ機における複数本の釘が立てられる盤面部に対面して着脱可能に配置されるシート部材からなり、該シート部材に、前記釘の頭部の調整位置を示す調整位置表示部を設けたことを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の構成において、前記シート部材は、可撓性材料からなり、一部が支持部材を介して盤面部に支持されることを特徴とする。
【0006】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成において、前記シート部材は、光透過部材からなり、調整位置表示部は、目視可能のマークであることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成において、前記シート部材は、光非透過部材からなり、調整位置表示部は、孔であることを特徴とする。請求項5記載の発明は、請求項1から4までのいずれかに記載の構成において、前記シート部材は、出玉率に応じて前記調整位置表示部を配置した異なる種類の複数枚からなることを特徴とする。
【0007】
請求項6記載の発明は、パチンコ機の盤面部に立てられる釘についての釘調整方法であって、前記釘の頭部の調整位置を示す調整位置表示部を設けたシート部材を前記盤面部に対面させるように配置し、前記盤面部に対面した状態でのシート部材の調整位置表示部の位置に、前記釘の頭部がくるように、前記釘の頭部を移動させることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の第1実施の形態を図1ないし図6に基づいて説明する。図1ないし図3において、パチンコ機1は、外枠2と、外枠2に開閉自在に装着される内枠3とを備えている。内枠3には窓部が形成されておりその窓部4には、遊技盤5が着脱自在に納められている。さらに、内枠3には、遊技盤5のベニヤ板からなる前面部(盤面部という。)6を被うガラス7をはめたガラス枠8と、前面板9とが上下に並べてそれぞれ開閉自在に蝶着されている。前面板9は、前面に賞球を受ける上皿10を備えている。
【0009】
遊技盤5の盤面部6の中央には、図柄変動装置(以下、第1役物という。)11が設けられ、第1役物11の左右には左右第2役物12,12が設けられ、第1役物11の下側、さらにその下側には、この順に入賞装置(以下、第3役物という。)13、特別入賞装置(以下、第4役物という。)14が設けられている。また、盤面部6には多数本の釘15(図1では第3役物13の真上にある2本の釘15のみを示している。)が立てられている。さらに、盤面部6には風車(図示省略)及びその他の各種遊技部品が装着されている。盤面部6の上部左右には、後述するシート部材20を装着するための穴(以下、盤面部側穴という。)23が形成されている。
【0010】
このパチンコ機1は、釘調整部材であるシート部材20を用いて釘15の調整を行うようにしている。シート部材20は、盤面部6にほぼ沿う形状(この実施の形態では矩形)でこの盤面部6に後述するようにして配置され、ピン25により遊技盤5に固定されるようになっている。シート部材20は、可撓性を有する透明材料(光透過部材)で構成されている。シート部材20の上側(図2上側)左右には、前記盤面部側穴23に対応して2つの孔(以下、シート部材側孔という。)26が形成されている。
【0011】
前記ピン25がシート部材側孔26を通して盤面部側穴23に挿入されることにより、シート部材20が盤面部6に装着されるようになっている。この際、シート部材20は、盤面部6から所定距離を空けて盤面部6と対面して垂れ下がるように装着されている。シート部材20は、上述したように所定距離を空けて盤面部6と対面していることにより、第1〜第4役物11〜14及び遊技部品に接しておらず、また釘15の頭部15aに近接したものとなっている。なお、釘15の頭部15aに当接するように前記所定距離を設定してもよい。
【0012】
シート部材20は3枚用意されており、3枚のシート部材20は前記ピン25により遊技盤5に選択的に着脱可能とされている。各シート部材20には、釘15の頭部15aの基準位置(例えばメーカからホールへの出荷時点における位置)を示すリング状の丸(○)のマーク(以下、白丸マークという。)と、釘15の頭部15aの調整位置を示す黒丸(●)のマーク(調整位置表示部。以下、黒丸マークという。)28と、遊技盤5の風車に対応して設けた風車マークと、が印刷されている。
【0013】
