JP2004011819A - ハイブリッド車両の油圧供給装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】機械駆動式の第1油圧ポンプ21をモータ走行時や後退時にも利用できるようにして電動式の第2油圧ポンプ22の小型化を可能にする。
【解決手段】機械駆動式の第1油圧ポンプ21はクラッチ3の駆動輪側に接続されており、モータ走行であっても車両走行時には常に駆動される。車両の後退走行は、クラッチ3を解放状態とし、走行用モータジェネレータ4が逆転することで実現される。走行用モータジェネレータ4と第1油圧ポンプ21との間には、遊星歯車機構とワンウェイクラッチとを用いた逆転防止機構20が設けられている。そのため、後退走行時に走行用モータジェネレータ4が逆転しても、第1油圧ポンプ21のロータは、前進走行時と同じ所期の回転方向に駆動される。電動式第2油圧ポンプ22は、車両停止時のみの油圧供給を負担するので、その小型化が図れる。
【選択図】 図1
【解決手段】機械駆動式の第1油圧ポンプ21はクラッチ3の駆動輪側に接続されており、モータ走行であっても車両走行時には常に駆動される。車両の後退走行は、クラッチ3を解放状態とし、走行用モータジェネレータ4が逆転することで実現される。走行用モータジェネレータ4と第1油圧ポンプ21との間には、遊星歯車機構とワンウェイクラッチとを用いた逆転防止機構20が設けられている。そのため、後退走行時に走行用モータジェネレータ4が逆転しても、第1油圧ポンプ21のロータは、前進走行時と同じ所期の回転方向に駆動される。電動式第2油圧ポンプ22は、車両停止時のみの油圧供給を負担するので、その小型化が図れる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、所定の運転状態のときにエンジンを停止して電動モータによる走行を行うハイブリッド車両に関し、特に、その変速機の変速作動に必要な油圧を供給する油圧供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の運転状態に応じて、エンジンの自動的な停止および再始動を行うハイブリッド車両においては、変速機で必要となる油圧を常時確保するために、一般に、エンジンにより駆動される機械駆動式油圧ポンプのほかに、電動モータにて駆動される電動式油圧ポンプを備える必要がある。特に、変速機として、ベルト式無段変速機(CVT)を用いる場合には、ベルトを締め付けるピストンを作動させるために、高い油圧が要求されるので、その油圧の確保は、この種のハイブリッド車両の実用化の上で大きな課題となっている。
【0003】
例えば、特開2001−200920号公報に開示されたベルト式無段変速機を用いたハイブリッド車両においては、エンジンと変速機との間で駆動力の伝達、遮断を行うクラッチよりもエンジン側に機械駆動式油圧ポンプが配設されており、エンジンの回転に連動する形で駆動されるようになっている。従って、この機械駆動式油圧ポンプは、回転方向の一方向にのみ駆動されるものであって逆転することはない。またエンジンを停止して走行用モータにて走行するときには、上記クラッチが断状態となることから、エンジン停止に伴って油圧ポンプも停止する。そのため、第2の油圧ポンプとして電動式油圧ポンプが設けられており、エンジン停止時には、この電動式油圧ポンプによって、変速機の変速作動部へ油圧が供給される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報に記載の構成においては、エンジン停止時には、常に、必要な油圧の全体を電動式油圧ポンプによって供給するようになっている。そのため、大型の電動式油圧ポンプが必要となり、一般に、インバータ方式による高電圧交流モータを用いた大型のシステムとなってしまう。
【0005】
これに対し、本出願人は、機械式油圧ポンプをクラッチの出力軸側に配置することを検討している。この場合には、エンジン停止状態であっても、走行用モータによる走行時には、同時に機械駆動式油圧ポンプが駆動されることになるので、電動式油圧ポンプの負担が軽減し、該電動式油圧ポンプの小型化が可能となるが、その反面、車両の後退走行時に、機械駆動式油圧ポンプが逆回転方向へ駆動されることになる、という新たな問題が発生する。
【0006】
この発明は、クラッチの出力軸側に機械式油圧ポンプを配置した場合に問題となる後退走行時においても所期の作動油の圧送が可能なハイブリッド車両の油圧供給装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、請求項1のように、クラッチの入力軸にエンジンが接続されるとともに、該クラッチの出力軸に変速機の入力軸および走行用モータが接続され、かつ上記変速機の出力軸から駆動輪に駆動力が伝達されるように構成された車両推進機構と、上記走行用モータによって駆動され、上記変速機の変速作動部に作動油を供給する機械駆動式の第1の油圧ポンプと、この第1の油圧ポンプと並列に設けられた電動式の第2の油圧ポンプと、を備え、クラッチ解放状態で上記走行用モータの逆転によって後退走行を行うハイブリッド車両の油圧供給装置を前提とする。従って、エンジンがクラッチを介して駆動輪を駆動している状態では、このエンジンの出力によって走行用モータとともに第1の油圧ポンプが駆動される。また、エンジンが停止し、走行用モータによって前進方向へ走行しているときにも、第1の油圧ポンプは同様に機械的に駆動される。そして、後退走行時には、エンジンは停止し、かつ走行用モータが逆転することによって車両が後進する。このとき、第1の油圧ポンプは、やはり走行用モータによって駆動される。
【0008】
本発明では、上記第1の油圧ポンプが、走行用モータの正転時および逆転時の双方で同方向に回転力を伝達する逆転防止機構を介して、走行用モータの回転軸に接続されている。従って、車両の後退走行時には、走行用モータが逆転するが、第1の油圧ポンプは、走行用モータの正転時と同じ方向に駆動される。
