JP2004146192A - 透過電子顕微鏡による試料観察方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光軸に対して所定角度傾斜した電子線を複数の異なる方位角方向から試料に照射して複数の試料透過電子像を撮像し(S12)、試料透過電子像間の移動量を求め(S13)、次に、試料透過電子像の移動軌跡によって形成される楕円をそれと同じ面積の真円とするために必要な非点補正機構の制御量を求め、求めた制御量によって非点補正機構を制御する(S14)。
【選択図】 図9
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透過電子顕微鏡を用いた試料観察方法に関し、特に非点補正を簡便に行うことのできる試料観察方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
透過電子顕微鏡は、試料の内部を透過した透過電子線を結像するもので、試料の内部構造を観察することができる。透過電子顕微鏡によると、材料の格子欠陥や粒界の構造、析出物の大きさや分布、あるいは格子像を観察することができる。透過電子顕微鏡の磁界レンズには、磁極の精度、磁気材料の不均一、磁極の軸の精度等に起因して非点収差が生じる。非点収差は、通常、相互に45゜ずらせて配置した2組の四極子を独立して励起することにより調整される。しかし、この調整には熟練を要する。
【0003】
特許文献1には、電子線を光軸を中心として対称的に繰り返し傾斜させながらその方位角を順次変化させて試料に照射することにより、非点の方向とその大きさを検出すること、検出された非点の大きさと方向に関する画像を画面に表示し、表示画面中に同時に表示されたカーソルを動かすことにより非点補正指令信号を入力し、演算手段により、入力されたカーソルの移動方位角を2倍し、その2倍の方位角とカーソルの移動量に対応する大きさを有する2次元ベクトルをX、Y方向に分解し、それぞれに基づいてX側非点補正用信号とY側非点補正信号を形成することが記載されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−262952号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に記載の非点補正方法は、画面表示された非点の大きさと方向を表す画像に対してオペレータが非点補正信号を入力する必要がある。すなわち、非点補正に当たってオペレータの介在を必要とし、自動化できないという問題がある。
【0006】
本発明は、透過電子顕微鏡を用いた試料の拡大像観察時に、非点量を自動的に検出し、検出した非点量に基づいて非点を自動的に補正することのできる試料観察方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の非点補正機構を備える透過電子顕微鏡による試料観察方法は、光軸に対して所定角度傾斜した電子線を複数の異なる方位角方向から試料に照射し、複数の試料透過電子像を撮像するステップと、試料透過電子像間の移動量を求め、複数の試料透過電子像の移動軌跡によって形成される楕円を求めるステップと、複数の試料透過電子像の移動軌跡を前記楕円と同じ面積の真円とするために必要な非点補正機構の制御量を求めるステップと、求めた制御量によって非点補正機構を制御するステップとを含むことを特徴とする。
【0008】
本発明の非点補正機構を備える透過電子顕微鏡による試料観察方法は、また、光軸に対して所定角度傾斜した電子線を非点補正機構の複数の非点補正方向に関してそれぞれ正負2方向から試料に照射し、複数の試料透過電子像を撮像するステップと、各非点補正方向に関して正負2方向に傾斜した電子線による2つの試料透過電子像間の移動量を求めるステップと、互いに直交する2つの非点補正方向に関して求められた2つの移動量を楕円の長軸と短軸としたとき、前記2つの試料透過電子像の移動量を当該楕円と同じ面積の真円の半径とするために必要な非点補正機構の制御量を求めるステップと、求めた制御量によって非点補正機構を制御するステップとを含むことを特徴とする。
2つの試料透過電子像間の移動量は、当該2つの試料透過電子像間の相関強度から計算することができる。
【0009】
非点補正機構は相互に45゜ずらして配置した第1の四極子と第2の四極子を有するものとすることができ、非点補正機構を制御するステップは、第1の四極子と第2の四極子に対して個別に行うことができる。
【0010】