黒丸マーク28は、出玉率に関係する所定の部分の釘15に対応して設けられている。各シート部材20は、前記黒丸マーク28を、あらかじめ想定される3種類の出玉率に対応して異なるように配置している。ここでは、3種類の出玉率は、平常の値、大きい値、小さい値とされ、これらに対応するシート部材20を、以下、平常調整用シート部材20a(図3)、甘い調整用シート部材20b(図5)、辛い調整用シート部材20c(図6)という。なお、平常調整用、甘い調整用、辛い調整用シート部材20a,20b,20cを、以下、適宜、シート部材20と総称する。
【0014】
平常調整用シート部材20aは、図3に示すように、第3役物13の真上にある2本の釘15の頭部15aに対応する黒丸マーク28の間隔が、基準間隔(前記出荷時点における間隔)に比してわずかに広く設定されている。
甘い調整用シート部材20bは、図5に示すように、第3役物13の真上にある2本の釘15の頭部15aに対応する黒丸マーク28の間隔が、平常調整用シート部材20aの場合に比してさらに広く設定されている。さらに、この甘い調整用シート部材20bにおいては、前記黒丸マーク28は例えば入賞口への流路が拡大する位置になるように設けられ、後述するように釘15の頭部15aを前記黒丸マーク28に対応した位置に移動させることにより出玉率を高くできるようにしている。
【0015】
辛い調整用シート部材20cは、図6に示すように、第3役物13の真上にある2本の釘15の頭部15aに対応する黒丸マーク28の間隔が、前記基準間隔に比してわずかに狭く設定されている。さらに、この辛い調整用シート部材20cにおいては、前記黒丸マーク28は例えば入賞口への流路が狭くなる位置になるように設けられ、釘15の頭部15aを前記黒丸マーク28に対応した位置に移動させることにより出玉率を低くできるようにしている。
【0016】
そして、前記パチンコ機1の釘15を調整する場合、まず、3枚のシート部材20(平常調整用、甘い調整用、辛い調整用シート部材20a,20b,20c)のうち、設定すべき出玉率に相当するシート部材20(ここでは、平常調整用シート部材20aを例にする。)を選択する。次に、ガラス枠8を開いて、内枠3に装着された遊技盤5の盤面部6を露出した状態にする。このように遊技盤5の盤面部6を露出した状態で、遊技盤5の盤面部側穴23にシート部材側孔26が一致するようにして前記選択した平常調整用シート部材20aを盤面部6に対面させる。そして、シート部材側孔26を通してピン25を盤面部側穴23に押し込み、シート部材20を盤面部6に対面させて保持させる。
【0017】
次に、シート部材20を通して正面から盤面部6を見て、2つの黒丸マーク28のうち一方(例えば図3右側)の黒丸マーク28とこれに対応する釘15の頭部15aの位置を確認する。そして、釘15の頭部15aが図3右側の黒丸マーク28と一致していない場合、ピン25を中心にしてシート部材20を持ち上げて前記図3右側の黒丸マーク28に対応する釘15の頭部15aにゲージなどにより図3の矢印方向に力を加え、図4に示すように図4右側の黒丸マーク28(図3右側の黒丸マーク28と同じ)と一致させる。
なお、図3では矢印を示しているが、これは釘15の頭部15aの移動方法を説明するために記載したものであり、シート部材20には付されてはいない。しかし、シート部材20に前記矢印を印刷するように構成してもよい。
【0018】
次に、図3右側の黒丸マーク28と同様にして、図3左側の黒丸マーク28に対応する釘15の頭を図4に示すように図4左側の黒丸マーク28(図3左側の黒丸マーク28と同じ)と一致させる。
上述した釘15の頭部15aの移動が終了すると、ピン25を盤面部側穴23から抜いて平常調整用シート部材20aを盤面部6から外し、平常調整用シート部材20aによる釘15の調整は終了する。
前記甘い調整用、辛い調整用シート部材20b,20cによる釘15の調整も上述した平常調整用シート部材20aの場合と同様に行われる。
【0019】
この実施の形態の釘調整方法によれば、調整すべき釘15の頭部15aの位置を黒丸マーク28と照らし合わせ、位置を確認した上で、釘15の頭部15aを移動させることができる。このため、熟練者はもちろん未熟練者にも釘15の調整を精度高くかつ容易に行うことができる。また、シート部材20を持ち上げて釘15の頭部15aの移動を行う一方、シート部材20の持ち上げを止めてシート部材20の下側を垂らすだけでシート部材20が盤面部6に対面して黒丸マーク28と釘15の頭部15aの位置を確認することができるので、黒丸マーク28と釘15の頭部15aとの位置照合を迅速かつ容易に果たすことができる。このため、釘15の頭部15aを一度移動した段階では釘15の頭部15aが黒丸マーク28に一致していない場合にも、釘15の頭部15a位置を容易に確認して再度、釘15の頭部15aを移動し、これにより所望の位置(黒丸マーク28に対応する位置)に釘15の頭部15aを移動することが可能であり、その分、作業性が向上する。
