JP2004141905A - 金属射出成形機の逆流防止装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】逆流防止リングが比較的肉薄で、当接衝撃力、当接面圧等が高くても逆流の問題のない金属射出成形機の逆流防止装置を提供する。
【解決手段】逆流防止リング(10)の後端には、後方へスクリュの軸心方向に突き出たシート部(30)を形成する。このシート部(30)は、内周面から半径外方へ段差状に、また外周面から半径内方へ段差状に薄肉化されている。そして、シート部(30)の後端部を逆流防止リング(20)のシート座(31)とする。逆流防止リング(20)のシート座(31)とオシガネ(10)のシート面(11)を、スクリュ(2)の軸心に対して実質的に直角にする。また、必要に応じて逆流防止リング(20)のシート座(31)の表面を焼入れ、窒化等の硬度化処理をする。
【選択図】 図1
【解決手段】逆流防止リング(10)の後端には、後方へスクリュの軸心方向に突き出たシート部(30)を形成する。このシート部(30)は、内周面から半径外方へ段差状に、また外周面から半径内方へ段差状に薄肉化されている。そして、シート部(30)の後端部を逆流防止リング(20)のシート座(31)とする。逆流防止リング(20)のシート座(31)とオシガネ(10)のシート面(11)を、スクリュ(2)の軸心に対して実質的に直角にする。また、必要に応じて逆流防止リング(20)のシート座(31)の表面を焼入れ、窒化等の硬度化処理をする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、その先端部に射出ノズルを有する加熱シリンダと、該加熱シリンダ内に設けられているスクリュと、前記スクリュの先端部に取り付けられているスクリュヘッドに遊嵌されている逆流防止リングと、前記逆流防止リングの後端部と前記スクリュの先端部との間に設けられているオシガネとからなり、前記逆流防止リングが後方向に摺動的に移動して、その後部のシート座が前記オシガネの前部のシート面に当接することにより、溶湯が前記逆流防止リングの内部の溶湯路を通って前記スクリュの方へ逆流することが阻止されるようになっている、金属射出成形機の逆流防止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属材料の成形に使用されるインラインスクリュ式射出成形機は、加熱シリンダと、このシリンダ内で回転および軸方向に駆動されるスクリュとから構成されている。このような加熱シリンダと、スクリュとからなる射出成形機の一般的な逆流防止装置は、図2の(イ)に示されているように構成されている。すなわち、スクリュ102の先端部に取り付けられている逆流防止リング103、射出時に逆流防止リング103の後端部が当接するオシガネ104等から構成されている。逆流防止リング103は、オシガネ104に対して軸方向に移動可能で、オシガネ104側には射出・保圧時にオシガネ104のシート面112に当接するシート座113が形成されている。なお、参照数字117は、半径方向に延びた複数個のスットッパを示している。
【0003】
したがって、計量工程において、スクリュ102を回転駆動すると、図2の(イ)において右方に取り付けられている図示されない材料ホッパから加熱シリンダ101内に供給される金属材料チップは、スクリュ102の螺旋状の溝108に沿って図2の(イ)の左方の前方に送られながら、加熱シリンダ101の外周面に取り付けられているヒータH、H、…により加熱されて、溶融または半溶融状態の溶湯になる。そして、逆流防止リング103の後端のシート座113とオシガネ104の前部のシート面112との隙間および逆流防止リング103の内周面とスクリュヘッド105の軸部116の外周面との隙間を通って加熱シリンダ101の前室114に貯留される。その間、スクリュヘッド105は前室114に貯留される溶湯の圧力に押されてオシガネ104およびスクリュ102と共に図2の(イ)において右側の後方へ後退させられる。なお、溶湯の粘度は一般に低く前室114内の溶湯の圧力は低いので、スクリュ102を後退させるために機械的な補助力すなわちサックバックが付与されることもある。スクリュ102が後退するとき、逆流防止リング103の先端部は、ストッパ117に当接し、スクリュヘッド105に引かれて後退する。これにより、前述したように逆流防止リング103のシート座113は、オシガネ104のシート面112から充分に離間し、所定の隙間が生じる。前室114に所定量の溶湯が貯留された時点で、スクリュ102の回転が停止し、計量工程を終わる。
【0004】
次の射出工程において、スクリュ102を前進方向に駆動すると、前室114に貯留されている溶湯は前方に押されてノズル106を通って図示されない金型のキャビティに注入される。次いで、保圧し冷却固化を待って金型を開いて金属成形品を得る。上記の射出工程において溶湯を注入するとき、逆流防止リング103のシート座113がオシガネ104のシート面112に当接して、溶湯がスクリュ102の方へ逆流することが阻止される。
【0005】
上記のようにして従来の逆流防止装置を備えた金属射出成形機によっても金属成形品を得ることはできるが、次の2カ所の部位で溶湯がスクリュの方へ逆流する欠点あるいは逆流が想定される。すなわち、加熱シリンダ101の内周面と逆流防止リング103の外周面との間の隙間および逆流防止リング103の後端のシート座113とオシガネ104の先端のシート面112との間の隙間である。
【0006】
また、次のような欠点もある。すなわち、オシガネ104のシート面112と、逆流防止リング103のシート座113は、図2の(イ)に示されているように、互いに平行な円錐面となっているので、幅広い面にわたって密着することになる。その結果、これらの幅広の面に挟まれた異物、固形物等はこの幅広の面から脱出することができず、これらの面が損傷を受けシール性が低下する。このように異物、固形物等が脱出できないと、これらの面は異物、固形物等により強い圧縮反力を繰り返し受け、その結果図2の(ロ)に示されているように、あばた状の多数の窪み114、114、…が生じ、シール性は一層低下する。このような現象は、シート面とシート座がスクリュ軸に対して略垂直になっている場合にも発生する。
【0007】
【特許文献1】特開2000−190364
【特許文献2】特開2002−263819
【0008】
前者の隙間は、一般に、加熱シリンダ101の内周面と逆流防止リング103の外周面との間の隙間を、逆流防止リング103が軸方向に摺動可能な最小寸法に抑え、かつ隙間の軸方向の長さを長くして逆流抵抗を増し、それによって溶湯の逆流量を減少させるようになっている。また、後者の隙間、すなわちシート座113とシート面112との間の隙間からの漏れは、前記隙間を計量工程時における溶湯の流動を妨げない最小寸法に抑えて、シート座113がシート面112に当接するまでの所要時間を短くすることにより、溶湯の逆流量を減少させている。しかしながら、隙間を最小寸法に抑え、かつ逆流抵抗を大きくしても逆流の阻止には限界があり、しかもシート座あるいはシート面の、固形物による損傷の問題は解決されていない。
【0009】
上記のような逆流の問題、シート座あるいはシート面の損傷の問題等を略完全に解決した逆流防止装置を本出願人は特許文献1により提案している。この逆流防止装置は、図3に示されているように構成されている。図2に示されている従来の逆流防止装置の構成要素と同じ要素には同じ参照数字を付けて、また同じような構成要素には同じ参照数字にダッシュ「’」を付けて重複説明はしないが、本出願人が提案している逆流防止リング103’の外周部には、軸方向に所定の間隔をおいて、2個の第1、2の所定深さのピストンリング溝が形成されている。そして、これらのピストンリング溝には、所定の弾性復元力の第1、2のピストンリング121、122がそれぞれ装着されている。第1のピストンリング121が装着されている第1のピストンリング溝の底部には、溶湯路119に開口した複数個の透孔120が明けられている。また、オシガネ104のシート面112と逆流防止リング103のシート座113のいずれか一方または両方は相対的な凸状曲面に形成されている。
