JP2004144598A - 加速度・角速度センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】配線を単純化する。
【解決手段】導電材料からなる重錘体250を、可撓性をもった橋梁部261,262で宙づり状態に保持する。導電材料からなるブロック210,220を左右に配置し、重錘体250との間で容量素子を形成する。各ブロックは、上方基板本体110と下方基板本体310との間に挟まれて固定されるが、重錘体250は所定の自由度で変位する。重錘体250の上方および下方にも、電極E5,E6が設けられ、容量素子が形成される。重錘体250の変位を容量素子の静電容量値に基づいて検出する。ブロック210に対する配線は、上方基板本体110を貫通する配線用端子T1により行い、ブロック220に対する配線も所定箇所で同様に行う。電極E5,E6に対する配線は、ブロック225,215を利用して同様の方法で行う。重錘体250に対する配線は、導電性の橋梁部262を介して行う。
【選択図】    図10

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加速度センサおよび角速度センサに関し、特に、加速度や角速度を容量素子を用いて検出するタイプのセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
小型で単純な構造を有する加速度センサあるいは角速度センサとして、静電容量素子を利用したタイプのセンサが実用化されている。これらのタイプのセンサでは、通常、所定の自由度をもって変位可能となるように支持された重錘体を用意し、この重錘体に対して作用する加速度や角速度を、重錘体の変位として検出する機能を有している。変位の検出は、容量素子の静電容量値に基づいて行われる。
【0003】
たとえば、下記の特許文献1〜3には、重錘体側に形成された変位電極と、装置筐体側に形成された固定電極とによって容量素子を構成し、この容量素子の静電容量値の変化に基づいて、重錘体の変位を検出し、作用した加速度を電気的に検出することができる加速度センサが開示されている。複数の容量素子を工夫して配置することにより、XYZ三次元座標系における各座標軸方向の変位が独立して検出可能になるため、比較的単純な構成にもかかわらず、多次元加速度センサを実現することが可能になる。
【0004】
また、下記の特許文献4には、ほぼ同様の構造体を用いて角速度を検出するセンサが開示されている。角速度の検出は、所定の容量素子に交流信号を供給して、クーロン力により重錘体を運動させ、この運動中の重錘体に対して角速度が作用することにより生じるコリオリ力を、所定の容量素子の静電容量の変化として検出することにより行われる。やはり複数の容量素子を工夫して配置することにより、重錘体に、単振動、円運動、歳差運動など、所定の軌道に沿ったくり返し運動を行わせることができ、かつ、XYZ三次元座標系における所望の座標軸方向の変位が独立して検出可能になるため、比較的単純な構成にもかかわらず、複数の座標軸まわりの角速度を検出可能な多次元角速度センサを実現することが可能になる。
【0005】
【特許文献1】
特開平4−299227号公報
【特許文献2】
特開平5−26754号公報
【特許文献3】
特開平5−215627号公報
【特許文献4】
特開平10−227644号公報
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、静電容量素子を利用した加速度センサや角速度センサは、比較的単純な構成にもかかわらず、多次元成分の加速度や角速度を検出することができる特徴を有しており、半導体基板などを材料に用いることにより、量産化が行われている。しかしながら、容量素子を利用して力の検出や重錘体の駆動が行われるため、容量素子を構成する個々の電極に対する配線が不可欠になる。半導体基板などを利用して構成したセンサの場合、基板上に配線パターンを形成することにより個々の電極に対する配線を行うことが可能になるが、容量素子の数が増えれば増えるほど、配線パターンも複雑にならざるを得ない。特に、多次元の加速度センサや角速度センサでは、用いる容量素子の数も多くなり、配線が繁雑になるのは避けられない。
【0007】
また、角速度センサでは、重錘体を駆動するための駆動用容量素子と、重錘体の変位を検出するための変位検出用容量素子とが必要になる。検出回路を工夫すれば、同一の容量素子によって、駆動用容量素子と変位検出用容量素子とを兼務させることも可能であるが、両者を物理的に別々の容量素子によって構成した場合、容量素子の数はそれだけ増えることになり、個々の容量素子を構成する電極に対する配線は、非常に繁雑になる。
【0008】
そこで本発明は、配線をより単純化することが可能な加速度センサおよび角速度センサを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(1)  本発明の第1の態様は、
所定間隔をおいて配置された上方基板および下方基板と、
上方基板および下方基板に挟まれた空間内で所定の自由度をもって変位可能となるように支持され、それぞれ電極として機能する4つの側面を有する重錘体と、
重錘体の側面の電極に対向する対向電極として機能する対向面を有し、上方基板および下方基板によって挟まれた位置に配置された第1〜第4のブロックと、上方基板に形成した貫通孔を介して4組のブロックの上面に接触する配線用端子と、
によって加速度センサまたは角速度センサを構成し、
重錘体の4つの側面に形成された電極とその対向電極とによって4組の容量素子が形成されるようにし、この容量素子を利用して重錘体に作用した加速度もしくは角速度を検出できるようにし、
4組のブロックにおける、少なくとも、対向電極の部分およびこの対向電極とブロック上面とを電気的に導通させるために必要な部分を導電性材料から構成したものである。
【0010】
(2)  本発明の第2の態様は、上述の第1の態様に係るセンサにおいて、
重錘体の上面および下面がそれぞれ電極として機能し、これらの電極に対向する上方電極および下方電極がそれぞれ上方基板および下方基板に設けられており、重錘体の上面と上方電極とによって第5の容量素子が形成され、重錘体の下面と下方電極とによって第6の容量素子が形成され、これら容量素子を利用して重錘体に作用した加速度もしくは角速度が検出できるように構成され、
上方基板および下方基板によって挟まれた位置に配置された第5のブロックおよび第6のブロックと、上方基板に形成した貫通孔を介して第5のブロックおよび第6のブロックの上面に接触する配線用端子と、上方電極と第5のブロックとを電気的に接続する配線と、下方電極と第6のブロックとを電気的に接続する配線と、を更に設け、
第5のブロックのうち、少なくとも、上方電極からの配線とブロック上面とを電気的に導通させるために必要な部分は、導電性材料から構成されており、
第6のブロックのうち、少なくとも、下方電極からの配線とブロック上面とを電気的に導通させるために必要な部分は、導電性材料から構成されているようにしたものである。
【0011】
(3)  本発明の第3の態様は、上述の第1または第2の態様に係るセンサにおいて、
上方基板および下方基板によって挟まれた位置に配置され、重錘体を可撓性を有する橋梁部を介して支持する支持ブロックと、上方基板に形成した貫通孔を介して支持ブロックの上面に接触する配線用端子と、を更に設け、
重錘体側の複数の電極は相互に導通しており、橋梁部および支持ブロックのうち、少なくとも、重錘体側の電極とブロック上面とを電気的に導通させるために必要な部分は、導電性材料から構成されているようにしたものである。
【0012】
(4)  本発明の第4の態様は、上述の第1〜第3の態様に係るセンサにおいて、
第1〜第4のブロックのうちの一部もしくは全部を、物理的に分離された複数の副ブロックによって構成し、この第1〜第4のブロックを利用して構成される4組の容量素子のうちの一部もしくは全部を、電気的に独立した複数の副容量素子によって構成し、各副ブロックごとにそれぞれ配線用端子を設けるようにしたものである。
【0013】
(5)  本発明の第5の態様は、上述の第2の態様に係るセンサにおいて、
上方電極および下方電極のうちのいずれか一方もしくは双方を、物理的に分離された複数の副電極によって構成し、第5の容量素子および第6の容量素子のうちのいずれか一方もしくは双方を、電気的に独立した複数の副容量素子によって構成し、第5のブロックおよび第6のブロックのうちのいずれか一方もしくは双方を、物理的に分離された複数の副ブロックによって構成し、各副電極と各副ブロックとの間をそれぞれ配線によって電気的に接続し、各副ブロックごとにそれぞれ配線用端子を設けるようにしたものである。
【0014】
(6)  本発明の第6の態様は、XYZ三次元直交座標系におけるX軸、Y軸、Z軸の各座標軸方向の加速度成分を検出する加速度センサにおいて、
座標系の原点位置に配置された重錘体と、
重錘体に対して所定間隔をおいて、X軸正方向上に配置された第1のブロックと、
重錘体に対して所定間隔をおいて、X軸負方向上に配置された第2のブロックと、
重錘体に対して所定間隔をおいて、Y軸正方向上に配置された第3のブロックと、
重錘体に対して所定間隔をおいて、Y軸負方向上に配置された第4のブロックと、
配線用の第5のブロックと、
配線用の第6のブロックと、
重錘体を支持するための支持ブロックと、
重錘体と支持ブロックとの間に接続され、可撓性を有する橋梁部と、
重錘体の上面に対しては所定間隔を維持しつつ、第1〜第6のブロックの上面に接合された上方基板と、
重錘体の下面に対しては所定間隔を維持しつつ、第1〜第6のブロックの下面に接合された下方基板と、
上方基板の下面の重錘体の上面に対向する部分に形成された上方電極と、
下方基板の上面の重錘体の下面に対向する部分に形成された下方電極と、
検出対象となる加速度を電気信号として取り出す検出回路と、
を設け、
重錘体のうち、少なくとも表面の主要部は、電極層を形成することができるように導電性材料から構成されており、
第1〜第4のブロックのうち、少なくとも、重錘体側の電極層に対向する対向電極層を形成するのに必要な部分、およびこの対向電極層とブロック上面とを電気的に導通させるために必要な部分は、導電性材料から構成されており、
重錘体の第1のブロックに対向する面に形成された電極層と、第1のブロックの重錘体に対向する面に形成された対向電極層と、により第1の容量素子が構成され、
重錘体の第2のブロックに対向する面に形成された電極層と、第2のブロックの重錘体に対向する面に形成された対向電極層と、により第2の容量素子が構成され、
重錘体の第3のブロックに対向する面に形成された電極層と、第3のブロックの重錘体に対向する面に形成された対向電極層と、により第3の容量素子が構成され、
重錘体の第4のブロックに対向する面に形成された電極層と、第4のブロックの重錘体に対向する面に形成された対向電極層と、により第4の容量素子が構成され、
重錘体の上方電極に対向する面に形成された電極層と、上方電極とにより第5の容量素子が構成され、
重錘体の下方電極に対向する面に形成された電極層と、下方電極とにより第6の容量素子が構成され、
上方電極と第5のブロックとの間には配線が施され、下方電極と第6のブロックとの間には配線が施され、
第5のブロックのうち、少なくとも、上方電極からの配線とブロック上面とを電気的に導通させるために必要な部分は、導電性材料から構成されており、
第6のブロックのうち、少なくとも、下方電極からの配線とブロック上面とを電気的に導通させるために必要な部分は、導電性材料から構成されており、
橋梁部および支持ブロックのうち、少なくとも、重錘体側の電極層とブロック上面とを電気的に導通させるために必要な部分は、導電性材料から構成されており、
上方基板は絶縁性材料からなり、その厚み方向に形成された貫通孔内にそれぞれ第1の配線用端子〜第6の配線用端子および重錘体配線用端子が設けられており、各配線用端子の上端には、検出回路に対する配線が施されており、
第1の配線用端子の下端は第1のブロックの上面に電気的に接続され、第2の配線用端子の下端は第2のブロックの上面に電気的に接続され、第3の配線用端子の下端は第3のブロックの上面に電気的に接続され、第4の配線用端子の下端は第4のブロックの上面に電気的に接続され、第5の配線用端子の下端は第5のブロックの上面に電気的に接続され、第6の配線用端子の下端は第6のブロックの上面に電気的に接続され、重錘体配線用端子の下端は支持ブロックの上面に電気的に接続されており、
検出回路が、第1〜第6の容量素子の静電容量値に基づいて、各座標軸方向の加速度成分を検出するようにしたものである。
【0015】
(7)  本発明の第7の態様は、XYZ三次元直交座標系におけるX軸、Y軸、Z軸の各座標軸まわりの角速度成分、または所定の二座標軸まわりの角速度成分を検出する角速度センサにおいて、
座標系の原点位置に配置された重錘体と、
重錘体に対して所定間隔をおいて、X軸正方向上に配置された第1のブロックと、
