JP2004143878A - 基礎杭と柱との接合工法及び接合用メタルジョイント - Google Patents

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Abstract

【課題】施工性に優れ、且つ基礎杭の打ち込み位置が多少ずれようとも、柱の建て付け位置が調整可能である。
【解決手段】上部に略水平な平面部3bを有し、その周辺が下方に向かって略垂直な側壁面部3aを備えた中空錘形のメタルジョイント3を使用し、このメタルジョイント3で基礎杭1の杭頭部1aを空隙を介して包囲し、この空隙部4にコンクリートなどの充填材を流し込んで、メタルジョイント3を杭頭部1aに固設した後、メタルジョイント3の平面部3bの上に柱材2を溶接固定する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、基礎杭と柱とをメタルタッチにより接合する工法及び接合用メタルジョイントに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、基礎杭に柱を接合するには、杭頭処理をした後、杭頭部に鉄筋コンクリート造りの基礎を構築し、その後、この基礎平面部に、複数のアンカーボルトを植設し、柱下端に有するベースプレートと、アンカーボルトとを締結して接合する。又、必要に応じて、基礎杭と柱との接合部分に鉄筋コンクリートの根巻きを行い、接合部分の強度の向上を図っていた。従って、基礎の構築や、アンカーボルトの植設など、施工が煩雑であり、接合強度にも劣るという問題があった。
【0003】
又、他の工法として、中空杭の杭頭部に、柱下方に突出した接合用鋼材を挿入し、杭頭部に充填材を充填して接合する工法や、中実杭の杭頭部に柱を突き合わせて接合し、この突き合わせ部分に補強構造体を設ける工法などもある(例えば、特許文献1参照)。しかし、この工法にも問題がある。即ち、この工法によれば、杭頭部1aに直接柱を建て込むため、基礎杭の打ち込み位置がずれた場合には、柱の建て付け位置もずれるという問題がある。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−115464号公報
【特許文献2】
特許第3095376号明細書
【特許文献1】
特開2001−295287号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑み、施工性に優れ、且つ基礎杭の打ち込み位置が多少ずれようとも、柱の建て付け位置が調整可能な、基礎杭と柱との接合工法を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る基礎杭と柱との接合工法は、上部に略水平な平面部を有し、その周辺が下方に向かって略垂直な側壁面部を備えた中空錘形のメタルジョイントを使用し、このメタルジョイントで基礎杭の杭頭部を空隙を介して包囲し、空隙部にコンクリートなどの充填材を流し込んで、メタルジョイントを杭頭部に固設した後、メタルジョイントの平面部の上に柱材を溶接固定することを特徴とする。
【0007】
又、本発明に係る接合用メタルジョイントは、上部に略水平な円盤状の平面部を有し、その周辺から下方に向かって略垂直な側壁面部を備えた円筒状中空体からなることを特徴とする。
【0008】
更に、その外の接合用メタルジョイントは、上部に略水平な角形状の平面部を有し、その周辺から下方に向かって略垂直な側壁面部を備えた角錘状中空体からなることを特徴とする。
【0009】
好ましくは、平面部に、コンクリートなどの充填材を充填するための複数の孔部を有する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について、添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
先ず、図1に基づいて、本発明に係る接合工法について説明する。図1は、基礎杭と柱との接合部分を示すものであって、Aは側壁面部図を、Bは斜視図を示す。
【0012】
本発明においては、建築構造物用の基礎杭1上に柱材2を接合するに際し、基礎杭1と柱材2との間に中空錘体状のメタルジョイント3を介して接合する。このメタルジョイント3は、円筒状の側壁面部3aと、この側壁面部3aの上部開口を覆う略平面状の平面部3bとで構成され、側壁面部3aの外径Dは、基礎杭1の外径dよりも大きい。そのため、メタルジョイント3の下部には、基礎杭1の杭頭部1aを覆うに適した空隙部4を有する。そして、このメタルジョイント3は鋼材などの金属製であり、平面部3bにはコンクリート等の充填材を注入するための4つの孔部3cを有する。
【0013】
基礎杭1を土中に打ち込んだ後、杭頭部1aを露出するため掘削100を行い、メタルジョイント3を基礎杭1の杭頭部1aの廻りに、空隙部4を介してこれを覆うように土面に載置する。その後、メタルジョイント3の平面部3bが露出する程度に埋め戻し、各孔部3cから、コンクリートや無収縮モルタルなどの充填材を注入し、メタルジョイント3内を充填材で充填する。図1において、4は杭頭部1aとメタルジョイント3との間の空隙部を示すが、この部分は点で示したようにモルタルなどで充填される。これにより、メタルジョイント3を基礎杭1の杭頭部1aに固設する。その後、柱材2をメタルジョイント3の平面部3bにセットし、柱材2の下端に設けたベースプレート20と平面部3bとの接合部に溶接5を施して両者を固定する。
【0014】
本発明は、上述した通り、基礎杭1の杭頭部1aにメタルジョイント3を介するものであるから、図2Aに示す通り、基礎杭1と柱材2との芯が多少ずれていても、メタルジョイント3の位置をずらすことにより、基礎杭1と柱材2との位置誤差を補正することができる。
【0015】
又、図2Bに示す通り、たとえ基礎杭1が傾斜した状態で打ち込まれても、メタルジョイント3の平面部3bを水平にしてセットすることにより、柱材2を垂直に設置することができる。
【0016】
又、図2Cに示すように、メタルジョイント3の平面部3bの高さHを調整することにより、柱材2の高さ位置を容易に調整することができる。
【0017】
更に、必要に応じて、図2Dに示すように、接合部分に鉄筋コンクリートの根巻き6を施すことにより、接合部分の強度を向上することができる。
【0018】
又、建築構造物の荷重が30t以上の場合、図3に示す通り、1本の柱材2’に対して、互いに近傍する2本の基礎杭1’を打ち込むため、メタルジョイント3’は、2本の基礎杭1’の杭頭部1aを両者共に覆うようになっている。即ち、本実施例では、メタルジョイント3’の平面部3b’は、長方形であって、その長さLが基礎杭1’の直径Dの2倍以上の大きさであり、その四隅に4つの充填材注入用の孔部3c’を有する。
【0019】
施工方法は、上述した実施例と同様である。即ち、基礎杭1’の杭頭部1aにメタルジョイント3’を被せ、このメタルジョイント3’内に、孔部3c’から充填材’を充填し、柱材2’を溶接5’して接合するものである。
【0020】
基礎杭1は、PHC杭や場所打ちコンクリート杭に限らず、鋼管杭や鋼管コンクリート杭などの各種の基礎杭に対して適用可能であり、柱材2は、角形鋼管、円形鋼管、或いはH形鋼などの任意断面の形鋼に対しても適用可能であることは当然である。又、ベースプレート20を介さずに、直接メタルジョイント3と柱材2とを溶接5して接合しても良い。
【0021】
次に、図4及び図5に従って、メタルジョイント3の別の実施例を示す。図4Aに示すメタルジョイント3は、六角形の平面部3bと、その形状に適合した側壁面部3aとで構成されている。又、図4Bに示すメタルジョイント3は、四角形の平面部3bと、その形状に適合した側壁面部3aとで構成されており、更に、平面部3bの中央に四角形の充填材注入用孔部3cを設け、この孔部3cの周辺から上方に突出する柱補強枠30を備えている。そして、この柱補強枠30の上に柱材2を溶接で接合する。
【0022】
図5に示す実施例のメタルジョイント3は、前記した実施例と同様に、円筒状の側壁面部3aと平面部3bとで構成されている。異なる点は、この平面部3bに、4本のアンカーボルト3dが植設されており、更に、柱材2の下端に設けたベースプレート20には、これらのアンカーボルト3dに対応するボルト用孔部20aが設けられている。そして、ボルト用孔部20aにアンカーボルト3dを挿通して、このアンカーボルト3dにナットを締結することにより、メタルジョイント3と柱材2とを固着する。
【0023】
【発明の効果】
本発明によれば、従来工法で要する、杭頭部1aの基礎構築や、アンカーボルトの植設などの施工が不要である。又、基礎杭と柱とをメタルジョイントを介してメタルタッチとし、これを溶接により一体接合するため、接合部分の強度が大となり、これに伴って、建築構造物のための部材の節減、施工の省略化を図ることが可能であり、大幅なコストダウンが期待できる。
【0024】
更に、基礎杭の打ち込み位置にずれがあっても、柱の位置をメタルジョイントで容易に調整できるため、施工性に優れており、適用範囲は極めて広い。そして、鋼管杭などによく観察される、杭頭部の断面が不整の場合でも、メタルジョイントの平面部を水平状にすることにより、柱を容易に垂直状に設置できる。
【0025】
又、地震などによって柱が傾いた際、基礎杭の外側から力が加わるため、PHC杭のように内部が中空の基礎杭に対しては、内側から力が加わるよりも耐力が強く、基礎杭の耐久性にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例における基礎杭と柱との接合部分を示す。
【図2】本発明の各種実施態様を示す。
【図3】第2実施例における基礎杭と柱との接合部分を示す。
【図4】メタルジョイントの他の実施例を示す。
【図5】メタルジョイントの他の実施例を示す。
【符号の説明】
1 基礎杭
1a 杭頭部
2 柱材
3 メタルジョイント
3a 側壁面部
3b 平面部
3c 充填材注入用孔部
4 空隙部
5 溶接

