JP2008194718A - 金属射出成形機の逆流防止方法および逆流防止装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】逆流防止リングの外周面とシリンダの内周面との隙間から、特に低融点金属材料がスクリュ部の方へ逆流するのを防止する、金属射出成形機の逆流防止装置を提供する。
【解決手段】スクリュ(2)の先端部に押金(11)と、逆流防止リング(15)とを設ける。逆流防止リング(15)の外周部にはピストンリング溝(18、18)を設け、この溝の底部には、シリンダ(1)の内部の溶融金属材料通路(10)に開口した透孔(19、19、…)を明ける。ピストンリング溝(18、18)には、小径の内側ピストンリング(20、20)と大径の外側ピストンリング(21、21)とを重ねてた状態で装着する。これにより、射出圧力あるいは保圧力は外側ピストンリング(21、21)に間接的に作用する。
【選択図】図1
【解決手段】スクリュ(2)の先端部に押金(11)と、逆流防止リング(15)とを設ける。逆流防止リング(15)の外周部にはピストンリング溝(18、18)を設け、この溝の底部には、シリンダ(1)の内部の溶融金属材料通路(10)に開口した透孔(19、19、…)を明ける。ピストンリング溝(18、18)には、小径の内側ピストンリング(20、20)と大径の外側ピストンリング(21、21)とを重ねてた状態で装着する。これにより、射出圧力あるいは保圧力は外側ピストンリング(21、21)に間接的に作用する。
【選択図】図1
Description
本発明は、シリンダと、該シリンダ内に設けられているスクリュとからなる金属射出成形機を使用して、溶融金属材料を金型のキャビテイに射出し、そして保圧するとき、溶融金属材料がスクリュ部の方へ逆流するのを防止する、金属射出成形機の逆流防止方法および逆流防止装置に関するものである。
金属射出成形機、例えばインラインスクリュ式射出成形機は、文献名を挙げるまでもなく従来周知で、シリンダと、このシリンダ内で回転および軸方向に駆動されるスクリュとから構成されている。このような金属射出成形機の逆流防止装置も従来周知で、概略的にはスクリュの先端部に取り付けられている逆流防止リング、押金、スクリュヘッド等から構成されている。この押金の先端部にはシート面が形成されている。また、逆流防止リングは、押金に対して軸方向に移動可能で、押金側すなわち後端部には、押金のシート面に射出・保圧時に当接する座が形成されている。したがって、スクリュを回転駆動して低融点の金属材料を溶融して蓄積するときは、逆流防止リングの座が押金のシート面から離間し、溶融金属材料をスクリュの先端部に蓄積することができる。また、スクリュを軸方向に駆動して金型のキャビテイに射出し、そして保圧するときは、逆流防止リングの座が押金のシート面に当接して、溶融金属材料がスクリュ部の方へ逆流することが防止される。
上記のような周知の逆流防止装置の、逆流防止リングの外周面と、シリンダの内周面との間には隙間があるが、通常の樹脂材料は粘度あるいは粘性も比較的大きいので、この隙間を通ってスクリュ部の方へ逆流するようなことは少なく、実用上格別問題はない。しかしながら、溶融粘度の低い溶融金属材料を射出し、そして保圧するときは、この隙間を通って多量の溶融金属材料が逆流する。逆流すると、計量された所定量の溶融金属材料が、金型のキャビテイに射出されないことになる。また、保圧力も小さなものとなる。そうすると、設定された成形条件が得られず、ヒケ、ボイド、ショートショット、ウエルドライン等の成形欠陥を生じる。