重錘体に対して所定間隔をおいて、X軸負方向上に配置された第2のブロックと、
重錘体に対して所定間隔をおいて、Y軸正方向上に配置された第3のブロックと、
重錘体に対して所定間隔をおいて、Y軸負方向上に配置された第4のブロックと、
配線用の第5のブロックと、
配線用の第6のブロックと、
重錘体を支持するための支持ブロックと、
重錘体と支持ブロックとの間に接続され、可撓性を有する橋梁部と、
重錘体の上面に対しては所定間隔を維持しつつ、第1〜第6のブロックの上面に接合された上方基板と、
重錘体の下面に対しては所定間隔を維持しつつ、第1〜第6のブロックの下面に接合された下方基板と、
上方基板の下面の重錘体の上面に対向する部分に形成された上方電極と、
下方基板の上面の重錘体の下面に対向する部分に形成された下方電極と、
所定の電気信号により重錘体を運動させ、検出対象となる角速度を電気信号として取り出す検出回路と、
を設け、
重錘体のうち、少なくとも表面の主要部は、電極層を形成することができるように導電性材料から構成されており、
第1〜第4のブロックのうち、少なくとも、重錘体側の電極層に対向する対向電極層を形成するのに必要な部分、およびこの対向電極層とブロック上面とを電気的に導通させるために必要な部分は、導電性材料から構成されており、
重錘体の第1のブロックに対向する面に形成された電極層と、第1のブロックの重錘体に対向する面に形成された対向電極層と、により第1の容量素子が構成され、
重錘体の第2のブロックに対向する面に形成された電極層と、第2のブロックの重錘体に対向する面に形成された対向電極層と、により第2の容量素子が構成され、
重錘体の第3のブロックに対向する面に形成された電極層と、第3のブロックの重錘体に対向する面に形成された対向電極層と、により第3の容量素子が構成され、
重錘体の第4のブロックに対向する面に形成された電極層と、第4のブロックの重錘体に対向する面に形成された対向電極層と、により第4の容量素子が構成され、
重錘体の上方電極に対向する面に形成された電極層と、上方電極とにより第5の容量素子が構成され、
重錘体の下方電極に対向する面に形成された電極層と、下方電極とにより第6の容量素子が構成され、
上方電極と第5のブロックとの間には配線が施され、下方電極と第6のブロックとの間には配線が施され、
第5のブロックのうち、少なくとも、上方電極からの配線とブロック上面とを電気的に導通させるために必要な部分は、導電性材料から構成されており、
第6のブロックのうち、少なくとも、下方電極からの配線とブロック上面とを電気的に導通させるために必要な部分は、導電性材料から構成されており、
橋梁部および支持ブロックのうち、少なくとも、重錘体側の電極層とブロック上面とを電気的に導通させるために必要な部分は、導電性材料から構成されており、
上方基板は絶縁性材料からなり、その厚み方向に形成された貫通孔内にそれぞれ第1の配線用端子〜第6の配線用端子および重錘体配線用端子が設けられており、各配線用端子の上端には、検出回路に対する配線が施されており、
第1の配線用端子の下端は第1のブロックの上面に電気的に接続され、第2の配線用端子の下端は第2のブロックの上面に電気的に接続され、第3の配線用端子の下端は第3のブロックの上面に電気的に接続され、第4の配線用端子の下端は第4のブロックの上面に電気的に接続され、第5の配線用端子の下端は第5のブロックの上面に電気的に接続され、第6の配線用端子の下端は第6のブロックの上面に電気的に接続され、重錘体配線用端子の下端は支持ブロックの上面に電気的に接続されており、
検出回路が、第1〜第6の容量素子の一部に対して交流信号を与えることにより重錘体を運動させ、この運動させた状態において、第1〜第6の容量素子の一部の静電容量値に基づいて、検出対象となる角速度成分を検出するようにしたものである。
【0016】
(8)  本発明の第8の態様は、上述の第7の態様に係るセンサにおいて、
第1〜第4のブロックのうちの一部もしくは全部を、物理的に分離された複数の副ブロックによって構成し、第1〜第4の容量素子のうちの一部もしくは全部を、電気的に独立した複数の副容量素子によって構成し、各副ブロックごとにそれぞれ配線用端子を設け、複数の副容量素子の一部に対して交流信号を与えることにより重錘体を運動させ、複数の副容量素子の別な一部の静電容量値に基づいて、検出対象となる角速度成分を検出するようにしたものである。
【0017】
(9)  本発明の第9の態様は、上述の第7または第8の態様に係るセンサにおいて、
上方電極および下方電極のうちのいずれか一方もしくは双方を、物理的に分離された複数の副電極によって構成し、第5の容量素子および第6の容量素子のうちのいずれか一方もしくは双方を、電気的に独立した複数の副容量素子によって構成し、第5のブロックおよび第6のブロックのうちのいずれか一方もしくは双方を、物理的に分離された複数の副ブロックによって構成し、各副電極と各副ブロックとの間をそれぞれ配線によって電気的に接続し、各副ブロックごとにそれぞれ配線用端子を設け、複数の副容量素子の一部に対して交流信号を与えることにより重錘体を運動させ、複数の副容量素子の別な一部の静電容量値に基づいて、検出対象となる角速度成分を検出するようにしたものである。
【0018】
(10) 本発明の第10の態様は、上述の第6〜第9の態様に係るセンサにおいて、
重錘体を直方体の形状とし、その各面がX軸、Y軸、Z軸のいずれかに直交するように配置されるようにし、第1のブロック〜第4のブロックの重錘体に対する対向面が、重錘体の各面に対して平行面をなすように構成したものである。
【0019】
(11) 本発明の第11の態様は、上述の第6〜第10の態様に係るセンサにおいて、
XY平面における第1象限〜第4象限にそれぞれ配置された4組の支持ブロックを設け、重錘体が、これら4組の支持ブロックのそれぞれから伸びた4本の橋梁部によって支持されており、少なくとも1組の支持ブロックについて配線用端子が設けられているようにしたものである。
【0020】
(12) 本発明の第12の態様は、上述の第6〜第11の態様に係るセンサにおいて、
重錘体と第5のブロックとの間および重錘体と第6のブロックとの間に、第1のブロック〜第4のブロックのいずれかのブロックが介在するようにし、この介在するブロックに、上方電極と第5のブロックとを接続する配線および下方電極と第6のブロックとを接続する配線を非接触状態で挿通させるためのトンネルを形成するようにしたものである。
【0021】
(13) 本発明の第13の態様は、上述の第1〜第12の態様に係るセンサにおいて、
配線用端子を、上方基板に設けられた上広の錐状貫通孔の壁面に形成された金属層によって構成するようにしたものである。
【0022】
(14) 本発明の第14の態様は、上述の第1〜第13の態様に係るセンサにおいて、
所定幅をもった橋梁部として利用した場合に可撓性を与えるのに適した厚みを有する第1の導電層と、重錘体として利用した場合に検出に必要な質量を与えるのに適した厚みを有する第2の導電層と、これら両導電層の間に形成された絶縁層と、によって構成される三層構造をもった基板の一部により、各ブロックおよび重錘体を構成し、橋梁部を第1の導電層を利用して形成するようにしたものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。
【0024】
<<< §1.センサ構造体の物理的構造 >>>
はじめに、本発明に係るセンサの基本構造を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るセンサの物理的な構造部分(以下、センサ構造体という)を示す分解側断面図である。このセンサ構造体は、加速度センサに利用することもできるし、角速度センサに利用することもできる。実際のセンサは、図1に示すセンサ構造体に、所定の検出回路を付加することにより実現される。このセンサ構造体を、加速度センサとして利用するか、角速度センサとして利用するかは、付加する検出回路によって決まることになる。具体的な検出回路についての説明は、§3において行うこととし、ここでは、このセンサ構造体の物理的な構造を以下に詳述する。
【0025】
このセンサ構造体は、図1に分解図として描かれているように、上方基板100、中間部材200、下方基板300の3つの層から構成されている。実際には、これら3つの層を上下に接合することにより、センサ構造体が構成されることになる(図7参照)。ここでは説明の便宜上、中間部材200の中心位置(後述するように、重錘体250の重心Gの位置になる)に原点Oをとり、図の右方向にX軸、上方向にZ軸、紙面に対して垂直方向にY軸をとることにより、XYZ三次元直交座標系を定義することとし、必要に応じて、この座標系を用いた説明を行うことにする。図1は、このセンサ構造体を、XZ平面で切断した分解側断面図ということになる。
【0026】
上方基板本体110は、上方基板100の主たる部分を占める構成要素であり、絶縁性材料から構成されている。この実施形態の場合、ガラス基板を上方基板本体110として用いている。この上方基板本体110の上面には、第1の配線用端子T1〜第6の配線用端子T6と、重錘体配線用端子T0とが配置されている(図1には、このうちのT1,T3,T5のみが現れている)。図2は、上方基板100の上面図であり、各配線用端子T1〜T7,T0の配置が明瞭に示されている。図1に示す上方基板100の断面は、この図2に示す上方基板100をX軸に沿って切断した断面に相当する。各配線用端子T1〜T7,T0は、検出回路に対する配線に用いられる端子であり、後述するように、第1〜第6の配線用端子T1〜T6の下端は、それぞれ第1〜第6のブロックに接続され、重錘体配線用端子T0の下端は、支持ブロックに接続される。
【0027】
一方、図1に示されているとおり、上方基板本体110の下面中央部には、上方基板溝部120が形成されており、空隙部SP5が確保されている。また、この上方基板溝部120の底には、上方電極E5が形成されており、配線層L5が接続されている。図3は、上方基板100の下面図である。図示のとおり、上方基板本体110の下面に形成された上方基板溝部120は正方形状をしており、その底部に設けられた上方電極E5も正方形状をしている。もちろん、上方電極E5の形状は正方形状に限定されるものではなく、任意の形状でかまわない。配線層L5は、上方電極E5から図の左方へと伸びる配線パターンであり、上方基板溝部120の段差を越えて、上方基板本体110の下面へと連なっている。上方電極E5および配線層L5は、たとえば、アルミニウムなどの金属からなるパターンによって形成することができる。なお、図3の下面図には、各配線用端子T1〜T7,T0の下端が露出した状態が示されている。後述するように、各配線用端子は、上広の円錐形状(コーン状)をしており、図2の上面図に現れている上端に比べて、図3の下面図に現れている下端の方が半径が小さくなっている。また、図2と図3は上面図と下面図の関係なので、各配線用端子T1〜T7,T0の配置は、これらの図では表裏の関係となっている。
【0028】
続いて、中間部材200の構成を説明する。中間部材200は、導電性材料からなる基板(たとえば、全体に不純物をドープしたシリコン基板)を加工することにより得ることができる。図4は、この中間部材200の上面図である。図示のとおり、中間部材200は複数のブロックから構成されている。まず、X軸の正方向上には、2つのブロック210,215が配置されており、X軸の負方向上には、2つのブロック220,225が配置されている。同様に、Y軸の正方向上には、1つのブロック230が配置されており、Y軸の負方向上には、1つのブロック240が配置されている。また、中央部にはブロック250が配置されており、このブロック250は、橋梁部261〜264によって、4隅に配置された4個のブロック271〜274に接続されている。橋梁部261〜264は、図1の側断面図にも一部が示されているとおり、ブロック250の上部のみに接続されたビーム状の構造部である。上述した各ブロックは、いずれも同じ厚み(図1に示す中間部材200としての厚み)を有しているが、橋梁部261〜264は、これらのブロックに比べてかなり厚みが小さく設計されており、また、図4に示すように、幅も比較的小さいので、可撓性を有している。結局、中央のブロック250は、4本の橋梁部261〜264を介して、4つのブロック271〜274によって支持されることになるが、橋梁部261〜264が可撓性を有しているため、ある程度の自由度をもって変位可能な状態で支持される。
【0029】
