JP5117716B2 - 力学量センサ - Google Patents
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Description
これらの力学量センサには、可動体である錘(質量体)に設けられた可動電極と、可動電極と対向して設けられた固定電極との間の静電容量変化から錘の変位を検出し、この錘の変位に基づいて力学量を検出する静電容量検出型のセンサがある。
静電容量検出型の力学量センサにおける可動電極と固定電極との間の静電容量の変化の検出には、静電容量を対応する電圧に変換するC/V(静電容量/電圧)変換装置が用いられている。
また、下記の特許文献には、C/V変換装置(変換回路)を用いた静電容量検出型の力学量センサにおいて、複数の軸方向に作用する力学量を1つのセンサで検出する技術が提案されている。
詳しくは、各検出軸に対応して設けられたセンサエレメント部における各検出軸専用の固定電極間の静電容量の変化に基づいて加速度を出力するように構成されている。
また、特許文献1には、クロストーク(他軸干渉)を抑制するために、x軸信号処理回路とy軸信号処理回路におけるサンプリングタイミングを切り替えて動作させる技術が提案されている。
そのため、例えば、一方のx軸方向のセンサエレメント部において加速度を検出している期間、他方のy軸方向のセンサエレメント部は、機能しない状態(休止状態)となる。
従って、特許文献1に記載の加速度センサにおいては、センサ内に設けられているセンサエレメント部、即ち、検出用の固定電極が有効に利用されていなかった。
請求項2記載の発明では、請求項1に記載の力学量センサにおいて、前記第1検出回路は、前記錘の第1の検出軸方向の傾きに伴い、静電容量が対称的に変化する前記静電容量素子を直列に接続した回路を有し、前記第2検出回路は、前記錘の第2の検出軸方向の傾きに伴い、静電容量が対称的に変化する前記静電容量素子を直列に接続した回路を有し、前記第1検出回路及び前記第2検出回路における、直列接続された静電容量素子のそれぞれに、互いの位相が180°反転した搬送波を印加する搬送波印加手段を備えたことを特徴とする。
請求項3記載の発明では、請求項2記載の力学量センサにおいて、前記第3検出回路は、前記錘の第3の検出軸方向の傾きに伴い、静電容量が対称的に変化する前記静電容量素子を直列に接続した回路を有し、前記搬送波印加手段は、前記第3検出回路における、直列接続された静電容量素子のそれぞれに、互いの位相が180°反転した搬送波を印加することを特徴とする。
請求項4記載の発明では、請求項1から請求項3のいずれか1の請求項に記載の力学量センサにおいて、 前記固定電極は、前記錘の中心位置を基準位置として、同一平面上の前記基準位置の周りに等間隔に配設された4つの第1電極を備え、前記第1検出回路は、前記4つの第1電極のうち、x−y平面上の第1象限に位置する第1電極と前記可動電極とから構成される静電容量素子と、第2象限に位置する第1電極と前記可動電極とから構成される静電容量素子とが並列に接続された回路と、前記4つの第1電極のうち、x−y平面上の第4象限に位置する第1電極と前記可動電極とから構成される静電容量素子と、第3象限に位置する第1電極と前記可動電極とから構成される静電容量素子とが並列に接続された回路とが直列に接続された回路を有し、前記第2検出回路は、前記4つの第1電極のうち、x−y平面上の第1象限に位置する第1電極と前記可動電極とから構成される静電容量素子と、第4象限に位置する第1電極と前記可動電極とから構成される静電容量素子とが並列に接続された回路と、前記4つの第1電極のうち、x−y平面上の第3象限に位置する第1電極と前記可動電極とから構成される静電容量素子と、第2象限に位置する第1電極と前記可動電極とから構成される静電容量素子とが並列に接続された回路とが直列に接続された回路を有し、前記切替手段は、前記検出手段が前記第1検出回路又は前記第2検出回路を構成するように前記静電容量素子の結線状態を切り替えることを特徴とする。
請求項5記載の発明では、請求項4記載の力学量センサにおいて、前記固定電極は、前記4つの第1電極と錘を介して対向する平面上に、さらに4つの第2電極を備え、前記第1検出回路は、前記4つの第2電極のうち、x−y平面上の第4象限に位置する第2電極と前記可動電極とから構成される静電容量素子と、x−y平面上の第3象限に位置する第2電極と前記可動電極とから構成される静電容量素子とを、x−y平面上の第1象限に位置する第1電極と前記可動電極とから構成される静電容量素子と並列に接続され、また、前記4つの第2電極のうち、x−y平面上の第1象限に位置する第2電極と前記可動電極とから構成される静電容量素子と、x−y平面上の第2象限に位置する第2電極と前記可動電極とから構成される静電容量素子とを、x−y平面上の第3象限に位置する第1電極と前記可動電極とから構成される静電容量素子と並列に接続された回路を有し、前記第2検出回路は、前記4つの第2電極のうち、x−y平面上の第1象限に位置する第2電極と前記可動電極とから構成される静電容量素子と、x−y平面上の第4象限に位置する第2電極と前記可動電極とから構成される静電容量素子とを、x−y平面上の第3象限に位置する第1電極と前記可動電極とから構成される静電容量素子と並列に接続され、また、前記4つの第2電極のうち、x−y平面上の第3象限に位置する第2電極と前記可動電極とから構成される静電容量素子と、x−y平面上の第2象限に位置する第2電極と前記可動電極とから構成される静電容量素子とを、x−y平面上の第1象限に位置する第1電極と前記可動電極とから構成される静電容量素子と並列に接続された回路を有することを特徴とする。
請求項6記載の発明では、請求項4記載の力学量センサにおいて、前記固定電極は、前記4つの第1電極と錘を介して対向する平面上に、さらに第3電極を備え、前記第3検出回路は、前記第1電極と前記可動電極とから構成される静電容量素子と、前記第3の電極と前記可動電極とから構成される静電容量素子とが直列に接続された回路を有することを特徴とする。
請求項7記載の発明では、請求項1から請求項6のいずれか1の請求項に記載の力学量センサにおいて、前記力学量出力手段は、前記切替手段による接続の切り替わりのタイミングから所定時間が経過した後、前記分離処理により分離された検出信号を除く各検出回路における静電容量の検出信号を分離することを特徴とする。
請求項8記載の発明では、請求項7記載の力学量センサにおいて、時定数をτとした場合に、前記所定時間は、前記切替手段による接続の切り替わりのタイミングから3〜4τの範囲で設けられていることを特徴とする。
(1)実施形態の概要
本実施の形態では、可撓性を有する梁によってフレームに支持された錘の姿勢状態の変位を固定電極と可動電極(錘)間の静電容量の変化量に基づいて検出し、この錘の姿勢状態の変位の検出結果に基づいて錘に作用する角速度を測定する角速度センサについて説明する。
本実施の形態に係る角速度センサは、z軸方向に振動している錘に働く角速度によって生じるコリオリ力が錘に作用した際のx軸及びy軸方向の傾きを、2軸検出回路において検出する。
2軸検出回路は、x軸検出回路機能及びy軸検出回路機能を兼ね備え、x軸方向の傾き及びy軸方向の傾きを検出する機能を兼有する固定電極からなる。
また、角速度センサは、2軸検出回路におけるx軸検出回路とy軸検出回路とを切り替える切替回路とを備えている。
角速度センサは、錘を一定周波数で振動駆動させるための駆動回路を備えており、さらに、この駆動回路を制御する際の錘の位置制御時に必要となる錘のz軸方向の変位を検出するz軸検出回路を備えている。
また、2軸検出回路におけるx軸検出回路とy軸検出回路との切り替えは、特定のクロック信号のタイミングに基づいて、一定周期ごとに切り替えて交互に行われる。
2軸検出回路(x軸検出回路、y軸検出回路)及びz軸検出回路の出力は、電流/電圧変換回路にまとめて入力され増幅変換処理が施される。
電流/電圧変換回路の出力信号(合成信号)は、3つの同期検波回路に入力され、それぞれの同期検波回路において、x軸検出信号成分、y軸検出信号成分、z軸検出信号成分が分離抽出される。
同期検出回路では、合成信号に特定の位相分割処理を施すことによって、z軸検出信号成分が、x軸検出信号成分及びy軸検出信号成分と分離され、さらに、搬送波の切替タイミング、即ちクロック信号に基づいて、時分割処理を施すことによって、x軸検出信号成分とy軸検出信号成分とが分離される。