Claims (6)

  1. 上部に略水平な平面部を有し、その周辺が下方に向かって略垂直な側壁面部を備えた中空錘形のメタルジョイントを使用し、このメタルジョイントで基礎杭の杭頭部を空隙を介して包囲し、この空隙部にコンクリートなどの充填材を流し込んで、前記メタルジョイントを前記杭頭部に固設した後、前記メタルジョイントの平面部の上に柱材を溶接固定することを特徴とする基礎杭と柱との接合工法。
  2. 上部に略水平な平面部を有し、その周辺が下方に向かって略垂直な側壁面部を備えた中空錘形のメタルジョイントを使用し、このメタルジョイントで基礎杭の杭頭部を空隙を介して包囲し、この空隙部にコンクリートなどの充填材を流し込んで、前記メタルジョイントを前記杭頭部に固設した後、前記平面部に植設した複数のアンカーボルトに柱材を締結固定することを特徴とする基礎杭と柱との接合工法。
  3. 上部に略水平な円盤状の平面部を有し、その周辺から下方に向かって略垂直な側壁面部を備えた円筒状中空体からなることを特徴とする基礎杭と柱との接合用メタルジョイント。
  4. 上部に略水平な角形状の平面部を有し、その周辺から下方に向かって略垂直な側壁面部を備えた角錘状中空体からなることを特徴とする基礎杭と柱との接合用メタルジョイント。
  5. 前記平面部に、コンクリートなどの充填材を充填するための複数の孔部を有することを特徴とする請求項3又は4に記載の基礎杭と柱との接合用メタルジョイント。
  6. 前記平面部に、柱材を締結するための複数のアンカーボルトを植設していることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の基礎杭と柱との接合用メタルジョイント。
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