【0009】
上記逆転防止機構は、例えば請求項2のように、ワンウェイクラッチによって所期の回転方向を得るようにした遊星歯車機構などから構成することができる。
【0010】
【発明の効果】
この発明に係るハイブリッド車両の油圧供給装置によれば、後退走行時に走行用モータが逆転しても、機械駆動式の第1の油圧ポンプが車両前進時と同じ方向に駆動されて、油圧供給を行うことができる。従って、クラッチの出力軸側で第1の油圧ポンプを機械駆動することにより、エンジンを停止した走行用モータによる前進走行時に、電動式の第2の油圧ポンプのみに依存せずに油圧供給が可能となり、第2の油圧ポンプに要求される能力ないし性能を軽減できる。そのため、第2の油圧ポンプの小型化が図れる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好ましい実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1は、この発明に係る油圧供給装置が用いられるハイブリッド車両の車両推進機構の構成を示している。この推進機構は、例えばガソリンエンジンもしくはディーゼルエンジンなどからなるエンジン1と、このエンジン1の回転を変速するベルト式無段変速機(以下、CVTと略記する)2と、上記エンジン1と上記CVT2との間で駆動力の伝達,遮断を行うクラッチ3と、エンジン1停止中をも含め、車両の走行を行うための走行用モータつまり走行用モータジェネレータ4と、から大略構成されている。また、この実施例では、主にエンジン走行中に発電を行うとともにエンジン1の再始動の際のクランキングを行う発電用モータジェネレータ5をさらに備えている。
【0013】
上記クラッチ3は、例えば油圧多板式クラッチからなり、その入力軸3aは、エンジン1のクランクシャフト1aに実質的に直結されている。そして、この入力軸3aに上記発電用モータジェネレータ5のロータ(図示せず)が固定されている。なお、上記発電用モータジェネレータ5および走行用モータジェネレータ4は、いずれも交流モータジェネレータであり、公知のインバータ回路によって、駆動側および発電側の双方で制御される。
【0014】
上記CVT2は、駆動側となるプライマリプーリ11と従動側となるセカンダリプーリ12と両者間に巻き掛けられた金属製ベルト13とを備えるものであって、上記プライマリプーリ11のプーリ幅が図示せぬ油圧機構によって調整可能となっており、かつこれに応じてセカンダリプーリ12のプーリ幅が変化し、無段階に変速がなされるものである。上記プライマリプーリ11を備えた変速機入力軸11aは、上記クラッチ3の出力軸3bに実質的に直結されている。また同時に、上記走行用モータジェネレータ4の回転軸4aが上記変速機入力軸11aに接続されている。なお、この走行用モータジェネレータ4の回転軸4aと変速機入力軸11aとの間には、一般に図示せぬ減速歯車機構が設けられている。上記セカンダリプーリ12を備えた変速機出力軸12aは、例えばファイナルドライブギア15およびファイナルドリブンギア16からなるファイナルギア14と、ディファレンシャルギア17と、を介してアクスルシャフト18に接続され、駆動輪19へ動力を伝達するようになっている。
【0015】
一方、油圧供給装置として、機械駆動式の第1油圧ポンプ21と電動式の第2油圧ポンプ22とが設けられており、図2にも示すように互いに並列に配置されて、上記CVT2の作動油溜まり23から該CVT2の変速作動部24などへ作動油を圧送している。上記変速作動部24は、例えば調圧弁や油圧制御弁を含んで構成され、上記の油圧ポンプ21,22から供給された油圧を利用して任意の制御油圧を生成し、CVT2の変速比を可変制御している。ここで、上記第1油圧ポンプ21は、走行用モータジェネレータ4の回転軸4aに後述する逆転防止機構20を介して接続され、該走行用モータジェネレータ4の駆動力ないしはクラッチ3を経て伝達されるエンジン1の駆動力によって駆動されるようになっている。この第1油圧ポンプ21は、例えば内接型歯車ポンプからなり、そのロータが上記の逆転防止機構20を介して走行用モータジェネレータ4の回転軸4aに接続されている。換言すれば、走行用モータジェネレータ4、第1油圧ポンプ21およびプライマリプーリ11の三者が、常に同時に回転動作する。また電動式の第2油圧ポンプ22は、補機用の車載のバッテリで駆動可能な低電圧直流モータを内蔵したものであって、そのポンプ部には、例えば内接型歯車ポンプが用いられている。この第2油圧ポンプ22は、後述するように、例えば車両停止時など、機械駆動される第1油圧ポンプ21による油圧が不十分となるときに駆動される。なお、図2に示すように、第1油圧ポンプ21を備えた第1油圧通路25ならびに第2油圧ポンプ22を備えた第2油圧通路26に、各ポンプ21,22と直列に逆止弁27,28がそれぞれ配置されており、ポンプ停止時の作動油の逆流を防止している。
【0016】
図3は、上記ハイブリッド車両の制御システムの概要を示すブロック図である。図示するように、この制御システムは、電動オイルポンプつまり第2油圧ポンプ22を制御する電動オイルポンプ制御部32と、エンジン1の種々の制御を行うエンジン制御部33と、インバータ回路を介して走行用モータジェネレータ4および発電用モータジェネレータ5の制御を行うモータジェネレータ制御部34と、油圧制御弁を介してクラッチ3の制御を行うクラッチ制御部35と、CVT2の変速比等の制御を行うCVT制御部36と、を備えており、これらのシステム全体がハイブリッドシステム制御部31によって統合的に制御されている。
【0017】