また、z軸検出信号成分に基づいて、錘のz軸方向の変位が検出され、この錘の変位の検出結果に基づいて、錘の一次振動駆動制御が行われる。
このように、本実施の形態によれば、増幅後の合成信号に対して、同期検出回路において、位相分割処理及び時分割処理を組み合わせて各軸方向の検出信号成分を分離することができるため、x軸検出回路の出力、y軸検出回路の出力及びz軸検出回路の出力の増幅処理を、1つの電流/電圧変換回路を用いて同時に行うことが可能となる。
これにより、x軸検出回路及びy軸検出回路において固定電極(検出電極)の電極感度の総和に基づいて錘の各軸方向の変位を検出することができるため、センササイズを増大させることなく、センサの検出感度(検出精度)を適切に向上させることができる。
本実施の形態に係る角速度センサは、半導体基板を加工して形成された半導体センサ素子である。なお、半導体基板の加工は、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)技術を用いて行うことができる。
角速度センサを構成する基板における各層の積層方向と同一方向を上下方向、即ちz軸(方向)と定義する。そして、このz軸と直交し、かつ互いの軸と直交する軸をx軸(方向)及びy軸(方向)と定義する。つまり、x軸、y軸、z軸は、それぞれ互いに直交する3軸となる。
また、本実施の形態に係る角速度センサは、錘の姿勢変化を電気信号として検出するセンサ部と、検出された電気信号を処理する信号処理部(制御部)を備えている。
ここでは、角速度センサをセンサ部と信号処理部(制御部)とに分けて説明する。
なお、図1では、角速度センサの構造をわかりやすく表現するために、各層の構造を離して表現しているが、実際は、各層が積層した状態で構成されている。
図1に示すように、角速度センサは、可動部構造体1が上部ガラス基板2及び下部ガラス基板3によって上下方向から挟み込まれた3層構造となっている。
図に示すように、可動部構造体1は、シリコン基板をエッチングすることによって、フレーム11、梁12及び錘13が形成されている。
フレーム11は、錘13を囲むように可動部構造体1の周縁部に設けられた固定部であり、可動部構造体1の枠組みを構成する。
梁12は、錘13の中心から放射方向に(フレーム11の方向に)十字方向に延びる4つの帯状の薄部材であり、可撓性を有している。
錘13は、4つの梁12によってフレーム11に固定された質量体である。錘13は、梁12の作用により、外部より加わる力により振動させたり、捩れる動きが可能となっている。錘13は、導電性を有し、その表面は可動電極として機能する。
図に示すように、梁12及び錘13の上面(上部ガラス基板2との対向面)と上部ガラス基板2との間には、錘13を可動にするための可動隙間14が形成されている。上部ガラス基板2は、この可動隙間14を封止するように接合されている。
梁12の下面(下部ガラス基板3との対向面)及び錘13の底面即ち下面(下部ガラス基板3との対向面)と下部ガラス基板3との間、さらに錘13の周部においても、錘13を可動にするための可動隙間15が形成されている。下部ガラス基板3は、この可動隙間15を封止するように接合されている。なお、可動隙間14、15は、真空状態とすることで、錘13が動作する際の空気抵抗を低減することが可能である。
また、本実施の形態に係る角速度センサでは、可動部構造体1をシリコン基板を用いて形成しているが、可動部構造体1の形成部材はこれに限られるものではない。例えば、シリコン基板の中間層に酸化膜を埋め込んだSOI(シリコン・オン・インシュレータ)基板を用いて形成してもよい。
この場合、中間の酸化膜層が梁12や錘13を加工する際のエッチング処理において、エッチング遮断層(ストップ層)として機能するため、厚み方向に対する加工精度を向上させることができる。
陽極接合とは、ガラス基板(上部ガラス基板2、下部ガラス基板3)側に陰極電圧を与え、ガラス−シリコン間の静電引力を利用して接合する接合方法である。
なお、ガラス基板と可動部構造体1との接合方法は、陽極接合に限定されるものではない。例えば、接合面に金属を積層させて接合する共晶接合等を用いるようにしてもよい。
図3は、角速度センサに設けられる固定電極と駆動電極の配置状態を示した図である。
なお、図3では、各電極と錘13との配置関係を明確に示すために電極と錘13のみを示す。
図3に示すように、上部ガラス基板2には、錘部130と対向する部位に、錘部130を中心としてx軸及びy軸に沿って十字方向に延びる固定電極20が設けられている。
また、上部ガラス基板2には、錘部131と対向する部位(x−y平面上の第1象限)に固定電極21、錘部132と対向する部位(x−y平面上の第4象限)に固定電極22、錘部133と対向する部位(x−y平面上の第3象限)に固定電極23、錘部134と対向する部位(x−y平面上の第2象限)に固定電極24が設けられている。
また、下部ガラス基板3には、錘部131と対向する部位に固定電極31、錘部132と対向する部位に固定電極32、錘部133と対向する部位に固定電極33、錘部134と対向する部位に固定電極34が設けられている。
固定電極20は、錘13のz軸方向における変位を検出するための電極であり、駆動電極30は、錘13を振動駆動させるための電極である。
また、固定電極21〜24及び固定電極31〜34は、第1検出軸(x軸)及び第2検出軸(y軸)回りに作用する角速度を検出するための検出電極である。
本実施の形態に係る角速度センサにおいては、これらの固定電極21〜24、31〜34は、錘13のx軸方向の傾きを検出する機能及びy軸方向の傾きを検出する機能を兼有している。
同様に、固定電極31と可動電極とでコンデンサ1B、固定電極32と可動電極とでコンデンサ2B、固定電極33と可動電極とでコンデンサ3B、固定電極34と可動電極とでコンデンサ4Bが構成されている。
また、固定電極20と可動電極とでコンデンサZA、駆動電極30と可動電極とでコンデンサZBが構成されている。
電極パッド4は、各ガラス基板の厚み方向に貫通するスルーホールの内周壁に設けられた引き出し線を介して各電極と接続されている。
そして、これらの電極パッド4は、後述する信号処理部(制御部)内のC/V変換回路へ接続される。
本実施の形態に係る角速度センサは、図1に示すように、錘13を上下方向(z軸方向)に一次振動させ、この振動運動をしている錘13にコリオリ力を生じさせることによって、第1検出軸(x軸)及び第2検出軸(y軸)回りに加わる角速度を検出する方式を用いている。
詳しくは、駆動電極30と可動電極(錘13)との間、即ちコンデンサZBに交流電圧を印加し、これらの電極間に働く静電力の作用を用いて錘13を上下方向(z軸方向)に振動させる。
なお、本実施の形態に係る角速度センサでは、錘13のz軸方向の姿勢変化、即ち、コンデンサZAの静電容量変化の検出結果に基づくフィードバック制御を用いて、コンデンサZBに交流電圧を印加する駆動処理が実行される。
速度vで振動している質量mの錘13の周りに角速度Ωが加わると、錘13の中心には、“F=2mvΩ”のコリオリ力が錘13の運動方向に対し直交する方向に発生する。
このコリオリ力Fが発生すると、錘13にねじれが加わり錘13の姿勢が変化する。即ち、錘13の振動の運動方向と直交する面に対して、錘13が傾く。この錘13の姿勢の変化(傾き、ねじれ量)を検出することによって、作用する角速度の向きや大きさを検出するようになっている。
例えば、錘13の第2検出軸(y軸)回りに角速度が作用してコリオリ力が発生し、図2(c)に示すように、錘13の姿勢がx軸に対して傾くと、固定電極と可動電極(錘13)との距離が変化する。
詳しくは、固定電極22と可動電極との間、及び固定電極33と可動電極との間の距離が小さくなり、一方、固定電極32と可動電極との間、及び固定電極23と可動電極との間の距離が大きくなる。
このような、電極間の距離の変化は、電極間の静電容量の変化として現れるため、コンデンサ2A、3A及びコンデンサ2B、3Bの静電容量の変化に基づいて、錘13の姿勢変化を検出することができる。
検出された錘13の姿勢の変化(傾斜方向、傾斜度合い等)に基づいて、発生したコリオリ力Fを検出する。そして、検出されたコリオリ力Fに基づいて、角速度Ωを算出(導出)する。つまり、信号処理部において、錘13の姿勢の変化量を角速度に変換する。
