JP2004279261A - 物理量検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の物理量を精度良く検出可能な物理量検出装置を提供する。
【解決手段】X軸方向の加速度に応じて容量が変化するセンサエレメント部10xと、Y軸方向の加速度に応じて容量が変化するセンサエレメント部10yとが、1つの半導体基板上に形成されたセンサ1を備えると共に、センサエレメント部10x,10yの各々について、そのセンサエレメント部10x,10yの容量変化を電圧に変換するC−V変換回路2x,2yと、C−V変換回路2x,2yの出力電圧Vsx,Vsyを一定時間毎にサンプルホールドして信号処理を行う信号処理回路3x,3yとを備えた加速度検出装置では、各信号処理回路3x,3y同士のサンプリングタイミングがずらして設定されている。このため、各信号処理回路3x,3yがサンプリング動作した際の他系統への影響をなくすことができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の物理量を検出する物理量検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、加速度や圧力等の力学的なエネルギーによって容量が変化するセンサエレメント部と、このセンサエレメント部の容量変化を電圧に変換するC−V変換(容量−電圧変換)回路と、C−V変換回路の出力電圧をサンプルホールドして信号処理を行う信号処理回路と、を備えた容量式の物理量検出装置が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。そして、この種の装置では、信号処理回路の出力に基づいて加速度や圧力等の物理量を検出する。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−145717号公報
【特許文献2】
特開2000−221054号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の技術を用いて、例えば、複数方向(ここでは、説明の便宜上、X軸方向とY軸方向との2方向とする)の各加速度を検出する装置を構成する場合には、X軸方向の加速度に応じて容量が変化するセンサエレメント部(以下、X軸方向用のセンサエレメント部という)と、Y軸方向の加速度に応じて容量が変化するセンサエレメント部(以下、Y軸方向用のセンサエレメント部という)とを設けると共に、その各センサエレメント部について、C−V変換回路と信号処理回路とをそれぞれ設けることとなる。
【0005】
しかし、この場合、X軸方向用とY軸方向用とのセンサエレメント部にそれぞれ対応する各信号処理回路を同時にサンプリング動作させると、配線パターン間の寄生容量等の影響により、その各信号処理回路に正確な電圧をホールドさせることができなくなり、その結果、各センサエレメント部の容量変化(延いては、複数方向の加速度)を正確に検出することができなくなるという問題が発生する。
【0006】
例えば、X軸方向用のセンサエレメント部に対応するC−V変換回路と信号処理回路とを、それぞれ、X軸方向用のC−V変換回路及びX軸方向用の信号処理回路と称し、Y軸方向用のセンサエレメント部に対応するC−V変換回路と信号処理回路とを、それぞれ、Y軸方向用のC−V変換回路及びY軸方向用の信号処理回路と称することにすると、一般にサンプルホールドするための回路はコンデンサの充電によって電圧をサンプリング(記憶)するため、X軸方向用のC−V変換回路の出力信号ラインとY軸方向用のC−V変換回路の出力信号ラインとの間に大きな寄生容量が存在すると、X軸方向用の信号処理回路がX軸方向用のC−V変換回路の出力電圧をサンプリングした際に、Y軸方向用のC−V変換回路の出力電圧が変動して、その変動した電圧をY軸方向用の信号処理回路がサンプリングしてしまう。そして同時に、そのY軸方向用の信号処理回路がY軸方向用のC−V変換回路の出力電圧をサンプリングした際に、X軸方向用のC−V変換回路の出力電圧が変動して、その変動した電圧をX軸方向用の信号処理回路がサンプリングしてしまう。よって、各信号処理回路に記憶される電圧が誤差のあるものになってしまう。
【0007】
