JP2004142200A - クッション材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】成形型に発泡原液組成物を供給し、軟質ポリウレタンフォームクッション材を製造するに際して均一な離型効果が得られるクッション材の製造方法、発泡型枠内底部に成形型を載置してポリウレタンフォームの発泡原液組成物を供給したときに成形型の裏面側への発泡原液組成物の侵入を防止することが可能な軟質ポリウレタンフォームクッション材の製造方法を提供する。
【解決手段】採型手段1を人体2に当接させて母型3を作製する採型工程、母型3の採型面4に硬化性材料6を被覆して硬化させ、成形型8を作製する型作製工程、成形型8を樹脂フィルム14で被覆する被覆工程、及び成形型8を使用して軟質ポリウレタンフォームを発泡形成してクッション材16とする発泡成形工程とを有する、人体の外形に即した形状を備えた軟質ポリウレタンフォームクッション材の製造方法とする。
【選択図】 図1
【解決手段】採型手段1を人体2に当接させて母型3を作製する採型工程、母型3の採型面4に硬化性材料6を被覆して硬化させ、成形型8を作製する型作製工程、成形型8を樹脂フィルム14で被覆する被覆工程、及び成形型8を使用して軟質ポリウレタンフォームを発泡形成してクッション材16とする発泡成形工程とを有する、人体の外形に即した形状を備えた軟質ポリウレタンフォームクッション材の製造方法とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、人体の形状にフィットする形状を有する軟質ポリウレタンフォームクッション材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
軟質ポリウレタンフォームクッション材としては、ベルトコンベア上に発泡原液組成物を供給して発泡させ、連続した発泡体とし、これを裁断するスラブフォームと金型キャビティー内に発泡原液組成物を注入して発泡させ、所定の形状の発泡体とするモールドフォームが周知である。
【0003】
シートクッション材においては、身体障害者や起きて動くことのできない病人が使用するシートクッション材、姿勢矯正用のクッション材、レーシングカーの座席シート等に使用されるクッション材は、使用する人の体型にぴったり適合した形状であることが求められる。
【0004】
また長時間の使用においても痛み、疲労、褥瘡等が発生しないように局部的に高い圧力が人体に作用しないことが求められ、クッション材として体圧分散性能が高いことが要求される。
【0005】
かかる使用する人の体型にぴったりフィットする形状を有するクッション材の製造方法としては、上述のスラブフォームないしモールドフォームを人体の形状に合わせて裁断、切削する方法、人体の形状に応じた金型を作製してモールドフォームを作製する方法、並びにモールドフォームにさらにスラブフォームのシートを適宜の形状に裁断して貼合する方法がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、スラブフォームやモールドフォームを人体の形状に合わせて裁断、切削する方法では、微妙な寸法調整が難しく、製造に多大の時間を要し、実用的な方法とは言えない。
【0007】
人体の形状に応じた金型を作製してモールドフォームを作製する方法によれば、各人ごとに別個に金型を作製しなければならない。モールドフォーム用の金型は、一般的には木型を作製し、この木型を使用して砂型を作製し、この砂型に溶融アルミニウムを流し込んで製造される。しかも、人体の形状に応じた複雑な形状の金型キャビティー内に発泡原液組成物液を単に注入しただけでは、液が金型キャビティー内に完全に行き届かずに欠肉して不良品を生じる場合があり、かかる欠肉を防止するためには、発泡原液組成物を金型内にて発泡による加圧状態となるようにして発泡原液組成物液を隅々まで行きわたらせる必要がある。そのため、金型を内圧に耐える強度を有するものとすると同時に金型のシール部の精度を高くする必要があり、金型制作費が高く、高価なクッション材となってしまい、各個人に応じたクッション材の製造方法に適したものとは言えない。
【0008】
また一般的な形状のモールドフォームにスラブフォームのシートを貼合する方法によれば、金型制作費は少なくて済むが、各人に合わせてスラブフォームのシートを裁断、研削して貼合する必要があり、やはり製造に多大の時間を要し、実用的ではない。
【0009】
本発明者らは、簡便、安価な方法で人体の形状に適合する形状を有する軟質ポリウレタンフォームクッション材の製造方法として、採型手段を人体に当接させて母型を作製する採型工程、前記母型の採型面に硬化性材料を被覆して硬化させ、成形型を作製する型作製工程、及び前記成形型を使用して発泡原液組成物を発泡させて軟質ポリウレタンフォームクッション材を形成する発泡成形工程とを有することを特徴とする軟質ポリウレタンフォームクッション材の製造方法を提案した。
【0010】
上記の技術により、長時間の使用においても痛み、疲労、褥瘡等を発生させる局部的に高い圧力が人体に作用しない、体圧分散性能が優れた軟質ポリウレタンフォームクッション材が得られたが、さらに以下の点で改良することが望ましいことが判明した。
【0011】
1)硬化性材料として最も一般的で使いやすい石こうを使用した場合、軟質ポリウレタンフォームクッション材発泡成形時に、成形型の表面に塗布する離型剤は、一般的な金型用の離型剤を使用すると石こうにしみ込んで離型作用を発揮しない。パラフィンワックスを溶融塗布すると離型効果は得られるが、冷却により固化するものであり、かつ脆いものであるために剥落しやすく、また石こうと同じ白色であるために均一に塗布したかどうかを確認することが難しいため、塗り残しが発生する。このため、脱型後の軟質ポリウレタンフォームクッション材表面に成形型に付着したフォームがちぎれて生じる欠損部ができる場合がある。
【0012】