ここでは、錘13の第2検出軸(y軸)回りに角速度が作用した場合について説明したが、錘13の第1検出軸(x軸)回りに角速度が作用した場合についても同様に、固定電極と可動電極間の距離の変化に基づいて錘13の姿勢変化を検出することにより、作用する角速度を測定することができる。
図4は、本実施の形態に係る角速度センサにおける信号処理部(制御部)の概略構造を示した回路ブロック図である。
図4に示すように、信号処理部は、C/V変換回路100、X軸角速度検出回路200、Y軸角速度検出回路300を備えている。
角速度センサの信号処理部では、C/V変換回路100において処理された各軸方向における検出信号に基づいて、X軸角速度検出回路200及びY軸角速度検出回路300において処理された後、最終的にx軸角速度出力及びy軸角速度出力として、角速度センサから出力される。
C/V変換回路100の初段は、差動容量検出方式を用いた電流/電圧(I/V)変換回路110によって構成されている。
なお、差動容量検出方式とは、直列接続されたコンデンサの両端にそれぞれ位相が180°反転した搬送波を印加し、そして、コンデンサの接続点から両コンデンサの静電容量の差分を示す電流信号を取り出して反転増幅回路に入力し、静電容量の差分に比例した電圧信号を得る方式である
90°移相器103の他端は、制御クロック生成回路102、切替回路106、反転増幅器105にそれぞれ接続されている。
C/V変換回路100は、錘13におけるx軸回りの変位及びy軸回りの変位を検出するための2軸検出回路107及びz軸方向の変位を検出するためのz軸検出回路109を備えている。
x軸検出回路及びy軸検出回路の機能を兼ね備えた(兼用した)2軸検出回路107は、図4に示すように、一端が同一点(電流/電圧変換回路110の入力点)に接続されたコンデンサ1A〜4A、1B〜4Bによって構成されている。
この予めコンデンサの一端が接続(固定)されている点を共通点とする。
即ち、切替回路106を用いて、コンデンサ1A〜4A、1B〜4Bの結線状態の切り替えを行う。
切替回路106には、結線状態を切り替える2つのモードが存在し、一方は、コンデンサ1A〜4A、1B〜4Bを用いて、錘13のy軸(第2検出軸)方向の姿勢変化を検出するx軸検出回路を構成するモードであり、もう一方は、コンデンサ1A〜4A、1B〜4Bを用いて、錘13のx軸(第1検出軸)方向の姿勢変化を検出するy軸検出回路を構成するモードである。
このように切替回路106が接続されている期間中、2軸検出回路107は、第1検出軸(x軸)回りに作用する角速度による錘13の姿勢変化を検出するx軸検出回路として機能する。
即ち、本実施の形態に係る角速度センサでは、全ての固定電極21〜24、31〜34を用いて、錘13の第1検出軸(x軸)回りに作用する角速度を検出するように構成されている。
このように切替回路106が接続されている期間中、2軸検出回路107は、第2検出軸(y軸)回りに作用する角速度による錘13の姿勢変化を検出するy軸検出回路として機能する。
即ち、本実施の形態に係る角速度センサでは、全ての固定電極21〜24、31〜34を用いて、錘13の第2検出軸(y軸)回りに作用する角速度を検出するように構成されている。
なお、2軸検出回路107は、x軸検出回路又はy軸検出回路として機能している間、それぞれの回路の両端、即ち、直列接続されたコンデンサの両端に位相の180°反転した搬送波が印加されるように構成されている。
z軸検出回路109は、z軸検出回路109の両端、即ち、直列接続されたコンデンサの両端に位相が180°ずれた搬送波同士が印加されるように構成されている。
なお、2軸検出回路107に印加される搬送波の位相は、90°移相器103によって交流電圧源101で発生した搬送波の位相が強制的に90°シフトされるため、z軸検出回路109に印加される搬送波の位相と90°ずれた状態となる。
このように切替回路106は、2軸検出回路107をx軸検出回路とy軸検出回路に一定周期で交互に構成する機能、即ちコンデンサ1A〜4A、1B〜4Bの結線(接続配線)を切り替える機能を有し、例えば、アナログスイッチなどによって構成されている。
そして、2軸検出回路107及びz軸検出回路109に搬送波が印加されると、各検出回路におけるコンデンサの直列接続点から、直列接続された両コンデンサの静電容量の差分を示す電流信号が、電流/電圧変換回路110に入力される。
電流/電圧変換回路110は、演算増幅器IC1と抵抗Rfを備えている。
各検出回路から出力された電流信号は、演算増幅器IC1の反転入力端子(−)と接続されている。演算増幅器IC1の非反転端子(+)は、グランド電位に接続(接地)されている。
演算増幅器IC1の出力端子と反転入力端子(−)との間に、帰還抵抗として機能する抵抗Rfが接続されている。
演算増幅器IC1の反転入力端子(−)は、ここに入力される信号が反転され、出力に増幅されて出てくる端子である。一方、非反転入力端子(+)は、ここに入力される信号は反転されずに増幅されて出てくる端子である。
オペアンプの利得は極めて高く、また周波数特性の範囲も直流から数MHzまでの増幅が可能である。
図示していないが、演算増幅器IC1には、電源の端子が設けられており、この端子から動作用の電力が供給されるようになっている。
HPF111の出力は、同期検波回路112、113、114にそれぞれ入力されるように接続されている。
同期検波回路112は、2軸検出回路107がx軸検出回路として機能している間に検出された信号成分に基づくx軸検出信号(Vdx)を抽出(分離)する処理回路から構成されている。
同期検波回路113は、2軸検出回路107がy軸検出回路として機能している間に検出された信号成分に基づくy軸検出信号(Vdy)を抽出(分離)する処理回路から構成されている。
同期検波回路114は、z軸検出回路109において検出された信号成分に基づくz軸検出信号(Vdz)を抽出(分離)する処理回路から構成されている。
C/V変換回路100は、LPF115において平滑化された信号(Vlpfx信号)が増幅回路118において所定の増幅処理を施した後、x軸CV出力信号としてX軸角速度検出回路200へ出力されるように構成されている。
同様に、C/V変換回路100は、LPF116において平滑化された信号(Vlpfy信号)が増幅回路119において所定の増幅処理を施した後、y軸CV出力信号としてY軸角速度検出回路300へ出力されるように構成されている。
そして、AGC回路・位相調整回路121において処理された信号は、静電駆動回路122へ出力される。
AGC回路・位相調整回路121及び静電駆動回路122は、錘13におけるz軸の1次振動を自励振駆動するための制御回路であり、これらの回路で処理された信号によって、静電駆動回路122に接続されている予め設定されている基準用のコンデンサZd、及び下部ガラス基板3に設けられた駆動電極30(図3)と可動電極とによって構成されるコンデンサZBに印加する駆動制御電圧が調整される。
そして、LPF203において信号の平滑処理をした後、AMP(増幅回路)204において増幅処理を施し、x軸角速度出力信号として角速度センサから出力される。
同様に、Y軸角速度検出回路300では、y軸CV出力信号として増幅回路119から出力された信号を、HPF301において高周波成分をカットした後、AGC回路・位相調整回路121から出力された参照信号を移相器305において位相シフトされた信号に基づいて、同期検波回路302において、特定の検波処理を施す。
そして、LPF303において信号の平滑処理をした後、AMP304において増幅処理を施し、y軸角速度出力信号として角速度センサから出力される。
図5は、C/V変換回路100における各部の信号波形を示したタイムチャートである。
なお、C/V変換回路100における信号処理は、図5(a)に示す交流電圧源101において生成されるV0信号の周期(周波数)に基づいて実行される。
V0信号がコンデンサZAに印加され、V0信号の位相が180°反転した信号(V0反転信号)がコンデンサZrに印加されると、図5(b)に示す電流Iz(電流信号)がz軸検出回路109から電流/電圧変換回路110へ入力される。
V0信号は、90°移相器103を通ると位相が90°シフトされ、図5(d)に示すV1信号(キャリア信号)となる。
そして、コンデンサ2A、4B及びコンデンサ4A、2Bには、切替回路106による結線の切替タイミングと同期して、V1信号とV1’信号が交互に時分割で切り替え印加される。
