JP2007003191A - 加速度・角速度センサ - Google Patents

加速度・角速度センサ Download PDF

Info

Publication number
JP2007003191A
JP2007003191A JP2005180067A JP2005180067A JP2007003191A JP 2007003191 A JP2007003191 A JP 2007003191A JP 2005180067 A JP2005180067 A JP 2005180067A JP 2005180067 A JP2005180067 A JP 2005180067A JP 2007003191 A JP2007003191 A JP 2007003191A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wiring
sensor
substrate
upper substrate
weight body
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2005180067A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuhiro Okada
和廣 岡田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Wacoh Corp
Wako KK
Original Assignee
Wacoh Corp
Wako KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Wacoh Corp, Wako KK filed Critical Wacoh Corp
Priority to JP2005180067A priority Critical patent/JP2007003191A/ja
Publication of JP2007003191A publication Critical patent/JP2007003191A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Gyroscopes (AREA)
  • Pressure Sensors (AREA)

Abstract

【課題】 配線を単純化する。
【解決手段】 絶縁材料から構成される基板100,300の間に、中間部材200を挟み込む。中間部材200の一部をなす絶縁層242の一部上面に形成された導電層243により電極E0が形成され、基板100の対向面には、電極E1〜E5が形成される。加速度や角速度に基づく力が重錘体241に作用すると、電極E0が変位し、対向電極との間の静電容量に変化が生じる。この静電容量の変化に基づいて加速度や角速度を検出する。電極E2は、配線L2により導電ブロック223cまで配線され、配線用端子T2を介して外部へ導通させる。電極E0は、導通ブロック213,配線用端子T0を介して外部へ導通させる。他の電極も同様に、図示されていない配線用端子を介して外部へ導通させる。
【選択図】 図6