2)成形型は個々に人体に合わせて採型したものであるために曲板状であって裏面をカバーする部材まで形成することができない。そのため、容器状の発泡型枠内底部に成形型を載置してポリウレタンフォームの発泡原液組成物を供給し、軟質ポリウレタンフォームクッション材を製造すると、成形型の裏面側まで発泡原液組成物が回り込むので、これを防止するための封止作業に手間がかかるうえ、発泡原液組成物の成形型裏面への回り込みを完全に防止することが難しい。
【0013】
本発明の目的は、成形型にポリウレタンフォームの発泡原液組成物を供給し、軟質ポリウレタンフォームクッション材を製造するに際して均一な離型効果が得られる軟質ポリウレタンフォームクッション材の製造方法を提供することにある。また、本発明の目的は、容器状の発泡型枠内底部に成形型を載置してポリウレタンフォームの発泡原液組成物を供給したときに成形型の裏面側への発泡原液組成物の侵入を防止することが可能な軟質ポリウレタンフォームクッション材の製造方法を提供することにもある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、人体の外形に適合する形状を備えた軟質ポリウレタンフォームクッション材の製造方法であって、
採型手段を人体に当接させて母型を作製する採型工程、前記母型の採型面に硬化性材料を被覆して硬化させ、成形型を作製する型作製工程、前記成形型を樹脂フィルムで被覆する被覆工程、及び前記成形型を使用して発泡原液組成物を発泡させて軟質ポリウレタンフォームクッション材を形成する発泡成形工程とを有することを特徴とする。
【0015】
成形型を樹脂フィルムで被覆する被覆工程を設けることにより、成形型にポリウレタンフォームの発泡原液組成物を供給し、軟質ポリウレタンフォームクッション材を製造するに際して塗り残しがなく均一な離型効果が得られる。
【0016】
上述の軟質ポリウレタンフォームクッション材の製造方法においては、前記樹脂フィルムがポリオレフィンフィルムであり、前記被覆工程が発泡型枠底部に前記成形型を載置し、前記樹脂フィルムで前記成形型を覆い、成形型側を減圧して前記樹脂フィルムにて成形型を被覆する工程であることが好ましい。
【0017】
係る構成の製造方法により、発泡型枠内底部に成形型を載置し、軟質ポリウレタンフォームクッション材を形成する発泡原液組成物を供給しても成形型の裏面側への発泡原液組成物の侵入を防止することが可能となる。
【0018】
本発明においては、前記成形型の少なくとも一部に形状調整部材を載置することが好ましい。
【0019】
形状調整部材を載置した部位は、形状調整部材がブロック状であれば、発泡成形工程において得られる軟質ポリウレタンフォームクッション材に、部分的に凹部が形成され、この凹部に硬度や反発弾性の異なる軟質ポリウレタンフォームを充填することにより、クッション性を調整することができる。また形状調整部材が幅広い面ないし全面を覆う場合には、軟質ポリウレタンフォームクッション材が使用者の体型に対してやや大きく、余裕がある形状となり、使用者が子供である場合には成長に合わせた形状のクッション材を成形することができ、また寒冷時期に、厚着をした場合に対応できる形状のクッション材を成形することもできる。
【0020】
上述の発明においては、前記成形型の表面に少なくとも1本の線状部材を載置することが好ましい。
【0021】
係る構成により、着座時の人体とクッション材との接触部に、外部に連通する溝が形成され、通気性が改善されたクッション材が得られる。
【0022】
本発明の製造方法における前記発泡成形工程は、成形型に低反発ポリウレタンフォームを形成する第1発泡原液組成物を被覆して低反発層を形成する低反発層形成工程及び前記低反発層の外面に高反発ポリウレタンフォームを形成する第2発泡原液組成物を被覆して高反発層を形成する高反発層形成工程とを有することが好ましい。
【0023】
人体に接する側に低反発発泡層を設けることにより、長時間の使用においても痛み、疲労が発生しないように局部的に高い圧力が人体に作用しない、体圧分散性能が高い軟質ポリウレタンフォームクッション材を製造することができる。
【0024】
低反発層の厚みは、5〜30mmであることが好ましい。薄すぎると低反発層を設けた効果が小さく、厚すぎると高反発弾性層の効果が得られなくなり、安定性にかけるクッション材となる。低反発層の厚みは、10〜20mmであることがより好ましい。
【0025】
上記の低反発層と高反発層とを有するクッション材の場合、低反発層を構成する低反発ポリウレタンフォームは、反発弾性率が20%以下であることが好ましい。また高反発層を構成する高反発ポリウレタンフォームの反発弾性率は50%以上であることが好ましい。
【0026】
前記低反発発泡層形成工程は、前記第1発泡原液組成物をスプレー吹付法により被覆するものであることが好ましい。
【0027】
成形型の表面に均一な厚みの低反発層を、欠肉や空間部の発生なく形成することができる。
【0028】
高反発層形成工程における高反発フォームを形成する第2発泡原液組成物もスプレー吹付法により被覆することが好ましい。
【0029】
スプレー吹付法の採用により、簡易で強度が高くなく、高度のシール精度が不要な金型を使用しても欠肉のない軟質ポリウレタンフォームクッション材を製造することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1〜図7に本発明の軟質ポリウレタンフォームクッション材の製造方法を示した。
【0031】
図1、2は、採型工程と採型工程において得られた母型を示したものである。人体の腰から背中部まで採型可能な略椅子型の採型手段1に人2を着座させて人2の外形にフィットした形に該採型手段1を変形させ、そのままの形状に固定して人の外形にフィットした凹状の採型面4を有する母型3とする。この際に、各人毎に、より好ましい形状になるように、また姿勢矯正が目的である場合にはより矯正に適した形状となるように、専門家が調整をすることは好ましい態様である。
【0032】
採型手段1としては、公知のものが限定なく使用可能である。具体的には、ゴムシート等の弾性体にて形成された袋内に粒子を充填した採型手段が例示される。この採型手段は、人が着座すると内部の粒子が流動して人体形状に沿った状態となる。この状態で袋内部を減圧にすると粒子の流動が阻止され、その形状のまま固定され、母型3となる。