このハイブリッド車両全体の制御を簡単に説明すると、例えば中車速以上での定常走行においては、エンジン1が燃焼運転しているとともにクラッチ3が接続状態となって、エンジン1の駆動力により車両が走行する。このとき、発電用モータジェネレータ5では発電が行われる。走行状態から車両が減速していくと、走行用モータジェネレータ4により減速エネルギの回生つまり発電が行われ、かつ車両停止前にクラッチ3が切断されてエンジン1が停止状態となる。そして、車両停止状態から発進する際には、クラッチ3が切断状態に保たれ、かつ走行用モータジェネレータ4が駆動されて、車両が発進し始める。その後、車速が所定の低車速以上になると、発電用モータジェネレータ5によるクランキングが行われてエンジン1が再始動される。このエンジン1の再始動に伴って、クラッチ3を徐々に接続し、かつ走行用モータジェネレータ4を制御して、エンジン1による走行へ移行する。
【0018】
一方、この実施例の構成では、車両推進機構は、前後進切換機構を具備しておらず、エンジン1による走行としては、前進走行のみが可能となっている。従って、後退走行は、クラッチ3を切断状態として、走行用モータジェネレータ4を逆転させることによって実現される。つまり、後退走行のまま長時間走行することは一般に考えられないので、エンジン1は停止状態として、走行用モータジェネレータ4によって後進するようにし、変速機構の簡素化を図っている。
【0019】
機械駆動される第1油圧ポンプ21は、上記のようにクラッチ3よりも下流つまり変速機入力軸11a側に設けられているので、エンジン1による走行であっても走行用モータジェネレータ4による走行であっても、車両が走行していれば、これに伴って機械的に駆動される。そして、上記逆転防止機構20の作用により、前進走行つまり走行用モータジェネレータ4の回転軸4aが正転するときも、後退走行つまり走行用モータジェネレータ4の回転軸4aが逆転するときも、第1油圧ポンプ21のロータが同じ方向つまりポンプとして所期の回転方向に駆動されるようになっている。
【0020】
次に、上記逆転防止機構20の一実施例を図4に基づいて説明する。
【0021】
この実施例では、上記走行用モータジェネレータ4と上記第1油圧ポンプ21とが、同じケーシング内に収容されており、かつ両者間に、遊星歯車機構からなる逆転防止機構20が配置されている。走行用モータジェネレータ4の回転軸4aと第1油圧ポンプ21側の中間軸41とが同軸上に直列に配置され、かつ図示せぬスプラインにより互いに結合されて、実質的に一体となっている。上記回転軸4aには、走行用モータジェネレータ4のロータ42が固定され、かつこのロータ42の外周を囲むように、ステータ43が位置している。上記回転軸4aおよび上記中間軸41は、ケーシングの一部をなす支持壁44に、ベアリング45,46を介して回転自在に支持されている。上記支持壁44は、上記ステータ43の軸方向に突出したコイル部分の内周に沿うように、円筒部44aを有し、この円筒部44aの内周側に逆転防止機構20が構成されている。また第1油圧ポンプ21は、環状のポンプハウジング47と該ポンプハウジング47内で回転するロータ48とから大略構成されており、上記ポンプハウジング47の背面には、作動油の供給路および排出路を構成する隔壁状の油路壁49が取り付けられている。
【0022】
逆転防止機構20を構成する遊星歯車機構は、上記中間軸41の外周に同軸上に配置された円環状のサンギア51と、このサンギア51の外周に同軸上に配置されたリングギア52と、これらのサンギア51とリングギア52との間に位置するとともに、それぞれと噛み合った複数個のプラネタリギア53と、を備えている。上記サンギア51は、段付状の略円筒形をなすサンギアサポート54によって支持されており、このサンギアサポート54がベアリング55を介して中間軸41上に回転自在に支持されている。またこのベアリング55に支持されたサンギアサポート54の端部が、第1油圧ポンプ21のロータ48に取り付けられている。つまり、サンギア51とロータ48とがサンギアサポート54を介して互いに連結され、一体に回転するようになっている。さらに、サンギアサポート54と中間軸41とは、サンギア用ワンウェイクラッチ56によって接続されている。このサンギア用ワンウェイクラッチ56は、上記中間軸41つまり上記回転軸4aが正転方向(前進走行時の回転方向)に回転した場合にのみ、その回転力がサンギア51へ伝達され、回転軸4aの逆転方向(後退走行時の回転方向)の回転力はサンギア51へ伝達されない方向に構成されている。なお、ポンプハウジング47とサンギアサポート54との間には、ブッシュ57およびオイルシール58が設けられている。
【0023】
上記リングギア52は、円板状をなすリングギアサポート61の外周部に取り付けられており、かつこのリングギアサポート61が上記中間軸41に固定されている。つまり、リングギア52は中間軸41と一体に回転する。また、上記プラネタリギア53は、断面略L字形の環状をなすキャリア62にそれぞれ回転自在に支持されている。このキャリア62は、サンギア51およびリングギア52と同軸上に回転可能なものであって、リングギアサポート61の両側にそれぞれ配置されたスラストベアリング63,64およびキャリア62とポンプハウジング47との間に配置されたスラストベアリング65によって、軸方向に位置決めされている。また、上記キャリア62の外周側の円筒部62aと上記支持壁44の円筒部44aとが、キャリア用ワンウェイクラッチ67によって接続されている。このキャリア用ワンウェイクラッチ67は、キャリア62が上記回転軸4aの正転方向と同方向に回転することを許容し、かつ逆方向の回転を阻止する構成となっている。
【0024】
次に、上記逆転防止機構20の作用を、図5のスケルトン図を併せて説明する。なお、理解を容易にするために、以下の説明では、全ての部材について、車両前進走行時の走行用モータジェネレータ4の回転軸4aの回転方向と同じ回転方向を「正転方向」と呼び、逆の回転方向を「逆転方向」と呼ぶものとする。