そこで、上記のような溶融粘度の低い、例えば溶融金属材料に対しても逆流を防止することができる射出成形機の逆流防止装置が特許文献1、2により提案されている。すなわち、特許文献1には、図4に示されているように、加熱シリンダ51と、この加熱シリンダ51の内部に回転方向と軸方向とに駆動可能に設けられているスクリュ52とからなるセラミック射出成形機において、スクリュ先端部のヘッド53と押金54との間に設けられている逆流防止リング55からなる逆流防止装置が記載されている。この逆流防止リング55の外周部にピストンリング溝57が形成され、この溝57にピストンリング56が装着されている。ピストンリング56は環状バネから構成され、その復元力により加熱シリンダ51の内周面に接するようになっている。また、特許文献2には、シリンダ61とスクリュ62とからなる金属射出成形機において、図5に示されているように、スクリュの先端部に装着されているスクリュヘッド63と、スクリュ先端部の押金64と、スクリュヘッド63の軸部との間に環状隙間70をたもって軸方向に移動自在に設けられている逆流防止リング65とからなる逆流防止装置が開示されている。この逆流防止リング65には、その外周部から環状隙間70に達する複数個の透孔68、68、…が開けられたピストンリング溝67、67が形成されている。そして、ピストンリング溝67、67にピストンリング66、66が装着されている。
上記特許文献1に示されている逆流防止装置によると、ピストンリング56がそのバネの復元力によってシリンダ51の内周面に密着するので、溶融粘度の低い溶融金属材料に対しても、ある程度の逆流防止効果は期待できる。しかし、射出圧力あるいは保圧力が高い場合には、ピストンリング56のバネ力だけでは不十分で、逆流防止効果が得られないこともある。さらに、ピストンリング56の復元力は、繰り返しの材料疲労により弱くなり、また射出材料すなわち溶融金属材料の温度の影響を受けても弱くなる。その結果、前述したような溶融粘度の低い溶融金属材料に対しては、逆流防止効果は次第に認められなくなる。
特許文献2に開示されている逆流防止装置によると、射出時あるいは保圧時には溶融金属材料の射出圧力あるいは保圧力が透孔68、68、…を通してピストンリング66、66の内周面に達し、そしてピストンリング66、66を押し広げ、シリンダ61の内周面に密着させる。したがって、射出圧力あるいは保圧力が高くても、その圧力に応じて密着度が高まるので、溶融粘度の低い溶融金属材料に対しても安定した逆流防止効果が期待でき、またバネの復元力の低下による逆流防止効果が落ちることはない、等の優れた効果が認められる。しかしながら、射出圧力あるいは保圧力が極めて高い場合、溶融粘度の溶融金属材料を用いる場合、等の条件によってはピストンリング66、66の外周面とシリンダ61の内周面との密着度が高くなり、ピストンリング66、66が早期に摩耗したり、ピストンリング66、66の外周面とシリンダ61の内周面との間にカジリが発生する恐れもある。
したがって、本発明は、溶融粘度の低い例えばマグネシウム合金のような溶融金属材料を射出するときでも、溶融金属材料がピストンリングの外周面とシリンダの内周面との間の隙間からスクリュ部の方へ逆流することがなく、経年劣化による逆流防止効果の低下もなく、さらにはピストンリングの早期消耗やピストンリングの外周面とシリンダ内周面との間のカジリの問題もない、金属射出成形機の逆流防止方法および逆流防止装置を提供することを目的としている。
本発明は、上記目的を達成するために、ピストンリング溝に装着されているピストンリングには、溶融金属材料の射出圧力あるいは保圧力が間接的に作用するように構成される。
すなわち、請求項1に記載の発明は上記目的を達成するために、シリンダと、該シリンダ内に回転方向と軸方向とに駆動可能に設けられているスクリュとからなり、前記スクリュの先端のスクリュヘッドには逆流防止リングが、そして該逆流防止リングの外周部にはピストンリングが装着されている金属射出成形機を使用して溶融金属材料を金型のキャビテイに射出し、そして保圧するとき、前記スクリュヘッドの外周面と前記逆流防止リングの内周面との間の溶融金属材料通路中の溶融金属材料の射出圧力あるいは保圧力により前記ピストンリングを半径外方へ押し広げて、その外周面を前記シリンダの内周面に密接させて射出材料の前記スクリュ側への逆流を防止する逆流防止方法であって、前記ピストンリングには、その内側に装着されている補助ピストンリングを介して前記射出圧力あるいは保圧力を間接的に作用させるように構成される。
