JP2019163846A - ブレーキ装置、及びそれを備えたオイルポンプ装置 - Google Patents

ブレーキ装置、及びそれを備えたオイルポンプ装置 Download PDF

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Tomoki Ishikawa
智己 石川
雅史 高巣
Masafumi Takasu
雅史 高巣
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Abstract

【課題】外径を小径化することが可能で、回転部材の係止状態で一方向の回転を許容しかつ他方向の回転を不能にすると共に、回転部材の係止状態を解除することが可能なブレーキ装置を提供する。【解決手段】ブレーキ装置50は、第2駆動軸62に駆動連結された第1スターラチェット歯車51と、コイルケース55Cに対して回転不能に駆動連結された第2スターラチェット歯車52と、それらを接離させる接離装置59と、を有する。第1スターラチェット歯車51と第2スターラチェット歯車52とを当接させて噛合させた状態で、第2駆動軸62の一方向の回転を許容し、かつ他方向の回転を不能になるように係止する。また、第1スターラチェット歯車51と第2スターラチェット歯車52とを離反させて噛合を解除した状態で、第2駆動軸62の両方向の回転を許容する。【選択図】図4

Description

この技術は、例えば車両用駆動装置に搭載されるオイルポンプを駆動する回転電機などの回転部材の回転を係止するブレーキ装置、及びそれを備えたオイルポンプ装置に関する。
例えば車両に搭載される自動変速機やハイブリッド駆動装置等の車両用駆動装置にあっては、変速機構を油圧制御して変速するための油圧制御装置が設けられており、その油圧制御装置に供給する油圧を発生させるオイルポンプが備えられている。一般的にオイルポンプは、エンジンにより駆動されるものが主流であるが、アイドルストップ機能を搭載する車両のアイドルストップ中やハイブリッド車両のEV走行中にあっても、油圧制御を行って変速機構の動力伝達経路を形成しておき、エンジンの始動時にレスポンス良くエンジン走行を可能にするために、補助的に電動オイルポンプを設けたものもある。
しかしながら、エンジンにより駆動されるオイルポンプ(以下、機械式オイルポンプという)とは別に電動オイルポンプを設けたものでは、低油温では油の粘性が低くなるため、電動オイルポンプを大型化しない限り、低油温時に油圧が不足する虞がある。また、エンジンのアイドル回転中にあっては、大きな油圧が不要な場合であっても機械式オイルポンプを駆動してしまうため、機械式オイルポンプの駆動負荷の分、アイドル回転を上げる必要が生じて、車両の燃費向上の妨げとなる。
このような事情を鑑み、エンジンと電動モータとオイルポンプとを、それぞれプラネタリギヤの3つの回転要素に駆動連結し、エンジンと電動モータとの駆動力を調整しつつオイルポンプを駆動するオイルポンプ装置が提案されている(特許文献1参照)。
ところで、上記特許文献1に記載されたもののように、プラネタリギヤを用いてエンジンと電動モータとの駆動力を調整しつつオイルポンプを駆動するものでは、エンジンの駆動力だけでオイルポンプを駆動する場合に、電動モータの回転を停止する必要があるが、電動モータに電力を供給して回転を停止しても電力を消費するため、ブレーキ装置を設けて電動モータの回転を停止することが好ましい。このようなブレーキ装置としては、例えばコーンクラッチ等の摩擦板式、ドグクラッチ式、ワンウェイクラッチ式、ローラクラッチ式(特許文献2参照)などが考えられる。
特許第4700163号公報 特開2004−144106号公報
しかしながら、上述したブレーキ装置として、例えば摩擦板式のものを用いると、回転力を停止させるトルクを発生させるために大きな摩擦力が必要となり、クラッチ自体の外径が大きくなったり、スプリングで押圧する場合にはスプリングが大型化したりするばかりか、それを解除する油圧サーボや電動サーボ等のアクチュエータが大きくなり、ブレーキ装置の大型化が避けられないため、現実的ではない。
また、上述したブレーキ装置として、例えばドグクラッチ式を用いると、歯面の噛合により回転力を停止させるトルクとして十分である。しかしながら、上述したようにエンジンの駆動力だけでオイルポンプを駆動している状態にあって、オイルポンプにより発生する油圧が不足した場合に、電動モータの駆動力を素早くオイルポンプに伝達するため、ブレーキ装置による電動モータの回転停止を素早く解除して、電動モータを駆動開始する必要がある。例えばドグクラッチ式では、歯面の噛合を解除するストロークが長くなるため、噛合の解除に時間がかかり、油圧不足を補う際のレスポンスに問題を生じる虞がある。
そのため、上述したブレーキ装置として、例えばワンウェイクラッチを用いることも考えられる。しかしながら、ワンウェイクラッチによって電動モータの回転方向を一方向に規制してしまうと、エンジンの駆動力によりオイルポンプを駆動している際にエンジンの駆動力が余った場合に、電動モータを逆転回転させて回生することができず、電費の向上が図れず、車両の燃費向上の妨げとなる虞がある。
そして、上述したブレーキ装置として、例えばローラクラッチ式を用いることも考えられる。しかしながら、ローラクラッチ式にあっては、ローラを回転部材の外周側に配置する必要があり、ローラにより回転力を停止させるトルクを発生させることを考慮すると、ローラの接触面積等の観点からローラの外径や回転部材の外径が大きくなり、ブレーキ装置の小径化が図れないという問題がある。従って、上述したようにオイルポンプ装置の搭載性の観点から、ローラクラッチ式を採用することも困難である。
そこで、外径を小径化することが可能で、回転部材の係止状態で一方向の回転を許容しかつ他方向の回転を不能にすると共に、回転部材の係止状態を解除することが可能なブレーキ装置を提供することを目的とするものである。
本ブレーキ装置は、
ケースと、
回転部材に駆動連結され、回転軸の軸方向に向く鋸状の第1歯面を有する第1スターラチェット歯車と、
前記ケースに対して回転不能に駆動連結され、前記軸方向に向き、前記第1歯面と対向して配置される鋸状の第2歯面を有する第2スターラチェット歯車と、
前記第1スターラチェット歯車と前記第2スターラチェット歯車とを接離させる接離装置と、を有し、
前記第1スターラチェット歯車と前記第2スターラチェット歯車とを当接させて噛合させた状態で、前記回転部材の一方向の回転を許容し、かつ前記回転部材の他方向の回転を不能になるように係止し、
前記第1スターラチェット歯車と前記第2スターラチェット歯車とを離反させて噛合を解除した状態で、前記回転部材の両方向の回転を許容する。
本ブレーキ装置によると、第1スターラチェット歯車と第2スターラチェット歯車との噛合によって、回転部材の他方向の回転を不能となるように係止できるので、大きな押圧力を生じるような機構を不要とし、また、歯車自体の外径も小径で足りるため、ブレーキ装置の小径化を可能とすることができる。また、第1スターラチェット歯車と第2スターラチェット歯車とを噛合させた状態で、回転部材の一方向の回転を許容し、かつ回転部材の他方向の回転を不能になるように係止することができ、第1スターラチェット歯車と第2スターラチェット歯車との噛合を解除した状態にすることで、回転部材の両方向の回転を許容することができる。
(a)は本実施の形態に係る自動変速機の概略構成を示すブロック図、(b)は自動変速機における各軸の位置関係を示す断面模式図。 第1の実施の形態に係るオイルポンプ装置を示すスケルトン図。 第1の実施の形態に係るオイルポンプ装置の構造を示す断面図。 第1の実施の形態に係るブレーキ装置の構造を示す拡大断面図。 (a)は第1スターラチェット歯車を示す斜視図、(b)は第2スターラチェット歯車を示す斜視図。 (a)はサンギヤトルク分担率が18.18%のダブルピニオンプラネタリギヤを示す断面図、(b)はサンギヤトルク分担率が16.67%のダブルピニオンプラネタリギヤを示す断面図、(c)はサンギヤトルク分担率が14.29%のダブルピニオンプラネタリギヤを示す断面図。 オイルポンプ装置におけるダブルピニオンプラネタリギヤの速度線図。 (a)は電動モータを正転回転させる際のブレーキ装置の解除時の動作を示すタイムチャート、(b)は電動モータを逆転回転させる際のブレーキ装置の解除時の動作を示すタイムチャート。 第2の実施の形態に係るオイルポンプ装置を示すスケルトン図。 第3の実施の形態に係るオイルポンプ装置を示すスケルトン図。 (a)はサンギヤトルク分担率が23.08%のシングルピニオンプラネタリギヤを示す断面図、(b)はサンギヤトルク分担率が20.0%のシングルピニオンプラネタリギヤを示す断面図、(c)はサンギヤトルク分担率が16.67%のシングルピニオンプラネタリギヤを示す断面図。 オイルポンプ装置におけるシングルピニオンプラネタリギヤの速度線図。 第4の実施の形態に係るオイルポンプ装置を示すスケルトン図。
<第1の実施の形態>
以下、第1の実施の形態を図1乃至図8に沿って説明する。図1(a)は第1の実施の形態に係る自動変速機の概略構成を示すブロック図、図1(b)は自動変速機における各軸の位置関係を示す断面模式図、図2は第1の実施の形態に係るオイルポンプ装置を示すスケルトン図、図3は第1の実施の形態に係るオイルポンプ装置の構造を示す断面図、図4は第1の実施の形態に係るブレーキ装置の構造を示す拡大断面図、図5(a)は第1スターラチェット歯車を示す斜視図、図5(b)は第2スターラチェット歯車を示す斜視図、図6(a)はサンギヤトルク分担率が18.18%のダブルピニオンプラネタリギヤを示す断面図、図6(b)はサンギヤトルク分担率が16.67%のダブルピニオンプラネタリギヤを示す断面図、図6(c)はサンギヤトルク分担率が14.29%のダブルピニオンプラネタリギヤを示す断面図、図7はオイルポンプ装置におけるダブルピニオンプラネタリギヤの速度線図、図8(a)は電動モータを正転回転させる際のブレーキ装置の解除時の動作を示すタイムチャート、図8(b)は電動モータを逆転回転させる際のブレーキ装置の解除時の動作を示すタイムチャートである。
[自動変速機の概略]
まず、車両用駆動装置の一例である自動変速機3の概略構成について図1に沿って説明する。図1(a)に示すように、例えばFFタイプ(フロントエンジン、フロントドライブ)の車両に用いて好適な自動変速機3は、変速機構5と、エンジン(駆動源)2と変速機構5との間に介在されるトルクコンバータ(流体伝動装置)4と、それらを油圧制御するための油圧制御装置6とを備えて構成されている。また、自動変速機3の変速機構5の内部には、油圧を発生させて油圧制御装置6に油圧を供給するオイルポンプ装置1が備えられている。