【0025】
図5の(a)は、車両が前進走行し、走行用モータジェネレータ4の回転軸4aが正転方向に回転しているときの状態を示す。この正転時には、サンギア用ワンウェイクラッチ56は締結状態となり、回転軸4aの回転がサンギアサポート54を介して第1油圧ポンプ21のロータ48に伝達される。つまり、ロータ48は、回転軸4aと同じ正転方向に回転する。なお、このときリングギア52も回転軸4aと一体に回転し、これに伴ってキャリア62も正転方向に回転する。キャリア用ワンウェイクラッチ67は、いわゆるフリー状態となり、キャリア62の回転が許容される。従って、車両の前進走行時は、エンジン1による走行であっても走行用モータジェネレータ4による走行であっても、第1油圧ポンプ21は、所期の回転方向である正転方向に駆動される。このとき、ロータ48の回転数は、回転軸4aの回転数と等しく、つまり車速とCVT2の変速比とで定まるポンプ回転数でもって駆動される。
【0026】
図5の(b)は、車両が後退走行し、走行用モータジェネレータ4の回転軸4aが逆転方向に回転しているときの状態を示す。この逆転時には、サンギア用ワンウェイクラッチ56はフリー状態となる。リングギア52はリングギアサポート61を介して回転軸4aと一体に逆転方向に回転するが、キャリア62の逆転方向への回転は、キャリア用ワンウェイクラッチ67が締結状態となって阻止されるため、プラネタリギア53を介して、サンギア51が正転方向に駆動される。これにより、サンギアサポート54を介して連結されているロータ48が正転方向に回転する。従って、走行用モータジェネレータ4による後退走行時に、第1油圧ポンプ21は、前進走行時と同じく、所期の回転方向である正転方向に駆動されることになる。このとき、ロータ48の回転数は、サンギア51とリングギア52との歯数の比に応じて、回転軸4aの回転数に対し増速される。つまり車速およびCVT2の変速比が同じであれば、前進走行時に比べて後退走行時の方が第1油圧ポンプ21の回転数が高く得られる。後退走行は、一般に徐行運転として低い車速でなされ、走行用モータジェネレータ4の回転数が比較的低いものとなるが、このような増速作用によって、十分な油圧を確保することができる。
【0027】
なお、上記実施例とは逆に、リングギア52側をロータ48に連結するとともにワンウェイクラッチを介して回転軸4aに接続し、かつサンギア51側を回転軸4aと一体に回転するように構成することも可能である。また、本発明の逆転防止機構20は、この実施例の遊星歯車機構に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0028】
次に図6は、上記の実施例において、車両が前進走行から後退走行へ移行するときの第1,第2油圧ポンプ21,22の作動および油圧変化を説明する説明図である。具体的には、運転者が前進走行中に車両を減速して停車し、変速機(CVT2)のシフトレバーを前進走行用のDレンジから後退走行用のRレンジに切り換えた後、後進を開始するまでの様子を示している。
【0029】
前述したように、第1油圧ポンプ21は、前進走行時には正転方向に駆動されているが、車速の低下に伴って回転数が低下し、これにより、発生油圧も低下していく。そして、この油圧が最低必要油圧まで低下したとき(あるいはポンプ回転数が所定回転数未満となったとき)に、第2油圧ポンプ22の作動が開始する。これにより、変速作動部24へ圧送される作動油の油圧は、最低必要油圧以上に確保される。車両の停車中は、第1油圧ポンプ21では油圧は発生せず、第2油圧ポンプ22のみで必要な油圧が与えられる。そして、後退走行が開始すると、前述したように第1油圧ポンプ21が所期の正転方向に増速駆動され、第1油圧ポンプ21による油圧供給が速やかに再開される。この第1油圧ポンプ21による発生油圧が最低必要油圧に達したとき(あるいはポンプ回転数が所定回転数以上となったとき)に、第2油圧ポンプ22の作動が終了する。従って、瞬間的な油圧低下などを伴わずに、前進→停止→後退の切換の間も円滑に油圧供給を継続することができる。また、車両が走行していれば、走行用モータジェネレータ4の駆動による走行であっても、さらには後退走行であっても、第1油圧ポンプ21の発生油圧が利用されるので、第2油圧ポンプ22の小型化の上で有利となる。
【0030】
なお、第2油圧ポンプ22は単純にオン−オフ的に作動させてもよいが、第1油圧ポンプ21との合成油圧が一定値を維持するように、その回転数を制御することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るハイブリッド車両の車両推進機構の構成説明図。
【図2】油圧回路を示す回路図。
【図3】このハイブリッド車両の制御システムの概要を示すブロック図。
【図4】逆転防止機構の一実施例を示す要部の断面図。
【図5】この逆転防止機構の作用を示す説明図。
【図6】前進走行から後退走行へ移行するときの油圧変化等を示す説明図。
【符号の説明】
1…エンジン
2…CVT
3…クラッチ
4…走行用モータジェネレータ
20…逆転防止機構
21…第1油圧ポンプ
22…第2油圧ポンプ
51…サンギア
52…リングギア
53…プラネタリギア
56…サンギア用ワンウェイクラッチ
62…キャリア
67…キャリア用ワンウェイクラッチ
【発明の属する技術分野】
この発明は、所定の運転状態のときにエンジンを停止して電動モータによる走行を行うハイブリッド車両に関し、特に、その変速機の変速作動に必要な油圧を供給する油圧供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の運転状態に応じて、エンジンの自動的な停止および再始動を行うハイブリッド車両においては、変速機で必要となる油圧を常時確保するために、一般に、エンジンにより駆動される機械駆動式油圧ポンプのほかに、電動モータにて駆動される電動式油圧ポンプを備える必要がある。特に、変速機として、ベルト式無段変速機(CVT)を用いる場合には、ベルトを締め付けるピストンを作動させるために、高い油圧が要求されるので、その油圧の確保は、この種のハイブリッド車両の実用化の上で大きな課題となっている。