【0010】
特許文献2に記載されている射出プランジャは、回転しないタイプのもで、厳密には本願発明の先行技術をなすものではないが、リングバルブとシートリングとからなる射出プランジャが示されている。このリングバルブの後端部には、その内周面の方が後方へ延在する形で、後方へ突き出た開閉面が形成されている。したがって、逆流防止時にはリングバルブの開閉面がシートリングに軸方向に対して直角な面で当接することになる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本出願人が提案している上記逆流防止装置によると、逆流しようとする溶湯の圧力が高くなると、溶湯路119から透孔120、120…を通って第1のピストンリング溝に達した溶湯は、第1のピストンリング121の内周面に作用し、これを半径外方に押し広げる。その結果、第1のピストンリング121の外周面は、加熱シリンダ101の内周面に強く密接あるいは密着する。これにより加熱シリンダ101の内周面と逆流防止リング103’の内周面との間からのスクリュ102への逆流が阻止されるという、優れた効果が得られる。また、逆流防止リング103’のシート座と、オシガネ104’のシート面は、共に相手面に対して凸曲面に形成され、それによってシート座とシート面が当接するときに細いリング状のシール線を形成するようになっているので、従来の平行な円錐面の幅広い面が密着してシールするものに比較して、異物、固形物等が例え含まれていてもシート座あるいはシート面が損傷を受け、あるいはあばた状の窪みが生じ、シール性が低下するようなことはない。また、シート座とシート面の円錐角度に微妙な相違があっても、当接面に線状の当接傷が発生するようなこともない、という効果が得られる。しかしながら、近年になって複雑な形状の成形品を精度良く、より短時間に成形する要求が強まっているが、これらの要求に必ずしも応えることができないきらいがある。図2の(イ)に示されている一般的な従来の逆流防止装置は、当然ながらこれらの要求に応えることはできない。
【0012】
以下、その理由を図2の(イ)、(ハ)によって説明する。射出速度が速くなると、オシガネ104の前部のシート面112と逆流防止リング103の後部のシート座113との当接衝撃力が強くなる。また、成形品の精度を上げるために射出後の保圧力が高くされ、その結果シート面112とシート座113の当接圧力も高くなる。さらには、成形速度を上げるためには、スクリュヘッド105の軸部116の外周面と逆流防止リング103の内周面との間の間隔を大きくして、溶湯の流動抵抗を減少させる必要があるが、間隔を大きくするために逆流防止リング103の肉厚を薄くする傾向にある。このように逆流防止リング103は肉薄になり、そして上記のような当接衝撃力、当接圧力等が、図2の(ハ)に示されているように、軸心よりも外側を向いた斜め方向の押付力Fとして作用すると、逆流防止リング103の後端部は、点線130で示されているように変形する。後端部が変形し、そして加熱シリンダ101の内周面に強く押し付けられると、かじり、焼付き等により逆流防止リング103の軸方向の円滑な摺動が阻害されるようになる。また、逆流防止リング103の後端にクラックや割れが生じ、この部分から溶湯が逆流するようにもなる。このような問題は、程度は小さいが図3に示されている逆流防止装置についても言える。
【0013】
また、熱収縮による成形品の精度低下を防ぐために、溶湯の温度を低くして射出することが試みられているが、温度が低くなると溶湯中に微細な固形物が混在し、その固形物がシート面とシート座の間に挟まれ、これらの面が損傷するという問題もある。もっとも、シート座あるいはシート面の損傷の問題は、図3に示されている逆流防止装置では、これらの面は凸状曲面に形成されているので、解決されてはいるが、凸状曲面に形成する加工費が比較的高価になる問題はある。
【0014】
特許文献2のシートリングに当接するリングバルブの後端部は、開閉「面」になっているので、射出時には面接触して逆流を防止し、本願明細書の段落0006で述べたような異物、固形物等による損傷の問題が残る。また、リングバルブとシートリングとが軸方向に対して直角な面で当接し、それが繰り返されると、当接面がへたり、内側に膨らんで内径が縮小し、元来小さく設定されているリングバルブとプランジャとの隙間すなわち流入隙間を無くする危険性もある。このリングバルブを、本願の願書に添付されている図2に示されている金属射出成形機に適用した場合、逆流防止リングとスクリュヘッドとの隙間は広いので、溶湯の流路を塞ぐことはないが、高速で流れる溶湯の流路に突起物ができることになるので、溶湯の流れを妨げる恐れがある。また、突起物が流れに削り取られて溶湯と一緒に金型に注入され異物として成形品に混入する不具合も予想される。
【0015】
本発明は、上記したような従来の逆流防止装置の問題点に鑑みてなされたものであって、複雑な形状の成形品を精度良く、しかも短時間に成形できるにも拘わらず逆流の問題のない金属射出成形機の逆流防止装置を提供することを目的とし、具体的には逆流防止リングが比較的肉薄で、当接衝撃力、当接面圧等が高くても逆流の問題のない金属射出成形機の逆流防止装置を提供することを目的としている。また、シート面およびシート座の構造が簡単で、比較的安価に提供できる金属射出成形機の逆流防止装置を提供することを目的としている。また、他の発明は、上記のような目的に加えて、溶湯の射出圧力の変化にも拘らず、逆流が阻止される金属射出成形機の逆流防止装置を提供することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明に係わる逆流防止装置は、オシガネと逆流防止リングとから構成されるが、上記発明の目的を達成するために、逆流防止リングの後端部は、オシガネの前端部と逆流防止リングの後端部とが当接するときの当接衝撃力あるいは射出後に保圧するときの当接圧力が軸心よりも外側を向いた斜め方向の押付力として作用しないような構造に構成される。このような構造は、逆流防止リングのシート部が後部からスクリュの軸方向に伸びた構造である。そして、シート部の後端部がスクリュの軸心に直角なシート座に選定されている。
【0017】
本発明によると、シート座はオシガネの前部のシート面にリング状に着座する部分であり、その幅は所定の当接衝撃力が作用してもオシガネのシート面が座屈しない幅に選定される。逆流防止リングのシート座は、射出する毎にオシガネのシート面に着座するので、摩耗する。そこで本発明によるシート座の硬度は、焼き入れ、窒化等の処理により、シート面の硬度よりも高くなされる。また、オシガネの前部にはシールリングが装着される。このシールリングはオシガネの硬度よりも低い。また、本発明によると、逆流防止リングの外周部には、間隔をおいてピストンリングが配置される。そして、1つのピストンリングの内周面側には溶湯路中の溶湯の圧力が作用するように構成される。
【0018】