また、こうした問題は、容量変化式のセンサを用いた場合に限るものではないが、特に、そのような容量変化式のセンサエレメント部を同一の半導体基板上に複数形成した場合に顕著になると考えられる。
つまり、上記の例で述べると、X軸方向用とY軸方向用の各センサエレメント部の出力端子同士が半導体基板上の寄生容量によって接続されることとなり、その結果、X軸方向用のセンサエレメント部からX軸方向用のC−V変換回路への信号ラインと、Y軸方向用のセンサエレメント部からY軸方向用のC−V変換回路への信号ラインとが、上記半導体基板上の寄生容量によって接続されることとなるため、各信号処理回路がサンプリング動作した際の他系統への影響が大きくなるからである。
【0008】
そこで本発明は、複数の物理量を精度良く検出することが可能な物理量検出装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の物理量検出装置は、検出対象の物理量に応じて出力電圧が変化する検出手段と、該検出手段の出力電圧を一定時間毎にサンプリングしてホールドする信号処理回路とを、複数組備えているが、特に本装置では、各信号処理回路のサンプリングタイミングがずれて設定されている。
【0010】
このような請求項1の物理量検出装置によれば、各信号処理回路がサンプリング動作した際の他系統への影響をなくして、各信号処理回路に記憶される電圧の誤差を低減することができる。よって、その各信号処理回路に記憶された電圧に基づいて複数の物理量を精度良く検出すことが可能となる。
【0011】
特に、各検出手段が、検出対象の物理量に応じて容量が変化するセンサエレメント部と、該センサエレメント部の容量変化を電圧に変換して出力する容量−電圧変換回路とからなると共に、その各センサエレメント部が同一の基板上に形成されている場合には、前述したように、各センサエレメント部の出力端子同士が基板上の寄生容量によって接続されてしまうが、そのような場合でも、各信号処理回路がサンプリング動作した際の他系統への影響をなくすことができる。よって、複数のセンサエレメント部を同一の基板上に形成することによる小型化のメリットを十分に生かすことができる。
【0012】
尚、センサエレメント部としては、具体的には、電気的に直列に接続された2つのコンデンサであって、そのうちの少なくとも一方の容量が物理量に応じて変化する第1及び第2のコンデンサを有すると共に、その第1及び第2のコンデンサの両端のノードに互いに逆相の第1及び第2の矩形波が印加されるものを用いることができ、その場合、容量−電圧変換回路としては、それ対応するセンサエレメント部の第1及び第2のコンデンサの接続点(即ち、そのセンサエレメント部の出力端子)に接続されて、その第1及び第2のコンデンサの容量差を電圧に変換する回路を用いることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明が適用された実施形態の物理量検出装置について、図面を用いて説明する。尚、本実施形態の物理量検出装置は、複数の物理量として、複数方向(ここでは、X軸方向とY軸方向との2方向)の加速度を検出するものであるため、以下では、加速度検出装置と言う。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の加速度検出装置は、X軸方向の加速度を検出するためのセンサエレメント部10xと、Y軸方向の加速度を検出するためのセンサエレメント部10yとを備えており、更に、その各センサエレメント部10x,10y毎に、C−V変換(容量−電圧変換)回路2x,2yと、信号処理回路3x,3yとを備えている。
【0015】
尚、図面及び以下の説明において、素子や信号等に付した符号の最後の「x」は、その符号の素子や信号等が、センサエレメント部10xに対応するもの(即ち、X軸方向の加速度検出に関するもの)であることを示しており、同様に、符号の最後の「y」は、その符号の素子や信号等が、センサエレメント部10yに対応するもの(即ち、Y軸方向の加速度検出に関するもの)であることを示している。また、以下の説明において、X軸方向用とは、X軸方向の加速度検出に関するものであることを意味し、同様に、Y軸方向用とは、Y軸方向の加速度検出に関するものであることを意味している。
【0016】