Description

本発明は、加速度センサおよび角速度センサに関し、特に、加速度や角速度を容量素子を用いて検出するタイプのセンサに関する。
小型で単純な構造を有する加速度センサあるいは角速度センサとして、静電容量素子を利用したタイプのセンサが実用化されている。これらのタイプのセンサでは、通常、所定の自由度をもって変位可能となるように支持された重錘体を用意し、この重錘体に対して作用する加速度や角速度を、重錘体の変位として検出する機能を有している。変位の検出は、容量素子の静電容量値に基づいて行われる。
たとえば、下記の特許文献1〜3には、重錘体側に形成された変位電極と、装置筐体側に形成された固定電極とによって容量素子を構成し、この容量素子の静電容量値の変化に基づいて、重錘体の変位を検出し、作用した加速度を電気的に検出することができる加速度センサが開示されている。複数の容量素子を工夫して配置することにより、XYZ三次元座標系における各座標軸方向の変位が独立して検出可能になるため、比較的単純な構成にもかかわらず、多次元加速度センサを実現することが可能になる。
また、下記の特許文献4には、ほぼ同様の構造体を用いて角速度を検出するセンサが開示されている。角速度の検出は、所定の容量素子に交流信号を供給して、クーロン力により重錘体を運動させ、この運動中の重錘体に対して角速度が作用することにより生じるコリオリ力を、所定の容量素子の静電容量の変化として検出することにより行われる。やはり複数の容量素子を工夫して配置することにより、重錘体に、単振動、円運動、歳差運動など、所定の軌道に沿ったくり返し運動を行わせることができ、かつ、XYZ三次元座標系における所望の座標軸方向の変位が独立して検出可能になるため、比較的単純な構成にもかかわらず、複数の座標軸まわりの角速度を検出可能な多次元角速度センサを実現することが可能になる。
特開平4−299227号公報 特開平5−26754号公報 特開平5−215627号公報 特開平10−227644号公報
上述したように、静電容量素子を利用した加速度センサや角速度センサは、比較的単純な構成にもかかわらず、多次元成分の加速度や角速度を検出することができる特徴を有しており、半導体基板などを材料に用いることにより、量産化が行われている。しかしながら、容量素子を利用して力の検出や重錘体の駆動が行われるため、容量素子を構成する個々の電極に対する配線が不可欠になる。半導体基板などを利用して構成したセンサの場合、基板上に配線パターンを形成することにより個々の電極に対する配線を行うことが可能になるが、容量素子の数が増えれば増えるほど、配線パターンも複雑にならざるを得ない。特に、多次元の加速度センサや角速度センサでは、用いる容量素子の数も多くなり、配線が繁雑になるのは避けられない。
また、角速度センサでは、重錘体を駆動するための駆動用容量素子と、重錘体の変位を検出するための変位検出用容量素子とが必要になる。検出回路を工夫すれば、同一の容量素子によって、駆動用容量素子と変位検出用容量素子とを兼務させることも可能であるが、両者を物理的に別々の容量素子によって構成した場合、容量素子の数はそれだけ増えることになり、個々の容量素子を構成する電極に対する配線は、非常に繁雑になる。
そこで本発明は、配線をより単純化することが可能な加速度センサおよび角速度センサを提供することを目的とする。
(1) 本発明の第1の態様は、加速度センサまたは角速度センサの物理的な構造部分を、
絶縁性材料から構成される上方基板と、
上方基板の下方に所定間隔をおいて配置された下方基板と、
上方基板と下方基板に挟まれた空間内に配置されたセンサ本体部と、
センサ本体部に隣接配置され、上方基板と下方基板に挟まれた状態で支持された配線中継部と、
によって構成し、
センサ本体部には、少なくとも一部に導電層を有し、かつ、少なくとも周囲部分が可撓性を有する支持膜と、この支持膜の下面に接合された重錘体と、この重錘体の周囲を取り囲むように配置され、支持膜の周囲を下方基板に固定する台座と、を設け、重錘体の側面と台座との間および重錘体の底面と下方基板の上面との間には、それぞれ空隙が確保され、支持膜の周囲部分に撓みが生じることにより、重錘体が空隙の範囲内で変位できるようにし、
上方基板と支持膜との間には所定間隔を確保し、上方基板の下面における支持膜に対向する領域には、複数N枚の電極を形成し、この複数N枚の電極と支持膜の導電層の各対向部分とによって、複数N組の容量素子が形成されるようにし、
配線中継部は、少なくとも上面が絶縁性材料からなる支持用ブロックと、この支持用ブロックの上面に接合され、導電性材料からなる複数N個の配線用ブロックと、によって構成されるようにし、支持用ブロックは、下面が下方基板の上面に接合され、各配線用ブロックは、互いに電気的に隔絶され、上面が上方基板の下面に接合されるようにし、
上方基板の下面には、N枚の個々の電極と、N個の個々の配線用ブロックと、をそれぞれ電気的に接続するための配線層を形成し、各配線層の端部が、各配線用ブロックと上方基板との間に挟まれた状態となるようにし、
上方基板における各配線用ブロックとの接合位置には、それぞれ貫通孔を形成しておき、各貫通孔内には、下端が配線用ブロックの上面に接触し、上端が上方基板の上面に露出した配線用端子を設けるようにしたものである。
(2) 本発明の第2の態様は、上述した第1の態様に係るセンサにおいて、
センサ本体部に、支持膜上面に対して電気的に接続され、上面が上方基板の下面に接合されている重錘体側配線用ブロックを設け、
上方基板の重錘体側配線用ブロックとの接合位置に、貫通孔を形成し、当該貫通孔内に、下端が重錘体側配線用ブロックの上面に接触し、上端が上方基板の上面に露出した重錘体側配線用端子を設けるようにしたものである。
(3) 本発明の第3の態様は、上述した第1または第2の態様に係るセンサにおいて、
上方基板と下方基板との間に、配線中継部を囲う外壁部を設けるようにしたものである。
(4) 本発明の第4の態様は、上述した第1〜第3の態様に係るセンサにおいて、
上部導電層/絶縁層/下部導電層の3層をもったSOI基板を加工することによりセンサ本体部および配線中継部を構成し、
センサ本体部の支持膜を上部導電層/絶縁層を利用して構成し、重錘体を下部導電層を利用して構成し、
配線中継部の配線用ブロックを上部導電層を利用して構成し、支持用ブロックを絶縁層/下部導電層を利用して構成するようにしたものである。
(5) 本発明の第5の態様は、上述した第1〜第4の態様に係るセンサにおいて、
配線用ブロックの上面を上方基板の下面に対して陽極接合するようにしたものである。
(6) 本発明の第6の態様は、上述した第1〜第5の態様に係るセンサにおいて、
上方基板に形成された貫通孔が上面側に向けて広がる錐状をなし、配線用端子がコーン状をなすようにしたものである。
本発明に係る加速度センサおよび角速度センサでは、少なくとも上面が絶縁性材料からなる支持用ブロックの上に導電性材料からなる複数N個の配線用ブロックを配置した配線中継部を設けるとともに、上方基板に形成した貫通孔内に配線用端子を設けて、各配線用ブロックに導通する外部端子として利用できるようにしたため、センサ本体部で用いられるN枚の電極に対する配線を単純化することが可能になる。
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。
<<< §1.センサ構造体の物理的構造 >>>
はじめに、本発明に係るセンサの基本構造を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るセンサの物理的な構造部分(以下、センサ構造体という)を示す分解側断面図である。このセンサ構造体は、加速度センサに利用することもできるし、角速度センサに利用することもできる。実際のセンサは、図1に示すセンサ構造体に、所定の検出回路を付加することにより実現される。このセンサ構造体を、加速度センサとして利用するか、角速度センサとして利用するかは、付加する検出回路によって決まることになる。具体的な検出回路についての説明は、§3において行うこととし、ここでは、このセンサ構造体の物理的な構造を以下に詳述する。
このセンサ構造体は、図1に分解図として描かれているように、上方基板100、中間部材200、下方基板300の3つの部材から構成されている。実際には、これら3つの部材を上下に接合することにより、センサ構造体が構成されることになる(図6参照)。ここでは説明の便宜上、中間部材200内の図示されている位置に原点Oをとり(後述するように、重錘体241の重心Gの位置になる)、図の右方向にX軸、上方向にZ軸、紙面に対して垂直方向にY軸をとることにより、XYZ三次元直交座標系を定義することとし、必要に応じて、この座標系を用いた説明を行うことにする。図1は、このセンサ構造体を、XZ平面で切断した分解側断面図ということになる。
