JP2004144048A - ハイブリッドコンプレッサ - Google Patents
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- F04C2240/00—Components
- F04C2240/45—Hybrid prime mover
Abstract
【課題】駆動源から圧縮機への駆動力の変速を可能とするものにおいて、軸方向寸法の小型化を可能とするハイブリッドコンプレッサを提供する。
【解決手段】流体を吸入圧縮する圧縮機140と、外部駆動源の駆動力を断続手段120を介して圧縮機140に伝達する外部駆動部110と、モータ130の駆動力を減速して圧縮機140に伝達する変速機構160とを有し、外部駆動部110あるいはモータ130のいずれかを駆動源として圧縮機140が作動されるハイブリッドコンプレッサにおいて、変速機構160をモータ130の内方に配設する。
【選択図】 図1
【解決手段】流体を吸入圧縮する圧縮機140と、外部駆動源の駆動力を断続手段120を介して圧縮機140に伝達する外部駆動部110と、モータ130の駆動力を減速して圧縮機140に伝達する変速機構160とを有し、外部駆動部110あるいはモータ130のいずれかを駆動源として圧縮機140が作動されるハイブリッドコンプレッサにおいて、変速機構160をモータ130の内方に配設する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アイドルストップ車両やハイブリッド車両に搭載される冷凍サイクル装置に適用して好適なハイブリッドコンプレッサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、省燃費の観点よりいわゆるアイドルストップ車両やハイブリッド車両が市場に投入される例が有る。これらの車両においては、走行状態(アイドルストップ車両では一時停車時、ハイブリッド車両では一時停車時、発進時、低速走行時等)に応じてエンジンを停止させるようにしているため、エンジンの駆動力を受けて作動する冷凍サイクル装置内の圧縮機も停止することになり、エンジン停止中は冷房装置として作動しないことになる。
【0003】
この解決策として例えば、特許文献1に示すようなハイブリッドコンプレッサが知られている。即ち、このハイブリッドコンプレッサにおいては、エンジンの回転が伝達されるプーリと圧縮機とを電磁クラッチを介して連結させ、また圧縮機の回転軸にモータを連結させている。更に、プーリあるいはモータの駆動力を変速して圧縮機に伝達する変速機構を有している。
【0004】
これにより、エンジン停止時には電磁クラッチをOFFにして、モータの駆動力によって圧縮機を作動させることができ、エンジン停止時においても冷凍サイクル装置を作動させ、冷房機能を果たすようにしている。そして、プーリあるいはモータの駆動力を変速して圧縮機に伝達することで、各駆動源および圧縮機の各特性を相互に調和させるようにしている。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−93876号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1における従来技術では、プーリ、モータ、圧縮機が軸方向に直列に配置される中で、更に変速機構をプーリとモータとの間に介在させるようにしているので、軸方向寸法が長くなり、例えば車両への搭載性の悪化を招いていた。
【0007】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、駆動源から圧縮機への駆動力の変速を可能とするものにおいて、軸方向寸法の小型化を可能とするハイブリッドコンプレッサを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
【0009】
請求項1に記載の発明では、流体を吸入圧縮する圧縮機(140)と、外部駆動源の駆動力を断続手段(120)を介して圧縮機(140)に伝達する外部駆動部(110)と、モータ(130)の駆動力を減速して圧縮機(140)に伝達する変速機構(160)とを有し、外部駆動部(110)あるいはモータ(130)のいずれかを駆動源として圧縮機(140)が作動されるハイブリッドコンプレッサにおいて、変速機構(160)は、モータ(130)の内方に配設されたことを特徴としている。
【0010】
これにより、変速機構(160)に必要とされる寸法分をモータ(130)部分で吸収することができるので、軸方向寸法の小型化が可能となる。
【0011】
請求項2に記載の発明では、変速機構(160)は、モータ(130)のロータ部(134)に組み込まれたことを特徴としている。
【0012】
これにより、変速機構(160)をロータ部(134)の回転部材として共用でき、変速機構(160)の設定が容易にできる。
【0013】