【0020】
この実施の形態では、出玉率がそれぞれ平常の値、大きい値、小さい値とされるようにして黒丸マーク28(調整位置表示部)を設けた平常調整用、甘い調整用、辛い調整用シート部材20a,20b,20cを用意しているので、出玉率に応じた釘15の調整を選択的に行うことができる。本実施の形態では、3枚のシート部材20を用いる場合を例にしたが、出玉率に応じて4枚以上のシート部材20を用意するようにしてもよい。なお、シート部材20は2枚であっても、1枚であってもよい。
また、この実施の形態では、2本のピン25を用いてシート部材20を2ヶ所で支持するので、シート部材20を確実に位置決めできる。また、上述したようにシート部材20が2ヶ所(2本のピン25)で支持されていることから、シート部材20の黒丸マーク28とこれに対応する釘15の頭部15aの位置とを確認した後にシート部材20を持ち上げる際に、シート部材20の持ち上げをバランスよく行うことができる。
【0021】
なお、この実施の形態では、シート部材20が可撓性材料から構成されている場合を例にしたが、これに代えて、ピン25で保持される部分(ピン保持部分)を中心にして、その下側部分が折れ曲がるように溝などを形成し、非可撓性材料で構成することも可能である。
また、上記第1実施の形態では、盤面部6の上部左右に形成した盤面部側穴23にピン25を挿入することによりシート部材20を保持する場合を例にしたが、これに代えて、図7に示すように、第1役物11に2つの穴(以下、第1役物側穴という。)23aを設け、この第1役物側穴23aにピン25を挿入してシート部材20を保持するように構成してもよい(第2実施の形態)。
また、図8に示すように、左右の第2役物12にそれぞれ穴(以下、第2役物側穴という。)23bを設け、この第2役物側穴23bにピン25を挿入してシート部材20を保持するように構成してもよい(第3実施の形態)。
【0022】
上記第1〜第3実施の形態では、調整位置表示部が黒丸マーク28である場合を例にしたがこれに限らず、黒丸と異なる形状、色を用いた他のマークで構成してもよい。
また、上記第1〜第3実施の形態では、シート部材20が透明部材からなる場合を例にしたが、これに代えて半透明部材(光透過部材)から構成してもよい。また、シート部材20について光を透過しない部材(光非透過部材)で構成してもよい。この場合、上記第1〜第3実施の形態における黒丸マーク28に相当する部分に孔を形成したり、当該部分を光透過部材で構成する。そして、前記孔又は光透過部材が調整位置表示部として用いられる。
【0023】
また、上記第1〜第3実施の形態では、2本のピン25を用いてシート部材20を2ヶ所で支持する場合を例にしたが、これに代えて3本以上のピン25を用いてシート部材20を3ヶ所以上で支持するようにしてもよい。
【0024】
上記実施の形態では、シート部材20を、役物を含む遊技盤5に保持させる場合を例にしたが、これに代えて、図9及び図10に示すように、ガラス枠8に装着される、ガラス7を含むガラスユニット30にシート部材21を装着するようにしてもよい(第4実施の形態)。この第4実施の形態では、ガラスユニット30の上側部分(図9上側)には、ピン25aが挿入される穴(以下、ガラスユニット側穴という。)31が左右方向に所定距離開けて形成されている。そして、ピン25aをシート部材21の孔32に通し、さらにガラスユニット側穴31に挿入することにより、シート部材21をガラスユニット30に装着している。
この第4実施の形態も、第1実施の形態と同様に、シート部材21は、出玉率に応じて黒丸マーク28などの調整位置表示部が配置された異なる種類の複数枚が用意されている。
【0025】
この第4実施の形態では、パチンコ機1の釘15を調整する場合、まず、複数枚のシート部材21のうち、設定すべき出玉率に相当するシート部材21を選択する。次に、ガラス枠8に装着されたガラスユニット30に前記選択されたシート部材21を装着する。