ここで、センサエレメント部10xは、固定電極11,13と、X軸方向の物理量(ここでは加速度)に応じて変位する可動電極12とで構成されている。そして、固定電極11と可動電極12の間に第1のコンデンサ(容量をC1とする)が形成され、固定電極13と可動電極12の間に第2のコンデンサ(容量をC2とする)が形成されており、その容量C1、C2が差動容量を構成するようになっている。つまり、第1、第2のコンデンサは、電気的に直列に接続されており、その容量差(=C1−C2)が可動電極12の変位(即ち、X軸方向の加速度)に応じて変化するようになっている。
【0017】
そして更に、センサエレメント部10xの固定電極11、13の両端(外側)のノードには、可動電極12の共振周波数より十分高い周波数で反転する互いに逆相の矩形波(即ち、180°の位相差を持った矩形波)P1x、P2xがそれぞれ印加される。
【0018】
また、センサエレメント部10yも、センサエレメント部10xと同様のものであり、固定電極11,13と可動電極12とで構成されているが、可動電極12がY軸方向の物理量(ここでは加速度)に応じて変位する点のみ異なっている。そして、このセンサエレメント部10yの固定電極11、13の両端(外側)のノードにも、可動電極12の共振周波数より十分高い周波数で反転する互いに逆相の矩形波P1y、P2yがそれぞれ印加される。
【0019】
そして更に、本実施形態において、このような2つのセンサエレメント部10x,10yは、同一の半導体基板上に形成されることで、1つの加速度センサ1を成している。
次に、C−V変換回路2x,2yと信号処理回路3x,3yとについて説明する。尚、2つのC−V変換回路2x,2yは同じ構成のものであり、同様に、2つの信号処理回路3x,3yも同じ構成のものであるため、ここでは、X軸方向用のセンサエレメント部10xに対応する方(C−V変換回路2xと信号処理回路3x)についてのみ詳しく説明する。
【0020】
まず、C−V変換回路2xは、演算増幅器21と、演算増幅器21の反転入力端子(−端子)と出力端子との間に接続された第3のコンデンサ(容量をCfとする)22と、演算増幅器21の反転入力端子と出力端子との間に接続されたスイッチ23とから構成されている。つまり、C−V変換回路2xは、いわゆるスイッチドキャパシタ回路である。
【0021】
そして、演算増幅器21の反転入力端子は、センサエレメント部10xの出力端子(即ち、第1及び第2のコンデンサの接続点に相当する可動電極12)に接続されており、演算増幅器21の非反転入力端子(+端子)は、一定の基準電圧Vrに接続されている。尚、本実施形態において、基準電圧Vrは、本装置における各回路の電源電圧(本実施形態では5V)の1/2の電圧(=2.5V)に設定されている。また、スイッチ23は、スイッチ信号SRxによってオン/オフされる。
【0022】
一方、信号処理回路3xは、C−V変換回路2xの出力電圧(即ち、演算増幅器21の出力)Vsxを矩形波P1x、P2xに同期した一定時間毎のタイミングでサンプルホールドし、信号処理を行って、センサエレメント部10xの可動電極12に作用する加速度(X軸方向の加速度)に応じた検出信号OUTxを出力するものであり、詳しくは、2つのサンプルホールド回路4x,5xと、その2つのサンプルホールド回路4x,5xの出力を差動増幅して出力する差動増幅回路6xと、ローパスフィルタ(LPF)7xとから構成されている。
【0023】
ここで、サンプルホールド回路4xは、反転入力端子と出力端子とが接続された演算増幅器41と、演算増幅器41の非反転入力端子と接地電位(=0V)との間に接続されたサンプルホールド用のコンデンサ42と、演算増幅器41の非反転入力端子とC−V変換回路2xの演算増幅器21の出力端子とを開閉するスイッチ43とから構成されている。
【0024】
そして、このサンプルホールド回路4xでは、スイッチ43が、スイッチ信号S1xによってオンされたときに、C−V変換回路2xの出力電圧Vsxをサンプリング(記憶)し、その後、スイッチ43がオフされても、サンプリングした電圧Vsxをホールド(保持)して、演算増幅器41の出力を、そのサンプリングした電圧Vsxのままにする。
【0025】
また、サンプルホールド回路5xも、サンプルホールド回路4xと同様に、反転入力端子と出力端子とが接続された演算増幅器51と、演算増幅器51の非反転入力端子と接地電位との間に接続されたコンデンサ52と、演算増幅器51の非反転入力端子とC−V変換回路2xの演算増幅器21の出力端子とを開閉するスイッチ53とから構成されている。