すなわち、請求項1に記載の発明は上記目的を達成するために、シリンダと、該シリンダ内に回転方向と軸方向とに駆動可能に設けられているスクリュとからなり、前記スクリュの先端のスクリュヘッドには逆流防止リングが、そして該逆流防止リングの外周部にはピストンリングが装着されている金属射出成形機を使用して溶融金属材料を金型のキャビテイに射出し、そして保圧するとき、前記スクリュヘッドの外周面と前記逆流防止リングの内周面との間の溶融金属材料通路中の溶融金属材料の射出圧力あるいは保圧力により前記ピストンリングを半径外方へ押し広げて、その外周面を前記シリンダの内周面に密接させて射出材料の前記スクリュ側への逆流を防止する逆流防止方法であって、前記ピストンリングには、その内側に装着されている補助ピストンリングを介して前記射出圧力あるいは保圧力を間接的に作用させるように構成される。
請求項2に記載の発明は、シリンダと、該シリンダ内に回転方向と軸方向とに駆動可能に設けられているスクリュとを備え、前記スクリュの先端のスクリュヘッドには逆流防止リングが設けられ、前記スクリュを回転駆動して計量するときは、溶融金属材料は前記スクリュヘッドの外周部と前記逆流防止リングの内周面との間の溶融金属材料通路を通って前記シリンダの計量室に蓄積され、前記スクリュを軸方向に駆動して射出・保圧するときは、前記逆流防止リング外周面と前記シリンダの内周面との間の隙間を通ってスクリュ側への逆流が防止されるようになっている逆流防止装置であって、前記逆流防止リングの外周部には、ピストンリング溝が形成されていると共に、該ピストンリング溝の底部には前記溶融金属材料通路に開口した複数個の透孔が明けられ、前記ピストンリング溝には、内側に位置する第1のピストンリングと、その外側に位置する第2のピストンリングとが径方向に重ねられた状態で装着されている。請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の逆流防止装置において、前記第1のピストンリングは、1対の半円状の円弧リングからなり、請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の逆流防止装置において、前記ピストンリング溝は軸方向に所定の間隔をおいて複数個設けられ、それぞれのピストンリング溝に第1、2のピストンリングが装着されるように構成される。
本発明によると、スクリュの先端のスクリュヘッドには逆流防止リングが、そして該逆流防止リングの外周部にはピストンリングが装着されている金属射出成形機を使用して溶融金属材料を金型のキャビテイに射出し、そして保圧するとき、前記スクリュヘッドの外周面と前記逆流防止リングの内周面との間の溶融金属材料通路中の溶融金属材料の射出圧力あるいは保圧力により、前記ピストンリングを半径外方へ押し広げて、その外周面を前記シリンダの内周面に密接させて溶融金属材料の前記スクリュ側への逆流を防止するが、そのとき前記ピストンリングには、その内側に装着されている補助ピストンリングを介して前記射出圧力あるいは保圧力を間接的に作用させるので、あるいは逆流防止リングの外周部には、ピストンリング溝が形成されていると共に、該ピストンリング溝の底部には溶融金属材料通路に開口した複数個の透孔が明けられ、前記ピストンリング溝には、内側に位置する第1のピストンリングと、その外側に位置する第2のピストンリングとが径方向に重ねられた状態で装着されているので、前記第2のピストンリングには前記射出圧力あるいは保圧力が間接的に作用する。したがって、シリンダの内周面と逆流防止リングの外周面との間の隙間からのスクリュ部への逆流が防止されると共に、ピストンリングの外周面のシリンダの内周面への押しつけ力は、射出圧力あるいは保圧力が高くても、過度とならず適切な力となる。これにより、ピストンリングの早期摩耗や、ピストンリングの外周面とシリンダの内周面との間のカジリを防ぐことができ、ピストンリングの交換の頻度は下がり、金属射出成形機の稼働率は向上する。また、ピストンリングは重ねられた二重構造になっているので、ピストンリングが摩耗したとしても外側に位置する第2のピストンリングのみの交換で済み、コストを低減できる効果も得られる。また、ピストンリングは、射出圧力あるいは保圧力によりその都度押し広げられるので、ピストンリングが経年劣化によりバネ力が弱くなり、逆流防止効果が落ちるようなこともない。