上方基板100は、絶縁性材料から構成される基板であり、この実施形態の場合、ガラス基板を上方基板100として用いている。一方、下方基板300は、上方基板100の下方に所定間隔をおいて配置された基板である。下方基板300は、単なる支持体として機能する部材であり、必ずしも絶縁性を有している必要はないが、この実施形態の場合、上方基板100と同様にガラス基板を下方基板300として用いている。上方基板100および下方基板300は、いずれもその主面(上面および下面)が、XY平面に平行となるように配置されている。
中間部材200は、上方基板100と下方基板300との間に挟まれた構造体であり、図示のとおり、やや複雑な構造を有する。この中間部材200の主たる役割は、センサ本体部Mと配線中継部220とを提供することである。センサ本体部Mは、図示のとおり、この中間部材200の右半分によって構成される構造体であり、センサとしての中枢機能を果たす部分である。配線中継部220は、このセンサ本体部Mと外部とを結ぶ配線を中継する機能を果たす。
図1において、中間部材200は2種類の異なるハッチングで塗り分けられているが、これは、この中間部材200が2種類の異なる材料から構成されているためである。図に符号212,222,232,242が付されている薄い層は絶縁層であり、この絶縁層の上方および下方に位置する部材は、いずれも導電性材料からなる。この実施形態では、中間部材200をSOI(Silicon On Insulator)基板を加工することにより構成している。SOI基板は、シリコン/酸化シリコン/シリコンという三層構造をもった材料基板であり、種々のタイプのものが市販されている。したがって、図に符号212,222,232,242が付されている絶縁層は、酸化シリコンからなる絶縁性の層であり、その上方および下方に位置する部材は、シリコンからなる導電性の部材である。なお、ここでは図示の便宜上、この三層構造の厚みの寸法比が、実際の寸法比どおりになっていないが、実際には、一番上のシリコン層の厚みが15μm、中間の酸化シリコン層の厚みが1μm、一番下のシリコン層の厚みが500μm程度である。
続いて、上方基板100、中間部材200、下方基板300の構成を詳細に説明する。まず、上方基板100は、前述したとおり、主面がXY平面に平行となるように配置されたガラス基板である。この上方基板100の所定箇所には、上面側に向けて広がる錐状をなす貫通孔が形成されており、この貫通孔内には、コーン状の配線用端子が形成されている。図1には、2組の配線用端子T0,T2のみが示されているが、実際には、T0〜T5の合計6組の配線用端子が設けられている。
図2(a) は、この上方基板100の上面図であり、各配線用端子T1〜T5,T0の配置が明瞭に示されている。図1に示す上方基板100の断面は、この図2(a) に示す上方基板100をX軸に沿って切断した断面に相当する。これら配線用端子T1〜T5,T0は、外部に設けられた検出回路に対する配線に用いられる端子として機能する。上方基板100の上面には、図示のとおり、コーン状の配線用端子の上端が露出した状態となっており、この露出部分に対して必要な配線を施すことができる。なお、破線は後述する重錘体241の位置を示し、点Gはその重心であり、座標系の原点Oと一致する。
一方、図2(b) は、上方基板100の下面図であり、コーン状の配線用端子T1〜T5,T0の下端の位置が示されている。また、上方基板100の下面には、図示のとおり、5枚の電極E1〜E5と、これらから伸びる配線層L1〜L5が形成されている。図1の側断面図には、これらのうち、X軸上に配置された電極E1,E5,E2および配線L2のみが示されている。電極E1〜E5や配線層L1〜L5は、たとえば、上方基板100の下面にパターニングして形成したアルミニウム層などによって構成することができる。後述するように、5枚の電極E1〜E5は、加速度や角速度の検出に利用される構成要素であり、各配線層L1〜L5は、各電極E1〜E5を各配線用端子T1〜T5へ電気的に接続する機能を果たす。図2(b) に示されているとおり、各配線層L1〜L5の左端は、各配線用端子T1〜T5まで到達していないが、後述するように、両者の接続は中間部材200側の配線用ブロック223によってなされることになる。
続いて、中間部材200の構成を説明する。図3(a) は、中間部材200の上面図、図3(b) は、その下面図である。この図3に示されているように、中間部材200の外側は、外壁部210によって構成されており、その他の構成要素は、この外壁部210で囲まれた内部空間に配置されている。中仕切り部230は、この内部空間を左右2つの空間に分ける仕切りとして機能する。中仕切り部230で仕切られた図の右側の空間は、センサ本体部Mを構成するための空間であり、図の左側の空間は、配線中継部220を配置するための空間である。
センサ本体部Mには、平面が正方形状をなす重錘体241が配置されている。重錘体241は、加速度もしくは角速度に起因して力を発生させるのに十分な質量を有しており、力学的には、加速度もしくは角速度に起因する力は、その重心G(三次元座標系の原点O)に作用することになる。図1の側断面図を見れば明らかなように、重錘体241の上面は、絶縁層242と導電層243との二層からなる支持膜(以下、支持膜242/243と記す)によって支持されており、図の右側空間内に宙吊りの状態となっている。重錘体241の底面が、外壁部210の底面よりも上方に浮いた状態になっているのは、重錘体241の底面と下方基板300の上面との間に、空隙部SP1を確保するためである。この空隙部SP1は、図1に示すとおり、重錘体241の底面から側面へと連らなっている。
前述したとおり、支持膜絶縁層242の厚みは1μm、支持膜導電層243の厚みは10μmであり、両二層からなる支持膜242/243は、たかだか11μm程度の厚みをもった可撓性を有する膜となる。したがって、この可撓性をもった支持膜242/243によって支持されている重錘体241は、当該可撓性の範囲内で変位することが可能であり、加速度もしくは角速度に起因する力が重心Gに作用すると、作用した力に応じて、重錘体241は変位する。この変位を検出することにより、間接的に、作用した加速度もしくは角速度の検出を行うのが、このセンサの基本動作である。
図1の側断面図に示すとおり、支持膜242/243の上方には、空隙部SP2が形成されている。この空隙部SP2は、支持膜242/243と、これに対向するように配置される各電極E1〜E5(以下、対向電極と呼ぶ)との間に、所定距離を確保するためのものである。また、中仕切り部230の上方にも若干の空隙が確保されているが、これは配線層L1〜L5を通すためのものである。一方、図3に示されているとおり、配線中継部220の周囲には、空隙部SP3が形成されており、配線中継部220は、その周囲が隔絶された状態になっている。
前述したとおり、この実施形態では、中間部材200は、上部導電層(シリコン)/絶縁層(酸化シリコン)/下部導電層(シリコン)の3層をもったSOI基板を加工することにより構成されているため、各部分にこの3層構造が現れている。ここでは、この3層の各層を、下から順に、土台層、絶縁層、導電層と呼ぶことにする。たとえば、図1に示すとおり、外壁部210は、外壁部土台層211、外壁部絶縁層212、外壁部導電層213の3層から構成されており、配線中継部220は、配線中継部土台層221、配線中継部絶縁層222、配線中継部導電層223の3層から構成されている。同様に、中仕切り部230は、中仕切り部土台層231、中仕切り部絶縁層232、中仕切り部導電層233の3層から構成されている。また、支持膜242/243が、支持膜絶縁層242および支持膜導電層243の2層からなることは既に述べたとおりである。
上部導電層/絶縁層/下部導電層の3層をもったSOI基板を利用して中間部材200を構成する第1のメリットは、図示の実施形態のように、支持膜242/243を上部導電層/絶縁層を利用して構成し、重錘体241を下部導電層を利用して構成することができるため、エッチングを用いた製造プロセスによって重錘体241および支持膜242/243を形成しやすくなる点である。すなわち、重錘体241を形成するために、SOI基板に対して下方からのエッチング(重錘体241の側面を形成するためのエッチング)を行う際に、絶縁層をエッチストッパ層として利用することが可能になり、形成される支持膜242/243の厚みの精度を向上させることが可能になる。
3層構造をもったSOI基板を利用して中間部材200を構成する第2のメリットは、配線中継部220も3層構造を有することになるため、配線中継部絶縁層222を確保することができるようになる点である。後述するように、配線中継部220の配線中継部導電層223は、導電性をもった配線用ブロックとして機能し、配線中継部土台層221および配線中継部絶縁層222は、支持用ブロックとして機能することになる。このとき、個々の配線用ブロックを互いに絶縁状態に維持するために、支持用ブロックの少なくとも上面は絶縁性材料で構成する必要がある。配線中継部絶縁層222は、この支持用ブロックの上面の絶縁層として機能することになる。