図5は、中間部材200をXY平面で切断した状態を示す横断面図である。この位置で切断すると、橋梁部261〜264は現れず、合計11個のブロックのみが示されている。以下、説明の便宜上、これらの各ブロックを、第1のブロック210、第2のブロック220、第3のブロック230、第4のブロック240、第5のブロック225、第6のブロック215、重錘体250、支持ブロック271〜274と呼ぶことにする。第1のブロック210と第2のブロック220は、重錘体250のX軸方向への変位に関する駆動や検出に利用され、第3のブロック230と第4のブロック240は、重錘体250のY軸方向への変位に関する駆動や検出に利用される。また、第5のブロック225と第6のブロック215は、重錘体250のZ軸方向への変位に関する駆動や検出を行うための配線の用途で利用される。支持ブロック271〜274は、前述したように、重錘体250を支持するための支持部材として利用されるとともに、重錘体250に対する配線の用途にも利用される。
【0030】
なお、図4には、第2のブロック220の上面に、配線用トンネル220T(実際には、トンネルを形成するためにブロック上面に形成された溝)が形成されている状態が示されているが、この溝は、図1の側断面図に示されている程度の深さをもち、上方基板100に形成された配線層L5を非接触状態で挿通させるためのトンネルを形成するためのものである。同様に、第1のブロック210の下面には、下方基板300に形成された配線層L6を非接触状態で挿通させるための配線用トンネル210T(実際には、トンネルを形成するためにブロック下面に形成された溝)が形成されている。
【0031】
一方、図1に示すとおり、下方基板300の主たる構成要素は下方基板本体310である。この実施形態では、下方基板本体310は上方基板本体110と同様にガラス基板によって構成されている。もっとも、下方基板本体310は、配線用端子を設ける必要がないため、必ずしもガラスのような絶縁性材料で構成する必要はない。ただ、下方基板本体310を導電性材料で構成した場合には、後述する動作上、絶縁させることが必要な箇所については、部分的に絶縁層を形成するなどの処置が必要になるため、実用上は、上方基板本体110と同様に絶縁性材料で構成するのが好ましい。
【0032】
下方基板本体310の上面中央部には、下方基板溝部320が形成されており、空隙部SP6が確保されている。また、この下方基板溝部320の底には、下方電極E6が形成されており、配線層L6が接続されている。図6は、下方基板300の上面図である。図示のとおり、下方基板本体310の上面に形成された下方基板溝部320は正方形状をしており、その底部に設けられた下方電極E6も正方形状をしている。もちろん、下方電極E6の形状は正方形状に限定されるものではなく、任意の形状でかまわない。配線層L6は、下方電極E6から図の右方へと伸びる配線パターンであり、下方基板溝部320の段差を越えて、下方基板本体310の上面へと連なっている。下方電極E6および配線層L6は、たとえば、アルミニウムなどの金属からなるパターンによって形成することができる。
【0033】
以上、図1に示す上方基板100、中間部材200、下方基板300のそれぞれについての構造を別個に説明したが、本発明に係るセンサ構造体は、これら3層からなる構成要素を上下に積層して接合することにより構成される。図7は、図1に示す3層からなる各構成要素を接合することにより、センサ構造体を構成した状態を示す側断面図である。この図も、XZ平面での切断面に相当する。ここに示す実施形態の場合、上方基板100および下方基板300はガラス基板から構成され、中間部材200はシリコン基板から構成されているため、相互の接合は陽極接合の手法を利用して行われている。
【0034】
図4および図5に示されているとおり、中間部材200を構成する各ブロックは、物理的に分離されたものになっているが、重錘体250以外の各ブロックは、いずれも上方基板本体110と下方基板本体310とによって上下から挟まれることにより固定される。これに対して、重錘体250の上方および下方には、図7に示すとおり、空隙部SP5,SP6が形成されているため、上方基板本体110および下方基板本体310により重錘体250が直接的には固定されることはないが、図4に示すとおり、重錘体250は、4本の橋梁部261〜264によって、支持ブロック271〜274に接続されているため、所定の自由度をもって変位が可能な状態で、上方基板本体110および下方基板本体310によって間接的に支持されることになる。
【0035】
<<< §2.センサ構造体の基本動作および配線 >>>
さて、ここで、図7に示すセンサ構造体の基本動作を考えてみる。この図7に示すセンサ構造体は、結局、上方基板100と下方基板300とを所定間隔をおいて配置し、これら両基板に挟まれる位置に各ブロックを配置し、中央部に重錘体250を配置した構造を有している。ここで、各ブロックと重錘体は、いずれも直方体の形状をなしている。各ブロックは、上方基板100および下方基板300によって固定されているが、重錘体250は、上方基板100および下方基板300に挟まれた空間内で所定の自由度をもって変位可能となるように、4本の橋梁部261〜264によって支持されている。すなわち、重錘体250と第1のブロック210〜第4のブロック240との間には、図5に示すとおり、それぞれ空隙部SP1〜SP4が確保されており、重錘体250と上方電極E5および下方電極E6との間には、図7に示すとおり、それぞれ空隙部SP5,SP6が確保されている。したがって、重錘体250は、これら空隙部の範囲内において、X軸,Y軸,Z軸の各座標軸方向に自由に変位することができる。別言すれば、橋梁部261〜264は、このような重錘体250の変位を可能にするために適した可撓性を有している。
【0036】
このセンサ構造体を加速度センサとして用いる場合は、加速度の作用に起因して生じる重錘体の変位を検出すればよい。たとえば、重錘体250に対して、X軸正方向(図7における右方向)の加速度が作用したとすると、この加速度に応じた外力により、重錘体250はX軸正方向に変位することになる。このときの変位量は作用した加速度の大きさに依存する。したがって、重錘体250のX軸方向、Y軸方向、Z軸方向の変位をそれぞれ検出することができれば、作用した加速度の各座標軸方向成分を求めることができる。
【0037】
一方、このセンサ構造体を角速度センサとして用いる場合は、重錘体250を運動させる必要がある。一般に、三次元直交座標系において、第1の座標軸方向に運動中の物体に、第2の座標軸まわりの角速度が作用すると、この物体には第3の座標軸方向へのコリオリ力が作用することになる。したがって、たとえば、重錘体250をX軸方向に単振動させておき、その状態で、Y軸方向に作用するコリオリ力を検出すればZ軸まわりの角速度の検出が可能になり、Z軸方向に作用するコリオリ力を検出すればY軸まわりの角速度の検出が可能になる。もちろん、座標軸の組み合わせを変えれば、任意の座標軸まわりの角速度検出が可能である。ここで、コリオリ力の検出は、上述した加速度に応じた外力の検出と同様に、重錘体250の変位を検出することにより行うことができる。たとえば、重錘体250をX軸方向に単振動させる駆動を行っているときに、Y軸方向にコリオリ力が作用すると、重錘体250がY軸方向に変位することになるので、この変位を検出することにより、Z軸まわりの角速度を求めることができる。
【0038】
このように、重錘体を有するセンサ構造体を加速度センサとして利用する場合には、重錘体250の変位を検出する機構が必要になり、角速度センサとして利用する場合には、更に、重錘体250を運動させる機構が必要になる。本発明に係るセンサ構造体の場合、これらの機構として容量素子を用いている。特に、図7に示す実施形態に係るセンサ構造体の場合、合計6組の容量素子により、重錘体250のX軸方向の変位、Y軸方向の変位、Z軸方向の変位をそれぞれ独立して検出することが可能であり、また、必要に応じて、重錘体250をX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に運動させることが可能である。
【0039】
図7に示すセンサ構造体に組み込まれた6組の容量素子の一方の電極の役割は、第1のブロック210〜第4のブロック240および上方電極E5,E6が果たすことになり、もう一方の電極の役割は、重錘体250が果たすことになる(重錘体250は、6組の容量素子についての共通電極として機能する)。前述したとおり、この実施形態における中間部材200は、導電性材料(不純物をドープしたシリコン)によって構成されており、重錘体250および各ブロックは、それぞれが電極としての機能を果たすことができる。
【0040】
図8は、図7に示すセンサ構造体における4組の容量素子の所在を示す側面投影図である。ここでは、容量素子を構成する電極として機能する部分をハッチングを施して示してある。一般に、容量素子に固有の電磁気学現象は、導電性ブロックの表層部分で生じるものと考えられるので、ここでは、重錘体や各ブロックの表層部分に仮想電極(ハッチング部分)があるものと仮定して、以下の説明を行うことにする。上述したように、中間部材200を構成する重錘体250や個々のブロックは、物理的にはいずれも導電体の塊であり、別体としての電極が表面に形成されているわけではない。ただ、容量素子としての動作を考慮した説明の便宜上、ここでは、個々の部分の表層部分を電極E0〜E4として捉えることにする。
【0041】
まず、重錘体250側には、重錘体側電極E0が形成される。この実施形態の場合、重錘体250は直方体をしており、その6面にそれぞれ重錘体側電極E0が形成されることになる。図8の側断面図には、このうちの4面に形成された重錘体側電極E0が示されている。当然、これらはいずれも互いに導通した電極になる。一方、重錘体側電極E0に対向する位置には、各容量素子を形成するためのもう一方の電極が形成されている。すなわち、第1のブロック210の左側の面には対向電極E1が形成され、第2のブロック220の右側の面には対向電極E2が形成され、上方基板本体110の下面には上方電極E5が形成され、下方基板本体310の上面には下方電極E6が形成されている。
【0042】
図8の側面投影図に対して、図9は、平面投影図であり、ここにもやはり図7に示すセンサ構造体における4組の容量素子の所在が示されている。すなわち、重錘体250の4つの側面には、それぞれ重錘体側電極E0が形成されている。このうち、重錘体250の右側面に形成された重錘体側電極E0は、図8に示したものと同一の電極であり、第1のブロック210の左側の面に対向電極E1が形成されている。同様に、重錘体250の左側面に形成された重錘体側電極E0は、図8に示したものと同一の電極であり、第2のブロック220の右側の面に対向電極E2が形成されている。更に、図9に示すように、重錘体250の図の上下の面にもそれぞれ重錘体側電極E0が形成されており、第3のブロック230および第4のブロック240にそれぞれ対向電極E3,E4が形成されている。
【0043】
結局、図9の平面投影図を見ると、重錘体250を四方から囲む位置に、それぞれ第1のブロック210,第2のブロック220,第3のブロック230,第4のブロック240が配置され、その内側の面(原点Oを向く面)に、それぞれ対向電極E1,E2,E3,E4が形成されていることになり、図8の側面投影図を見ると、更に、重錘体250の上方に上方電極E5が形成され、下方に下方電極E6が形成されていることになる。ここでは、対向電極E1とこれに対向する重錘体側電極E0とによって構成される容量素子を第1の容量素子C1と呼び、対向電極E2とこれに対向する重錘体側電極E0とによって構成される容量素子を第2の容量素子C2と呼び、対向電極E3とこれに対向する重錘体側電極E0とによって構成される容量素子を第3の容量素子C3と呼び、対向電極E4とこれに対向する重錘体側電極E0とによって構成される容量素子を第4の容量素子C4と呼び、上方電極E5とこれに対向する重錘体側電極E0とによって構成される容量素子を第5の容量素子C5と呼び、下方電極E6とこれに対向する重錘体側電極E0とによって構成される容量素子を第6の容量素子C6と呼ぶことにする。
【0044】
ここで、この6組の容量素子の配置に着目すると、第1の容量素子C1(E1とE0)は、重錘体250のX軸正方向側に配置され、第2の容量素子C2(E2とE0)は、重錘体250のX軸負方向側に配置され、第3の容量素子C3(E3とE0)は、重錘体250のY軸正方向側に配置され、第4の容量素子C4(E4とE0)は、重錘体250のY軸負方向側に配置され、第5の容量素子C5(E5とE0)は、重錘体250のZ軸正方向側に配置され、第6の容量素子C6(E6とE0)は、重錘体250のZ軸負方向側に配置されていることがわかる。このように、重錘体250に対して、各座標軸の正負両方向にそれぞれ容量素子を配置しておくと、§3で述べるとおり、これら容量素子の静電容量値に基づいて、重錘体250の各座標軸方向への変位を正確に検出することができ、また、重錘体250を各座標軸に沿って駆動させることができるようになる。
【0045】