【0033】
図3、4には、母型3を使用して成形型を作製する型作製工程を示した。
図3には母型3の人体形状適合形状の採型面4に硬化性材料として石膏のスラリーを含浸した布テープ6を被覆する工程を示した。石膏が硬化した後に母型3を取り除くことにより図4に示した成形型8が形成される。
【0034】
図4に示した成形型8は、座部から背部に及ぶ部分をカバーした形状であり、凸状の外面が成形面8Gとなる。成形面8Gは母型3の採型面4が反転した形状であり、これを使用する人体とほぼ同じ形状になる。成形型8の側面部には湾曲部Vがある。
【0035】
成形型8を作製するための硬化性材料6としては、石こうに代えて他の公知の材料が使用可能である。具体的にはシリコン系樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等が例示される。これらは樹脂単独で使用してもよく、上記の石膏の場合のように織布、不織布等の繊維材料に含浸させたプリプレグとして使用してもよい。
【0036】
母型3に被覆する硬化性材料6の厚みは、上述の成形面8Gが人体とほぼ同じ形状になり、これを利用してクッション材を成形するので、成形型としての強度を有する限り薄い方が好ましい。一般的には1〜5mm程度である。
【0037】
成形型8の成形面8Gは、必要に応じて各種の仕上げを行う。例えば硬化性材料として石膏を使用した場合にはその表面には微細な凹凸、孔が形成される場合があるので、硬化性の樹脂、例えばシリコン系樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等をかかる凹凸、孔を埋め、表面が平滑になるように薄く被覆することが例示される。
【0038】
図5には、側枠10と底板11とからなる発泡皮枠の底部に成形型8を、成形面8Gを上にして載置した状態を示した。この状態では、成形型8の側面部には湾曲部Vが底板11表面から浮き上がり、ポリウレタンフォームの発泡原液組成物を供給するとこのV部から成形型8の裏面側に発泡原液組成物が侵入する。
【0039】
図5においては、成形型8の成形面8Gから底板11表面を樹脂フィルム14にて覆い、さらに底板11に設けた吸引孔12から空気を吸引し、樹脂フィルム14を成形型8の成形面8Gに密着させた状態を示した。成形型8を収容し、発泡原液組成物の注入を行う容器状の発泡型枠を構成する側枠10と底板11とは着脱自在に構成されており、樹脂フィルム14は、底板11上に成形面を上にして載置した成形型8と底板11の全体に被せ、樹脂フィルム14の周縁を押さえるようにして被覆される。
空気の吸引による減圧は、樹脂フィルム14が成形型8の成形面8Gに密着すればよく、高真空にする必要はない。減圧は、ブロアー等の一般的な吸排気装置を使用することにより簡便に行うことができる。
【0040】
樹脂フィルム14は、成形型8と底板11全面を覆うように被せ、側枠10を置いて成形型8と底板11の間の空間をシールして成形型8を含め、樹脂フィルム14と底板11にて閉鎖空間を形成する。
【0041】
このようにすることにより、V部から成形型8の裏面側への発泡原液組成物の侵入が防止される。
【0042】
図6に示したように、成形型8に対しての樹脂フィルム14の反対面と側枠10に囲まれて形成されたキャビティーに発泡原液組成物を供給して発泡、硬化させると採型した人体に対応した凹部を有する軟質ポリウレタンフォームクッション材が得られる。
【0043】
樹脂フィルム14は、空気の吸引により成形面8Gに密着する程度の可とう性ないし柔軟性を有するものは特に限定なく使用可能である。具体的には、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、エチレンやプロピレンと他の単量体を使用した共重合体フィルム等のポリオレフィンフィルム、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体フィルム(ETFE)等が例示されるが、離型性に優れていること、低価格で入手が容易であることから、ポリオレフィンフィルムの使用が好ましい。
【0044】
減圧により、成形型8の表面に密着した樹脂フィルム14にしわが生じた場合には、ポリオレフィンフィルムの片面に粘着剤層を設けた粘着テープを貼着してしわに発泡原液組成物が入り込まないようにすることが好ましい。
【0045】
図7は、成形型8の成形面8Gにブロック状の形状調整部材20を載置し、この形状調整部材20を含めて樹脂フィルムで被覆して吸引孔12から減圧し、上記と同様にして軟質ポリウレタンフォームクッション材16を製造する発泡成形工程を示したものである。
【0046】
図7の方法により製造されたクッション材16は、図8に斜視図にて示した。クッション材16には、形状調整部材20による凹部22が形成されている。この凹部22には、周囲のクッション材を構成する軟質ポリウレタンフォームと特性の異なる材料を充填する。係る構成により、例えば局部的に体圧がかかる部位である凹部22の充填材料として低反発弾性の軟質ポリウレタンフォームを使用した場合、その部分について重点的に体圧分散をすることが可能となる。
【0047】
体圧分散を効果的に行う方法としては、後述するように、人体接触側全面に低反発層を形成し、他の部分を高反発弾性フォームにて形成する方法が可能であるが、局部的な体圧分散を行う場合には、上記の方法が便利である。また上記の方法によれば、2種の発泡原液組成物を準備する必要がなく、コスト的にも安価なクッション材を得ることができる。
【0048】
本発明の製造方法によれば、形状調整部材20を成形型8に強固に接着しなくても、樹脂フィルムを被覆して下部を減圧することにより所定位置に保持され、発泡成形工程において形状調整部材20が動き、或いは剥落することがない。
【0049】
形状調整部材を構成する材料は特に限定されないが、軟質ポリウレタンフォームの余剰材料などが好適に使用できる。
【0050】
図9には、成形型8の成形面全面にシート状の形状調整部材24を載置した例を示したものである。
【0051】