請求項3に記載の発明では、変速機構(160)は、遊星歯車(160)であり、遊星歯車(160)を構成する歯車(163)の一部には、永久磁石(134a)が設けられてロータ部(134)を成すことを特徴としている。
【0014】
これにより、例えば遊星歯車(160)のリングギヤ(163)に永久磁石(134a)を設けることでモータ(130)のロータ部(134)として形成できる。
【0015】
請求項4に記載の発明では、圧縮機(140)は、スクロール式圧縮機(140)としたことを特徴としている。
【0016】
これにより、圧縮機(140)を構成するスクロール(144、145)によって、もともと大径となるスクロール式圧縮機(140)では、モータ(130)内方への変速機構(160)の設置が容易となり、軸方向寸法の小型化に用いて好適である。
【0017】
尚、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態を図1〜図4に示し、まず、具体的な構成について図1、図2を用いて説明する。
【0019】
ハイブリッドコンプレッサ100は、走行中に一時停車した時に車両エンジン(以下、エンジン)が停止されるいわゆるアイドルストップ車両に搭載される冷凍サイクル装置に適用され、この冷凍サイクル内の冷媒(流体)を吸入して高温高圧に圧縮するものである。
【0020】
ハイブリッドコンプレッサ100は、主にプーリ110、電磁クラッチ120、モータ130、圧縮機140および遊星歯車160から成る。
【0021】
外部駆動部としてのプーリ110は、モータハウジング131に固定されたプーリ軸受け111によって回転可能に支持され、エンジンの駆動力がベルト(図示せず)を介して伝達され回転駆動するようにしている。プーリ110の中心部には駆動軸112が設けられており、この駆動軸112は、モータハウジング131に固定された軸受け113によって回転可能に支持されている。
【0022】
断続手段としての電磁クラッチ120は、後述する圧縮機140に伝達されるエンジンの駆動力を断続するものであり、モータハウジング131に固定されるコイル121とハブ122とから成る。そして、ハブ122はナット123によって駆動軸112に固定されている。周知のように電磁クラッチ120は、コイル121に通電されるとハブ122がプーリ110に吸着されエンジンの駆動力を駆動軸112に伝達する(クラッチON)。逆にコイル121への通電を遮断するとハブ122はプーリ110から離れ、エンジンの駆動力は切り離される(クラッチOFF)。
【0023】
モータ130は交流3相モータであり、モータハウジング131の内周面に固定されコイル135aが設けられたステータ部135と、後述する遊星歯車160が組み込まれ、そのリングギヤ163の外周部に永久磁石134aが設けられたロータ部134とから成る。そして、電源としてのバッテリ(図示せず)からの電力がインバータ(図示せず)を通してステータ部135のコイル135aに供給されることによりロータ部134は回転駆動される。
【0024】
圧縮機140は、ここでは1回転当りの吐出容量が所定値として設定されている固定容量型圧縮機、更に具体的には周知のスクロール式圧縮機としており、圧縮機ハウジング141に固定される固定スクロール144と、圧縮機軸142の反プーリ側に設けられた偏心部142aおよび自転防止機構146によって公転する可動スクロール145とを有している。圧縮機軸142は、駆動軸112と同一軸線上で連結されており、モータ130と圧縮機140との間を仕切る仕切り板131aに固定された軸受け143によって回転可能に支持されている。そして、図示しない吸入ポートから吸入される冷媒を圧縮室147で圧縮し、吐出室148を経て圧縮機ハウジング141に設けられた吐出ポート141aから吐出するようにしている。
【0025】
更に、モータ130の内方には変速機構としての遊星歯車160が設けられている。遊星歯車160は、周知のものであって、中心部に設けられたサンギヤ161と、サンギヤ161の外周で自転しつつ公転するピニオンギヤ162aに連結されるプラネタリーキャリヤ162と、ピニオンギヤ162aの更に外周に設けられたリング状のリングギヤ163とから成る。
【0026】
ここでは、サンギヤ161は、仕切り板131aに固定され、プラネタリーキャリヤ162は、後述する一方向クラッチ150を介して圧縮機軸142に接続されている。また、リングギヤ163は、仕切り板131aに固定された軸受け133によって回転可能に支持され、上記したようにその外周部には永久磁石134aが設けられている。このように、遊星歯車160は、モータ130のロータ部134に組み込まれるように構成されている。
【0027】
一方向クラッチ150は、圧縮機軸142およびプラネタリーキャリヤ162の回転駆動を規制するものであり、プラネタリーキャリヤ162は、圧縮機軸142に対してプーリ110の回転方向(正回転方向)には噛み合い状態となって圧縮機軸142と共に回転駆動するが、逆に圧縮機軸142に対して逆回転方向には空回り状態となる(プラネタリーキャリヤ162が停止している時に圧縮機軸142がプーリ110と共に回転するとプラネタリーキャリヤ162は空回り状態となる)。