例えば、図5に示す時間TXの期間、即ち、2軸検出回路107がx軸検出回路として機能している期間においては、コンデンサ1A、2A、3B、4BにV1信号が印加され、コンデンサ3A、4A、1B、2BにV1’信号が印加される。このように、時間TXの期間は、x軸回りに作用する角速度に感度を有する差動容量検出方式の電極の組み合わせとなる。
時間TXの期間においては、V1信号は、図5(f)に示すV2信号と等しくなり、V1’信号は、図5(g)に示すV3信号と等しくなる。
なお、V1信号、V1’信号、V2信号、V3信号は、それぞれ、図4に示すポイントV1、V1’、V2、V3における電圧信号を示したものである。
また、図5(h)、(i)、(j)に示す電流I1、I2、I3は、それぞれ、図4に示すポイントV1、V2、V3におけるキャリア電流を示したものである。
時間TYの期間においては、V1信号は、V3信号と等しくなり、V1’信号は、V2信号と等しくなる。
なお、図5(k)に示す電流I1+電流I2は、2軸検出回路107がx軸検出回路として機能している場合における検出電流Ixを示し、図5(m)に示すI1+I3は、2軸検出回路107がy軸検出回路として機能している場合における検出電流Iyを示す。
切替回路106における接続点の切り替えタイミングは、後述するクロック信号C1’に基づいて行われる。
電流/電圧変換回路110は、電流Ix、Iy、IzがIC1へ入力されると、これらの電流を比例する電圧値に変換する処理を行う。
そして、電流/電圧変換回路110は、電流Ixを電圧に変換した図5(l)に示すVxout信号、電流Iy電圧に変換した図5(n)に示すVyout信号、及び電流Izを電圧に変換した図5(c)に示すVzout信号を足し合わせた合成信号(Vout信号)を出力する。
制御クロック生成回路102では、クロック信号C1、C0、C1’、C0’が生成される。
クロック信号C1は、図5(o)に示すように、V1信号の正(+)期間にパルスを発生する信号である。
クロック信号C0は、図5(p)に示すように、クロック信号C1の位相を90°シフトさせた信号である。
クロック信号C0’は、図5(r)に示すように、クロック信号C1’の位相を180°反転させた信号である。
また、同期検波回路112では、クロック信号Cが生成される。
クロック信号Cは、Vxout信号の同期検波用信号であり、図5(s)に示すように、クロック信号C0のオン期間をクロック信号C1’のオン期間にのみ設けた信号である。
さらに、同期検波回路113では、クロック信号C’が生成される。
クロック信号C’は、Vyout信号の同期検波用信号であり、図5(t)に示すように、クロック信号C0のオン期間をクロック信号C0’のオン期間にのみ設けた信号である。
ここで、位相分割方式による信号の分離処理について説明する。
図7は、位相分割方式を説明するための図である。
例えば、図7(a)に示すように、処理対象となる正弦波信号(信号a)の正(+)期間にパルスを発生するクロック信号を用いて、クロック信号のオフ期間(Low期間)にのみ信号aを整流すると、信号a’を得る。
この信号a’をLPFを用いて平滑処理を行うことにより、信号aの振幅(大きさ)に応じた直流出力を得ることができる。
信号b’をLPFを用いて平滑処理を行うと、信号B’の正(+)成分と負(−)成分が相殺されるため、直流出力は0(ゼロ)となる。
即ち、位相が90°ずれた信号aと信号bを含む合成信号に対して、同一のクロック信号を用いて整流処理を施し、そして、その出力を平滑化することにより、一方の信号(ここでは信号a)の大きさに対応した直流出力のみを得ることができる。このような信号の分割(分離)方式を位相分割方式という。
なお、本実施の形態では、整流後の平滑処理は同期検波回路112〜114の後段に設けられているLPF115〜117において実行される。但し、説明の煩雑化を避けるために、最終的にLPF115〜117の通過後に除去される信号成分については、予め除去した状態で説明を行う。
詳しくは、切替回路106の動作タイミングと同期を取りながら、クロック信号Cを用いて、Vout’信号における2軸検出回路107がx軸検出回路として機能しているタイミング(期間)のみの信号を検出(抽出)する処理を行う。
これにより、2軸検出回路107がx軸検出回路として機能しているタイミング(期間)に電流/電圧変換回路110から出力されるVyout信号の成分を除去することができる。
このように、同期検波回路112において、Vout信号からVzout信号及びVyout信号の成分が除去され、即ち、Vxout信号の成分のみが抽出される。
同期検波回路112からは、Vxout信号を整流した図5(u)に示すVdx信号が出力される。
続いて、同期検波回路113では、Vzout信号成分の除去後のVout’信号に対して、時分割方式によるVxout信号の分離処理を行う。
詳しくは、切替回路106の動作タイミングと同期を取りながら、クロック信号C’を用いて、Vout’信号における2軸検出回路107がy軸検出回路として機能しているタイミング(期間)のみの信号を検出(抽出)する処理を行う。
これにより、2軸検出回路107がy軸検出回路として機能しているタイミング(期間)に電流/電圧変換回路110から出力されるVxout信号の成分を除去することができる。
このように、同期検波回路113において、Vout信号からVzout信号及びVxout信号の成分が除去され、即ち、Vyout信号の成分のみが抽出される。
同期検波回路113からは、Vyout信号を整流した図5(w)に示すVdy信号が出力される。
同期検波回路114では、同期検波回路112、113と反対に、クロック信号C1と位相が90°ずれたクロック信号C0を用いることにより、z軸検出回路109に印可される搬送波と位相が90°ずれた搬送波が印加された2軸検出回路107の出力信号であるVxout信号とVyout信号の成分を除去することができる。
同期検波回路114からは、Vzout信号を整流した図5(y)に示すVdz信号が出力される。
同様に、同期検波回路113から出力されたVdy信号は、LPF116において平滑処理をされ、図5(x)に示すVlpfy信号となり、同期検波回路114から出力されたVdz信号は、LPF117において平滑処理をされ、図5(z)に示すVlpfz信号となる。
このようにして、1つの電流/電圧変換回路110にまとめて入力された、2軸検出回路107及びz軸検出回路109の電流信号(Ix、Iy、Iz)、即ち検出信号に対応した検出電圧(Vdx、Vdy、Vdz)を軸成分ごとに適切に分離することができる。
これにより、全ての軸(x軸、y軸、z軸)の検出成分を含む電流/電圧変換回路110の出力であるVout信号から、位相分割方式を採用してz軸の検出成分と、x軸及びy軸の検出成分との分離を行い、さらに、時分割方式を採用してx軸の検出成分とy軸の検出成分とを分離することができる。
このように、位相分割方式と時分割方式を組み合わせて用いることにより、3つの信号成分を複雑な周波数変調回路等を用いることなく容易に分離することができる。
これにより、本実施の形態に係る角速度センサでは、錘13の姿勢変化のx軸、y軸、z軸の同時検出ができる。
本実施の形態に係る角速度センサでは、最終的にx軸角速度の検出信号として出力されるVxout信号と、最終的にy軸角速度の検出信号として出力されるVyout信号との分離を時分割方式を用いて行うため、互いの軸方向の検出成分がクロストーク(他軸干渉)することを抑制することができる。
このように、本実施の形態によれば、2軸検出型の角速度センサにおいて、角速度感度を有する2軸間のクロストーク(他軸干渉)を抑制し、かつ、錘13の振動方向の変位を同時に検出することができる回路を少ない部品で構成することができる。
しかしながら、Vzout信号は、錘13の振動駆動時における基準位置からのずれ量(変位量)を検出するためのものであり、Vxout信号やVyout信号のように角速度感度を有するものではない。
そのため、たとえ、Vzout信号の成分が他軸成分に重畳したとしても、その影響は、例えば、角速度感度を有する信号の軸成分同士を位相分割方式を用いて分離した場合に生じるクロストーク(他軸干渉)の影響と比較して十分に小さく(抑制)することができる。
次に、上述した角速度センサの第1の変形例について説明する。
上述した角速度センサ(図4に示す)では、2軸検出回路107が8つのコンデンサを用いて構成されている。
そこで、第1の変形例では、2軸検出回路128が上部ガラス基板2に設けられた固定電極と可動電極(錘13)からなる4つのコンデンサ1A〜4Aを用いて構成される簡易型の角速度センサについて説明する。