請求項3に記載の発明によると、第1のピストンリングが一対の半円状の円弧リングから構成されているので、すなわち2つに分割された構造になっているので、第2のピストンリングの交換時に、第1のピストンリングの着脱や掃除が容易に行える効果が更に得られる。請求項4に記載の発明によると、ピストンリング溝は軸方向に所定の間隔をおいて複数個設けられ、それぞれのピストンリング溝に第1、2のピストンリングが装着されているので、逆流防止は一層確実なものとなる。
以下、図1〜3により本発明の実施の形態を説明する。図1は、本実施の形態に係わる金属射出成形機の先端部を示す断面図であり、図2は本実施の形態に係わる逆流防止リング15を一部断面にして示す正面図である。図1に示されているように、本実施の形態に係わる射出機もシリンダ1を備えている。そして、このシリンダ1の内部に回転および軸方向に駆動自在にスクリュ2が設けられている。スクリュ2の先端部には、軸方向にネジ孔3が形成されている。スクリュヘッド4は、テーパ状に縮径しているヘッド部5と、このヘッド部5の後方端部より小径の第1の軸部6と、この第1の軸部6よりもさらに小径の第2の軸部7と、この第2の軸部7の後方に形成されている雄ネジ8とから構成されている。この雄ネジ8をスクリュ2の先端部のネジ孔3に螺合することにより、スクリュヘッド4は、スクリュ2の先端部に取り付けられる。
押金11は、短い筒状を呈している。この押金11の外径は、シリンダ1の内径より小さい。したがって、シリンダ1の内周面と、押金11の外周面との間には、組み立てたとき環状の隙間が生じ、スクリュ2で押し出される溶融金属材料はこの隙間を通ってシリンダ1の前方に蓄積されることになる。また、押金11の内径は、スクリュヘッド4の第2の軸部7より僅かに大きく、スクリュヘッド4の第2の軸部7が通されるようになっている。押金11の先端部すなわち逆流防止リング15側には、シート面12が形成されている。このシート面12は、逆流防止リング15側に向かってスクリュ2の軸心に対して所定角度にテーパ状に縮径されている。なお、図には示されていないが、シート面12が軸に対して直角になった押金11でも同様に実施できる。
逆流防止リング15も筒状体から構成されている。逆流防止リング15の外径は、シリンダ1の内径より小さく、シリンダ1の内周面と逆流防止リング15の外周面との間には多少の隙間がある。また、逆流防止リング15の内径は、スクリュヘッド4の第1の軸部6の径よりかなり大きく、後述するように組み立てたときスクリュヘッド4の第1の軸部6の外周面と、逆流防止リング15の内周面との間には、比較的大きな環状あるいはリング状の溶融金属材料通路10が構成される。したがって、溶融金属材料はこの溶融金属材料通路10を通ってシリンダ1の前方に蓄積され、また射出・保圧時には後述するように、この溶融金属材料通路10内の溶融金属材料がピストンリングに作用する。逆流防止リング15は、軸方向に移動可能で、押金11側に位置する端部には、射出・保圧するとき押金11のシート面12に着座あるいは当接する座16が形成されている。図示の実施の形態によると、逆流防止リング15の先端部には、図2の(イ)にも拡大して示されいるように複数個の舌片17、17、…が形成されている。したがって、これらの舌片17、17、…が、スクリュヘッド4のヘッド部5の後端面9に当接しても、溶融金属材料通路10中の溶融金属材料は、舌片17、17、…の間の隙間を通ってシリンダ1の前方の計量室に蓄積される。