前記試料観察方法において、光軸に対して傾斜角ゼロの電子線を試料に照射したときの試料透過電子像と、光軸に対して所定角度傾斜した電子線を試料に照射したときの試料透過電子像との間の移動量を求めるステップと、2つの試料透過電子像間の移動量からフォーカス補正に必要な対物電流補正値を求めるステップと、求めた対物電流補正値を対物電流値に加算してフォーカス補正を行うステップとを更に備えるのが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明で用いる透過型電子顕微鏡の一例の概略機能ブロック図である。なお、偏向コイルの段数は問わないが、ここでは一般的な2段の偏向コイルを用いた透過電子顕微鏡について説明する。
【0012】
電子銃1から放出されて加速された電子線は第1照射レンズ2及び第2照射レンズ3によって集束され、第1偏向コイル4及び第2偏向コイル5で偏向され、対物レンズ6で結像されて、試料ステージ60に保持された試料に照射される。試料を透過した電子線は、非点補正機構を構成するX側非点補正コイル7及びY側非点補正コイル8を通り、第1中間レンズ9及び第2中間レンズ10によって拡大された後、第1投射レンズ11及び第2投射レンズ12で更に拡大されて、シンチレータ48上に試料の透過像が形成される。シンチレータ48で光像に変換された試料の透過電子像は、TVカメラ(撮像装置)49によって撮像される。TVカメラ49からの映像信号はTVカメラ制御部47、画像取り込みインターフェース51を介してマイクロプロセッサ35に取り込まれ、処理された後、CRTコントローラ38で制御されるCRT39に表示される。マイクロプロセッサ35は、DAC24〜34を介して、電子顕微鏡の各レンズ2〜12に給電する励磁電源13〜23を制御する。また、マイクロプロセッサ35には、バスを介してハードディスク等の記憶装置36、演算装置37、倍率切替用ロータリーエンコーダ42、入力用ロータリーエンコーダ43、キーボード44、RAM45、ROM46、マウス50等が接続されている。ロータリーエンコーダ42,43はI/F40,41を介してバスに接続されている。
【0013】
図2は、試料を保持する試料ステージの概念図である。試料ステージ60はメッシュ状の試料面55を備え、試料は試料面55上に保持される。また、試料ステージ60は、マイクロプロセッサ35からの指令のもとに試料ステージコントローラ57によって駆動制御されるX方向駆動モータ58及びY方向駆動モータ59によってX方向及びY方向に駆動される。
【0014】
図3は、偏向コイルの概略図である。試料に対する傾斜角αでの電子線照射は、2段の偏向コイル4,5により電子線を傾斜して偏向角αとなる偏向データをROM46よりDAC26,27に出力し、DAC26,27から励磁電源15,16にアナログ信号を出力して偏向コイル4,5に電流を流すことにより行うことができる。
以下に、本発明の透過電子顕微鏡を用いた試料観察方法において用いる要素技術について説明する。
【0015】
(1)2つの画像間の移動量検出
図4に示す画像相関の例を用いて、2つの画像間71,72の移動量(ずれ量)検出方法について説明する。透過電子顕微鏡像71をM×Nの画素数で記憶装置36に登録画像f1(m,n)として記録する。次に、透過電子顕微鏡像71に対して平行移動した透過電子顕微鏡像72をM×Nの画素数で記憶装置に参照画像f2(m,n)として記録する。但し、どちらも自然画像とし、m=0,1,2,…,M−1;n=0,1,2,…,N−1である。
【0016】
登録画像f1(m,n)及び参照画像f2(m,n)の離散フーリエ画像F1(u,v),F2(u,v)は、それぞれ次の式(1)、(2)で定義される。但し、u=0,1,2,…,M−1;v=0,1,2,…,N−1であり、A(u,v),B(u,v)は振幅スペクトル、θ(u,v),φ(u,v)は位相スペクトルである。
【0017】
【数1】
【0018】
位相相関では、2つの画像間で画像の平行移動があった場合には、相関のピークの位置が移動量だけずれる。以下に移動量の導出方法を説明する。まず、原画像f2(m,n)がm方向にr′だけ移動したとして、f4(m,n)=f2(m+r’,n)とする。前記式(2)を式(3)のように変形する。
【0019】
【数2】
振幅スペクトルB(u,v)を定数とすることにより、画像のコントラストに依存しない位相画像となる。f4の位相画像F’(u,v)は、次の式(4)となる。
【0020】
【数3】
位相画像F’1(u,v)にF’2(u,v)の複素供役を乗ずることによって、次の式(5)で表される合成画像H14(u,v)が得られる。