即ち、ここでは、上述した角速度センサの半分の数の固定電極21〜24を用いて2軸検出回路128を構成する角速度センサについて説明する。
なお、上述した角速度センサの構成と同じ箇所には同一符号を付して詳細説明を省略し、異なる部位について説明する。
2軸検出回路128は、図6に示すように、一端が同一点(電流/電圧変換回路110の入力点)に接続されたコンデンサ1A〜4Aによって構成されている。
この予めコンデンサ1A〜4Aの一端が接続されている点を共通点とする。
このコンデンサ1A〜4Aにおける他端側の接続点を変動端とする。
クロック信号C1’がオンの期間は、2軸検出回路128は、x軸検出回路として機能し、x軸回りの変位を検出するための検出回路を構成する接続状態となる。一方、クロック信号C1’がオフの期間は、2軸検出回路128は、y軸検出回路として機能し、y軸回りの変位を検出するための検出回路を構成する接続状態となるように切替回路126の接続点が切り替わるように構成されている。
そして、2軸検出回路128における共通点から、直列接続されたコンデンサの静電容量の差分を示す電流信号が電流/電圧変換回路110に入力され、x軸の角速度感度の検出信号となるVxout信号が生成される。
一方、クロック信号C1’がオフの期間は、コンデンサ1Aとコンデンサ2Aの変動端が接続され、コンデンサ4Aとコンデンサ3Aの変動端が接続され、それぞれの接続端から搬送波が印加される。
角速度センサの第1の変形例においても、2軸検出回路128を構成する4つのコンデンサ1A〜4Aをx軸方向の変位検出用と、y軸方向の変位検出用とで兼用することができる。即ち、2軸検出回路128に、x軸検出回路の機能とy軸検出回路の機能とを兼有させることができる。
即ち、第1の変形例に示す角速度センサにおいても、全ての固定電極21〜24を用いて、錘13の第1検出軸(x軸)回りに作用する角速度、及び、第2検出軸(y軸)回りに作用する角速度を検出するように構成されている。
また、第1の変形例に示す角速度センサでは、一方の面に固定電極を配設するように構成されているため、即ち、片面電極方式を用いているため、小型化を図ったり、他方の面を用いて駆動電極を大きく設けるようにしたりなど、センサ設計の自由度を向上させることができる。
次に、上述した角速度センサの第2の変形例について説明する。
第2の変形例では、時分割方式のみを利用して、錘13の3軸(x軸、y軸、z軸)方向の変位を検出する角速度センサについて説明する。
なお、ここでは上述した角速度センサの構成と同じ箇所には同一符号を付して詳細説明を省略し、異なる部位について説明する。
第2の変形例に示す角速度センサでは、上述した実施形態及び第1の変形例において独立して設けられていた、錘13のz軸方向の変位を検出する固定電極20が設けられていない。
その代わりに、錘13のx軸、y軸方向の変位を検出するために設けられていた固定電極を、錘13のz軸方向の検出用の電極と兼用するように構成されている。
なお、図8では、各電極と錘13との配置関係を明確に示すために電極と錘13のみを示す。
第2の変形例の角速度センサには、図8に示すように、上部ガラス基板2には、錘部131と対向する部位に固定電極221、錘部132と対向する部位に固定電極222、錘部133と対向する部位に固定電極223、錘部134と対向する部位に固定電極224が設けられている。
上部ガラス基板2に設けられた固定電極221〜224と可動電極(錘13)とによってコンデンサ1A〜4Aが構成され、下部ガラス基板3に設けられた駆動電極230と可動電極(錘13)とによってコンデンサZBが構成されている。
第2の変形例に示す角速度センサでは、上部ガラス基板2にのみ錘13の姿勢変化を検出するための固定電極221〜224を設けるように構成されている。そのため、下部ガラス基板3では、他の電極に制限されることなく大きな(広い)駆動電極230を設けることができる。
これにより、駆動電極230の有効面積をより広く確保することができるため、錘13の振動振幅の拡大を図ることができ、角速度センサの検出精度を向上させることができる。
なお、上述した角速度センサの構成と同じ箇所には同一符号を付して詳細説明を省略し、異なる部位について説明する。
第2の変形例に示す角速度センサには、x軸検出回路、y軸検出回路及びz軸検出回路の機能を兼ね備えた(兼用した)3軸検出回路307が設けられている。
さらに、第2の変形例に示す角速度センサには、3軸検出回路307における結線状態を切り替える4つの切替スイッチ、詳しくは、切替回路a241、切替回路b242、切替回路c243、切替回路d244が設けられている。
ここで、予めコンデンサ1A〜4A、Zrの一端が接続(固定)されている点を共通点とし、また、各コンデンサ1A〜4A、Zrの他端側の接続点を変動端とする。
なお、コンデンサZrは、錘13のz軸方向の検出時に用いる基準用(リファレンス)容量として機能する。
そのため、初期状態(錘13の姿勢変化が生じていない状態)におけるコンデンサZrの静電容量は、コンデンサ1A〜4Aの総和と等しくなるように構成されている。
例えば、初期状態において、駆動電極230と錘13との間隔と、固定電極221〜224と錘13との間隔が等しく設定されている場合、駆動電極230の面積は、固定電極221〜224の面積の総和と等しくなるように構成されている。
切替回路a241、切替回路b242、切替回路c243、切替回路d244は、第1端子を固定端とし、第2端子及び第3端子を切替端とする3端子型スイッチである。
また、切替回路a241の第2端子は、90°移相がずらされた搬送波が出力される出力端(以下、搬送波の出力端とする)、即ち、90°移相器103の出力ラインに接続され、第3端子は、位相が反転された搬送波(以下、反転搬送波とする)の出力端、即ち、反転増幅器105の出力端に接続されている。
切替回路b242は、第1端子がコンデンサ4Aの変動端(固定電極224)に接続され、第2端子が搬送波の出力端に接続され、第3端子が反転搬送波の出力端に接続されている。
切替回路c243は、第1端子がコンデンサ3Aの変動端(固定電極223)に接続され、第2端子が搬送波の出力端に接続され、第3端子が反転搬送波の出力端に接続されている。
切替回路d244は、第1端子がコンデンサZrの変動端(駆動電極230)に接続され、第2端子が反転搬送波の出力端に接続され、第3端子が接地端子に接続されている。なお、接地端子とは、角速度センサのアース(グランド)電位となる端子を示す。
これにより、3軸検出回路307における接続状態、即ち、コンデンサ1A〜4A、Zrの結線状態が切り替わる。
第2の変形例に示す角速度センサでは、3軸検出回路307における接続状態(結線状態)を切り替えることによって、錘13のx軸方向の姿勢変化を検出するx軸検出回路を構成するモード(x軸検出モード)、錘13のy軸方向の姿勢変化を検出するy軸検出回路を構成するモード(y軸検出モード)、錘13のz軸方向の姿勢変化を検出するz軸検出回路を構成するモード(z軸検出モード)への設定の切り替えが可能となる。
第2の変形例に示す角速度センサでは、x軸検出モード→y軸検出モード→z軸検出モードの順番で検出モードの切り替えが繰り返し行われる。
図10は、第2の変形例に示す角速度センサにおける切替回路の接続状態と構成される3軸検出回路307の検出モードとの関係を示した表である。
また、図11は、第2の変形例におけるC/V変換回路100における各部の信号波形を示したタイムチャートである。
第2の変形例に示す角速度センサでは、図10に示すように、切替回路a241の第2端子が接続端子(第1端子との導通端子)となり、切替回路b242の第3端子が接続端子となり、切替回路c243の第3端子が接続端子となり、切替回路d244の第3端子が接続端子となる期間は、x軸が感度を持つ時間、即ち、x軸検出モードとなる。
x軸検出モードでは、コンデンサ1Aとコンデンサ2Aの変動端が接続され、この接続された変動端から搬送波が印加され、且つ、コンデンサ3Aとコンデンサ4Aの変動端が接続され、この接続された変動端から反転搬送波が印加される接続状態(結線状態)となる。
そして、3軸検出回路307における共通点から、直列接続されたコンデンサの静電容量の差分を示す電流信号が電流/電圧変換回路110に入力され、x軸の角速度感度の検出信号となるVxout信号が生成される。