本発明は、このような容量素子に対する配線を単純化することを目的とするものであり、その基本手法は、導電性のブロック自体を配線の用に供することにある。たとえば、図9の平面投影図に示されているように、対向電極E1〜E4は、第1のブロック210〜第4のブロック240の表層部分からなるため、これらの電極に対する配線は、第1のブロック210〜第4のブロック240の上面に対して行えばよいことがわかる。図9には、各配線用端子の平面的な位置も描かれているが、第1の配線用端子T1〜第4の配線用端子T4は、それぞれ第1のブロック210〜第4のブロック240の上面位置に配置されている。これは、第1の配線用端子T1〜第4の配線用端子T4が、それぞれ対向電極E1〜E4に対して電気的に接続されていることを意味する。
【0046】
また、図8に示すとおり、上方電極E5は、配線層L5を介して第5のブロック225に電気的に接続されており、下方電極E6は、配線層L6を介して第6のブロック215に電気的に接続されているので、これらの電極に対する配線は、第5のブロック225および第6のブロック215の上面に対して行えばよいことがわかる。図9を見ると、第5の配線用端子T5および第6の配線用端子T6は、それぞれ第5のブロック225および第6のブロック215の上面位置に配置されている。これは、第5の配線用端子T5および第6の配線用端子T6が、それぞれ上方電極E5および下方電極E6に対して電気的に接続されていることを意味する。図8に示されている配線用トンネル220Tは、配線層L5と第2のブロック220とが接触しないようにするためのものであり、配線用トンネル210Tは、配線層L6と第1のブロック210とが接触しないようにするためのものである。
【0047】
続いて、重錘体側電極E0に対する配線を説明しよう。重錘体側電極E0は、直方体状の重錘体250の各面の表層部分からなり、6組の容量素子の一方の共通電極として機能する電極である。ここで、重錘体250は導電性材料(不純物ドープシリコン)の塊であり、これを支持するための4本の橋梁部261〜264および4個の支持ブロック271〜274も同じく導電性材料(不純物ドープシリコン)によって構成されている。このため、重錘体250、橋梁部261〜264、支持ブロック271〜274は、電気的には互いに導通していることになる。したがって、重錘体側電極E0に対する配線は、支持ブロック271〜274のいずれかの上面に対して行えばよいことがわかる。図9を見ると、重錘体配線用端子T0は、支持ブロック272の上面位置に配置されている(もちろん、他の支持ブロック271,273,274の上面位置に配置してもかまわない)。これは、重錘体配線用端子T0が、重錘体250すなわち重錘体側電極E0に対して電気的に接続されていることを意味する。
【0048】
結局、図8または図9に示されている電極E1〜E6は、上方基板100に配置された第1の配線用端子T1〜第6の配線用端子と電気的に接続された状態となっており、重錘体側電極E0は、上方基板100に配置された重錘体配線用端子T0と電気的に接続された状態となっている。したがって、このセンサ構造体に対して必要な電気的配線は、すべて図2の上面図に示されているように、上方基板100の上面に露出している合計7個の配線用端子T0〜T6に対して行うことができる。しかも、センサ構造体の内部における実質的な配線としては、図8に示すとおり、配線層L5,L6を設けただけであり、配線構造は非常に単純化されている。
【0049】
図2に上端部が示されている各配線用端子T0〜T6は、前述したように、上広の円錐形状(コーン状)をしている。ただ、ここに示す実施形態では、図2に示すように、X軸上に配置された配線用端子が1つも存在しないため、図1や図7などの側断面図(XZ平面で切った断面図)には配線用端子の側断面は現れていない。そこで、参考のために、このセンサ構造体を、第1の配線用端子T1および第5の配線用端子T5の各中心軸を通る平面で切った側断面図を図10に示し、第3の配線用端子T3および重錘体配線用端子T0の各中心軸を通る平面で切った側断面図を図11に示しておく。この図10または図11に示されているように、配線用端子T0〜T6は、いずれも上方基板本体110に設けられた上広の錐状貫通孔の壁面に形成された金属層によって構成されており、中空のコーン状をしていることになる。
【0050】
図12は、このコーン状の配線用端子Tの製造工程を示す拡大側断面図(配線用端子Tの形成部分のみを拡大して示す)である。まず、図12(a) に示すように、上方基板本体110(この実施形態ではガラス基板)の所定箇所に、上広の円錐形状の貫通孔115を形成する。次に、中間部材200の上に上方基板本体110を接合する。続いて、この上方基板本体110の上面に、アルミニウムなどの金属膜を蒸着法やスパッタ法などの方法で堆積させる。すると、上方基板本体110の上面が金属層で覆われるとともに、錐状貫通孔115の内側面および底部(中間部材200の上面)にも金属が堆積し、図12(b) に示すように、内部に円錐状の空洞部Kを有する中空コーン状の配線用端子Tが形成されることになる。この後、上方基板本体110上に堆積した金属層の不要な部分(図12(b) に示す配線用端子Tの上端の縁の部分の外側に堆積した部分)をエッチングなどで除去すれば、最終的に、図12(b) に示すような側断面をもった配線用端子Tを形成することができる。この配線用端子Tの上端の縁の部分は、上方基板本体110の上面に露出した状態となり、検出回路に対する配線部(ボンディングパッド)として機能することになり、下端のコーン先端部分は、中間部材200を構成する各ブロックの上面に接触し、電気的なコンタクトをとる機能を果たす。
【0051】
なお、図12(a) に示す貫通孔115を錐状にしてあるのは、アルミニウムなどの蒸着やスパッタの工程において、その壁面に効果的に堆積層を形成するための配慮である。もちろん、錐状貫通孔115は必ずしも円錐状にする必要はなく、角錐状にしてもかまわない。また、蒸着法やスパッタ法などの一般的な堆積工程を採らずに、別な工程で貫通孔115内に配線用端子Tを埋め込むことが可能であれば、貫通孔115は必ずしも上広の錐状にする必要はない。
【0052】
<<< §3.検出回路 >>>
これまで、本発明に係る加速度センサあるいは角速度センサに用いるセンサ構造体の構成、基本動作、配線を述べてきた。ここでは、このセンサ構造体に接続して用いる検出回路についての説明を行う。もっとも、これらの検出回路自体は、前掲の特許文献1〜4などに開示されている公知の回路であるので、ここでは代表的なの回路構成例について簡単な説明を行うことにする。本発明の特徴は、§1および§2で述べたセンサ構造体の構造および配線にあり、ここで述べる検出回路は、本発明にとって本質的な特徴ではない。
【0053】
図13は、図7に示すセンサ構造体を三次元加速度センサとして利用するための検出回路である。もっとも、図の左半分に記載されている容量素子C1〜C6と、配線用端子T0〜T6は、図7に示すセンサ構造体の構成要素であるので、実際の検出回路の部分は、図の右半分に記載されたC/V変換回路401〜406および減算器407〜409の部分ということになる。既に§2において述べたように、容量素子C1〜C6の一方の電極E1〜E6は、それぞれ第1の配線用端子T1〜第6の配線用端子T6に接続されており、容量素子C1〜C6の他方の共通電極E0(重錘体側電極)は、重錘体配線用端子T0に接続されているので、図におけるC/V変換回路401〜406に対する配線は、上方基板本体110上に露出した各配線用端子T0〜T6に対して行うことになる。この回路では、重錘体配線用端子T0は接地されており、重錘体側電極E0、すなわち、重錘体250全体の電位は接地レベルになる。
【0054】
C/V変換回路401〜406は、それぞれ容量素子C1〜C6の静電容量値を電圧値V1〜V6に変換する機能をもった回路である。これらの電圧値V1〜V6に対しては、減算器407〜409による演算が行われ、演算結果として、出力端子Txには電圧値V1−V2が出力され、出力端子Tyには電圧値V3−V4が出力され、出力端子Tzには電圧値V5−V6が出力される。ここで、出力端子Tx,Ty,Tzに出力される電圧値は、それぞれ重錘体250に作用した加速度のX軸,Y軸,Z軸方向成分になる。
【0055】
その理由は、図7に示すセンサ構造体における重錘体250の変位を考えれば容易に理解できよう。たとえば、重錘体250に対して、X軸正方向の加速度αxが作用したとすると、この加速度αxに基づく力により、重錘体250は図7における右方へと移動することになり、容量素子C1の電極間距離(重錘体250と第1のブロック210との距離)は小さくなり、容量素子C2の電極間距離(重錘体250と第2のブロック220との距離)は大きくなる。よって、容量素子C1の静電容量値(電圧値V1)は大きくなり、容量素子C2の静電容量値(電圧値V2)は小さくなるので、出力端子Txに得られる電圧値V1−V2は、加速度αxの大きさを示す値になる。加速度のY軸方向成分αyが出力端子Tyに得られ、加速度のZ軸方向成分αzが出力端子Tzに得られる理由も同様である。このように、図13に示す検出回路は、第1の容量素子C1〜第6の容量素子C6の静電容量値に基づいて、各座標軸方向の加速度成分を検出する機能を有しており、このような検出回路を用いることにより、三次元加速度センサを実現することができる。
【0056】
続いて、角速度センサを実現するための検出回路の例を示す。角速度の検出を行うためには、前述したとおり、重錘体250を所定方向に運動させながら、運動中の重錘体250に作用するコリオリ力を検出する必要がある。このため、用いる検出回路は、容量素子に所定の電気信号(駆動信号)を与えることにより重錘体を運動させる機能と、この運動に同期した所定のタイミングで、重錘体の所定方向への変位量を容量素子の静電容量値に基づいて電気信号として取り出す機能と、が必要になる。具体的には、検出回路は、第1の容量素子C1〜第6の容量素子C6の一部に対して交流信号を与えることにより重錘体を運動させ、この運動させた状態において、第1の容量素子C1〜第6の容量素子C6の一部の静電容量値に基づいて、検出対象となる角速度成分を検出することになる。
【0057】
図14は、図7に示すセンサ構造体を二次元加速度センサとして利用するための検出回路である。ここでも、図の左半分に記載されている容量素子C1〜C6と、配線用端子T0〜T6は、図7に示すセンサ構造体の構成要素であるので、実際の検出回路の部分は、図の右半分に記載されたC/V変換回路401〜404、減算器407,408、交流電源411,412の部分ということになる。この検出回路を用いた場合、第5の容量素子C5および第6の容量素子C6は、重錘体250をZ軸方向に駆動させる役割を果たすことになる。交流電源411,412としては、互いに逆位相の交流信号を発生させる電源を用いればよい。たとえば、交流電源411が前半周期にパルスを発生し、交流電源412が後半周期にパルスを発生すれば、重錘体側電極E0を接地レベルに維持したまま、上方電極E5と下方電極E6とに交互に電圧を印加することができるので、重錘体250をクーロン力により上下に交互に引き寄せることができるようになり、重錘体250をZ軸方向に振動させることができるようになる。
【0058】
このように、重錘体250をZ軸方向に振動させた状態において、Y軸まわりの角速度ωyが作用すると、重錘体250にはX軸方向へのコリオリ力が作用し、X軸方向へ変位することになる。このX軸方向への変位は、前述したとおり、減算器407から出力される電圧値V1−V2として検出される。よって、図14の回路では、出力端子Tyに得られる電圧値は、Y軸まわりの角速度ωyを示すものになる。同様に、出力端子Txに得られる電圧値は、X軸まわりの角速度ωxを示すものになる。かくして、図14の検出回路を用いることにより、X軸まわりの角速度ωxおよびY軸まわりの角速度ωyを検出する機能をもった二次元角速度センサを実現することができる。
【0059】
この図14の検出回路は、重錘体250をZ軸方向に振動させながら、X軸方向へのコリオリ力に基づく変位を検出してY軸まわりの角速度ωyを検出し、Y軸方向へのコリオリ力に基づく変位を検出してX軸まわりの角速度ωxを検出することにより二次元角速度センサを実現する回路であるが、同様の原理に基づき、重錘体250をX軸方向に振動させながら、Y軸まわりの角速度ωyとZ軸まわりの角速度ωzとを検出する二次元角速度センサを実現することも可能であるし、重錘体250をY軸方向に振動させながら、X軸まわりの角速度ωxとZ軸まわりの角速度ωzとを検出する二次元角速度センサを実現することも可能である。
【0060】
二次元角速度センサを実現する場合は、上述の例のように、重錘体250を1つの座標軸方向に振動させれば十分であるが、3つの座標軸まわりの角速度ωx,ωy,ωzのすべてを検出する三次元角速度センサを実現するためには、重錘体250を2つの座標軸方向に交互に運動させる必要がある。そのためには、重錘体250を円運動させると都合がよい。たとえば、図15に示すように、XY平面内において、重錘体250の重心Gを円運動させたとする。
【0061】