また、自動変速機3には、制御部(ECU)100が備えられており、制御部100には、CPU101、RAM102、ROM103等が備えられている。制御部100は、ROM103等に格納されたプログラムを読み込んで、RAM102に一時的にデータを格納しながらCPU101によって各種の演算を行い、油圧制御装置6の不図示の各ソレノイドバルブに電気的な指令を出力する。また、制御部100は、詳しくは後述するオイルポンプ装置1の電動モータ(回転電機)30やブレーキ装置50のコイル部55に電気的な指令を出力可能となっている。
図1(b)に示すように、自動変速機3のミッションケース10の内部には、変速機構5として、第1軸AX1を中心として配置された変速歯車機構11と、第2軸AX2を中心として配置されたカウンタシャフト12と、第3軸AX3を中心として配置されたディファレンシャル装置13とが備えられており、これら変速歯車機構11、カウンタシャフト12、及びディファレンシャル装置13によって、エンジン2からの駆動回転を変速して不図示の車輪に伝達する動力伝達経路を構成している。なお、図1(b)に示す変速歯車機構11の円は該変速歯車機構11に配置されたカウンタギヤの外径を示し、カウンタシャフト12の円は該カウンタシャフト12に設けられた大径ギヤの外径を示し、ディファレンシャル装置13の円は該ディファレンシャル装置13に設けられたデフリングギヤの外径を示している。また、言うまでもなく、第1軸AX1、第2軸AX2、第3軸AX3は、平行な位置関係に配置されている。
また、ミッションケース10の内部の下方には、変速機構5を潤滑した油が溜まる油溜まりが形成されており、その油溜まりの油に吸入口が浸かるストレーナ19が配設されている。そして、ストレーナ19と油圧制御装置6との間にあって、変速歯車機構11の下方には、ストレーナ19から油を吸入して油圧制御装置6に油圧を供給するオイルポンプ装置1が、上記第1軸AX1と平行な別軸である第4軸AX4上に配置されている。このように配置されるオイルポンプ装置1は、外径が大きくなると、油圧制御装置6が配置される車両進行方向の前方側、或いは車両の下方側に膨らむことになるため、外径の小型化が望まれる。
[オイルポンプ装置の概略構成]
ついで、第1の実施の形態に係るオイルポンプ装置1の概略構成について図2を用いて説明する。上述したように、エンジン2は、図2で図示を省略したトルクコンバータ4を介して変速機構5に駆動連結されている。即ち、トルクコンバータ4は、エンジン2のクランク軸(不図示)に駆動連結されたポンプインペラ(不図示)と、流体伝動により駆動されるタービンランナ(不図示)とを有しており、変速機構5はタービンランナに駆動連結されている。ポンプインペラには、変速機構5の側に延びる回転軸5aが設けられており、該回転軸5aには駆動伝達部60が駆動連結されている。
駆動伝達部60は、第1スプロケット64と、第2スプロケット63と、それら第1スプロケット64及び第2スプロケット63に架け渡されたチェーン65と、を備えており、第2スプロケット63はオイルポンプ装置1の第1駆動軸61に固定されている。従って、エンジン2のクランク軸が駆動伝達部60を介してオイルポンプ装置1の第1駆動軸61に駆動連結されており、言い換えると、エンジン2のクランク軸が変速機構5の動力伝達経路に駆動連結されているため、オイルポンプ装置1の第1駆動軸61は、変速機構5の動力伝達経路に駆動連結されている。
オイルポンプ装置1は、上述したように第4軸AX4上に配置され、軸方向に順に、第2スプロケット63、オイルポンプ30、プラネタリギヤDP、電動モータ40、ブレーキ装置50が配置されている。オイルポンプ30は、ドライブギヤ34及びギヤとしてのドリブンギヤ33からなる内接ギヤ式で構成されている。モータ・ジェネレータとして機能する回転電機としての電動モータ40(MG)は、ステータ41及びロータ43を有する例えばIPMモータで構成されている。
一方、プラネタリギヤDPは、サンギヤSと、リングギヤRと、キャリヤCRとを有しており、キャリヤCRに、サンギヤSに噛合する第1ピニオンP1と、該第1ピニオンP1及びリングギヤRに噛合する第2ピニオンP2と、を有する、いわゆるダブルピニオンプラネタリギヤで構成されている。このうちのキャリヤCRは、オイルポンプ30の内側を通る第1駆動軸61に駆動連結され、サンギヤSは電動モータ40(MG)のロータ43が固定されている第2駆動軸62に駆動連結され、リングギヤRはオイルポンプ30のドライブギヤ34に駆動連結されている。従って、プラネタリギヤDPは、エンジン2の駆動力と電動モータ40の駆動力との分担を設定しつつ、それらの駆動力の一方、或いは両方を合成して、オイルポンプ30に伝達可能となっている。
ブレーキ装置50は、第1スターラチェット歯車51と、第2スターラチェット歯車52と、第2スターラチェット歯車52を移動駆動する接離装置59とを有しており、接離装置59は、コイル部(ソレノイド部)55と、スプリング56とを有して構成されている。第1スターラチェット歯車51は、第2駆動軸62に駆動連結されていると共に軸方向に対して移動不能に配設されていて、第2スターラチェット歯車52に対向する面に鋸状の歯面51a(図5(a)参照)が形成されている。第2スターラチェット歯車52は、ブレーキケース53(図3参照)に対して回転不能に係止されていると共に軸方向に移動可能に配設されていて、かつスプリング56によって第1スターラチェット歯車51に向けて付勢されており、第1スターラチェット歯車51に対向する面に鋸状の歯面52a(図5(b)参照)が形成されている。
これら第1スターラチェット歯車51の歯面51aと第2スターラチェット歯車52の歯面52aとの鋸状の形状は、電動モータ40が正転回転する側に対して斜面が形成されており、電動モータ40が逆転回転する側に対して段差状となるように形成されている。従って、第1スターラチェット歯車51と第2スターラチェット歯車52とが係合している状態で、電動モータ40が正転回転すると、スプリング56の付勢力に抗して互いの歯面51a,52aが摺動して第2スターラチェット歯車52を軸方向に押圧移動させることで、電動モータ40の回転駆動を妨げずに回転可能とし、電動モータ40が逆転回転しようとすると、互いの歯面51a,52aが噛合して回転不能となる、いわゆるワンウェイクラッチと同機能を有している。
そして、コイル部55は、励磁されることによって、第2スターラチェット歯車52をスプリング56の付勢力に抗して軸方向の第1スターラチェット歯車51とは反対側に駆動可能であり、つまりブレーキ装置50は、コイル部55をON制御して励磁することで第1スターラチェット歯車51と第2スターラチェット歯車52との係合を解除可能に構成されている。
以上のように構成された第1の実施の形態に係るオイルポンプ装置1は、例えば電動モータ40をキャリヤCRに駆動連結する場合(図9参照)に比して、電動モータ40とプラネタリギヤDPとを駆動連結する連結部分が不要となり、軸方向の短縮化が可能となる。また、プラネタリギヤDPがダブルピニオンプラネタリギヤであり、シングルピニオンプラネタリギヤで構成する場合(図13参照)に比して、キャリヤCRとオイルポンプ30との連結部材の取り回しが簡易であり、径方向の小型化が可能となる。
[オイルポンプ装置の詳細構成]
次に、第1の実施の形態に係るオイルポンプ装置1の詳細な構成について図3乃至図6を用いて説明する。図3に示すように、オイルポンプ装置1は、オイルポンプ30を構成する第1ポンプケース71及び第2ポンプケース72、電動モータ40を構成するモータケース73、第2ポンプケース72とモータケース73とを連結する連結ケース74、により一体となるケース70を備えており、さらに、ブレーキ装置50を構成するブレーキケース53及びコイルカバー57がモータケース73に対してセットブロック75にボルト91で構成されることで、ブレーキ装置50までが一体に固定されている。
上記第1ポンプケース71及び第2ポンプケース72は、第1ブロック31、第2ブロック32、それらの間に配置されるドライブギヤ34及びドリブンギヤ33を覆って収納しており、これらドライブギヤ34及びドリブンギヤ33によって内接ギヤポンプを構成している。第1ポンプケース71には、ストレーナ19(図1(b)参照)に連通する吸入油路71Aと、油圧制御装置6(図1参照)に連通する排出油路71Bとが形成されており、吸入油路71Aは、第2ブロック32に形成された吸入口(不図示)に連通する油路32Aと、第1ブロック31の図示を省略した油路を介して第2ポンプケース72に形成された吸入側空間72Aと、に連通し、排出油路71Bは、第2ブロック32に形成された排出口(不図示)に連通する油路32Bと、第1ブロック31の図示を省略した油路を介して第2ポンプケース72に形成された排出側空間72Bと、に連通するように構成されている。従って、ドライブギヤ34が駆動回転するとドリブンギヤ33が従動回転し、それらギヤ間に形成された空間が拡がる際に吸入油路71Aから油路31A及び吸入側空間72Aにある油を吸入し、ギヤ間に形成された空間が縮まる際に油路32B及び排出側空間72Bに油圧を排出して、つまり排出油路71Bを介して油圧制御装置6に供給する油圧を発生させる。
一方、第1ポンプケース71及び第2ポンプケース72の中心部分には、オイルポンプ30の内部を通るように、駆動伝達部60の第2スプロケット63に駆動連結された第1駆動軸61が配置されている。また、第1駆動軸61の外周には、ドライブギヤ34とプラネタリギヤDPのリングギヤRとを連結する中空状の連結軸39が配置されている。連結軸39は、第1ポンプケース71及び第2ポンプケース72に対し、ブッシュB5,B7によって回転自在に支持されており、第1駆動軸61は、第1ポンプケース71に対してボールベアリングB1によって、かつ連結軸39に対してブッシュB4,B6によって回転自在に支持され、つまり第1駆動軸61は、第1ポンプケース71及び第2ポンプケース72に対して回転自在に支持されている。