y軸検出モードでは、コンデンサ1Aとコンデンサ4Aの変動端が接続されて、この接続された変動端から搬送波が印加され、また、コンデンサ2Aとコンデンサ3Aの変動端が接続されて、この接続された変動端から反転搬送波が印加される接続状態となる。
そして、3軸検出回路307における共通点から、直列接続されたコンデンサの静電容量の差分を示す電流信号が電流/電圧変換回路110に入力され、y軸の角速度感度の検出信号となるVyout信号が生成される。
z軸検出モードでは、コンデンサ1A〜4Aの変動端が全て接続されて、接続された変動端から搬送波が印加され、また、コンデンサZrの変動端から反転搬送波が印加される接続状態となる。
そして、3軸検出回路307における共通点から、直列接続されたコンデンサの静電容量の差分を示す電流信号が電流/電圧変換回路110に入力され、z軸の角速度感度の検出信号となるVzout信号が生成される。
そして、同期検波回路112〜114において、搬送波の切替タイミング、即ち各検出モードの切替タイミングに基づいて、時分割処理を施すことによって、x軸検出信号成分(Vdx)、y軸検出信号成分(Vdy)、z軸検出信号成分(Vdz)とに分離(抽出)される。
なお、第2の変形例に示す角速度センサでは、錘13のz軸方向の姿勢変化、即ち、コンデンサ1A〜4Aの静電容量変化に基づく検出結果を用いたフィードバック制御によって、コンデンサZBに交流電圧を印加する駆動信号の制御処理が実行される。
第2の変形例に示す角速度センサでは、z軸検出専用の電極を用いないため、電極数の削減だけでなく、センサ(電極)と制御回路ICとの間の結線数を削減することができる。また、z軸検出専用の電極を用いないため、その分、固定電極221〜224の形成領域を広く確保することができ、センサの感度を向上させることができる。
次に、上述した角速度センサの第3の変形例について説明する。
第3の変形例に示す角速度センサにおいても、第2の変形例と同様の電極構成となっており、詳しくは、図8に示すように、固定電極221〜224及び駆動電極230が設けられている。
第3の変形例では、図8に示す錘13の振動用の駆動電極230を、z軸方向の錘13の姿勢変化の検出(z軸検出)用の電極と兼用し、かつ、時分割方式を利用して、錘13の3軸方向の変位を検出する角速度センサについて説明する。
図12は、第3の変形例に示す角速度センサにおけるC/V変換回路100を示した回路ブロック図である。
なお、上述した角速度センサの構成と同じ箇所には同一符号を付して詳細説明を省略し、異なる部位について説明する。
さらに、第3の変形例に示す角速度センサには、3軸検出回路308における結線状態を切り替える6つの切替スイッチ、切替回路a241、切替回路b242、切替回路c243、切替回路e245、切替回路f246、切替回路g247が設けられている。
3軸検出回路308は、一端が同一点(電流/電圧変換回路110の入力点)に接続されたコンデンサ1A〜4A、コンデンサZB、Zdによって構成されている。
ここで、予めコンデンサ1A〜4A、ZB、Zdの一端が接続(固定)されている点を共通点とし、また、各コンデンサ1A〜4A、ZB、Zdの他端側の接続点を変動端とする。
切替回路a241、切替回路b242及び切替回路c243における接続構成は、第2の変形例と同様であるため、説明を省略する。
切替回路e245は、第1端子がコンデンサZdの変動端に接続され、第2端子が静電駆動回路122の一端に接続され、第3端子が接地端子に接続されている。
切替回路f246は、第1端子がコンデンサZBの変動端(駆動電極230)に接続され、第2端子が静電駆動回路122の一端に接続され、第3端子が切替回路g247の第1端子に接続されている。
切替回路g247は、第1端子が切替回路f246の第3端子に接続され、第2端子が接地端子に接続され、第3端子が反転搬送波の出力端に接続されている。
これにより、3軸検出回路308における接続状態、即ち、コンデンサ1A〜4A、Zd、ZBの結線状態が切り替わる。
第3の変形例に示す角速度センサにおいても、第2の変形例に示す角速度センサと同様に、3軸検出回路308における接続状態(結線状態)を切り替えることによって、x軸検出モード、y軸検出モード、z軸検出モードへの切り替えが可能となる。
このように第3の変形例に示す角速度センサでは、コンデンサZBを基準用(リファレンス)容量として機能させ、錘13のz軸方向の姿勢変化の検出を行う。
そのため、初期状態(錘13の姿勢変化が生じていない状態)におけるコンデンサZBの静電容量は、コンデンサ1A〜4Aの総和と等しくなるように構成されている。
図13は、第3の変形例に示す角速度センサにおける切替回路の接続状態と構成される3軸検出回路308の検出モードとの関係を示した表である。
第3の変形例に示す角速度センサでは、図13に示すように、切替回路a241の第2端子が接続端子(第1端子との導通端子)となり、切替回路b242の第3端子が接続端子となり、切替回路c243の第3端子が接続端子となり、切替回路e245の第2端子が接続端子となり、切替回路f246の第2端子が接続端子となり、切替回路g247の第2端子が接続端子となる期間は、x軸検出モードとなる。
そして、3軸検出回路308における共通点から、直列接続されたコンデンサの静電容量の差分を示す電流信号が電流/電圧変換回路110に入力され、x軸の角速度感度の検出信号となるVxout信号が生成される。
なお、x軸検出モードでは、切替回路e245の第2端子が接続端子となり、切替回路f246の第2端子が接続端子となることにより、コンデンサZd及びコンデンサZBが静電駆動回路122に接続され、錘13を振動駆動する。
y軸検出モードでは、コンデンサ1Aとコンデンサ4Aの変動端が接続されて、この接続された変動端から搬送波が印加され、また、コンデンサ2Aとコンデンサ3Aの変動端が接続されて、この接続された変動端から反転搬送波が印加される接続状態となる。
そして、3軸検出回路308における共通点から、直列接続されたコンデンサの静電容量の差分を示す電流信号が電流/電圧変換回路110に入力され、y軸の角速度感度の検出信号となるVyout信号が生成される。
なお、y軸検出モードでは、x軸検出モードと同様に、コンデンサZd及びコンデンサZBが静電駆動回路122に接続され、錘13を振動駆動する。
z軸検出モードでは、コンデンサ1A〜4Aの変動端が接続されて、この接続された変動端から搬送波が印加され、また、コンデンサZBの変動端から反転搬送波が印加される接続状態となる。
そして、3軸検出回路308における共通点から、直列接続されたコンデンサの静電容量の差分を示す電流信号が電流/電圧変換回路110に入力され、z軸の角速度感度の検出信号となるVyout信号が生成される。
なお、z軸検出モードでは、切替回路e245の第3端子が接続端子となり、切替回路f246の第3端子が接続端子となることにより、コンデンサZd及びコンデンサZBが静電駆動回路122から切り離されるため、錘13は振動駆動されない。
そして、同期検波回路112〜114において、搬送波の切替タイミング、即ち各検出モードの切替タイミングに基づいて、時分割処理を施すことによって、x軸検出信号成分(Vdx)、y軸検出信号成分(Vdy)、z軸検出信号成分(Vdz)とに分離(抽出)される。
なお、第3の変形例に示す角速度センサでは、x軸検出モード及びy軸検出モードにおいてのみ、錘13のz軸方向の姿勢変化、即ち、コンデンサ1A〜4Aの静電容量変化に基づく検出結果を用いたフィードバック制御によって、コンデンサZBに交流電圧を印加する駆動信号の制御処理が実行される。
上述した本実施形態や第1、第2の変形例の角速度センサでは、高い精度でコンデンサZrの容量を、コンデンサ1A〜4Aの容量の総和に合わせる必要があった。しかし、第3の変形例に示す角速度センサでは、コンデンサZrが不要となることにより、コンデンサZrの調整不良によるオフセットの発生を回避することができる。
また、第3の変形例に示す角速度センサでは、錘13のz軸検出にコンデンサ1A〜4A及びコンデンサZBが寄与する。即ち、z軸検出モードでは、固定電極221〜224と駆動電極230、つまり、x軸検出モードやy軸検出モード時の2倍の電極が寄与するため、z軸検出モードにおける検出感度を、x軸検出モードやy軸検出モードにおける検出感度の2倍とすることができる。
次に、上述した角速度センサの第4の変形例について説明する。
