JP2004143909A - ワイヤロープ固定資材とこの固定資材を用いた斜面安定工法 - Google Patents
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Abstract
【課題】崩壊の危険がある傾斜地を設計規格通りの強度で施工し、周囲の景観を重視し、また資源保護の観点から資材全てが再生できるワイヤロープ固定資材を提供する。
【解決手段】同形の2枚1組からなる固定金具2、2の互いに重なり合う面に、ワイヤロープWの断面形状が納まるU字型溝4を交差状の配置となるよう設け、このU字型溝4の底部を、引き揃えて撚りをかけたワイヤロープの伸長方向に形成された螺旋形状が嵌まり合う起伏形状5に形式し、各U字型溝4にワイヤロープWを挿入した状態で、固定金具2、2をボルトとナットで結合すると、ワイヤロープWを圧迫せずに固定して斜面全体へワイヤロープWを井桁状に設置することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】同形の2枚1組からなる固定金具2、2の互いに重なり合う面に、ワイヤロープWの断面形状が納まるU字型溝4を交差状の配置となるよう設け、このU字型溝4の底部を、引き揃えて撚りをかけたワイヤロープの伸長方向に形成された螺旋形状が嵌まり合う起伏形状5に形式し、各U字型溝4にワイヤロープWを挿入した状態で、固定金具2、2をボルトとナットで結合すると、ワイヤロープWを圧迫せずに固定して斜面全体へワイヤロープWを井桁状に設置することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ワイヤロープを交差状に結合したり、結合したワイヤロープを斜面に固定化するための固定資材と、この固定資材を用いた斜面安定工法、更に詳しくは、複数本のロックボルトを不安定な斜面地に掘削固定し、斜面地の自立安定後に、ロックボルトを利用してワイヤロープを任意の間隔で井桁状に敷設固定することで、斜面地上にある不安定な大小の浮き石、転石の落下を防止することができると共に、ワイヤロープに圧迫変形を与えずに敷設固定するようにして、強度を損なうことなく設計通りの強度で施工ができ、斜面地の安定を図ることができる固定資材と斜面安定工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、斜面地の安定を図って斜面の崩壊や浮き石、転石の落下を防止する斜面安定工法としては、例えば、重力式擁壁工法、現場打ち法枠工法、コンクリートモルタル吹き付け工法、法面緑化工法、ロックネット工法が提案され、これらの各工法は現在も施工されている。
【0003】
A、重力式擁壁工法は、設置した型枠の中へコンクリートを投入し、バイブレターを使用してコンクリートを締固めする工法である。
【0004】
B、現場打ち法枠工法は、空気圧縮機等で構成されている吹き付け装置でコンクリートモルタルを吹き付け施工するものである。
【0005】
C、コンクリートモルタル吹き付け工法は、空気圧縮機等から構成される吹きつけ装置で任意の厚みでコンクリートモルタルを斜面全体に吹き付け、小石等の落下を防止する目的で施工するものである。
【0006】
D、法面緑化工法は、空気圧縮機等から構成される吹き付け装置で、任意の厚みで緑化基盤材と種子を混練し、斜面に吹き付け施工をするものである。
【0007】
E、ロックネット工法は、斜面地の上部に複数のアンカーを打設した後、アンカーを利用してワイヤロープを斜面地へ井桁状に敷設し、ワイヤロープの交差部をワイヤクリッブで圧迫固定後、金網とワイヤロープをコイル等で接続し、傾斜地上の転石、浮き石が直接路上に落下するのを防止をするものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記した従来の各斜面安定工法にはそれぞれ以下のような問題点がある。
【0009】
a、先ず、重力式擁壁工法は、設置した型枠の中へコンクリートを投入し、バイブレターを使用してコンクリートを締固めをするため、目的とする強度の確保はできるが、ポンプ車が圧送する距離、高さに限界があり、現場斜面までの距離・高低差がある場合の施工が困難である。
【0010】
b、次に、永久工法である現場打ち法枠工法では、斜面の様々な起伏に対応できるが、空気圧縮機等で形成されている吹きつけ装置でコンクリートモルタルを吹きつけ施工をすると、必然的に発生する骨材の跳返り(通称リバウンド)が、斜面上に設置してある型枠内へ膨大な量で堆積する。
【0011】
このリバウンドは、セメントと砂がよく混練されずに大半が砂利状態であり水分も少なく、わずかな時間で硬化を始め、その様態はスポンジ状でほとんど強度がなく、又枠内に鉄筋、セパレータが複数設置されているので、それが邪魔となり完全な清掃除去が困難となり、そのリバウンドの上に吹きつけ施工をするため目的とする設計強度の梁を構築することができない。
【0012】
その後、景観のために枠内へ緑化基盤材と種子を混練し、斜面に緑化を施すが枠内という隔絶した環境のなかでは、草木本類の繁殖が難しく数年経過後衰退していく。その結果、コンクリートの枠が目立ち景観を損ない圧迫感を与える。
【0013】
また、吹き付け装置から現場斜面までの距離・高低差がある場合、圧送ホース内と骨材の摩擦抵抗が大きく施工困難となり、その摩擦抵抗を抑えるため、骨材の中で一番粘度が大きいセメントと比重の大きい砂利の量を減らして施工をしているのが現状であり、この工法では傾斜地が崩壊するときの抑止力計算が無意味になり、又、梁の強度もばらつきがある。
【0014】
更に、傾斜地が崩壊したとき、又年月が経過し取り壊し再構築するとき、既設構造物のコンクリートは再利用が難しく、その結果資源の無駄遣いと環境破壊につながる。
【0015】
c、コンクリートモルタル吹き付け工法は、斜面全体をコンクリートモルタルで覆うため、景観上見栄えが悪く耐用年数も数年である。
【0016】
d、法面緑化工法は、緑化基盤材と種子を混練して斜面に任意の厚みで吹きつけ施工をするので、現場条件(土質、勾配)が良ければ半永久的な緑化は可能であるが、斜面が急勾配また傾斜地に滑り面がある場合、傾斜地の崩壊を防止することは無理である。
【0017】
e、ロックネット工法は、ワイヤロープと金網等で形成される使用資材のほとんどがJIS規格の工場で生産され、安定した強度が確保されているが、従来のロックネット工法では、ワイヤロープの交差部分の処理を、ワイヤロープ同士が滑らないよう固定金具で交差する部分を局部的に圧迫変形させて固定するようにしているので、ワイヤロープは張力がかかると容易にその部分から切れるという危険があり、長期間にわたる傾斜地の崩壊を防ぐことは困難である。
【0018】
そこで、この発明の課題は、上記したロックネット工法の利点を有効に生かし、ワイヤロープの交差部分を、ワイヤロープに圧迫変形を与えることなく結合することができ、傾斜地の崩壊を防止するための強度計算が設計通りに、確実に施工することができるワイヤロープ固定資材とこの固定資材を用いた斜面安定工法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決しようとする手段】
上記のような課題を解決するため、請求項1の発明は、複数のボルト孔が設けられた固定金具の一面側に、ワイヤロープの断面形状が嵌まり込む深さのU字型溝を形成し、このU字型溝の溝底部を、ワイヤロープの伸長方向に形成された螺旋状の起伏形状が一致して嵌まり合う螺旋状の起伏形状にした構成を採用したものである。
【0020】
請求項2の発明は、請求項1の発明に記載の固定金具を2枚1組とし、U字型溝を形成した面を互いに重ね合わせてU字型溝が十文字に交差するように使用し、先ず、一方固定金具の一つのボルト孔を予め斜面に固定したロックボルトへ挿入し、縦横いずれかのワイヤロープをこの固定金具のU字型溝へ挿入し、次に、他方固定金具の一つのボルト孔を上記ロックボルトへ挿入すると共に、残ったワイヤロープを他方固定金具のU字型溝へ挿入し、重ね合わせた両固定金具をロックボルトに螺締したナット及び、残りのボルト孔の部分をボルト、ナットでそれぞれ締付けて固定化することにより、ワイヤロープを交差状に結合して、斜面全体にワイヤロープを井桁状に敷設する構成を採用したものである。
【0021】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、上記ロックボルトに挿入する固定金具での固定ワイヤロープがメインワイヤロープであり、このメインワイヤロープ間に配置する中間ワイヤロープとメインワイヤロープの交差部分及び中間ワイヤロープ相互の交差部分の固定に、上記した2枚1組の固定金具を用い、両固定金具のU字型溝にそれぞれ中間ワイヤロープを挿入し、重ね合わせた両固定金具をボルト孔の部分でボルト、ナットにより締付けて固定化することで、中間ワイヤロープを交差状に結合する構成を採用したものである。