【0026】
そして、このサンプルホールド回路5xにおいても、スイッチ53が、スイッチ信号S2xによってオンされたときに、C−V変換回路2xの出力電圧Vsxをサンプリングし、その後、スイッチ53がオフされても、サンプリングした電圧Vsxをホールドして、演算増幅器51の出力を、そのサンプリングした電圧Vsxのままにする。
【0027】
一方、差動増幅回路6xは、演算増幅器61と、演算増幅器61の反転入力端子と出力端子との間に接続された抵抗62と、演算増幅器61の反転入力端子と演算増幅器41の出力端子との間に接続された抵抗63と、演算増幅器61の非反転入力端子と接地電位との間に接続された抵抗64と、演算増幅器61の非反転入力端子と演算増幅器51の出力端子との間に接続された抵抗65とから構成されている。そして、この差動増幅回路6xでは、演算増幅器61の出力端子から、サンプルホールド回路5xの出力(即ち、演算増幅器51の出力)とサンプルホールド回路4xの出力(即ち、演算増幅器41の出力)との差の電圧が出力される。
【0028】
そして、この差動増幅回路6xの出力(即ち、演算増幅器61の出力)から、ローパスフィルタ7xにより高周波のノイズが除去され、そのローパスフィルタ7xの出力が、検出信号OUTxとして出力される。
尚、Y軸方向用のC−V変換回路2yでは、演算増幅器21の反転入力端子がセンサエレメント部10yの出力端子(可動電極12)に接続されており、そのC−V変換回路2yのスイッチ23は、スイッチ信号SRyによってオン/オフされる。また、Y軸方向用の信号処理回路3yにおけるサンプルホールド回路4y,5yの各スイッチ43,53は、スイッチ信号S1y,S2yによってそれぞれオン/オフされる。
【0029】
そして、本実施形態の加速度検出装置において、上記各矩形波P1x,P2x,P1y,P2yと、上記各スイッチ信号SRx,S1x,S2x,SRy,S1y,S2yは、マイコン等を主要部とした制御回路8から、図2のようなタイミングで出力される。尚、本実施形態では、スイッチ信号SRx,S1x,S2x,SRy,S1y,S2yがハイレベルのときに、該当するスイッチがオンされる。
【0030】
そこで次に、本加速度検出装置の動作について、図2を参照して説明する。
最初に、X軸方向用のセンサエレメント部10xと、それに対応するC−V変換回路2x及び信号処理回路3xとの部分について説明する。
まず、前述したように、センサエレメント部10xの固定電極11,13には、図2の1段目及び2段目に示すような逆相の矩形波P1x,P2xがそれぞれ印加される。そして、本実施形態において、矩形波P1x,P2xの振幅は5V(ロー=0V,ハイ=5V)である。
【0031】
また、センサエレメント部10xの可動電極12には、C−V変換回路2xの演算増幅器21の働きにより、基準電圧Vr(=2.5V)の電圧がバイアスされる。これにより、可動電極12と固定電極11との間に形成される第1のコンデンサ(容量C1)、及び、可動電極12と固定電極13との間に形成される第2のコンデンサ(容量C2)には、常に2.5Vの電位差が与えられる。
【0032】
そして、矩形波P1x,P2xは、180°の位相差をもっているため、第1及び第2のコンデンサの共通電極である可動電極12には、(C1−C2)に比例すると共に、矩形波P1x,P2xの振幅(=5V)に比例した電荷量が蓄えられる。そして更に、(C1−C2)の差動変化は、可動電極12の変位によるものであり、即ち加速度に比例した変化である。よって、この電荷量の変化を検出することで、容量変化(=加速度の変化)を検出することができる。
【0033】
そこで、本実施形態では、図2に示すように、状態を▲1▼〜▲4▼の4つのステージに分けており、▲1▼リセット→▲2▼サンプルホールド1→▲3▼矩形波切替→▲4▼サンプルホールド2→▲1▼、の繰り返しを例えば10μsの間に行っている。尚、ここでは、可動電極12と固定電極11,13との間の容量C1,C2の関係が、C1>C2であるときの状態を説明する。
【0034】
まず、状態▲1▼のリセット期間では、スイッチ信号SRxによりC−V変換回路2xのスイッチ23がオンされて、コンデンサ22の電極間が短絡される(基準状態)。このとき、C1>C2の関係と、固定電極11,13に印加させる電圧の関係(P1x=5V,P2x=0V)とから、可動電極12の電荷量は負の電荷(−)が多い状態になる。