第4の変形例に示す角速度センサにおいても、第2、第3の変形例と同様に、図8に示す電極構成を有している。
第4の変形例では、第3の変形例と異なる構成により、錘13の振動用の駆動電極230を、z軸方向の錘13の姿勢変化の検出(z軸検出)用の電極と兼用し、かつ、時分割方式を利用して、錘13の3軸方向の変位を検出する角速度センサについて説明する。
図14は、第4の変形例に示す角速度センサにおけるC/V変換回路100を示した回路ブロック図である。
なお、上述した角速度センサの構成と同じ箇所には同一符号を付して詳細説明を省略し、異なる部位について説明する。
さらに、第4の変形例に示す角速度センサには、静電駆動回路122から出力される駆動信号aに搬送信号b(反転搬送波)を重畳させる加算回路250が設けられている。
3軸検出回路309は、一端が同一点(電流/電圧変換回路110の入力点)に接続されたコンデンサ1A〜4A、コンデンサZB、Zdによって構成されている。
ここで、予めコンデンサ1A〜4A、ZB、Zdの一端が接続(固定)されている点を共通点とし、また、各コンデンサ1A〜4A、ZB、Zdの他端側の接続点を変動端とする。
切替回路a241、切替回路b242、切替回路c243、切替回路h248は、第1端子を固定端とし、第2端子及び第3端子を切替端とする3端子型スイッチである。
切替回路a241、切替回路b242及び切替回路c243における接続構成は、第2の変形例及び第3の変形例と同様であるため、説明を省略する。
切替回路h248は、第1端子が加算回路250に接続され、第2端子が反転搬送波の出力端に接続され、第3端子が接地端子に接続されている。
これにより、3軸検出回路309における接続状態、即ち、コンデンサ1A〜4A、Zd、ZBの結線状態が切り替わる。
第4の変形例に示す角速度センサにおいても、第2の変形例、第3の変形例に示す角速度センサと同様に、3軸検出回路309における接続状態(結線状態)を切り替えることによって、x軸検出モード、y軸検出モード、z軸検出モードへの切り替えが可能となる。
第4の変形例に示す角速度センサでは、加算回路250を用いて錘13の駆動信号aに錘13の姿勢変化を検出するための搬送信号bを重畳させることにより、静電駆動回路122から切り離すことなく、コンデンサZBを軸方向の錘13の姿勢変化の検出(z軸検出)用のコンデンサと兼用できるよう構成されている。
図15は、第4の変形例に示す角速度センサにおける切替回路の接続状態と構成される3軸検出回路309の検出モードとの関係を示した表である。
第4の変形例に示す角速度センサでは、図15に示すように、切替回路a241の第2端子が接続端子となり、切替回路b242の第3端子が接続端子となり、切替回路c243の第3端子が接続端子となり、切替回路h248の第3端子が接続端子となる期間は、x軸検出モードとなる。
第4の変形例におけるx軸検出モードも、第2、第3の変形例と同様に、3軸検出回路309における共通点から、直列接続されたコンデンサの静電容量の差分を示す電流信号が電流/電圧変換回路110に入力され、x軸の角速度感度の検出信号となるVxout信号が生成される。
また、切替回路a241の第2端子が接続端子となり、切替回路b242の第2端子が接続端子となり、切替回路c243の第2端子が接続端子となり、切替回路h248の第2端子が接続端子となる期間は、z軸検出モードとなる。
第4の変形例におけるz軸検出モードでは、切替回路h248の第2端子が接続端子となることにより、搬送信号bが加算回路250に印加される。そして、加算回路250において、この搬送信号bが、錘13の駆動信号aに加えられる(重畳される)。
そのため、第4の変形例に示す角速度センサでは、全ての検出モードにおいて、同時に錘13の振動駆動を行うことができる。
そして、同期検波回路112〜114において、搬送波の切替タイミング、即ち各検出モードの切替タイミングに基づいて、時分割処理を施すことによって、x軸検出信号成分(Vdx)、y軸検出信号成分(Vdy)、z軸検出信号成分(Vdz)とに分離(抽出)される。
なお、HPF111では、駆動信号aの周波数成分が十分に阻止されるようにバンドパス帯域が設定されている。
次に、上述した本実施形態の第5の変形例について説明する。
この第5の変形例に示す角速度センサでは、さらにクロストーク(他軸干渉)の発生を抑制するために、時分割方式を用いて分割されるVxout信号とVyout信号の信号を検出(抽出)しない時分割の無検出時間が設けられている。
上述した本実施形態(図5)で説明した時分割処理では、Vxout信号のオフ期間にVyout信号が出力され、Vyout信号のオフ期間にVxout信号が出力されるように構成されている。
図16は、鈍りが生じた信号波形の一例を示した図である。
しかし、電流/電圧変換回路110の応答可能帯域が十分でない場合、例えば、高域帯域の限度が低く制限されている場合、図16の破線に示すように、信号波形が鈍り、オフ期間に信号が生じてしまうおそれがある。
詳しくは、信号がオンした時及び信号がオフした時、即ち、Vxout信号又はVyout信号の立ち上がり時及び立ち下がり時に、遅延(位相遅れ)が発生してしまう。
なお、このような過渡的な信号波形の鈍り、即ち、過渡的な位相遅れは、2軸検出回路107の切り替えが、同期検波クロック(搬送波)の位相が90°又は270°のタイミングで行われる場合に顕著に現れる。
図17に示すように、Vxout信号やVyout信号の位相遅れ、即ち、他軸(x及びy軸)のCV出力の位相遅れがある場合、自軸(ここではz軸)の同期検波出力は、その位相遅れの部分が破線で示すようになる。
すると、図17に示すように、位相が遅れた分の成分(図中αで示す)として、z軸の検出信号にクロストークする。
本実施の形態に係る角速度センサでは、z軸検出回路109の検出信号(z軸信号)に基づいて、コリオリ力を検出するために錘13を共振1次振動させる駆動信号を生成し、また、z軸検出回路の検出信号(z軸信号)を同期検波回路114の基準信号として用いている。
そこで、このようなz軸検出信号(z軸出力)へのクロストークが生じた場合に受ける影響を抑制するために、他軸(x軸、y軸)からの干渉が予測される期間、即ち、クロストークの発生が予測される期間に、z軸検出信号の無検出時間(無検出区間)を設ける。
また、時分割処理の対象となるVxout信号とVyout信号との間において、図16に示すような信号波形の鈍りの影響が生じないように、即ち、クロストークが生じないように、Vxout信号と、Vyout信号の切り替わりのタイミングにおいても信号の無検出時間(無検出区間)を設けることが好ましい。
検出信号の無検出時間が長くなると、対象となる軸の検出感度が低下する。すると、検出信号におけるS/N比(信号対雑音比)が劣化し、検出精度が低下する可能性がある。
そのため、このz軸検出信号の無検出時間は、必要最小限の長さに設定することが望ましい。
上述したように、電流/電圧変換回路110の出力であるVxout信号及びVyout信号における波形の鈍りは、電流/電圧変換回路110における高周波側の帯域制限によって生じる。
fc=kfo ・・・(式1)
とする。kは、比例定数であり、通常は、1以上である。
(式1)において、比例定数kが大きくなるほど、波形の鈍りの度合いは相対的に小さくなる。
例えば、電流/電圧変換回路110の高周波帯域における周波数特性が、1次の減衰特性を有すると仮定した場合、高周波側カットオフ周波数fcは、
fc=1/2πτ ・・・(式2)
と表現できる。τは、時定数を示す。
なお、図18では、上段に入力電圧(ステップ関数)、下段に出力電圧(応答波形)を示す。
図18に示すように、入力電圧が投入されてから、時間が3τ経過した時点で入力電圧の約95%、4τ経過した時点で入力電圧の約98%まで立ち上がっていることが分かる。
つまり、t=0(入力電圧の投入)からt=4τまでの時間(期間)が波形鈍りの生じる期間となる。
なお、縦軸に示すクロストークは、z軸検出信号に含まれる他軸(x軸、y軸)からの干渉量を示す。
このような図19の関係図に基づいて、センサの仕様(精度の許容範囲)などを満たすことができる範囲内で、無検出時間の終了時間を設定するようにする。
例えば、z軸検出信号の無検出時間の終了時間を、x軸信号(Vxout信号)又はy軸信号(Vyout信号)の検出開始時から3τ〜4τ経過した時点に設定することにより、z軸検出信号へのクロストークを大幅に改善することができる。