身体障害者用のクッション材を製造するための成形型は、約5年に1度公費にて作製されるが、子供の場合には年々成長し、それに合わせてクッション材を大きくする必要がある。形状調整部材の使用は、係るケースにおいて高価な成形型を作製することなく、クッション材の大きさ調整をすることができる。
【0052】
図10には、成形型8の成形面に、線状部材を載置し、樹脂フィルムで被覆してクッション材を製造する例を示した。ブロック状の形状調整部材と線状部材の双方を使用してもよく、その場合、線状部材は形状調整部材載置位置を回避して載置する。
【0053】
線状部材の使用により、図11に示したように、クッション材16に人体接触面から外側に空気が流通する溝が形成され、ムレが防止される。線状部材の太さは、座った時の感触と通気性能考慮して適宜設定される。線状部材は、長いものを蛇行させて使用してもよく、短いものを併設してもよい。線状部材は、クッション材の溝が外側に連通するように配設する。
【0054】
発泡成形工程を、人体接触面に低反発ポリウレタンフォーム層を、その他の部分を高反発ポリウレタンフォームにて構成した軟質ポリウレタンフォームクッション材16を製造する例について説明する。
【0055】
樹脂フィルムを被覆した成形型8の表面に低反発ポリウレタンフォームを形成する第1発泡原液組成物を、スプレーガンを使用してスプレー吹付する。第1発泡原液組成物は、発泡・硬化して低反発層を形成する。
【0056】
単に型に発泡原液組成物を注入すると型の凹部に多く、凸部には少なく付着するので発泡層に偏肉が生じるが、第1発泡原液組成物をスプレー吹付すると、比較的均一な低反発層が形成されるというメリットがある。
【0057】
低反発層を形成した後に高反発ポリウレタンフォームを形成する第2発泡原液組成物をスプレーにより塗布して高反発層を形成することにより、2層構造の軟質ポリウレタンフォームクッション材が得られる。
【0058】
発泡原液組成物を成形型8に吹き付けるためのスプレー装置としては、公知のポリウレタンフォーム用スプレー発泡装置が使用可能であり、例えばEDFシステム(松下工業製)等が例示される。
【0059】
得られた軟質ポリウレタンフォームクッション材は、公知のクロス、合成皮革、天然皮革等の表皮材にて被覆して使用に供される。また、別のクッション材、スプリング付きフレーム等と組み合わせて使用してもよい。
【0060】
上記においては、座部〜背部に適合した形状を有するクッション材の製造の例を示したが、これに限定されるものではなく、頭部、背中、腰部、大腿部等を保護するクッション材も同様に製造可能である。
【0061】
本発明に使用する軟質ポリウレタンフォームは、ポリオール組成物とポリイソシアネート化合物を混合して発泡原液組成物とし、これを発泡・硬化させることにより形成される。かかるポリオール組成物は、ポリオール化合物、触媒、発泡剤、架橋剤等から構成される。
【0062】
ポリイソシアネート化合物としては、軟質ポリウレタンフォームの分野において公知のポリイソシアネート化合物が限定なく使用可能である。かかるポリイソシアネート化合物は、「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(岩田敬治著、日刊工業新聞社)において周知である。
【0063】
使用するポリオール化合物は、軟質ポリウレタンフォームの分野において公知の化合物が限定なく使用可能であり、特にポリオキシプロピレンポリオールの使用が好適である。
【0064】
低反発ポリウレタンフォームを形成するポリオール化合物としては、平均官能基数2〜4、水酸基価30〜60mgKOH/gのポリオール(a)と、平均官能基数2〜4、水酸基価200〜270mgKOH/gのポリオール(b)とを含有していることが好ましい。
【0065】
ポリオール(a)と、ポリオール(b)とを含有させることにより、0℃以上の温度範囲にガラス転移点を有するポリウレタンフォームとなり、反発弾性率が20%以下の低反発ポリウレタンフォームとなる。低反発ポリウレタンフォームは、0℃以上の温度範囲と−20℃以下の温度範囲とのそれぞれにガラス転移点を有するものであることが安定して低反発層を形成可能であり、より好ましい。かかる低反発ポリウレタンフォームは、特開平11−286566号公報等において公知である。
【0066】
高反発ポリウレタンフォームを構成するポリオール化合物としては、一般的なポリオキシプロピレンポリオールと共にポリオール化合物中にポリマー粒子を微粒子状にて分散させたポリマーポリオールを使用する。
【0067】
高反発ポリウレタンフォームとしては、例えば特開平7−90045号公報、特開平8−231677号公報に記載のフォームが公知である。
【図面の簡単な説明】
【図1】採型手段に人体を接触させて母型を作製する採型工程を示した図
【図2】母型を示した図
【図3】母型に硬化性材料を被覆する型作製工程を示した図
【図4】成形型を示した斜視図
【図5】成形型を発泡型枠内に収容し、樹脂フィルムで被覆した状態を示した断面図
【図6】発泡型枠に発泡原液組成物を供給してクッション材を成形した状態を示した断面図
【図7】成形型に形状調整部材を載置して樹脂フィルムで被覆してクッション材を成形した状態を示した断面図
【図8】形状調整部材による凹部が形成されたクッション材にを示した斜視図
【図9】成形型の成形面全面ににシート状の形状調整部材を載置して樹脂フィルムで被覆してクッション材を成形した状態を示した断面図
【図10】成形型に線状部材を載置して樹脂フィルムで被覆してクッション材を成形した状態を示した断面図
【図11】人体接触面に通気のための溝が形成されたクッション材の例を示した図
【符号の説明】
1 採型手段
2 人体
3 母型
4 採型面
6 硬化性材料
8 成形型
14 樹脂フィルム
16 軟質ポリウレタンフォームクッション材
【発明の属する技術分野】
本発明は、人体の形状にフィットする形状を有する軟質ポリウレタンフォームクッション材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