なお、SOI基板を利用して中間部材200を構成すると、外壁部210も3層構造を有することになるが、センサの機能上は、外壁部210は必ずしも3層構造にする必要はない。また、SOI基板を利用すると、支持膜242/243も、支持膜絶縁層242と支持膜導電層243との2層構造になるが、センサの機能上、支持膜はその一部に導電層が含まれており、かつ、少なくとも周囲部分が可能性を有していれば足りるので、必ずしも2層構造にする必要はない。
図4(a) は、図1に示す中間部材200を切断線4a−4aの位置で切断した状態を示す横断面図、図4(b) は、これをXY平面で切断した状態を示す横断面図である。図4(a) の右側に示された支持膜導電層243上には、重錘体241および各対向電極E1〜E5の平面的な位置が破線で示されている。また、図4(a) の左側には、配線中継部220の上層部分である配線中継部導電層223が5つのブロック223a〜223eによって構成されていることが明瞭に示されている。図1の側断面図に示す配線中継部導電層223は、図4(a) に示す配線用ブロック223cである。一方、図4(b) には、重錘体241と、外壁部土台層211および中仕切り部土台層231との間に、空隙部SP1が確保された状態が示されている。前述したとおり、この空隙部SP1は、重錘体241の底面側へと連らなっており、重錘体241はこの空隙部SP1の範囲内で自由に変位可能である。また、図4(b) には、配線中継部土台層221と、外壁部土台層211および中仕切り部土台層231との間に、空隙部SP3が確保され、配線中継部220全体が隔絶されたブロックとなっていることが示されている。
図5は、図4(a) に示す配線中継部220を切断線5−5の位置で切断した状態を示す縦断面図である。上述したとおり、配線中継部220は、配線中継部土台層221、配線中継部絶縁層222、配線中継部導電層223の3層から構成されている。ここでは、このうち、配線中継部土台層221および配線中継部絶縁層222からなる部分を支持用ブロックBと呼び、5つのブロックから構成される配線中継部導電層223の部分を、配線用ブロック223a〜223eと呼ぶ。支持用ブロックBの上層には、配線中継部絶縁層222が形成されているため、その上に配置された導電性をもつ5つの配線用ブロック223a〜223eは、互いに電気的に隔絶された状態となる。
下方基板300は、単なるガラス基板であり、このセンサ構造体のベースとしての機能を果たすものである。
以上、図1に示す上方基板100、中間部材200、下方基板300のそれぞれについての構造を別個に説明したが、本発明に係るセンサ構造体は、これら3層からなる構成要素を上下に積層して接合することにより構成される。図6は、図1に示す3層からなる各構成要素を接合することにより、センサ構造体を構成した状態を示す側断面図である。この図も、XZ平面での切断面に相当する。ここに示す実施形態の場合、上方基板100および下方基板300はガラス基板から構成され、中間部材200はSOI基板から構成されているため、相互の接合は陽極接合の手法を利用して行われている。すなわち、図に示す中間部材200の上面と上方基板100の下面との間、および中間部材200の下面と下方基板300の上面との間は、いずれも陽極接合によって固着されている。
図6に示すように、このセンサ構造体の主要部は、上方基板100と下方基板300に挟まれた空間内に配置されたセンサ本体部Mと、このセンサ本体部Mに隣接配置され、上方基板100と下方基板300に挟まれた状態で支持された配線中継部220である。ここで、センサ本体部Mは、少なくとも一部に導電層(支持膜導電層243)を有し、少なくとも周囲部分が可撓性を有する支持膜242/243と、この支持膜の下面に接合された重錘体241と、この重錘体の周囲を取り囲むように配置され、支持膜の周囲を下方基板300に固定する台座(外壁部土台層211の一部と中仕切り部土台層231)と、上方基板100の下面に形成された対向電極E1〜E5によって構成されている。
なお、上方基板100の下面に形成されている配線層L1〜L5の端部は、各配線用ブロック223a〜223eと上方基板100の下面との間に挟まれた状態となっており、その結果、各配線層L1〜L5は、各配線用ブロック223a〜223eに対して、良好な電気的接触状態を確保している。たとえば、図6に示されている配線層L2の左端は、配線用ブロック223cの上面と上方基板100の下面との間に挟まれ、若干、潰れた状態になっている。その結果、配線層L2と配線用ブロック223cとの間には良好な電気的接触が確保されることになる。
一方、上方基板100における各配線用ブロック223a〜223eとの接合位置には、それぞれ貫通孔が形成されており、各貫通孔内には、下端が各配線用ブロック223a〜223eの上面に接触し、上端が上方基板100の上面に露出したコーン状の配線用端子T1〜T5が設けられている。たとえば、図6に示す例において、配線用端子T2の下端は配線用ブロック223cに接触しており、上端は上方基板100の上面に露出している。かくして、図2(b) に示されている5枚の対向電極E1〜E5は、配線層L1〜L5、配線用ブロック223a〜223e、配線用端子T1〜T5を介して、外部へと配線されることになる。
また、図6の右端上部に示されているとおり、上方基板100の右端位置にも貫通孔が形成され、その内部には、下端が外壁部導電層213の上面に接触し、上端が上方基板100の上面に露出した配線用端子T0が設けられている。図示されている外壁部導電層213は、支持膜242/243の上面(すなわち、支持膜導電層243)に対して電気的に接続されており、ここでは、重錘体側配線用ブロックと呼ぶことにする。結局、支持膜導電層243は、重錘体側配線用ブロック213および重錘体側配線用端子T0を介して、外部へと配線されることになる。
図7は、コーン状の配線用端子Tの形成プロセスを示す拡大側断面図(配線用端子Tの形成部分のみを拡大して示す)である。まず、図7(a) に示すように、上方基板100(この実施形態ではガラス基板)の所定箇所に、上面側に向けて広がる円錐形状の貫通孔Kを形成する。また、上方基板100の下面の必要な箇所に、対向電極(図示されていない)および配線層Lを形成する。このようにして用意した上方基板100を、中間部材200(この実施形態では、SOI基板を加工することにより得られた構造体)側に接合する。前述したとおり、この接合は陽極接合の技術を利用して行われる。図7(b) は、陽極接合が完了した後の状態を示す拡大側断面図である。配線用ブロック223と上方基板100とが陽極接合されることになるが、この過程で、配線層Lは両者間に挟まれた状態になり、若干、潰れた状態になる。その結果、配線層Lと配線用ブロック223との間には、良好な電気的接触が得られる。また、配線用ブロック223と上方基板100とは、陽極接合により、酸素を介してシリコン同士が接合されることになるので、この陽極接合を真空中で行うようにすれば、重錘体241の周辺の空間を真空にすることができる。このように、重錘体241の周辺を真空にすると、本センサ構造体を角速度センサに適用した場合、検出感度を高める上で有利になる。
続いて、この上方基板100の上面に、アルミニウムなどの金属膜を蒸着法やスパッタ法などの方法で堆積させる。すると、上方基板100の上面が金属層で覆われるとともに、錐状貫通孔Kの内側面および底部(配線用ブロック223の上面)にも金属が堆積し、図7(c) に示すように、内部に円錐状の空洞を有するコーン状の配線用端子Tが形成されることになる。この後、上方基板100上に堆積した金属層の不要な部分をエッチングなどで除去すれば、最終的に、図7(c) に示すような側断面をもった配線用端子Tを形成することができる。この配線用端子Tの上端部分は、上方基板100の上面に露出した状態となり、後述する検出回路に対する配線部(ボンディングパッド)として機能することになり、下端のコーン先端部分は、配線用ブロック223の上面に接触し、電気的なコンタクトをとる機能を果たす。
なお、図7(a) に示す貫通孔Kを錐状にしてあるのは、アルミニウムなどの蒸着やスパッタの工程において、その壁面に効果的に堆積層を形成するための配慮である。もちろん、貫通孔Kは必ずしも円錐状にする必要はなく、角錐状にしてもかまわない。また、蒸着法やスパッタ法などの一般的な堆積工程を採らずに、別な工程で貫通孔内に配線用端子Tを埋め込むことが可能であれば、貫通孔は必ずしも錐状にする必要はない。あるいは、予め配線用端子Tが埋め込まれている市販の「貫通配線付ガラス基板」などを上方基板100として利用する場合は、配線用端子Tを形成するプロセスを省略することができる。
<<< §2.センサ構造体の基本動作および配線 >>>
次に、図6に示すセンサ構造体の基本動作を考えてみる。このセンサ構造体では、重錘体241の側面とその周囲を取り囲む台座(外壁部土台層211の一部と中仕切り部土台層231)との間および重錘体241の底面と下方基板300の上面との間に、空隙部SP1が確保され、支持膜242/243の周囲部分に撓みが生じることにより、重錘体241がこの空隙部SP1の範囲内で変位できるように構成されている。