このようにして、請求項1に記載の発明は、その先端部に射出ノズルを有する加熱シリンダと、該加熱シリンダ内に設けられているスクリュと、前記スクリュの先端部に取り付けられているスクリュヘッドに遊嵌されている逆流防止リングと、前記逆流防止リングの後端部と前記スクリュの先端部との間に設けられているオシガネとからなり、前記逆流防止リングが後方に摺動的に移動して、その後部のシート座が前記オシガネの前部のシート面に当接することにより、溶湯が前記逆流防止リングの内部の溶湯路を通って前記スクリュの方へ逆流することが阻止されるようになっている金属射出成形機の逆流防止装置であって、前記逆流防止リングの後端には、その内周面から半径外方へ段差状に、また外周面から半径内方へ段差状に薄肉化されてスクリュの軸心方向に突き出たシート部が形成され、該シート部の後端部が前記逆流防止リングのシート座になっていると共に、前記逆流防止リングのシート座と前記オシガネのシート面は、スクリュの軸心に対して実質的に直角になっている。請求項2に記載の発明は、逆流防止リングのシート座の表面部が硬度化処理され、請求項3に記載の発明は、逆流防止リングのシート座が当接するオシガネの前部に、シールリングが交換可能に装着され、そして請求項4に記載の発明は、逆流防止リングの外周部に軸方向に所定の間隔をおいて複数個のピストンリング溝が形成され、これらのピストンリング溝の内、射出ノズルに近い方のピストンリング溝は、複数個の透孔によりスクリュヘッドの外周部と前記逆流防止リングの内周部とで構成される溶湯路に連通するように構成される。
【0019】
【実施の形態】
以下、図1により本発明の実施の形態を説明する。図1の(イ)は逆流防止装置が作用している状態を示す断面図で、その(ロ)は要部の拡大図であるが、これらの図に示されているように、本実施の形態に係わる金属射出成形機は、加熱シリンダ1と、この加熱シリンダ1の内部に回転方向と軸方向とに駆動可能に設けられているスクリュ2とから構成されている。そして、逆流防止装置は、概略的にはスクリュ2の先端部に螺合されているスクリュヘッド5、スクリュ2の先端部とスクリュヘッド5との間に挟設されているオシガネ10、スクリュヘッド5の軸部6に軸方向に移動自在に遊嵌されている逆流防止リング20等から構成されている。
【0020】
加熱シリンダ1の先端には、図示されない金型と当接するために内径と外径が共に縮小された射出ノズル4が設けられ、また加熱シリンダ1と射出ノズル4の外周部には個々に発熱温度が制御される複数個の加熱用のヒータH、H、…が装着されている。
【0021】
スクリュヘッド5は、所定長さで、所定径の軸部6を有し、この軸部6の右端すなわち後端部は、縮径された第2の軸部7となり、その後端部のネジがスクリュ2の先端部に螺合されている。軸部6の先端部は、射出ノズル4の方へ延び、その先端部に半径方向に延びた複数個のスットッパ8、8、…が円周方向に所定の間隔をおいて形成されている。これらのスットッパ8、8、…の間が軸方向の溝になっている。したがって、逆流防止リング20の先端部がスクリュヘッド5のスットッパ8、8、、…に当接しても溶湯はこれらの溝を通って前方へ円滑に流れることができる。
【0022】
オシガネ10は、短い筒状を呈している。このオシガネ10の外径は、シリンダ1の内径より小さい。したがって、加熱シリンダ1の内周面と、オシガネ10の外周面との間には、組み立てたとき環状の隙間が生じ、スクリュ2で押し出される溶湯はこの隙間を通ってシリンダ1の前方に蓄積されることになる。また、オシガネ10の内径は、スクリュヘッド5の第2軸部7より僅かに大きく、スクリュヘッド5の第2軸部7が通されるようになっている。このオシガネ10の前方端部すなわち詳しくは後述する逆流防止リング20のシート座がシール時に当接するシート面11は、スクリュ2の軸に実質的に直角に形成されている。
【0023】
逆流防止リング20も筒状体から構成されている。逆流防止リング20の外径は、加熱シリンダ1の内径より小さいが、加熱シリンダ1の内周面と円滑な摺動が可能な最小限の隙間を有する寸法に選定されている。具体的には、前記隙間は加熱シリンダ1の直径の1/1000〜2/1000が好ましいが、図1に示されている実施の形態では、後述するピストンリングが設けられているので、3/1000〜5/1000とすることもできる。また、逆流防止リング20の内径は、スクリュヘッド5の軸部6の直径よりかなり大きく、軸方向の垂直な断面において、逆流防止リング20の内周面とスクリュヘッド5の軸部6と外周面との間に溶湯の円滑な通過を許容するに充分な溶湯路22を有する大きさに選定されている。逆流防止リング20は、上記のように構成されているので、加熱シリンダ1内でオシガネ10とスクリュヘッド5のストッパ8、8、…との間で軸方向に移動自在で、スクリュ2が前進すると、オシガネ10のシート面11が逆流防止リング20の後端部のシート座31に当接し、スクリュ2が回転しながら後退すると、スクリュヘッド5のストッパ8、8、…が逆流防止リング20の先端部に摺接する。なお、逆流防止リング20の軸方向の移動可能な距離、換言すると、逆流防止リング20のシート座31とオシガネ10のシート面11との、計量時の間隔は溶湯の流動を妨げない最小の寸法に抑えられている。
【0024】
また、逆流防止リング20の外周部には、軸方向に所定の間隔をおいて、本実施の形態では2個の第1、2の所定深さのピストンリング溝23、24が形成されている。そして、これらのピストンリング溝23、24の内、射出ノズル4側に位置する第1のピストンリング溝23の底部には、溶湯路22に開口した複数個の透孔25、25、…が明けられている。したがって、第1のピストンリング溝23には、溶湯が流入することができる。このように形成されている第1、2のピストンリング溝23、24には、所定の弾性復元力の第1、2のピストンリング26、27が装着されている。
【0025】
上記のように構成されている逆流防止リング20の後端部には、スクリュ2の軸方向に後方へ突き出たシート部30が形成されている。このシート部30は、逆流防止リング20の内周面および外周面から段差状に薄肉化されて後方へ突き出ている。そして、このシート部30の後端部は、応力の集中を避けるためにコーナが面取りされ、図1の(ロ)に拡大して示されているように、所定幅Aのシート座31となっている。このシート座31は、オシガネ10のシート面11と同様にスクリュ2の軸心と実質的に直角になっている。なお、シート座31は、リング状を呈しているが、その幅Aは、成形条件にもよるがシート座31の平均直径の1/100〜5/100程度が好ましい。
【0026】
次に、上記逆流防止装置を備えた金属射出成形機による成形例について説明する。加熱シリンダ1の後方に取り付けられている、図示されない金属材料ホッパに、粒状、薄片、破砕小片等のマグネシウム、アルミニウム、亜鉛、錫等の純金属あるいはこれらの合金からなる金属材料を入れる。また、加熱シリンダ1、射出ノズル4等を加熱ヒータH、H、…で所定温度に加熱する。
【0027】
そして、スクリュ2を例えば油圧モータで回転駆動する。そうすると、金属材料ホッパから供給される金属材料は、スクリュ2により撹拌されながら螺旋状のスクリュ溝の中を加熱シリンダ1の前方へ送られる。送られる過程で、ヒータH、H、…から加えられる熱と、スクリュ2の回転駆動による摩擦力、剪断力等により生じる熱とにより溶融される。逆流防止リング20は、溶融された溶湯により前方に押され、逆流防止リング20のシート座31は、オシガネ10のシート面11から離間する。溶湯は加熱シリンダ1の内周面と、オシガネ10の外周面との間の環状の隙間、スクリュヘッド5の軸部6の外周面と逆流防止リング20の内周面との間のリング状の溶湯路22を通って加熱シリンダ1の前方へ搬送され、前室3に蓄積される。
【0028】
このとき、スクリュ2は、加熱シリンダ1の前端部の前室3へ搬送される溶湯の圧力により後退する。あるいは、図示しないスクリュ駆動用の油圧シリンダのロッド側に低圧の作動油を供給してスクリュ2の後退する力を補助する。図示しない位置センサがスクリュ2が所定量後退したことを検知すると、スクリュ2の回転を停止して計量を終わる。