軟質ポリウレタンフォームクッション材としては、ベルトコンベア上に発泡原液組成物を供給して発泡させ、連続した発泡体とし、これを裁断するスラブフォームと金型キャビティー内に発泡原液組成物を注入して発泡させ、所定の形状の発泡体とするモールドフォームが周知である。
【0003】
シートクッション材においては、身体障害者や起きて動くことのできない病人が使用するシートクッション材、姿勢矯正用のクッション材、レーシングカーの座席シート等に使用されるクッション材は、使用する人の体型にぴったり適合した形状であることが求められる。
【0004】
また長時間の使用においても痛み、疲労、褥瘡等が発生しないように局部的に高い圧力が人体に作用しないことが求められ、クッション材として体圧分散性能が高いことが要求される。
【0005】
かかる使用する人の体型にぴったりフィットする形状を有するクッション材の製造方法としては、上述のスラブフォームないしモールドフォームを人体の形状に合わせて裁断、切削する方法、人体の形状に応じた金型を作製してモールドフォームを作製する方法、並びにモールドフォームにさらにスラブフォームのシートを適宜の形状に裁断して貼合する方法がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、スラブフォームやモールドフォームを人体の形状に合わせて裁断、切削する方法では、微妙な寸法調整が難しく、製造に多大の時間を要し、実用的な方法とは言えない。
【0007】
人体の形状に応じた金型を作製してモールドフォームを作製する方法によれば、各人ごとに別個に金型を作製しなければならない。モールドフォーム用の金型は、一般的には木型を作製し、この木型を使用して砂型を作製し、この砂型に溶融アルミニウムを流し込んで製造される。しかも、人体の形状に応じた複雑な形状の金型キャビティー内に発泡原液組成物液を単に注入しただけでは、液が金型キャビティー内に完全に行き届かずに欠肉して不良品を生じる場合があり、かかる欠肉を防止するためには、発泡原液組成物を金型内にて発泡による加圧状態となるようにして発泡原液組成物液を隅々まで行きわたらせる必要がある。そのため、金型を内圧に耐える強度を有するものとすると同時に金型のシール部の精度を高くする必要があり、金型制作費が高く、高価なクッション材となってしまい、各個人に応じたクッション材の製造方法に適したものとは言えない。
【0008】
また一般的な形状のモールドフォームにスラブフォームのシートを貼合する方法によれば、金型制作費は少なくて済むが、各人に合わせてスラブフォームのシートを裁断、研削して貼合する必要があり、やはり製造に多大の時間を要し、実用的ではない。
【0009】
本発明者らは、簡便、安価な方法で人体の形状に適合する形状を有する軟質ポリウレタンフォームクッション材の製造方法として、採型手段を人体に当接させて母型を作製する採型工程、前記母型の採型面に硬化性材料を被覆して硬化させ、成形型を作製する型作製工程、及び前記成形型を使用して発泡原液組成物を発泡させて軟質ポリウレタンフォームクッション材を形成する発泡成形工程とを有することを特徴とする軟質ポリウレタンフォームクッション材の製造方法を提案した。
【0010】
上記の技術により、長時間の使用においても痛み、疲労、褥瘡等を発生させる局部的に高い圧力が人体に作用しない、体圧分散性能が優れた軟質ポリウレタンフォームクッション材が得られたが、さらに以下の点で改良することが望ましいことが判明した。
【0011】
1)硬化性材料として最も一般的で使いやすい石こうを使用した場合、軟質ポリウレタンフォームクッション材発泡成形時に、成形型の表面に塗布する離型剤は、一般的な金型用の離型剤を使用すると石こうにしみ込んで離型作用を発揮しない。パラフィンワックスを溶融塗布すると離型効果は得られるが、冷却により固化するものであり、かつ脆いものであるために剥落しやすく、また石こうと同じ白色であるために均一に塗布したかどうかを確認することが難しいため、塗り残しが発生する。このため、脱型後の軟質ポリウレタンフォームクッション材表面に成形型に付着したフォームがちぎれて生じる欠損部ができる場合がある。
【0012】
2)成形型は個々に人体に合わせて採型したものであるために曲板状であって裏面をカバーする部材まで形成することができない。そのため、容器状の発泡型枠内底部に成形型を載置してポリウレタンフォームの発泡原液組成物を供給し、軟質ポリウレタンフォームクッション材を製造すると、成形型の裏面側まで発泡原液組成物が回り込むので、これを防止するための封止作業に手間がかかるうえ、発泡原液組成物の成形型裏面への回り込みを完全に防止することが難しい。
【0013】
本発明の目的は、成形型にポリウレタンフォームの発泡原液組成物を供給し、軟質ポリウレタンフォームクッション材を製造するに際して均一な離型効果が得られる軟質ポリウレタンフォームクッション材の製造方法を提供することにある。また、本発明の目的は、容器状の発泡型枠内底部に成形型を載置してポリウレタンフォームの発泡原液組成物を供給したときに成形型の裏面側への発泡原液組成物の侵入を防止することが可能な軟質ポリウレタンフォームクッション材の製造方法を提供することにもある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、人体の外形に適合する形状を備えた軟質ポリウレタンフォームクッション材の製造方法であって、
採型手段を人体に当接させて母型を作製する採型工程、前記母型の採型面に硬化性材料を被覆して硬化させ、成形型を作製する型作製工程、前記成形型を樹脂フィルムで被覆する被覆工程、及び前記成形型を使用して発泡原液組成物を発泡させて軟質ポリウレタンフォームクッション材を形成する発泡成形工程とを有することを特徴とする。
【0015】
成形型を樹脂フィルムで被覆する被覆工程を設けることにより、成形型にポリウレタンフォームの発泡原液組成物を供給し、軟質ポリウレタンフォームクッション材を製造するに際して塗り残しがなく均一な離型効果が得られる。
【0016】
上述の軟質ポリウレタンフォームクッション材の製造方法においては、前記樹脂フィルムがポリオレフィンフィルムであり、前記被覆工程が発泡型枠底部に前記成形型を載置し、前記樹脂フィルムで前記成形型を覆い、成形型側を減圧して前記樹脂フィルムにて成形型を被覆する工程であることが好ましい。
