JP4131407B2 - 補機駆動型エンジン始動装置 - Google Patents
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Description
(実施例1)
実施例1の補機駆動型エンジン始動装置の模式ブロック図を図1に示す。
〔エンジン始動動作〕
電動機5を一方向(たとえば時計方向)に回転させると、その回転力すなわちトルクは一方向クラッチ4を通じて減速機構3に入力され、減速機構3により減速された後、プーリ1、ベルト10を通じてクランクプーリ9に伝達され、エンジン8が始動される。この時、一方向クラッチ6は開放状態となっており、電動機5はエンジン始動時にコンプレッサ7を駆動することはない。エンジン始動が完了した後、電動機5への給電を停止すると、エンジン8はプーリ1、一方向クラッチ2、減速機構3、一方向クラッチ4を通じて電動機5を駆動しようとするが、一方向クラッチ2が開放状態となるため、減速機構3及び電動機5が駆動されて電動機5がオーバーランするのが防止される。
〔電動コンプレッサ動作〕
エンジン停止時に電動機5を他方向(たとえば反時計方向)に回転させると、その回転力すなわちトルクは一方向クラッチ6を通じてコンプレッサ7に伝達され、コンプレッサ7が電動駆動される。この時、一方向クラッチ4は回転方向がトルク伝達方向に対して反対となっているため、開放され、電動機5が減速機構3を通じてエンジンを駆動することはない。
〔補機駆動状態からのエンジン始動動作〕
上記した電動機5によりコンプレッサ7を駆動している状態にてエンジン始動を行うには、まず電動機5を停止させ、その後、電動機5を逆方向に回転させ、上記したエンジン始動動作を行えばよい。
(変形態様)
上記した実施例では、電動機5とエンジン8との間にトルク伝達方向が等しい二つの一方向クラッチ2、4を減速機構3の両側に個別に設けている。これにより、エンジン8の始動完了後にエンジン8が電動機5を駆動しようとする場合には一方向クラッチ2が開放状態となって減速機構3の回転を防止し、電動機5によりコンプレッサ7を駆動する場合には一方向クラッチ4が開放状態となって減速機構3の回転を防止することができる。したがって、通常のエンジン回転時にも、電動コンプレッサ動作時にも減速機構3が駆動されて無駄な摩擦損失や摩耗、発熱などの問題が生じることがない。もちろん、一方向クラッチ2、4のどちらか、たとえば一方向クラッチ4を省略することも可能である。
(変形態様)
上記実施例では、インターナルギヤ33は図示しないハウジングに固定されていたが、インターナルギヤ33を一方向クラッチ(インターナルギヤ付き一方向クラッチと呼ぶものとする)を通じてハウジングに固定されてもよい。この場合には、一方向クラッチ2又は4を省略することができる。
(実施例2)
実施例2の補機駆動型エンジン始動装置の模式ブロック図を図2に示す。
(実施例3)
実施例2の補機駆動型エンジン始動装置Bを具体化した実施態様を図3に示す。なお、図3では、構造をわかりやすく図示するためにほとんどの断面表示用のハッチングを省略するものとする。
この補機駆動型エンジン始動装置Bは、プーリ1、一方向クラッチ2、減速機構3、一方向クラッチ4、電動機5、一方向クラッチ6、エアコン用のコンプレッサ7を有している。一方向クラッチ2はプーリ1と減速機構3との間に、一方向クラッチ4は減速機構3と電動機5との間に、一方向クラッチ6は電動機5とコンプレッサ7との間に配置されている。
電動機5は、通常のIPMであるがそれに限定されないことはもちろんである。電動機5自体は周知であるため、その基本部分のみ簡単に説明する。モータハウジング103の内周面に固定されたステータコア51、ステータコア51に巻装されたステータコイル52、ステータコアの径方向内側に配置されたロータ53、ロータ53に嵌挿された中空のモータ回転軸54をもつ。モータ回転軸54は、モータハウジング103及びセンターハウジング106に軸受55、56を介して回転自在に支承されている。
減速機構3は、通常の遊星減速機構であるがそれに限定されないことはもちろんである。遊星減速機構自体は周知であるため、その基本部分のみ簡単に説明する。減速機構3は、上記ギヤ室内において、回転軸31に形成されたサンギヤ32、インターナルギヤ33、遊星ギヤ34を有している。フロントハウジング102には遊星ギヤ枢支ピン37が植設され、遊星ギヤ枢支ピン37には軸受38により遊星ギヤ34が回転自在に枢支されている。回転軸35は軸受39により減速機構ハウジング101に回転自在に支承され、回転軸31の前端部は軸受により回転自在に支承されている。40は冷媒封入用のメカニカルシールである。
