JP2004147494A - パンタグラフ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高速鉄道車両用として使用した場合にも、摺り板と架線との当接圧を適正に保ちつつ、振動及び風切り音の発生を抑えられるパンタグラフ装置を実現する。
【解決手段】上端部に集電舟9を設けた主枠21の下端部を、支持プレート上で水平移動するスライダ19に、第一の横軸20により揺動変位自在に結合する。上記主枠21の中間部に第二の横軸22により揺動変位自在に結合した副枠23の下端部を上記支持プレートに対し、第三の横軸28により揺動変位自在に結合する。第一、第二、第三の横軸20、22、28の設置位置を適切に規制する事により、上記集電舟9がほぼ鉛直方向に昇降する様にする。又、上記主枠21の支持剛性を高める事で振動を抑え、更に、防風カバーから露出する部分を単純化する事で風切り音の発生を抑える。
【選択図】 図1
【解決手段】上端部に集電舟9を設けた主枠21の下端部を、支持プレート上で水平移動するスライダ19に、第一の横軸20により揺動変位自在に結合する。上記主枠21の中間部に第二の横軸22により揺動変位自在に結合した副枠23の下端部を上記支持プレートに対し、第三の横軸28により揺動変位自在に結合する。第一、第二、第三の横軸20、22、28の設置位置を適切に規制する事により、上記集電舟9がほぼ鉛直方向に昇降する様にする。又、上記主枠21の支持剛性を高める事で振動を抑え、更に、防風カバーから露出する部分を単純化する事で風切り音の発生を抑える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、新幹線等の高速鉄道車両で、架線から電気を取り入れる為に当該車両の屋根面上に設けられるパンタグラフ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
鉄道車両用のパンタグラフ装置として従来から、図16〜17に示す様な構造のものが、例えば特許文献1に記載されて、知られている。鉄道車両の屋根1上に支持プレート2を、碍子3、3を介して支持している。従ってこの支持プレート2は、上記車両の本体部分とは絶縁されている。この支持プレート2の上面に支持管4を、この車両の幅方向(図17の表裏方向)に設けられた第一の横軸5を中心とする揺動を自在として設けている。そして、上記支持管4の中間部に、下枠6の下端部を結合固定している。又、この下枠6の上端部に上枠7の下端部を、上記第一の横軸5と平行な第二の横軸8を中心とする揺動を自在として連結している。更に、上記上枠7の上端部に集電舟9を、上記第一、第二の横軸5、8と平行な横軸10を中心とする揺動を自在として連結している。上記集電舟9は、上記車両の幅方向に配置されており、上面に摺り板11、11を設置している。
【0003】
又、上記支持管4には、この支持管4の中間部下側に固設したブラケット12と上記支持プレート2との間に設けた引っ張りばね13により、上記下枠6を立ち上げる方向の弾力を付与している。又、上記下枠6の上端部と上記上枠7の下端部との連結部には、リンク機構等の図示しない立ち上げ機構を設けて、上記引っ張りばね13により上記下枠6が立ち上がった場合に、上記上枠7をこの下枠6と同じ様に上方に向け立ち上がらせる様にしている。更に、上記集電舟9は上記上枠7の上端部に、この集電舟9の上面と架線14の下縁とを平行にすべく、この架線14の下縁に倣う様に、上記横軸10を中心とする揺動を自在に支持している。
【0004】
又、上記支持管4の中間部下側に設けた別のブラケット12aと上記支持プレート2との間には、エアシリンダ等のアクチュエータ15を設けている。上記集電舟9を上記架線14から離して下降させるべく、上記下枠6と上枠7とから成るパンタグラフ本体16を折り畳む場合には、上記アクチュエータ15を伸長させる。この結果、上記下枠6が上記第一の横軸5を中心として図17の反時計方向に、上記上枠7が上記第二の横軸8を中心として図17の時計方向に、それぞれ揺動して、上記パンタグラフ本体16が折り畳まれ、上記集電舟9が下降する。この集電舟9が下降し切った状態では、上記支持プレート2の上面に設けた鉤片17が、この集電舟9の一部と係合して、上記アクチュエータ15が伸長方向の力を喪失した後に於いても、上記集電舟9が上昇しない様にする。
【0005】
上述の様に構成し作用するパンタグラフ装置を高速鉄道車両に使用する場合、次の▲1▼〜▲3▼の条件を満たす構造とする事が重要である。
▲1▼ 上記集電舟9をできるだけ鉛直方向に昇降させる事。
▲2▼ この集電舟9の支持剛性を確保する事。
▲3▼ 空気抵抗となる部分をできるだけ少なくする事。
【0006】
このうちの▲1▼は、走行時に於ける空気抵抗や摺り板11、11と架線14との摺動抵抗に基づいて上記集電舟9に車両の進行方向後方に向いた水平方向力が加わった場合に、この集電舟9を昇降させる方向の力が作用するのを防止する為に必要である。上記▲1▼を満たさない場合には、上記水平方向力に基づいて上記集電舟9を昇降させる方向の力が作用し、上記摺り板11、11と架線14との当接部の面圧が過大になったり(上昇方向の力が加わった場合)、この面圧が低下若しくは喪失する(下降方向の力が加わった場合)。この為に、図16〜17に示した構造を含めて従来から、下枠6の長さと上枠7の長さとの比、並びに前記第二の横軸8部分に組み込むリンク機構の構造を工夫する事により、上記集電舟9を鉛直方向に昇降させる様にしている。
【0007】
又、上記▲2▼は、高速走行に伴って摺り板11、11と架線14との摺動部から上枠7に加わる荷重に拘らず、パンタグラフ本体16が過度に変位したり振動したりするのを防止する為に必要である。この様な面から必要になる上記▲2▼に関しては、図16〜17に示した構造では不十分である為、図18に示す様な構造により、剛性確保を図っている。即ち、上枠7aの下端部を第二の横軸8aよりも下方に延長すると共に、この上枠7aの下端部と支持プレート2(図16〜17参照)の上面との間に補助枠18を、この補助枠18の上下両端部を上記上枠7aの下端部或は支持プレート2の上面に揺動変位自在に結合する事により掛け渡している。上記図18に示した構造の場合、この様に、上記上枠7aを軸方向2個所位置で支持する事により、この上枠7a及びこの上枠7aの上端部に設置した集電舟9の支持剛性を向上させている。
【0008】
更に、前記▲3▼は、高速走行時に発生する風切り音を低減し、沿線に騒音公害を発生させない様にする為に必要である。この様な▲3▼の面から見た場合、上記図16〜17に示した従来構造の第1例に比べて、上記図18に示した第2例は、走行時に風に曝される部分が多く、風切り音を抑える面からは不利である。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−224705号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述の様な事情に鑑み、高速鉄道車両用のパンタグラフ装置として、集電舟を鉛直方向に昇降させられてしかもこの集電舟の支持剛性が高く、且つ、空気抵抗となる部分が少ない構造の実現が望まれる。
本発明のパンタグラフ装置は、この様な事情に鑑みて発明したものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のパンタグラフ装置のうち、請求項1に記載したパンタグラフ装置は、支持部材と、スライダと、第一の横軸と、主枠と、第二の横軸と、副枠とを備える。
このうちの支持部材は、鉄道車両の屋根面上に取り付けられるもので、支持プレート(枠状等、必ずしも板状とは限らない)等が使用される。
又、上記スライダは、この様な支持部材に、水平方向の変位自在に支持されている。