【0017】
係る構成の製造方法により、発泡型枠内底部に成形型を載置し、軟質ポリウレタンフォームクッション材を形成する発泡原液組成物を供給しても成形型の裏面側への発泡原液組成物の侵入を防止することが可能となる。
【0018】
本発明においては、前記成形型の少なくとも一部に形状調整部材を載置することが好ましい。
【0019】
形状調整部材を載置した部位は、形状調整部材がブロック状であれば、発泡成形工程において得られる軟質ポリウレタンフォームクッション材に、部分的に凹部が形成され、この凹部に硬度や反発弾性の異なる軟質ポリウレタンフォームを充填することにより、クッション性を調整することができる。また形状調整部材が幅広い面ないし全面を覆う場合には、軟質ポリウレタンフォームクッション材が使用者の体型に対してやや大きく、余裕がある形状となり、使用者が子供である場合には成長に合わせた形状のクッション材を成形することができ、また寒冷時期に、厚着をした場合に対応できる形状のクッション材を成形することもできる。
【0020】
上述の発明においては、前記成形型の表面に少なくとも1本の線状部材を載置することが好ましい。
【0021】
係る構成により、着座時の人体とクッション材との接触部に、外部に連通する溝が形成され、通気性が改善されたクッション材が得られる。
【0022】
本発明の製造方法における前記発泡成形工程は、成形型に低反発ポリウレタンフォームを形成する第1発泡原液組成物を被覆して低反発層を形成する低反発層形成工程及び前記低反発層の外面に高反発ポリウレタンフォームを形成する第2発泡原液組成物を被覆して高反発層を形成する高反発層形成工程とを有することが好ましい。
【0023】
人体に接する側に低反発発泡層を設けることにより、長時間の使用においても痛み、疲労が発生しないように局部的に高い圧力が人体に作用しない、体圧分散性能が高い軟質ポリウレタンフォームクッション材を製造することができる。
【0024】
低反発層の厚みは、5〜30mmであることが好ましい。薄すぎると低反発層を設けた効果が小さく、厚すぎると高反発弾性層の効果が得られなくなり、安定性にかけるクッション材となる。低反発層の厚みは、10〜20mmであることがより好ましい。
【0025】
上記の低反発層と高反発層とを有するクッション材の場合、低反発層を構成する低反発ポリウレタンフォームは、反発弾性率が20%以下であることが好ましい。また高反発層を構成する高反発ポリウレタンフォームの反発弾性率は50%以上であることが好ましい。
【0026】
前記低反発発泡層形成工程は、前記第1発泡原液組成物をスプレー吹付法により被覆するものであることが好ましい。
【0027】
成形型の表面に均一な厚みの低反発層を、欠肉や空間部の発生なく形成することができる。
【0028】
高反発層形成工程における高反発フォームを形成する第2発泡原液組成物もスプレー吹付法により被覆することが好ましい。
【0029】
スプレー吹付法の採用により、簡易で強度が高くなく、高度のシール精度が不要な金型を使用しても欠肉のない軟質ポリウレタンフォームクッション材を製造することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1〜図7に本発明の軟質ポリウレタンフォームクッション材の製造方法を示した。
【0031】
図1、2は、採型工程と採型工程において得られた母型を示したものである。人体の腰から背中部まで採型可能な略椅子型の採型手段1に人2を着座させて人2の外形にフィットした形に該採型手段1を変形させ、そのままの形状に固定して人の外形にフィットした凹状の採型面4を有する母型3とする。この際に、各人毎に、より好ましい形状になるように、また姿勢矯正が目的である場合にはより矯正に適した形状となるように、専門家が調整をすることは好ましい態様である。
【0032】
採型手段1としては、公知のものが限定なく使用可能である。具体的には、ゴムシート等の弾性体にて形成された袋内に粒子を充填した採型手段が例示される。この採型手段は、人が着座すると内部の粒子が流動して人体形状に沿った状態となる。この状態で袋内部を減圧にすると粒子の流動が阻止され、その形状のまま固定され、母型3となる。
【0033】
図3、4には、母型3を使用して成形型を作製する型作製工程を示した。
図3には母型3の人体形状適合形状の採型面4に硬化性材料として石膏のスラリーを含浸した布テープ6を被覆する工程を示した。石膏が硬化した後に母型3を取り除くことにより図4に示した成形型8が形成される。
【0034】
図4に示した成形型8は、座部から背部に及ぶ部分をカバーした形状であり、凸状の外面が成形面8Gとなる。成形面8Gは母型3の採型面4が反転した形状であり、これを使用する人体とほぼ同じ形状になる。成形型8の側面部には湾曲部Vがある。
【0035】
成形型8を作製するための硬化性材料6としては、石こうに代えて他の公知の材料が使用可能である。具体的にはシリコン系樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等が例示される。これらは樹脂単独で使用してもよく、上記の石膏の場合のように織布、不織布等の繊維材料に含浸させたプリプレグとして使用してもよい。
【0036】
母型3に被覆する硬化性材料6の厚みは、上述の成形面8Gが人体とほぼ同じ形状になり、これを利用してクッション材を成形するので、成形型としての強度を有する限り薄い方が好ましい。一般的には1〜5mm程度である。
【0037】
成形型8の成形面8Gは、必要に応じて各種の仕上げを行う。例えば硬化性材料として石膏を使用した場合にはその表面には微細な凹凸、孔が形成される場合があるので、硬化性の樹脂、例えばシリコン系樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等をかかる凹凸、孔を埋め、表面が平滑になるように薄く被覆することが例示される。
【0038】