プーリ1は、プーリーナット16により減速機構3の回転軸35に螺着された基筒部17と、基筒部17の外周面に軸受18により回転自在に支承されるプーリ部19とを有している。基筒部17とプーリ部19との間には軸受18に隣接して一方向クラッチ2が配置されている。プーリーナット16と基筒部17とは一体に形成されている。なお、上記した一方向クラッチ2、4、6は通常のエンジン始動用のスタータに用いられるオーバーランニングクラッチと同一構造のものでもよく、その他の公知の一方向クラッチ構造を採用してもよい。
コンプレッサ7は、スクロール型であるが、それに限定されないことは当然である。コンプレッサ7の外殻は、センターハウジング106と、その後部の固定スクロール72と、リヤハウジンング104とからなる。73はセンターハウジング106と固定スクロール72との間に配置された旋回スクロールである。コンプレッサ7の回転軸71は、センターハウジング106を貫通して、旋回スクロール73に係合している。回転軸71の後端部は、フランジ状に拡径された拡径部71bを有する。拡径部71bは回転軸54の右端面にスラスト軸受74を介してスラスト荷重担持可能に相対回転自在となっている。
運転者が操作するスイッチによる手動指令により或いは電子制御装置による自動指令により、車両用空調装置の冷媒圧縮機としてのコンプレッサ7の駆動が指令されると、バッテリ電源11からインバータ13を通じて3相交流電力が電動機5のステータコイル52に供給され、ロータ53の回転力が一方向クラッチ6を介して回転軸71へ伝達される。回転軸71の偏心軸部71cが回転すると、旋回スクロール73も回転しようとするが、旋回スクロール73は図示しない自転防止機構により自転が阻止されているため、旋回スクロール73は固定スクロール72と噛み合った状態で公転のみを行う。その結果、固定スクロール72の渦巻き形の羽根部72bと、それに噛み合う旋回スクロール73の渦巻き形の羽根部73bとの間に形成される作動室82が外周部の吸入室81に向かって開いた時に、冷凍サイクルの蒸発器から吸入室81へ戻ってくる低圧の冷媒が作動室82内へ取り込まれる。旋回スクロール73が公転を続けることによって、外周部の作動室82が閉じて中心部に向かって移動する間に作動室82の容積が連続的に縮小するので、作動室82内に閉じ込められた冷媒が圧縮される。加圧された冷媒は中心部において作動室82が開いた時に吐出口77から吐出弁79を押し開いて吐出室80へ吐出される。吐出室80の高圧の冷媒は、吐出ポート(図略)から冷凍サイクルの凝縮器(図略)へ送られる。
エンジン停止状態からエンジン運転を再開する場合、走行系の電子制御装置の指令に基づき、バッテリ電源11からインバータ13を通し3相交流電力が電動機5のステータコイル52へ供給され、ロータ53の回転力は一方向クラッチ4を介して回転軸31へ伝達される。回転軸31の先端部に設けられたサンギヤ32に噛合する遊星ギヤ(プラネタリギヤ)34により回転力は反転してインターナルギヤ33に伝達され、インターナルギヤ33に連結された回転軸35に伝達された回転力は、プーリーナット16と一体の基筒部17、一方向クラッチ2を介してプーリ部19に伝達され、プーリ部19からベルトを介してエンジンのクランクプーリに伝達され、電子制御装置の指令する所定のエンジン回転数に達するまで電動機5が回転力を発生させる。エンジン回転数が所定値に達すると電子制御装置からの停止指令により電動機5はそのロータ53の回転エネルギーを回生しつつそれを停止させる。この時、エンジンによりプーリ部19は駆動されるが、一方向クラッチ2によりその回転力(トルク)の伝達は遮断されるため、減速機構3及び電動機5の過回転(オーバラン)が阻止される。
エンジン始動時にコンプレッサ7が駆動状態にある場合、走行系の電子制御装置は、まず補機駆動停止指令を出す。これに従いインバータ13は電動機5を回生制動してそれを停止させる。電動機5が停止したとみなすことができる回転数に達した時、走行系の電子制御装置はエンジン始動指令を出す。それに従って、インバータ13は、電動機5を補機駆動時と逆方向に回転する3相交流を供給し、電動機5を回転させ、回転力が一方向クラッチ4、2を順次介してプーリ部19に伝達される。以下、電動機5は、エンジン回転数が電子制御装置の指令する値に達するまで回転力(トルク)を発生する。