又、上記第一の横軸は、上記スライダに、上記鉄道車両の幅方向に設けられている。
又、上記主枠は、上記第一の横軸により下端部を揺動変位自在に支持されると共に、上端部に集電舟を支持する。
又、上記第二の横軸は、上記主枠の中間部に、上記第一の横軸と平行に設けられている。
更に、上記副枠は、上記第二の横軸に上端部を支持されると共に下端部を上記支持プレートに対し、上記第一の横軸及びこの第二の横軸と平行な第三の横軸により揺動変位自在に支持されている。
【0012】
又、請求項2に記載したパンタグラフ装置は、支持部材と、第一の横軸と、副枠と、第二の横軸と、主枠と、補助枠と、ガイド部材と、ガイド部とを備える。このうちの支持部材は、鉄道車両の屋根面上に取り付けられるもので、支持プレート等が使用される。
又、上記第一の横軸は、上記支持部材に、この鉄道車両の幅方向に設けられている。
又、上記副枠は、上記第一の横軸により下端部を揺動変位自在に支持されている。
又、上記第二の横軸は、上記副枠の上端部に上記第一の横軸と平行に設けられている。
又、上記主枠は、上記第二の横軸により下端部を揺動変位自在に支持されている。
又、上記補助枠は上記主枠の下端部から下方に延出する状態で、この主枠に固定されている。尚、これら補助枠と主枠とは、一体に構成しても良い。
又、上記ガイド部材は、上記補助枠の下端部から側方に突設されている。
更に、上記ガイド部は、上記支持部材に固定されたガイドプレートの側面に形成されており、上記第一の横軸よりも下方位置に曲率中心を有する。
そして、上記副枠の上記屋根面に対する傾斜角度が大きくなる程、上記第二の横軸と上記ガイド部材とを結ぶ直線の上記屋根面に対する傾斜角度が大きくなる様に、各部の設置位置及び寸法を規制している。
【0013】
【作用】
上述の様な本発明のパンタグラフ装置の場合には、何れの構造でも、集電舟を鉛直方向に昇降させられてしかもこの集電舟の支持剛性が高く、且つ、空気抵抗となる部分が少ない構造を実現できる。
先ず、請求項1に係るパンタグラフ装置の場合には、集電舟を昇降させる為にスライダを水平方向に移動させるのに伴って副枠が起伏(或は、この副枠を起伏させるのに伴って上記スライダが水平方向に移動)し、この副枠の上端部と主枠の中間部とを結合している第二の横軸が、円弧運動しつつ上下方向に変位する。従って、第一、第二、第三の横軸の設置位置を適切に規制すれば、上記主枠の上端部の変位方向を、鉛直方向に近くできる。
又、上記主枠は、中間部と下端部との、軸方向に離隔した2個所位置で支持されているので、支持剛性を十分に確保できる。
更に、スライダ及び副枠は、支持部材の上面近くの、低い位置に設置できる。高速鉄道車両用のパンタグラフ装置の場合、上記支持部材に近い下部は、この支持部材の周囲に設けた防風カバーにより覆われた状態となり、走行時の風が直接当たる事はない。従って、高速走行時に発生する風切り音の低減を図れる。
【0014】
又、請求項2に係るパンタグラフ装置の場合には、集電舟を昇降させる為に、第一の横軸を中心として副枠を揺動変位させるのに伴って、この副枠の上端部に設けた第二の横軸と、補助枠の下端部に設けたガイド部材とを結ぶ直線の、屋根面に対する傾斜角度が変化する。具体的には、上記副枠の上記屋根面に対する傾斜角度を大きくする事で、上記第二の横軸と上記ガイド部材とを結ぶ直線の上記屋根面に対する傾斜角度を大きくし、主枠の上端部に設けた集電舟を昇降させる事ができる。そして、第一、第二の横軸及びガイド部材の設置位置、ガイド部の曲率半径及び曲率中心を適切に規制すれば、上記主枠の上端部の変位方向を、鉛直方向に近くできる。
又、上記主枠は、下端部に設けた第二の横軸と、下端部に固定した補助枠の下端部に設けたガイド部材とガイド部との係合部との、軸方向に離隔した2個所位置で支持されているので、支持剛性を十分に確保できる。
更に、副枠、補助枠、及びガイド部材は、支持部材の上面近くの、低い位置に設置できる。上述の様に、高速鉄道車両用のパンタグラフ装置の場合、上記支持部材に近い下部は、この支持部材の周囲に設けた防風カバーにより覆われた状態となり、走行時の風が直接当たる事はない。従って、高速走行時に発生する風切り音の低減を図れる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1〜4は、請求項1に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例のパンタグラフ装置は、支持プレート2(図16〜17参照)と、スライダ19と、第一の横軸20と、主枠21と、第二の横軸22と、副枠23とを備える。
このうちの支持プレート2は、前述の図16〜17に示した従来構造の第1例の場合と同様に、碍子3、3を介して鉄道車両の屋根1(図16〜17参照)上に取り付けられる。
【0016】
又、上記スライダ19は、上記支持プレート2の上面に、水平方向の変位自在に支持されている。この為に本例の場合には、この支持プレート2に対し固定の部分に1対の支持片24、24を、前後方向に離隔して設けている。そして、これら両支持片24、24同士の間に掛け渡したガイドロッド25に上記スライダ19を、このガイドロッド25の軸方向(鉄道車両の前後方向)の変位自在に外嵌している。
【0017】
この様なスライダ19の上面には、図2に示す様に1対の支持板部26、26を、鉄道車両の幅方向に離隔した状態で固設している。そして、これら両支持板部26、26同士の間に掛け渡す状態で上記第一の横軸20を、上記鉄道車両の幅方向に設けている。そして、この第一の横軸20により、上記主枠21の下端部を、揺動自在に支持している。又、この主枠21の上端部に集電舟9を、前述した従来構造と同様に、横軸10により揺動自在に支持している。
【0018】
又、上記主枠21の中間部に前記第二の横軸22を、上記第一の横軸20と平行に設けている。即ち、上記主枠21の中間部に、図3に示す様に、結合ブラケット27の基半部(図3の左上半部)を外嵌固定すると共に、この結合ブラケット27の先半部(図3の右下半部)に、上記第二の横軸22を支持している。この結合ブラケット27の先半部は二股に形成しており、この第二の横軸22は、この二股部分に掛け渡す状態で、上記結合ブラケット27の先半部に設けている。この様にして上記主枠21の中間部に設けた上記第二の横軸22に、前記副枠23の上端部を揺動変位自在に支持している。更に、この副枠23の下端部を前記支持プレート2に対し、上記第一の横軸20及びこの第二の横軸22と平行な第三の横軸28により、揺動変位自在に支持している。
【0019】
尚、図1〜3には省略するが、前記スライダ19或は上記副枠23に、上記主枠21を起立させる為の起立ばねを付設する。このうち、スライダ19に付設する場合には、このスライダ19を図1の右方向に引っ張る引っ張りばね等を使用する。又、上記副枠23に付設する場合には、この副枠23の下端部を上記第三の横軸28を構成する支持管に固定して、前述の図16〜17に示した従来構造で下枠6に設けたものと同様の構造を構成する。又、前記集電舟9を下降させる為の構造は、やはり前述の図16〜17に示した従来構造で下枠6に設けたアクチュエータ15によるものと同様の構造を、上記第三の横軸28部分に組み付ける。
【0020】
上述の様な本例のパンタグラフ装置の場合には、上記集電舟9をほぼ鉛直方向に昇降させられてしかもこの集電舟9の支持剛性が高く、且つ、空気抵抗となる部分が少ない構造を実現できる。
先ず、上記集電舟9をほぼ鉛直方向に昇降させられる点に就いて説明する。この集電舟9を昇降させる場合、上記スライダ19を水平方向に移動させるか、或は上記副枠23を起伏させる。何れにしても、これらスライダ19の水平移動と副枠23の起伏とが互いに連動して行なわれ、この副枠23の上端部と上記主枠21の中間部とを結合している前記第二の横軸22が、円弧運動しつつ上下方向に変位する。従って、第一、第二、第三の横軸20、22、28の設置位置を適切に規制すれば、上記主枠21の上端部に設けた上記集電舟9の変位方向を、鉛直方向に近くできる。