【0028】
次に、上記構成に基づくハイブリッドコンプレッサ100の作動について、図3、図4を用いて説明する。
【0029】
まず、エンジン作動(図3中のb)により車両が走行している場合(図3中のa)は、電磁クラッチ120がON(図3中のc)され、エンジンの駆動力はプーリ110に伝達される。更にこの駆動力は、駆動軸112から圧縮機軸142を経て圧縮機140に伝達され、圧縮機140が作動される。尚、エンジン回転数をNe、プーリ比をXp、圧縮機回転数をNcとすると、プーリ回転数NpはXp×Neであり、Nc=Np=Xp×Neとなる(図3中のe)。
【0030】
この時、一方向クラッチ150によって、遊星歯車160のプラネタリーキャリヤ162は空回り状態となり、モータ130は非作動状態が維持される(図3中のd)。
【0031】
そして、車両が一時停車し(図3中のa1)、アイドルストップ機能によりエンジンが停止(図3中のb1)すると、電磁クラッチ120はOFF(図3中のc1)され、モータ130が作動(図3中のd1)される。即ち、ロータ部134(遊星歯車160のリングギヤ163)が回転駆動し、これに対応するプラネタリーキャリヤ162が回転駆動する。すると、プラネタリーキャリヤ162は、一方向クラッチ150によって圧縮機軸142と噛み合い、モータ120の駆動力は圧縮機140に伝達され、圧縮機140が作動される。そして、エンジン停止時の冷房機能が確保される。
【0032】
この時、図4の共線図に示すように、圧縮機140は、モータ130に対して、リングギヤ163とプラネタリーキャリヤ162とのギヤ比Xg分だけ減速されて作動する。即ち、モータ回転数をNmとすると、圧縮機回転数Nc=Xg×Nmとなる(図3中のe1)。このモータ回転数Nmとギヤ比Xgを適切に選定することで、圧縮機140の冷媒吐出量が確保される。また、モータ130の駆動力(回転数)を減速して圧縮機140に伝達することで、モータ130を高回転、低トルク型として小型化、低コスト化を可能としている。
【0033】
以上のように、本発明においてはモータ130の駆動力を減速して圧縮機140に伝達するための変速機構160をモータ130の内方に配設しているので、変速機構160に必要とされる寸法分をモータ130部分で吸収することができ、軸方向寸法の小型化が可能となる。
【0034】
具体的には、変速機構として遊星歯車160を用いて、ロータ部134に組み込むようにしているので、リングギヤ163をロータ部134の回転部材として共用でき、変速機構160の設定が容易にできる。
【0035】
また、圧縮機140を構成するスクロール144、145によって、もともと大径となるスクロール式圧縮機140を用いているので、モータ130内方への変速機構160の設置が容易となる。
【0036】
(その他の実施形態)
上記第1実施形態では変速機構として遊星歯車160を適用するものとして説明したが、遊星歯車160に代えて遊星ローラやディファレンシャルギヤ等としても良い。
【0037】
また、圧縮機140は、固定容量型のものの中でもスクロール式のものに限らず、ピストン式やロータリ式のもの等としても良い。
【0038】
更に、対象とする車両としては、走行用モータを有し、走行中においても所定の走行条件に応じてエンジンが停止されるいわゆるハイブリッド車両としても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態におけるハイブリッドコンプレッサを示す断面図である。
【図2】図1におけるA−A部の断面図である。
【図3】ハイブリッドコンプレッサ作動時における(a)は車速、(b)はエンジン回転数、(c)は電磁クラッチのON−OFF状態、(d)はモータ回転数、(e)は圧縮機回転数を示すタイムチャートである。
【図4】モータおよび圧縮機の作動回転数を示す共線図である。
【符号の説明】
100 ハイブリッドコンプレッサ
110 プーリ(外部駆動部)
120 電磁クラッチ(断続手段)
130 モータ
134 ロータ部
134a 永久磁石
140 圧縮機
160 遊星歯車(変速機構)
163 リングギヤ
【発明の属する技術分野】
本発明は、アイドルストップ車両やハイブリッド車両に搭載される冷凍サイクル装置に適用して好適なハイブリッドコンプレッサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、省燃費の観点よりいわゆるアイドルストップ車両やハイブリッド車両が市場に投入される例が有る。これらの車両においては、走行状態(アイドルストップ車両では一時停車時、ハイブリッド車両では一時停車時、発進時、低速走行時等)に応じてエンジンを停止させるようにしているため、エンジンの駆動力を受けて作動する冷凍サイクル装置内の圧縮機も停止することになり、エンジン停止中は冷房装置として作動しないことになる。
【0003】
