JP3822846B2 - 金属射出成形機用のシリンダ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミニウム合金、マグネシウム合金などの金属材料を射出成形する金属射出成形機に使用されるシリンダに関し、シリンダ本体とその先端部内面に挿入されるスリーブを互いに異なる材料で構成し、耐溶損性および熱伝導性に優れ、かつ先端内面の耐摩耗性が高く温度変化に強い特性を併せ持つシリンダに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、信頼性の高い金属射出成形機を得るためには、射出成形機用のスクリュやシリンダ部材は、長期間安定して使用できるものでなければならない。
【0003】
この射出成形機用のシリンダ部材は、例えばマグネシウム合金を射出成形する場合、次のような条件が必要となる。
【0004】
1)溶融マグネシウム合金との接触において溶損が少ないこと。
【0005】
2)溶融マグネシウム合金の射出成形温度である580〜630℃に加熱した時の高温強度が高く、摩耗しないこと。
【0006】
3)シリンダ内にあるマグネシウム合金を溶解させるためには、シリンダ外周部に装着されたヒータ等によって発生させた熱を、シリンダを介して材料に伝達させる必要があるので、熱伝導が良いこと。
【0007】
すなわち、溶融マグネシウム合金と激しく接触するシリンダ部材は、溶損の少ないもので、高温強度や高温加熱時の軟化抵抗、熱伝導性の優れたものであることが必要条件となる。
【0008】
高温強度や高温加熱時の軟化抵抗、熱伝導性の優れた特性を有するものとして、Ni基耐熱性合金で構成され、溶融金属との接触部表面にCo基耐熱性合金を被覆したシリンダ(例えば特開平8−72110号公報に開示されている)などがあるが、材料費が高価であるだけでなく、溶損性、熱伝導性にも課題が残る。
【0009】
このため、溶損性、熱伝導性の優れた特性を有するものとして、鉄系材料で構成されたシリンダが有効であり、さらにその内面を耐摩耗性に優れた非鉄系耐熱合金で被覆したシリンダが製作されているが、シリンダ母材と被覆層との熱膨張の差により、成形条件が厳しい場合、加熱冷却の繰返しおよび高温時に作用する射出内圧に被覆層が耐えられず、ひび割れや脱落を生じることがある。
【0010】
上記の被覆層の破壊を解消するため、鉄系材料で構成されたシリンダの内面に、非鉄系耐熱合金製やセラミック製のスリーブを焼嵌めにより挿入して固定する方法が試みられている。
【0011】
図7に鉄系耐熱合金で構成されたシリンダの内面に、非鉄系耐熱合金製のスリーブを焼嵌めした射出装置を示す。
【0012】
材料ホッパ105に投入された米粒大の材料チップは、シリンダ101に挿入されたスクリュ104表面のらせん状溝113の上に落下する。図示しない駆動装置によってスクリュ104が回転しながら後退すると、材料チップはらせん状溝113に沿って前方へ送られながら、シリンダ101の外周に取り付けられたヒータ112によってシリンダ101を介して加熱され、溶融または半溶融状態の溶湯となって、シリンダ101の前室115に貯留される。これを計量工程という。
【0013】
貯留された溶湯が一定量に達すると、駆動装置によってスクリュ104が高速で前進し、シリンダ101の前室115に貯留された溶湯は、ノズル103を通って図示しない金型内に高速高圧で注入される。これを射出工程という。
【0014】
金型内のキャビティに充填された溶湯は、冷却され、固化した後に金型を開いて、成形品として取り出される。その間に、次の計量工程が実行され、再度金型が閉じられた後に、次の射出工程が実行される。
【0015】
この射出工程において、スクリュ104が前進し、前室内の溶湯圧力が上昇すると、溶湯はスクリュ104の方向に逆流しようとする。この逆流を阻止するために逆流防止リング108、オシガネ109およびスクリュヘッド107からなる逆流防止装置106がスクリュ104の先端に取り付けられている。シリンダ101内面との隙間からの逆流を阻止するために逆流防止リング108の外径はその隙間が小さくなるように設定されており、さらに逆流防止リング108の外周にピストンリング110が取り付けられ、シリンダ101内面に強く押し付けられる。このため、逆流防止リング108やピストンリング110が摺動するシリンダ101の内面に非鉄系耐熱合金製のスリーブ111が挿入されている。このシリンダ101の熱膨張係数は12×10-6/℃程度であり、また、スリーブ111の熱膨張係数は13×10-6/℃程度である。
【0016】
このスリーブ111はシリンダ101に焼嵌め、すなわちシリンダ101を400〜600℃の高温に加熱した状態で室温のスリーブ111を挿入することによって強く固定されている。