【0021】
【数4】
相関強度画像G14(r,s)は、合成画像H14(u,v)を逆フーリエ変換することによって次の式(6)となる。
【0022】
【数5】
【0023】
式(6)より、2つの画像間でm方向に位置ずれ量r′が存在する場合、相関強度画像のピークの位置は−r′だけずれる。また、位相成分で相関計算するため、2つの画像で明るさやコントラストに違いがあっても移動量の計算が行える。2つの画像間でm方向に位置ずれ量が存在する場合は、相関強度画像の中心よりΔG(pixel)の位置にピークが発生する。例えば、図4に示すように、2つの画像71,72間でm方向に2pixelのずれがあると、合成位相画像73は2周期の波になる。これを逆フーリエ変換すると相関強度画像74となり、中心から2pixelずれた位置にピーク75が発生する。このΔG(pixel)は検出器の受光面での移動量に相当し、ΔGを試料面上の移動量Δxに変換する。検出器の受光面の径をL、受光面上での透過電子顕微鏡の倍率をM、検出器の受光面の画素数をLmとすると、試料面上の移動量Δxは次式(7)で計算される。
Δx=ΔG(pixel)×L/Lm(pixel)/M …(7)
Δxは2つ画像71,72間の試料面上での移動量となる。Y方向の移動量も、同様にして計算できる。
【0024】
(2)非点量検出及び非点補正
次に、本発明による非点量検出方法及び非点補正方法について説明する。
図5は、非点補正機構が備える非点補正コイルの配置を示す概念図である。非点補正コイルは、互いに45゜の角度で交差するX側非点補正コイルとY側非点補正コイルとを組み合わせて構成されている。図5(a)にX側非点補正コイル7の配置を略示し、図5(b)にY側非点補正コイル8の配置を略示する。便宜上、X側非点補正コイル7の非点補正方向をXA方向、YA方向と表記し、Y側非点補正コイル7の非点補正方向をXB方向、YB方向と表記する。XA方向とYA方向は直交し、XB方向とYB方向も直交している。また、XA方向とXB方向とは45゜回転した関係にある。X側非点補正コイル7に流す電流IAとY側非点補正コイル8に流す電流IBを独立に調整することによって、電子ビーム65が持っている非点収差を補正することができる。
【0025】
いま、試料に入射する照射電子線を光軸に対して一定の角度αだけ傾斜させ、その傾斜した照射電子線の入射方向(方位角)を光軸の周りに変化させていく場合を考える。このとき、非点収差がない電子光学系の場合、焦点があっていれば透過電子線像は不動であり、焦点が合っていなければ透過電子線像は図6(a)に示すように円の軌跡を描いて移動する。一方、電子光学系に非点収差があれば、透過電子線像は図6(b)に示すように一般に楕円軌跡を描いて移動する。従って、光軸に対する傾斜角αを一定にした照射電子線を異なる方位角方向から照射したときの透過電子線像の移動量を検出することにより、非点量を求めることができる。本発明は、このような原理に基づいて非点量を算出する。また、算出した非点量に基づいて非点補正コイル7,8に流す電流を制御することにより、非点の自動補正を可能にする。
【0026】
ここで、図7に示すように、画像の移動量を定義する。
A_X:照射電子線を非点補正方向XA方向に傾斜した時の画像の非点補正方向XA方向の移動量
A_Y:照射電子線を非点補正方向YA方向に傾斜した時の画像の非点補正方向YA方向の移動量
B_X:照射電子線を非点補正方向XB方向に傾斜した時の画像の非点補正方向XB方向の移動量
B_Y:照射電子線を非点補正方向YB方向に傾斜した時の画像の非点補正方向YB方向の移動量
電子線を傾斜して像の移動軌跡を検出すると、非点がない場合には移動軌跡は真円を描くが、非点があると楕円を描く。本発明による非点補正は、面積を変えずに楕円の軌跡を真円にすることにより動作する。
【0027】
(3)フォーカス補正
図8に示すレイダイアグラムを用いて、フォーカス補正について説明する。図8は、対物レンズ6の焦点が試料面55に合っている場合と合っていない場合のレイダイアグラムを示したものである。
【0028】
図8(a)は対物レンズ6の焦点が試料面55に合っている場合を表し、この場合には、照射電子線52を傾斜角ゼロで試料に照射したときと、傾斜角αで試料に照射したときとで、対物レンズ6によって像面56に形成される試料の透過電子線像は移動しない。しかし、対物レンズ6の焦点が試料面55に合っていない場合には、図8(b)に示すように、試料の透過電子線像は像面56から離れた仮想像面53に結像することになるため、試料に照射する電子線52を傾斜角ゼロの状態から傾斜角αに傾斜すると、像面56で観察される試料の透過電子線像はΔXtだけ移動する。この像の移動量ΔXtを測定すると、焦点位置54からのデフォーカス量Δfを計算することができる。