【0021】
図4は、上記集電舟9の昇降に伴う各枠の動きを示す、言い換えれば、上記スライダ19を水平移動させつつ上記主枠21及び上記副枠23を起伏させた場合に於ける、これら両枠21、23の姿勢を示した模式図である。図4にこれら両枠21、23及び結合ブラケット27を表した各線分の長さ(の比)は、そのままこれら両枠21、23及び結合ブラケット27の長さ(の比)を表している。この様な図4から明らかな通り、本例の構造を採用して第一、第二、第三の横軸20、22、28の設置位置を適切に規制すれば、上記主枠21の上端部に設けた上記集電舟9の変位方向を、鉛直方向に近くできる。従って、高速走行時に、於ける空気抵抗や摺り板11、11と架線14(図16参照)との摺動抵抗に基づいて上記集電舟9に車両の進行方向後方に向いた水平方向力が加わった場合でも、この集電舟9を昇降させる方向の力が作用する事は殆どない。
【0022】
又、上記主枠21は、中間部に設けた第二の横軸22と下端部に設けた第一の横軸20との、軸方向に離隔した2個所位置で支持されているので、支持剛性を十分に確保できる。この為、高速走行に伴って上記摺り板11、11と架線14との摺動部から上記主枠21に加わる荷重に拘らず、パンタグラフ装置が過度に変位したり振動したりするのを防止できる。
【0023】
更に、上記スライダ19及び副枠23は、前記支持プレート2の上面近くの、低い位置に設置できる。高速鉄道車両用のパンタグラフ装置の場合、上記支持プレート2に近い下部は、この支持プレート2の周囲に設けた防風カバーにより覆われた状態となり、走行時の風が直接当たる事はない。従って、高速走行時に発生する風切り音の低減を図れる。
【0024】
次に、図5〜7は、上述した第1例と同様、請求項1に対応する、本発明の実施の形態の第2例として、この請求項1に係る発明を具体化した構造に就いて示している。本例の場合には、鉄道車両の屋根面上に碍子3、3(前述した図17或は後述する図8、11、15参照)を介して支持固定する支持部材29の中間部下方に第三の横軸28を支持し、この第三の横軸28に円管状のスリーブ30(支持管)を、回転自在に外嵌している。そして、このスリーブ30の中間部上面に、副枠23の下端部を固定している。又、このスリーブ30の中間部上面でこの副枠23の下端部から軸方向に外れた部分に引っ張り腕31の基端部(下端部)を固設し、更にこの引っ張り腕31の先端部(上端部)と上記支持部材29の端部との間に引っ張りコイルばね32を設けている。この構成により、上記副枠23に、起立方向の弾性を付与している。尚、上記第三の横軸28とスリーブ30とを一体に構成、若しくは別体としたものを互いに結合固定(スリーブ30を省略)して、これら第三の横軸28及びスリーブ30の両端部を、上記支持部材29に対し回動自在に支持しても良い。
【0025】
又、上記スリーブ30の軸方向一端部(図6の下端部)に受ローラ33を、上方に突出する状態で形成している。そして、上記支持部材29の一部で上記スリーブ30に関して上記引っ張りコイルばね32と同じ側に、エアシリンダ34を固定している。そして、このエアシリンダ34の出力ロッド35の先端面を、上記受ローラ33に対向させている。このエアシリンダ34に圧縮空気を送り込み、上記出力ロッド35を突出させた状態では、上記スリーブ30を上記第三の横軸28を中心に、上記圧縮コイルばね32の弾力に抗して回動させ、上記副枠23を(屋根面に対し水平に近く)倒す事ができる。尚、上記スリーブ30の軸方向他端部(図6の上端部)と上記支持部材29との間にはダンパ36を掛け渡して、上記副枠23の起倒、延ては主枠21の起倒を緩徐に行なわせ、各部に衝撃が加わらない様にしている。
【0026】
更に、上記支持部材29から、鉄道車両の進行方向に延長する状態で形成した補助枠部37の上面に1対のガイドレール38、38を、上記進行方向に、互いに平行に配設している。そして、これら両ガイドレール38、38に係合したスライダ19a、19a同士の間に第一の横軸20を掛け渡し、この第一の横軸20に上記主枠21の下端部を、揺動変位自在に支持している。又、この主枠21の上端部に、集電舟9を支持している。尚、この集電舟9の姿勢は、図示しないリンク機構の働きにより、上記主枠21の傾斜角度の変動(起倒)に係らず、上面に支持した摺り板11、11の上面が水平方向に位置する様に規制される。その他、基本的な部分の構成は、前述した第1例と同様である。
【0027】
上述の様に構成する本例の構造の場合も、前述した第1例の場合と同様に、上記集電舟9をほぼ鉛直方向に昇降させられてしかもこの集電舟9の支持剛性が高く、且つ、空気抵抗となる部分が少ない構造を実現できる。特に、気流騒音を発生し易い、前記引っ張りコイルばね32、受ローラ33、エアシリンダ34、ダンパ36等を、前記支持部材29の上面よりも更に下方に配置できる。この部分は、前述の第1例の説明からも明らかな様に、防風カバーにより覆われた状態となり、走行時の風が直接当たる事はない。従って、高速走行時に発生する風切り音の低減を図れる。
【0028】
次に、図8〜14は、請求項2〜3に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合、カバー39を組み付けた状態で全体を示す図8から明らかな様に、主枠21aの下端部を、支持部材29に対し片持ち式に支持された第二の横軸40の端部に回転自在に支持し、この第二の横軸40を中心に上記主枠21aを回動させる為の機構全体を、上記カバー39内に納めている。このカバー39は、この機構の周囲を囲むだけでなく、上方も覆う(下方はこのカバー39の一部及び支持部材29により覆う)。又、このカバー39の形状は、気流騒音低減の面から流線形にする等、比較的任意に設計できる。従って、高速走行時に発生する気流騒音の低減を、より高レベルで実現できる。この為に本例の場合には、上記第二の横軸40を中心に上記主枠21aを回動させる機構をコンパクトに構成して、この機構を上記カバー39内に納められる様にしている。上記第二の横軸40の先端部は、このカバー39の側面に設けた円弧状の長孔50を通じて、このカバー39外に突出している。以下、上記第二の横軸40を中心に上記主枠21aを回動させる機構部分に就いて、図9〜14により説明する。
【0029】
本例の場合、上記第二の横軸40を中心に上記主枠21aを回動させてこの主枠21aを起倒させる為に、枠状に構成した上記支持部材29に、第一の横軸41と、副枠42と、上記第二の横軸40と、上記主枠21aと、補助枠43と、ガイド部材44と、ガイド溝45とを組み付けている。
このうちの支持部材29は、鉄道車両の屋根面上に碍子3、3を介して支持固定されるもので、この鉄道車両の前後方向に長い、長矩形の枠状に構成されている。
【0030】
上記第一の横軸41は、上記支持部材29の左右両辺同士の間に、上記鉄道車両の幅方向に設け、この第一の横軸41に円管状のスリーブ30a(支持管)を、回転自在に外嵌している。そして、このスリーブ30aの中間部に上記副枠42の下端部を固定している。従って、この副枠42は、上記第一の横軸41により下端部を揺動変位自在に支持されている。又、上記第二の横軸40は、上記副枠42の上端部に、上記第一の横軸41と平行に設けられている。又、上記主枠21aは、上記第二の横軸40により、下端部を揺動変位自在に支持されている。更に、上記補助枠43は、L字形に形成され、その基端部を上記主枠21の下端部片側面(図10の左端部下面)に溶接固定する事により、上記主枠21aの下端部から下方に延出する状態で、この主枠21aに固定されている。尚、上記第一の横軸41とスリーブ30aとを一体に構成、若しくは別体としたものを互いに結合固定(スリーブ30aを省略)して、これら第一の横軸41及びスリーブ30aの両端部を、上記支持部材29に対し回動自在に支持しても良い。