【0029】
所定量計量したら、スクリュ駆動用の油圧シリンダのヘッド側に高圧の作動油を供給する。そうすると、スクリュ2は前方へ駆動され、加熱シリンダ1の前室3に蓄積された溶湯は、射出ノズル4を通って図示しない金型のキャビティに射出される。
【0030】
この射出工程におけるスクリュ2の前進速度は、低速から高速そして低速と制御され、加熱シリンダ1の先端部の溶湯の圧力は、成形品によっては速度と圧力との関係は連動しないこともあるが、低圧から高圧そして低圧と変化する。このため、加熱シリンダ1の前室3に蓄積された溶湯の一部は、スクリュ2の方へ逆流しようとするが、前述した逆流防止装置により逆流が阻止される。すなわち、加熱シリンダ1の内周面と逆流防止リング20の外周面との間の隙間を通過した溶湯は、その圧力が低い間は、射出ノズル5から遠い位置にあって、射出圧力が作用し難い第2のピストンリング27により逆流が阻止される。そして、圧力が高くなると、溶湯路22から透孔25、25、…を通って第1のピストンリング溝に達した溶湯は、第1のピストンリング26の内周面に作用し、これを半径外方に押し広げる。その結果、第1のピストンリング26の外周面は、加熱シリンダ1の内周面に強く密接あるいは密着する。これにより加熱シリンダ1の内周面と逆流防止リング20の内周面との間からのスクリュ2への逆流が阻止される。また、スクリュヘッド5の軸部6と逆流防止リング20の内周面との間の溶湯路22中の溶湯は、逆流防止リング20のシート座31がオシガネ10のシート面11に当接し逆流が阻止される。
【0031】
所定の圧力で保圧し、冷却固化を待って、金型を開き金属成形品を取り出す。以下同様にして成形する。
【0032】
上記のようにして成形するとき、成形時間を短くすることにより逆流防止リング20のシート座31とオシガネ10のシート面11との間に大きな当接衝撃力が発生しても、また成形品の精度を上げるために保圧時の当接面圧が高くても、本実施の形態によると、逆流防止リング20のシート部30は、スクリュ2の軸心方向に伸びているので、そしてシート座31はスクリュ2の軸心と実質的に直角になっているので、シート部30あるいはシート座31に作用する力は、図2の(ロ)においてF’で示されているように軸方向であり、加熱シリンダ1の内周面側に変形させようとする分力はない。したがって、シート座31が加熱シリンダ1の内周面に押し付けられるようなことはない。
【0033】
本発明は、上記実施の形態に限定されることなく色々な形で実施できる。例えば、図には示されていないが、逆流防止リング20のシート座31の硬度をオシガネ10のシート面11のそれよりも大きくするために、シート座31の表面を焼入れ処理、窒化処理等を施すこともできる。また、図1の(ハ)に示されているように、シート座31に耐摩耗性合金で肉盛りすることも、あるいはシート部31の先端部にセラミック材33を取り付けて、セラミック材をシート座とすることもできる。さらには、図1の(ニ)に示されているように、オシガネ10の前部にシールリング34を交換可能に取り付けることもできる。このシールリング34は、オシガネ10の材質よりも硬度が低い材料から形成され、そして本実施の形態ではスクリュヘッド5をスクリュ2の先端部にねじ込むことにより取り付けられている。このように硬度が低いので、シール効果は高くなっているが、摩耗あるいは損傷は受けやすい。しかしながら、このような損傷を受けたようなときは容易に交換することができる。
【0034】
【発明の効果】
以上、詳述したように、請求項1に記載の発明によると、逆流防止リングの後端の内面側には、その内周面から半径外方へ段差状に、また外周面から半径内方へ段差状に薄肉化されてスクリュの軸心方向に突き出たシート部が形成され、該シート部の後端部が前記逆流防止リングのシート座になっていると共に、前記逆流防止リングのシート座と前記オシガネのシート面は、スクリュの軸心に対して実質的に直角になっているので、成形時間を短くすることにより逆流防止リングのシート座とオシガネのシート面との間に大きな当接衝撃力が発生しても、また成形品の精度を上げるために保圧時の当接面圧が高くても、前記したような力はスクリュの軸方向であり、逆流防止リングのシート座を加熱シリンダの内周面側に変形させようとする分力は実質上存在しない。したがって、高速、精密成形しても、さらには逆流防止リングが薄肉でも逆流防止装置のシート座が加熱シリンダの内周面に押しつけられ、かじり、焼付け等の現象を引き起こし、逆流防止リングの円滑な摺動が阻害されるようなことはない、また逆流防止リングのクラック、割れ等による溶湯の逆流もない、さらには逆流防止リングの内周面から半径外方へ段差状に、また外周面から半径内方へ段差状に薄肉化されてシート部が形成されているのでシート部あるいはその後端部のシート座がへたるようなことはない等の本発明に特有の効果が得られる。請求項2に記載の発明によると、逆流防止リングのシート座の表面部が硬度化処理されているので、耐久性が増し、請求項3に記載の発明によると、逆流防止リングのシート座が当接するオシガネの前部に、シールリングが交換可能に装着されるので、比較的構造が簡単で安価なシートリングの方を交換することができる。
請求項4に記載の発明によると、上記したような効果に加えて、逆流防止リングの外周部には軸方向に所定の間隔をおいて複数個のピストンリング溝が形成され、これらのピストンリング溝にピストンリングが装着され、これらのピストンリング溝の内、射出ノズルに近い方のピストンリング溝のみに内側からピストンリング溝に達する透孔が形成されているので、加熱シリンダの内周面と逆流防止リングの外周面との間の隙間を通過した小量の溶湯は、その圧力が低い間は、射出ノズルから近い方のピストンリングの内周面には作用せず、弾性復元力により加熱シリンダの内周面に密接している遠い方のピストンリングにより逆流が阻止され、圧力が高くなると、透孔を通ってピストンリング溝に達した溶湯により半径外方に押し広げられ、加熱シリンダの内周面に密着するピストンリングにより逆流が阻止され、射出圧力の変化に拘らず、逆流が阻止されるという、効果がさらに得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す図で、その(イ)は逆流阻止状態で加熱シリンダの先端部分を断面にして示す正面図、その(ロ)はその要部の拡大断面図、その(ハ)は他の実施の形態の要部の拡大断面図、その(ニ)はさらに他の実施の形態の要部の拡大断面図である。
【図2】従来の逆流防止装置を示す図で、その(イ)は全体の断面図、その(ロ)は、その逆流防止リングのシート座の一部を示す横断面図、その(ハ)その逆流防止リングのシート座の変形状態を示す側面図である。
【図3】従来の逆流防止リングを示す断面図である。
【符号の説明】
1 加熱シリンダ 2 スクリュ
5 スクリュヘッド 10 オシガネ
11 シート面 20 逆流防止リング
23、24 第1、2のピストンリング溝 25 透孔
26、27 第1、2のピストンリング 30 シート部
31 シート座
【発明の属する技術分野】