【0035】
次に、状態▲2▼では、上記スイッチ23のオンによる基準状態でのC−V変換回路2xの出カ電圧Vsxを、サンプルホールド回路4xによってサンプリングし記憶する。つまり、スイッチ信号S1xにより、サンプルホールド回路4xのスイッチ43が所定時間だけオンされる。
【0036】
そして、次の状態▲3▼では、固定電極11,13に印加している矩形波P1x,P2xの電圧が、それぞれ5V→OV、OV→5Vに反転される。すると、このとき、可動電極12の電荷の状態は、矩形波P1x,P2xの反転により正の電荷(+)が多くなる。しかし、可動電極12からC−V変換回路2xのコンデンサ22の間は閉回路であるため、状態▲1▼のときの電荷量が保存されている。よって、可動電極12の電荷のバランスから溢れた電荷(−)が、C−V変換回路2xのコンデンサ22(演算増幅器21の反転入カ端子側)に移動する。この電荷の移動により、演算増幅器21の出カ端子側のコンデンサ22の電極には、電荷(+)が蓄えられることになり、C−V変換回路2xの出力Vsxは、Q=Cf×Vの関係から、上記移動した電荷量((C1−C2)分の電荷量)に比例し、コンデンサ22の容量Cfに反比例した電圧値の変化となる。
【0037】
次に、状態▲4▼では、矩形波P1x,P2xが切り替わってからC−V変換回路2xの出カVsxが十分に安定すると見なされるタイミングで、そのC−V変換回路2xの出カ電圧Vsxを、サンプルホールド回路5xによってサンプリングし記憶する。つまり、スイッチ信号S2xにより、サンプルホールド回路5xのスイッチ53が所定時間だけオンされる。
【0038】
そして、最終的には、サンプルホールド回路5xの出力値SH2(即ち、上記状態▲4▼で記憶したC−V変換回路2xの出カ電圧)から、サンプルホールド回路4xの出力値SH1(即ち、上記状態▲2▼で記憶したC−V変換回路2xの出カ電圧)を引いた電圧であって、(C1−C2)と矩形波P1x,P2xの振幅(=5V)とに比例し、且つ、コンデンサ22の容量Cfに反比例した電圧(=SH2−SH1=(C1−C2)/Cf×5V)が、X軸方向の加速度に応じた検出信号OUTxとして信号処理回路3xのLPF7xから出力されることとなる。
【0039】
一方、Y軸方向用のセンサエレメント部10yと、それに対応するC−V変換回路2y及び信号処理回路3yについても、基本的には、X軸方向用のセンサエレメント部10x、C−V変換回路2x、及び信号処理回路3xと同様に制御されるが、サンプルホールド回路4y,5yのスイッチ43,53がオンされるタイミングのみ異なっている。
【0040】
つまり、図2に示すように、Y軸方向用の矩形波P1y,P2yとスイッチ信号SRyは、X軸方向用の矩形波P1x,P2x及びスイッチ信号SRxと同じタイミングで制御回路8から出力されるが、Y軸方向用のスイッチ信号S1y,S2yは、状態▲2▼と▲4▼のステージにおいて、X軸方向用のスイッチ信号S1x,S2xとはずれたタイミングで制御回路8から出力されるようになっており、これにより、各信号処理回路3x,3y同士でのサンプリングタイミングを故意にずらしている。
【0041】
より詳しく説明すると、スイッチ信号S1yは、スイッチ信号S1xがローレベルに戻ってから状態▲2▼のステージが終わるまでの期間内に所定時間だけハイレベルとなり、スイッチ信号S2yは、スイッチ信号S2xがローレベルに戻ってから状態▲4▼のステージが終わるまでの期間内に所定時間だけハイレベルとなる。このため、サンプルホールド回路4x,4y同士のサンプリングタイミングがずれると共に、サンプルホールド回路5x,5y同士のサンプリングタイミングもずれることとなる。
【0042】
ここで、このようにX軸方向用の回路側とY軸方向用の回路側とで、サンプリングタイミングをずらしているのは、一方の回路側のサンプル信号が何らかの形(回路信号ラインのカップリング、センサ基板電位の変動、信号の回り込み等)で他方の回路側の信号に伝播してしまい、その結果、誤差を持った信号がサンプリングされてしまうのを防ぐためである。
【0043】
具体例を挙げて説明すると、まず、図3に示すように、X軸方向用のC−V変換回路2xの出力信号ラインと、Y軸方向用のC−V変換回路2yの出力信号ラインとの間に、寄生容量31が存在していたとする。