【0031】
又、前記ガイド部材44は、上記補助枠43の下端部から側方に突設されている。本例の場合にこのガイド部材44は、支柱部材46とガイドローラ47とから成る。このうちの支柱部材46は、上記補助枠43の下端部側面に基端部を、溶接等により結合固定した状態で、上記第一、第二の横軸41、40と平行に設けられている。又、上記ガイドローラ47は、上記支柱部材46の先端部に、この支柱部材46と同心に、回転自在に支持している。
【0032】
更に、前記ガイド溝45は、上記支持部材29に固定されたガイドプレート48の側面に、この側面から凹入する状態で形成している。上記ガイド溝45は単一円弧形で、この円弧の曲率半径の中心O45は、上記第一の横軸41よりも下方位置で、この第一の横軸41の中心O41よりも、上記主枠21aの上端部と反対側に存在する。本例の場合に上記ガイドプレート48は、支持板51を介して、上記支持部材29に対し結合固定している。又、上記ガイド溝45の幅は、上記ガイドローラ47の外径よりも少しだけ大きくして、このガイド溝45内に、このガイドローラ47を挿入している。
【0033】
この様な構成により、前記副枠42の前記屋根面に対する傾斜角度が大きくなる程、上記第二の横軸40と上記ガイド部材44とを結ぶ直線αの、上記屋根面に対する傾斜角度が大きくなる様にしている。即ち、上記副枠42の起倒に伴う上記ガイドローラ47の軌跡は、上記ガイド溝45の曲率半径の中心O45を揺動中心とし、この曲率半径に見合う長さを有するリンクの先端に上記ガイドローラ47を支持した場合の軌跡となる。言い換えれば、本例の構造で、上記副枠42の起倒に伴う前記主枠21aの軌跡は、上記中心O45を中心とするリンク腕の先端に、前記補助枠43を揺動変位自在に結合した場合と同じになる。例えば、前述の図18に示した構造で、下枠6を短くすると共に補助枠18を省略し、上枠7aの下端部を、この補助枠18の上端部の軌跡に一致するガイド溝により案内した場合と同様の動きを行なう。
【0034】
そこで、上記副枠42の長さに基づいて定まる、上記第一、第二の横軸41、40同士の間の距離、この第二の横軸40と上記ガイドローラ47の中心との距離、上記ガイド溝45の曲率半径、このガイド溝45の曲率半径の中心O45と上記第一の横軸41の中心O41との距離を適切に規制すれば、上記主枠21aの上端部に設けた前記集電舟9を、鉛直方向に変位させられる。図14は、この主枠21aの上端部に支持した集電舟9の昇降に伴う各枠の動きを示す、言い換えれば、上記第一の横軸41を中心として上記副枠42を揺動変位させつつ上記主枠21aを起伏させた場合に於ける、これら両枠42、21aの姿勢を示した模式図である。図14に表した各線分の長さ(の比)は、そのまま各部の長さ(の比)を表している。
【0035】
この様な図14から明らかな通り、本例の構造を採用して、上記第一、第二の横軸41、40同士の間の距離、この第二の横軸40と上記ガイドローラ47の中心との距離、上記ガイド溝45の曲率半径、このガイド溝45の曲率半径の中心O45と上記第一の横軸41の中心O41との距離を適切に規制すれば、上記主枠21aの上端部に設けた上記集電舟9の変位方向を、鉛直方向に近くできる。従って、高速走行時に於ける空気抵抗や摺り板11、11と架線14(図17参照)との摺動抵抗に基づいて、上記集電舟9に車両の進行方向後方に向いた水平方向力が加わった場合でも、この集電舟9を昇降させる方向の力が作用する事は殆どない。
【0036】
上述の様に構成する本例の構造の場合、前述した第1〜2例の場合と同様若しくはそれ以上に、上記集電舟9をほぼ鉛直方向に昇降させられてしかもこの集電舟9の支持剛性が高く、且つ、空気抵抗となる部分が少ない構造を実現できる。特に、上記主枠21a及び上記集電舟9を除き、気流騒音を発生し易い多数の部材を前記カバー39内に収納する事ができて、これら各部材に走行時の風が直接当たる事を防止できる。従って、高速走行時に発生する風切り音のより一層の低減を図れる。
【0037】
次に、図15は、請求項2〜3に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。上述した第3例は、従前の鉄道車両の屋根面上に設置できる様に、カバー39の側方に支持板49を設け、これらカバー39及び支持板49の下面と鉄道車両の屋根面との間に設けた、合計3個の碍子3、3により、パンタグラフ装置をこの屋根面上に支持する様にしていた。これに対して本例の場合には、上記支持板49を省略し、カバー39の下面と屋根面上との間にのみ、2個の碍子3、3を設けて、パンタグラフ装置をこの屋根面上に支持する様に構成している。この様に構成する為、走行時に風を受ける部材を少なくして、高速走行時に於ける気流騒音の低減のより一層の低減を図れる。尚、請求項2に係る発明に関して、ガイド部を、図示の様なガイド溝45に代えてガイドレールとする事もできる。この場合には、ガイド部材44の先端部に支持した1対のガイドローラにより、上記ガイドレールを両側から挟持する。
【0038】
【発明の効果】
本発明は、以上に述べた通り構成され作用するので、高速鉄道車両用として使用した場合にも、摺り板と架線との当接圧を適正に保ちつつ、振動及び風切り音の発生を抑えられるパンタグラフ装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す略側面図。
【図2】図1のA部拡大斜視図。
【図3】同じくB部拡大図。
【図4】集電舟の昇降に伴う各枠の動きを示す模式図。
【図5】本発明の実施の形態の第2例を示す側面図。
【図6】同じく平面図。
【図7】図5の右方から見た図。
【図8】本発明の実施の形態の第3例の全体構成を示す斜視図。
【図9】一部を省略して示す、図8のC−C断面図。
【図10】図9の上方から見た図。
【図11】同じく右方から見た図。
【図12】図9のD部拡大図。
【図13】図10のE部拡大図。
【図14】集電舟の昇降に伴う各枠の動きを示す模式図。
【図15】本発明の実施の形態の第4例の全体構成を示す斜視図。
【図16】従来構造の1例を示す斜視図。
【図17】同じく側面図。
【図18】従来構造の第2例を示す略側面図。
【符号の説明】
1 屋根
2 支持プレート
3 碍子
4 支持管
5 第一の横軸
6 下枠
7、7a 上枠
8、8a 第二の横軸
9 集電舟
10 横軸
11 摺り板
12、12a ブラケット
13 引っ張りばね
14 架線
15 アクチュエータ
16 パンタグラフ本体
17 鈞片
18 補助枠
19、19a スライダ
20 第一の横軸
21、21a 主枠
22 第二の横軸
23 副枠
24 支持片
25 ガイドロッド
26 支持板部
27 結合ブラケット
28 第三の横軸
29、29a 支持部材
30、30a スリーブ
31 引っ張り腕
32 引っ張りコイルばね
33 受ローラ
34 エアシリンダ
35 出力ロッド
36 ダンパ
37 補助枠部
38 ガイドレール
39 カバー
40 第二の横軸
41 第一の横軸
42 副枠
43 補助枠
44 ガイド部材
45 ガイド溝
46 支柱部材
47 ガイドローラ
48 ガイドプレート
49 支持板
50 長孔
51 支持板
【発明の属する技術分野】
この発明は、新幹線等の高速鉄道車両で、架線から電気を取り入れる為に当該車両の屋根面上に設けられるパンタグラフ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