【0017】
なお、シリンダに異なる部材のスリーブを焼嵌めして固定する方法は、特開平2−217216号公報や特開平6−79760号公報などに記載されている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
射出工程においてスリーブ111の内面に射出圧力が作用した時に、スリーブ111の過大な膨張による破損を防ぐため、シリンダ101でスリーブ111の外周を保持する必要がある。
【0019】
また、シリンダ101前部とシリンダヘッド102との間から溶湯が漏れ出ないように、シリンダヘッド102をスリーブ111に押し付ける必要があるので、スリーブ111の先端面とシリンダヘッド102との当接面に適度な面圧が作用するように、ボルト114などで強く締め付けなければならない。
【0020】
他方、シリンダ101およびスリーブ111は成形時に約600℃に加熱され、機械を停止させた後は室温まで温度低下するが、要求仕様の異なるスリーブ111にシリンダ101とほぼ同じ熱膨張係数を有する材料を選定することは、実際上困難である。
【0021】
このため、温度の上昇または下降によって、熱膨張差による影響が生じてくる。
【0022】
スリーブ111とシリンダ101との径方向の嵌め合いが、きつくなり過ぎるとスリーブ111の破損の原因となる場合があり、一方、緩くなり過ぎると小さな隙間ができてしまう場合がある。
【0023】
また、スリーブ111が挿入されるシリンダ101のスリーブ挿入穴116に対するスリーブ111の軸方向長さが相対的に増加すると当接面圧が増大して当接部が降伏したり、軸方向長さが相対的に減少すると当接面圧が減少して溶湯の漏れを生じたりする場合がある。
【0024】
そこで、本発明は、シリンダとスリーブとの熱膨張差に起因する、スリーブ自身の破損、および溶湯の漏れを生じにくい、金属射出成形機用のシリンダを提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明の金属射出成形機用のシリンダは、溶融材料の逆流を防止する逆流防止装置の逆流防止リングが摺動する領域にスリーブを挿入するためのスリーブ挿入穴が形成され、先端にシリンダヘッドを装着可能な金属射出成形機用のシリンダにおいて、シリンダとシリンダヘッドとのシール面の内側にシリンダの熱膨張係数よりも熱膨張係数が大きい材質からなり、かつ、室温から成形温度までの温度範囲で、シリンダヘッドが装着されるシール面から後端面までのスリーブ挿入穴の軸方向長さL2よりも短い全長L1のスリーブがスリーブ挿入穴に、室温における嵌め合いが隙間ばめおよび中間ばめのいずれかで嵌め込まれており、スリーブの両端であるスリーブ前端およびスリーブ後端の、内周面側に傾斜面が形成されていることを特徴とする。
【0026】
発明の金属射出成形機用のシリンダは、シリンダの熱膨張係数に対して熱膨張係数が1.03〜1.50倍であるスリーブがスリーブ挿入穴に嵌め込まれている。このため、スリーブは、機械停止に伴う温度低下により、スリーブが縮んでシリンダのスリーブ挿入穴より軸方向に相対的に短くなる際、あるいは逆に成形時の温度上昇によりスリーブが延びて相対的に長くなる際に、スリーブ挿入穴との摺動が容易となる。すなわち、スリーブとシリンダとの嵌め合いは、室温ではほとんど隙間が無いかまたは緩い締め付け状態となるので、熱膨張差によるスリーブとシリンダとの軸方向の相対的変位が抵抗無く実現される。よって、端部がシリンダまたはシリンダヘッドに強く圧接されて損傷することがない。さらにスリーブとシリンダとの嵌め合いは、加温時には締まりばめ以上のきつい嵌め合いになり、シリンダによって外周を保持されることとなるので、射出工程においてスリーブの内面に射出圧力が作用しても、スリーブの破壊が阻止される。
【0027】
さらに、本発明のシリンダは、スリーブの両端であるスリーブ前端およびスリーブ後端の内周面側に傾斜面が形成されているこのため、スリーブが熱膨張した際、スリーブ両端に形成されている傾斜面により、スリーブ前端とシリンダヘッド、あるいはスリーブ後端とシリンダとの間の隙間の付着物を傾斜部によってスリーブの内面方向に掻き出すことができる。なお、傾斜面の高さt1が、スリーブの肉厚tの1/2〜4/5を占め、かつ、スリーブの軸心に対して30〜60°の範囲内の角度αで形成されているのが好適である。
【0028】
また、本発明のシリンダは、シール面に、シリンダおよびシリンダヘッドの硬度以下の硬度の材質からなるシールリングが挿入されているものであってもよい。
【0029】