図5には、側枠10と底板11とからなる発泡皮枠の底部に成形型8を、成形面8Gを上にして載置した状態を示した。この状態では、成形型8の側面部には湾曲部Vが底板11表面から浮き上がり、ポリウレタンフォームの発泡原液組成物を供給するとこのV部から成形型8の裏面側に発泡原液組成物が侵入する。
【0039】
図5においては、成形型8の成形面8Gから底板11表面を樹脂フィルム14にて覆い、さらに底板11に設けた吸引孔12から空気を吸引し、樹脂フィルム14を成形型8の成形面8Gに密着させた状態を示した。成形型8を収容し、発泡原液組成物の注入を行う容器状の発泡型枠を構成する側枠10と底板11とは着脱自在に構成されており、樹脂フィルム14は、底板11上に成形面を上にして載置した成形型8と底板11の全体に被せ、樹脂フィルム14の周縁を押さえるようにして被覆される。
空気の吸引による減圧は、樹脂フィルム14が成形型8の成形面8Gに密着すればよく、高真空にする必要はない。減圧は、ブロアー等の一般的な吸排気装置を使用することにより簡便に行うことができる。
【0040】
樹脂フィルム14は、成形型8と底板11全面を覆うように被せ、側枠10を置いて成形型8と底板11の間の空間をシールして成形型8を含め、樹脂フィルム14と底板11にて閉鎖空間を形成する。
【0041】
このようにすることにより、V部から成形型8の裏面側への発泡原液組成物の侵入が防止される。
【0042】
図6に示したように、成形型8に対しての樹脂フィルム14の反対面と側枠10に囲まれて形成されたキャビティーに発泡原液組成物を供給して発泡、硬化させると採型した人体に対応した凹部を有する軟質ポリウレタンフォームクッション材が得られる。
【0043】
樹脂フィルム14は、空気の吸引により成形面8Gに密着する程度の可とう性ないし柔軟性を有するものは特に限定なく使用可能である。具体的には、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、エチレンやプロピレンと他の単量体を使用した共重合体フィルム等のポリオレフィンフィルム、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体フィルム(ETFE)等が例示されるが、離型性に優れていること、低価格で入手が容易であることから、ポリオレフィンフィルムの使用が好ましい。
【0044】
減圧により、成形型8の表面に密着した樹脂フィルム14にしわが生じた場合には、ポリオレフィンフィルムの片面に粘着剤層を設けた粘着テープを貼着してしわに発泡原液組成物が入り込まないようにすることが好ましい。
【0045】
図7は、成形型8の成形面8Gにブロック状の形状調整部材20を載置し、この形状調整部材20を含めて樹脂フィルムで被覆して吸引孔12から減圧し、上記と同様にして軟質ポリウレタンフォームクッション材16を製造する発泡成形工程を示したものである。
【0046】
図7の方法により製造されたクッション材16は、図8に斜視図にて示した。クッション材16には、形状調整部材20による凹部22が形成されている。この凹部22には、周囲のクッション材を構成する軟質ポリウレタンフォームと特性の異なる材料を充填する。係る構成により、例えば局部的に体圧がかかる部位である凹部22の充填材料として低反発弾性の軟質ポリウレタンフォームを使用した場合、その部分について重点的に体圧分散をすることが可能となる。
【0047】
体圧分散を効果的に行う方法としては、後述するように、人体接触側全面に低反発層を形成し、他の部分を高反発弾性フォームにて形成する方法が可能であるが、局部的な体圧分散を行う場合には、上記の方法が便利である。また上記の方法によれば、2種の発泡原液組成物を準備する必要がなく、コスト的にも安価なクッション材を得ることができる。
【0048】
本発明の製造方法によれば、形状調整部材20を成形型8に強固に接着しなくても、樹脂フィルムを被覆して下部を減圧することにより所定位置に保持され、発泡成形工程において形状調整部材20が動き、或いは剥落することがない。
【0049】
形状調整部材を構成する材料は特に限定されないが、軟質ポリウレタンフォームの余剰材料などが好適に使用できる。
【0050】
図9には、成形型8の成形面全面にシート状の形状調整部材24を載置した例を示したものである。
【0051】
身体障害者用のクッション材を製造するための成形型は、約5年に1度公費にて作製されるが、子供の場合には年々成長し、それに合わせてクッション材を大きくする必要がある。形状調整部材の使用は、係るケースにおいて高価な成形型を作製することなく、クッション材の大きさ調整をすることができる。
【0052】
図10には、成形型8の成形面に、線状部材を載置し、樹脂フィルムで被覆してクッション材を製造する例を示した。ブロック状の形状調整部材と線状部材の双方を使用してもよく、その場合、線状部材は形状調整部材載置位置を回避して載置する。
【0053】
線状部材の使用により、図11に示したように、クッション材16に人体接触面から外側に空気が流通する溝が形成され、ムレが防止される。線状部材の太さは、座った時の感触と通気性能考慮して適宜設定される。線状部材は、長いものを蛇行させて使用してもよく、短いものを併設してもよい。線状部材は、クッション材の溝が外側に連通するように配設する。
【0054】
発泡成形工程を、人体接触面に低反発ポリウレタンフォーム層を、その他の部分を高反発ポリウレタンフォームにて構成した軟質ポリウレタンフォームクッション材16を製造する例について説明する。
【0055】
樹脂フィルムを被覆した成形型8の表面に低反発ポリウレタンフォームを形成する第1発泡原液組成物を、スプレーガンを使用してスプレー吹付する。第1発泡原液組成物は、発泡・硬化して低反発層を形成する。
【0056】
単に型に発泡原液組成物を注入すると型の凹部に多く、凸部には少なく付着するので発泡層に偏肉が生じるが、第1発泡原液組成物をスプレー吹付すると、比較的均一な低反発層が形成されるというメリットがある。
【0057】
低反発層を形成した後に高反発ポリウレタンフォームを形成する第2発泡原液組成物をスプレーにより塗布して高反発層を形成することにより、2層構造の軟質ポリウレタンフォームクッション材が得られる。
【0058】