【0022】
上記固定金具は、矩形状の金属板を用い、U字型溝を形成した面を互いに重ね合わせたとき、U字型溝が十文字に交差するように形成され、その四隅にボルト孔が設けられ、ロックボルトへの固定と、ワイヤロープの交差部分の結合のいずれにも使用することができるようになっている。
【0023】
請求項4の発明は、支圧板とその上面に設けた台座の中心部にロックボルト挿入孔を貫通状に形成し、この台座の上面と、ロックボルトに挿入して台座の上面に重ねる固定金具の下面に、ワイヤロープの断面形状が嵌まり込むU字型溝をそれぞれ設け、両U字型溝の溝底部を、ワイヤロープの伸長方向に形成された螺旋状の起伏形状が一致して嵌まり合う螺旋状の起伏形状に形成し、上記固定金具をロックボルトに螺締したナットで台座上に固定するようにした構成を採用したものである。
【0024】
請求項5の発明は、支圧板とその上面に設けた台座の中心部にロックボルト挿入孔を貫通状に形成し、この台座の上面と、中央部に設けた孔をロックボルトに挿入して台座の上面に重ねる固定金具の下面に、ワイヤロープの断面形状が嵌まり込むU字型溝をそれぞれ複数平行状に設け、各U字型溝の溝底部を、ワイヤロープの伸長方向に形成された螺旋状の起伏形状が一致して嵌まり合う螺旋状の起伏形状に形成し、上記固定金具をロックボルトに螺締したナットで台座上に固定するようにした構成を採用したものである。
【0025】
請求項6の発明は、請求項4又は5の発明において、中央部にロックボルトへ挿入する孔が設けられたワイヤ増設用中間プレートの両面に、ワイヤロープの断面形状が嵌まり込むU字型溝を平面的に交差状の配置となるよう設け、両U字型溝の溝底部を、ワイヤロープの伸長方向に形成された螺旋状の起伏形状が一致して嵌まり合う螺旋状の起伏形状に形成し、このワイヤ増設用中間プレートを台座の上面と固定金具の間に介在させるようにした構成を採用したものである。
【0026】
請求項7の発明は、請求項4又は5の発明に記載の固定資材を用い、先ず、支圧板のロックボルト挿入孔を予め斜面に固定したロックボルトへ挿入し、縦横いずれかのワイヤロープをこの支圧板のU字型溝へ挿入し、次に、固定金具のボルト孔を上記ロックボルトへ挿入すると共に、残ったワイヤロープを固定金具のU字型溝へ挿入し、重ね合わせた支圧板と固定金具をロックボルトに螺締したナットの締付けで固定化することにより、ワイヤロープを交差状に結合して、斜面全体にワイヤロープを井桁状に敷設する構成を採用したものである。
【0027】
請求項8の発明は、請求項7の発明に記載の台座と固定金具の間に、請求項6の発明に記載の固定資材を組み合わせて用いることにより、ワイヤロープの敷設数を増設するようにした構成を採用したものである。
【0028】
上記支圧板は十分な直径を有する円板に形成され、その上面の台座は固定金具と平面的に等しい矩形のブロック状に形成され、支圧板と台座の中心部にロックボルトへ挿入するボルト孔が貫通状に設けられ、交差状に結合したワイヤロープをロックボルトに固定するために用いられる。
【0029】
請求項9の発明は、中心部にロックボルト挿入孔を形成した支圧板の上面に、ロックボルト挿入孔と同軸心となる筒状台座を突設し、この筒状台座への螺合部で筒状台座の上面に重ねて取り付けるねじ式固定金具の上面に、ワイヤロープの断面形状が嵌まり込むU字型溝を設け、上記ねじ式固定金具の上面に重ねてボルトで固定する固定金具の下面に、ワイヤロープの断面形状が嵌まり込むU字型溝を設け、上記各U字型溝の溝底部を、ワイヤロープの伸長方向に形成された螺旋状の起伏形状が一致して嵌まり合う螺旋状の起伏形状に形成した構成を採用したものである。
【0030】
請求項10の発明は、請求項9の発明に記載の固定資材を用い、先ず、支圧板のロックボルト挿入孔を予め斜面に固定したロックボルトへ挿入し、ロックボルトに螺締したナットの締付けで支圧板を固定化した後、筒状台座にねじ式固定金具を螺合固定し、縦横いずれかのワイヤロープをこのねじ式固定金具のU字型溝へ挿入し、次に、ねじ式固定金具の上面に固定金具を重ねて、残ったワイヤロープを固定金具のU字型溝へ挿入し、重ね合わせたねじ式固定金具と固定金具をボルトの締付けで固定化することにより、ワイヤロープを交差状に結合して、斜面全体にワイヤロープを井桁状に敷設する構成を採用したものである。
【0031】
上記支圧板は十分な直径を有する円板に形成され、その上面の筒状台座は内周面に雌ねじが形成され、ねじ式固定金具は、雌ねじに螺合する雄ねじ軸の上端に筒状台座の外径に等しい円板を設けて形成され、円板に複数のねじ孔が設けられ、固定金具も円板に等しい外径の円径となり、ねじ孔と一致するボルト挿入孔が設けられ、ロックボルトへの固定時に、ロックボルトの上端及びナットを筒状台座内に隠蔽するようになっている。
【0032】
請求項11の発明は、請求項7と8及び10の何れかに記載の発明において、上記ロックボルトに固定した支圧板と斜面地との間に、筒状の伸縮型枠部材を配置し、この伸縮型枠部材の内部に経時的に固化する固化材を充填し、支圧板の下面を固化材で安定支持すると共に、傾斜地へ圧力をかけるようにした構成を採用したものである。
【0033】
ここで、ロックボルトは、予め斜面の安定を図るため所定の間隔で設置され、このロックボルトに取り付けた固定資材のU字型溝にワイヤロープを挿入し、ロックボルトに螺合したナットを締め付けて固定資材を固定することにより、ワイヤロープを交差状に固定化することができ、このようにして傾斜面に対し、ワイヤロープを井桁状に敷設すれば、傾斜地の崩壊を防止することができる。
【0034】
また、斜面がより崩壊の危険があると想定されるとき、ワイヤロープを縦横に各2本づつ配置することにより上記よりも崩壊に対する仰止力が得られる。
【0035】
更に、中間プレートを使用することによって、斜面全体にワイヤロープを井桁状に敷設している所へ、左右斜め方向にもワイヤロープを増設することができるためと、ワイヤロープの配置形状が三角形に形成されるため、斜面崩壊に対する仰止力が一段と向上すると共に、ワイヤロープの間隔を狭くすることにより、転石、浮石等の落下の発生を抑えることができる。
【0036】
上記した各固定資材に設けたU字型溝は、ワイヤロープの断面形状が収まり、その底部は、ワイヤロープの引き揃えて撚りをかけた螺旋状の起伏形状に形成されており、その効果、ロックボルト及びボルトとナットで締め付けても、 ワイヤロープに圧迫損傷が生ぜず、ワイヤロープの螺旋と起伏形状の嵌まり合いにより、確実にワイヤロープを固定できる。
【0037】
その効果、 斜面が局部的に崩壊をおこしても頭部連結材でもあるワイヤロープが持つ引っ張り強度の荷重変位特性が発揮でき、徐々に荷重が分散、減衰し、安定した斜面まで悪影響を与えず斜面全体の崩壊を防止でき、強度計算も設計通りの施工ができる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0039】
図1は、ワイヤロープ固定資材1の第1の実施の形態を示し、この固定資材1は、二枚の固定金具2、2の組み合わせからなり、厚みのある略長方形の金属板を用い、長さ方向の両端にボルト孔3が設けられた固定金具2の一面側に、ワイヤロープWの断面形状が嵌まり込む深さのU字型溝4を幅方向に傾斜するように設け、このU字型溝4の溝底部を、ワイヤロープWの伸長方向に形成された螺旋状の起伏形状が一致して嵌まり合う螺旋状の起伏形状5に形成した構造になっている。
【0040】
上記U字型溝4の深さは使用するワイヤロープWの直径より必ず同じかマイナス目に形成し、その底部はワイヤロープWの引き揃えて撚りをかけた螺旋が一致する起伏形状5に形成されており、ワイヤロープWを嵌め込んだとき、起伏形状5にワイヤロープWの螺旋が一致し、ワイヤロープWに長さ方向の負荷がかかっても固定金具2から抜けることがなく、又ワイヤロープWに損傷がないためワイヤロープWが本来持つ引っ張り強度が確保できる。
【0041】
なお、後述する他の実施の形態においても、U字型溝4は上述したものと同様、溝底部を起伏形状5に形成した構造になっている。
【0042】
上記二枚の固定金具2、2は、U字型溝4を形成した面を互いに重ね合わせたとき、U字型溝4が十文字に交差するように形成され、ロックボルト6への固定と、ワイヤロープWの交差部分の結合のいずれにも使用することができるようになっている。
【0043】