本発明は、その先端部に射出ノズルを有する加熱シリンダと、該加熱シリンダ内に設けられているスクリュと、前記スクリュの先端部に取り付けられているスクリュヘッドに遊嵌されている逆流防止リングと、前記逆流防止リングの後端部と前記スクリュの先端部との間に設けられているオシガネとからなり、前記逆流防止リングが後方向に摺動的に移動して、その後部のシート座が前記オシガネの前部のシート面に当接することにより、溶湯が前記逆流防止リングの内部の溶湯路を通って前記スクリュの方へ逆流することが阻止されるようになっている、金属射出成形機の逆流防止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属材料の成形に使用されるインラインスクリュ式射出成形機は、加熱シリンダと、このシリンダ内で回転および軸方向に駆動されるスクリュとから構成されている。このような加熱シリンダと、スクリュとからなる射出成形機の一般的な逆流防止装置は、図2の(イ)に示されているように構成されている。すなわち、スクリュ102の先端部に取り付けられている逆流防止リング103、射出時に逆流防止リング103の後端部が当接するオシガネ104等から構成されている。逆流防止リング103は、オシガネ104に対して軸方向に移動可能で、オシガネ104側には射出・保圧時にオシガネ104のシート面112に当接するシート座113が形成されている。なお、参照数字117は、半径方向に延びた複数個のスットッパを示している。
【0003】
したがって、計量工程において、スクリュ102を回転駆動すると、図2の(イ)において右方に取り付けられている図示されない材料ホッパから加熱シリンダ101内に供給される金属材料チップは、スクリュ102の螺旋状の溝108に沿って図2の(イ)の左方の前方に送られながら、加熱シリンダ101の外周面に取り付けられているヒータH、H、…により加熱されて、溶融または半溶融状態の溶湯になる。そして、逆流防止リング103の後端のシート座113とオシガネ104の前部のシート面112との隙間および逆流防止リング103の内周面とスクリュヘッド105の軸部116の外周面との隙間を通って加熱シリンダ101の前室114に貯留される。その間、スクリュヘッド105は前室114に貯留される溶湯の圧力に押されてオシガネ104およびスクリュ102と共に図2の(イ)において右側の後方へ後退させられる。なお、溶湯の粘度は一般に低く前室114内の溶湯の圧力は低いので、スクリュ102を後退させるために機械的な補助力すなわちサックバックが付与されることもある。スクリュ102が後退するとき、逆流防止リング103の先端部は、ストッパ117に当接し、スクリュヘッド105に引かれて後退する。これにより、前述したように逆流防止リング103のシート座113は、オシガネ104のシート面112から充分に離間し、所定の隙間が生じる。前室114に所定量の溶湯が貯留された時点で、スクリュ102の回転が停止し、計量工程を終わる。
【0004】
次の射出工程において、スクリュ102を前進方向に駆動すると、前室114に貯留されている溶湯は前方に押されてノズル106を通って図示されない金型のキャビティに注入される。次いで、保圧し冷却固化を待って金型を開いて金属成形品を得る。上記の射出工程において溶湯を注入するとき、逆流防止リング103のシート座113がオシガネ104のシート面112に当接して、溶湯がスクリュ102の方へ逆流することが阻止される。
【0005】
上記のようにして従来の逆流防止装置を備えた金属射出成形機によっても金属成形品を得ることはできるが、次の2カ所の部位で溶湯がスクリュの方へ逆流する欠点あるいは逆流が想定される。すなわち、加熱シリンダ101の内周面と逆流防止リング103の外周面との間の隙間および逆流防止リング103の後端のシート座113とオシガネ104の先端のシート面112との間の隙間である。
【0006】
また、次のような欠点もある。すなわち、オシガネ104のシート面112と、逆流防止リング103のシート座113は、図2の(イ)に示されているように、互いに平行な円錐面となっているので、幅広い面にわたって密着することになる。その結果、これらの幅広の面に挟まれた異物、固形物等はこの幅広の面から脱出することができず、これらの面が損傷を受けシール性が低下する。このように異物、固形物等が脱出できないと、これらの面は異物、固形物等により強い圧縮反力を繰り返し受け、その結果図2の(ロ)に示されているように、あばた状の多数の窪み114、114、…が生じ、シール性は一層低下する。このような現象は、シート面とシート座がスクリュ軸に対して略垂直になっている場合にも発生する。
【0007】
【特許文献1】特開2000−190364
【特許文献2】特開2002−263819
【0008】
前者の隙間は、一般に、加熱シリンダ101の内周面と逆流防止リング103の外周面との間の隙間を、逆流防止リング103が軸方向に摺動可能な最小寸法に抑え、かつ隙間の軸方向の長さを長くして逆流抵抗を増し、それによって溶湯の逆流量を減少させるようになっている。また、後者の隙間、すなわちシート座113とシート面112との間の隙間からの漏れは、前記隙間を計量工程時における溶湯の流動を妨げない最小寸法に抑えて、シート座113がシート面112に当接するまでの所要時間を短くすることにより、溶湯の逆流量を減少させている。しかしながら、隙間を最小寸法に抑え、かつ逆流抵抗を大きくしても逆流の阻止には限界があり、しかもシート座あるいはシート面の、固形物による損傷の問題は解決されていない。
【0009】
上記のような逆流の問題、シート座あるいはシート面の損傷の問題等を略完全に解決した逆流防止装置を本出願人は特許文献1により提案している。この逆流防止装置は、図3に示されているように構成されている。図2に示されている従来の逆流防止装置の構成要素と同じ要素には同じ参照数字を付けて、また同じような構成要素には同じ参照数字にダッシュ「’」を付けて重複説明はしないが、本出願人が提案している逆流防止リング103’の外周部には、軸方向に所定の間隔をおいて、2個の第1、2の所定深さのピストンリング溝が形成されている。そして、これらのピストンリング溝には、所定の弾性復元力の第1、2のピストンリング121、122がそれぞれ装着されている。第1のピストンリング121が装着されている第1のピストンリング溝の底部には、溶湯路119に開口した複数個の透孔120が明けられている。また、オシガネ104のシート面112と逆流防止リング103のシート座113のいずれか一方または両方は相対的な凸状曲面に形成されている。
【0010】
特許文献2に記載されている射出プランジャは、回転しないタイプのもで、厳密には本願発明の先行技術をなすものではないが、リングバルブとシートリングとからなる射出プランジャが示されている。このリングバルブの後端部には、その内周面の方が後方へ延在する形で、後方へ突き出た開閉面が形成されている。したがって、逆流防止時にはリングバルブの開閉面がシートリングに軸方向に対して直角な面で当接することになる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本出願人が提案している上記逆流防止装置によると、逆流しようとする溶湯の圧力が高くなると、溶湯路119から透孔120、120…を通って第1のピストンリング溝に達した溶湯は、第1のピストンリング121の内周面に作用し、これを半径外方に押し広げる。その結果、第1のピストンリング121の外周面は、加熱シリンダ101の内周面に強く密接あるいは密着する。これにより加熱シリンダ101の内周面と逆流防止リング103’の内周面との間からのスクリュ102への逆流が阻止されるという、優れた効果が得られる。また、逆流防止リング103’のシート座と、オシガネ104’のシート面は、共に相手面に対して凸曲面に形成され、それによってシート座とシート面が当接するときに細いリング状のシール線を形成するようになっているので、従来の平行な円錐面の幅広い面が密着してシールするものに比較して、異物、固形物等が例え含まれていてもシート座あるいはシート面が損傷を受け、あるいはあばた状の窪みが生じ、シール性が低下するようなことはない。また、シート座とシート面の円錐角度に微妙な相違があっても、当接面に線状の当接傷が発生するようなこともない、という効果が得られる。しかしながら、近年になって複雑な形状の成形品を精度良く、より短時間に成形する要求が強まっているが、これらの要求に必ずしも応えることができないきらいがある。図2の(イ)に示されている一般的な従来の逆流防止装置は、当然ながらこれらの要求に応えることはできない。