【0003】
例えば、特開2001−200920号公報に開示されたベルト式無段変速機を用いたハイブリッド車両においては、エンジンと変速機との間で駆動力の伝達、遮断を行うクラッチよりもエンジン側に機械駆動式油圧ポンプが配設されており、エンジンの回転に連動する形で駆動されるようになっている。従って、この機械駆動式油圧ポンプは、回転方向の一方向にのみ駆動されるものであって逆転することはない。またエンジンを停止して走行用モータにて走行するときには、上記クラッチが断状態となることから、エンジン停止に伴って油圧ポンプも停止する。そのため、第2の油圧ポンプとして電動式油圧ポンプが設けられており、エンジン停止時には、この電動式油圧ポンプによって、変速機の変速作動部へ油圧が供給される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報に記載の構成においては、エンジン停止時には、常に、必要な油圧の全体を電動式油圧ポンプによって供給するようになっている。そのため、大型の電動式油圧ポンプが必要となり、一般に、インバータ方式による高電圧交流モータを用いた大型のシステムとなってしまう。
【0005】
これに対し、本出願人は、機械式油圧ポンプをクラッチの出力軸側に配置することを検討している。この場合には、エンジン停止状態であっても、走行用モータによる走行時には、同時に機械駆動式油圧ポンプが駆動されることになるので、電動式油圧ポンプの負担が軽減し、該電動式油圧ポンプの小型化が可能となるが、その反面、車両の後退走行時に、機械駆動式油圧ポンプが逆回転方向へ駆動されることになる、という新たな問題が発生する。
【0006】
この発明は、クラッチの出力軸側に機械式油圧ポンプを配置した場合に問題となる後退走行時においても所期の作動油の圧送が可能なハイブリッド車両の油圧供給装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、請求項1のように、クラッチの入力軸にエンジンが接続されるとともに、該クラッチの出力軸に変速機の入力軸および走行用モータが接続され、かつ上記変速機の出力軸から駆動輪に駆動力が伝達されるように構成された車両推進機構と、上記走行用モータによって駆動され、上記変速機の変速作動部に作動油を供給する機械駆動式の第1の油圧ポンプと、この第1の油圧ポンプと並列に設けられた電動式の第2の油圧ポンプと、を備え、クラッチ解放状態で上記走行用モータの逆転によって後退走行を行うハイブリッド車両の油圧供給装置を前提とする。従って、エンジンがクラッチを介して駆動輪を駆動している状態では、このエンジンの出力によって走行用モータとともに第1の油圧ポンプが駆動される。また、エンジンが停止し、走行用モータによって前進方向へ走行しているときにも、第1の油圧ポンプは同様に機械的に駆動される。そして、後退走行時には、エンジンは停止し、かつ走行用モータが逆転することによって車両が後進する。このとき、第1の油圧ポンプは、やはり走行用モータによって駆動される。
【0008】
本発明では、上記第1の油圧ポンプが、走行用モータの正転時および逆転時の双方で同方向に回転力を伝達する逆転防止機構を介して、走行用モータの回転軸に接続されている。従って、車両の後退走行時には、走行用モータが逆転するが、第1の油圧ポンプは、走行用モータの正転時と同じ方向に駆動される。
【0009】
上記逆転防止機構は、例えば請求項2のように、ワンウェイクラッチによって所期の回転方向を得るようにした遊星歯車機構などから構成することができる。
【0010】
【発明の効果】
この発明に係るハイブリッド車両の油圧供給装置によれば、後退走行時に走行用モータが逆転しても、機械駆動式の第1の油圧ポンプが車両前進時と同じ方向に駆動されて、油圧供給を行うことができる。従って、クラッチの出力軸側で第1の油圧ポンプを機械駆動することにより、エンジンを停止した走行用モータによる前進走行時に、電動式の第2の油圧ポンプのみに依存せずに油圧供給が可能となり、第2の油圧ポンプに要求される能力ないし性能を軽減できる。そのため、第2の油圧ポンプの小型化が図れる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好ましい実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1は、この発明に係る油圧供給装置が用いられるハイブリッド車両の車両推進機構の構成を示している。この推進機構は、例えばガソリンエンジンもしくはディーゼルエンジンなどからなるエンジン1と、このエンジン1の回転を変速するベルト式無段変速機(以下、CVTと略記する)2と、上記エンジン1と上記CVT2との間で駆動力の伝達,遮断を行うクラッチ3と、エンジン1停止中をも含め、車両の走行を行うための走行用モータつまり走行用モータジェネレータ4と、から大略構成されている。また、この実施例では、主にエンジン走行中に発電を行うとともにエンジン1の再始動の際のクランキングを行う発電用モータジェネレータ5をさらに備えている。
【0013】
上記クラッチ3は、例えば油圧多板式クラッチからなり、その入力軸3aは、エンジン1のクランクシャフト1aに実質的に直結されている。そして、この入力軸3aに上記発電用モータジェネレータ5のロータ(図示せず)が固定されている。なお、上記発電用モータジェネレータ5および走行用モータジェネレータ4は、いずれも交流モータジェネレータであり、公知のインバータ回路によって、駆動側および発電側の双方で制御される。