図2は、上記第1の実施の形態の変形例であり、ワイヤロープWの交差部分の結合に用いるための固定資材1が、二枚の固定金具2a、2aを正方形としてその四隅にボルト孔3を設け、上記と同様のU字型溝4を一面側の中央部の位置に設けて形成されている。
【0044】
この固定資材1は、ワイヤロープWの中間の結合だけでなく、一つのボルト孔3を図1のロックボルト6へ固定する使用も可能である。
【0045】
第1の実施の形態のワイヤロープ固定資材1は、上記のような構成であり、次に、この固定資材1を用いた斜面安定工法を説明する。
【0046】
予め斜面の安定を図るため斜面地に対してロックボルト6を、既存の工法を用いて所定の間隔で設置する。
【0047】
図1で示した固定金具2を2枚1組とし、U字型溝4を形成した面を互いに重ね合わせてU字型溝4が十文字に交差するように使用し、先ず、一方固定金具2の一つのボルト孔3を予め斜面に固定したロックボルト6へ挿入し、縦横いずれかのワイヤロープWをこの固定金具2のU字型溝4へ挿入し、次に、他方固定金具2の一つのボルト孔3を上記ロックボルト6へ挿入すると共に、残ったワイヤロープWを他方固定金具2のU字型溝4へ挿入し、重ね合わせた両固定金具2、2をロックボルト6に螺締したナット7及び、残りのボルト孔3の部分をボルト、ナット8でそれぞれ締付けて固定化することにより、図1(B)のように、ワイヤロープWを交差状に結合すると同時にこの結合部分をロックボルト6に固定化する。
【0048】
このようにして、各ロックボルト6を結ぶようにして斜面地全体にワイヤロープWを縦横井桁状に敷設することにより、傾斜地の崩壊を防止することができる。
【0049】
また、斜面地がより崩壊の危険があると想定されるとき、上記ロックボルト6に固定したワイヤロープWをメインワイヤロープW1 とし、このメインワイヤロープW1 間に所定の間隔で中間ワイヤロープW2 を配置する(図9参照)。
【0050】
この中間ワイヤロープW2 のメインワイヤロープW1 との結合及び、中間ワイヤロープW2 の交点の結合には、図2に示した固定資材1を用いる。
【0051】
2枚1組とした固定金具2aの一方固定金具2aのU字型溝4に一方のワイヤロープWを挿入し、次に、他方固定金具2aのU字型溝4へ他方のワイヤロープWを挿入し、重ね合わせた両固定金具を四隅のボルト孔3の部分で、ボルト、ナット8により締結すれば、中間ワイヤロープW2 のメインワイヤロープW1 との結合及び、中間ワイヤロープW2 相互の交点を固定化することができる。
【0052】
このように、ワイヤロープWの数を縦横に増やすことにより、斜面地崩壊に対する仰止力が一段と向上すると共に、ワイヤロープWの間隔を狭くすることにより、転石、浮石等の落下の発生を抑えることができ、図9は、このようなワイヤロープWの縦横井桁状の敷設状態を示している。
【0053】
次に、図3乃至図5は、ワイヤロープ固定資材の第2の実施の形態を示している。
【0054】
この第2の実施の形態の固定資材11は、交差状に結合したワイヤロープWをロックボルト6に固定するために用いるものであり、十分な直径を有する円板に形成した金属製支圧板12の上面の中央に正方形のブロック状となる台座13を設け、支圧板12の上面で台座13の周囲に複数の補強リブ14を設け、上記台座13及び支圧板12の中心部にロックボルト挿入孔15を貫通状に形成し、この台座13の上面でロックボルト挿入孔15から離れた位置に、第1の実施の形態と同様のU字型溝4が設けられている。
【0055】
上記、ロックボルト6に挿入して台座13の上面に重ねる固定金具16は、台座13と同じ大きさの正方形に形成され、中央位置にロックボルト挿入孔17が設けられ、その下面でロックボルト挿入孔17から離れた位置に、第1の実施の形態と同様のU字型溝4が設けられている。
【0056】
第2の実施の形態のワイヤロープ固定資材11は、上記のような構成であり、次に、この固定資材11を用いた斜面安定工法を説明する。
【0057】
予め斜面の安定を図るため斜面に対して所定の間隔で設置したロックボルト6に、支圧板12のロックボルト挿入孔15を挿入し、台座13のU字型溝4へ縦横いずれかのワイヤロープWを挿入する。
【0058】
次に、固定金具16のロックボルト挿入孔17を上記ロックボルト6へ挿入すると共に、この固定金具16をそのU字型溝4が台座13のU字型溝4と交差するような配置にして、残ったワイヤロープWを固定金具16のU字型溝4へ挿入し、台座13に重ね合わせた固定金具16をロックボルト6に螺締したナット7を締付けて固定化することにより、図4のように、ワイヤロープWを交差状に結合すると同時にこの結合部分をロックボルト6に固定化する。
【0059】
このようにして、各ロックボルト6を結ぶようにして斜面地全体にワイヤロープWを縦横井桁状に敷設することにより、傾斜地の崩壊を防止することができ、また、斜面がより崩壊の危険があると想定されるときや、転石、浮石等の落下の発生を抑えるときは、上記ロックボルト6に固定したワイヤロープWをメインワイヤロープW1 とし、図2で示した固定資材1を用い、第1の実施の形態と同様、メインワイヤロープW1 間に所定の間隔で中間ワイヤロープW2 を配置するようにする。
【0060】
なお、この第2の実施の形態のワイヤロープ固定資材11において、図3の一点鎖線のように、台座13と固定金具16にそれぞれ平行する二条のU字型溝4を設け、図5のように、二本のワイヤロープWを接近した平行状態で敷設することができるようにしてもよく、平行する二本のワイヤロープWが交差することにより、ワイヤロープWの配置間隔が密になり、斜面崩壊に対する仰止力が一段と向上する。
【0061】
図6と図7は、ワイヤロープ固定資材21の第3の実施の形態を示し、上記した第2の実施の形態の固定資材11における台座13と固定金具16の間に挟み込んで使用することにより、ワイヤロープWの配設本数を増加するためのものである。
【0062】
このワイヤロープ固定資材21は、上記固定金具16と平面的に同じ大きさを有し、中央部にロックボルト6へ挿入する孔22が設けられたワイヤ増設用中間プレート23の両面に、ワイヤロープWの断面形状が嵌まり込む傾斜状のU字型溝4を平面的に交差状の配置となるよう設け、このワイヤ増設用中間プレート23を台座13の上面と固定金具16の間に介在させるとき、両面のU字型溝4にそれぞれワイヤロープWを挿入することにより、斜面全体にワイヤロープWを井桁状に敷設している所へ、左右斜め方向にもワイヤロープWを増設することができることになり、ワイヤロープWの配置形状が三角形に形成されるため、斜面崩壊に対する仰止力が一段と向上すると共に、ワイヤロープWの間隔を狭くすることにより、転石、浮石等の落下の発生を抑えることができる。
【0063】
図8は、ワイヤロープ固定資材の第4の実施の形態を示し、ロックボルト6の上端とナット7を固定資材の内部に隠蔽することができるようにしたものである。
【0064】
このワイヤロープ固定資材31は、中心部にロックボルト挿入孔32を形成した円板状支圧板33の上面に、ロックボルト挿入孔32と同軸心となる円筒状台座34を突設し、支圧板33の上面で円筒状台座34の周囲に複数の補強リブ35を設け、円筒状台座34の内周面に雌ねじ36が形成されている。
【0065】
上記筒状台座34の上面に重ねて取り付けるねじ式固定金具37は、雌ねじ36に螺合する雄ねじ軸38の上端に円筒状台座34の外径に等しい閉鎖用円板39を設けて形成され、この円板39の周囲に複数のねじ孔40が設けられ、上面の中心にU字型溝4が設けられている。
【0066】
上記ねじ式固定金具37の円板39上に重ねて取り付ける固定金具41も円板39に等しい外径の円形となり、周囲にねじ孔40と一致するボルト42の挿入孔43が設けられ、下面の中心に円板39のU字型溝4と交差する配置となるU字型溝4が設けられている。
【0067】
この第4の実施の形態のワイヤロープ固定資材31は、上記のような構成であり、先ず、支圧板33のロックボルト挿入孔32を予め斜面に固定したロックボルト6へ挿入し、ロックボルト6に螺締したナット7を締付けて支圧板33を固定化した後、筒状台座34にねじ式固定金具37を螺合固定し、縦横いずれかのワイヤロープWをこのねじ式固定金具37のU字型溝4へ挿入し、次に、ねじ式固定金具37の上面に固定金具41を重ねて、残ったワイヤロープWを固定金具41のU字型溝4へ挿入し、重ね合わせたねじ式固定金具37と固定金具41をねじ孔40にねじ込んだボルト42の締付けで固定化することにより、ワイヤロープWを交差状に結合して、斜面全体にワイヤロープWを井桁状に敷設するものであり、ロックボルト6への固定時に、ロックボルト6の上端及びナット7をねじ式固定金具37で閉鎖された筒状台座34内に隠蔽することになる。