【0012】
以下、その理由を図2の(イ)、(ハ)によって説明する。射出速度が速くなると、オシガネ104の前部のシート面112と逆流防止リング103の後部のシート座113との当接衝撃力が強くなる。また、成形品の精度を上げるために射出後の保圧力が高くされ、その結果シート面112とシート座113の当接圧力も高くなる。さらには、成形速度を上げるためには、スクリュヘッド105の軸部116の外周面と逆流防止リング103の内周面との間の間隔を大きくして、溶湯の流動抵抗を減少させる必要があるが、間隔を大きくするために逆流防止リング103の肉厚を薄くする傾向にある。このように逆流防止リング103は肉薄になり、そして上記のような当接衝撃力、当接圧力等が、図2の(ハ)に示されているように、軸心よりも外側を向いた斜め方向の押付力Fとして作用すると、逆流防止リング103の後端部は、点線130で示されているように変形する。後端部が変形し、そして加熱シリンダ101の内周面に強く押し付けられると、かじり、焼付き等により逆流防止リング103の軸方向の円滑な摺動が阻害されるようになる。また、逆流防止リング103の後端にクラックや割れが生じ、この部分から溶湯が逆流するようにもなる。このような問題は、程度は小さいが図3に示されている逆流防止装置についても言える。
【0013】
また、熱収縮による成形品の精度低下を防ぐために、溶湯の温度を低くして射出することが試みられているが、温度が低くなると溶湯中に微細な固形物が混在し、その固形物がシート面とシート座の間に挟まれ、これらの面が損傷するという問題もある。もっとも、シート座あるいはシート面の損傷の問題は、図3に示されている逆流防止装置では、これらの面は凸状曲面に形成されているので、解決されてはいるが、凸状曲面に形成する加工費が比較的高価になる問題はある。
【0014】
特許文献2のシートリングに当接するリングバルブの後端部は、開閉「面」になっているので、射出時には面接触して逆流を防止し、本願明細書の段落0006で述べたような異物、固形物等による損傷の問題が残る。また、リングバルブとシートリングとが軸方向に対して直角な面で当接し、それが繰り返されると、当接面がへたり、内側に膨らんで内径が縮小し、元来小さく設定されているリングバルブとプランジャとの隙間すなわち流入隙間を無くする危険性もある。このリングバルブを、本願の願書に添付されている図2に示されている金属射出成形機に適用した場合、逆流防止リングとスクリュヘッドとの隙間は広いので、溶湯の流路を塞ぐことはないが、高速で流れる溶湯の流路に突起物ができることになるので、溶湯の流れを妨げる恐れがある。また、突起物が流れに削り取られて溶湯と一緒に金型に注入され異物として成形品に混入する不具合も予想される。
【0015】
本発明は、上記したような従来の逆流防止装置の問題点に鑑みてなされたものであって、複雑な形状の成形品を精度良く、しかも短時間に成形できるにも拘わらず逆流の問題のない金属射出成形機の逆流防止装置を提供することを目的とし、具体的には逆流防止リングが比較的肉薄で、当接衝撃力、当接面圧等が高くても逆流の問題のない金属射出成形機の逆流防止装置を提供することを目的としている。また、シート面およびシート座の構造が簡単で、比較的安価に提供できる金属射出成形機の逆流防止装置を提供することを目的としている。また、他の発明は、上記のような目的に加えて、溶湯の射出圧力の変化にも拘らず、逆流が阻止される金属射出成形機の逆流防止装置を提供することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明に係わる逆流防止装置は、オシガネと逆流防止リングとから構成されるが、上記発明の目的を達成するために、逆流防止リングの後端部は、オシガネの前端部と逆流防止リングの後端部とが当接するときの当接衝撃力あるいは射出後に保圧するときの当接圧力が軸心よりも外側を向いた斜め方向の押付力として作用しないような構造に構成される。このような構造は、逆流防止リングのシート部が後部からスクリュの軸方向に伸びた構造である。そして、シート部の後端部がスクリュの軸心に直角なシート座に選定されている。
【0017】
本発明によると、シート座はオシガネの前部のシート面にリング状に着座する部分であり、その幅は所定の当接衝撃力が作用してもオシガネのシート面が座屈しない幅に選定される。逆流防止リングのシート座は、射出する毎にオシガネのシート面に着座するので、摩耗する。そこで本発明によるシート座の硬度は、焼き入れ、窒化等の処理により、シート面の硬度よりも高くなされる。また、オシガネの前部にはシールリングが装着される。このシールリングはオシガネの硬度よりも低い。また、本発明によると、逆流防止リングの外周部には、間隔をおいてピストンリングが配置される。そして、1つのピストンリングの内周面側には溶湯路中の溶湯の圧力が作用するように構成される。
【0018】
このようにして、請求項1に記載の発明は、その先端部に射出ノズルを有する加熱シリンダと、該加熱シリンダ内に設けられているスクリュと、前記スクリュの先端部に取り付けられているスクリュヘッドに遊嵌されている逆流防止リングと、前記逆流防止リングの後端部と前記スクリュの先端部との間に設けられているオシガネとからなり、前記逆流防止リングが後方に摺動的に移動して、その後部のシート座が前記オシガネの前部のシート面に当接することにより、溶湯が前記逆流防止リングの内部の溶湯路を通って前記スクリュの方へ逆流することが阻止されるようになっている金属射出成形機の逆流防止装置であって、前記逆流防止リングの後端には、その内周面から半径外方へ段差状に、また外周面から半径内方へ段差状に薄肉化されてスクリュの軸心方向に突き出たシート部が形成され、該シート部の後端部が前記逆流防止リングのシート座になっていると共に、前記逆流防止リングのシート座と前記オシガネのシート面は、スクリュの軸心に対して実質的に直角になっている。請求項2に記載の発明は、逆流防止リングのシート座の表面部が硬度化処理され、請求項3に記載の発明は、逆流防止リングのシート座が当接するオシガネの前部に、シールリングが交換可能に装着され、そして請求項4に記載の発明は、逆流防止リングの外周部に軸方向に所定の間隔をおいて複数個のピストンリング溝が形成され、これらのピストンリング溝の内、射出ノズルに近い方のピストンリング溝は、複数個の透孔によりスクリュヘッドの外周部と前記逆流防止リングの内周部とで構成される溶湯路に連通するように構成される。
【0019】
【実施の形態】
以下、図1により本発明の実施の形態を説明する。図1の(イ)は逆流防止装置が作用している状態を示す断面図で、その(ロ)は要部の拡大図であるが、これらの図に示されているように、本実施の形態に係わる金属射出成形機は、加熱シリンダ1と、この加熱シリンダ1の内部に回転方向と軸方向とに駆動可能に設けられているスクリュ2とから構成されている。そして、逆流防止装置は、概略的にはスクリュ2の先端部に螺合されているスクリュヘッド5、スクリュ2の先端部とスクリュヘッド5との間に挟設されているオシガネ10、スクリュヘッド5の軸部6に軸方向に移動自在に遊嵌されている逆流防止リング20等から構成されている。
【0020】
加熱シリンダ1の先端には、図示されない金型と当接するために内径と外径が共に縮小された射出ノズル4が設けられ、また加熱シリンダ1と射出ノズル4の外周部には個々に発熱温度が制御される複数個の加熱用のヒータH、H、…が装着されている。
【0021】