一方、プラネタリギヤDPは、第2ポンプケース72に覆われ、かつ連結ケース74によって閉塞されることでケース70に収納されている。サンギヤSは、第2駆動軸62の端部外周に形成されており、リングギヤRは、フランジ状に形成されたフランジ部材25に固着され、フランジ部材25に支持されていると共に、該フランジ部材25が上記連結軸39に固着されていることで、上記ドライブギヤ34に駆動連結されている。一方、キャリヤCRは、第1側板21と、第2側板22と、それらの間に架け渡された第1ピニオンシャフト24、第2ピニオンシャフト23を有しており、第2側板22の一部が第1側板21まで延びて固着されることで、一体の枠状のキャリヤ体を構成している。そして、キャリヤCRは、第1ピニオンシャフト24に第1ピニオンP1と、第2ピニオンシャフト23に第2ピニオンP2とを自転可能となるように回転自在に支持しており、第2側板22が第1駆動軸61に固定されていることで、第1駆動軸61の回転、つまりエンジン2の回転によって、それら第1ピニオンP1及び第2ピニオンP2を公転回転させる。
また、第2側板22における第2ピニオンシャフト23を支持する部分は、軸方向の第1側板21の側に屈曲形成されており、第2ピニオンシャフト23は、第1ピニオンシャフト24よりも短くなるように構成されており、つまり第2ピニオンP2の軸長は、第1ピニオンP1の軸長より短くなるように構成されている。そして、キャリヤCRの第2側板22と上記フランジ部材25との間には、軸方向から視て第2ピニオンシャフト23の径と重なる位置に、軸受であるスラストベアリング27が配置され、第2側板22とフランジ部材25との相対回転を許容しつつ軸方向の相対位置を位置決め支持している。このように構成されることで、フランジ部材25と第2側板22との軸方向の距離を延ばすことなく、スラストベアリング27を配置することを可能としている。
上記サンギヤSが端部に形成された第2駆動軸62は、ロータ43に対して軸方向のプラネタリギヤDPの側に配置され、連結ケース74に対してボールベアリング(第2軸受)B2によって、かつロータ43に対して軸方向のブレーキ装置50の側に配置され、モータケース73に対してボールベアリング(第1軸受)B3によって、ケース70に対して両持ち構造で回転自在に支持されている。また、ボールベアリングB2の軸方向のプラネタリギヤDPの側には、連結ケース74と第2駆動軸62との間をシールするシールリングSL1がボールベアリングB2と並設される形で配置されている。一方、詳しくは後述するブレーキ装置50のコイルカバー57には、モータケース73と該コイルカバー57との間をシールするシールリング(シール部材)SL2が配置されており、つまり電動モータ40の内部とブレーキ装置50の内部とは、自動変速機3の油が入らないようにシールされて、電動モータ40の油の撹拌ロスが生じないように構成されている。
上記第2駆動軸62の外周には、電動モータ40のロータ43が固定されており、そのロータ43の外周側には、ステータコア41aに配策されたコイル42を有すると共にステータコア41aから軸方向に突出したコイル42によりコイルエンド部42Eが形成されているステータ41が、連結ケース74及びセットブロック75によって挟持されつつモータケース73に対して固定されている。従って、電動モータ40のロータ43は、上記プラネタリギヤDPのサンギヤSに一体となるように構成され、言い換えると、サンギヤSに電動モータ40が駆動連結されている。また、上記ボールベアリングB2とボールベアリングB3とは、少なくとも一部が径方向から視てコイルエンド部42Eに重なるように、コイルエンド部42Eの径方向の内側に配置されており、これによって、オイルポンプ装置1の軸方向の短縮化が図られている。
また、第2駆動軸62のサンギヤSとは軸方向反対側には、ブレーキ装置50が駆動連結されている。即ち、図4に示すように、第2駆動軸62のサンギヤSと反対側の端部外周側にはスプライン62sが形成されており、該スプライン62sには、図4及び図5(a)に示すように第1スターラチェット歯車51のスプライン51sがスプライン係合している。詳細には、図5(a)に示すように、第1スターラチェット歯車51は、中空円板状に形成された本体部51Fと、該本体部51Fの内周側から円筒状に軸方向に延びるボス部51Bと、を有して構成されており、ボス部51Bの内周側にスプライン51sが形成されている。また、本体部51Fの外周側の側面には、鋸状の歯面(第1歯面)51aが形成されており、即ち、歯面51aは第2駆動軸62の回転中心である第4軸AX4(回転軸)の軸方向に向くように配置されている。
歯面51aには、同形状である複数の歯51Tが形成されており、それぞれの歯51Tは、歯元から歯先まで軸方向に対して傾斜するように形成された第1斜面51Taと、第1斜面51Taの歯先から隣接する第1斜面51Taの歯元まで軸方向に対して第1斜面51Taよりも小さな角度で傾斜するように形成された第2斜面51Tbと、を有している。これらの歯は、第1斜面51Taが後述する第2スターラチェット歯車52の歯面52aの第1斜面52Taと互いに当接可能に対向しており、かつ軸方向から視て第1斜面51Taの歯先が隣接する第1斜面51Taに重なる位置となるように形成されており、つまり歯51Tの第2斜面51Tbの部分は、軸方向に対して凹むように形成されている。なお、本実施の形態では、軸方向から視て第1斜面51Taの歯先が隣接する第1斜面51Taに重なる位置となるように形成されているが、軸方向から視て第1斜面51Taの歯先が隣接する第1斜面51Taの歯元に重なる位置、つまり第2斜面51Tbが軸方向と平行な面となっていてもよい。
そして、第1スターラチェット歯車51は、図4に示すように、第2駆動軸62に対してキャップ部材58が嵌合されることで軸方向に対して抜け止めされ、つまり第1スターラチェット歯車51は、第2駆動軸62と回転方向に係合して駆動連結され、かつ軸方向に移動不能に固定されて配置されている。
一方、ブレーキ装置50は、ブレーキケース53にコイルカバー57が固定されており、コイルカバー57の内周側かつ第2スターラチェット歯車52の外周側に、巻線が巻回されたコイル部55が配置され、また、コイルカバー57には、内周側に円筒状の円筒部54aを有する台座部材54が固定されて、台座部材54とコイルカバー57との間にコイル部55を内外周方向及び軸方向に挟持するコイルケース55Cを構成することで、コイル部55を固定している。コイル部55にはターミナル55Tが設けられており、制御部100の指令によって電力が供給可能となっている。ブレーキケース53は非磁性材料からなると共に、コイルカバー57及び台座部材54は磁性材料からなる。コイルカバー57は、軸方向において第2スターラチェット歯車52に向かってボス状に延びるボス部57aを有しており、このボス部57aは、端部に後述する第2スターラチェット歯車52のドラム部52Dに当接する当接部57bと、当接部57bの内周側に当接部57bよりも軸方向の第2スターラチェット歯車52の側に延びる延出部57cとを有している。これにより、コイル部55に電力が供給されることにより発生した磁界は、コイルカバー57からコイル部55の内周側に軸方向に延びる円筒状のボス部57aの延出部57cから第2スターラチェット歯車52のドラム部52Dの磁気回路形成部52bを介して台座部材54の円筒部54aを通る磁気回路を構成している。また、台座部材54の円筒部54aの内周側にはスプライン54sが形成されている。
第2スターラチェット歯車52は、図5(b)に示すように、中空円板状に形成された本体部52Fと、該本体部52Fの外周側から円筒状に軸方向に延びるドラム部52Dと、を有して磁性材料で構成されており、ドラム部52Dの外周側にスプライン部52sが形成され、図4に示すように内周側に磁気回路形成部52bを有している。また、本体部52Fの外周側の側面には、上記第1スターラチェット歯車51の歯面51aと同ピッチかつ同傾斜で周方向に逆向きの鋸状の歯面(第2歯面)52aが形成されており、即ち、歯面52aは上記軸方向に向き、かつ上記歯面51aに対向するように配置されている。具体的には、歯面52aには、第1スターラチェット歯車51と同様に、同形状である複数の歯52Tが形成されており、それぞれの歯52Tは、歯元から歯先まで軸方向に対して傾斜するように形成された第1斜面52Taと、第1斜面52Taの歯先から隣接する第1斜面52Taの歯元まで軸方向に対して第1斜面52Taよりも小さな角度で傾斜するように形成された第2斜面52Tbと、を有している。これらの歯は、第1斜面52Taが上述の第1スターラチェット歯車51の歯面51aの第1斜面51Taと互いに当接可能に対向しており、かつ軸方向から視て第1斜面52Taの歯先が隣接する第1斜面52Taに重なる位置となるように形成されており、つまり歯52Tの第2斜面52Tbの部分は、軸方向に対して凹むように形成されている。なお、同様に、本実施の形態では、軸方向から視て第1斜面52Taの歯先が隣接する第1斜面52Taに重なる位置となるように形成されているが、軸方向から視て第1斜面52Taの歯先が隣接する第1斜面52Taの歯元に重なる位置、つまり第2斜面52Tbが軸方向と平行な面となっていてもよく、つまり第1スターラチェット歯車51と第2スターラチェット歯車52とのそれぞれの歯51T,52Tは同形状であることが好ましい。
図4に示すように、第2スターラチェット歯車52は、スプライン部52sが台座部材54のスプライン54sにスプライン係合しており、該台座部材54を介してブレーキケース53に対して回転不能に係止されて配置されていると共に、軸方向にスライド移動自在に配置されている。そして、本体部52Fとコイルカバー57との間には、第2スターラチェット歯車52を第1スターラチェット歯車51に向けて付勢する(軸方向の一方に向けて付勢する)スプリング56が縮設されており、コイル部55が非励磁である場合には、スプリング56の付勢力によって第1スターラチェット歯車51に第2スターラチェット歯車52が押圧され、コイル部55が励磁された場合には、上記磁気回路によってスプリング56の付勢力に抗して(軸方向の他方に)第2スターラチェット歯車52がコイルカバー57のボス部57aに吸引されて駆動される。即ち、コイル部55が非通電の際は、スプリング56の付勢力によって第1スターラチェット歯車51と第2スターラチェット歯車52とが当接されて噛合状態となり、コイル部55が通電された際は、第1スターラチェット歯車51と第2スターラチェット歯車52との噛合が解除される。従って、コイル部55とスプリング56とによって、第1スターラチェット歯車51と第2スターラチェット歯車52とを接離させる接離装置59が構成されている。
以上のように構成されたブレーキ装置50は、第1スターラチェット歯車51と第2スターラチェット歯車52とをスプリング56の付勢力によって当接させて噛合させた状態で、第2駆動軸62の正転回転(一方向の回転)を許容し、かつ第2駆動軸62の逆転回転(他方向の回転)が不能になるように係止する。そして、第1スターラチェット歯車51と第2スターラチェット歯車52とを離反させて噛合を解除した状態では、第2駆動軸62の正転回転及び逆転回転(両方向の回転)を許容する。