鉄道車両用のパンタグラフ装置として従来から、図16〜17に示す様な構造のものが、例えば特許文献1に記載されて、知られている。鉄道車両の屋根1上に支持プレート2を、碍子3、3を介して支持している。従ってこの支持プレート2は、上記車両の本体部分とは絶縁されている。この支持プレート2の上面に支持管4を、この車両の幅方向(図17の表裏方向)に設けられた第一の横軸5を中心とする揺動を自在として設けている。そして、上記支持管4の中間部に、下枠6の下端部を結合固定している。又、この下枠6の上端部に上枠7の下端部を、上記第一の横軸5と平行な第二の横軸8を中心とする揺動を自在として連結している。更に、上記上枠7の上端部に集電舟9を、上記第一、第二の横軸5、8と平行な横軸10を中心とする揺動を自在として連結している。上記集電舟9は、上記車両の幅方向に配置されており、上面に摺り板11、11を設置している。
【0003】
又、上記支持管4には、この支持管4の中間部下側に固設したブラケット12と上記支持プレート2との間に設けた引っ張りばね13により、上記下枠6を立ち上げる方向の弾力を付与している。又、上記下枠6の上端部と上記上枠7の下端部との連結部には、リンク機構等の図示しない立ち上げ機構を設けて、上記引っ張りばね13により上記下枠6が立ち上がった場合に、上記上枠7をこの下枠6と同じ様に上方に向け立ち上がらせる様にしている。更に、上記集電舟9は上記上枠7の上端部に、この集電舟9の上面と架線14の下縁とを平行にすべく、この架線14の下縁に倣う様に、上記横軸10を中心とする揺動を自在に支持している。
【0004】
又、上記支持管4の中間部下側に設けた別のブラケット12aと上記支持プレート2との間には、エアシリンダ等のアクチュエータ15を設けている。上記集電舟9を上記架線14から離して下降させるべく、上記下枠6と上枠7とから成るパンタグラフ本体16を折り畳む場合には、上記アクチュエータ15を伸長させる。この結果、上記下枠6が上記第一の横軸5を中心として図17の反時計方向に、上記上枠7が上記第二の横軸8を中心として図17の時計方向に、それぞれ揺動して、上記パンタグラフ本体16が折り畳まれ、上記集電舟9が下降する。この集電舟9が下降し切った状態では、上記支持プレート2の上面に設けた鉤片17が、この集電舟9の一部と係合して、上記アクチュエータ15が伸長方向の力を喪失した後に於いても、上記集電舟9が上昇しない様にする。
【0005】
上述の様に構成し作用するパンタグラフ装置を高速鉄道車両に使用する場合、次の▲1▼〜▲3▼の条件を満たす構造とする事が重要である。
▲1▼ 上記集電舟9をできるだけ鉛直方向に昇降させる事。
▲2▼ この集電舟9の支持剛性を確保する事。
▲3▼ 空気抵抗となる部分をできるだけ少なくする事。
【0006】
このうちの▲1▼は、走行時に於ける空気抵抗や摺り板11、11と架線14との摺動抵抗に基づいて上記集電舟9に車両の進行方向後方に向いた水平方向力が加わった場合に、この集電舟9を昇降させる方向の力が作用するのを防止する為に必要である。上記▲1▼を満たさない場合には、上記水平方向力に基づいて上記集電舟9を昇降させる方向の力が作用し、上記摺り板11、11と架線14との当接部の面圧が過大になったり(上昇方向の力が加わった場合)、この面圧が低下若しくは喪失する(下降方向の力が加わった場合)。この為に、図16〜17に示した構造を含めて従来から、下枠6の長さと上枠7の長さとの比、並びに前記第二の横軸8部分に組み込むリンク機構の構造を工夫する事により、上記集電舟9を鉛直方向に昇降させる様にしている。
【0007】
又、上記▲2▼は、高速走行に伴って摺り板11、11と架線14との摺動部から上枠7に加わる荷重に拘らず、パンタグラフ本体16が過度に変位したり振動したりするのを防止する為に必要である。この様な面から必要になる上記▲2▼に関しては、図16〜17に示した構造では不十分である為、図18に示す様な構造により、剛性確保を図っている。即ち、上枠7aの下端部を第二の横軸8aよりも下方に延長すると共に、この上枠7aの下端部と支持プレート2(図16〜17参照)の上面との間に補助枠18を、この補助枠18の上下両端部を上記上枠7aの下端部或は支持プレート2の上面に揺動変位自在に結合する事により掛け渡している。上記図18に示した構造の場合、この様に、上記上枠7aを軸方向2個所位置で支持する事により、この上枠7a及びこの上枠7aの上端部に設置した集電舟9の支持剛性を向上させている。
【0008】
更に、前記▲3▼は、高速走行時に発生する風切り音を低減し、沿線に騒音公害を発生させない様にする為に必要である。この様な▲3▼の面から見た場合、上記図16〜17に示した従来構造の第1例に比べて、上記図18に示した第2例は、走行時に風に曝される部分が多く、風切り音を抑える面からは不利である。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−224705号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述の様な事情に鑑み、高速鉄道車両用のパンタグラフ装置として、集電舟を鉛直方向に昇降させられてしかもこの集電舟の支持剛性が高く、且つ、空気抵抗となる部分が少ない構造の実現が望まれる。
本発明のパンタグラフ装置は、この様な事情に鑑みて発明したものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のパンタグラフ装置のうち、請求項1に記載したパンタグラフ装置は、支持部材と、スライダと、第一の横軸と、主枠と、第二の横軸と、副枠とを備える。
このうちの支持部材は、鉄道車両の屋根面上に取り付けられるもので、支持プレート(枠状等、必ずしも板状とは限らない)等が使用される。
又、上記スライダは、この様な支持部材に、水平方向の変位自在に支持されている。
又、上記第一の横軸は、上記スライダに、上記鉄道車両の幅方向に設けられている。
又、上記主枠は、上記第一の横軸により下端部を揺動変位自在に支持されると共に、上端部に集電舟を支持する。
又、上記第二の横軸は、上記主枠の中間部に、上記第一の横軸と平行に設けられている。
更に、上記副枠は、上記第二の横軸に上端部を支持されると共に下端部を上記支持プレートに対し、上記第一の横軸及びこの第二の横軸と平行な第三の横軸により揺動変位自在に支持されている。
【0012】
又、請求項2に記載したパンタグラフ装置は、支持部材と、第一の横軸と、副枠と、第二の横軸と、主枠と、補助枠と、ガイド部材と、ガイド部とを備える。このうちの支持部材は、鉄道車両の屋根面上に取り付けられるもので、支持プレート等が使用される。
又、上記第一の横軸は、上記支持部材に、この鉄道車両の幅方向に設けられている。
又、上記副枠は、上記第一の横軸により下端部を揺動変位自在に支持されている。
又、上記第二の横軸は、上記副枠の上端部に上記第一の横軸と平行に設けられている。
又、上記主枠は、上記第二の横軸により下端部を揺動変位自在に支持されている。
又、上記補助枠は上記主枠の下端部から下方に延出する状態で、この主枠に固定されている。尚、これら補助枠と主枠とは、一体に構成しても良い。
又、上記ガイド部材は、上記補助枠の下端部から側方に突設されている。
更に、上記ガイド部は、上記支持部材に固定されたガイドプレートの側面に形成されており、上記第一の横軸よりも下方位置に曲率中心を有する。
そして、上記副枠の上記屋根面に対する傾斜角度が大きくなる程、上記第二の横軸と上記ガイド部材とを結ぶ直線の上記屋根面に対する傾斜角度が大きくなる様に、各部の設置位置及び寸法を規制している。
【0013】
【作用】