【0068】
図10の第5の実施の形態は、上記第2と第4の実施の形態のワイヤロープ固定資材11や31を、ロックボルト6に固定する場合の処理構造を示し、支圧板12又は33の周囲に複数の鉄筋挿入孔を設けておき、ロックボルト6を斜面地に掘削固定した後、このロックボルト6にナット7で固定した支圧板12又は33の各鉄筋挿入孔にアンカー鉄筋51を傾斜地に達するように挿入し、支圧板12又は33と不定形な斜面地との間に、予めビニール等を用いた蛇腹のような筒状の伸縮型枠部材52を配置し、伸縮性を利用して伸縮型枠部材52の上端を支圧板12又は33の周囲に外嵌固定すると共に、その下端を斜面地にアンカー53の打ち込みで固定した状態で、この伸縮型枠部材52の内部に経時的に固化するコンクリートやモルタルのような固化材54を充填し、斜面地に対して支圧板12又は33の下面を固化した固化材54で斜面地に安定支持すると共に、ロックボルト6に対するナット7の締め付けによって斜面地に圧力をかけるようにしたものである。
【0069】
上記第2と第4の実施の形態において、図9に一点鎖線で示すように、頭部連結ワイヤロープW3 を傾斜状に配置して各支圧板12又は33に取り付け、各支圧板12又は33を結合することで、例えば、同図のAのロックボルト打設位置が崩壊した場合、各ロックボルト打設位置の支圧板12又は33への負荷が上下左右に減衰され、具体的には、上位のB位置ロックボルトで一段階目の減衰が行われ、続いてC位置ロックボルトで二段階目、D位置ロックボルトで三段階目の減衰が順番に行われ、傾斜地全体の崩壊発生を有効に防止できることになる。
【0070】
なお、何れの実施の形態においても、斜面全体にワイヤロープWを井桁状に敷設した状態で、空気圧縮機等から形成される吹きつけ装置を使用して緑化基盤材と種子を任意の厚みで、斜面に吹きつけて緑化を図れば、現場打ち法枠工法のような隔絶したなかでの成育繁殖ではなく、斜面全体に草木本類の入れ替わり交配繁殖が促進され衰退することがなく、永久緑化が可能となり、斜面地の安定と景観保護が達成できる。
【0071】
【発明の効果】
以上のように、この発明は、上記のような構成としたので、以下に列記する効果がある。
【0072】
1、固定金具や台座に形成されているU字型溝により、ワイヤロープを圧迫したり損傷させることなく交差状に結合することができ、各構成部材はJIS規格の強度で施工できるため、斜面地が崩壊する可能性があるとき、それを防ぐ仰止力の計算ができ、ロックボルト工法と併用することで長期間にわたり斜面の安定が得られる。
【0073】
2、ロックボルトを利用して斜面全体にワイヤロープを井桁状に敷設することで、傾斜地の崩壊を防止することができ、しかも、ワイヤロープの増設が自由になるので、斜面の条件に合わせて崩壊に対する仰止力が一段と向上すると共に、ワイヤロープの間隔を狭くすることにより、転石、浮石等の落下の発生を抑えることができる。
【0074】
3、この発明の固定資材で施工した斜面に不測の力がかかり崩壊したとき、又年月が経過し再構築する際、この発明の固定資材はワイヤロープと金属板及びボルト、ナットで構成されているため、リサイクルができるので資源保護にもつながる。
【0075】
4、斜面に対してワイヤロープを井桁状に敷設するだけであるので、あまり目立たなくなり、周囲の景観を重視した施工が行える。
【0076】
5、ワイヤロープを井桁状に敷設した傾斜地に、吹きつけ装置を使用して緑化基盤材と種子を任意の厚みで、斜面に吹きつけて緑化を図れば、現場打ち法枠工法のような隔絶したなかでの成育繁殖ではなく、斜面全体に草木本類の入れ替わり交配繁殖が促進され衰退することがなく、永久緑化が可能となり、斜面地の安定と景観保護が達成できる。
【0077】
6、この発明の固定資材とその工法で施工することにより、井桁状に敷設するワイヤロープの交差部分を、ワイヤロープに圧迫変形を与えることなく結合することができ、頭部連結材でもあるワイヤロープが持つ引っ張り強度の荷重変位特性が発揮でき、徐々に荷重が分散、減衰し、安定した斜面まで悪影響を与えず斜面全体の崩壊を防止して、傾斜地の崩壊の防止、資源保護、環境保護という目的が達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)はこの発明に係るワイヤロープ固定資材の第1の実施の形態を示す分解斜視図、(B)は同上のワイヤロープ結合状態を示す平面図
【図2】(A)はこの発明に係るワイヤロープ固定資材の第1の実施の形態の他の例を示す分解斜視図、(B)は同上のワイヤロープ結合状態を示す縦断正面図
【図3】この発明に係るワイヤロープ固定資材の第2の実施の形態を示す分解斜視図
【図4】(A)は同上のワイヤロープ結合状態を示す平面図、(B)は同ワイヤロープ結合状態を示す縦断正面図
【図5】(A)は第2の実施の形態の他の例を示すワイヤロープ結合状態の平面図、(B)は同ワイヤロープ結合状態を示す縦断正面図
【図6】この発明に係るワイヤロープ固定資材の第3の実施の形態を示す斜視図
【図7】第3の実施の形態のワイヤロープ固定資材を用いたワイヤロープ結合状態の平面図、(B)は同ワイヤロープ結合状態を示す縦断正面図
【図8】(A)はこの発明に係るワイヤロープ固定資材の第4の実施の形態を示す分解斜視図、(B)は同上のワイヤロープ結合状態を示す縦断正面図
【図9】各実施の形態のワイヤロープ固定資材を用いて斜面地にワイヤロープを井桁状に敷設しその交差部分にワイヤロープ固定金具を取り付けた状況の平面図
【図10】第2と第4の実施の形態のワイヤロープ固定資材を、ロックボルトに固定する場合の処理構造を示す第5の実施の形態の縦断面図
【符号の説明】
1 ワイヤロープ固定資材
2 固定金具
3 ボルト孔
4 U字型溝
5 起伏形状
6 ロックボルト
7 ナット
11 ワイヤロープ固定資材
12 支圧板
13 台座
14 補強リブ
15 ロックボルト挿入孔
16 固定金具
17 ロックボルト挿入孔
21 ワイヤロープ固定資材
22 孔
23 ワイヤ増設用中間プレート
31 ワイヤロープ固定資材
32 ロックボルト挿入孔
33 支圧板
34 筒状台座
35 補強リブ
36 雌ねじ
37 ねじ式固定金具
38 雄ねじ軸
39 円板
40 ねじ孔
41 固定金具
42 ボルト
43 挿入孔
W ワイヤロープ
【発明の属する技術分野】
この発明は、ワイヤロープを交差状に結合したり、結合したワイヤロープを斜面に固定化するための固定資材と、この固定資材を用いた斜面安定工法、更に詳しくは、複数本のロックボルトを不安定な斜面地に掘削固定し、斜面地の自立安定後に、ロックボルトを利用してワイヤロープを任意の間隔で井桁状に敷設固定することで、斜面地上にある不安定な大小の浮き石、転石の落下を防止することができると共に、ワイヤロープに圧迫変形を与えずに敷設固定するようにして、強度を損なうことなく設計通りの強度で施工ができ、斜面地の安定を図ることができる固定資材と斜面安定工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、斜面地の安定を図って斜面の崩壊や浮き石、転石の落下を防止する斜面安定工法としては、例えば、重力式擁壁工法、現場打ち法枠工法、コンクリートモルタル吹き付け工法、法面緑化工法、ロックネット工法が提案され、これらの各工法は現在も施工されている。
【0003】
A、重力式擁壁工法は、設置した型枠の中へコンクリートを投入し、バイブレターを使用してコンクリートを締固めする工法である。
【0004】
B、現場打ち法枠工法は、空気圧縮機等で構成されている吹き付け装置でコンクリートモルタルを吹き付け施工するものである。
【0005】
C、コンクリートモルタル吹き付け工法は、空気圧縮機等から構成される吹きつけ装置で任意の厚みでコンクリートモルタルを斜面全体に吹き付け、小石等の落下を防止する目的で施工するものである。
【0006】
D、法面緑化工法は、空気圧縮機等から構成される吹き付け装置で、任意の厚みで緑化基盤材と種子を混練し、斜面に吹き付け施工をするものである。
【0007】
E、ロックネット工法は、斜面地の上部に複数のアンカーを打設した後、アンカーを利用してワイヤロープを斜面地へ井桁状に敷設し、ワイヤロープの交差部をワイヤクリッブで圧迫固定後、金網とワイヤロープをコイル等で接続し、傾斜地上の転石、浮き石が直接路上に落下するのを防止をするものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記した従来の各斜面安定工法にはそれぞれ以下のような問題点がある。
【0009】