そして、調整すべき釘15の頭部15aの位置を調整位置表示部と照らし合わせ、位置を確認した上で、ガラス枠8を開けて釘15の頭部15aを移動させる。このように調整すべき釘15の頭部15aの位置を調整位置表示部と照らし合わせ位置を確認した上で、釘15の頭部15aを移動させることにより、熟練者はもちろん未熟練者にも釘15の調整を精度高くかつ容易に行うことができる。
【0026】
【発明の効果】
請求項1から5までのいずれかに記載の発明に係る釘調整部材によれば、パチンコ機における複数本の釘が立てられる盤面部に対面して着脱可能に配置されるシート部材からなり、該シート部材に、前記釘の頭部の調整位置を示す調整位置表示部を設けており、調整すべき釘の頭部の位置を調整位置表示部と照らし合わせ、位置を確認した上で、釘の頭部を移動させることができる。このため、熟練者はもちろん未熟練者にも釘の調整を精度高くかつ容易に行うことができる。
請求項6に記載の発明によれば、パチンコ機の盤面部に立てられる釘についての釘調整方法であって、前記釘の頭部の調整位置を示す調整位置表示部を設けたシート部材を前記盤面部に対面させるように配置し、前記盤面部に対面した状態でのシート部材の調整位置表示部の位置に、前記釘の頭部がくるように、前記釘の頭部を移動させるので、調整すべき釘の頭部の位置を調整位置表示部と照らし合わせ、位置を確認した上で、釘の頭部を移動させることができる。このため、熟練者はもちろん未熟練者にも釘の調整を精度高くかつ容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る釘調整部材(シート部材)が用いられるパチンコ機を模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施の形態に係る釘調整部材の遊技盤への取付について模式的に示す斜視図である。
【図3】本発明の第1実施の形態に係る釘調整部材の平常調整用シート部材を模式的に示す平面図である。
【図4】図3の平常調整用シート部材による釘の頭部の移動例を模式的に示す断面図である。
【図5】本発明の第1実施の形態に係る釘調整部材の甘い調整用シート部材を模式的に示す平面図である。
【図6】本発明の第1実施の形態に係る釘調整部材の辛い調整用シート部材を模式的に示す平面図である。
【図7】本発明の第2実施の形態に係る釘調整部材の遊技盤への取付について模式的に示す斜視図である。
【図8】本発明の第3実施の形態に係る釘調整部材の遊技盤への取付について模式的に示す斜視図である。
【図9】本発明の第4実施の形態に係る釘調整部材を模式的に示す平面図である。
【図10】図9のA−A線に沿う断面図である。
【符号の説明】
6 盤面部
15 釘
15a 釘の頭部
20,21 シート部材
28 黒丸マーク(調整位置表示部)
Claims (6)
- パチンコ機における複数本の釘が立てられる盤面部に対面して着脱可能に配置されるシート部材からなり、該シート部材に、前記釘の頭部の調整位置を示す調整位置表示部を設けたことを特徴とする釘調整部材。
- 前記シート部材は、可撓性材料からなり、一部が支持部材を介して盤面部に支持されることを特徴とする請求項1に記載の釘調整部材。
- 前記シート部材は、光透過部材からなり、調整位置表示部は、目視可能のマークであることを特徴とする請求項1又は2に記載の釘調整部材。
- 前記シート部材は、光非透過部材からなり、調整位置表示部は、孔であることを特徴とする請求項1又は2に記載の釘調整部材。
- 前記シート部材は、出玉率に応じて前記調整位置表示部を配置した異なる種類の複数枚からなることを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の釘調整部材。
- パチンコ機の盤面部に立てられる釘についての釘調整方法であって、前記釘の頭部の調整位置を示す調整位置表示部を設けたシート部材を前記盤面部に対面させるように配置し、前記盤面部に対面した状態でのシート部材の調整位置表示部の位置に、前記釘の頭部がくるように、前記釘の頭部を移動させることを特徴とする釘調整方法。
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2002
- 2002-10-31 JP JP2002317949A patent/JP2004147954A/ja active Pending
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