上述の様な本発明のパンタグラフ装置の場合には、何れの構造でも、集電舟を鉛直方向に昇降させられてしかもこの集電舟の支持剛性が高く、且つ、空気抵抗となる部分が少ない構造を実現できる。
先ず、請求項1に係るパンタグラフ装置の場合には、集電舟を昇降させる為にスライダを水平方向に移動させるのに伴って副枠が起伏(或は、この副枠を起伏させるのに伴って上記スライダが水平方向に移動)し、この副枠の上端部と主枠の中間部とを結合している第二の横軸が、円弧運動しつつ上下方向に変位する。従って、第一、第二、第三の横軸の設置位置を適切に規制すれば、上記主枠の上端部の変位方向を、鉛直方向に近くできる。
又、上記主枠は、中間部と下端部との、軸方向に離隔した2個所位置で支持されているので、支持剛性を十分に確保できる。
更に、スライダ及び副枠は、支持部材の上面近くの、低い位置に設置できる。高速鉄道車両用のパンタグラフ装置の場合、上記支持部材に近い下部は、この支持部材の周囲に設けた防風カバーにより覆われた状態となり、走行時の風が直接当たる事はない。従って、高速走行時に発生する風切り音の低減を図れる。
【0014】
又、請求項2に係るパンタグラフ装置の場合には、集電舟を昇降させる為に、第一の横軸を中心として副枠を揺動変位させるのに伴って、この副枠の上端部に設けた第二の横軸と、補助枠の下端部に設けたガイド部材とを結ぶ直線の、屋根面に対する傾斜角度が変化する。具体的には、上記副枠の上記屋根面に対する傾斜角度を大きくする事で、上記第二の横軸と上記ガイド部材とを結ぶ直線の上記屋根面に対する傾斜角度を大きくし、主枠の上端部に設けた集電舟を昇降させる事ができる。そして、第一、第二の横軸及びガイド部材の設置位置、ガイド部の曲率半径及び曲率中心を適切に規制すれば、上記主枠の上端部の変位方向を、鉛直方向に近くできる。
又、上記主枠は、下端部に設けた第二の横軸と、下端部に固定した補助枠の下端部に設けたガイド部材とガイド部との係合部との、軸方向に離隔した2個所位置で支持されているので、支持剛性を十分に確保できる。
更に、副枠、補助枠、及びガイド部材は、支持部材の上面近くの、低い位置に設置できる。上述の様に、高速鉄道車両用のパンタグラフ装置の場合、上記支持部材に近い下部は、この支持部材の周囲に設けた防風カバーにより覆われた状態となり、走行時の風が直接当たる事はない。従って、高速走行時に発生する風切り音の低減を図れる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1〜4は、請求項1に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例のパンタグラフ装置は、支持プレート2(図16〜17参照)と、スライダ19と、第一の横軸20と、主枠21と、第二の横軸22と、副枠23とを備える。
このうちの支持プレート2は、前述の図16〜17に示した従来構造の第1例の場合と同様に、碍子3、3を介して鉄道車両の屋根1(図16〜17参照)上に取り付けられる。
【0016】
又、上記スライダ19は、上記支持プレート2の上面に、水平方向の変位自在に支持されている。この為に本例の場合には、この支持プレート2に対し固定の部分に1対の支持片24、24を、前後方向に離隔して設けている。そして、これら両支持片24、24同士の間に掛け渡したガイドロッド25に上記スライダ19を、このガイドロッド25の軸方向(鉄道車両の前後方向)の変位自在に外嵌している。
【0017】
この様なスライダ19の上面には、図2に示す様に1対の支持板部26、26を、鉄道車両の幅方向に離隔した状態で固設している。そして、これら両支持板部26、26同士の間に掛け渡す状態で上記第一の横軸20を、上記鉄道車両の幅方向に設けている。そして、この第一の横軸20により、上記主枠21の下端部を、揺動自在に支持している。又、この主枠21の上端部に集電舟9を、前述した従来構造と同様に、横軸10により揺動自在に支持している。
【0018】
又、上記主枠21の中間部に前記第二の横軸22を、上記第一の横軸20と平行に設けている。即ち、上記主枠21の中間部に、図3に示す様に、結合ブラケット27の基半部(図3の左上半部)を外嵌固定すると共に、この結合ブラケット27の先半部(図3の右下半部)に、上記第二の横軸22を支持している。この結合ブラケット27の先半部は二股に形成しており、この第二の横軸22は、この二股部分に掛け渡す状態で、上記結合ブラケット27の先半部に設けている。この様にして上記主枠21の中間部に設けた上記第二の横軸22に、前記副枠23の上端部を揺動変位自在に支持している。更に、この副枠23の下端部を前記支持プレート2に対し、上記第一の横軸20及びこの第二の横軸22と平行な第三の横軸28により、揺動変位自在に支持している。
【0019】
尚、図1〜3には省略するが、前記スライダ19或は上記副枠23に、上記主枠21を起立させる為の起立ばねを付設する。このうち、スライダ19に付設する場合には、このスライダ19を図1の右方向に引っ張る引っ張りばね等を使用する。又、上記副枠23に付設する場合には、この副枠23の下端部を上記第三の横軸28を構成する支持管に固定して、前述の図16〜17に示した従来構造で下枠6に設けたものと同様の構造を構成する。又、前記集電舟9を下降させる為の構造は、やはり前述の図16〜17に示した従来構造で下枠6に設けたアクチュエータ15によるものと同様の構造を、上記第三の横軸28部分に組み付ける。
【0020】
上述の様な本例のパンタグラフ装置の場合には、上記集電舟9をほぼ鉛直方向に昇降させられてしかもこの集電舟9の支持剛性が高く、且つ、空気抵抗となる部分が少ない構造を実現できる。
先ず、上記集電舟9をほぼ鉛直方向に昇降させられる点に就いて説明する。この集電舟9を昇降させる場合、上記スライダ19を水平方向に移動させるか、或は上記副枠23を起伏させる。何れにしても、これらスライダ19の水平移動と副枠23の起伏とが互いに連動して行なわれ、この副枠23の上端部と上記主枠21の中間部とを結合している前記第二の横軸22が、円弧運動しつつ上下方向に変位する。従って、第一、第二、第三の横軸20、22、28の設置位置を適切に規制すれば、上記主枠21の上端部に設けた上記集電舟9の変位方向を、鉛直方向に近くできる。
【0021】
図4は、上記集電舟9の昇降に伴う各枠の動きを示す、言い換えれば、上記スライダ19を水平移動させつつ上記主枠21及び上記副枠23を起伏させた場合に於ける、これら両枠21、23の姿勢を示した模式図である。図4にこれら両枠21、23及び結合ブラケット27を表した各線分の長さ(の比)は、そのままこれら両枠21、23及び結合ブラケット27の長さ(の比)を表している。この様な図4から明らかな通り、本例の構造を採用して第一、第二、第三の横軸20、22、28の設置位置を適切に規制すれば、上記主枠21の上端部に設けた上記集電舟9の変位方向を、鉛直方向に近くできる。従って、高速走行時に、於ける空気抵抗や摺り板11、11と架線14(図16参照)との摺動抵抗に基づいて上記集電舟9に車両の進行方向後方に向いた水平方向力が加わった場合でも、この集電舟9を昇降させる方向の力が作用する事は殆どない。
【0022】
又、上記主枠21は、中間部に設けた第二の横軸22と下端部に設けた第一の横軸20との、軸方向に離隔した2個所位置で支持されているので、支持剛性を十分に確保できる。この為、高速走行に伴って上記摺り板11、11と架線14との摺動部から上記主枠21に加わる荷重に拘らず、パンタグラフ装置が過度に変位したり振動したりするのを防止できる。
【0023】
更に、上記スライダ19及び副枠23は、前記支持プレート2の上面近くの、低い位置に設置できる。高速鉄道車両用のパンタグラフ装置の場合、上記支持プレート2に近い下部は、この支持プレート2の周囲に設けた防風カバーにより覆われた状態となり、走行時の風が直接当たる事はない。従って、高速走行時に発生する風切り音の低減を図れる。