この解決策として例えば、特許文献1に示すようなハイブリッドコンプレッサが知られている。即ち、このハイブリッドコンプレッサにおいては、エンジンの回転が伝達されるプーリと圧縮機とを電磁クラッチを介して連結させ、また圧縮機の回転軸にモータを連結させている。更に、プーリあるいはモータの駆動力を変速して圧縮機に伝達する変速機構を有している。
【0004】
これにより、エンジン停止時には電磁クラッチをOFFにして、モータの駆動力によって圧縮機を作動させることができ、エンジン停止時においても冷凍サイクル装置を作動させ、冷房機能を果たすようにしている。そして、プーリあるいはモータの駆動力を変速して圧縮機に伝達することで、各駆動源および圧縮機の各特性を相互に調和させるようにしている。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−93876号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1における従来技術では、プーリ、モータ、圧縮機が軸方向に直列に配置される中で、更に変速機構をプーリとモータとの間に介在させるようにしているので、軸方向寸法が長くなり、例えば車両への搭載性の悪化を招いていた。
【0007】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、駆動源から圧縮機への駆動力の変速を可能とするものにおいて、軸方向寸法の小型化を可能とするハイブリッドコンプレッサを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
【0009】
請求項1に記載の発明では、流体を吸入圧縮する圧縮機(140)と、外部駆動源の駆動力を断続手段(120)を介して圧縮機(140)に伝達する外部駆動部(110)と、モータ(130)の駆動力を減速して圧縮機(140)に伝達する変速機構(160)とを有し、外部駆動部(110)あるいはモータ(130)のいずれかを駆動源として圧縮機(140)が作動されるハイブリッドコンプレッサにおいて、変速機構(160)は、モータ(130)の内方に配設されたことを特徴としている。
【0010】
これにより、変速機構(160)に必要とされる寸法分をモータ(130)部分で吸収することができるので、軸方向寸法の小型化が可能となる。
【0011】
請求項2に記載の発明では、変速機構(160)は、モータ(130)のロータ部(134)に組み込まれたことを特徴としている。
【0012】
これにより、変速機構(160)をロータ部(134)の回転部材として共用でき、変速機構(160)の設定が容易にできる。
【0013】
請求項3に記載の発明では、変速機構(160)は、遊星歯車(160)であり、遊星歯車(160)を構成する歯車(163)の一部には、永久磁石(134a)が設けられてロータ部(134)を成すことを特徴としている。
【0014】
これにより、例えば遊星歯車(160)のリングギヤ(163)に永久磁石(134a)を設けることでモータ(130)のロータ部(134)として形成できる。
【0015】
請求項4に記載の発明では、圧縮機(140)は、スクロール式圧縮機(140)としたことを特徴としている。
【0016】
これにより、圧縮機(140)を構成するスクロール(144、145)によって、もともと大径となるスクロール式圧縮機(140)では、モータ(130)内方への変速機構(160)の設置が容易となり、軸方向寸法の小型化に用いて好適である。
【0017】
尚、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態を図1〜図4に示し、まず、具体的な構成について図1、図2を用いて説明する。
【0019】
ハイブリッドコンプレッサ100は、走行中に一時停車した時に車両エンジン(以下、エンジン)が停止されるいわゆるアイドルストップ車両に搭載される冷凍サイクル装置に適用され、この冷凍サイクル内の冷媒(流体)を吸入して高温高圧に圧縮するものである。
【0020】
ハイブリッドコンプレッサ100は、主にプーリ110、電磁クラッチ120、モータ130、圧縮機140および遊星歯車160から成る。
【0021】
外部駆動部としてのプーリ110は、モータハウジング131に固定されたプーリ軸受け111によって回転可能に支持され、エンジンの駆動力がベルト(図示せず)を介して伝達され回転駆動するようにしている。プーリ110の中心部には駆動軸112が設けられており、この駆動軸112は、モータハウジング131に固定された軸受け113によって回転可能に支持されている。
【0022】
断続手段としての電磁クラッチ120は、後述する圧縮機140に伝達されるエンジンの駆動力を断続するものであり、モータハウジング131に固定されるコイル121とハブ122とから成る。そして、ハブ122はナット123によって駆動軸112に固定されている。周知のように電磁クラッチ120は、コイル121に通電されるとハブ122がプーリ110に吸着されエンジンの駆動力を駆動軸112に伝達する(クラッチON)。逆にコイル121への通電を遮断するとハブ122はプーリ110から離れ、エンジンの駆動力は切り離される(クラッチOFF)。