このように構成されたブレーキ装置50は、ラチェット式で構成されているため、第1スターラチェット歯車51と第2スターラチェット歯車52とを、例えば摩擦板式のような大きな押圧力で押圧しなくても第2駆動軸62の逆転回転が不能となるように係止でき、つまりスプリング56の付勢力が小さくても第2駆動軸62に生じる逆回転方向のトルクを受け止めることができる。また、第2駆動軸62に生じる逆回転方向のトルクを受け止めるとしても、第1スターラチェット歯車51と第2スターラチェット歯車52との外径も小径で足りるため、例えばローラクラッチ式に比して、ブレーキ装置50の外径を小径化することが可能となり、電動モータ40の外径よりもブレーキ装置50の外径が大きくなることを防止できる。さらに、第2スターラチェット歯車52を軸方向にストロークさせるストローク量も、歯面51aと歯面52aとの噛合が解除できればよいので、例えばドグクラッチ式に比して、小さなストローク量でよく、軸方向の短縮化も図れる。
また、第2駆動軸62の逆転回転を係止する際には、スプリング56の付勢力だけで、第1スターラチェット歯車51と第2スターラチェット歯車52とを噛合でき、電力の消費を抑えることができる。さらに、例えばプランジャなどを介して第2スターラチェット歯車52を駆動するものに比して、プランジャが不要となる分、ブレーキ装置50の小型化を図ることができる。また、例えばコイル部55と相対回転が生じる第1スターラチェット歯車51を磁力により駆動可能にする場合に比して、コイル部55と第2スターラチェット歯車52との相対回転が無いため、回転を許容する隙間などを設けることを不要として小型化を図ることでき、さらにコイル部55と第2スターラチェット歯車52とを近づけることができるため、磁力を強くすることができ、その分、コイル部55を小型化することができて、総じてブレーキ装置50を小型化することができる。そして、コイル部55を第2スターラチェット歯車52の外周側に径方向から視て少なくとも一部が重なるように配置されているので、ブレーキ装置50の軸方向の短縮化を図ることができ、かつコイル部55と第2スターラチェット歯車52とを近づけることができるため、磁力を強くすることができ、その分、コイル部55を小型化することができて、ブレーキ装置50を小型化することができる。
なお、上記コイルカバー57及びブレーキケース53には、コイル部55の外周側でターミナル55Tと並行する形で貫通するように配線孔H1が形成されており、上記電動モータ40のステータ41のコイル42に電力を供給する配線49が配置されている。このように配線孔H1及び配線49が、電動モータ40からブレーキ装置50の外周側を通って軸方向に向けて配置されることで、電動モータ40の外周側にターミナルやコネクタが配置されず、また、電動モータ40の外周側に配線スペースを設けることも不要となるため、オイルポンプ装置1の小径化が可能となり、かつ搭載性の向上が図られている。
[オイルポンプ装置の軸方向の配置]
以上のように、オイルポンプ装置1においては、図2に示すように、軸方向に対して順に、オイルポンプ30、プラネタリギヤDP、電動モータ40、ブレーキ装置50の順で配置されている。これにより、ブレーキ装置50がプラネタリギヤDP(又はSP)や電動モータ40の外周側に配置されることがなく、オイルポンプ装置1の外径を小型化することができる。また、このような順で配置されていることで、電動モータ40とプラネタリギヤDPとの間にブレーキ装置50やオイルポンプ30が介在することがなく、また、電動モータ40とブレーキ装置50との間にプラネタリギヤDPやオイルポンプ30が介在することがなく、つまり電動モータ40にプラネタリギヤDPとブレーキ装置50とを隣接配置されている。そのため、第2駆動軸62を、プラネタリギヤDPの側とブレーキ装置50の側とに僅かに突出させるだけで構成できるので、ロータ43から第2駆動軸62の両端部までの距離が長くなることを防止できる。そして、図3に示すように、第2駆動軸62は、ボールベアリングB2及びボールベアリングB3によって両端支持されていて、軸方向のおける偏心や軸方向の移動も抑えられている。
そのため、電動モータ40のロータ43が固定される第2駆動軸62に作用する、プラネタリギヤDPのサンギヤSからの曲げモーメントやブレーキ装置50の第1スターラチェット歯車51からの曲げモーメントが増加されることなく、ロータ43の偏心を防止できて、ロータ43とステータ41とのエアギャップを精度良く確保できるため、電動モータ40の性能向上を図ることができている。また、第1スターラチェットがキャップ部材58によって第2駆動軸62に固定されることで、第1スターラチェットおよび第2スターラチェットが接離された状態で、ソレノイドの磁力によって第1スターラチェットが第2スターラチェットに接離された状態で噛合することを防止でき、さらに第1スターラチェットの軸精度が確保されるため、第1スターラチェットと第2スターラチェットの当接したときの精度が確保できるため、ギヤノイズの低減も図ることができている。
[オイルポンプ装置の動作]
ついで、オイルポンプ装置1の動作について、図7を用いて説明する。上述したようにプラネタリギヤDPは、ダブルピニオンプラネタリギヤで構成されており、図7の速度線図において、ギヤ比に対応する間隔での並びの順、即ち回転速度の順に、サンギヤS、リングギヤR、キャリヤCRが並ぶことになり、サンギヤSには電動モータ40(MG)が、リングギヤRにはオイルポンプ30(O/P)が、キャリヤCRにはエンジン2(E/G)が駆動連結されている。図7に示すように、サンギヤSとキャリヤCRとのギヤ比は1であり、キャリヤCRとリングギヤRとのギヤ比はλである。このギヤ比λは、詳しくは後述するように0.5未満に設定することで、サンギヤSの歯数とリングギヤRの歯数との商が0.2より小さく構成され、サンギヤSとキャリヤCRとのトルク分担率、即ちオイルポンプ30を駆動する駆動トルクにおけるエンジン2と電動モータ40とのトルク分担率において、電動モータ40のトルク分担率が50%未満となり、より好ましくはギヤ比λを0.25未満に設定することで、電動モータ40のトルク分担率が25%未満にすることができる。
オイルポンプ装置1は、大まかに4つのモードである、第1モードMod1、第2モードMod2、第3モードMod3、第4モードMod4を実行可能である。第1モードMod1は、エンジン2による車両の走行状態で、エンジン2の駆動力によりキャリヤCRを回転駆動し、かつ電動モータ40の回転を停止し、ブレーキ装置50により第2駆動軸62を介してサンギヤSの回転を停止する状態である。これにより、オイルポンプ30は、エンジン2の駆動力だけで駆動される。即ち、一般的な自動変速機のように、エンジン2によってオイルポンプ30が駆動され、特にエンジン2による定常走行時などあって、変速機構5においてクラッチ等の締結力として必要な油圧を発生することができる。
なお、ブレーキ装置50を用いず、電動モータ40を略停止状態に制御することでも第1モードMod1を達成可能であるが、この場合は電動モータ40の回転速度をエンコーダ等で検出して制御することになり、また、電動モータ40で電力を消費することになるため、ブレーキ装置50により回転を係止させることで、制御も簡易となり、かつ消費電力の低減も可能となって、ひいては車両の燃費向上を図ることが可能となる。
第2モードMod2は、エンジン2のアイドルストップ時など、エンジン2の回転を停止し、電動モータ40の駆動力によりサンギヤSを回転駆動する状態である。即ち、第2モードMod2では、制御部100が変速機構5に対して供給が必要な油圧からオイルポンプ30の目標回転速度TSを演算し、ギヤ比に基づきオイルポンプ30が目標回転速度TSとなるように電動モータ40の回転速度を演算してその速度に制御する。
ここで、電動モータ40は、上述のようにトルク分担率が50%未満、好ましくは25%未満となるように設定されていることで、この第2モードMod2の際は目標回転速度TSに対して倍以上の高回転速度となるが、その分、電動モータ40が分担するトルクは小さくて足りるので、つまり電動モータ40は低トルク型かつ高回転型に設計されたものを用いることができる。電動モータ40が低トルクで足りる場合は、ロータ43に配設する磁石の数を高トルク型のものに比して少なくすることができるため、ロータ43における周方向の配置間隔を考慮しても、ロータ43を小径化することができ、さらに、ステータ41の巻線の数も少なくすることができて、磁界飽和を考慮してもステータ41の小径化を図ることができる。
また、電動モータ40のトルクを上昇するためには、ロータ43及びステータ41の軸方向の長さを長くすることも考えられる。上述したように自動変速機3における配置関係においては、オイルポンプ装置1の長さが多少長くなったとしても、変速歯車機構11の長さに比して十分短いため、電動モータ40の軸方向の長さは多少長くても構わない。従って、電動モータ40は、低トルク型かつ高回転型で、小径なものが採用される。電動モータ40の径方向のサイズとしては、図3に示すように、プラネタリギヤDPのリングギヤRとオイルポンプ30のドリブンギヤ33の外径とステータ41の外径とが同じぐらいとなることで、オイルポンプ装置1全体の外径が同径の筒状とすることができるため、プラネタリギヤDPのリングギヤRの径方向の厚みの範囲内に、オイルポンプ30のドリブンギヤ33の外径が収まり、かつ電動モータ40のステータ41の外径が収まることが好ましい。
第3モードMod3は、エンジン2による車両の走行状態で、エンジン2の駆動力によりキャリヤCRを回転駆動し、電動モータ40の駆動力によりサンギヤSを回転駆動し、上述したようにオイルポンプ30の目標回転速度TSを演算し、オイルポンプ30が目標回転速度TSとなるように電動モータ40の回転速度(或いは駆動トルクでもよい)を制御する状態である。これにより、オイルポンプ30は、エンジン2の駆動力と電動モータ40の駆動力との両方で駆動される。即ち、例えばアクセルが踏圧されてアクセル開度が高くてエンジン2の駆動力が高い場合などにあって、アクセル開度に応じてエンジン2の回転速度が上昇して変速機構5に入力される駆動力が上昇する際、クラッチ等の締結力を必要な油圧に上昇させるために、オイルポンプ30の駆動力が上昇してしまうが、従来のエンジン駆動型のオイルポンプ同様に、エンジン(またはM/G)の駆動トルクは必然的に上昇し、Mod3では電動モータ40の駆動力を上昇させることで必要な油圧を発生することが可能となる。オイルポンプ30の駆動力を上昇して、変速機構5においてクラッチ等の締結力として必要な油圧を発生することができる。また、ハイブリッド車両などにおいては、モータの冷却に過大な流量が求められる状態においては、エンジン(またはM/G)の回転数は車両の走行状態に伴って変化するため、図7においてはキャリヤCRの回転数は走行状態に伴って変化するが、電動モータ40の回転数を任意に変更することで、オイルポンプの30の吐出する流量を要求される流量に制御することが可能となる。