【0024】
次に、図5〜7は、上述した第1例と同様、請求項1に対応する、本発明の実施の形態の第2例として、この請求項1に係る発明を具体化した構造に就いて示している。本例の場合には、鉄道車両の屋根面上に碍子3、3(前述した図17或は後述する図8、11、15参照)を介して支持固定する支持部材29の中間部下方に第三の横軸28を支持し、この第三の横軸28に円管状のスリーブ30(支持管)を、回転自在に外嵌している。そして、このスリーブ30の中間部上面に、副枠23の下端部を固定している。又、このスリーブ30の中間部上面でこの副枠23の下端部から軸方向に外れた部分に引っ張り腕31の基端部(下端部)を固設し、更にこの引っ張り腕31の先端部(上端部)と上記支持部材29の端部との間に引っ張りコイルばね32を設けている。この構成により、上記副枠23に、起立方向の弾性を付与している。尚、上記第三の横軸28とスリーブ30とを一体に構成、若しくは別体としたものを互いに結合固定(スリーブ30を省略)して、これら第三の横軸28及びスリーブ30の両端部を、上記支持部材29に対し回動自在に支持しても良い。
【0025】
又、上記スリーブ30の軸方向一端部(図6の下端部)に受ローラ33を、上方に突出する状態で形成している。そして、上記支持部材29の一部で上記スリーブ30に関して上記引っ張りコイルばね32と同じ側に、エアシリンダ34を固定している。そして、このエアシリンダ34の出力ロッド35の先端面を、上記受ローラ33に対向させている。このエアシリンダ34に圧縮空気を送り込み、上記出力ロッド35を突出させた状態では、上記スリーブ30を上記第三の横軸28を中心に、上記圧縮コイルばね32の弾力に抗して回動させ、上記副枠23を(屋根面に対し水平に近く)倒す事ができる。尚、上記スリーブ30の軸方向他端部(図6の上端部)と上記支持部材29との間にはダンパ36を掛け渡して、上記副枠23の起倒、延ては主枠21の起倒を緩徐に行なわせ、各部に衝撃が加わらない様にしている。
【0026】
更に、上記支持部材29から、鉄道車両の進行方向に延長する状態で形成した補助枠部37の上面に1対のガイドレール38、38を、上記進行方向に、互いに平行に配設している。そして、これら両ガイドレール38、38に係合したスライダ19a、19a同士の間に第一の横軸20を掛け渡し、この第一の横軸20に上記主枠21の下端部を、揺動変位自在に支持している。又、この主枠21の上端部に、集電舟9を支持している。尚、この集電舟9の姿勢は、図示しないリンク機構の働きにより、上記主枠21の傾斜角度の変動(起倒)に係らず、上面に支持した摺り板11、11の上面が水平方向に位置する様に規制される。その他、基本的な部分の構成は、前述した第1例と同様である。
【0027】
上述の様に構成する本例の構造の場合も、前述した第1例の場合と同様に、上記集電舟9をほぼ鉛直方向に昇降させられてしかもこの集電舟9の支持剛性が高く、且つ、空気抵抗となる部分が少ない構造を実現できる。特に、気流騒音を発生し易い、前記引っ張りコイルばね32、受ローラ33、エアシリンダ34、ダンパ36等を、前記支持部材29の上面よりも更に下方に配置できる。この部分は、前述の第1例の説明からも明らかな様に、防風カバーにより覆われた状態となり、走行時の風が直接当たる事はない。従って、高速走行時に発生する風切り音の低減を図れる。
【0028】
次に、図8〜14は、請求項2〜3に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合、カバー39を組み付けた状態で全体を示す図8から明らかな様に、主枠21aの下端部を、支持部材29に対し片持ち式に支持された第二の横軸40の端部に回転自在に支持し、この第二の横軸40を中心に上記主枠21aを回動させる為の機構全体を、上記カバー39内に納めている。このカバー39は、この機構の周囲を囲むだけでなく、上方も覆う(下方はこのカバー39の一部及び支持部材29により覆う)。又、このカバー39の形状は、気流騒音低減の面から流線形にする等、比較的任意に設計できる。従って、高速走行時に発生する気流騒音の低減を、より高レベルで実現できる。この為に本例の場合には、上記第二の横軸40を中心に上記主枠21aを回動させる機構をコンパクトに構成して、この機構を上記カバー39内に納められる様にしている。上記第二の横軸40の先端部は、このカバー39の側面に設けた円弧状の長孔50を通じて、このカバー39外に突出している。以下、上記第二の横軸40を中心に上記主枠21aを回動させる機構部分に就いて、図9〜14により説明する。
【0029】
本例の場合、上記第二の横軸40を中心に上記主枠21aを回動させてこの主枠21aを起倒させる為に、枠状に構成した上記支持部材29に、第一の横軸41と、副枠42と、上記第二の横軸40と、上記主枠21aと、補助枠43と、ガイド部材44と、ガイド溝45とを組み付けている。
このうちの支持部材29は、鉄道車両の屋根面上に碍子3、3を介して支持固定されるもので、この鉄道車両の前後方向に長い、長矩形の枠状に構成されている。
【0030】
上記第一の横軸41は、上記支持部材29の左右両辺同士の間に、上記鉄道車両の幅方向に設け、この第一の横軸41に円管状のスリーブ30a(支持管)を、回転自在に外嵌している。そして、このスリーブ30aの中間部に上記副枠42の下端部を固定している。従って、この副枠42は、上記第一の横軸41により下端部を揺動変位自在に支持されている。又、上記第二の横軸40は、上記副枠42の上端部に、上記第一の横軸41と平行に設けられている。又、上記主枠21aは、上記第二の横軸40により、下端部を揺動変位自在に支持されている。更に、上記補助枠43は、L字形に形成され、その基端部を上記主枠21の下端部片側面(図10の左端部下面)に溶接固定する事により、上記主枠21aの下端部から下方に延出する状態で、この主枠21aに固定されている。尚、上記第一の横軸41とスリーブ30aとを一体に構成、若しくは別体としたものを互いに結合固定(スリーブ30aを省略)して、これら第一の横軸41及びスリーブ30aの両端部を、上記支持部材29に対し回動自在に支持しても良い。
【0031】
又、前記ガイド部材44は、上記補助枠43の下端部から側方に突設されている。本例の場合にこのガイド部材44は、支柱部材46とガイドローラ47とから成る。このうちの支柱部材46は、上記補助枠43の下端部側面に基端部を、溶接等により結合固定した状態で、上記第一、第二の横軸41、40と平行に設けられている。又、上記ガイドローラ47は、上記支柱部材46の先端部に、この支柱部材46と同心に、回転自在に支持している。
【0032】
更に、前記ガイド溝45は、上記支持部材29に固定されたガイドプレート48の側面に、この側面から凹入する状態で形成している。上記ガイド溝45は単一円弧形で、この円弧の曲率半径の中心O45は、上記第一の横軸41よりも下方位置で、この第一の横軸41の中心O41よりも、上記主枠21aの上端部と反対側に存在する。本例の場合に上記ガイドプレート48は、支持板51を介して、上記支持部材29に対し結合固定している。又、上記ガイド溝45の幅は、上記ガイドローラ47の外径よりも少しだけ大きくして、このガイド溝45内に、このガイドローラ47を挿入している。
【0033】