このセンサ構造体を加速度センサとして用いる場合は、加速度の作用に起因して生じる重錘体の変位を検出すればよい。たとえば、重錘体241に対して、X軸正方向(図6における右方向)の加速度が作用したとすると、この加速度に応じた外力により、重錘体241はX軸正方向に変位することになる。このときの変位量は作用した加速度の大きさに依存する。したがって、重錘体241のX軸方向、Y軸方向、Z軸方向の変位をそれぞれ検出することができれば、作用した加速度の各座標軸方向成分を求めることができる。
一方、このセンサ構造体を角速度センサとして用いる場合は、重錘体241を運動させる必要がある。一般に、三次元直交座標系において、第1の座標軸方向に運動中の物体に、第2の座標軸まわりの角速度が作用すると、この物体には第3の座標軸方向へのコリオリ力が作用することになる。したがって、たとえば、重錘体241をZ軸方向に単振動させておき、その状態で、X軸方向に作用するコリオリ力を検出すればY軸まわりの角速度の検出が可能になり、Y軸方向に作用するコリオリ力を検出すればX軸まわりの角速度の検出が可能になる。もちろん、座標軸の組み合わせを変えれば、任意の座標軸まわりの角速度検出が可能である。ここで、コリオリ力の検出は、上述した加速度に応じた外力の検出と同様に、重錘体241の変位を検出することにより行うことができる。たとえば、重錘体241をZ軸方向に単振動させる駆動を行っているときに、X軸方向にコリオリ力が作用すると、重錘体241がX軸方向に変位することになるので、この変位を検出することにより、Y軸まわりの角速度を求めることができる。なお、前述したとおり、このセンサ構造体を角速度センサとして用いる場合、重錘体241の雰囲気を真空にするのが極めて好ましい(雰囲気を真空にすることで、Q値が高まり、感度が向上する)。本構造は、前述したとおり、重錘体241の周辺空間を真空にすることができるので、角速度センサに適した構造と言える。
このように、重錘体を有するセンサ構造体を加速度センサとして利用する場合には、重錘体241の変位を検出する機構が必要になり、角速度センサとして利用する場合には、更に、重錘体241を運動させる機構が必要になる。本発明に係るセンサ構造体の場合、これらの機構として容量素子を用いている。特に、図6に示す実施形態に係るセンサ構造体の場合、合計5組の容量素子により、重錘体241のX軸方向の変位、Y軸方向の変位、Z軸方向の変位をそれぞれ独立して検出することが可能であり、また、必要に応じて、重錘体241をX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に運動させることが可能である。
たとえば、図6において、支持膜導電層243を共通の重錘体側電極E0と考えると、図示の対向電極E1と重錘体側電極E0とによって容量素子C1が形成されることになる。図2(b) に示すように、上方基板100の下面には、5枚の対向電極E1〜E5が形成されているので、これら各対向電極と重錘体側電極E0とによって、合計5組の容量素子C1〜C5が形成されることになる。しかも、この5組の容量素子C1〜C5を形成する6枚の電極E1〜E5,E0は、図2(a) に示す配線用端子T1〜T5,T0と電気的に接続された状態となっているので、結局、この5組の容量素子C1〜C5に対しては、配線用端子T1〜T5,T0を介して外部の検出回路への配線を行うことができる。
<<< §3.検出回路 >>>
これまで、本発明に係る加速度センサあるいは角速度センサに用いるセンサ構造体の構成、基本動作、配線を述べてきた。ここでは、このセンサ構造体に接続して用いる検出回路についての説明を行う。もっとも、これらの検出回路自体は、前掲の特許文献1〜4などに開示されている公知の回路であるので、ここでは代表的な回路構成例について簡単な説明を行うことにする。本発明の特徴は、§1および§2で述べたセンサ構造体の構造および配線にあり、ここで述べる検出回路は、本発明にとって本質的な特徴ではない。
図8は、図6に示すセンサ構造体を三次元加速度センサとして利用するための検出回路である。もっとも、図の左半分に記載されている容量素子C1〜C5と、配線用端子T0〜T5は、図6に示すセンサ構造体の構成要素であるので、実際の検出回路の部分は、図の右半分に記載されたC/V変換回路401〜405および減算器406,407の部分ということになる。既に§2において述べたように、容量素子C1〜C5の一方の電極E1〜E5は、それぞれ配線用端子T1〜T5に接続されており、容量素子C1〜C5の他方の共通電極E0(重錘体側電極)は、重錘体側配線用端子T0に接続されているので、図におけるC/V変換回路401〜405に対する配線は、上方基板100上に露出した各配線用端子T0〜T5に対して行うことになる。この回路では、重錘体側配線用端子T0は接地されており、重錘体側電極E0の電位は接地レベルになる。
C/V変換回路401〜405は、それぞれ容量素子C1〜C5の静電容量値を電圧値V1〜V5に変換する機能をもった回路である。これらの電圧値V1〜V5に対しては、減算器406,407による演算が行われ、演算結果として、出力端子Txには電圧値V1−V2が出力され、出力端子Tyには電圧値V3−V4が出力され、出力端子Tzには電圧値V5がそのまま出力される。ここで、出力端子Tx,Ty,Tzに出力される電圧値は、それぞれ重錘体241に作用した加速度のX軸,Y軸,Z軸方向成分になる。
その理由は、図6に示すセンサ構造体における重錘体241の変位を考えれば容易に理解できよう。たとえば、重錘体241に対して、X軸正方向の加速度αxが作用したとすると、この加速度αxに基づく力により、重錘体241は図6における右方へと移動することになり、容量素子C1の電極間距離(重錘体側電極E0と対向電極E1との距離)は小さくなり、容量素子C2の電極間距離(重錘体側電極E0と対向電極E2との距離)は大きくなる。よって、容量素子C1の静電容量値(電圧値V1)は大きくなり、容量素子C2の静電容量値(電圧値V2)は小さくなるので、出力端子Txに得られる電圧値V1−V2は、加速度αxの大きさを示す値になる。加速度のY軸方向成分αyが出力端子Tyに得られ、加速度のZ軸方向成分αzが出力端子Tzに得られる理由も同様である。このように、図8に示す検出回路は、容量素子C1〜C5の静電容量値に基づいて、各座標軸方向の加速度成分を検出する機能を有しており、このような検出回路を用いることにより、三次元加速度センサを実現することができる。
続いて、角速度センサを実現するための検出回路の例を示す。角速度の検出を行うためには、前述したとおり、重錘体241を所定方向に運動させながら、運動中の重錘体241に作用するコリオリ力を検出する必要がある。このため、用いる検出回路は、容量素子に所定の電気信号(駆動信号)を与えることにより重錘体241を運動させる機能と、この運動に同期した所定のタイミングで、重錘体241の所定方向への変位量を容量素子の静電容量値に基づいて電気信号として取り出す機能と、が必要になる。具体的には、検出回路は、容量素子C1〜C5の一部に対して交流信号を与えることにより重錘体241を運動させ、この運動させた状態において、容量素子C1〜C5の一部の静電容量値に基づいて、検出対象となる角速度成分を検出することになる。
図9は、図6に示すセンサ構造体を二次元角速度センサとして利用するための検出回路である。ここでも、図の左半分に記載されている容量素子C1〜C5と、配線用端子T0〜T5は、図6に示すセンサ構造体の構成要素であるので、実際の検出回路の部分は、図の右半分に記載されたC/V変換回路401〜404、減算器406,407、交流電源408の部分ということになる。この検出回路を用いた場合、容量素子C5は、重錘体241をZ軸方向に駆動させる役割を果たすことになる。交流電源408は、この駆動のための交流信号を供給するためのものである。電極E0,E5間に交流信号を供給すると、両電極間に作用するクーロン力により、重錘体241をZ軸方向に振動させることができるようになる。
このように、重錘体241をZ軸方向に振動させた状態において、Y軸まわりの角速度ωyが作用すると、重錘体241にはX軸方向へのコリオリ力が作用し、X軸方向へ変位することになる。このX軸方向への変位は、前述したとおり、減算器406から出力される電圧値V1−V2として検出される。よって、図9の回路では、出力端子Tyに得られる電圧値は、Y軸まわりの角速度ωyを示すものになる。同様に、出力端子Txに得られる電圧値は、X軸まわりの角速度ωxを示すものになる。かくして、図9の検出回路を用いることにより、X軸まわりの角速度ωxおよびY軸まわりの角速度ωyを検出する機能をもった二次元角速度センサを実現することができる。