ここで、重心Gが図示の円軌道上を運動中にY軸との交差点P1を通過する瞬間を考えてみると、この瞬間における重心Gの運動方向ベクトルUxは、X軸方向に沿った方向を向いていることがわかる。したがって、重心Gの交差点P1を通過する瞬間に、Z軸方向の変位(コリオリ力)を検出できれば、この検出値はY軸まわりの角速度ωyを示すものになり、Y軸方向の変位(コリオリ力)を検出できれば、この検出値はZ軸まわりの角速度ωzを示すものになる。したがって、交差点P1を通過する瞬間には、角速度ωyおよびωzの検出が可能になる。同様に、重心Gが図示の円軌道上を運動中にX軸との交差点P2を通過する瞬間を考えてみると、この瞬間における重心Gの運動方向ベクトルUyは、Y軸方向に沿った方向を向いていることがわかる。したがって、重心Gの交差点P2を通過する瞬間に、Z軸方向の変位(コリオリ力)を検出できれば、この検出値はX軸まわりの角速度ωxを示すものになり、X軸方向の変位(コリオリ力)を検出できれば、この検出値はZ軸まわりの角速度ωzを示すものになる。したがって、交差点P2を通過する瞬間には、角速度ωxおよびωzの検出が可能になる。なお、角速度ωzは、交差点P1,P2のいずれでも検出可能なので、どちらか一方で検出すれば十分である。
【0062】
重錘体250の重心GをXY平面上で円運動させるには、図9に示されている4組の容量素子C1(E1とE0),C2(E2とE0),C3(E3とE0),C4(E4とE0)に、それぞれ所定の位相をもった駆動信号を与えるようにすればよい。たとえば、図16に示すような制御回路500を用意し、図示のような4種類の駆動信号DR1〜DR4を発生させ、各容量素子C1〜C4に与えれば、重錘体250の重心GをXY平面上で円運動させることができる。すなわち、駆動信号DR1とDR2とは相互に位相φがπだけずれており、重錘体250をX軸方向に振動させることができ、駆動信号DR3とDR4とは相互に位相φがπだけずれており、重錘体250をY軸方向に振動させることができる。しかも、駆動信号DR1とDR3とは相互に位相φがπ/2だけずれているため、容量素子C1,C3,C2,C4にはそれぞれ移相φがπ/2だけ遅れた駆動信号が与えられることになり、重錘体250はXY平面上で円運動することになる。
【0063】
上述したように、このような円運動中の重錘体250を利用して、角速度を検出するには、重心Gが交差点P1,P2を通過する瞬間に変位検出を行う必要がある。そこで、制御回路500からは、重錘体250の重心Gが、交差点P1を通過した瞬間を示す同期検波信号S(P1)と、交差点P2を通過した瞬間を示す同期検波信号S(P2)と、を出力させるようにし、この信号を利用して、変位検出を行うようにすればよい。
【0064】
図17は、図7に示すセンサ構造体を三次元加速度センサとして利用するための検出回路である。ここでも、図の左側に記載されている容量素子C1〜C6と、配線用端子T0〜T6は、図7に示すセンサ構造体の構成要素であるので、実際の検出回路の部分は、C/V変換回路403〜406、減算器408,409、同期検波回路421〜423、増幅器431〜433の部分ということになる。この他、図16に示す制御回路500も検出回路の一部に組み込まれる。図17の回路図における信号DR1〜DR4および信号S(P1),S(P2)は、図16に示す制御回路500によって発生された各信号である。
【0065】
ここでは、まず、この図17に示す回路の中で、重錘体250の重心Gを円運動させる機能を果たす部分を説明する。図示のとおり、制御回路500で発生された駆動信号DR1〜DR4は、配線用端子T1〜T4に供給される。これにより、各容量素子C1〜C4には、位相が互いにπ/2ずつずれた駆動信号が供給され、前述したとおり、重心GはXY平面内で円運動を行うことになる。このように、容量素子C1〜C4は、重錘体250を円運動させる駆動機能を果たすために利用される。
【0066】
続いて、重錘体250に作用するコリオリ力を検出する機能、すなわち、重錘体250の変位検出を行う部分を説明する。C/V変換回路403〜406は、それぞれ容量素子C3〜C6の静電容量値を電圧値V3〜V6に変換する回路であり、減算器408,409は、それぞれ電圧値の差V3−V4およびV5−V6を求める回路である。ここで、電圧差V3−V4が重錘体250のY軸方向の変位(すなわち、Y軸方向のコリオリ力)を示す値であり、電圧差V5−V6が重錘体250のZ軸方向の変位(すなわち、Z軸方向のコリオリ力)を示す値であることは既に述べたとおりである。また、同期検波回路421〜423は、同期検波信号S(P1)またはS(P2)によって示されるタイミングで、減算器408,409からの信号を出力する回路であり、重錘体の重心Gが交差点P1を通過する瞬間または交差点P2を通過する瞬間のタイミングに合わせて信号出力を行う。各同期検波回路421〜423から出力された信号は、それぞれ増幅器431〜433で増幅された後、出力端子Tz,Ty,Txに出力される。
【0067】
ここで、出力端子Tzに出力される信号は、重錘体の重心Gが運動方向ベクトルUxをもって交差点P1を通過する瞬間におけるY軸方向に作用したコリオリ力を示すものであり、Z軸まわりの角速度ωzを示す信号になる。また、出力端子Tyに出力される信号は、重錘体の重心Gが運動方向ベクトルUxをもって交差点P1を通過する瞬間におけるZ軸方向に作用したコリオリ力を示すものであり、Y軸まわりの角速度ωyを示す信号になる。更に、出力端子Txに出力される信号は、重錘体の重心Gが運動方向ベクトルUyをもって交差点P2を通過する瞬間におけるZ軸方向に作用したコリオリ力を示すものであり、X軸まわりの角速度ωxを示す信号になる。
【0068】
かくして、図16に示す回路と図17に示す回路によって構成される検出回路を用いれば、各座標軸まわりの角速度ωx,ωy,ωzを検出することが可能な三次元角速度センサを実現することが可能になる。なお、図17の回路図において、容量素子C3,C4に関する回路部分に抵抗Rが挿入されているのは、駆動系の信号と検出系の信号とが重畳しても支障が生じないようにするための配慮である。すなわち、容量素子C1〜C4は重錘体を駆動するために利用され、容量素子C3〜C6は重錘体の変位検出に利用されることになるので、容量素子C3,C4は、重錘体を駆動する役割と重錘体の変位を検出する役割とを兼務することになる。このため、容量素子C3,C4の静電容量値の検出は、駆動信号DR3,DR4を供給した状態で行う必要があるので、抵抗Rを挿入し、駆動信号と検出信号とを分離可能にしている。
【0069】
以上、重錘体をXY平面上で円運動させる例を述べたが、もちろん、重錘体をYZ平面上で円運動させたり、XZ平面上で円運動させたりしても、三次元角速度センサは実現可能であり、その場合には、図16および図17に示す検出回路に準じた回路を用意すればよい。
【0070】
<<< §4.副ブロックを設ける変形例 >>>
上述した基本的な実施形態では、重錘体の側方に配置すべき電極E1〜E4を構成する役割と、その配線の用に供する役割とを兼務するために第1のブロック210〜第4のブロック240を配置し、上方電極E5,下方電極E6に対する配線の用に供する役割を果たすために第5のブロック225、第6のブロック216を配置した。ここで、三次元加速度センサや二次元角速度センサを実現する上では、これら6組のブロックを設けることで十分である。ただ、三次元角速度センサの場合には、これら6組のブロックだけで実現しようとすると、同一の容量素子に、重錘体を駆動する役割と重錘体の変位を検出する役割とを兼務させる必要が生じるため、1組のブロックを、物理的に分離された複数の副ブロックに分け、駆動用の容量素子と検出用の容量素子とを別個に設けた方が便利な場合もある。
【0071】
たとえば、図17に示す検出回路では、前述したとおり、容量素子C3,C4は、重錘体を駆動する役割と重錘体の変位を検出する役割とを兼務するため、抵抗Rを挿入し、駆動信号DR3,DR4が供給された状態で、静電容量値の検出を行うことができるようなC/V変換回路403,404を用意する必要がある。このように検出回路が複雑化するのを避けたい場合には、容量素子C3,C4をそれぞれ電気的に独立した複数の副容量素子によって構成しておくようにすればよい。たとえば、容量素子C3を、駆動用副容量素子C3Aと検出用副容量素子C3Bとによって構成しておけば、駆動信号DR3は駆動用副容量素子C3Aに供給するようにし、静電容量値の検出は検出用副容量素子C3Bを利用して行うようにすることができる。そうすれば、物理的に同一の容量素子が、重錘体を駆動する役割と重錘体の変位を検出する役割とを兼務することがなくなり、回路構成をより単純化することが可能になる。
【0072】
1組の容量素子を複数の副容量素子に分けるには、容量素子を構成する1枚の電極を複数の副電極に分ける必要がある。図7に示すセンサ構造体では、6組の容量素子を構成するために、6枚の電極E1〜E6を設けている。ここでは、変形例として、この6枚の電極E1〜E6のすべてを複数の副電極に分けた例を以下に示しておく。
【0073】
図18は、この変形例に用いる上方基板100′の下面図である。この上方基板100′は、図3に示す上方基板100の代わりに用いるものであり、上方基板溝部120の底部には、上方電極E5の代わりに副電極E51,E52が形成されており、それぞれについて配線L51,L52が設けられている。なお、この図18におけるハッチングは、電極や配線の平面パターンを示すものであり、断面を示すものではない。このように一対の副電極E51,E52を設けておけば、副電極E51と重錘体側電極E0とによって副容量素子C51が形成され、副電極E52と重錘体側電極E0とによって副容量素子C52が形成されることになるので、一方を駆動専用、他方を検出専用に利用することができる。下方基板300についても全く同様に、下方電極E6を2つの副電極に分けるようにすればよい。
【0074】
図19は、この変形例に用いる中間部材200′の上面図である。この中間部材200′は、図4に示す中間部材200の代わりに用いるものである。両者を比較すると、第1のブロック210が3つの副ブロック211〜213に分けられ、第2のブロック220が3つの副ブロック221〜223に分けられ、第3のブロック230が3つの副ブロック231〜233に分けられ、第4のブロック240が3つの副ブロック241〜243に分けられ、第5のブロック225が2つの副ブロック226,227に分けられ、第6のブロック215が2つの副ブロック216,217に分けられていることがわかる。
【0075】
第1のブロック210〜第4のブロック240を、2つの副ブロックではなく、3つの副ブロックに分けているのは、座標軸に関する対称性を確保するためである。すなわち、重錘体の駆動や変位は、力学的な作用であるため、駆動用に用いる副容量素子や、検出用に用いる副容量素子は、いずれも座標軸に関して対称性を有するような配置を行っておくのが好ましい。図19に示す例の場合、3つに並んだ副ブロックのうち、中央の副ブロック212,222,232,242がそれぞれ駆動用に利用され、その両側に並んだ副ブロック対、すなわち、211/213の対、221/223の対、231/233の対、241/243の対が、それぞれ検出用に利用される。副ブロック226,227は、図18に示す上方基板100′に形成された配線L51,L52に接続され、副電極E51,E52に対する配線に利用される。同様に、副ブロック216,217は、下方基板に形成された2つの副電極に対する配線に利用される。
【0076】
図20は、図19に示す中間部材200′に形成される各仮想電極と各配線用端子との関係を示す平面投影図であり、ハッチング部分が仮想電極を示している。図示の各副電極E11〜E43と重錘体側電極E0とによって、それぞれ副容量素子C11〜C43が形成されることになる。上述したように、座標軸に関して対称性を有する安定した検出動作を可能にするためには、3つに並んだ副容量素子のうち、中央の副容量素子C12,C22,C32,C42をそれぞれ駆動用に利用し、その両側に並んだ副容量素子対、すなわち、C11/C13の対、C21/C23の対、C31/C33の対、C41/C43の対を、それぞれ検出用に利用すればよい。
【0077】
このように各ブロックを副ブロックに分割した場合、当然、個々の副ブロックの上面に対して別個独立して配線を行うことになる。図20に黒丸で示したT11〜T62は、各副ブロックについての配線用端子の位置を示すものである。これら各配線用端子は、図12(b) に示すような中空のコーン状をしており、その上端は、いずれも上方基板100′の上面に露出しており、下端は、各副ブロックの上面に電気的に接触していることになる。
【0078】