(実施例効果)
上記説明した実施例の補機駆動型エンジン始動装置によれば、以下の効果を奏することができる。
(その他の変形態様)
上記実施例では、電動機5によるコンプレッサ7のみの駆動と、電動機5による減速機構3のみの駆動との切り替えに用いた一方向クラッチ4、6をロータ53の径方向内側に収容したが、一方向クラッチ6をコンプレッサ7の内部に収容してもよい。たとえば、コンプレッサ7を斜板式コンプレッサまたは揺動斜板式コンプレッサとした場合に、斜板や揺動斜板と回転軸との間に一方向クラッチ6を配置することができる。
2 一方向クラッチ
3 減速機構
4 一方向クラッチ
5 電動機
6 一方向クラッチ
7 コンプレッサ
8 エンジン
9 クランクプーリ
10 ベルト
11 バッテリ
12 制御装置
13 インバータ
16 プーリーナット
17 基筒部
19 プーリ部(プーリ)
31 回転軸
32 サンギヤ
33 インターナルギヤ
34 遊星ギヤ
35 回転軸
36 キャリヤ
37 遊星ギヤ枢支ピン
51 ステータコア
52 ステータコイル
53 ロータ
54 回転軸
71 回転軸
71b 拡径部
71c 偏心軸部
72 固定スクロール
72a 端板部
72b 羽根部
73 旋回スクロール
73a 端板部
73b 羽根部
73c ボス部
74 スラスト軸受
75 軸受
76 ブッシュ
77 吐出口
79 吐出弁
80 吐出室
81 吸入室
82 作動室
100 ハウジング
101 減速機構ハウジング
102 フロントハウジング
103 モータハウジング
104 リヤハウジンング
105 スルーボルト
106 センターハウジング
Claims (7)
- エンジンを始動する電動機と、
前記電動機から回転力が入力される入力回転軸と前記エンジン側に回転力を出力する出力回転軸とを有して前記電動機の回転軸の一端側に配置される減速機構と、
前記電動機の回転軸の他端側に配置される補機と、
前記電動機の出力を前記減速機構の入力回転軸へ断続可能に伝達する減速機継合機構、又は、前記電動機の出力を前記補機の回転軸へ断続可能に伝達する補機継合機構と、
を備えた補機駆動機能付始動装置において、
前記減速機継合機構又は補機継合機構は、前記電動機のステータの径方向内側かつ前記電動機のロータの径方向内側に収容され、
前記減速機継合機構及び補機継合機構は、前記電動機のロータコアが嵌着されたロータ軸に形成された中空孔に収容されていることを特徴とする補機駆動型エンジン始動装置。 - 請求項1記載の補機駆動型エンジン始動装置において、
前記減速機継合機構及び補機継合機構は、継合方向が互いに逆である一方向クラッチによりそれぞれ構成され、
前記電動機は、前記エンジンの始動時と前記補機の駆動時とで逆方向に回転する補機駆動型エンジン始動装置。 - 請求項2記載の補機駆動型エンジン始動装置において、
前記減速機継合機構は、
前記中空孔へ一端側から挿入された前記減速機の入力回転軸と前記ロータ軸との間の径方向隙間に配置され、
前記補機継合機構は、
前記中空孔へ他端側から挿入された前記補機の回転軸と前記ロータ軸との間の径方向隙間に配置されている補機駆動型エンジン始動装置。 - 請求項1乃至3のいずれか記載の補機駆動型エンジン始動装置において、
前記減速機構の出力回転軸は、
一方向クラッチであるプーリクラッチを通じてプーリに連結されている補機駆動型エンジン始動装置。 - 請求項4記載の補機駆動型エンジン始動装置において、
前記減速機構の少なくとも一部は、
前記プーリの径方向内側に収容されている補機駆動型エンジン始動装置。 - 請求項5記載の補機駆動型エンジン始動装置において、
前記減速機出力軸は、
前記プーリの径方向内側に収容されている軸受を通じてハウジングに支承されている補機駆動型エンジン始動装置。 - 請求項6記載の補機駆動型エンジン始動装置において、
前記減速機出力軸を支承する前記軸受は、
前記プーリクラッチの内側に位置して前記プーリの径方向内側に収容されている補機駆動型エンジン始動装置。
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