【0014】
上記CVT2は、駆動側となるプライマリプーリ11と従動側となるセカンダリプーリ12と両者間に巻き掛けられた金属製ベルト13とを備えるものであって、上記プライマリプーリ11のプーリ幅が図示せぬ油圧機構によって調整可能となっており、かつこれに応じてセカンダリプーリ12のプーリ幅が変化し、無段階に変速がなされるものである。上記プライマリプーリ11を備えた変速機入力軸11aは、上記クラッチ3の出力軸3bに実質的に直結されている。また同時に、上記走行用モータジェネレータ4の回転軸4aが上記変速機入力軸11aに接続されている。なお、この走行用モータジェネレータ4の回転軸4aと変速機入力軸11aとの間には、一般に図示せぬ減速歯車機構が設けられている。上記セカンダリプーリ12を備えた変速機出力軸12aは、例えばファイナルドライブギア15およびファイナルドリブンギア16からなるファイナルギア14と、ディファレンシャルギア17と、を介してアクスルシャフト18に接続され、駆動輪19へ動力を伝達するようになっている。
【0015】
一方、油圧供給装置として、機械駆動式の第1油圧ポンプ21と電動式の第2油圧ポンプ22とが設けられており、図2にも示すように互いに並列に配置されて、上記CVT2の作動油溜まり23から該CVT2の変速作動部24などへ作動油を圧送している。上記変速作動部24は、例えば調圧弁や油圧制御弁を含んで構成され、上記の油圧ポンプ21,22から供給された油圧を利用して任意の制御油圧を生成し、CVT2の変速比を可変制御している。ここで、上記第1油圧ポンプ21は、走行用モータジェネレータ4の回転軸4aに後述する逆転防止機構20を介して接続され、該走行用モータジェネレータ4の駆動力ないしはクラッチ3を経て伝達されるエンジン1の駆動力によって駆動されるようになっている。この第1油圧ポンプ21は、例えば内接型歯車ポンプからなり、そのロータが上記の逆転防止機構20を介して走行用モータジェネレータ4の回転軸4aに接続されている。換言すれば、走行用モータジェネレータ4、第1油圧ポンプ21およびプライマリプーリ11の三者が、常に同時に回転動作する。また電動式の第2油圧ポンプ22は、補機用の車載のバッテリで駆動可能な低電圧直流モータを内蔵したものであって、そのポンプ部には、例えば内接型歯車ポンプが用いられている。この第2油圧ポンプ22は、後述するように、例えば車両停止時など、機械駆動される第1油圧ポンプ21による油圧が不十分となるときに駆動される。なお、図2に示すように、第1油圧ポンプ21を備えた第1油圧通路25ならびに第2油圧ポンプ22を備えた第2油圧通路26に、各ポンプ21,22と直列に逆止弁27,28がそれぞれ配置されており、ポンプ停止時の作動油の逆流を防止している。
【0016】
図3は、上記ハイブリッド車両の制御システムの概要を示すブロック図である。図示するように、この制御システムは、電動オイルポンプつまり第2油圧ポンプ22を制御する電動オイルポンプ制御部32と、エンジン1の種々の制御を行うエンジン制御部33と、インバータ回路を介して走行用モータジェネレータ4および発電用モータジェネレータ5の制御を行うモータジェネレータ制御部34と、油圧制御弁を介してクラッチ3の制御を行うクラッチ制御部35と、CVT2の変速比等の制御を行うCVT制御部36と、を備えており、これらのシステム全体がハイブリッドシステム制御部31によって統合的に制御されている。
【0017】
このハイブリッド車両全体の制御を簡単に説明すると、例えば中車速以上での定常走行においては、エンジン1が燃焼運転しているとともにクラッチ3が接続状態となって、エンジン1の駆動力により車両が走行する。このとき、発電用モータジェネレータ5では発電が行われる。走行状態から車両が減速していくと、走行用モータジェネレータ4により減速エネルギの回生つまり発電が行われ、かつ車両停止前にクラッチ3が切断されてエンジン1が停止状態となる。そして、車両停止状態から発進する際には、クラッチ3が切断状態に保たれ、かつ走行用モータジェネレータ4が駆動されて、車両が発進し始める。その後、車速が所定の低車速以上になると、発電用モータジェネレータ5によるクランキングが行われてエンジン1が再始動される。このエンジン1の再始動に伴って、クラッチ3を徐々に接続し、かつ走行用モータジェネレータ4を制御して、エンジン1による走行へ移行する。
【0018】
一方、この実施例の構成では、車両推進機構は、前後進切換機構を具備しておらず、エンジン1による走行としては、前進走行のみが可能となっている。従って、後退走行は、クラッチ3を切断状態として、走行用モータジェネレータ4を逆転させることによって実現される。つまり、後退走行のまま長時間走行することは一般に考えられないので、エンジン1は停止状態として、走行用モータジェネレータ4によって後進するようにし、変速機構の簡素化を図っている。
【0019】
機械駆動される第1油圧ポンプ21は、上記のようにクラッチ3よりも下流つまり変速機入力軸11a側に設けられているので、エンジン1による走行であっても走行用モータジェネレータ4による走行であっても、車両が走行していれば、これに伴って機械的に駆動される。そして、上記逆転防止機構20の作用により、前進走行つまり走行用モータジェネレータ4の回転軸4aが正転するときも、後退走行つまり走行用モータジェネレータ4の回転軸4aが逆転するときも、第1油圧ポンプ21のロータが同じ方向つまりポンプとして所期の回転方向に駆動されるようになっている。
【0020】
次に、上記逆転防止機構20の一実施例を図4に基づいて説明する。
【0021】