スクリュヘッド5は、所定長さで、所定径の軸部6を有し、この軸部6の右端すなわち後端部は、縮径された第2の軸部7となり、その後端部のネジがスクリュ2の先端部に螺合されている。軸部6の先端部は、射出ノズル4の方へ延び、その先端部に半径方向に延びた複数個のスットッパ8、8、…が円周方向に所定の間隔をおいて形成されている。これらのスットッパ8、8、…の間が軸方向の溝になっている。したがって、逆流防止リング20の先端部がスクリュヘッド5のスットッパ8、8、、…に当接しても溶湯はこれらの溝を通って前方へ円滑に流れることができる。
【0022】
オシガネ10は、短い筒状を呈している。このオシガネ10の外径は、シリンダ1の内径より小さい。したがって、加熱シリンダ1の内周面と、オシガネ10の外周面との間には、組み立てたとき環状の隙間が生じ、スクリュ2で押し出される溶湯はこの隙間を通ってシリンダ1の前方に蓄積されることになる。また、オシガネ10の内径は、スクリュヘッド5の第2軸部7より僅かに大きく、スクリュヘッド5の第2軸部7が通されるようになっている。このオシガネ10の前方端部すなわち詳しくは後述する逆流防止リング20のシート座がシール時に当接するシート面11は、スクリュ2の軸に実質的に直角に形成されている。
【0023】
逆流防止リング20も筒状体から構成されている。逆流防止リング20の外径は、加熱シリンダ1の内径より小さいが、加熱シリンダ1の内周面と円滑な摺動が可能な最小限の隙間を有する寸法に選定されている。具体的には、前記隙間は加熱シリンダ1の直径の1/1000〜2/1000が好ましいが、図1に示されている実施の形態では、後述するピストンリングが設けられているので、3/1000〜5/1000とすることもできる。また、逆流防止リング20の内径は、スクリュヘッド5の軸部6の直径よりかなり大きく、軸方向の垂直な断面において、逆流防止リング20の内周面とスクリュヘッド5の軸部6と外周面との間に溶湯の円滑な通過を許容するに充分な溶湯路22を有する大きさに選定されている。逆流防止リング20は、上記のように構成されているので、加熱シリンダ1内でオシガネ10とスクリュヘッド5のストッパ8、8、…との間で軸方向に移動自在で、スクリュ2が前進すると、オシガネ10のシート面11が逆流防止リング20の後端部のシート座31に当接し、スクリュ2が回転しながら後退すると、スクリュヘッド5のストッパ8、8、…が逆流防止リング20の先端部に摺接する。なお、逆流防止リング20の軸方向の移動可能な距離、換言すると、逆流防止リング20のシート座31とオシガネ10のシート面11との、計量時の間隔は溶湯の流動を妨げない最小の寸法に抑えられている。
【0024】
また、逆流防止リング20の外周部には、軸方向に所定の間隔をおいて、本実施の形態では2個の第1、2の所定深さのピストンリング溝23、24が形成されている。そして、これらのピストンリング溝23、24の内、射出ノズル4側に位置する第1のピストンリング溝23の底部には、溶湯路22に開口した複数個の透孔25、25、…が明けられている。したがって、第1のピストンリング溝23には、溶湯が流入することができる。このように形成されている第1、2のピストンリング溝23、24には、所定の弾性復元力の第1、2のピストンリング26、27が装着されている。
【0025】
上記のように構成されている逆流防止リング20の後端部には、スクリュ2の軸方向に後方へ突き出たシート部30が形成されている。このシート部30は、逆流防止リング20の内周面および外周面から段差状に薄肉化されて後方へ突き出ている。そして、このシート部30の後端部は、応力の集中を避けるためにコーナが面取りされ、図1の(ロ)に拡大して示されているように、所定幅Aのシート座31となっている。このシート座31は、オシガネ10のシート面11と同様にスクリュ2の軸心と実質的に直角になっている。なお、シート座31は、リング状を呈しているが、その幅Aは、成形条件にもよるがシート座31の平均直径の1/100〜5/100程度が好ましい。
【0026】
次に、上記逆流防止装置を備えた金属射出成形機による成形例について説明する。加熱シリンダ1の後方に取り付けられている、図示されない金属材料ホッパに、粒状、薄片、破砕小片等のマグネシウム、アルミニウム、亜鉛、錫等の純金属あるいはこれらの合金からなる金属材料を入れる。また、加熱シリンダ1、射出ノズル4等を加熱ヒータH、H、…で所定温度に加熱する。
【0027】
そして、スクリュ2を例えば油圧モータで回転駆動する。そうすると、金属材料ホッパから供給される金属材料は、スクリュ2により撹拌されながら螺旋状のスクリュ溝の中を加熱シリンダ1の前方へ送られる。送られる過程で、ヒータH、H、…から加えられる熱と、スクリュ2の回転駆動による摩擦力、剪断力等により生じる熱とにより溶融される。逆流防止リング20は、溶融された溶湯により前方に押され、逆流防止リング20のシート座31は、オシガネ10のシート面11から離間する。溶湯は加熱シリンダ1の内周面と、オシガネ10の外周面との間の環状の隙間、スクリュヘッド5の軸部6の外周面と逆流防止リング20の内周面との間のリング状の溶湯路22を通って加熱シリンダ1の前方へ搬送され、前室3に蓄積される。
【0028】
このとき、スクリュ2は、加熱シリンダ1の前端部の前室3へ搬送される溶湯の圧力により後退する。あるいは、図示しないスクリュ駆動用の油圧シリンダのロッド側に低圧の作動油を供給してスクリュ2の後退する力を補助する。図示しない位置センサがスクリュ2が所定量後退したことを検知すると、スクリュ2の回転を停止して計量を終わる。
【0029】
所定量計量したら、スクリュ駆動用の油圧シリンダのヘッド側に高圧の作動油を供給する。そうすると、スクリュ2は前方へ駆動され、加熱シリンダ1の前室3に蓄積された溶湯は、射出ノズル4を通って図示しない金型のキャビティに射出される。
【0030】
この射出工程におけるスクリュ2の前進速度は、低速から高速そして低速と制御され、加熱シリンダ1の先端部の溶湯の圧力は、成形品によっては速度と圧力との関係は連動しないこともあるが、低圧から高圧そして低圧と変化する。このため、加熱シリンダ1の前室3に蓄積された溶湯の一部は、スクリュ2の方へ逆流しようとするが、前述した逆流防止装置により逆流が阻止される。すなわち、加熱シリンダ1の内周面と逆流防止リング20の外周面との間の隙間を通過した溶湯は、その圧力が低い間は、射出ノズル5から遠い位置にあって、射出圧力が作用し難い第2のピストンリング27により逆流が阻止される。そして、圧力が高くなると、溶湯路22から透孔25、25、…を通って第1のピストンリング溝に達した溶湯は、第1のピストンリング26の内周面に作用し、これを半径外方に押し広げる。その結果、第1のピストンリング26の外周面は、加熱シリンダ1の内周面に強く密接あるいは密着する。これにより加熱シリンダ1の内周面と逆流防止リング20の内周面との間からのスクリュ2への逆流が阻止される。また、スクリュヘッド5の軸部6と逆流防止リング20の内周面との間の溶湯路22中の溶湯は、逆流防止リング20のシート座31がオシガネ10のシート面11に当接し逆流が阻止される。
【0031】
所定の圧力で保圧し、冷却固化を待って、金型を開き金属成形品を取り出す。以下同様にして成形する。
【0032】
上記のようにして成形するとき、成形時間を短くすることにより逆流防止リング20のシート座31とオシガネ10のシート面11との間に大きな当接衝撃力が発生しても、また成形品の精度を上げるために保圧時の当接面圧が高くても、本実施の形態によると、逆流防止リング20のシート部30は、スクリュ2の軸心方向に伸びているので、そしてシート座31はスクリュ2の軸心と実質的に直角になっているので、シート部30あるいはシート座31に作用する力は、図2の(ロ)においてF’で示されているように軸方向であり、加熱シリンダ1の内周面側に変形させようとする分力はない。したがって、シート座31が加熱シリンダ1の内周面に押し付けられるようなことはない。