逆流防止リング15には、図1、2に示されている実施の形態では所定深さのピストンリング溝18、18が所定の間隔をおいて2個形成されている。そして、これらのピストンリング溝18、18の底部には、溶融金属材料通路10に開口した複数個の透孔19、19、…が開けられている。これらの透孔19、19、…は、ピストンリング溝18、18の幅よりも小さく、本実施の形態では図2の(ロ)に示されているように60°の間隔で6個設けられている。したがって、後述するように、溶融金属材料は内側ピストンリング20、20の全周に均一に作用することになる。
このように構成されているピストンリング溝18、18には、図1に示されているように小径の内側ピストンリング20、20と大径の外側ピストンリング21、21が径方向に重ねられた状態で装着されるが、内側ピストンリング20、20の内周面はピストンリング溝18、18の底部に、外側ピストンリング21、21の内周面は内側ピストンリング20、20の外周面に、そして外周面はシリンダ1の内周面に、それぞれわずかな隙間を有するよう装着されている。
本実施の形態によると、外側ピストンリング21は、図3の(ロ)に示されているように、一カ所だけ切れた従来周知の構造をしているが、内側ピストンリング20は、図3の(イ)に示されているように一対の半円形のリング20a、20aから構成されている。したがって、外側ピストンリング21の交換時に内側ピストンリング20を半円形リング20a、20aに分割し、容易に脱着および清掃することができる。
次に、上記実施の形態の金属射出成形機により、例えばマグネシウム合金、アルミニウム合金、鉛合金、亜鉛合金等の低融点金属材料を溶融して射出する例について説明する。逆流防止リング15のピストンリング溝18、18に内側ピストンリング20、20と外側ピストンリング21、21とを装着する。そうして、逆流防止リング15を、スクリュヘッド4の第1の軸部6に、押金11を第2の軸部に通して逆流防止リング15の雄ネジ8をスクリュ2の先端部のネジ孔3にネジ込む。そうすると、図1に示されているように、スクリュ2の先端部に押金11および逆流防止リング15が取り付けられる。シリンダ1を、射出する金属材料に見合った温度に加熱し、スクリュ2を回転駆動する。スクリュ2が回転駆動されるので、逆流防止リング15は金属材料により前方に押され、逆流防止リング15の座16は押金11のシート面12から離間する。したがって、シリンダ1の内周面と、押金11の外周面との間の環状の隙間およびスクリュヘッド4の第1の軸部6の外周面と逆流防止リング15の内周面との間のリング状の溶融金属材料通路10を通ってシリンダ1の前方に所定量の溶融金属材料が蓄積計量される。蓄積されるに従いスクリュ2は後退する。あるいはサックバックする。
所定量計量したら、スクリュ2を周知のように軸方向に駆動して金型のキャビテイに射出し、保圧する。射出・保圧する溶融金属材料の圧力により逆流防止リング15は、後方に押される。その結果、逆流防止リング15の座16が押金11のシート面12に着座する。したがって、逆流防止リング15と押金11との間からスクリュ2の方へ逆流はしない。また、射出・保圧時には溶融金属材料は、スクリュヘッド4の第1の軸部6の外周面と逆流防止リング15の内周面との間のリング状の溶融金属材料通路10にも達する。
この溶融金属材料は、透孔19、19、…を通ってピストンリング溝18、18に達し、内側ピストンリング20、20の内周面に作用し、これを半径外方に押し広げる。そして、内側ピストンリング20、20の外周面は、外側ピストンリング21、21の内周面に接して、半径外方に押し広げる。その結果、外側ピストンリング21、21の外周面は、シリンダ1の内周面に密接あるいは密着する。これにより、シリンダ1の内周面と、外側ピストンリング21、21の外周面との間からのスクリュ部への逆流が防止される。本実施の形態によると、透孔19、19、…は、円周方向に等間隔に6個設けられているので、溶融金属材料の射出圧力あるいは保圧力が内側ピストンリング20、20の内周面に均一に作用し、その結果内側ピストンリング20、20が均一に押し広げられ、外側ピストンリング21、21はシリンダ1の内周面に均一に密接する。このとき、外側ピストンリング21、21は、内側ピストンリング20、20を介して、間接的に射出圧力あるいは保圧力を受ける。したがって、射出圧力あるいは保圧力が高くても、外側ピストンリング21、21がシリンダ1に密接する力が過度となるようなことはなく、適度なものとなる。その結果、射出・保圧時に溶融金属材料の逆流が防止されるだけでなく、外側ピストンリング21、21の外周面とシリンダ1の内周面との間に生じる摩擦力は低減され、外側ピストンリング21、21の早期摩耗や、これらのピストンリング21、21の外周面とシリンダの内周面との間のカジリの問題もなくなる。