この実施例では、上記走行用モータジェネレータ4と上記第1油圧ポンプ21とが、同じケーシング内に収容されており、かつ両者間に、遊星歯車機構からなる逆転防止機構20が配置されている。走行用モータジェネレータ4の回転軸4aと第1油圧ポンプ21側の中間軸41とが同軸上に直列に配置され、かつ図示せぬスプラインにより互いに結合されて、実質的に一体となっている。上記回転軸4aには、走行用モータジェネレータ4のロータ42が固定され、かつこのロータ42の外周を囲むように、ステータ43が位置している。上記回転軸4aおよび上記中間軸41は、ケーシングの一部をなす支持壁44に、ベアリング45,46を介して回転自在に支持されている。上記支持壁44は、上記ステータ43の軸方向に突出したコイル部分の内周に沿うように、円筒部44aを有し、この円筒部44aの内周側に逆転防止機構20が構成されている。また第1油圧ポンプ21は、環状のポンプハウジング47と該ポンプハウジング47内で回転するロータ48とから大略構成されており、上記ポンプハウジング47の背面には、作動油の供給路および排出路を構成する隔壁状の油路壁49が取り付けられている。
【0022】
逆転防止機構20を構成する遊星歯車機構は、上記中間軸41の外周に同軸上に配置された円環状のサンギア51と、このサンギア51の外周に同軸上に配置されたリングギア52と、これらのサンギア51とリングギア52との間に位置するとともに、それぞれと噛み合った複数個のプラネタリギア53と、を備えている。上記サンギア51は、段付状の略円筒形をなすサンギアサポート54によって支持されており、このサンギアサポート54がベアリング55を介して中間軸41上に回転自在に支持されている。またこのベアリング55に支持されたサンギアサポート54の端部が、第1油圧ポンプ21のロータ48に取り付けられている。つまり、サンギア51とロータ48とがサンギアサポート54を介して互いに連結され、一体に回転するようになっている。さらに、サンギアサポート54と中間軸41とは、サンギア用ワンウェイクラッチ56によって接続されている。このサンギア用ワンウェイクラッチ56は、上記中間軸41つまり上記回転軸4aが正転方向(前進走行時の回転方向)に回転した場合にのみ、その回転力がサンギア51へ伝達され、回転軸4aの逆転方向(後退走行時の回転方向)の回転力はサンギア51へ伝達されない方向に構成されている。なお、ポンプハウジング47とサンギアサポート54との間には、ブッシュ57およびオイルシール58が設けられている。
【0023】
上記リングギア52は、円板状をなすリングギアサポート61の外周部に取り付けられており、かつこのリングギアサポート61が上記中間軸41に固定されている。つまり、リングギア52は中間軸41と一体に回転する。また、上記プラネタリギア53は、断面略L字形の環状をなすキャリア62にそれぞれ回転自在に支持されている。このキャリア62は、サンギア51およびリングギア52と同軸上に回転可能なものであって、リングギアサポート61の両側にそれぞれ配置されたスラストベアリング63,64およびキャリア62とポンプハウジング47との間に配置されたスラストベアリング65によって、軸方向に位置決めされている。また、上記キャリア62の外周側の円筒部62aと上記支持壁44の円筒部44aとが、キャリア用ワンウェイクラッチ67によって接続されている。このキャリア用ワンウェイクラッチ67は、キャリア62が上記回転軸4aの正転方向と同方向に回転することを許容し、かつ逆方向の回転を阻止する構成となっている。
【0024】
次に、上記逆転防止機構20の作用を、図5のスケルトン図を併せて説明する。なお、理解を容易にするために、以下の説明では、全ての部材について、車両前進走行時の走行用モータジェネレータ4の回転軸4aの回転方向と同じ回転方向を「正転方向」と呼び、逆の回転方向を「逆転方向」と呼ぶものとする。
【0025】
図5の(a)は、車両が前進走行し、走行用モータジェネレータ4の回転軸4aが正転方向に回転しているときの状態を示す。この正転時には、サンギア用ワンウェイクラッチ56は締結状態となり、回転軸4aの回転がサンギアサポート54を介して第1油圧ポンプ21のロータ48に伝達される。つまり、ロータ48は、回転軸4aと同じ正転方向に回転する。なお、このときリングギア52も回転軸4aと一体に回転し、これに伴ってキャリア62も正転方向に回転する。キャリア用ワンウェイクラッチ67は、いわゆるフリー状態となり、キャリア62の回転が許容される。従って、車両の前進走行時は、エンジン1による走行であっても走行用モータジェネレータ4による走行であっても、第1油圧ポンプ21は、所期の回転方向である正転方向に駆動される。このとき、ロータ48の回転数は、回転軸4aの回転数と等しく、つまり車速とCVT2の変速比とで定まるポンプ回転数でもって駆動される。
【0026】
図5の(b)は、車両が後退走行し、走行用モータジェネレータ4の回転軸4aが逆転方向に回転しているときの状態を示す。この逆転時には、サンギア用ワンウェイクラッチ56はフリー状態となる。リングギア52はリングギアサポート61を介して回転軸4aと一体に逆転方向に回転するが、キャリア62の逆転方向への回転は、キャリア用ワンウェイクラッチ67が締結状態となって阻止されるため、プラネタリギア53を介して、サンギア51が正転方向に駆動される。これにより、サンギアサポート54を介して連結されているロータ48が正転方向に回転する。従って、走行用モータジェネレータ4による後退走行時に、第1油圧ポンプ21は、前進走行時と同じく、所期の回転方向である正転方向に駆動されることになる。このとき、ロータ48の回転数は、サンギア51とリングギア52との歯数の比に応じて、回転軸4aの回転数に対し増速される。つまり車速およびCVT2の変速比が同じであれば、前進走行時に比べて後退走行時の方が第1油圧ポンプ21の回転数が高く得られる。後退走行は、一般に徐行運転として低い車速でなされ、走行用モータジェネレータ4の回転数が比較的低いものとなるが、このような増速作用によって、十分な油圧を確保することができる。