【0029】
具体的には、次のような操作によりフォーカス補正を行うことができる。透過像をM×Nの画素数で記憶装置36にf1(m,n)として記録する。次に、図3に示すように、照射電子線を傾斜角αで試料に照射した透過像をM×Nの画素数で記憶装置にf2(m,n)として記録する。上記に述べた手法と同様に2つの画像間の試料面上での移動量Δxを計算する。但し、この移動量Δxには球面収差による像の移動量δが入っており、デフォーカスによる移動量は、Δxからδを引いたものである。試料面上でのδは球面収差Csと偏向角αにより次の式(8)のように表される。
δ=Cs・α3 …(8)
以上より、デフォーカスによる像の移動量ΔXtは次式(9)で表される。
ΔXt=Δx−δ …(9)
移動量ΔXtからデフォーカスΔfは次式(10)で計算される。
Δf=ΔXt/α …(10)
【0030】
次に、デフォーカス量Δfを対物電流値補正値ΔIに変換する。ΔfとΔIの間には、Cを定数として次式(11)で表される関係がある。従って、式(11)の関係で求まる対物電流補正値ΔIを対物電流値に加算することで、試料に焦点を合わせることができる。
ΔI=√(C/Δf) …(11)
以下に、本発明による試料観察方法の例について説明する。
【0031】
図9は、本発明による非点補正の手順を示すフローチャートである。
最初、ステップ11において、非点補正値を初期化する。すなわち、出力する電流値を0にする。次に、ステップ12に進み、非点補正コイルによる非点補正方向に電子線を傾斜し、画像を記憶する。具体的には、非点補正方向であるXA方向(図5参照)及びXA方向と直交するYA方向の2方向に照射電子線を傾斜し、それぞれの透過電子線像を記憶する。更に、非点補正方向であるXB方向及びXB方向と直交するYB方向の2方向に照射電子線を傾斜し、それぞれの透過電子線像を記憶する。次に、ステップ13に進み、記憶した画像から各非点補正方向について、照射電子線を傾斜したことによる透過電子線像の移動量を計測する。最後に、ステップ14において、計測した移動量より移動軌跡が描く楕円を求め、更に、移動軌跡をそれと同じ面積の真円とするために必要な非点補正コイル電流の補正量を求め、DAC29,30(図1参照)に入力して非点補正を行う。以下に、各ステップの詳細を説明する。なお、ステップ12では、電子線を傾斜する代わりに、試料ステージ60を傾斜してもよい。
【0032】
ステップ12における、照射電子線を傾斜し、透過電子線像を記憶する処理について説明する。非点補正方向であるXA方向に関し、最初、角度αだけマイナス方向に照射電子線を傾斜し、透過電子線像A_X_Image(−)を記憶する。同様に、YA方向に関し、角度αだけマイナス方向に照射電子線を傾斜し、透過電子線像A_Y_Image(−)を記憶する。次に、非点補正方向であるXB方向に関し、角度αだけマイナス方向に照射電子線を傾斜し、透過電子線像B_X_Image(−)を記憶する。同様に、YB方向に関し、角度αだけマイナス方向に照射電子線を傾斜し、透過電子線像B_Y_Image(−)を記憶する。
【0033】
続いて、非点補正方向であるXA方向に関し、角度αだけプラス方向に照射電子線を傾斜し、透過電子線像A_X_Image(+)を記憶する。同様に、YA方向に関し、角度αだけプラス方向に照射電子線を傾斜し、透過電子線像A_Y_Image(+)を記憶する。次に、非点補正方向であるXB方向に関し、角度αだけプラス方向に照射電子線を傾斜し、透過電子線像B_X_Image(+)を記憶する。同様に、YB方向に関し、角度αだけプラス方向に照射電子線を傾斜し、透過電子線像B_Y_Image(+)を記憶する。なお、照射電子線を傾斜する方向、すなわち8枚の透過電子線像を撮像する順番は必ずしもここに記載した順番である必要はない。
【0034】
ステップ13においては、上記8枚の透過電子線像A_X_Image(−),A_Y_Image(−),B_X_Image(−),B_Y_Image(−)とA_X_Image(+),A_Y_Image(+),B_X_Image(+),B_Y_Image(+)を用いて、上述の位相限定相関法により、XA方向の移動量(移動画素数)A_X とYA方向の移動量(移動画素数)A_Y、及びXB方向の移動量(移動画素数)B_XとYB方向の移動量(移動画素数)B_Yを計算する。