a、先ず、重力式擁壁工法は、設置した型枠の中へコンクリートを投入し、バイブレターを使用してコンクリートを締固めをするため、目的とする強度の確保はできるが、ポンプ車が圧送する距離、高さに限界があり、現場斜面までの距離・高低差がある場合の施工が困難である。
【0010】
b、次に、永久工法である現場打ち法枠工法では、斜面の様々な起伏に対応できるが、空気圧縮機等で形成されている吹きつけ装置でコンクリートモルタルを吹きつけ施工をすると、必然的に発生する骨材の跳返り(通称リバウンド)が、斜面上に設置してある型枠内へ膨大な量で堆積する。
【0011】
このリバウンドは、セメントと砂がよく混練されずに大半が砂利状態であり水分も少なく、わずかな時間で硬化を始め、その様態はスポンジ状でほとんど強度がなく、又枠内に鉄筋、セパレータが複数設置されているので、それが邪魔となり完全な清掃除去が困難となり、そのリバウンドの上に吹きつけ施工をするため目的とする設計強度の梁を構築することができない。
【0012】
その後、景観のために枠内へ緑化基盤材と種子を混練し、斜面に緑化を施すが枠内という隔絶した環境のなかでは、草木本類の繁殖が難しく数年経過後衰退していく。その結果、コンクリートの枠が目立ち景観を損ない圧迫感を与える。
【0013】
また、吹き付け装置から現場斜面までの距離・高低差がある場合、圧送ホース内と骨材の摩擦抵抗が大きく施工困難となり、その摩擦抵抗を抑えるため、骨材の中で一番粘度が大きいセメントと比重の大きい砂利の量を減らして施工をしているのが現状であり、この工法では傾斜地が崩壊するときの抑止力計算が無意味になり、又、梁の強度もばらつきがある。
【0014】
更に、傾斜地が崩壊したとき、又年月が経過し取り壊し再構築するとき、既設構造物のコンクリートは再利用が難しく、その結果資源の無駄遣いと環境破壊につながる。
【0015】
c、コンクリートモルタル吹き付け工法は、斜面全体をコンクリートモルタルで覆うため、景観上見栄えが悪く耐用年数も数年である。
【0016】
d、法面緑化工法は、緑化基盤材と種子を混練して斜面に任意の厚みで吹きつけ施工をするので、現場条件(土質、勾配)が良ければ半永久的な緑化は可能であるが、斜面が急勾配また傾斜地に滑り面がある場合、傾斜地の崩壊を防止することは無理である。
【0017】
e、ロックネット工法は、ワイヤロープと金網等で形成される使用資材のほとんどがJIS規格の工場で生産され、安定した強度が確保されているが、従来のロックネット工法では、ワイヤロープの交差部分の処理を、ワイヤロープ同士が滑らないよう固定金具で交差する部分を局部的に圧迫変形させて固定するようにしているので、ワイヤロープは張力がかかると容易にその部分から切れるという危険があり、長期間にわたる傾斜地の崩壊を防ぐことは困難である。
【0018】
そこで、この発明の課題は、上記したロックネット工法の利点を有効に生かし、ワイヤロープの交差部分を、ワイヤロープに圧迫変形を与えることなく結合することができ、傾斜地の崩壊を防止するための強度計算が設計通りに、確実に施工することができるワイヤロープ固定資材とこの固定資材を用いた斜面安定工法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決しようとする手段】
上記のような課題を解決するため、請求項1の発明は、複数のボルト孔が設けられた固定金具の一面側に、ワイヤロープの断面形状が嵌まり込む深さのU字型溝を形成し、このU字型溝の溝底部を、ワイヤロープの伸長方向に形成された螺旋状の起伏形状が一致して嵌まり合う螺旋状の起伏形状にした構成を採用したものである。
【0020】
請求項2の発明は、請求項1の発明に記載の固定金具を2枚1組とし、U字型溝を形成した面を互いに重ね合わせてU字型溝が十文字に交差するように使用し、先ず、一方固定金具の一つのボルト孔を予め斜面に固定したロックボルトへ挿入し、縦横いずれかのワイヤロープをこの固定金具のU字型溝へ挿入し、次に、他方固定金具の一つのボルト孔を上記ロックボルトへ挿入すると共に、残ったワイヤロープを他方固定金具のU字型溝へ挿入し、重ね合わせた両固定金具をロックボルトに螺締したナット及び、残りのボルト孔の部分をボルト、ナットでそれぞれ締付けて固定化することにより、ワイヤロープを交差状に結合して、斜面全体にワイヤロープを井桁状に敷設する構成を採用したものである。
【0021】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、上記ロックボルトに挿入する固定金具での固定ワイヤロープがメインワイヤロープであり、このメインワイヤロープ間に配置する中間ワイヤロープとメインワイヤロープの交差部分及び中間ワイヤロープ相互の交差部分の固定に、上記した2枚1組の固定金具を用い、両固定金具のU字型溝にそれぞれ中間ワイヤロープを挿入し、重ね合わせた両固定金具をボルト孔の部分でボルト、ナットにより締付けて固定化することで、中間ワイヤロープを交差状に結合する構成を採用したものである。
【0022】
上記固定金具は、矩形状の金属板を用い、U字型溝を形成した面を互いに重ね合わせたとき、U字型溝が十文字に交差するように形成され、その四隅にボルト孔が設けられ、ロックボルトへの固定と、ワイヤロープの交差部分の結合のいずれにも使用することができるようになっている。
【0023】
請求項4の発明は、支圧板とその上面に設けた台座の中心部にロックボルト挿入孔を貫通状に形成し、この台座の上面と、ロックボルトに挿入して台座の上面に重ねる固定金具の下面に、ワイヤロープの断面形状が嵌まり込むU字型溝をそれぞれ設け、両U字型溝の溝底部を、ワイヤロープの伸長方向に形成された螺旋状の起伏形状が一致して嵌まり合う螺旋状の起伏形状に形成し、上記固定金具をロックボルトに螺締したナットで台座上に固定するようにした構成を採用したものである。
【0024】
請求項5の発明は、支圧板とその上面に設けた台座の中心部にロックボルト挿入孔を貫通状に形成し、この台座の上面と、中央部に設けた孔をロックボルトに挿入して台座の上面に重ねる固定金具の下面に、ワイヤロープの断面形状が嵌まり込むU字型溝をそれぞれ複数平行状に設け、各U字型溝の溝底部を、ワイヤロープの伸長方向に形成された螺旋状の起伏形状が一致して嵌まり合う螺旋状の起伏形状に形成し、上記固定金具をロックボルトに螺締したナットで台座上に固定するようにした構成を採用したものである。
【0025】
請求項6の発明は、請求項4又は5の発明において、中央部にロックボルトへ挿入する孔が設けられたワイヤ増設用中間プレートの両面に、ワイヤロープの断面形状が嵌まり込むU字型溝を平面的に交差状の配置となるよう設け、両U字型溝の溝底部を、ワイヤロープの伸長方向に形成された螺旋状の起伏形状が一致して嵌まり合う螺旋状の起伏形状に形成し、このワイヤ増設用中間プレートを台座の上面と固定金具の間に介在させるようにした構成を採用したものである。
【0026】
請求項7の発明は、請求項4又は5の発明に記載の固定資材を用い、先ず、支圧板のロックボルト挿入孔を予め斜面に固定したロックボルトへ挿入し、縦横いずれかのワイヤロープをこの支圧板のU字型溝へ挿入し、次に、固定金具のボルト孔を上記ロックボルトへ挿入すると共に、残ったワイヤロープを固定金具のU字型溝へ挿入し、重ね合わせた支圧板と固定金具をロックボルトに螺締したナットの締付けで固定化することにより、ワイヤロープを交差状に結合して、斜面全体にワイヤロープを井桁状に敷設する構成を採用したものである。
【0027】
請求項8の発明は、請求項7の発明に記載の台座と固定金具の間に、請求項6の発明に記載の固定資材を組み合わせて用いることにより、ワイヤロープの敷設数を増設するようにした構成を採用したものである。
【0028】
上記支圧板は十分な直径を有する円板に形成され、その上面の台座は固定金具と平面的に等しい矩形のブロック状に形成され、支圧板と台座の中心部にロックボルトへ挿入するボルト孔が貫通状に設けられ、交差状に結合したワイヤロープをロックボルトに固定するために用いられる。
【0029】
請求項9の発明は、中心部にロックボルト挿入孔を形成した支圧板の上面に、ロックボルト挿入孔と同軸心となる筒状台座を突設し、この筒状台座への螺合部で筒状台座の上面に重ねて取り付けるねじ式固定金具の上面に、ワイヤロープの断面形状が嵌まり込むU字型溝を設け、上記ねじ式固定金具の上面に重ねてボルトで固定する固定金具の下面に、ワイヤロープの断面形状が嵌まり込むU字型溝を設け、上記各U字型溝の溝底部を、ワイヤロープの伸長方向に形成された螺旋状の起伏形状が一致して嵌まり合う螺旋状の起伏形状に形成した構成を採用したものである。
【0030】