結局、図20に示すような中間部材200′を有するセンサ構造体では、6組の容量素子のすべてが、複数の副容量素子に分けられており、駆動用副容量素子と検出用副容量素子とを独立して利用することができる。もっとも、実際に三次元角速度センサを構成する場合、6組の容量素子のすべてについて、駆動用副容量素子と検出用副容量素子と用意する必要はない。たとえば、図15に示すように、重錘体250の重心GをXY平面内で円運動させながら、交差点P1,P2を通過した瞬間に変位検出を行うタイプの三次元角速度センサの場合、第3の容量素子C3と第4の容量素子C4は駆動/検出を兼ねる必要があるので、副容量素子を利用することに意味があるが、その他の容量素子は、駆動もしくは検出のみを行えばよいため、副容量素子を利用する意味はない。したがって、図20に示すような中間部材200′を有するセンサ構造体は、必ずしもすべての機能が利用されるわけではなく、いくつかのブロックや配線が無駄になる。しかしながら、このようなセンサ構造体を、汎用のセンサ構造体として量産しておくようにすれば、これに接続する検出回路を種々変えることにより、様々なタイプのセンサを実現することができるようになる。
【0079】
たとえば、この汎用のセンサ構造体を利用して、図21および図22に示す回路を構成し、更に図16に示す制御回路500を併せて利用すれば、三次元角速度センサを実現することが可能になる。図21に示す回路は、重錘体を駆動するための回路であり、制御回路500からの駆動信号DR1〜DR4が副容量素子C12,C22,C32,C42(駆動専用の副容量素子)に与えられている。これにより、図20に示す各副電極E12,E32,E22,E42にπ/2ずつ位相がずれた交流信号が加えられることになり、重錘体をXY平面上で円運動させることが可能になる。
【0080】
一方、図22の上段に示す回路では、変位検出専用の副容量素子C11,C13の静電容量値の合計をC/V変換回路441で電圧値に変換し、変位検出専用の副容量素子C21,C23の静電容量値の合計をC/V変換回路442で電圧値に変換し、減算器451で両者の差が演算される。この差は、重錘体のX軸方向の変位を示すものになる。同様に、図22の下段に示す回路では、変位検出専用の副容量素子C51の静電容量値をC/V変換回路443で電圧値に変換し、変位検出専用の副容量素子C61の静電容量値をC/V変換回路444で電圧値に変換し、減算器452で両者の差が演算される。この差は、重錘体のZ軸方向の変位を示すものになる。
【0081】
同期検波回路461,462,463は、それぞれ同期検波信号S(P2),S(P1),S(P2)によって示されるタイミングで、減算器451,452からの信号を出力する回路である。各同期検波回路461〜463から出力された信号は、それぞれ増幅器471〜473で増幅された後、出力端子Tz,Ty,Txに出力される。
【0082】
ここで、出力端子Tzに出力される信号は、重錘体の重心Gが運動方向ベクトルUyをもって交差点P2を通過する瞬間におけるX軸方向に作用したコリオリ力を示すものであり、Z軸まわりの角速度ωzを示す信号になる。また、出力端子Tyに出力される信号は、重錘体の重心Gが運動方向ベクトルUxをもって交差点P1を通過する瞬間におけるZ軸方向に作用したコリオリ力を示すものであり、Y軸まわりの角速度ωyを示す信号になる。更に、出力端子Txに出力される信号は、重錘体の重心Gが運動方向ベクトルUyをもって交差点P2を通過する瞬間におけるZ軸方向に作用したコリオリ力を示すものであり、X軸まわりの角速度ωxを示す信号になる。
【0083】
このように、図21および図22に示す回路を用いれば、各座標軸まわりの角速度ωx,ωy,ωzを検出することが可能な三次元角速度センサを実現することが可能になる。しかも、各副容量素子には、重錘体を駆動する役割か、重錘体の変位を検出する役割かのいずれか一方の役割のみが与えられることになるので、駆動信号と検出信号とを分離するような回路上の工夫は不要になる。
【0084】
図19に上面が示されている中間部材200′では、図4に示す中間部材200を構成する6つのブロックのすべてを副ブロックに分割しており、このような構成にしておけば、用途に応じて種々の検出回路が適用可能な汎用のセンサ構造体が量産できることは既に述べたとおりである。ただ、このような汎用のセンサ構造体では、実際には無用のブロックや配線が形成されることになるので、個々の検出回路に合わせたいわゆるオーダーメイドのセンサ構造体を作成する場合には、必要なブロックについてのみ副ブロックへの分割を行うようにすればよい。
【0085】
要するに、この§4で述べる変形例は、図4に上面が示されている基本的な実施形態に係るセンサ構造体を構成する第1のブロック210〜第4のブロック240のうちの必要な一部もしくは全部を、物理的に分離された複数の副ブロックによって構成し、第1の容量素子C1〜第4の容量素子C4のうちの必要な一部もしくは全部を、電気的に独立した複数の副容量素子によって構成し、各副ブロックごとにそれぞれ配線用端子を設け、複数の副容量素子の一部に対して交流信号を与えることにより重錘体を運動させ、複数の副容量素子の別な一部の静電容量値に基づいて、検出対象となる角速度成分を検出するようにすればよい。また、上方電極E5および下方電極E6については、必要に応じて、いずれか一方もしくは双方を、物理的に分離された複数の副電極によって構成し、第5の容量素子および第6の容量素子のうちのいずれか一方もしくは双方を、電気的に独立した複数の副容量素子によって構成し、第5のブロックおよび第6のブロックのうちのいずれか一方もしくは双方を、物理的に分離された複数の副ブロックによって構成し、各副電極と各副ブロックとの間をそれぞれ配線によって電気的に接続し、各副ブロックごとにそれぞれ配線用端子を設け、複数の副容量素子の一部に対して交流信号を与えることにより重錘体を運動させ、複数の副容量素子の別な一部の静電容量値に基づいて、検出対象となる角速度成分を検出するようにすればよい。
【0086】
<<< §5.その他の変形例 >>>
これまで本発明に係るセンサの基本的な実施形態および副ブロックを用いる変形例を述べたが、ここでは、更にいくつかの変形例を紹介しておく。
【0087】
まず、これまで述べた例では、重錘体を直方体の形状とし、その各面がX軸、Y軸、Z軸のいずれかに直交するように配置されるようにし、第1のブロック210〜第4のブロック240の重錘体250に対する対向面が、重錘体250の各面に対して平行面をなすように構成しているが、重錘体は必ずしも直方体にする必要はない。要するに、重錘体の第1〜第4のブロックに対向する面に形成された電極層と、第1〜第4のブロックの重錘体に対向する面に形成された対向電極層と、によりそれぞれ容量素子が構成され、重錘体の上面および下面と上方電極および下方電極とによりそれぞれ容量素子が構成されるようになっていれば、重錘体の形状は直方体に限定されるものではない。
【0088】
また、上述の実施形態では、XY平面における第1象限〜第4象限にそれぞれ支持ブロック271〜274を設け、重錘体250が、これら4組の支持ブロック271〜274のそれぞれから伸びた4本の橋梁部261〜264によって支持されるようにし、少なくとも1組の支持ブロックについて重錘体配線用端子T0を接続するようにしているが、支持ブロックの数や位置は、このような例に限定されるものではなく、橋梁部によって重錘体を支持することが可能であれば、支持ブロックをどの位置にいくつ設けるようにしてもかまわない。ただ、センサ構造体のスペース効率を高めて小型化し、また、重錘体を安定して支持できるようにするためには、上述した実施形態のように、4隅の位置に支持ブロック271〜274を設け、重錘体を4方向から支持するようにするのが好ましい。また、橋梁部は、必ずしも重錘体250の上部を支持する構造にする必要はなく、たとえば、重錘体250の下部を支持する構造にしてもかまわない。
【0089】
更に、上述の基本的な実施形態では、重錘体250に隣接するように、第1のブロック210〜第4のブロック240を配置し、第1のブロック210の外側に第6のブロック215を配置し、第2のブロック220の外側に第5のブロック225を配置するようにし、上方電極E5と第5のブロック225とを接続する配線L5および下方電極E6と第6のブロック215とを接続する配線L6を、非接触状態で挿通させるための配線用トンネル210T,220Tを形成するようにしたが、第5のブロック225や第6のブロック215は、配線の用に供するためのものであるから、どこに配置するようにしてもかまわない。もちろん、配置を変えた場合には、必要に応じて、配線用トンネルを適宜形成すればよい。
【0090】
また、上述の実施形態では、重錘体の6面についてそれぞれ容量素子を形成し、合計6組の容量素子を設けているが、たとえば、一次元もしくは二次元加速度センサとして利用する場合や、一次元角速度センサとして利用する場合は、必ずしも6組の容量素子は必要ではないので、必要に応じた数の容量素子を必要な箇所に設けるようにすればよい。
【0091】
上述の実施形態では、中間部材200や中間部材200′は、いずれも全体が導電性材料から構成されており、重錘体や各ブロックは、全体が導電性材料の塊として機能した。しかしながら、重錘体や各ブロックは、必ずしも全体がすべて導電性材料で構成されている必要はなく、少なくとも、それぞれの機能に必要な部分が導電性材料によって構成されていればよい。たとえば、重錘体は、重錘体側電極E0としての機能に必要な表面の主要部が導電性材料から構成されていればよい。ただし、配線の便宜を考慮すると、複数の重錘体側電極E0が互いに導通した状態になっているのが好ましい。また、橋梁部および支持ブロックに関しては、少なくとも、重錘体側電極E0と支持ブロック上面とを電気的に導通させるために必要な部分を導電性材料から構成すればよい。一方、第1のブロック〜第4のブロックに関しては、少なくとも、対向電極E1〜E4の部分およびこの対向電極E1〜E4とブロック上面とを電気的に導通させるために必要な部分を導電性材料から構成すればよい。また、第5のブロック225に関しては、少なくとも、上方電極E5からの配線L5とブロック上面とを電気的に導通させるために必要な部分を導電性材料から構成しておけばよく、第6のブロック215に関しては、少なくとも、下方電極E6からの配線L6とブロック上面とを電気的に導通させるために必要な部分を導電性材料から構成しておけばよい。
【0092】
<<< §6.本発明に係るセンサ構造体の製造工程 >>>
最後に、図7に示すセンサ構造体の量産に適した製造工程の一例、特に、中間部材200の構造を得るために適した工程を、図23〜図25の側断面図(いずれも、XZ平面で切断した断面)を参照しながら説明する。
【0093】
まず、図23(a) に示すように、シリコン導電層610、酸化シリコン絶縁層620、シリコン導電層630なる三層構造をもった三層基板600を用意する。ここで、シリコン導電層610およびシリコン導電層630は、いずれもシリコンに不純物をドープすることにより導電性をもたせるようにした導電層であるが、図示のとおり、シリコン導電層610の厚みはシリコン導電層630の厚みに比べて小さくなっている。これは、シリコン導電層610は橋梁部261〜264を構成する部分であるため、所定幅をもった橋梁部として利用した場合に可撓性を与えるのに適した厚みを有しているのに対し、シリコン導電層630は重錘体250の主要部を構成する部分であるため、重錘体として利用した場合に検出に必要な質量を与えるのに適した厚みを有しているからである。
【0094】
後述するように、この三層基板600を加工することにより、図1に示す中間部材200が構成されることになる。中間に酸化シリコン絶縁層620を挟んで三層構造にしたのは、シリコン導電層610を利用して橋梁部261〜264を構成する際に、この橋梁部の厚み制御を正確に行うための配慮である。このように、シリコン/酸化シリコン/シリコンという三層構造をもった材料基板は、SOI(Silicon On Insulator)基板として種々のタイプのものが市販されており、この市販のSOI基板をそのまま利用して以下の工程を実行することが可能である。
【0095】
まず、この三層基板600のうちのシリコン導電層630に対して、基板下面側から、ちょうど図5におけるハッチング部分に対応するマスクを用いたエッチングを行う。その結果、図23(b) に示すように、シリコン導電層630の一部分が除去され、シリコン導電層630がいくつかのブロック(図5に示すようなブロック)に分割される。このエッチング工程では、酸化シリコンに対しては腐食性がなく、シリコンに対して選択的に腐食性を有するエッチング方法を用いるようにする。そうすることにより、酸化シリコン絶縁層620がエッチングストッパとして機能することになる。続いて、前回とは逆に、シリコンに対しては腐食性がなく、酸化シリコンに対して選択的に腐食性を有するエッチング方法を用いて、基板下面側からエッチングを行うと、図23(c) に示すように、酸化シリコン絶縁層620の露出部分がエッチング除去されることになる。このときは、シリコン導電層610がエッチングストッパとして機能する。
【0096】