以上、図6に示すセンサ構造体を三次元加速度センサとして用いる検出回路の一例と、二次元角速度センサとして用いる検出回路の一例を示したが、このセンサ構造体に適用可能な検出回路は、ここに開示した回路に限定されるものではない。また、図6に示すセンサ構造体では、上方基板100側に5枚の対向電極E1〜E5を形成し、合計5組の容量素子C1〜C5を形成しているが、センサ構造体に用いる容量素子の数は5組に限定されるものではない。一般論として、上方基板100の下面における支持膜242/243に対向する領域に、複数N枚の電極を形成すれば、この複数N枚の電極と支持膜導電層243の各対向部分とによって、複数N組の容量素子が形成されることになる。この場合、配線中継部220側には、互いに電気的に隔絶された複数N個の配線用ブロックを設けておくようにし、上方基板100の下面には、N枚の個々の電極と、N個の個々の配線用ブロックと、をそれぞれ電気的に接続するための配線層を形成し、上方基板100に設けたN個の貫通孔内の配線用端子によって、N枚の電極それぞれが外部へ配線されるようにすればよい。
<<< §4.センサ構造体の変形例 >>>
最後に、これまで述べてきたセンサ構造体の変形例を示しておく。図10は、この変形例に係る中間部材200′の側断面図、図11は、この中間部材200′を切断線11−11の位置で切断した状態を示す横断面図である。前述したセンサ構造体との相違は、配線中継部の構成だけであり、その他の構成部分については何ら変わりはない。すなわち、この変形例における配線中継部220′は、図10に示すとおり、配線中継部土台層221′、配線中継部絶縁層222′、配線中継部導電層223′の3層構造からなるが、図11に示すとおり、その平面形状が、前述した配線中継部220とは若干異なっている。
具体的な相違は、図11の横断面図を図4の横断面図と比較すると明らかである。図4に示す配線中継部220の場合、5組の配線用ブロック223a〜223eが一列に並んでいるのに対して、図11に示す配線中継部220′の場合、5組の配線用ブロック223a′〜223e′が二列に並んでいる。このように、配線用ブロックの配列変更に伴い、配線層L1〜L5のパターンや、配線用端子T1〜T5の配置位置も変更する必要がある(図示は省略する)。
もちろん、配線用ブロックの配列は任意であり、この他にも種々の配列が可能である。本発明の最も重要な特徴は、上方基板100と下方基板300に挟まれた空間内に、センサ本体部Mと配線中継部220とを隣接配置し、この配線中継部220を、少なくとも上面が絶縁性材料からなる支持用ブロックB(図示の例の場合、配線中継部土台層221および配線中継部絶縁層222)と、この支持用ブロックBの上面に接合され、導電性材料からなる複数の配線用ブロック223a〜223eとによって構成し、センサ本体部Mを構成する各電極E1〜E5のための配線層L1〜L5と、上方基板100側の貫通孔に設けられた配線用端子T1〜T5とを、配線用ブロック223a〜223eを中継して電気的に接続するようにした点にある。このような方法を採ることにより、単純な配線でありながら、良好な電気的接触を得ることが可能になる。
<<< §5.配線中継部の実寸およびその構造上の利点 >>>
以上、本発明に係るセンサ構造体を図示する実施形態について述べてきたが、図面上に示した各部の寸法比は、図示の便宜上、必ずしも実寸に応じた寸法比にはなっていない。そこで、ここでは、図5に示す配線中継部220の各部の実寸を、図12の縦断面図に示しておく。前述したとおり、この実施形態では、SOI基板を用いて中間部材200を形成しており、図12に示す配線中継部220の各部の厚みは、このSOI基板の各層の厚みに応じて決まることになる。この例では、図示のとおり、シリコンからなる配線中継部土台層221の厚みは500μm、酸化シリコンからなる配線中継部絶縁層222の厚みは1μm、シリコンからなる配線中継部導電層223の厚みは15μmである。また、個々の配線用ブロック223の幅は300μm、その間隔は10μmである。
個々の配線用ブロック223を物理的に分離するためには、それぞれの間に所定寸法の空隙部分(図12に示す例の場合、幅10μmの部分)を形成する必要がある。この空隙部分は、SOI基板の上面側からのエッチングによって形成することができる。図示の例のように、SOI基板の上層(配線用ブロック223となるべき層)の厚みが15μm程度であれば、幅10μm程度の空隙部分をエッチングで形成するのに、大きな技術的障害は生じない。
本発明の重要な特徴のひとつは、配線中継部220を、1つの塊からなる支持用ブロックB(配線中継部土台層221および配線中継部絶縁層222)と、その上に形成された複数個の配線用ブロック223と、によって構成した点にある。このような構成をとることにより、製造プロセスでは、配線用ブロック223を形成するために比較的浅いエッチング(図示の例では、厚み15μmの部分に対するエッチング)を行えば足り、エッチング不良率を低く抑えられ、歩留まりを向上させることができる。
参考例として、図13に、土台となる支持用ブロックBの部分までも物理的に分離させた構造を有する配線中継部220''の例を示す。図12に示す配線中継部220と比較すればわかるとおり、図13に示す配線中継部220''は、やはりSOI基板を加工することにより構成され、配線中継部土台層221''、配線中継部絶縁層222'',配線中継部導電層223''の3層から構成されるが、これら3層からなる構造体は、5つの部分に完全に分離されている。
もちろん、図13に参考例として示した配線中継部220''も、図12に示す本発明の配線中継部220も、配線を中継する機能としては全く同じである。しかしながら、これらをエッチングによって形成する製造プロセスを考慮すると、本発明に係る配線中継部220を採用した方が圧倒的に有利である。図13に示す構造をエッチングによって形成する場合、500μm以上の厚みをもったSOI基板を貫通する深い溝をエッチングによって形成する必要が生じる。通常のエッチング方法では、500μm以上の深いエッチング溝を10μm程度の狭い溝幅で形成することは極めて困難である。一般的なエッチング方法の場合、500μm以上の深いエッチング溝を形成するには、150μm程度の溝幅が必要になる。図13に示す例は、150μmの溝幅をもつエッチングを行い、配線中継部220''を形成した場合の実寸を示している。個々の配線用ブロック223''の空隙部分の幅が150μmとなるため、配線中継部220''全体の横幅は、図示のとおり2100μmになる。これに対して、図12に示す本発明に係る配線中継部220全体の横幅は、1540μmですむ。このように、図12に示す本発明に係る配線中継部220の構造は、図13に示す参考例の構造に比べて、小型化に適し、しかも、エッチング不良率を低減させることができる優れた構造ということができる。
本発明の一実施形態に係るセンサの物理的な構造部分(センサ構造体)をXZ平面で切断し、個々の部品に分解した状態を示す分解側断面図である。 図1に示すセンサ構造体における上方基板100の上面図(図(a) )および下面図(図(b) )である。 図1に示すセンサ構造体の中間部材200の上面図(図(a) )および下面図(図(b) )である。 図1に示すセンサ構造体の中間部材200を切断線4a−4aの位置で切断した状態を示す横断面図(図(a) )およびXY平面で切断した状態を示す横断面図(図(b) )である。 図4(a) に示す配線中継部220を切断線5−5の位置で切断した状態を示す縦断面図である。 図1に示す各構成要素を接合することにより、完成した状態のセンサ構造体を示す側断面図(XZ平面で切断した断面を示す)である。 図1に示すセンサ構造体におけるコーン状の配線用端子Tの形成プロセスを示す拡大側断面図である。 図6に示すセンサ構造体を三次元加速度センサとして利用するための検出回路図である。 図6に示すセンサ構造体を二次元角速度センサとして利用するための検出回路図である。 図1に示すセンサ構造体における中間部材200の変形例を示す側断面図である。 図10に示した変形例に係る中間部材200を切断線11−11の位置で切断した状態を示す横断面図である。 図5に示す配線中継部220の実寸を示す縦断面図である。 図5に示す配線中継部220における支持用ブロックBを物理的に分離した場合に構成される配線中継部220''の実寸を示す縦断面図である。
符号の説明
100…上方基板
200,200′…中間部材
210…外壁部
211…外壁部土台層
212…外壁部絶縁層
213…外壁部導電層(重錘体側配線用ブロック)
220,220''…配線中継部
221,221′,221''…配線中継部土台層
222,222′,222''…配線中継部絶縁層
223,223′,223''…配線中継部導電層(配線用ブロック)
223a〜223e,223a′〜223e′…配線用ブロック
230…中仕切り部
231…中仕切り部土台層
232…中仕切り部絶縁層
233…中仕切り部導電層
241…重錘体
242…支持膜絶縁層
243…支持膜導電層
300…下方基板
401〜405…C/V変換回路
406,407…減算器
408…交流電源
B…支持用ブロック
C1〜C5…容量素子
E0…重錘体側電極
E1〜E5…対向電極
G…重心
K…錐状貫通孔
L,L1〜L5…配線層
M…センサ本体部
O…座標系の原点
SP1〜SP3…空隙部
T0…重錘体側配線用端子
T,T1〜T5…配線用端子
Tx,Ty,Tz…出力端子
V1〜V5…電圧