【0033】
本発明は、上記実施の形態に限定されることなく色々な形で実施できる。例えば、図には示されていないが、逆流防止リング20のシート座31の硬度をオシガネ10のシート面11のそれよりも大きくするために、シート座31の表面を焼入れ処理、窒化処理等を施すこともできる。また、図1の(ハ)に示されているように、シート座31に耐摩耗性合金で肉盛りすることも、あるいはシート部31の先端部にセラミック材33を取り付けて、セラミック材をシート座とすることもできる。さらには、図1の(ニ)に示されているように、オシガネ10の前部にシールリング34を交換可能に取り付けることもできる。このシールリング34は、オシガネ10の材質よりも硬度が低い材料から形成され、そして本実施の形態ではスクリュヘッド5をスクリュ2の先端部にねじ込むことにより取り付けられている。このように硬度が低いので、シール効果は高くなっているが、摩耗あるいは損傷は受けやすい。しかしながら、このような損傷を受けたようなときは容易に交換することができる。
【0034】
【発明の効果】
以上、詳述したように、請求項1に記載の発明によると、逆流防止リングの後端の内面側には、その内周面から半径外方へ段差状に、また外周面から半径内方へ段差状に薄肉化されてスクリュの軸心方向に突き出たシート部が形成され、該シート部の後端部が前記逆流防止リングのシート座になっていると共に、前記逆流防止リングのシート座と前記オシガネのシート面は、スクリュの軸心に対して実質的に直角になっているので、成形時間を短くすることにより逆流防止リングのシート座とオシガネのシート面との間に大きな当接衝撃力が発生しても、また成形品の精度を上げるために保圧時の当接面圧が高くても、前記したような力はスクリュの軸方向であり、逆流防止リングのシート座を加熱シリンダの内周面側に変形させようとする分力は実質上存在しない。したがって、高速、精密成形しても、さらには逆流防止リングが薄肉でも逆流防止装置のシート座が加熱シリンダの内周面に押しつけられ、かじり、焼付け等の現象を引き起こし、逆流防止リングの円滑な摺動が阻害されるようなことはない、また逆流防止リングのクラック、割れ等による溶湯の逆流もない、さらには逆流防止リングの内周面から半径外方へ段差状に、また外周面から半径内方へ段差状に薄肉化されてシート部が形成されているのでシート部あるいはその後端部のシート座がへたるようなことはない等の本発明に特有の効果が得られる。請求項2に記載の発明によると、逆流防止リングのシート座の表面部が硬度化処理されているので、耐久性が増し、請求項3に記載の発明によると、逆流防止リングのシート座が当接するオシガネの前部に、シールリングが交換可能に装着されるので、比較的構造が簡単で安価なシートリングの方を交換することができる。
請求項4に記載の発明によると、上記したような効果に加えて、逆流防止リングの外周部には軸方向に所定の間隔をおいて複数個のピストンリング溝が形成され、これらのピストンリング溝にピストンリングが装着され、これらのピストンリング溝の内、射出ノズルに近い方のピストンリング溝のみに内側からピストンリング溝に達する透孔が形成されているので、加熱シリンダの内周面と逆流防止リングの外周面との間の隙間を通過した小量の溶湯は、その圧力が低い間は、射出ノズルから近い方のピストンリングの内周面には作用せず、弾性復元力により加熱シリンダの内周面に密接している遠い方のピストンリングにより逆流が阻止され、圧力が高くなると、透孔を通ってピストンリング溝に達した溶湯により半径外方に押し広げられ、加熱シリンダの内周面に密着するピストンリングにより逆流が阻止され、射出圧力の変化に拘らず、逆流が阻止されるという、効果がさらに得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す図で、その(イ)は逆流阻止状態で加熱シリンダの先端部分を断面にして示す正面図、その(ロ)はその要部の拡大断面図、その(ハ)は他の実施の形態の要部の拡大断面図、その(ニ)はさらに他の実施の形態の要部の拡大断面図である。
【図2】従来の逆流防止装置を示す図で、その(イ)は全体の断面図、その(ロ)は、その逆流防止リングのシート座の一部を示す横断面図、その(ハ)その逆流防止リングのシート座の変形状態を示す側面図である。
【図3】従来の逆流防止リングを示す断面図である。
【符号の説明】
1 加熱シリンダ 2 スクリュ
5 スクリュヘッド 10 オシガネ
11 シート面 20 逆流防止リング
23、24 第1、2のピストンリング溝 25 透孔
26、27 第1、2のピストンリング 30 シート部
31 シート座
Claims (4)
- その先端部に射出ノズルを有する加熱シリンダと、該加熱シリンダ内に設けられているスクリュと、前記スクリュの先端部に取り付けられているスクリュヘッドに遊嵌されている逆流防止リングと、前記逆流防止リングの後端部と前記スクリュの先端部との間に設けられているオシガネとからなり、前記逆流防止リングが後方に摺動的に移動して、その後部のシート座が前記オシガネの前部のシート面に当接することにより、溶湯が前記逆流防止リングの内部の溶湯路を通って前記スクリュの方へ逆流することが阻止されるようになっている金属射出成形機の逆流防止装置であって、
前記逆流防止リングの後端には、その内周面から半径外方へ段差状に、また外周面から半径内方へ段差状に薄肉化されてスクリュの軸心方向に突き出たシート部が形成され、該シート部の後端部が前記逆流防止リングのシート座になっていると共に、前記逆流防止リングのシート座と前記オシガネのシート面は、スクリュの軸心に対して実質的に直角になっていることを特徴とする金属射出成形機の逆流防止装置。 - 逆流防止リングのシート座の表面部が硬度化処理されている請求項1に記載の金属射出成形機の逆流防止装置。
- 逆流防止リングのシート座が当接するオシガネの前部に、シールリングが交換可能に装着される請求項1または2に記載の金属射出成形機の逆流防止装置。
- 逆流防止リングの外周部に軸方向に所定の間隔をおいて複数個のピストンリング溝が形成され、これらのピストンリング溝の内、射出ノズルに近い方のピストンリング溝は、複数個の透孔によりスクリュヘッドの外周部と前記逆流防止リングの内周部とで構成される溶湯路に連通している請求項1〜3のいずれかの項に記載の金属射出成形機の逆流防止装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002308261A JP2004141905A (ja) | 2002-10-23 | 2002-10-23 | 金属射出成形機の逆流防止装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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ID=32454451
Family Applications (1)
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JP (1) | JP2004141905A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017170502A (ja) * | 2016-03-25 | 2017-09-28 | 株式会社ソディック | 軽金属射出成形機の射出装置及び分割シール機構 |
-
2002
- 2002-10-23 JP JP2002308261A patent/JP2004141905A/ja active Pending
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