請求項10の発明は、請求項9の発明に記載の固定資材を用い、先ず、支圧板のロックボルト挿入孔を予め斜面に固定したロックボルトへ挿入し、ロックボルトに螺締したナットの締付けで支圧板を固定化した後、筒状台座にねじ式固定金具を螺合固定し、縦横いずれかのワイヤロープをこのねじ式固定金具のU字型溝へ挿入し、次に、ねじ式固定金具の上面に固定金具を重ねて、残ったワイヤロープを固定金具のU字型溝へ挿入し、重ね合わせたねじ式固定金具と固定金具をボルトの締付けで固定化することにより、ワイヤロープを交差状に結合して、斜面全体にワイヤロープを井桁状に敷設する構成を採用したものである。
【0031】
上記支圧板は十分な直径を有する円板に形成され、その上面の筒状台座は内周面に雌ねじが形成され、ねじ式固定金具は、雌ねじに螺合する雄ねじ軸の上端に筒状台座の外径に等しい円板を設けて形成され、円板に複数のねじ孔が設けられ、固定金具も円板に等しい外径の円径となり、ねじ孔と一致するボルト挿入孔が設けられ、ロックボルトへの固定時に、ロックボルトの上端及びナットを筒状台座内に隠蔽するようになっている。
【0032】
請求項11の発明は、請求項7と8及び10の何れかに記載の発明において、上記ロックボルトに固定した支圧板と斜面地との間に、筒状の伸縮型枠部材を配置し、この伸縮型枠部材の内部に経時的に固化する固化材を充填し、支圧板の下面を固化材で安定支持すると共に、傾斜地へ圧力をかけるようにした構成を採用したものである。
【0033】
ここで、ロックボルトは、予め斜面の安定を図るため所定の間隔で設置され、このロックボルトに取り付けた固定資材のU字型溝にワイヤロープを挿入し、ロックボルトに螺合したナットを締め付けて固定資材を固定することにより、ワイヤロープを交差状に固定化することができ、このようにして傾斜面に対し、ワイヤロープを井桁状に敷設すれば、傾斜地の崩壊を防止することができる。
【0034】
また、斜面がより崩壊の危険があると想定されるとき、ワイヤロープを縦横に各2本づつ配置することにより上記よりも崩壊に対する仰止力が得られる。
【0035】
更に、中間プレートを使用することによって、斜面全体にワイヤロープを井桁状に敷設している所へ、左右斜め方向にもワイヤロープを増設することができるためと、ワイヤロープの配置形状が三角形に形成されるため、斜面崩壊に対する仰止力が一段と向上すると共に、ワイヤロープの間隔を狭くすることにより、転石、浮石等の落下の発生を抑えることができる。
【0036】
上記した各固定資材に設けたU字型溝は、ワイヤロープの断面形状が収まり、その底部は、ワイヤロープの引き揃えて撚りをかけた螺旋状の起伏形状に形成されており、その効果、ロックボルト及びボルトとナットで締め付けても、 ワイヤロープに圧迫損傷が生ぜず、ワイヤロープの螺旋と起伏形状の嵌まり合いにより、確実にワイヤロープを固定できる。
【0037】
その効果、 斜面が局部的に崩壊をおこしても頭部連結材でもあるワイヤロープが持つ引っ張り強度の荷重変位特性が発揮でき、徐々に荷重が分散、減衰し、安定した斜面まで悪影響を与えず斜面全体の崩壊を防止でき、強度計算も設計通りの施工ができる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0039】
図1は、ワイヤロープ固定資材1の第1の実施の形態を示し、この固定資材1は、二枚の固定金具2、2の組み合わせからなり、厚みのある略長方形の金属板を用い、長さ方向の両端にボルト孔3が設けられた固定金具2の一面側に、ワイヤロープWの断面形状が嵌まり込む深さのU字型溝4を幅方向に傾斜するように設け、このU字型溝4の溝底部を、ワイヤロープWの伸長方向に形成された螺旋状の起伏形状が一致して嵌まり合う螺旋状の起伏形状5に形成した構造になっている。
【0040】
上記U字型溝4の深さは使用するワイヤロープWの直径より必ず同じかマイナス目に形成し、その底部はワイヤロープWの引き揃えて撚りをかけた螺旋が一致する起伏形状5に形成されており、ワイヤロープWを嵌め込んだとき、起伏形状5にワイヤロープWの螺旋が一致し、ワイヤロープWに長さ方向の負荷がかかっても固定金具2から抜けることがなく、又ワイヤロープWに損傷がないためワイヤロープWが本来持つ引っ張り強度が確保できる。
【0041】
なお、後述する他の実施の形態においても、U字型溝4は上述したものと同様、溝底部を起伏形状5に形成した構造になっている。
【0042】
上記二枚の固定金具2、2は、U字型溝4を形成した面を互いに重ね合わせたとき、U字型溝4が十文字に交差するように形成され、ロックボルト6への固定と、ワイヤロープWの交差部分の結合のいずれにも使用することができるようになっている。
【0043】
図2は、上記第1の実施の形態の変形例であり、ワイヤロープWの交差部分の結合に用いるための固定資材1が、二枚の固定金具2a、2aを正方形としてその四隅にボルト孔3を設け、上記と同様のU字型溝4を一面側の中央部の位置に設けて形成されている。
【0044】
この固定資材1は、ワイヤロープWの中間の結合だけでなく、一つのボルト孔3を図1のロックボルト6へ固定する使用も可能である。
【0045】
第1の実施の形態のワイヤロープ固定資材1は、上記のような構成であり、次に、この固定資材1を用いた斜面安定工法を説明する。
【0046】
予め斜面の安定を図るため斜面地に対してロックボルト6を、既存の工法を用いて所定の間隔で設置する。
【0047】
図1で示した固定金具2を2枚1組とし、U字型溝4を形成した面を互いに重ね合わせてU字型溝4が十文字に交差するように使用し、先ず、一方固定金具2の一つのボルト孔3を予め斜面に固定したロックボルト6へ挿入し、縦横いずれかのワイヤロープWをこの固定金具2のU字型溝4へ挿入し、次に、他方固定金具2の一つのボルト孔3を上記ロックボルト6へ挿入すると共に、残ったワイヤロープWを他方固定金具2のU字型溝4へ挿入し、重ね合わせた両固定金具2、2をロックボルト6に螺締したナット7及び、残りのボルト孔3の部分をボルト、ナット8でそれぞれ締付けて固定化することにより、図1(B)のように、ワイヤロープWを交差状に結合すると同時にこの結合部分をロックボルト6に固定化する。
【0048】
このようにして、各ロックボルト6を結ぶようにして斜面地全体にワイヤロープWを縦横井桁状に敷設することにより、傾斜地の崩壊を防止することができる。
【0049】
また、斜面地がより崩壊の危険があると想定されるとき、上記ロックボルト6に固定したワイヤロープWをメインワイヤロープW1 とし、このメインワイヤロープW1 間に所定の間隔で中間ワイヤロープW2 を配置する(図9参照)。
【0050】
この中間ワイヤロープW2 のメインワイヤロープW1 との結合及び、中間ワイヤロープW2 の交点の結合には、図2に示した固定資材1を用いる。
【0051】
2枚1組とした固定金具2aの一方固定金具2aのU字型溝4に一方のワイヤロープWを挿入し、次に、他方固定金具2aのU字型溝4へ他方のワイヤロープWを挿入し、重ね合わせた両固定金具を四隅のボルト孔3の部分で、ボルト、ナット8により締結すれば、中間ワイヤロープW2 のメインワイヤロープW1 との結合及び、中間ワイヤロープW2 相互の交点を固定化することができる。
【0052】
このように、ワイヤロープWの数を縦横に増やすことにより、斜面地崩壊に対する仰止力が一段と向上すると共に、ワイヤロープWの間隔を狭くすることにより、転石、浮石等の落下の発生を抑えることができ、図9は、このようなワイヤロープWの縦横井桁状の敷設状態を示している。
【0053】
次に、図3乃至図5は、ワイヤロープ固定資材の第2の実施の形態を示している。
【0054】
この第2の実施の形態の固定資材11は、交差状に結合したワイヤロープWをロックボルト6に固定するために用いるものであり、十分な直径を有する円板に形成した金属製支圧板12の上面の中央に正方形のブロック状となる台座13を設け、支圧板12の上面で台座13の周囲に複数の補強リブ14を設け、上記台座13及び支圧板12の中心部にロックボルト挿入孔15を貫通状に形成し、この台座13の上面でロックボルト挿入孔15から離れた位置に、第1の実施の形態と同様のU字型溝4が設けられている。
【0055】
上記、ロックボルト6に挿入して台座13の上面に重ねる固定金具16は、台座13と同じ大きさの正方形に形成され、中央位置にロックボルト挿入孔17が設けられ、その下面でロックボルト挿入孔17から離れた位置に、第1の実施の形態と同様のU字型溝4が設けられている。
【0056】
第2の実施の形態のワイヤロープ固定資材11は、上記のような構成であり、次に、この固定資材11を用いた斜面安定工法を説明する。
【0057】