この様な構成により、前記副枠42の前記屋根面に対する傾斜角度が大きくなる程、上記第二の横軸40と上記ガイド部材44とを結ぶ直線αの、上記屋根面に対する傾斜角度が大きくなる様にしている。即ち、上記副枠42の起倒に伴う上記ガイドローラ47の軌跡は、上記ガイド溝45の曲率半径の中心O45を揺動中心とし、この曲率半径に見合う長さを有するリンクの先端に上記ガイドローラ47を支持した場合の軌跡となる。言い換えれば、本例の構造で、上記副枠42の起倒に伴う前記主枠21aの軌跡は、上記中心O45を中心とするリンク腕の先端に、前記補助枠43を揺動変位自在に結合した場合と同じになる。例えば、前述の図18に示した構造で、下枠6を短くすると共に補助枠18を省略し、上枠7aの下端部を、この補助枠18の上端部の軌跡に一致するガイド溝により案内した場合と同様の動きを行なう。
【0034】
そこで、上記副枠42の長さに基づいて定まる、上記第一、第二の横軸41、40同士の間の距離、この第二の横軸40と上記ガイドローラ47の中心との距離、上記ガイド溝45の曲率半径、このガイド溝45の曲率半径の中心O45と上記第一の横軸41の中心O41との距離を適切に規制すれば、上記主枠21aの上端部に設けた前記集電舟9を、鉛直方向に変位させられる。図14は、この主枠21aの上端部に支持した集電舟9の昇降に伴う各枠の動きを示す、言い換えれば、上記第一の横軸41を中心として上記副枠42を揺動変位させつつ上記主枠21aを起伏させた場合に於ける、これら両枠42、21aの姿勢を示した模式図である。図14に表した各線分の長さ(の比)は、そのまま各部の長さ(の比)を表している。
【0035】
この様な図14から明らかな通り、本例の構造を採用して、上記第一、第二の横軸41、40同士の間の距離、この第二の横軸40と上記ガイドローラ47の中心との距離、上記ガイド溝45の曲率半径、このガイド溝45の曲率半径の中心O45と上記第一の横軸41の中心O41との距離を適切に規制すれば、上記主枠21aの上端部に設けた上記集電舟9の変位方向を、鉛直方向に近くできる。従って、高速走行時に於ける空気抵抗や摺り板11、11と架線14(図17参照)との摺動抵抗に基づいて、上記集電舟9に車両の進行方向後方に向いた水平方向力が加わった場合でも、この集電舟9を昇降させる方向の力が作用する事は殆どない。
【0036】
上述の様に構成する本例の構造の場合、前述した第1〜2例の場合と同様若しくはそれ以上に、上記集電舟9をほぼ鉛直方向に昇降させられてしかもこの集電舟9の支持剛性が高く、且つ、空気抵抗となる部分が少ない構造を実現できる。特に、上記主枠21a及び上記集電舟9を除き、気流騒音を発生し易い多数の部材を前記カバー39内に収納する事ができて、これら各部材に走行時の風が直接当たる事を防止できる。従って、高速走行時に発生する風切り音のより一層の低減を図れる。
【0037】
次に、図15は、請求項2〜3に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。上述した第3例は、従前の鉄道車両の屋根面上に設置できる様に、カバー39の側方に支持板49を設け、これらカバー39及び支持板49の下面と鉄道車両の屋根面との間に設けた、合計3個の碍子3、3により、パンタグラフ装置をこの屋根面上に支持する様にしていた。これに対して本例の場合には、上記支持板49を省略し、カバー39の下面と屋根面上との間にのみ、2個の碍子3、3を設けて、パンタグラフ装置をこの屋根面上に支持する様に構成している。この様に構成する為、走行時に風を受ける部材を少なくして、高速走行時に於ける気流騒音の低減のより一層の低減を図れる。尚、請求項2に係る発明に関して、ガイド部を、図示の様なガイド溝45に代えてガイドレールとする事もできる。この場合には、ガイド部材44の先端部に支持した1対のガイドローラにより、上記ガイドレールを両側から挟持する。
【0038】
【発明の効果】
本発明は、以上に述べた通り構成され作用するので、高速鉄道車両用として使用した場合にも、摺り板と架線との当接圧を適正に保ちつつ、振動及び風切り音の発生を抑えられるパンタグラフ装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す略側面図。
【図2】図1のA部拡大斜視図。
【図3】同じくB部拡大図。
【図4】集電舟の昇降に伴う各枠の動きを示す模式図。
【図5】本発明の実施の形態の第2例を示す側面図。
【図6】同じく平面図。
【図7】図5の右方から見た図。
【図8】本発明の実施の形態の第3例の全体構成を示す斜視図。
【図9】一部を省略して示す、図8のC−C断面図。
【図10】図9の上方から見た図。
【図11】同じく右方から見た図。
【図12】図9のD部拡大図。
【図13】図10のE部拡大図。
【図14】集電舟の昇降に伴う各枠の動きを示す模式図。
【図15】本発明の実施の形態の第4例の全体構成を示す斜視図。
【図16】従来構造の1例を示す斜視図。
【図17】同じく側面図。
【図18】従来構造の第2例を示す略側面図。
【符号の説明】
1 屋根
2 支持プレート
3 碍子
4 支持管
5 第一の横軸
6 下枠
7、7a 上枠
8、8a 第二の横軸
9 集電舟
10 横軸
11 摺り板
12、12a ブラケット
13 引っ張りばね
14 架線
15 アクチュエータ
16 パンタグラフ本体
17 鈞片
18 補助枠
19、19a スライダ
20 第一の横軸
21、21a 主枠
22 第二の横軸
23 副枠
24 支持片
25 ガイドロッド
26 支持板部
27 結合ブラケット
28 第三の横軸
29、29a 支持部材
30、30a スリーブ
31 引っ張り腕
32 引っ張りコイルばね
33 受ローラ
34 エアシリンダ
35 出力ロッド
36 ダンパ
37 補助枠部
38 ガイドレール
39 カバー
40 第二の横軸
41 第一の横軸
42 副枠
43 補助枠
44 ガイド部材
45 ガイド溝
46 支柱部材
47 ガイドローラ
48 ガイドプレート
49 支持板
50 長孔
51 支持板
Claims (3)
- 鉄道車両の屋根面上に取り付けられる支持部材と、この支持部材の上面に水平方向の変位自在に支持されたスライダと、このスライダに、上記鉄道車両の幅方向に設けられた第一の横軸と、この第一の横軸により下端部を揺動変位自在に支持されると共に上端部に集電舟を支持する主枠と、この主枠の中間部に、上記第一の横軸と平行に設けられた第二の横軸と、この第二の横軸に上端部を支持されると共に下端部を上記支持部材に対し、上記第一の横軸及びこの第二の横軸と平行な第三の横軸により揺動変位自在に設けられた副枠とを備えたパンタグラフ装置。
- 鉄道車両の屋根面上に取り付けられる支持部材と、この支持部材に、この鉄道車両の幅方向に設けられた第一の横軸と、この第一の横軸により下端部を揺動変位自在に支持された副枠と、この副枠の上端部に上記第一の横軸と平行に設けられた第二の横軸と、この第二の横軸により下端部を揺動変位自在に支持され、上端部に集電舟を支持する主枠と、この主枠の下端部から下方に延出する状態で、この主枠に固定された補助枠と、この補助枠の下端部から側方に突設されたガイド部材と、上記支持部材に固定されたガイドプレートの側面に形成された、上記第一の横軸よりも下方位置に曲率中心を有するガイド部とを備え、このガイド部に上記ガイド部材を、このガイド部に沿う移動自在に係合させると共に、上記副枠の上記屋根面に対する傾斜角度が大きくなる程、上記第二の横軸と上記ガイド部材とを結ぶ直線の上記屋根面に対する傾斜角度が大きくなるパンタグラフ装置。
- ガイド部がガイド溝であり、このガイド溝に、ガイド部材の先端部に支持したガイドローラを、このガイド溝に沿う移動自在に係合させている、請求項2に記載したパンタグラフ装置。
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2003
- 2003-08-11 JP JP2003207029A patent/JP2004147494A/ja active Pending
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