【0035】
次に、上述のようにして求められた移動量A_X,A_Y,B_X,B_Yにそれぞれ対応する試料面上での移動量A_x,A_y,B_x,B_yを下式のように計算する。下式において、T_Magは透過電子顕微鏡の倍率、CametaMagはカメラ取り込み倍率、Resolusionは分解能(128 または 256)、rRadianはμm/pixelを表す。
(A)A_x = A_X/(T_Mag*CametaMag*Resolusion*rRadian) (μm)
(B)A_y = A_Y/(T_Mag*CametaMag*Resolusion*rRadian) (μm)
(C)B_x = B_X/(T_Mag*CametaMag*Resolusion*rRadian) (μm)
(D)B_y = B_Y/(T_Mag*CametaMag*Resolusion*rRadian) (μm)
【0036】
ステップ14では、X側非点補正コイル7による補正量、Y側非点補正コイル8による補正量をそれぞれ計算し、それを非点補正DACを介して非点補正コイル7,8に加算する。以下では、X側非点補正コイル7の加算分(μm)をA_set、Y側非点補正コイル8の加算分(μm)をB_setと記載する。
【0037】
最初に、X側非点補正コイル7による補正について、場合分けをして説明する。
(1) A_x=A_y(A_x= A_y=0)の場合、X側非点補正コイル7による補正を行わない。
(2) A_x>A_y、A_y≠0の場合、A_Set = A_x − (A_x*A_y)1/2 とする。
(3) A_x<A_y、A_x≠0の場合、A_Set = A_x + (A_x*A_y) 1/2 とする。
(4) A_x≠0、A_y=0の場合、A_Set = A_x/2とする。
(5) A_x=0、A_y≠0の場合、A_Set = A_y/2とする。
【0038】
次に、Y側非点補正コイル8による補正について、同様に場合分けをして説明する。
(1) B_x=B_y(B_x= B_y=0)の場合、Y側非点補正コイル8による補正を行わない。
(2) B_x>B_y、B_y≠0の場合、B_Set = B_x − (B_x*B_y)1/2 とする。
(3) B_x<B_y、B_x≠0の場合、B_Set = B_x + (B_x*B_y)1/2 とする。
(4) B_x≠0、B_y=0の場合、B_Set = B_x/2とする。
(5) B_x=0、B_y≠0の場合、B_Set = B_y/2とする。
【0039】
X側非点補正コイル7の加算分A_set(μm)と非点補正DAC29への入力値、及びY側非点補正コイル8の加算分B_set(μm)と非点補正DAC30への入力値との関係は予め分かっているので、その関係に基づいて非点補正DAC29,30への入力値を求め、励磁電源18,19を制御する。この制御によって非点補正が行われる。
【0040】
図10は、非点補正とフォーカス補正を行って試料観察を行う手順の例を示すフローチャートである。
図10のステップ21からステップ24までは図9のステップ11からステップ14と同じであるため、説明を省略する。ステップ21〜24にて非点補正を行ったのち、自動フォーカス合わせを行って試料の透過電子顕微鏡像を撮像する。
【0041】
フォーカス合わせは、上述した手順によって行うことができる。すなわち、ステップ25において、照射電子線を傾斜角ゼロで試料に照射した透過像をM×Nの画素数で記憶装置にf1(m,n)として記録すると共に、傾斜角αで試料に照射した透過像をM×Nの画素数で記憶装置にf2(m,n)として記録し、ステップ26において、2つの画像f1(m,n),f2(m,n)間の試料面上での移動量(ずれ量)Δxを計算する。ステップ28において、この移動量Δxをもとに、上式(8)〜(11)に従って対物電流補正値ΔIを求める。そして、ステップ29において、求めた対物電流補正値ΔIを対物電流値に加算することで試料に焦点を合わせることができる。移動量がゼロになるまで、ステップ28からステップ26の手順を繰り返してフォーカス合わせを行う。
【0042】
傾斜角αでの電子線照射は、図3に示すように、2段の偏向コイル4,5により電子線を傾斜して偏向角αとなる偏向データをROM46よりDAC26,27に出力し、DAC26,27から励磁電源15,16にアナログ信号を出力して偏向コイル4,5に電流を流すことにより行うことができる。また、対物電流補正値ΔIはDAC28に出力してレンズデータをアナログ信号に変換する。DAC28は、励磁電源17にアナログ信号を出力して対物レンズ(コイル)6に電流を出力させる。なお、ステップ25では、電子線を傾斜させる代わりに、試料ステージ60を傾斜してもよい。