すると、この場合、X軸方向用の信号処理回路3xにおけるサンプルホールド回路4x,5xがC−V変換回路2xの出力電圧Vsxをサンプリングした際に、Y軸方向用のC−V変換回路2yの出力電圧Vsyが変動してしまい、同様に、Y軸方向用の信号処理回路3yにおけるサンプルホールド回路4y,5yがC−V変換回路2yの出力電圧Vsyをサンプリングした際に、X軸方向用のC−V変換回路2xの出力電圧Vsxが変動してしまう可能性がある。
【0044】
よって、例えば図4(A)に示すように、X軸方向用のサンプルホールド回路4xとY軸方向用のサンプルホールド回路4yとで、サンプリングタイミングが同じであるとすると、サンプルホールド回路4xのサンプリングによって変動したC−V変換回路2yの出力電圧VsyをY軸方向用のサンプルホールド回路4yが記憶してしまい、また、サンプルホールド回路4yのサンプリングによって変動したC−V変換回路2xの出力電圧VsyをX軸方向用のサンプルホールド回路4xが記憶してしまう虞がある。
【0045】
このため、サンプルホールド回路4x,4yの双方に記憶される電圧が誤差のあるものになってしまい、その結果、X軸方向の加速度とY軸方向の加速度とを正確に検出することができなくなってしまう。そして、このことは、X軸方向用のサンプルホールド回路5xとY軸方向用のサンプルホールド回路5yとの関係においても同様である。尚、本実施形態の加速度検出装置では、各信号処理回路3x,3yからの検出信号OUTx,OUTyが、制御回路8又はそれとは別のマイコン等からなる演算処理回路に入力され、その制御回路8又は演算処理回路にて、上記検出信号OUTx,OUTyに基づきX軸方向の加速度とY軸方向の加速度とが算出される。
【0046】
また特に、本実施形態では、図3に示すように、2つのセンサエレメント部10x,10yが、同じ半導体基板上に形成されることで1つの加速度センサ1を成しているため、その2つのセンサエレメント部10x,10yの出力端子(可動電極12)同士は、当該加速度センサ1の半導体基板上の寄生容量15を介して接続されることとなる。よって、センサエレメント部10xからC−V変換回路2xへの信号ラインと、センサエレメント部10yからC−V変換回路2yへの信号ラインとが、上記半導体基板上の寄生容量15によって接続されることとなり、各信号処理回路3x,3yのサンプルホールド回路がサンプリング動作した際の他系統への影響が一層大きくなる。
【0047】
そこで、本実施形態の加速度検出装置では、各信号処理回路3x,3y同士でのサンプリングタイミング(詳しくは、サンプルホールド回路4x,4y同士のサンプリングタイミング、及びサンプルホールド回路5x,5y同士のサンプリングタイミング)を図2の如くずらすようにしている。
【0048】
このため、各信号処理回路3x,3yのサンプルホールド回路がサンプリング動作した際の他系統への影響をなくして、各信号処理回路3x,3yのサンプルホールド回路に記憶される電圧の誤差を低減することができる。
例えば図4(B)に示すように、X軸方向用の信号処理回路3xにおけるサンプルホールド回路4xがサンプリング動作した際に、Y軸方向用のC−V変換回路2yの出力電圧Vsyが変動したとしても、Y軸方向用の信号処理回路3yにおけるサンプルホールド回路4yは、サンプルホールド回路4xのサンプリングタイミングとは違うタイミングでC−V変換回路2yの出力電圧Vsyをサンプリングすることとなるため、サンプルホールド回路4xのサンプリングによって変動したC−V変換回路2yの出力電圧Vsyをサンプルホールド回路4yが記憶してしまうことが無く、同様に、Y軸方向用の信号処理回路3yにおけるサンプルホールド回路4yがサンプリング動作した際に、X軸方向用のC−V変換回路2xの出力電圧Vsxが変動したとしても、X軸方向用の信号処理回路3xにおけるサンプルホールド回路4xは、サンプルホールド回路4yのサンプリングタイミングとは違うタイミングでC−V変換回路2xの出力電圧Vsxをサンプリングすることとなるため、サンプルホールド回路4yのサンプリングによって変動したC−V変換回路2xの出力電圧Vsxをサンプルホールド回路4xが記憶してしまうことが無い。そして、このことは、X軸方向用のサンプルホールド回路5xとY軸方向用のサンプルホールド回路5yとの関係においても同様である。