本発明は、上記実施の形態に限定されることなく色々変形可能である。例えば上記実施の形態では、透孔19、19、…は、円周方向に等間隔に6個設けられているが、5個以下あるいは7個以上でも実施できる。このとき、透孔19、19、…は、ピストンリング20、20に作用する圧力を考慮して円周方向に等間隔に設けるのが望ましい。また、上記実施の形態では内側ピストンリング20、20と外側ピストンリング21、21からなる一対のピストンリングは、軸方向に所定の間隔をおいて2列設けられているが、3列以上設けることもできるし、1列でも同様に実施できる。さらに、上記実施の形態では内側ピストンリング20を一対の半円形リング20a、20aから構成されているが、図3の(ロ)に示されている従来周知の形態でも実施できる。
1 シリンダ 2 スクリュ
15 逆流防止リング 18 ピストンリング溝
19 透孔 20 内側(第1の)ピストンリング
21 外側(第2の)ピストンリング
15 逆流防止リング 18 ピストンリング溝
19 透孔 20 内側(第1の)ピストンリング
21 外側(第2の)ピストンリング
Claims (4)
- シリンダと、該シリンダ内に回転方向と軸方向とに駆動可能に設けられているスクリュとからなり、前記スクリュの先端のスクリュヘッドには逆流防止リングが、そして該逆流防止リングの外周部にはピストンリングが装着されている金属射出成形機を使用して溶融金属材料を金型のキャビテイに射出し、そして保圧するとき、
前記スクリュヘッドの外周面と前記逆流防止リングの内周面との間の溶融金属材料通路中の溶融金属材料の射出圧力あるいは保圧力により前記ピストンリングを半径外方へ押し広げて、その外周面を前記シリンダの内周面に密接させて射出材料の前記スクリュ側への逆流を防止する逆流防止方法であって、
前記ピストンリングには、その内側に装着されている補助ピストンリングを介して前記射出圧力あるいは保圧力を間接的に作用させることを特徴とする金属射出成形機の逆流防止方法。 - シリンダと、該シリンダ内に回転方向と軸方向とに駆動可能に設けられているスクリュとを備え、前記スクリュの先端のスクリュヘッドには逆流防止リングが設けられ、前記スクリュを回転駆動して計量するときは、溶融金属材料は前記スクリュヘッドの外周部と前記逆流防止リングの内周面との間の溶融金属材料通路を通って前記シリンダの計量室に蓄積され、前記スクリュを軸方向に駆動して射出・保圧するときは、前記逆流防止リング外周面と前記シリンダの内周面との間の隙間を通ってスクリュ側への逆流が防止されるようになっている逆流防止装置であって、
前記逆流防止リングの外周部には、ピストンリング溝が形成されていると共に、該ピストンリング溝の底部には前記溶融金属材料通路に開口した複数個の透孔が明けられ、
前記ピストンリング溝には、内側に位置する第1のピストンリングと、その外側に位置する第2のピストンリングとが径方向に重ねられた状態で装着されていることを特徴とする、金属射出成形機の逆流防止装置。 - 請求項2に記載の逆流防止装置において、前記第1のピストンリングは、1対の半円状の円弧リングからなることを特徴とする、金属射出成形機の逆流防止装置。
- 請求項2または3に記載の逆流防止装置において、前記ピストンリング溝は軸方向に所定の間隔をおいて複数個設けられ、それぞれのピストンリング溝に第1、2のピストンリングが装着されている、金属射出成形機の逆流防止装置。
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