第4モードMod4は、エンジン2による車両の走行状態で、エンジン2の駆動力によりキャリヤCRを回転駆動し、上述したようにオイルポンプ30の目標回転速度TSを演算し、オイルポンプ30が目標回転速度TSとなるように電動モータ40の回転数を演算して、電動モータ40を回生側で制御する状態である。これにより、オイルポンプ30は、エンジン2および電動モータ40の駆動力で駆動されつつ、オイルポンプ30の不要な回転数の分、電動モータ40の回転数が回生側となることで、電動モータ40によって回生されて、つまり電動モータ40によって発電されて不図示のバッテリに蓄電される。即ち、特にエンジン2による定常走行時などにあって、変速機構5においてクラッチ等の締結力として必要な油圧を確保しつつ、オイルポンプ30の駆動トルクとして大きなトルクが不要な場合に、その不要な分の駆動力を発電により吸収することができる。
以上のように、本オイルポンプ装置1によると、エンジン2の駆動力だけでオイルポンプ30を駆動することができ、オイルポンプ30の高い回転数が必要な場合には、エンジン2の回転に加えて電動モータ40の回転数を加えてオイルポンプ30を任意の回転数にすることができ、オイルポンプ30の回転数として高い回転数が不要な場合には、電動モータ40によりエンジン2の余剰な動力を回生することができ、アイドルストップ中などにエンジン2が停止している場合でも、電動モータ40によりオイルポンプ30を駆動することができる。
[ブレーキ装置の動作]
続いて、ブレーキ装置50の動作について、図4及び図5を参照しつつ図8を用いて説明する。まず、上記第1モードMod1から第3モードMod3に移行する場合について説明する。図8(a)に示すように、上述したように第1モードMod1にあっては、ソレノイド部であるコイル部55が非通電となるOFF制御されて非励磁にされているため、第1スターラチェット歯車51と第2スターラチェット歯車52とがスプリング56の付勢力によって噛合して係合している状態であり、電動モータ40は回転停止している状態である。時点t11において、制御部100が上記第1モードMod1から上記第3モードMod3への移行を判断すると、コイル部55をOFF制御から通電されるON制御の状態に切換えつつ、電動モータ40を正転回転させる。すると、第1スターラチェット歯車51と第2スターラチェット歯車52とは上述したように電動モータ40の正転回転を許容するため、電動モータ40の作動により電動モータ40が目標回転に向けて正転回転を開始し、電動モータ40の駆動により第1スターラチェット歯車51が回転することで、第2スターラチェット歯車52を僅かに解除する。そして、時点t12までにコイル部55のON制御により第1スターラチェット歯車51と第2スターラチェット歯車52との係合が解放されて解除され、電動モータ40の正転回転を妨げずに時点t14までに目標回転に到達する。
一方、例えばブレーキ装置がドグクラッチ式で構成されている場合には、ドグが噛合している間は電動モータ40が回転不能に係止されてしまう。また、ドグクラッチは、一般的に強度を担保するために噛合が深いので、軸方向のストローク量が多く、解除に時間がかかる。そのため、例えば時点t11に制御部100が上記第1モードMod1から上記第3モードMod3に移行を判断し、ドグクラッチの解除を開始したとしても、時点t13まで解除の時間がかかり、時点t13から電動モータ40が回転可能となるため、電動モータが目標回転に到達するのが時点t15となる。
次に、上記第1モードMod1から第4モードMod4に移行する場合について説明する。図8(b)に示すように、上述したように第1モードMod1にあっては、コイル部55がOFF制御されているため、第1スターラチェット歯車51と第2スターラチェット歯車52とがスプリング56の付勢力によって噛合して係合している状態であり、電動モータ40は回転停止している状態である。時点t21において、制御部100が上記第1モードMod1から上記第4モードMod4への移行を判断すると、コイル部55をOFF制御からON制御の状態に切換えつつ、まず一旦、電動モータ40を正転回転させる。すると、第1スターラチェット歯車51と第2スターラチェット歯車52とは上述したように電動モータ40の正転回転を許容するため、電動モータ40の作動により、第1スターラチェット歯車51と第2スターラチェット歯車52との噛合が僅かに解除され、つまり解除アシストが実行される。また、時点t21から時点t22までにコイル部55のON制御により第1スターラチェット歯車51と第2スターラチェット歯車52との係合が解放されて解除される。そして、時点t22に電動モータ40の回転制御を逆転(負回転)し、電動モータ40が逆転回転(マイナス)の目標回転に向けて駆動制御され、時点t24までに逆転回転の目標回転に到達する。
一方、例えばブレーキ装置がドグクラッチ式で構成されている場合には、ドグが噛合している間は電動モータ40が回転不能に係止されてしまい、かつ解除に時間がかかる。そのため、例えば時点t21に制御部100が上記第1モードMod1から上記第4モードMod4に移行を判断し、ドグクラッチの解除を開始したとしても、時点t23まで解除の時間がかかり、時点t23から電動モータ40が回転可能となるため、電動モータが逆転回転の目標回転に到達するのが時点t25となる。
以上説明したように、本ブレーキ装置50は、ラチェット式で構成されているので、例えばドグクラッチ式で構成されている場合よりも、電動モータ40の正転回転を素早く開始でき、正転回転の目標回転に素早く到達できて、オイルポンプ装置1のレスポンスを向上することができる。また、例えばドグクラッチ式で構成されている場合よりも、電動モータ40の逆転回転の目標回転に素早く到達でき、オイルポンプ装置1のレスポンスを向上することができる。また、ドグクラッチ式に比して、ストローク量が少なく構成できるので、軸方向の短縮化も図ることができる。
[電動モータのトルク分担率]
続いて、プラネタリギヤDPの各ギヤのギヤ比に基づく、電動モータ40のトルク分担率について図7及び図6を用いて説明する。図7に示すように、ダブルピニオンプラネタリギヤであるプラネタリギヤDPは、サンギヤSとキャリヤCRとのギヤ比が「1」で、キャリヤCRとリングギヤRとのギヤ比が「λ」である。ピニオンの配置は、不等角配置でも構わないが、起振力によるギヤノイズの低減を考慮すると、周方向に対して均等となる位置に配置される等角配置が好ましい。また、本オイルポンプ装置1にあっては、リングギヤRの外径を大きくしてしまうと、車両に対する搭載性が良好でなくなるため、リングギヤRが外径に制限が生じる。そして、オイルポンプ30をエンジン2と電動モータ40とで駆動する際のトルク分担率にあって、電動モータ40のトルク分担率が50%未満、好ましくは25%未満とすることで、電動モータ40を低トルク型かつ高回転型にして、リングギヤRの外径と電動モータ40の外径とを略同じにできる。さらに、プラネタリ機構を構成する各ギヤの負担する負荷を下げ、プラネタリ機構の軸長方向を小型化するためにピニオン数を多く設定することが好ましい。
以上のようなプラネタリギヤDPの制約を考慮すると、ダブルピニオンプラネタリギヤにおける第1ピニオンP1及び第2ピニオンP2のそれぞれの本数(ピニオン数)は、7本以上配置することが難しく、6本以下となる。また、各ピニオンの耐久性、特に歯の強度等を考慮すると、ピニオン数をなるべく多くしてトルクを分散させることが好ましく、総合すると、4本〜6本が好ましいことになる。本実施の形態にあっては、図6に示す3つの実施例を例示する。
例えば図6(a)に示すプラネタリギヤDPの例では、モジュールが「0.5」、サンギヤSの歯数が「20」、第1ピニオンP1の歯数が「18」、第2ピニオンP2の歯数が「30」、リングギヤRの歯数が「110」で構成される。ダブルピニオンプラネタリギヤにおける等角配置は、「(リングギヤRの歯数−サンギヤSの歯数)/N」が整数であることが条件であるので、ピニオン数は5本にすることができる。この場合、第1ピニオンP1は、第2ピニオンP2より小径となるが、ピニオン数が5本あり、受けるトルクを分散できるため、耐久性の向上が図れている。さらに、第2ピニオンP2の径が第1ピニオンP1の径よりも大きいため、第2ピニオンP2の噛合い回数を少なくでき、その分、上述したように第2ピニオンP2の軸長を第1ピニオンP1の軸長よりも短くすることができており、軸方向に延ばさずにスラストベアリング27を配置することができている。そして、サンギヤSに対するキャリヤCRのギヤ比は「1」であり、キャリヤCRに対するリングギヤRのギヤ比は(サンギヤSの歯数/リングギヤRの歯数は)「0.1818」であるので、サンギヤSのトルク分担率は「18.18%」となる。これにより、電動モータ40を低トルク型かつ高回転型にして、リングギヤRの外径と電動モータ40の外径とを略同じにできる。
また、例えば図6(b)に示すプラネタリギヤDPの例では、モジュールが「0.5」、サンギヤSの歯数が「18」、第1ピニオンP1の歯数が「18」、第2ピニオンP2の歯数が「30」、リングギヤRの歯数が「108」で構成される。ダブルピニオンプラネタリギヤにおける等角配置は、「(リングギヤRの歯数−サンギヤSの歯数)/N」が整数であることが条件であるので、ピニオン数は5本にすることができる。この場合も、第1ピニオンP1は、第2ピニオンP2より小径となるが、ピニオン数が5本あり、受けるトルクを分散できるため、耐久性の向上が図れている。さらに、第2ピニオンP2の径が第1ピニオンP1の径よりも大きいため、第2ピニオンP2の噛合い回数を少なくでき、その分、上述したように第2ピニオンP2の軸長を第1ピニオンP1の軸長よりも短くすることができており、軸方向に延ばさずにスラストベアリング27を配置することができている。この場合も、第1ピニオンP1は、第2ピニオンP2より小径となるが、ピニオン数が5本あり、受けるトルクを分散できるため、耐久性の向上が図れている。そして、サンギヤSに対するキャリヤCRのギヤ比は「1」であり、キャリヤCRに対するリングギヤRのギヤ比は(サンギヤSの歯数/リングギヤRの歯数は)「0.1667」であるので、サンギヤSのトルク分担率は「16.67%」となる。これにより、電動モータ40を低トルク型かつ高回転型にして、リングギヤRの外径と電動モータ40の外径とを略同じにできる。