τ=1/2πfc=1/2πkfo=To/2πk ・・・(式3)
となる。ここで、Toは、搬送波(V0信号)の周期を示す。すると、
2τ=2/2πkfo=2To/2πk ・・・(式4)
3τ=3/2πkfo=3To/2πk ・・・(式5)
4τ=4/2πkfo=4To/2πk ・・・(式6)
と、2τ、3τ、4τをそれぞれToとkを用いて表現することができる。
上記(式3)〜(式6)から分かるように、kの値が大きいほど、無検出時間が短くなる。
なお、第5の変形例に示した、クロストークの影響を低減させるための無検出時間を設ける技術は、第1〜4の変形例に示す角速度センサに適用するようにしてもよい。
2 上部ガラス基板
3 下部ガラス基板
4 電極パッド
11 フレーム
12 梁
13 錘
14 可動隙間
15 可動隙間
20 固定電極
21〜24 固定電極
30 駆動電極
31〜34 固定電極
100 C/V変換回路
101 交流電圧源
102 制御クロック生成回路
103 90°移相器
104 反転増幅器
105 反転増幅器
106 切替回路
107 2軸検出回路
109 z軸検出回路
110 電流/電圧変換回路
111 HPF
112〜114 同期検波回路
115〜117 LPF
118〜120 増幅回路
121 AGC回路・位相調整回路
122 静電駆動回路
130〜134 錘部
200 x軸角速度検出回路
201 HPF
202 同期検波回路
203 LPF
204 AMP
205 移相器
300 y軸角速度検出回路
301 HPF
302 同期検波回路
303 LPF
304 AMP
305 移相器
Claims (8)
- 中空部を有するフレームと、
前記フレームに固定された可撓性を有する梁と、
前記梁を介して前記フレームに支持され、表面部が可動電極として機能し、外力の作用により姿勢が変化する錘と、
前記錘と対向して配置された複数の固定電極と、
前記可動電極と前記固定電極からなる静電容量素子の静電容量の変化を検出する検出手段と、
前記静電容量素子の結線状態を切り替えることにより、前記検出手段を、前記錘の第1の検出軸方向の姿勢変化に伴う前記静電容量素子の静電容量の変化を検出する第1検出回路の接続状態と、前記錘の第2の検出軸方向の姿勢変化に伴う前記静電容量素子の静電容量の変化を検出する第2検出回路の接続状態とに切り替える切替手段と、
前記錘の第3の検出軸方向の姿勢変化に伴う前記静電容量素子の静電容量の変化を検出する第3検出回路と、
前記検出手段の検出結果に基づいて、作用する力学量の第1の検出軸方向成分、第2の検出軸方向成分、及び第3の検出軸方向成分を出力する力学量出力手段と、
を備え、
前記切替手段は、制御クロック信号のタイミングに基づいて、一定周期毎に前記静電容量素子の結線状態を切り替え、
前記力学量出力手段は、各検出回路における静電容量の検出信号について位相分割方式による分離処理を行うことにより前記第3検出回路における静電容量の検出信号を分離して前記錘の第3の検出軸方向に作用する力学量を出力するとともに、前記切替手段による切替タイミングに基づいて時分割処理を行うことにより、前記分離処理により分離された検出信号を除く各検出回路における静電容量の検出信号を分離して前記錘の第1の検出軸方向及び第2の検出軸方向に作用する力学量を出力することを特徴とする力学量センサ。 - 前記第1検出回路は、前記錘の第1の検出軸方向の傾きに伴い、静電容量が対称的に変化する前記静電容量素子を直列に接続した回路を有し、
前記第2検出回路は、前記錘の第2の検出軸方向の傾きに伴い、静電容量が対称的に変化する前記静電容量素子を直列に接続した回路を有し、
前記第1検出回路および前記第2検出回路における、直列接続された静電容量素子のそれぞれに、互いの位相が180°反転した搬送波を印加する搬送波印加手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の力学量センサ。 - 前記第3検出回路は、前記錘の第3の検出軸方向の傾きに伴い、静電容量が対称的に変化する前記静電容量素子を直列に接続した回路を有し、
前記搬送波印加手段は、前記第3検出回路における、直列接続された静電容量素子のそれぞれに、互いの位相が180°反転した搬送波を印加することを特徴とする請求項2に記載の力学量センサ。 - 前記固定電極は、前記錘の中心位置を基準位置として、同一平面上の前記基準位置の周りに等間隔に配設された4つの第1電極を備え、
前記第1検出回路は、前記4つの第1電極のうち、x−y平面上の第1象限に位置する第1電極と前記可動電極とから構成される静電容量素子と、第2象限に位置する第1電極と前記可動電極とから構成される静電容量素子とが並列に接続された回路と、前記4つの第1電極のうち、x−y平面上の第4象限に位置する第1電極と前記可動電極とから構成される静電容量素子と、第3象限に位置する第1電極と前記可動電極とから構成される静電容量素子とが並列に接続された回路とが直列に接続された回路を有し、
前記第2検出回路は、前記4つの第1電極のうち、x−y平面上の第1象限に位置する第1電極と前記可動電極とから構成される静電容量素子と、第4象限に位置する第1電極と前記可動電極とから構成される静電容量素子とが並列に接続された回路と、前記4つの第1電極のうち、x−y平面上の第3象限に位置する第1電極と前記可動電極とから構成される静電容量素子と、第2象限に位置する第1電極と前記可動電極とから構成される静電容量素子とが並列に接続された回路とが直列に接続された回路を有し、
前記切替手段は、前記検出手段が前記第1検出回路または前記第2検出回路を構成するように前記静電容量素子の結線状態を切り替えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1の請求項に記載の力学量センサ。 - 前記固定電極は、前記4つの第1電極と錘を介して対向する平面上に、さらに4つの第2電極を備え、
前記第1検出回路は、前記4つの第2電極のうち、x−y平面上の第4象限に位置する第2電極と前記可動電極とから構成される静電容量素子と、x−y平面上の第3象限に位置する第2電極と前記可動電極とから構成される静電容量素子とを、x−y平面上の第1象限に位置する第1電極と前記可動電極とから構成される静電容量素子と並列に接続され、また、前記4つの第2電極のうち、x−y平面上の第1象限に位置する第2電極と前記可動電極とから構成される静電容量素子と、x−y平面上の第2象限に位置する第2電極と前記可動電極とから構成される静電容量素子とを、x−y平面上の第3象限に位置する第1電極と前記可動電極とから構成される静電容量素子と並列に接続された回路を有し、
前記第2検出回路は、前記4つの第2電極のうち、x−y平面上の第1象限に位置する第2電極と前記可動電極とから構成される静電容量素子と、x−y平面上の第4象限に位置する第2電極と前記可動電極とから構成される静電容量素子とを、x−y平面上の第3象限に位置する第1電極と前記可動電極とから構成される静電容量素子と並列に接続され、また、前記4つの第2電極のうち、x−y平面上の第3象限に位置する第2電極と前記可動電極とから構成される静電容量素子と、x−y平面上の第2象限に位置する第2電極と前記可動電極とから構成される静電容量素子とを、x−y平面上の第1象限に位置する第1電極と前記可動電極とから構成される静電容量素子と並列に接続された回路を有することを特徴とする請求項4記載の力学量センサ。 - 前記固定電極は、前記4つの第1電極と錘を介して対向する平面上に、さらに第3電極を 備え、
前記第3検出回路は、前記第1電極と前記可動電極とから構成される静電容量素子と、前記第3の電極と前記可動電極とから構成される静電容量素子とが直列に接続された回路を有することを特徴とする請求項4記載の力学量センサ。 - 前記力学量出力手段は、前記切替手段による接続の切り替わりのタイミングから所定時間が経過した後、前記分離処理により分離された検出信号を除く各検出回路における静電容量の検出信号を分離することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1の請求項に記載の力学量センサ。
- 前記所定時間は、時定数をτとした場合に、前記切替手段による接続の切り替わりのタイミングから3〜4τの範囲で設けられていることを特徴とする請求項7に記載の力学量センサ。
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