【0027】
なお、上記実施例とは逆に、リングギア52側をロータ48に連結するとともにワンウェイクラッチを介して回転軸4aに接続し、かつサンギア51側を回転軸4aと一体に回転するように構成することも可能である。また、本発明の逆転防止機構20は、この実施例の遊星歯車機構に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0028】
次に図6は、上記の実施例において、車両が前進走行から後退走行へ移行するときの第1,第2油圧ポンプ21,22の作動および油圧変化を説明する説明図である。具体的には、運転者が前進走行中に車両を減速して停車し、変速機(CVT2)のシフトレバーを前進走行用のDレンジから後退走行用のRレンジに切り換えた後、後進を開始するまでの様子を示している。
【0029】
前述したように、第1油圧ポンプ21は、前進走行時には正転方向に駆動されているが、車速の低下に伴って回転数が低下し、これにより、発生油圧も低下していく。そして、この油圧が最低必要油圧まで低下したとき(あるいはポンプ回転数が所定回転数未満となったとき)に、第2油圧ポンプ22の作動が開始する。これにより、変速作動部24へ圧送される作動油の油圧は、最低必要油圧以上に確保される。車両の停車中は、第1油圧ポンプ21では油圧は発生せず、第2油圧ポンプ22のみで必要な油圧が与えられる。そして、後退走行が開始すると、前述したように第1油圧ポンプ21が所期の正転方向に増速駆動され、第1油圧ポンプ21による油圧供給が速やかに再開される。この第1油圧ポンプ21による発生油圧が最低必要油圧に達したとき(あるいはポンプ回転数が所定回転数以上となったとき)に、第2油圧ポンプ22の作動が終了する。従って、瞬間的な油圧低下などを伴わずに、前進→停止→後退の切換の間も円滑に油圧供給を継続することができる。また、車両が走行していれば、走行用モータジェネレータ4の駆動による走行であっても、さらには後退走行であっても、第1油圧ポンプ21の発生油圧が利用されるので、第2油圧ポンプ22の小型化の上で有利となる。
【0030】
なお、第2油圧ポンプ22は単純にオン−オフ的に作動させてもよいが、第1油圧ポンプ21との合成油圧が一定値を維持するように、その回転数を制御することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るハイブリッド車両の車両推進機構の構成説明図。
【図2】油圧回路を示す回路図。
【図3】このハイブリッド車両の制御システムの概要を示すブロック図。
【図4】逆転防止機構の一実施例を示す要部の断面図。
【図5】この逆転防止機構の作用を示す説明図。
【図6】前進走行から後退走行へ移行するときの油圧変化等を示す説明図。
【符号の説明】
1…エンジン
2…CVT
3…クラッチ
4…走行用モータジェネレータ
20…逆転防止機構
21…第1油圧ポンプ
22…第2油圧ポンプ
51…サンギア
52…リングギア
53…プラネタリギア
56…サンギア用ワンウェイクラッチ
62…キャリア
67…キャリア用ワンウェイクラッチ
Claims (6)
- クラッチの入力軸にエンジンが接続されるとともに、該クラッチの出力軸に変速機の入力軸および走行用モータが接続され、かつ上記変速機の出力軸から駆動輪に駆動力が伝達されるように構成された車両推進機構と、
上記走行用モータによって駆動され、上記変速機の変速作動部に作動油を供給する機械駆動式の第1の油圧ポンプと、
この第1の油圧ポンプと並列に設けられた電動式の第2の油圧ポンプと、
を備え、
クラッチ解放状態で上記走行用モータの逆転によって後退走行を行うハイブリッド車両において、
上記第1の油圧ポンプが、上記走行用モータの正転時および逆転時の双方で同方向に回転力を伝達する逆転防止機構を介して上記走行用モータの回転軸に接続されていることを特徴とするハイブリッド車両の油圧供給装置。 - 上記逆転防止機構は、サンギア、リングギアおよびプラネタリギアを有する遊星歯車機構からなり、
サンギアおよびリングギアのいずれか一方のギアが上記走行用モータの回転軸に接続され、
他方のギアが、上記第1の油圧ポンプのロータに接続されるとともに、上記走行用モータの回転軸に、該回転軸の正転方向の回転のみを伝達可能なワンウェイクラッチを介して接続され、
上記プラネタリギアを支持するキャリアが、上記サンギアおよびリングギアと同軸上に回転可能であるとともに、上記正転方向の回転のみを許容するワンウェイクラッチを介して固定部に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の油圧供給装置。 - 上記リングギアが上記走行用モータの回転軸に接続されるギアであり、上記サンギアが上記ロータに接続されるギアであることを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド車両の油圧供給装置。
- 上記第1の油圧ポンプの回転数が所定値未満のときに上記第2の油圧ポンプが駆動されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のハイブリッド車両の油圧供給装置。
- 上記第1の油圧ポンプの回転数が所定値未満のときに、この第1の油圧ポンプの発生油圧と第2の油圧ポンプの発生油圧との和が略一定となるように上記第2の油圧ポンプが駆動されることを特徴とする請求項4に記載のハイブリッド車両の油圧供給装置。
- 上記第1の油圧ポンプを備えた通路と上記第2の油圧ポンプを備えた通路とが互いに並列に設けられ、かつそれぞれの通路に逆止弁が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のハイブリッド車両の油圧供給装置。
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