続いて、シリコン導電層610とシリコン導電層630とを必要な部分で導通させるための導通部640を形成する。たとえば、図24(a) の側断面図には、5か所に導通部640が形成され、シリコン導電層610とシリコン導電層630とを電気的に接続した例が示されている。実際には、導通部640を、配線上必要となる部分(すなわち、シリコン導電層630からなるブロックの下の部分と、シリコン導電層610からなるブロックの上の部分とを、配線上、導通させておく必要がある部分)に適宜形成しておけばよい。また、この時点で、配線用トンネル210Tをエッチングなどの方法で形成しておく。
【0097】
なお、導通部640は、図24(a) では単純な太い垂直線で示してあるが、実際には、図24(b) の拡大図に示すような中空コーン状の金属膜などによって構成することができる(これは、図12に示した配線用端子と同様である)。この図24(b) に示すような導通部640を形成するには、シリコン導電層610の上面の所定箇所に、エッチングにより酸化シリコン絶縁層620まで貫通するような錐状貫通孔を掘り、図12に示した配線用端子Tの形成プロセスと同様に、アルミニウムなどの金属を蒸着法やスパッタ法で付着させて導通部640を形成し、シリコン導電層610の上面に堆積した不要なアルミニウム層をエッチングで除去する方法を採ればよい。
【0098】
続いて、図1に示す下方基板300を用意し、これを図24(a) に示すシリコン導電層630の下面に接合する。この接合には、たとえば陽極接合(Anodic Bonding)を利用すればよい。図24(c) は、この接合が完了した状態を示す。続いて、シリコン導電層610の上面側から、図4に示す各ブロックおよび橋梁部に相当する部分を覆うマスクを用いて、酸化シリコンに対しては腐食性がなく、シリコンに対して選択的に腐食性を有するエッチングを実行する。その結果、図25(a) に示すような構造体が得られる。図示のとおり、シリコン導電層610の一部には、橋梁部261〜264が形成されており、シリコン導電層610、酸化シリコン絶縁層620、シリコン導電層630からなる構造部分は、図1に示す中間部材200と同等の構造を有することになる。たとえば、中央の重錘体250は、4本の橋梁部261〜264によって支持された状態となっており、その周囲には、ブロック210,215,220,225などが形成されている。
【0099】
次に、必要に応じて、第2のブロック220の上面に、配線用トンネル220Tをエッチングなどの方法で形成する。続いて、図1に示す上方基板100(但し、錐状貫通孔は所定位置に形成されているが、各配線用端子がまだ形成されていない状態のもの:たとえば、図12(a) に示す状態)を用意し、これを図25(a) に示すシリコン導電層610の上面に接合する。この接合には、やはり陽極接合を利用すればよい。この時点で、上方基板本体110には、いくつかの錐状貫通孔が形成されており、その底には、各ブロックの上面(シリコン導電層610の上面)が覗いて見えることになる。そこで、上方基板本体110の上面にアルミニウムなどの金属を蒸着し、錐状貫通孔の壁面に金属層を堆積させて各配線用端子を形成し(蒸着する代わりに、スパッタ法などで形成してもよい)、上方基板本体110上に堆積した不要な金属層をエッチング除去すれば、図25(b) に示すようなセンサ構造体が得られる。
【0100】
このセンサ構造体は、図7に示すセンサ構造体と、機械的な構造はほぼ同じであるが、中間部材200を構成する重錘体250や個々のブロックが、シリコン/酸化シリコン/シリコンなる三層構造をもっている点が異なっている。酸化シリコンは絶縁層であるため、図25(b) に示す重錘体250や個々のブロックは、中間に絶縁層を含んだものになるが、必要な箇所は、導通部640による導通が図られているので、センサとしての機能には何ら支障は生じない。
【0101】
なお、以上のエッチング工程では、たとえば、誘導結合型プラズマエッチング法(ICPエッチング法:Induced Coupling Plasma Etching Method)など、一般に、DRIE(Deep Reactive Ion Etching)と呼ばれているエッチング方法を用いるのが有効である。
【0102】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明に係る加速度センサおよび角速度センサでは、配線をより単純化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るセンサの物理的な構造部分(センサ構造体という)をXZ平面で切断した状態を示す分解側断面図である。
【図2】図1に示すセンサ構造体における上方基板100の上面図である。
【図3】図1に示すセンサ構造体における上方基板100の下面図である。
【図4】図1に示すセンサ構造体における中間部材200の上面図である。
【図5】図1に示すセンサ構造体における中間部材200をXY平面で切断した状態を示す横断面図である。
【図6】図1に示すセンサ構造体における下方基板300の上面図である。
【図7】図1に示す各構成要素を接合することにより、完成した状態のセンサ構造体を示す側断面図(XZ平面で切断した断面を示す)である。
【図8】図7に示すセンサ構造体における4組の容量素子の所在を示す側面投影図である。
【図9】図7に示すセンサ構造体における4組の容量素子の所在を示す平面投影図である。
【図10】図7に示すセンサ構造体を、第1の配線用端子T1および第5の配線用端子T5の各中心軸を通る平面で切った側断面図である。
【図11】図7に示すセンサ構造体を、第3の配線用端子T3および重錘体配線用端子T0の各中心軸を通る平面で切った側断面図である。
【図12】コーン状の配線用端子Tの製造工程を示す拡大側断面図(配線用端子Tの形成部分のみを拡大して示す)である。
【図13】図7に示すセンサ構造体を三次元加速度センサとして利用するための検出回路図である。
【図14】図7に示すセンサ構造体を二次元角速度センサとして利用するための検出回路図である。
【図15】XY平面内で重錘体の重心Gを円運動させる様子を示す平面図である。
【図16】重錘体を円運動させるための駆動信号および検出時点の同期をとるための同期検波信号を発生させる制御回路500を示すブロック図である。
【図17】図7に示すセンサ構造体を三次元角速度センサとして利用するための検出回路図である。
【図18】図7に示すセンサ構造体の変形例に用いる上方基板100′の下面図である(ハッチングは、電極や配線の平面パターンを示すものであり、断面を示すものではない)。
【図19】図7に示すセンサ構造体の変形例に用いる中間部材200′の上面図である。
【図20】図19に示す中間部材200′に形成される各仮想電極と各配線用端子との関係を示す平面投影図である。
【図21】図19に示す中間部材200′を有するセンサ構造体を三次元加速度センサとして利用するための重錘体駆動用回路を示す回路図である。
【図22】図19に示す中間部材200′を有するセンサ構造体を三次元加速度センサとして利用するための変位検出用回路を示す回路図である。
【図23】図7に示すセンサ構造体の製造工程の前段階のプロセスを示す側断面図である。
【図24】図7に示すセンサ構造体の製造工程の中段階のプロセスを示す側断面図である。
【図25】図7に示すセンサ構造体の製造工程の後段階のプロセスを示す側断面図である。
【符号の説明】
100,100′…上方基板
110…上方基板本体
115…錐状貫通孔
120…上方基板溝部
200,200′…中間部材
210…第1のブロック
210T…配線用トンネル
211〜213…第1の副ブロック
215…第6のブロック
216,217…第6の副ブロック
220…第2のブロック
220T…配線用トンネル
221〜223…第2の副ブロック
225…第5のブロック
226,227…第5の副ブロック
230…第3のブロック
231〜233…第3の副ブロック
240…第4のブロック
241〜243…第4の副ブロック
250…重錘体
261〜264…橋梁部
271〜274…支持ブロック
300…下方基板
310…下方基板本体
320…下方基板溝部
401〜406…C/V変換回路
407〜409…減算器
411,412…交流電源
421〜423…同期検波回路
431〜433…増幅器
441〜444…C/V変換回路
451,452…減算器
461〜463…同期検波回路
471〜473…増幅器
500…制御回路
600…三層基板
610…シリコン導電層
620…酸化シリコン絶縁層
630…シリコン導電層
640…導通部
C1〜C6…容量素子
DR1〜DR4…駆動信号
E0…重錘体側電極
E1〜E4…対向電極
E5…上方電極
E6…下方電極
E11〜E52…副電極
G…重心
K…空洞部
L5…配線層
L6…配線層
L51,L52…配線層
O…座標系の原点
P1,P2…交差点
R…抵抗
S(P1),S(P2)…同期検波信号
SP1〜SP6…空隙部
T0…重錘体配線用端子
T,T1〜T6…配線用端子
T11〜T62…副ブロック用の配線用端子
Tx,Ty,Tz…出力端子
Ux,Uy…運動方向ベクトル
V1〜V6…電圧

Claims (14)

  1. 所定間隔をおいて配置された上方基板および下方基板と、
    前記上方基板および前記下方基板に挟まれた空間内で所定の自由度をもって変位可能となるように支持され、それぞれ電極として機能する4つの側面を有する重錘体と、
    前記重錘体の側面の電極に対向する対向電極として機能する対向面を有し、前記上方基板および前記下方基板によって挟まれた位置に配置された第1〜第4のブロックと、
    前記上方基板に形成した貫通孔を介して前記4組のブロックの上面に接触する配線用端子と、
    を備え、
    前記重錘体の4つの側面に形成された電極とその対向電極とによって4組の容量素子を構成し、この容量素子を利用して前記重錘体に作用した加速度もしくは角速度を検出できるようにし、
    前記4組のブロックにおける、少なくとも、前記対向電極の部分およびこの対向電極とブロック上面とを電気的に導通させるために必要な部分を導電性材料から構成したことを特徴とする加速度センサまたは角速度センサ。
  2. 請求項1に記載のセンサにおいて、
    重錘体の上面および下面がそれぞれ電極として機能し、これらの電極に対向する上方電極および下方電極がそれぞれ上方基板および下方基板に設けられており、前記重錘体の上面と前記上方電極とによって第5の容量素子が形成され、前記重錘体の下面と前記下方電極とによって第6の容量素子が形成され、これら容量素子を利用して前記重錘体に作用した加速度もしくは角速度が検出できるように構成され、
    前記上方基板および前記下方基板によって挟まれた位置に配置された第5のブロックおよび第6のブロックと、前記上方基板に形成した貫通孔を介して前記第5のブロックおよび前記第6のブロックの上面に接触する配線用端子と、前記上方電極と前記第5のブロックとを電気的に接続する配線と、前記下方電極と前記第6のブロックとを電気的に接続する配線と、が更に設けられており、
    前記第5のブロックのうち、少なくとも、前記上方電極からの配線とブロック上面とを電気的に導通させるために必要な部分は、導電性材料から構成されており、
    前記第6のブロックのうち、少なくとも、前記下方電極からの配線とブロック上面とを電気的に導通させるために必要な部分は、導電性材料から構成されていることを特徴とする加速度センサまたは角速度センサ。
  3. 請求項1または2に記載のセンサにおいて、
    上方基板および下方基板によって挟まれた位置に配置され、重錘体を可撓性を有する橋梁部を介して支持する支持ブロックと、前記上方基板に形成した貫通孔を介して前記支持ブロックの上面に接触する配線用端子と、が更に設けられており、
    重錘体側の複数の電極は相互に導通しており、前記橋梁部および前記支持ブロックのうち、少なくとも、前記重錘体側の電極とブロック上面とを電気的に導通させるために必要な部分は、導電性材料から構成されていることを特徴とする加速度センサまたは角速度センサ。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のセンサにおいて、
    第1〜第4のブロックのうちの一部もしくは全部を、物理的に分離された複数の副ブロックによって構成し、この第1〜第4のブロックを利用して構成される4組の容量素子のうちの一部もしくは全部を、電気的に独立した複数の副容量素子によって構成し、各副ブロックごとにそれぞれ配線用端子を設けたことを特徴とする加速度センサまたは角速度センサ。
  5. 請求項2に記載のセンサにおいて、
    上方電極および下方電極のうちのいずれか一方もしくは双方を、物理的に分離された複数の副電極によって構成し、第5の容量素子および第6の容量素子のうちのいずれか一方もしくは双方を、電気的に独立した複数の副容量素子によって構成し、第5のブロックおよび第6のブロックのうちのいずれか一方もしくは双方を、物理的に分離された複数の副ブロックによって構成し、各副電極と各副ブロックとの間をそれぞれ配線によって電気的に接続し、各副ブロックごとにそれぞれ配線用端子を設けたことを特徴とする加速度センサまたは角速度センサ。