予め斜面の安定を図るため斜面に対して所定の間隔で設置したロックボルト6に、支圧板12のロックボルト挿入孔15を挿入し、台座13のU字型溝4へ縦横いずれかのワイヤロープWを挿入する。
【0058】
次に、固定金具16のロックボルト挿入孔17を上記ロックボルト6へ挿入すると共に、この固定金具16をそのU字型溝4が台座13のU字型溝4と交差するような配置にして、残ったワイヤロープWを固定金具16のU字型溝4へ挿入し、台座13に重ね合わせた固定金具16をロックボルト6に螺締したナット7を締付けて固定化することにより、図4のように、ワイヤロープWを交差状に結合すると同時にこの結合部分をロックボルト6に固定化する。
【0059】
このようにして、各ロックボルト6を結ぶようにして斜面地全体にワイヤロープWを縦横井桁状に敷設することにより、傾斜地の崩壊を防止することができ、また、斜面がより崩壊の危険があると想定されるときや、転石、浮石等の落下の発生を抑えるときは、上記ロックボルト6に固定したワイヤロープWをメインワイヤロープW1 とし、図2で示した固定資材1を用い、第1の実施の形態と同様、メインワイヤロープW1 間に所定の間隔で中間ワイヤロープW2 を配置するようにする。
【0060】
なお、この第2の実施の形態のワイヤロープ固定資材11において、図3の一点鎖線のように、台座13と固定金具16にそれぞれ平行する二条のU字型溝4を設け、図5のように、二本のワイヤロープWを接近した平行状態で敷設することができるようにしてもよく、平行する二本のワイヤロープWが交差することにより、ワイヤロープWの配置間隔が密になり、斜面崩壊に対する仰止力が一段と向上する。
【0061】
図6と図7は、ワイヤロープ固定資材21の第3の実施の形態を示し、上記した第2の実施の形態の固定資材11における台座13と固定金具16の間に挟み込んで使用することにより、ワイヤロープWの配設本数を増加するためのものである。
【0062】
このワイヤロープ固定資材21は、上記固定金具16と平面的に同じ大きさを有し、中央部にロックボルト6へ挿入する孔22が設けられたワイヤ増設用中間プレート23の両面に、ワイヤロープWの断面形状が嵌まり込む傾斜状のU字型溝4を平面的に交差状の配置となるよう設け、このワイヤ増設用中間プレート23を台座13の上面と固定金具16の間に介在させるとき、両面のU字型溝4にそれぞれワイヤロープWを挿入することにより、斜面全体にワイヤロープWを井桁状に敷設している所へ、左右斜め方向にもワイヤロープWを増設することができることになり、ワイヤロープWの配置形状が三角形に形成されるため、斜面崩壊に対する仰止力が一段と向上すると共に、ワイヤロープWの間隔を狭くすることにより、転石、浮石等の落下の発生を抑えることができる。
【0063】
図8は、ワイヤロープ固定資材の第4の実施の形態を示し、ロックボルト6の上端とナット7を固定資材の内部に隠蔽することができるようにしたものである。
【0064】
このワイヤロープ固定資材31は、中心部にロックボルト挿入孔32を形成した円板状支圧板33の上面に、ロックボルト挿入孔32と同軸心となる円筒状台座34を突設し、支圧板33の上面で円筒状台座34の周囲に複数の補強リブ35を設け、円筒状台座34の内周面に雌ねじ36が形成されている。
【0065】
上記筒状台座34の上面に重ねて取り付けるねじ式固定金具37は、雌ねじ36に螺合する雄ねじ軸38の上端に円筒状台座34の外径に等しい閉鎖用円板39を設けて形成され、この円板39の周囲に複数のねじ孔40が設けられ、上面の中心にU字型溝4が設けられている。
【0066】
上記ねじ式固定金具37の円板39上に重ねて取り付ける固定金具41も円板39に等しい外径の円形となり、周囲にねじ孔40と一致するボルト42の挿入孔43が設けられ、下面の中心に円板39のU字型溝4と交差する配置となるU字型溝4が設けられている。
【0067】
この第4の実施の形態のワイヤロープ固定資材31は、上記のような構成であり、先ず、支圧板33のロックボルト挿入孔32を予め斜面に固定したロックボルト6へ挿入し、ロックボルト6に螺締したナット7を締付けて支圧板33を固定化した後、筒状台座34にねじ式固定金具37を螺合固定し、縦横いずれかのワイヤロープWをこのねじ式固定金具37のU字型溝4へ挿入し、次に、ねじ式固定金具37の上面に固定金具41を重ねて、残ったワイヤロープWを固定金具41のU字型溝4へ挿入し、重ね合わせたねじ式固定金具37と固定金具41をねじ孔40にねじ込んだボルト42の締付けで固定化することにより、ワイヤロープWを交差状に結合して、斜面全体にワイヤロープWを井桁状に敷設するものであり、ロックボルト6への固定時に、ロックボルト6の上端及びナット7をねじ式固定金具37で閉鎖された筒状台座34内に隠蔽することになる。
【0068】
図10の第5の実施の形態は、上記第2と第4の実施の形態のワイヤロープ固定資材11や31を、ロックボルト6に固定する場合の処理構造を示し、支圧板12又は33の周囲に複数の鉄筋挿入孔を設けておき、ロックボルト6を斜面地に掘削固定した後、このロックボルト6にナット7で固定した支圧板12又は33の各鉄筋挿入孔にアンカー鉄筋51を傾斜地に達するように挿入し、支圧板12又は33と不定形な斜面地との間に、予めビニール等を用いた蛇腹のような筒状の伸縮型枠部材52を配置し、伸縮性を利用して伸縮型枠部材52の上端を支圧板12又は33の周囲に外嵌固定すると共に、その下端を斜面地にアンカー53の打ち込みで固定した状態で、この伸縮型枠部材52の内部に経時的に固化するコンクリートやモルタルのような固化材54を充填し、斜面地に対して支圧板12又は33の下面を固化した固化材54で斜面地に安定支持すると共に、ロックボルト6に対するナット7の締め付けによって斜面地に圧力をかけるようにしたものである。
【0069】
上記第2と第4の実施の形態において、図9に一点鎖線で示すように、頭部連結ワイヤロープW3 を傾斜状に配置して各支圧板12又は33に取り付け、各支圧板12又は33を結合することで、例えば、同図のAのロックボルト打設位置が崩壊した場合、各ロックボルト打設位置の支圧板12又は33への負荷が上下左右に減衰され、具体的には、上位のB位置ロックボルトで一段階目の減衰が行われ、続いてC位置ロックボルトで二段階目、D位置ロックボルトで三段階目の減衰が順番に行われ、傾斜地全体の崩壊発生を有効に防止できることになる。
【0070】
なお、何れの実施の形態においても、斜面全体にワイヤロープWを井桁状に敷設した状態で、空気圧縮機等から形成される吹きつけ装置を使用して緑化基盤材と種子を任意の厚みで、斜面に吹きつけて緑化を図れば、現場打ち法枠工法のような隔絶したなかでの成育繁殖ではなく、斜面全体に草木本類の入れ替わり交配繁殖が促進され衰退することがなく、永久緑化が可能となり、斜面地の安定と景観保護が達成できる。
【0071】
【発明の効果】
以上のように、この発明は、上記のような構成としたので、以下に列記する効果がある。
【0072】
1、固定金具や台座に形成されているU字型溝により、ワイヤロープを圧迫したり損傷させることなく交差状に結合することができ、各構成部材はJIS規格の強度で施工できるため、斜面地が崩壊する可能性があるとき、それを防ぐ仰止力の計算ができ、ロックボルト工法と併用することで長期間にわたり斜面の安定が得られる。
【0073】
2、ロックボルトを利用して斜面全体にワイヤロープを井桁状に敷設することで、傾斜地の崩壊を防止することができ、しかも、ワイヤロープの増設が自由になるので、斜面の条件に合わせて崩壊に対する仰止力が一段と向上すると共に、ワイヤロープの間隔を狭くすることにより、転石、浮石等の落下の発生を抑えることができる。
【0074】
3、この発明の固定資材で施工した斜面に不測の力がかかり崩壊したとき、又年月が経過し再構築する際、この発明の固定資材はワイヤロープと金属板及びボルト、ナットで構成されているため、リサイクルができるので資源保護にもつながる。
【0075】
4、斜面に対してワイヤロープを井桁状に敷設するだけであるので、あまり目立たなくなり、周囲の景観を重視した施工が行える。
【0076】
5、ワイヤロープを井桁状に敷設した傾斜地に、吹きつけ装置を使用して緑化基盤材と種子を任意の厚みで、斜面に吹きつけて緑化を図れば、現場打ち法枠工法のような隔絶したなかでの成育繁殖ではなく、斜面全体に草木本類の入れ替わり交配繁殖が促進され衰退することがなく、永久緑化が可能となり、斜面地の安定と景観保護が達成できる。
【0077】