発泡原液組成物を成形型8に吹き付けるためのスプレー装置としては、公知のポリウレタンフォーム用スプレー発泡装置が使用可能であり、例えばEDFシステム(松下工業製)等が例示される。
【0059】
得られた軟質ポリウレタンフォームクッション材は、公知のクロス、合成皮革、天然皮革等の表皮材にて被覆して使用に供される。また、別のクッション材、スプリング付きフレーム等と組み合わせて使用してもよい。
【0060】
上記においては、座部〜背部に適合した形状を有するクッション材の製造の例を示したが、これに限定されるものではなく、頭部、背中、腰部、大腿部等を保護するクッション材も同様に製造可能である。
【0061】
本発明に使用する軟質ポリウレタンフォームは、ポリオール組成物とポリイソシアネート化合物を混合して発泡原液組成物とし、これを発泡・硬化させることにより形成される。かかるポリオール組成物は、ポリオール化合物、触媒、発泡剤、架橋剤等から構成される。
【0062】
ポリイソシアネート化合物としては、軟質ポリウレタンフォームの分野において公知のポリイソシアネート化合物が限定なく使用可能である。かかるポリイソシアネート化合物は、「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(岩田敬治著、日刊工業新聞社)において周知である。
【0063】
使用するポリオール化合物は、軟質ポリウレタンフォームの分野において公知の化合物が限定なく使用可能であり、特にポリオキシプロピレンポリオールの使用が好適である。
【0064】
低反発ポリウレタンフォームを形成するポリオール化合物としては、平均官能基数2〜4、水酸基価30〜60mgKOH/gのポリオール(a)と、平均官能基数2〜4、水酸基価200〜270mgKOH/gのポリオール(b)とを含有していることが好ましい。
【0065】
ポリオール(a)と、ポリオール(b)とを含有させることにより、0℃以上の温度範囲にガラス転移点を有するポリウレタンフォームとなり、反発弾性率が20%以下の低反発ポリウレタンフォームとなる。低反発ポリウレタンフォームは、0℃以上の温度範囲と−20℃以下の温度範囲とのそれぞれにガラス転移点を有するものであることが安定して低反発層を形成可能であり、より好ましい。かかる低反発ポリウレタンフォームは、特開平11−286566号公報等において公知である。
【0066】
高反発ポリウレタンフォームを構成するポリオール化合物としては、一般的なポリオキシプロピレンポリオールと共にポリオール化合物中にポリマー粒子を微粒子状にて分散させたポリマーポリオールを使用する。
【0067】
高反発ポリウレタンフォームとしては、例えば特開平7−90045号公報、特開平8−231677号公報に記載のフォームが公知である。
【図面の簡単な説明】
【図1】採型手段に人体を接触させて母型を作製する採型工程を示した図
【図2】母型を示した図
【図3】母型に硬化性材料を被覆する型作製工程を示した図
【図4】成形型を示した斜視図
【図5】成形型を発泡型枠内に収容し、樹脂フィルムで被覆した状態を示した断面図
【図6】発泡型枠に発泡原液組成物を供給してクッション材を成形した状態を示した断面図
【図7】成形型に形状調整部材を載置して樹脂フィルムで被覆してクッション材を成形した状態を示した断面図
【図8】形状調整部材による凹部が形成されたクッション材にを示した斜視図
【図9】成形型の成形面全面ににシート状の形状調整部材を載置して樹脂フィルムで被覆してクッション材を成形した状態を示した断面図
【図10】成形型に線状部材を載置して樹脂フィルムで被覆してクッション材を成形した状態を示した断面図
【図11】人体接触面に通気のための溝が形成されたクッション材の例を示した図
【符号の説明】
1 採型手段
2 人体
3 母型
4 採型面
6 硬化性材料
8 成形型
14 樹脂フィルム
16 軟質ポリウレタンフォームクッション材
Claims (4)
- 人体の外形に適合する形状を備えた軟質ポリウレタンフォームクッション材の製造方法であって、
採型手段を人体に当接させて母型を作製する採型工程、前記母型の採型面に硬化性材料を被覆して硬化させ、成形型を作製する型作製工程、前記成形型を樹脂フィルムで被覆する被覆工程、及び前記成形型を使用して発泡原液組成物を発泡させて軟質ポリウレタンフォームクッション材を形成する発泡成形工程とを有する軟質ポリウレタンフォームクッション材の製造方法。 - 前記樹脂フィルムがポリオレフィンフィルムであり、前記被覆工程が発泡型枠底部に前記成形型を載置し、前記樹脂フィルムで前記成形型を覆い、成形型側を減圧して前記樹脂フィルムにて成形型を被覆する工程である請求項1に記載の軟質ポリウレタンフォームクッション材の製造方法。
- 前記成形型の少なくとも一部に形状調整部材を載置する請求項1又は2に記載の軟質ポリウレタンフォームクッション材の製造方法。
- 前記成形型の表面に少なくとも1本の線状部材を載置する請求項1〜3のいずれかに記載の軟質ポリウレタンフォームクッション材の製造方法。
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Cited By (3)
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KR100808236B1 (ko) * | 2006-02-27 | 2008-02-29 | 정영섭 | 야외용 의자의 시트 |
JP2010064436A (ja) * | 2008-09-12 | 2010-03-25 | Bridgestone Corp | ポリウレタンフォーム成形品及びその製造方法 |
JP2020093500A (ja) * | 2018-12-14 | 2020-06-18 | 名古屋油化株式会社 | 保護カバー及び発泡樹脂用の成形型 |
-
2002
- 2002-10-23 JP JP2002308430A patent/JP2004142200A/ja not_active Withdrawn
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