【0023】
モータ130は交流3相モータであり、モータハウジング131の内周面に固定されコイル135aが設けられたステータ部135と、後述する遊星歯車160が組み込まれ、そのリングギヤ163の外周部に永久磁石134aが設けられたロータ部134とから成る。そして、電源としてのバッテリ(図示せず)からの電力がインバータ(図示せず)を通してステータ部135のコイル135aに供給されることによりロータ部134は回転駆動される。
【0024】
圧縮機140は、ここでは1回転当りの吐出容量が所定値として設定されている固定容量型圧縮機、更に具体的には周知のスクロール式圧縮機としており、圧縮機ハウジング141に固定される固定スクロール144と、圧縮機軸142の反プーリ側に設けられた偏心部142aおよび自転防止機構146によって公転する可動スクロール145とを有している。圧縮機軸142は、駆動軸112と同一軸線上で連結されており、モータ130と圧縮機140との間を仕切る仕切り板131aに固定された軸受け143によって回転可能に支持されている。そして、図示しない吸入ポートから吸入される冷媒を圧縮室147で圧縮し、吐出室148を経て圧縮機ハウジング141に設けられた吐出ポート141aから吐出するようにしている。
【0025】
更に、モータ130の内方には変速機構としての遊星歯車160が設けられている。遊星歯車160は、周知のものであって、中心部に設けられたサンギヤ161と、サンギヤ161の外周で自転しつつ公転するピニオンギヤ162aに連結されるプラネタリーキャリヤ162と、ピニオンギヤ162aの更に外周に設けられたリング状のリングギヤ163とから成る。
【0026】
ここでは、サンギヤ161は、仕切り板131aに固定され、プラネタリーキャリヤ162は、後述する一方向クラッチ150を介して圧縮機軸142に接続されている。また、リングギヤ163は、仕切り板131aに固定された軸受け133によって回転可能に支持され、上記したようにその外周部には永久磁石134aが設けられている。このように、遊星歯車160は、モータ130のロータ部134に組み込まれるように構成されている。
【0027】
一方向クラッチ150は、圧縮機軸142およびプラネタリーキャリヤ162の回転駆動を規制するものであり、プラネタリーキャリヤ162は、圧縮機軸142に対してプーリ110の回転方向(正回転方向)には噛み合い状態となって圧縮機軸142と共に回転駆動するが、逆に圧縮機軸142に対して逆回転方向には空回り状態となる(プラネタリーキャリヤ162が停止している時に圧縮機軸142がプーリ110と共に回転するとプラネタリーキャリヤ162は空回り状態となる)。
【0028】
次に、上記構成に基づくハイブリッドコンプレッサ100の作動について、図3、図4を用いて説明する。
【0029】
まず、エンジン作動(図3中のb)により車両が走行している場合(図3中のa)は、電磁クラッチ120がON(図3中のc)され、エンジンの駆動力はプーリ110に伝達される。更にこの駆動力は、駆動軸112から圧縮機軸142を経て圧縮機140に伝達され、圧縮機140が作動される。尚、エンジン回転数をNe、プーリ比をXp、圧縮機回転数をNcとすると、プーリ回転数NpはXp×Neであり、Nc=Np=Xp×Neとなる(図3中のe)。
【0030】
この時、一方向クラッチ150によって、遊星歯車160のプラネタリーキャリヤ162は空回り状態となり、モータ130は非作動状態が維持される(図3中のd)。
【0031】
そして、車両が一時停車し(図3中のa1)、アイドルストップ機能によりエンジンが停止(図3中のb1)すると、電磁クラッチ120はOFF(図3中のc1)され、モータ130が作動(図3中のd1)される。即ち、ロータ部134(遊星歯車160のリングギヤ163)が回転駆動し、これに対応するプラネタリーキャリヤ162が回転駆動する。すると、プラネタリーキャリヤ162は、一方向クラッチ150によって圧縮機軸142と噛み合い、モータ120の駆動力は圧縮機140に伝達され、圧縮機140が作動される。そして、エンジン停止時の冷房機能が確保される。
【0032】
この時、図4の共線図に示すように、圧縮機140は、モータ130に対して、リングギヤ163とプラネタリーキャリヤ162とのギヤ比Xg分だけ減速されて作動する。即ち、モータ回転数をNmとすると、圧縮機回転数Nc=Xg×Nmとなる(図3中のe1)。このモータ回転数Nmとギヤ比Xgを適切に選定することで、圧縮機140の冷媒吐出量が確保される。また、モータ130の駆動力(回転数)を減速して圧縮機140に伝達することで、モータ130を高回転、低トルク型として小型化、低コスト化を可能としている。
【0033】
以上のように、本発明においてはモータ130の駆動力を減速して圧縮機140に伝達するための変速機構160をモータ130の内方に配設しているので、変速機構160に必要とされる寸法分をモータ130部分で吸収することができ、軸方向寸法の小型化が可能となる。