また、例えば図6(b)に示すように、サンギヤSの中心CT1と第2ピニオンP2の中心CT3とを結ぶ線Lに対して、第1ピニオンP1の中心CT2は、サンギヤSの正転回転方向の上流側となるようにオフセットされて配置されている。なお、本明細書中にあって、正転回転方向とは、逆転回転することがないオイルポンプ30の回転方向と同方向とする。このように第1ピニオンP1を配置することで、電動モータ40によりトルクが第1ピニオンP1に入力されると、第1ピニオンP1におけるサンギヤSとの噛合部分には正転回転方向の上流側にそのトルクに応じた力が生じ、第1ピニオンP1における第2ピニオンP2との噛合部分には第2ピニオンP2に伝達したトルクの反力が生じ、それらの合力により、第1ピニオンP1はサンギヤS及び第2ピニオンP2から離れる方向に押圧される。そこで、組付時には(トルクが生じない状態では)、バックラッシュが小さくなるように組付けておくことで、電動モータ40が駆動された際にバックラッシュが増加して適正となるように構成し、これによりノイズの低減を図ることができる。
なお、サンギヤSの中心CT1と第2ピニオンP2の中心CT3とを結ぶ線Lに対して、第1ピニオンP1の中心CT2を、サンギヤSの正転回転方向の下流側となるようにオフセットして配置してもよい。この場合は、電動モータ40が駆動された際に上記合力が反対向きとなり、つまり第1ピニオンP1はサンギヤS及び第2ピニオンP2に近づく方向に押圧されるので、組付時に(トルクが生じない状態で)、バックラッシュが大きくなるように組付けておくことで、電動モータ40が駆動された際にバックラッシュが減少して適正となるように構成し、これによりノイズの低減を図ることができる。
また、例えば図6(c)に示すプラネタリギヤDPの例では、モジュールが「0.4」、サンギヤSの歯数が「20」、第1ピニオンP1の歯数が「15」、第2ピニオンP2の歯数が「45」、リングギヤRの歯数が「140」で構成される。ダブルピニオンプラネタリギヤにおける等角配置は、「(リングギヤRの歯数−サンギヤSの歯数)/N」が整数であることが条件であるので、ピニオン数は6本にすることができる。この場合も、第1ピニオンP1は、第2ピニオンP2より小径となるが、ピニオン数が6本あり、受けるトルクを分散できるため、耐久性の向上が図れている。さらに、第2ピニオンP2の径が第1ピニオンP1の径よりも大きいため、第2ピニオンP2の噛合い回数を少なくでき、その分、上述したように第2ピニオンP2の軸長を第1ピニオンP1の軸長よりも短くすることができており、軸方向に延ばさずにスラストベアリング27を配置することができている。この場合も、第1ピニオンP1は、第2ピニオンP2より小径となるが、ピニオン数が6本あり、受けるトルクを分散できるため、耐久性の向上が図れている。そして、サンギヤSに対するキャリヤCRのギヤ比は「1」であり、キャリヤCRに対するリングギヤRのギヤ比は(サンギヤSの歯数/リングギヤRの歯数は)「0.1429」であるので、サンギヤSのトルク分担率は「14.29%」となる。これにより、電動モータ40を低トルク型かつ高回転型にして、リングギヤRの外径と電動モータ40の外径とを略同じにできる。
以上説明したように、第1の実施の形態に係るオイルポンプ装置1によると、電動モータ40のトルク分担率が50%未満、好ましくは25%未満となるようにプラネタリギヤが構成されているので、電動モータ40を高回転かつ低トルク型にすることができ、電動モータ40の外径を小型化することができて、オイルポンプ装置1全体の外径を小型化することができる。また、電動モータ40のトルク分担率を低くすることができるので、低油温時にあっても電動モータ40に対するオイルポンプ30の駆動負荷が軽くなり、電動モータ40を高回転速度にすることで、オイルポンプ30を駆動することができる。
<第2の実施の形態>
ついで、上記第1の実施の形態を一部変更した第2の実施の形態について図9を用いて説明する。図9は第2の実施の形態に係るオイルポンプ装置を示すスケルトン図である。
本第2の実施の形態に係るオイルポンプ装置1は、第1の実施の形態に係るオイルポンプ装置1に比して、ダブルピニオンプラネタリギヤであるプラネタリギヤDPに対する連結関係を変更したものである。詳細には、図9に示すように、プラネタリギヤDPのサンギヤSと第1駆動軸61とを駆動連結し、サンギヤSにエンジン2の駆動力が入力可能であり、キャリヤCRと第2駆動軸61とを駆動連結し、キャリヤCRに電動モータ40の駆動力が入力可能であるように構成したものである。このように構成した場合は、速度線図のギヤ比の並び順にあって(図7参照)、エンジン2の連結位置と電動モータ40の連結位置とが入れ替わるため、サンギヤSとリングギヤRとのギヤ比(速度線図の縦線の間隔)を小さく、リングギヤRとキャリヤCRとのギヤ比(速度線図の縦線の間隔)を大きくする必要があるが、それ以外の動作は第1の実施の形態と同様である。
また、第2の実施の形態では、第2駆動軸62とキャリヤCRとの駆動連結を行う、例えばスプラインなどの連結部分が、軸方向におけるプラネタリギヤDPと電動モータ40との間に介在することになるため、第1の実施の形態(図2参照)に比して、軸方向に長くなる虞があるが、上述したようにオイルポンプ装置1における軸方向の制限は少ないため、設計上の問題は特にない。
これ以外の第2の実施の形態における構成、作用、効果は、第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
<第3の実施の形態>
ついで、上記第1の実施の形態を一部変更した第3の実施の形態について図10乃至図12を用いて説明する。図10は第3の実施の形態に係るオイルポンプ装置を示すスケルトン図、図11(a)はサンギヤトルク分担率が23.08%のシングルピニオンプラネタリギヤを示す断面図、図11(b)はサンギヤトルク分担率が20.0%のシングルピニオンプラネタリギヤを示す断面図、図11(c)はサンギヤトルク分担率が16.67%のシングルピニオンプラネタリギヤを示す断面図、図12はオイルポンプ装置におけるシングルピニオンプラネタリギヤの速度線図である。
本第3の実施の形態に係るオイルポンプ装置1は、第1の実施の形態に係るオイルポンプ装置1に比して、ダブルピニオンプラネタリギヤで構成したプラネタリギヤDPを、シングルピニオンプラネタリギヤで構成したプラネタリギヤSPに変更したものである。詳細には、図10に示すように、プラネタリギヤSPは、サンギヤSと、リングギヤRと、それらサンギヤS及びリングギヤRに噛合するピニオンPを回転自在に支持するキャリヤCRとを備えているシングルピニオンプラネタリギヤである。リングギヤRには第1駆動軸61が駆動連結され、つまりエンジン2が駆動連結されている。また、サンギヤSには第2駆動軸62が駆動連結されて、つまり電動モータ40が駆動連結されている。そして、キャリヤCRには、オイルポンプ30が駆動連結されている。
図12の速度線図において、プラネタリギヤSPはシングルピニオンプラネタリギヤであるため、ギヤ比の並びの順、即ち回転速度の順に、サンギヤS、キャリヤCR、リングギヤRが並ぶことになり、サンギヤSには電動モータ40(MG)が、キャリヤCRにはオイルポンプ30(O/P)が、リングギヤRにはエンジン2(E/G)が駆動連結されている。図12に示すように、サンギヤSとキャリヤCRとのギヤ比は1であり、キャリヤCRとリングギヤRとのギヤ比はλである。このギヤ比λは、1未満に設定することで、サンギヤSとキャリヤCRとのトルク分担率、即ちオイルポンプ30を駆動する駆動トルクにおけるエンジン2と電動モータ40とのトルク分担率において、電動モータ40のトルク分担率が50%未満となり、より好ましくはギヤ比λを0.5未満に設定することで、電動モータ40のトルク分担率が25%未満にすることができる。なお、本第3の実施の形態に係るオイルポンプ装置1も、第1の実施の形態と同様に、第1モードMod1〜第4モードMod4を実行可能である。
プラネタリギヤSPのピニオンの配置は、不等角配置でも構わないが、ギヤノイズの低減を考慮すると、等角配置が好ましい。また、本オイルポンプ装置1にあっても、リングギヤRの外径を大きくしてしまうと、車両に対する搭載性が良好でなくなるため、リングギヤRが外径に制限が生じる。そして、オイルポンプ30をエンジン2と電動モータ40とで駆動する際のトルク分担率にあって、電動モータ40のトルク分担率が50%未満、好ましくは25%未満とすることで、電動モータ40を低トルク型かつ高回転型にして、リングギヤRの外径と電動モータ40の外径とを略同じにできる。
このようなプラネタリギヤSPの制約を考慮すると、シングルピニオンプラネタリギヤにおけるピニオンPの本数(ピニオン数)は、6本以上配置することが難しく、5本以下となる。また、各ピニオンの耐久性、特に歯の強度等を考慮すると、ピニオン数をなるべく多くしてトルクを分散させることが好ましく、総合すると、4本〜5本が好ましいことになる。本第3の実施の形態にあっては、図11に示す3つの実施例を例示する。
例えば図11(a)に示すプラネタリギヤSPの例では、モジュールが「0.5」、サンギヤSの歯数が「30」、ピニオンPの歯数が「35」、リングギヤRの歯数が「100」で構成される。シングルピニオンプラネタリギヤにおける等角配置は、「(リングギヤRの歯数+サンギヤSの歯数)/N」が整数であることが条件であるので、ピニオン数は5本にすることができる。そして、サンギヤSに対するキャリヤCRのギヤ比は「1」であり、キャリヤCRに対するリングギヤRのギヤ比は(サンギヤSの歯数/リングギヤRの歯数は)「0.300」であるので、サンギヤSのトルク分担率は「23.08%」となる。これにより、電動モータ40を低トルク型かつ高回転型にして、リングギヤRの外径と電動モータ40の外径とを略同じにできる。
また、例えば図11(b)に示すプラネタリギヤSPの例では、モジュールが「0.5」、サンギヤSの歯数が「24」、ピニオンPの歯数が「36」、リングギヤRの歯数が「96」で構成される。シングルピニオンプラネタリギヤにおける等角配置は、「(リングギヤRの歯数+サンギヤSの歯数)/N」が整数であることが条件であるので、ピニオン数は4本にすることができる。そして、サンギヤSに対するキャリヤCRのギヤ比は「1」であり、キャリヤCRに対するリングギヤRのギヤ比は(サンギヤSの歯数/リングギヤRの歯数は)「0.250」であるので、サンギヤSのトルク分担率は「20.0%」となる。これにより、電動モータ40を低トルク型かつ高回転型にして、リングギヤRの外径と電動モータ40の外径とを略同じにできる。