Claims (6)

  1. 絶縁性材料から構成される上方基板と、
    前記上方基板の下方に所定間隔をおいて配置された下方基板と、
    前記上方基板と前記下方基板に挟まれた空間内に配置されたセンサ本体部と、
    前記センサ本体部に隣接配置され、前記上方基板と前記下方基板に挟まれた状態で支持された配線中継部と、
    を備え、
    前記センサ本体部は、少なくとも一部に導電層を有し、かつ、少なくとも周囲部分が可撓性を有する支持膜と、前記支持膜の下面に接合された重錘体と、前記重錘体の周囲を取り囲むように配置され、前記支持膜の周囲を前記下方基板に固定する台座と、を備え、前記重錘体の側面と前記台座との間および前記重錘体の底面と前記下方基板の上面との間には、それぞれ空隙が確保され、前記支持膜の周囲部分に撓みが生じることにより、前記重錘体が前記空隙の範囲内で変位できるように構成され、
    前記上方基板と前記支持膜との間には所定間隔が確保され、前記上方基板の下面における前記支持膜に対向する領域には、複数N枚の電極が形成されており、この複数N枚の電極と前記支持膜の導電層の各対向部分とによって、複数N組の容量素子が形成されており、
    前記配線中継部は、少なくとも上面が絶縁性材料からなる支持用ブロックと、この支持用ブロックの上面に接合され、導電性材料からなる複数N個の配線用ブロックと、を有し、前記支持用ブロックは、下面が前記下方基板の上面に接合され、前記各配線用ブロックは、互いに電気的に隔絶され、上面が前記上方基板の下面に接合され、
    前記上方基板の下面には、前記N枚の個々の電極と、前記N個の個々の配線用ブロックと、をそれぞれ電気的に接続するための配線層が形成されており、各配線層の端部は、前記各配線用ブロックと前記上方基板との間に挟まれた状態となっており、
    前記上方基板における前記各配線用ブロックとの接合位置には、それぞれ貫通孔が形成されており、各貫通孔内には、下端が前記配線用ブロックの上面に接触し、上端が前記上方基板の上面に露出した配線用端子が設けられていることを特徴とする加速度センサまたは角速度センサ。
  2. 請求項1に記載のセンサにおいて、
    センサ本体部には、支持膜上面に対して電気的に接続され、上面が上方基板の下面に接合されている重錘体側配線用ブロックが設けられており、
    前記上方基板の前記重錘体側配線用ブロックとの接合位置には、貫通孔が形成されており、当該貫通孔内には、下端が前記重錘体側配線用ブロックの上面に接触し、上端が前記上方基板の上面に露出した重錘体側配線用端子が設けられていることを特徴とする加速度センサまたは角速度センサ。
  3. 請求項1または2に記載のセンサにおいて、
    上方基板と下方基板との間に、配線中継部を囲う外壁部が設けられていることを特徴とする加速度または角速度センサ。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のセンサにおいて、
    上部導電層/絶縁層/下部導電層の3層をもったSOI基板を加工することによりセンサ本体部および配線中継部を構成し、
    センサ本体部の支持膜を上部導電層/絶縁層を利用して構成し、重錘体を下部導電層を利用して構成し、
    配線中継部の配線用ブロックを上部導電層を利用して構成し、支持用ブロックを絶縁層/下部導電層を利用して構成したことを特徴とする加速度センサまたは角速度センサ。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のセンサにおいて、
    配線用ブロックの上面が上方基板の下面に対して陽極接合されていることを特徴とする加速度センサまたは角速度センサ。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のセンサにおいて、
    上方基板に形成された貫通孔が上面側に向けて広がる錐状をなし、配線用端子がコーン状をなすことを特徴とする加速度センサまたは角速度センサ。
JP2005180067A 2005-06-21 2005-06-21 加速度・角速度センサ Withdrawn JP2007003191A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005180067A JP2007003191A (ja) 2005-06-21 2005-06-21 加速度・角速度センサ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005180067A JP2007003191A (ja) 2005-06-21 2005-06-21 加速度・角速度センサ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007003191A true JP2007003191A (ja) 2007-01-11