【0043】
【発明の効果】
本発明によると、電子顕微鏡の非点補正を自動的に行うことが可能となり、電子顕微鏡の操作性が大きく向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる透過型電子顕微鏡の一例の概略機能ブロック図。
【図2】試料ステージの説明図。
【図3】偏向コイルの説明図。
【図4】画像相関の説明図。
【図5】非点補正コイルの配置を示す概念図。
【図6】照射電子線を変化させたときの透過電子線像の移動軌跡の説明図。
【図7】画像の移動量を定義する図。
【図8】透過電子顕微鏡のレイダイアグラム。
【図9】本発明による非点補正の手順を示すフローチャート。
【図10】非点補正とフォーカス補正を行って試料観察を行う手順の例を示すフローチャート。
【符号の説明】
1:電子銃、2:第1照射レンズ、3:第2照射レンズ、4:第1偏向コイル、5:第2偏向コイル、6:対物レンズ、7:X側非点補正コイル、8:Y側非点補正コイル、9:第1中間レンズ、10:第2中間レンズ、11:第1投射レンズ、12:第2投射レンズ、13〜23:励磁電源、24〜34:DAC、35:マイクロプロセッサ、36:記憶装置、37:演算装置、38:CRTコントローラ、39:CRT、40,41:I/F、42:倍率切替用ロータリーエンコーダ、43:入力用ロータリーエンコーダ、44:キーボード、45:RAM、46:ROM、47:TVカメラ制御部、48:シンチレータ、49:TVカメラ、50:マウス、51:画像取込みインターフェース、53:仮想像面、54:焦点位置、55:試料面、56:像面、57:試料ステージコントローラ、58:X方向駆動モータ、59:Y方向駆動モータ、60:試料ステージ
Claims (5)
- 非点補正機構を備える透過電子顕微鏡による試料観察方法において、
光軸に対して所定角度傾斜した電子線を複数の異なる方位角方向から試料に照射し、複数の試料透過電子像を撮像するステップと、
試料透過電子像間の移動量を求め、前記複数の試料透過電子像の移動軌跡によって形成される楕円を求めるステップと、
前記複数の試料透過電子像の移動軌跡を前記楕円と同じ面積の真円とするために必要な前記非点補正機構の制御量を求めるステップと、
求めた制御量によって前記非点補正機構を制御するステップとを含むことを特徴とする試料観察方法。 - 非点補正機構を備える透過電子顕微鏡による試料観察方法において、
光軸に対して所定角度傾斜した電子線を前記非点補正機構の複数の非点補正方向に関してそれぞれ正負2方向から試料に照射し、複数の試料透過電子像を撮像するステップと、
各非点補正方向に関して正負2方向に傾斜した電子線による2つの試料透過電子像間の移動量を求めるステップと、
互いに直交する2つの非点補正方向に関して求められた2つの移動量を楕円の長軸と短軸としたとき、前記2つの試料透過電子像の移動量を当該楕円と同じ面積の真円の半径とするために必要な前記非点補正機構の制御量を求めるステップと、
求めた制御量によって前記非点補正機構を制御するステップとを含むことを特徴とする試料観察方法。 - 請求項1又は2記載の試料観察方法において、前記2つの試料透過電子像間の移動量を当該2つの試料透過電子像間の相関強度から計算することを特徴とする試料観察方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載の試料観察方法において、前記非点補正機構は相互に45゜ずらして配置した第1の四極子と第2の四極子を有し、前記非点補正機構を制御するステップを前記第1の四極子と第2の四極子に対して個別に行うことを特徴とする試料観察方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載の試料観察方法において、
光軸に対して傾斜角ゼロの電子線を試料に照射したときの試料透過電子像と、光軸に対して所定角度傾斜した電子線を試料に照射したときの試料透過電子像との間の移動量を求めるステップと、
前記2つの試料透過電子像間の移動量からフォーカス補正に必要な対物電流補正値を求めるステップと、
求めた対物電流補正値を対物電流値に加算してフォーカス補正を行うステップとを更に備えることを特徴とする試料観察方法。
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