また、例えば図11(c)に示すプラネタリギヤSPの例では、モジュールが「0.5」、サンギヤSの歯数が「20」、ピニオンPの歯数が「40」、リングギヤRの歯数が「100」で構成される。ダブルピニオンプラネタリギヤにおける等角配置は、「(リングギヤRの歯数+サンギヤSの歯数)/N」が整数であることが条件であるので、ピニオン数は4本にすることができる。そして、サンギヤSに対するキャリヤCRのギヤ比は「1」であり、キャリヤCRに対するリングギヤRのギヤ比は(サンギヤSの歯数/リングギヤRの歯数は)「0.200」であるので、サンギヤSのトルク分担率は「16.67%」となる。これにより、電動モータ40を低トルク型かつ高回転型にして、リングギヤRの外径と電動モータ40の外径とを略同じにできる。
以上説明したように、第3の実施の形態に係るオイルポンプ装置1によっても、電動モータ40のトルク分担率が50%未満、好ましくは25%未満となるようにプラネタリギヤが構成されているので、電動モータ40を高回転かつ低トルク型にすることができ、電動モータ40の外径を小型化することができて、オイルポンプ装置1全体の外径を小型化することができる。
これ以外の第3の実施の形態における構成、作用、効果は、第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
<第4の実施の形態>
ついで、上記第3の実施の形態を一部変更した第4の実施の形態について図13を用いて説明する。図13は第4の実施の形態に係るオイルポンプ装置を示すスケルトン図である。
本第4の実施の形態に係るオイルポンプ装置1は、第3の実施の形態に係るオイルポンプ装置1に比して、シングルピニオンプラネタリギヤであるプラネタリギヤSPに対する連結関係を変更したものである。詳細には、図13に示すように、プラネタリギヤSPのサンギヤSと第1駆動軸61とを駆動連結し、サンギヤSにエンジン2の駆動力が入力可能であり、リングギヤRと第2駆動軸61とを駆動連結し、リングギヤRに電動モータ40の駆動力が入力可能であるように構成したものである。このように構成した場合は、速度線図のギヤ比の並び順にあって(図12参照)、エンジン2の連結位置と電動モータ40の連結位置とが入れ替わるため、サンギヤSとキャリヤCRとのギヤ比(速度線図の縦線の間隔)を小さく、キャリヤCRとリングギヤRとのギヤ比(速度線図の縦線の間隔)を大きくする必要があるが、それ以外の動作は第3の実施の形態と同様である。
また、上述した第3の実施の形態では(図10参照)、第1駆動軸61とリングギヤRとが駆動連結されるため、キャリヤCRとオイルポンプ30とを連結する部材がリングギヤRの外周を通る必要があり、プラネタリギヤSPの部分の外径の小径化を妨げているが、本第4の実施の形態では、リングギヤRの外周を通る部材が不要であるため、オイルポンプ装置1の小径化が可能とある。一方、第2駆動軸62とキャリヤCRとの駆動連結を行う、例えばスプラインなどの連結部分が、軸方向におけるプラネタリギヤSPと電動モータ40との間に介在することになるため、第3の実施の形態(図10参照)に比して、軸方向に長くなる虞があるが、上述したようにオイルポンプ装置1における軸方向の制限は少ないため、設計上の問題は特にない。
これ以外の第4の実施の形態における構成、作用、効果は、第1乃至第3の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
[本実施の形態のまとめ]
本ブレーキ装置(50)は、
ケース(55C)と、
回転部材(62)に駆動連結され、回転軸(AX4)の軸方向に向く鋸状の第1歯面(51a)を有する第1スターラチェット歯車(51)と、
前記ケース(55C)に対して回転不能に駆動連結され、前記軸方向に向き、前記第1歯面(51a)と対向して配置される鋸状の第2歯面(52a)を有する第2スターラチェット歯車(52)と、
前記第1スターラチェット歯車(51)と前記第2スターラチェット歯車(52)とを接離させる接離装置(59)と、を有し、
前記第1スターラチェット歯車(51)と前記第2スターラチェット歯車(52)とを当接させて噛合させた状態で、前記回転部材(62)の一方向の回転を許容し、かつ前記回転部材(62)の他方向の回転を不能になるように係止し、
前記第1スターラチェット歯車(51)と前記第2スターラチェット歯車(52)とを離反させて噛合を解除した状態で、前記回転部材(62)の両方向の回転を許容する。
これにより、第1スターラチェット歯車51と第2スターラチェット歯車52との噛合によって、第2駆動軸62の逆転回転を不能となるように係止できるので、大きな押圧力を生じるような機構を不要とし、また、歯車自体の外径も小径で足りるため、ブレーキ装置50の小径化を可能とすることができる。また、第1スターラチェット歯車51と第2スターラチェット歯車52とを噛合させた状態で、第2駆動軸62の正転回転を許容し、かつ第2駆動軸62の逆転回転を不能になるように係止することができ、第1スターラチェット歯車51と第2スターラチェット歯車52との噛合を解除した状態にすることで、第2駆動軸62の正転回転及び逆転回転を許容することができる。
また、本ブレーキ装置(50)は、
前記第1スターラチェット歯車(51)と前記第2スターラチェット歯車(52)とは、一方が前記ケース(55C)に対して前記軸方向に移動不能に配置され、他方が前記ケース(55C)に対して前記軸方向に移動可能に配置され、
前記接離装置(59)は、前記第1スターラチェット歯車(51)と前記第2スターラチェット歯車(52)との他方を前記軸方向の一方に向けて付勢する付勢部材(56)と、前記第1スターラチェット歯車(51)と前記第2スターラチェット歯車(52)との他方を前記付勢部材(56)の付勢力に抗して前記軸方向の他方に駆動可能なコイル部(55)と、を有する。
これにより、第2駆動軸62の逆転回転を係止する際にはスプリング56の付勢力で第1スターラチェット歯車51と第2スターラチェット歯車52とを噛合でき、電力の消費を抑えることができる。また、コイル部55により第1スターラチェット歯車51と第2スターラチェット歯車52との噛合を解除することができる。また、第2駆動軸62の回転により、第1スターラチェット歯車51と第2スターラチェット歯車52とを離反させることが可能であるため、第1スターラチェット歯車51と第2スターラチェット歯車52との噛合を解除する際に、第2駆動軸62の駆動トルクとコイル部55との2つ力によりスプリング56の付勢力を解除できるため、第1スターラチェット歯車51と第2スターラチェット歯車52とを接離させる接離装置59を小型にすることができる。
また、本ブレーキ装置(50)は、
前記第1歯面(51a)及び前記第2歯面(52a)は、同形状に形成されるそれぞれの歯(51T,52T)が、歯元から歯先まで軸方向に対して傾斜するように形成された第1斜面(51Ta,52Ta)と、前記第1斜面(51Ta,52Ta)の歯先から隣接する前記第1斜面(51Ta,52Ta)の歯元まで軸方向に対して前記第1斜面(51Ta,52Ta)よりも小さな角度で傾斜するように形成された第2斜面(51Tb,52Tb)と、を有し、
前記それぞれの歯は、前記第1斜面(51Ta,52Ta)が互いに当接可能に対向し、かつ軸方向から視て前記第1斜面(51Ta,52Ta)の歯先が隣接する前記第1斜面(51Ta,52Ta)の歯元に重なる位置ないし隣接する前記第1斜面に重なる位置となるように形成された。
これにより、第1スターラチェット歯車51の第1歯面51aと第2スターラチェット歯車52の第1歯面52aとは、互いの第2斜面51Tb,52Tbで係止し、ブレーキとして作動できる。
また、本ブレーキ装置(50)は、
前記第1スターラチェット歯車(51)、前記第2スターラチェット歯車(52)、前記付勢部材(56)は、前記コイル部(55)の内周側に配置され、
前記コイル部(55)は、前記第1スターラチェット歯車(51)と前記第2スターラチェット歯車(52)と少なくとも一方は、径方向から視て少なくとも一部が前記コイル部(55)と重なるように配置された。
これにより、ブレーキ装置50の軸方向の短縮化を図ることができる。また、コイル部55と第2スターラチェット歯車52とを近づけることができるため、磁力を強くすることができ、その分、コイル部55を小型化することができて、ブレーキ装置50を小型化することができる。
また、本ブレーキ装置(50)は、
前記第1スターラチェット歯車(51)が軸方向に移動不能に配置され、前記第2スターラチェット歯車(52)が軸方向に移動可能に配置され、
前記コイル部(55)は、前記第2スターラチェット歯車(52)を磁力により駆動可能である。
これにより、例えばプランジャなどを介して第2スターラチェット歯車52を駆動するものに比して、ブレーキ装置50の小型化を図ることができる。また、第1スターラチェット歯車51を磁力により駆動可能にするものに比して、コイル部55と第2スターラチェット歯車52との相対回転が無いため、回転を許容する隙間などを設けることを不要として小型化を図ることでき、さらにコイル部55と第2スターラチェット歯車52とを近づけることができるため、磁力を強くすることができ、その分、コイル部55を小型化することができて、総じてブレーキ装置50を小型化することができる。
また、本ブレーキ装置(50)は、
前記第2スターラチェット歯車(52)は、軸方向にドラム状に形成されたドラム部(52D)と、前記ドラム部(52D)の内周側と外周側との一方側に形成され、前記ケース(55C)に対して軸方向に摺動可能なスプライン部(52s)と、前記ドラム部(52D)の内周側と外周側との他方側に形成され、かつ前記コイル部(55)からの磁気回路を形成する磁気回路形成部(52b)と、を有し、
前記ケース(55C)は、軸方向において前記第2スターラチェット歯車(52)に向かってボス状に延びるボス部(57a)を有し、
前記ボス部(57a)は、端部に前記ドラム部(52D)に当接する当接部(57b)と、前記当接部(57b)の内周側と外周側との他方側に前記当接部(57b)よりも軸方向の前記第2スターラチェット歯車(52)の側に延びる延出部(57c)と、を有する。
これにより、コイル部55により第2スターラチェット歯車52を駆動させることができると共に、第2スターラチェット歯車52の抜け止めをすることができる。
また、本ブレーキ装置(50)は、