  6. XYZ三次元直交座標系におけるX軸、Y軸、Z軸の各座標軸方向の加速度成分を検出する加速度センサであって、
    前記座標系の原点位置に配置された重錘体と、
    前記重錘体に対して所定間隔をおいて、X軸正方向上に配置された第1のブロックと、
    前記重錘体に対して所定間隔をおいて、X軸負方向上に配置された第2のブロックと、
    前記重錘体に対して所定間隔をおいて、Y軸正方向上に配置された第3のブロックと、
    前記重錘体に対して所定間隔をおいて、Y軸負方向上に配置された第4のブロックと、
    配線用の第5のブロックと、
    配線用の第6のブロックと、
    前記重錘体を支持するための支持ブロックと、
    前記重錘体と前記支持ブロックとの間に接続され、可撓性を有する橋梁部と、
    前記重錘体の上面に対しては所定間隔を維持しつつ、前記第1〜第6のブロックの上面に接合された上方基板と、
    前記重錘体の下面に対しては所定間隔を維持しつつ、前記第1〜第6のブロックの下面に接合された下方基板と、
    前記上方基板の下面の前記重錘体の上面に対向する部分に形成された上方電極と、
    前記下方基板の上面の前記重錘体の下面に対向する部分に形成された下方電極と、
    検出対象となる加速度を電気信号として取り出す検出回路と、
    を備え、
    前記重錘体のうち、少なくとも表面の主要部は、電極層を形成することができるように導電性材料から構成されており、
    前記第1〜第4のブロックのうち、少なくとも、前記重錘体側の電極層に対向する対向電極層を形成するのに必要な部分、およびこの対向電極層とブロック上面とを電気的に導通させるために必要な部分は、導電性材料から構成されており、
    前記重錘体の前記第1のブロックに対向する面に形成された電極層と、前記第1のブロックの前記重錘体に対向する面に形成された対向電極層と、により第1の容量素子が構成され、
    前記重錘体の前記第2のブロックに対向する面に形成された電極層と、前記第2のブロックの前記重錘体に対向する面に形成された対向電極層と、により第2の容量素子が構成され、
    前記重錘体の前記第3のブロックに対向する面に形成された電極層と、前記第3のブロックの前記重錘体に対向する面に形成された対向電極層と、により第3の容量素子が構成され、
    前記重錘体の前記第4のブロックに対向する面に形成された電極層と、前記第4のブロックの前記重錘体に対向する面に形成された対向電極層と、により第4の容量素子が構成され、
    前記重錘体の前記上方電極に対向する面に形成された電極層と、前記上方電極とにより第5の容量素子が構成され、
    前記重錘体の前記下方電極に対向する面に形成された電極層と、前記下方電極とにより第6の容量素子が構成され、
    前記上方電極と前記第5のブロックとの間には配線が施され、前記下方電極と前記第6のブロックとの間には配線が施され、
    前記第5のブロックのうち、少なくとも、前記上方電極からの配線とブロック上面とを電気的に導通させるために必要な部分は、導電性材料から構成されており、
    前記第6のブロックのうち、少なくとも、前記下方電極からの配線とブロック上面とを電気的に導通させるために必要な部分は、導電性材料から構成されており、
    前記橋梁部および前記支持ブロックのうち、少なくとも、前記重錘体側の電極層とブロック上面とを電気的に導通させるために必要な部分は、導電性材料から構成されており、
    前記上方基板は絶縁性材料からなり、その厚み方向に形成された貫通孔内にそれぞれ第1の配線用端子〜第6の配線用端子および重錘体配線用端子が設けられており、各配線用端子の上端には、前記検出回路に対する配線が施されており、
    第1の配線用端子の下端は前記第1のブロックの上面に電気的に接続され、第2の配線用端子の下端は前記第2のブロックの上面に電気的に接続され、第3の配線用端子の下端は前記第3のブロックの上面に電気的に接続され、第4の配線用端子の下端は前記第4のブロックの上面に電気的に接続され、第5の配線用端子の下端は前記第5のブロックの上面に電気的に接続され、第6の配線用端子の下端は前記第6のブロックの上面に電気的に接続され、重錘体配線用端子の下端は前記支持ブロックの上面に電気的に接続されており、
    前記検出回路は、前記第1〜第6の容量素子の静電容量値に基づいて、各座標軸方向の加速度成分を検出することを特徴とする加速度センサ。
  7. XYZ三次元直交座標系におけるX軸、Y軸、Z軸の各座標軸まわりの角速度成分、または所定の二座標軸まわりの角速度成分を検出する角速度センサであって、
    前記座標系の原点位置に配置された重錘体と、
    前記重錘体に対して所定間隔をおいて、X軸正方向上に配置された第1のブロックと、
    前記重錘体に対して所定間隔をおいて、X軸負方向上に配置された第2のブロックと、
    前記重錘体に対して所定間隔をおいて、Y軸正方向上に配置された第3のブロックと、
    前記重錘体に対して所定間隔をおいて、Y軸負方向上に配置された第4のブロックと、
    配線用の第5のブロックと、
    配線用の第6のブロックと、
    前記重錘体を支持するための支持ブロックと、
    前記重錘体と前記支持ブロックとの間に接続され、可撓性を有する橋梁部と、
    前記重錘体の上面に対しては所定間隔を維持しつつ、前記第1〜第6のブロックの上面に接合された上方基板と、
    前記重錘体の下面に対しては所定間隔を維持しつつ、前記第1〜第6のブロックの下面に接合された下方基板と、
    前記上方基板の下面の前記重錘体の上面に対向する部分に形成された上方電極と、
    前記下方基板の上面の前記重錘体の下面に対向する部分に形成された下方電極と、
    所定の電気信号により前記重錘体を運動させ、検出対象となる角速度を電気信号として取り出す検出回路と、
    を備え、
    前記重錘体のうち、少なくとも表面の主要部は、電極層を形成することができるように導電性材料から構成されており、
    前記第1〜第4のブロックのうち、少なくとも、前記重錘体側の電極層に対向する対向電極層を形成するのに必要な部分、およびこの対向電極層とブロック上面とを電気的に導通させるために必要な部分は、導電性材料から構成されており、
    前記重錘体の前記第1のブロックに対向する面に形成された電極層と、前記第1のブロックの前記重錘体に対向する面に形成された対向電極層と、により第1の容量素子が構成され、
    前記重錘体の前記第2のブロックに対向する面に形成された電極層と、前記第2のブロックの前記重錘体に対向する面に形成された対向電極層と、により第2の容量素子が構成され、
    前記重錘体の前記第3のブロックに対向する面に形成された電極層と、前記第3のブロックの前記重錘体に対向する面に形成された対向電極層と、により第3の容量素子が構成され、
    前記重錘体の前記第4のブロックに対向する面に形成された電極層と、前記第4のブロックの前記重錘体に対向する面に形成された対向電極層と、により第4の容量素子が構成され、
    前記重錘体の前記上方電極に対向する面に形成された電極層と、前記上方電極とにより第5の容量素子が構成され、
    前記重錘体の前記下方電極に対向する面に形成された電極層と、前記下方電極とにより第6の容量素子が構成され、
    前記上方電極と前記第5のブロックとの間には配線が施され、前記下方電極と前記第6のブロックとの間には配線が施され、
    前記第5のブロックのうち、少なくとも、前記上方電極からの配線とブロック上面とを電気的に導通させるために必要な部分は、導電性材料から構成されており、
    前記第6のブロックのうち、少なくとも、前記下方電極からの配線とブロック上面とを電気的に導通させるために必要な部分は、導電性材料から構成されており、
    前記橋梁部および前記支持ブロックのうち、少なくとも、前記重錘体側の電極層とブロック上面とを電気的に導通させるために必要な部分は、導電性材料から構成されており、
    前記上方基板は絶縁性材料からなり、その厚み方向に形成された貫通孔内にそれぞれ第1の配線用端子〜第6の配線用端子および重錘体配線用端子が設けられており、各配線用端子の上端には、前記検出回路に対する配線が施されており、
    第1の配線用端子の下端は前記第1のブロックの上面に電気的に接続され、第2の配線用端子の下端は前記第2のブロックの上面に電気的に接続され、第3の配線用端子の下端は前記第3のブロックの上面に電気的に接続され、第4の配線用端子の下端は前記第4のブロックの上面に電気的に接続され、第5の配線用端子の下端は前記第5のブロックの上面に電気的に接続され、第6の配線用端子の下端は前記第6のブロックの上面に電気的に接続され、重錘体配線用端子の下端は前記支持ブロックの上面に電気的に接続されており、
    前記検出回路は、前記第1〜第6の容量素子の一部に対して交流信号を与えることにより前記重錘体を運動させ、この運動させた状態において、前記第1〜第6の容量素子の一部の静電容量値に基づいて、検出対象となる角速度成分を検出することを特徴とする角速度センサ。
  8. 請求項7に記載のセンサにおいて、
    第1〜第4のブロックのうちの一部もしくは全部を、物理的に分離された複数の副ブロックによって構成し、第1〜第4の容量素子のうちの一部もしくは全部を、電気的に独立した複数の副容量素子によって構成し、各副ブロックごとにそれぞれ配線用端子を設け、複数の副容量素子の一部に対して交流信号を与えることにより重錘体を運動させ、複数の副容量素子の別な一部の静電容量値に基づいて、検出対象となる角速度成分を検出することを特徴とする角速度センサ。
  9. 請求項7または8に記載のセンサにおいて、
    上方電極および下方電極のうちのいずれか一方もしくは双方を、物理的に分離された複数の副電極によって構成し、第5の容量素子および第6の容量素子のうちのいずれか一方もしくは双方を、電気的に独立した複数の副容量素子によって構成し、第5のブロックおよび第6のブロックのうちのいずれか一方もしくは双方を、物理的に分離された複数の副ブロックによって構成し、各副電極と各副ブロックとの間をそれぞれ配線によって電気的に接続し、各副ブロックごとにそれぞれ配線用端子を設け、複数の副容量素子の一部に対して交流信号を与えることにより重錘体を運動させ、複数の副容量素子の別な一部の静電容量値に基づいて、検出対象となる角速度成分を検出することを特徴とする角速度センサ。
  10. 請求項6〜9のいずれかに記載のセンサにおいて、
    重錘体が直方体からなり、その各面がX軸、Y軸、Z軸のいずれかに直交するように配置されており、第1のブロック〜第4のブロックの前記重錘体に対する対向面が、前記重錘体の各面に対して平行面をなすように構成されていることを特徴とする加速度センサまたは角速度センサ。
  11. 請求項6〜10のいずれかに記載のセンサにおいて、
    XY平面における第1象限〜第4象限にそれぞれ配置された4組の支持ブロックを有し、重錘体が、これら4組の支持ブロックのそれぞれから伸びた4本の橋梁部によって支持されており、少なくとも1組の支持ブロックについて配線用端子が設けられていることを特徴とする加速度センサまたは角速度センサ。
  12. 請求項6〜11のいずれかに記載のセンサにおいて、
    重錘体と第5のブロックとの間および重錘体と第6のブロックとの間に、第1のブロック〜第4のブロックのいずれかのブロックが介在するように構成され、この介在するブロックに、上方電極と第5のブロックとを接続する配線および下方電極と第6のブロックとを接続する配線を非接触状態で挿通させるためのトンネルが形成されていることを特徴とする加速度センサまたは角速度センサ。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載のセンサにおいて、
    配線用端子が、上方基板に設けられた上広の錐状貫通孔の壁面に形成された金属層によって構成されていることを特徴とする加速度センサまたは角速度センサ。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載のセンサにおいて、
    所定幅をもった橋梁部として利用した場合に可撓性を与えるのに適した厚みを有する第1の導電層と、重錘体として利用した場合に検出に必要な質量を与えるのに適した厚みを有する第2の導電層と、これら両導電層の間に形成された絶縁層と、によって構成される三層構造をもった基板の一部により、各ブロックおよび重錘体が構成されており、橋梁部が前記第1の導電層を利用して形成されていることを特徴とする加速度センサまたは角速度センサ。
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