【0034】
具体的には、変速機構として遊星歯車160を用いて、ロータ部134に組み込むようにしているので、リングギヤ163をロータ部134の回転部材として共用でき、変速機構160の設定が容易にできる。
【0035】
また、圧縮機140を構成するスクロール144、145によって、もともと大径となるスクロール式圧縮機140を用いているので、モータ130内方への変速機構160の設置が容易となる。
【0036】
(その他の実施形態)
上記第1実施形態では変速機構として遊星歯車160を適用するものとして説明したが、遊星歯車160に代えて遊星ローラやディファレンシャルギヤ等としても良い。
【0037】
また、圧縮機140は、固定容量型のものの中でもスクロール式のものに限らず、ピストン式やロータリ式のもの等としても良い。
【0038】
更に、対象とする車両としては、走行用モータを有し、走行中においても所定の走行条件に応じてエンジンが停止されるいわゆるハイブリッド車両としても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態におけるハイブリッドコンプレッサを示す断面図である。
【図2】図1におけるA−A部の断面図である。
【図3】ハイブリッドコンプレッサ作動時における(a)は車速、(b)はエンジン回転数、(c)は電磁クラッチのON−OFF状態、(d)はモータ回転数、(e)は圧縮機回転数を示すタイムチャートである。
【図4】モータおよび圧縮機の作動回転数を示す共線図である。
【符号の説明】
100 ハイブリッドコンプレッサ
110 プーリ(外部駆動部)
120 電磁クラッチ(断続手段)
130 モータ
134 ロータ部
134a 永久磁石
140 圧縮機
160 遊星歯車(変速機構)
163 リングギヤ
Claims (4)
- 流体を吸入圧縮する圧縮機(140)と、
外部駆動源の駆動力を断続手段(120)を介して前記圧縮機(140)に伝達する外部駆動部(110)と、
外部電源の電力を受けて回転駆動するモータ(130)と、
前記モータ(130)の駆動力を減速して前記圧縮機(140)に伝達する変速機構(160)とを有し、
前記外部駆動部(110)あるいは前記モータ(130)のいずれかを駆動源として前記圧縮機(140)が作動されるハイブリッドコンプレッサにおいて、
前記変速機構(160)は、前記モータ(130)の内方に配設されたことを特徴とするハイブリッドコンプレッサ。 - 前記変速機構(160)は、前記モータ(130)のロータ部(134)に組み込まれたことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッドコンプレッサ。
- 前記変速機構(160)は、遊星歯車(160)であり、
前記遊星歯車(160)を構成する歯車(163)の一部には、永久磁石(134a)が設けられて前記ロータ部(134)を成すことを特徴とする請求項2に記載のハイブリッドコンプレッサ。 - 前記圧縮機(140)は、スクロール式圧縮機(140)としたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のハイブリッドコンプレッサ。
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JP2002311647A JP2004144048A (ja) | 2002-10-25 | 2002-10-25 | ハイブリッドコンプレッサ |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2019122224A1 (de) * | 2017-12-21 | 2019-06-27 | Powertrans S.A. | Elektromechanisches system sowie überlagerungsgetriebe zur übertragung von rotationsenergie |
CN113236564A (zh) * | 2021-06-16 | 2021-08-10 | 山东楷晋机电科技有限公司 | 用于双动力压缩机的防止电机转子回转控制方法 |
-
2002
- 2002-10-25 JP JP2002311647A patent/JP2004144048A/ja active Pending
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WO2019122224A1 (de) * | 2017-12-21 | 2019-06-27 | Powertrans S.A. | Elektromechanisches system sowie überlagerungsgetriebe zur übertragung von rotationsenergie |
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