【0049】
よって、本実施形態の加速度検出装置によれば、X軸方向の加速度とY軸方向の加速度とを精度良く検出すことが可能となる。そして、2つのセンサエレメント部10x,10yを同一の基板上に形成することによるセンサ小型化のメリットを十分に生かすことができる。
【0050】
尚、本実施形態においては、X軸方向用のセンサエレメント部10x及びC−V変換回路2xと、Y軸方向用のセンサエレメント部10y及びC−V変換回路2yとの各々が、検出対象の物理量に応じて出力電圧が変化する検出手段に相当している。
【0051】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
例えば、上記実施形態の装置は、2つのセンサエレメント部10x,10yによって2方向の加速度を検出するものであったが、センサエレメント部の数は、3つ以上であっても同様である。つまり、各方向用の信号処理回路同士で、サンプリングタイミングがずれるように設定すれば良い。
【0052】
また、検出対象の物理量は、加速度以外(例えばヨーレートや圧力等)であっても良い。また更に、検出手段を成すセンサとしては、力学的なエネルギーによって容量が変化する容量式のセンサに限らず、例えば温度に応じた電圧を出力する温度センサ等、他のタイプのセンサであっても良い。
【0053】
一方、図1では、X軸方向用の矩形波P1x,P2x及びスイッチ信号SRxと、Y軸方向用の矩形波P1y,P2y及びスイッチ信号SRyとが、制御回路8から別々に出力されるように記載しているが、その両方を区別せずに、例えば、矩形波P1y,P2y及びスイッチ信号SRyの方を削除して、矩形波P1x,P2xがY軸方向用のセンサエレメント部10yの固定電極11,13にも供給されると共に、スイッチ信号SRxがY軸方向用のC−V変換回路2yのスイッチ23にも供給されるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の加速度検出装置(物理量検出装置)の構成を表す構成図である。
【図2】実施形態の加速度検出装置の動作を表すタイムチャートである。
【図3】問題点を説明する説明図である。
【図4】実施形態の加速度検出装置の効果を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1…加速度センサ、2x,2y…C−V変換回路、3x,3y…信号処理回路、4x,4y,5x,5y…サンプルホールド回路、6x,6y…差動増幅回路、7x,7y…ローパスフィルタ、8…制御回路、10x,10y…センサエレメント部、11,13…固定電極、12…可動電極、21,41,51,61…演算増幅器、22,42,52…コンデンサ、23,43,53…スイッチ、62〜65…抵抗

Claims (3)

  1. 検出対象の物理量に応じて出力電圧が変化する検出手段と、該検出手段の出力電圧を一定時間毎にサンプリングしてホールドする信号処理回路とを、複数組備えた物理量検出装置において、
    前記各信号処理回路のサンプリングタイミングがずれて設定されていること、
    を特徴とする物理量検出装置。
  2. 請求項1に記載の物理量検出装置において、
    前記各検出手段は、検出対象の物理量に応じて容量が変化するセンサエレメント部と、該センサエレメント部の容量変化を電圧に変換して出力する容量−電圧変換回路とからなり、
    更に、前記各検出手段のセンサエレメント部は、同一の基板上に形成されていること、
    を特徴とする物理量検出装置。
  3. 請求項2に記載の物理量検出装置において、
    前記センサエレメント部は、
    電気的に直列に接続された2つのコンデンサであって、そのうちの少なくとも一方の容量が物理量に応じて変化する第1及び第2のコンデンサを有すると共に、前記第1及び第2のコンデンサの両端のノードに互いに逆相の第1及び第2の矩形波が印加されるものであり、
    前記容量−電圧変換回路は、
    前記第1及び第2のコンデンサの接続点に接続されて、該第1及び第2のコンデンサの容量差を電圧に変換する回路であること、
    を特徴とする物理量検出装置。
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