Family

ID=37688986

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005180067A Withdrawn JP2007003191A (ja) 2005-06-21 2005-06-21 加速度・角速度センサ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007003191A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009174907A (ja) * 2008-01-22 2009-08-06 Dainippon Printing Co Ltd 力学量センサおよびその製造方法
CN101830426A (zh) * 2009-03-12 2010-09-15 精工爱普生株式会社 微机电传感器、其制造方法以及电子设备

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0389900U (ja) * 1989-12-27 1991-09-12
JPH07263709A (ja) * 1994-03-17 1995-10-13 Hitachi Ltd 力学量センサおよびエアバッグシステム
JP2004144598A (ja) * 2002-10-24 2004-05-20 Wacoh Corp 加速度・角速度センサ

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0389900U (ja) * 1989-12-27 1991-09-12
JPH07263709A (ja) * 1994-03-17 1995-10-13 Hitachi Ltd 力学量センサおよびエアバッグシステム
JP2004144598A (ja) * 2002-10-24 2004-05-20 Wacoh Corp 加速度・角速度センサ

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009174907A (ja) * 2008-01-22 2009-08-06 Dainippon Printing Co Ltd 力学量センサおよびその製造方法
CN101830426A (zh) * 2009-03-12 2010-09-15 精工爱普生株式会社 微机电传感器、其制造方法以及电子设备

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6020392B2 (ja) 加速度センサ
JP2007292499A (ja) モーションセンサ及びその製造方法
JP2011022137A (ja) Mems装置及びその製造方法
JP4248222B2 (ja) 角速度センサ
CN102030302A (zh) 微机械结构和用于制造微机械结构的方法
JP2012225920A (ja) マイクロ−電子機械システム(mems)デバイス
WO2013179647A2 (ja) 物理量センサ
JP4905574B2 (ja) 可動部分を備えている積層構造体
US9274153B2 (en) Electrostatic capacitance sensor
US8216870B2 (en) Mechanical quantity sensor and method of manufacturing the same
CN104819730B (zh) 一种mems惯性传感器及其制造方法
JP2014219321A (ja) 容量式物理量センサおよびその製造方法
JP2007003191A (ja) 加速度・角速度センサ
JP6123613B2 (ja) 物理量センサおよびその製造方法
JP2013024762A (ja) Memsセンサ
WO2009090841A1 (ja) 静電容量型加速度センサ
JP2012088083A (ja) 静電容量型加速度センサ
JP2012127692A (ja) Memsセンサおよびその製造方法、ならびにmemsパッケージ
JP2011220765A (ja) 慣性センサ及びその製造方法
JP4766932B2 (ja) 容量素子を用いたセンサの製造方法
JP4133670B2 (ja) 角速度センサ
JP2012068098A (ja) 静電容量型ジャイロセンサ
JP3586271B2 (ja) 角速度センサ
JP2010216843A (ja) 力学量検出センサ
JP5651977B2 (ja) 加速度センサの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080605

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110105

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20110303