前記コイル部(55)が非通電の状態で、前記第1スターラチェット歯車(51)と前記第2スターラチェット歯車(52)とが当接して噛合状態となる。
これにより、ブレーキ装置50をいわゆるノーマルクローズタイプとして構成することができる。
また、オイルポンプ装置(1)は、
駆動源(2)の回転を車輪に伝達する回転軸(5a)を有する車両用伝動装置(3)に搭載され、前記回転軸(5a)と異なる軸(AX4)上に配置されるオイルポンプ装置(1)において、
電動により駆動される回転電機(40)と、
回転駆動されることにより油圧を発生するオイルポンプ(30)と、
ギヤ比に対応する間隔で順に並び、前記回転軸(5a)に駆動連結される第1回転要素(図2のCR、図9のS、図10のR、図13のS)、前記オイルポンプ(30)に駆動連結される第2回転要素(図2のR、図9のR、図10のCR、図13のCR)、及び前記回転電機(40)に駆動連結される第3回転要素(図2のS、図9のCR、図10のS、図13のR)を有するプラネタリギヤ(DP,SP)と、
前記ブレーキ装置(50)と、を備え、
前記回転部材は、前記回転電機(40)に連結された駆動軸(62)である。
これにより、エンジン2の駆動力だけによりオイルポンプ30を駆動している状態から、電動モータ40の正転回転を許容して電動モータ40の駆動力を素早くオイルポンプに伝達することができて、油圧不足を生じることを防止することができ、さらに、電動モータ40を逆転回転させて回生することもできて、車両の燃費向上を図ることができる。また、第2駆動軸62の一方向の回転を許容することで、第2駆動軸62(即ちオイルポンプ30を作動させる電動モータ40)の駆動力を素早くオイルポンプ30に伝達することができ、オイルポンプ30が吐出する流量を素早く上昇させることができる。
[他の実施の形態の可能性]
なお、以上説明した第1乃至第4の実施の形態においては、本オイルポンプ装置1を、FFタイプのようなエンジン2のクランク軸が車両進行方向の横向きに配置される車両用の自動変速機3に搭載したものを一例として説明したが、これに限らず、例えばFRタイプ(フロントエンジン、リヤドライブ)のようにエンジンのクランク軸が車両進行方向の縦向きに配置される車両用の自動変速機に搭載しても構わず、さらには、自動変速機に限らず、車両駆動用のモータ・ジェネレータを搭載したハイブリッド駆動装置であっても構わない。例えばFRタイプの車両用駆動装置であっても、動力伝達経路と別軸に本オイルポンプ装置1を配設する場合、運転席と助手席との間における配置スペース上の問題から、或いは最低地上高の問題から、小径化が望まれることになる。
また、以上説明した第1乃至第4の実施の形態においては、本オイルポンプ装置1が駆動伝達部60を介してエンジン2に駆動連結されているものを説明したが、これに限らず、例えば変速機構5の回転部材の何れかで、例えばカウンタシャフトなどに駆動連結されていてもよい。この場合は、例えば車両が停車中にあって駆動伝達部60の回転が停止しても、電動モータ40によってオイルポンプ30を駆動すればよい。
また、以上説明した第1乃至第4の実施の形態においては、オイルポンプ30を内接ギヤ式で構成したものを説明したが、これに限らず、外接ギヤ式、クレセント式、ベーン式など、どのようなオイルポンプであってもよい。
また、以上説明した第1乃至第4の実施の形態においては、オイルポンプ30、ダブルピニオンプラネタリギヤDP、電動モータ40、及びブレーキ装置50が軸方向に順に一列状に配置されたものを説明したが、これに限らず、ブレーキ装置50が電動モータ40に隣接して配置され、かつオイルポンプ装置1の軸方向の端部にあれば、軸方向の並び順はどのような順であっても構わない。
また、以上説明した第1乃至第4の実施の形態においては、第1スターラチェット歯車51を軸方向に移動不能に構成し、第2スターラチェット歯車52を軸方向に移動可能に構成したものを説明したが、これに限らず、第1スターラチェット歯車51を軸方向に移動可能に構成し、第2スターラチェット歯車52を軸方向に移動不能に構成してもよい。この場合は、第1スターラチェット歯車51をコイル部55によって駆動することになる。
また、以上説明した第1乃至第4の実施の形態においては、コイル部55が第2スターラチェット歯車52の外周側に配置されたものを説明したが、これに限らず、コイル部55を第2スターラチェット歯車52の内周側或いは軸方向の異なる位置に配置してもよい。
1…オイルポンプ装置
2…駆動源(エンジン)
3…車両用伝動装置(自動変速機)
30…オイルポンプ
40…回転電機(電動モータ)
50…ブレーキ装置
51…第1スターラチェット歯車
51a…第1歯面
51T…歯
51Ta…第1斜面
51Tb…第2斜面
52…第2スターラチェット歯車
52a…第2歯面
52b…磁気回路形成部
52D…ドラム部
52T…歯
52Ta…第1斜面
52Tb…第2斜面
52s…スプライン部
55…ソレノイド部(コイル部)
55C…ケース(コイルケース)
56…付勢部材(スプリング)
57a…ボス部
57b…当接部
57c…延出部
59…接離装置
62…回転部材、駆動軸(第2駆動軸)
AX4…回転軸(第4軸)
DP…プラネタリギヤ
図2のS…第3回転要素(サンギヤ)
図2のCR…第1回転要素(キャリヤ)
図2のR…第2回転要素(リングギヤ)
図9のS…第1回転要素(サンギヤ)
図9のCR…第3回転要素(キャリヤ)
図9のR…第2回転要素(リングギヤ)
SP…プラネタリギヤ
図10のS…第3回転要素(サンギヤ)
図10のCR…第2回転要素(キャリヤ)
図10のR…第1回転要素(リングギヤ)
図13のS…第1回転要素(サンギヤ)
図13のCR…第2回転要素(キャリヤ)
図13のR…第3回転要素(リングギヤ)

Claims (8)

  1. ケースと、
    回転部材に駆動連結され、回転軸の軸方向に向く鋸状の第1歯面を有する第1スターラチェット歯車と、
    前記ケースに対して回転不能に駆動連結され、前記軸方向に向き、前記第1歯面と対向して配置される鋸状の第2歯面を有する第2スターラチェット歯車と、
    前記第1スターラチェット歯車と前記第2スターラチェット歯車とを接離させる接離装置と、を有し、
    前記第1スターラチェット歯車と前記第2スターラチェット歯車とを当接させて噛合させた状態で、前記回転部材の一方向の回転を許容し、かつ前記回転部材の他方向の回転を不能になるように係止し、
    前記第1スターラチェット歯車と前記第2スターラチェット歯車とを離反させて噛合を解除した状態で、前記回転部材の両方向の回転を許容する、
    ブレーキ装置。
  2. 前記第1スターラチェット歯車と前記第2スターラチェット歯車とは、一方が前記ケースに対して前記軸方向に移動不能に配置され、他方が前記ケースに対して前記軸方向に移動可能に配置され、
    前記接離装置は、前記第1スターラチェット歯車と前記第2スターラチェット歯車との他方を前記軸方向の一方に向けて付勢する付勢部材と、前記第1スターラチェット歯車と前記第2スターラチェット歯車との他方を前記付勢部材の付勢力に抗して前記軸方向の他方に駆動可能なコイル部と、を有する、
    請求項1に記載のブレーキ装置。
  3. 前記第1歯面及び前記第2歯面は、同形状に形成されるそれぞれの歯が、歯元から歯先まで軸方向に対して傾斜するように形成された第1斜面と、前記第1斜面の歯先から隣接する前記第1斜面の歯元まで軸方向に対して前記第1斜面よりも小さな角度で傾斜するように形成された第2斜面と、を有し、
    前記それぞれの歯は、前記第1斜面が互いに当接可能に対向し、かつ軸方向から視て前記第1斜面の歯先が隣接する前記第1斜面の歯元に重なる位置ないし隣接する前記第1斜面に重なる位置となるように形成された、
    請求項2に記載のブレーキ装置。
  4. 前記第1スターラチェット歯車、前記第2スターラチェット歯車、前記付勢部材は、前記コイル部の内周側に配置され、
    前記コイル部は、前記第1スターラチェット歯車と前記第2スターラチェット歯車と少なくとも一方は、径方向から視て少なくとも一部が前記コイル部と重なるように配置された、
    請求項2または3に記載のブレーキ装置。
  5. 前記第1スターラチェット歯車が軸方向に移動不能に配置され、前記第2スターラチェット歯車が軸方向に移動可能に配置され、
    前記コイル部は、前記第2スターラチェット歯車を磁力により駆動可能である、
    請求項2ないし4のいずれか1項に記載のブレーキ装置。
  6. 前記第2スターラチェット歯車は、軸方向にドラム状に形成されたドラム部と、前記ドラム部の内周側と外周側との一方側に形成され、前記ケースに対して軸方向に摺動可能なスプライン部と、前記ドラム部の内周側と外周側との他方側に形成され、かつ前記コイル部からの磁気回路を形成する磁気回路形成部と、を有し、
    前記ケースは、軸方向において前記第2スターラチェット歯車に向かってボス状に延びるボス部を有し、
    前記ボス部は、端部に前記ドラム部に当接する当接部と、前記当接部の内周側と外周側との他方側に前記当接部よりも軸方向の前記第2スターラチェット歯車の側に延びる延出部と、を有する、
    請求項5に記載のブレーキ装置。
  7. 前記コイル部が非通電の状態で、前記第1スターラチェット歯車と前記第2スターラチェット歯車とが当接して噛合状態となる、
    請求項2ないし6のいずれか1項に記載のブレーキ装置。
  8. 駆動源の回転を車輪に伝達する回転軸を有する車両用伝動装置に搭載され、前記回転軸と異なる軸上に配置されるオイルポンプ装置において、
    電動により駆動される回転電機と、
    回転駆動されることにより油圧を発生するオイルポンプと、
    ギヤ比に対応する間隔で順に並び、前記回転軸に駆動連結される第1回転要素、前記オイルポンプに駆動連結される第2回転要素、及び前記回転電機に駆動連結される第3回転要素を有するプラネタリギヤと、
    請求項1ないし7のいずれか1項に記載のブレーキ装置と、を備え、
    前記回転部材は、前記回転電機に連結された駆動軸である、
    オイルポンプ装置。
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WO2023008953A1 (ko) * 2021-07-30 2023-02-02 주식회사 엘지에너지솔루션 습윤 접착력이 우수한 절연층을 포함하는 리튬 이차전지용 양극 및 이를 포함하는 리튬 이차전지

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