6、この発明の固定資材とその工法で施工することにより、井桁状に敷設するワイヤロープの交差部分を、ワイヤロープに圧迫変形を与えることなく結合することができ、頭部連結材でもあるワイヤロープが持つ引っ張り強度の荷重変位特性が発揮でき、徐々に荷重が分散、減衰し、安定した斜面まで悪影響を与えず斜面全体の崩壊を防止して、傾斜地の崩壊の防止、資源保護、環境保護という目的が達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)はこの発明に係るワイヤロープ固定資材の第1の実施の形態を示す分解斜視図、(B)は同上のワイヤロープ結合状態を示す平面図
【図2】(A)はこの発明に係るワイヤロープ固定資材の第1の実施の形態の他の例を示す分解斜視図、(B)は同上のワイヤロープ結合状態を示す縦断正面図
【図3】この発明に係るワイヤロープ固定資材の第2の実施の形態を示す分解斜視図
【図4】(A)は同上のワイヤロープ結合状態を示す平面図、(B)は同ワイヤロープ結合状態を示す縦断正面図
【図5】(A)は第2の実施の形態の他の例を示すワイヤロープ結合状態の平面図、(B)は同ワイヤロープ結合状態を示す縦断正面図
【図6】この発明に係るワイヤロープ固定資材の第3の実施の形態を示す斜視図
【図7】第3の実施の形態のワイヤロープ固定資材を用いたワイヤロープ結合状態の平面図、(B)は同ワイヤロープ結合状態を示す縦断正面図
【図8】(A)はこの発明に係るワイヤロープ固定資材の第4の実施の形態を示す分解斜視図、(B)は同上のワイヤロープ結合状態を示す縦断正面図
【図9】各実施の形態のワイヤロープ固定資材を用いて斜面地にワイヤロープを井桁状に敷設しその交差部分にワイヤロープ固定金具を取り付けた状況の平面図
【図10】第2と第4の実施の形態のワイヤロープ固定資材を、ロックボルトに固定する場合の処理構造を示す第5の実施の形態の縦断面図
【符号の説明】
1 ワイヤロープ固定資材
2 固定金具
3 ボルト孔
4 U字型溝
5 起伏形状
6 ロックボルト
7 ナット
11 ワイヤロープ固定資材
12 支圧板
13 台座
14 補強リブ
15 ロックボルト挿入孔
16 固定金具
17 ロックボルト挿入孔
21 ワイヤロープ固定資材
22 孔
23 ワイヤ増設用中間プレート
31 ワイヤロープ固定資材
32 ロックボルト挿入孔
33 支圧板
34 筒状台座
35 補強リブ
36 雌ねじ
37 ねじ式固定金具
38 雄ねじ軸
39 円板
40 ねじ孔
41 固定金具
42 ボルト
43 挿入孔
W ワイヤロープ
Claims (11)
- 複数のボルト孔が設けられた固定金具の一面側に、ワイヤロープの断面形状が嵌まり込む深さのU字型溝を形成し、このU字型溝の溝底部を、ワイヤロープの伸長方向に形成された螺旋状の起伏形状が一致して嵌まり合う螺旋状の起伏形状にしたワイヤロープ固定資材。
- 請求項1に記載の固定金具を2枚1組とし、U字型溝を形成した面を互いに重ね合わせてU字型溝が十文字に交差するように使用し、先ず、一方固定金具の一つのボルト孔を予め斜面に固定したロックボルトへ挿入し、縦横いずれかのワイヤロープをこの固定金具のU字型溝へ挿入し、次に、他方固定金具の一つのボルト孔を上記ロックボルトへ挿入すると共に、残ったワイヤロープを他方固定金具のU字型溝へ挿入し、重ね合わせた両固定金具をロックボルトに螺締したナット及び、残りのボルト孔の部分をボルト、ナットでそれぞれ締付けて固定化することにより、ワイヤロープを交差状に結合して、斜面全体にワイヤロープを井桁状に敷設することを特徴とする斜面安定工法。
- 上記ロックボルトに挿入する固定金具での固定ワイヤロープがメインワイヤロープであり、このメインワイヤロープ間に配置する中間ワイヤロープとメインワイヤロープの交差部分及び中間ワイヤロープ相互の交差部分の固定に、上記した2枚1組の固定金具を用い、両固定金具のU字型溝にそれぞれ中間ワイヤロープを挿入し、重ね合わせた両固定金具をボルト孔の部分でボルト、ナットにより締付けて固定化することで、中間ワイヤロープを交差状に結合することを特徴とする請求項2に記載の斜面安定工法。
- 支圧板とその上面に設けた台座の中心部にロックボルト挿入孔を貫通状に形成し、この台座の上面と、ロックボルトに挿入して台座の上面に重ねる固定金具の下面に、ワイヤロープの断面形状が嵌まり込むU字型溝をそれぞれ設け、両U字型溝の溝底部を、ワイヤロープの伸長方向に形成された螺旋状の起伏形状が一致して嵌まり合う螺旋状の起伏形状に形成し、上記固定金具をロックボルトに螺締したナットで台座上に固定するようにしたワイヤロープ固定資材。
- 支圧板とその上面に設けた台座の中心部にロックボルト挿入孔を貫通状に形成し、この台座の上面と、中央部に設けた孔をロックボルトに挿入して台座の上面に重ねる固定金具の下面に、ワイヤロープの断面形状が嵌まり込むU字型溝をそれぞれ複数平行状に設け、各U字型溝の溝底部を、ワイヤロープの伸長方向に形成された螺旋状の起伏形状が一致して嵌まり合う螺旋状の起伏形状に形成し、上記固定金具をロックボルトに螺締したナットで台座上に固定するようにしたワイヤロープ固定資材。
- 中央部にロックボルトへ挿入する孔が設けられたワイヤ増設用中間プレートの両面に、ワイヤロープの断面形状が嵌まり込むU字型溝を平面的に交差状の配置となるよう設け、両U字型溝の溝底部を、ワイヤロープの伸長方向に形成された螺旋状の起伏形状が一致して嵌まり合う螺旋状の起伏形状に形成し、このワイヤ増設用中間プレートを台座の上面と固定金具の間に介在させるようにした請求項4又は5に記載のワイヤロープ固定資材。
- 請求項4又は5に記載の固定資材を用い、先ず、支圧板のロックボルト挿入孔を予め斜面に固定したロックボルトへ挿入し、縦横いずれかのワイヤロープをこの支圧板のU字型溝へ挿入し、次に、固定金具のボルト孔を上記ロックボルトへ挿入すると共に、残ったワイヤロープを固定金具のU字型溝へ挿入し、重ね合わせた支圧板と固定金具をロックボルトに螺締したナットの締付けで固定化することにより、ワイヤロープを交差状に結合して、斜面全体にワイヤロープを井桁状に敷設することを特徴とする斜面安定工法。
- 請求項7に記載の斜面安定工法の台座と固定金具の間に、請求項6に記載の固定資材を組み合わせて用いることにより、ワイヤロープの敷設数を増設するようにしたことを特徴とする斜面安定工法。
- 中心部にロックボルト挿入孔を形成した支圧板の上面に、ロックボルト挿入孔と同軸心となる筒状台座を突設し、この筒状台座への螺合部で筒状台座の上面に重ねて取り付けるねじ式固定金具の上面に、ワイヤロープの断面形状が嵌まり込むU字型溝を設け、上記ねじ式固定金具の上面に重ねてボルトで固定する固定金具の下面に、ワイヤロープの断面形状が嵌まり込むU字型溝を設け、上記各U字型溝の溝底部を、ワイヤロープの伸長方向に形成された螺旋状の起伏形状が一致して嵌まり合う螺旋状の起伏形状に形成したワイヤロープ固定資材。
- 請求項9に記載の固定資材を用い、先ず、支圧板のロックボルト挿入孔を予め斜面に固定したロックボルトへ挿入し、ロックボルトに螺締したナットの締付けで支圧板を固定化した後、筒状台座にねじ式固定金具を螺合固定し、縦横いずれかのワイヤロープをこのねじ式固定金具のU字型溝へ挿入し、次に、ねじ式固定金具の上面に固定金具を重ねて、残ったワイヤロープを固定金具のU字型溝へ挿入し、重ね合わせたねじ式固定金具と固定金具をボルトの締付けで固定化することにより、ワイヤロープを交差状に結合して、斜面全体にワイヤロープを井桁状に敷設することを特徴とする斜面安定工法。
- 上記ロックボルトに固定した支圧板と斜面との間に、筒状の伸縮型枠部材を配置し、この伸縮型枠部材の内部に経時的に固化する固化材を充填し、支圧板の下面を固化材で安定支持するようにしたことを特徴とする請求項7と8及び10の何れかに記載の斜面安定工法。
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JP2002358290A JP2004143909A (ja) | 2002-08-30 | 2002-12-10 | ワイヤロープ固定資材とこの固定資材を用いた斜面安定工法 |
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KR100783141B1 (ko) * | 2007-01-03 | 2007-12-07 | 신한테크주식회사 | 와이어 로우프용 체결장치 |
JP2016108828A (ja) * | 2014-12-08 | 2016-06-20 | 日特建設株式会社 | 法面保護工用プレート |
-
2002
- 2002-12-10 JP JP2002358290A patent/JP2004143909A/ja active Pending
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