上記の通りの本発明の金属射出成形機用のシリンダは、シリンダおよびシリンダヘッドと同等以下の硬度のシールリングによりシールする構成であるため、分解清掃時などでシリンダとシリンダヘッドの当接面に傷が付いた場合でも溶湯を十分にシールすることができる。
【0030】
また、本発明の金属射出成形機用のシリンダは、シールリングに、シールリングを貫通する、抜き出し用の複数のネジ穴が形成されているものであってもよい。この場合、これらネジ穴にボルトをねじ込んでシリンダの前部を押すことにより、シールリングを容易に抜き出すことができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態および参考例について図面を参照して説明する。
参考例
図1に、本参考例の金属射出成形機用のシリンダの側断面図を、また、図2に、図1に示すシリンダの先端部の一部拡大図をそれぞれ示す。なお、以下の説明における数値等は一例であり、これに限定されるものではない。
【0032】
表面にらせん状溝13を持つスクリュ4がシリンダ1の内面に挿入され、シリンダ1の後部に材料ホッパ5が取り付けられ、外周にはヒータ12が取り付けられている。シリンダ1前部にシリンダヘッド2を介してノズル3が固定されている。
【0033】
スクリュ4の先端に、逆流防止リング8、オシガネ9およびスクリュヘッド7からなる逆流防止装置6が取り付けられ、逆流防止リング8の外周にピストンリング10が取り付けられている。
【0034】
シリンダ1内面の逆流防止リング8やピストンリング10が摺動する部位に非鉄系耐熱合金製のスリーブ11が挿入されている。詳細には、鉄系耐熱合金で構成された内径110mmのシリンダ1の前部内面に、長さL1=800mm、厚さt=15mmのCo基耐熱合金製のスリーブ11が、室温で嵌め合い公差H7・js6(隙間が−0.011〜+0.046のすきまばめに近い中間ばめ)で挿入されている。シリンダ1は20〜600℃の熱膨張係数が11×10-6/℃、スリーブ11は同じく13×10-6/℃である。なお、スリーブ11の材質としては、スリーブ11の熱膨張係数が、シリンダ1の熱膨張係数の1.03〜1.50倍の範囲内となるものを選択するのが好適であり、1.05〜1.20倍の範囲内であるのが特に好適である。
【0035】
このスリーブ11は、シリンダ1に軽い焼嵌め、すなわちシリンダ1を150〜200℃に加熱した状態で、室温のスリーブ11を挿入することによって軽く固定されている。すなわち、スリーブ11とシリンダ1との嵌め合いは、室温ではほとんど隙間が無いかまたは緩い締め付け状態となり、600℃付近では締まりばめになるようになっている。
【0036】
シリンダ1のスリーブ挿入穴16の長さ、すなわち、シリンダヘッド2が装着され、当接することでシールがなされるシール面17から後端面22までの長さL2は802mmに設定されている。
【0037】
参考例の場合、スリーブ11の長さL1はスリーブ挿入穴16の軸方向長さL2よりも2mm短いものとなっている。このように、スリーブ11の長さL1と、スリーブ挿入穴L2との差、すなわち、スリーブ挿入穴16とスリーブ11との間に形成される隙間23は0.5〜10mmの範囲とするのが好適であり、2〜5mmの範囲内とするのが特に好適である。
【0038】
次に、本参考例の金属射出成形機の、計量時および射出時における動作について説明する。
【0039】
成形運転において、材料ホッパ5に投入された米粒大の材料チップは、シリンダ1に挿入されたスクリュ4表面のらせん状溝13の上に落下する。図示しない駆動装置によってスクリュ4が回転しながら後退(図1中右方向)すると、材料チップはらせん状溝13に沿って前方へ送られながら、シリンダ1の外周に取り付けられたヒータ12によってシリンダ1を介して加熱され、溶融または半溶融状態の溶湯となって、シリンダ1の前室15に貯留される。
【0040】
貯留された溶湯が一定量に達すると、駆動装置によってスクリュ4が高速で前進され、シリンダ1の前室15に貯留された溶湯は、ノズル3を通って図示しない金型内に高速高圧で注入される。
【0041】
金型内のキャビティに充填された溶湯は、冷却され、固化した後に金型を開いて、成形品として取り出される。その間に、次の計量工程が実行され、再度金型が閉じられた後に、次の射出工程が実行される。
【0042】
射出工程において、スクリュ4が前進し、前室15内の溶湯圧力が上昇すると、溶湯はスクリュ4の方向に逆流しようとするが、逆流防止リング8、オシガネ9およびスクリュヘッド7からなる逆流防止装置6によって阻止される。
【0043】
逆流防止リング8の外径はシリンダ1内面との隙間が小さくなるように設定され、さらに逆流防止リング8の外周に取り付けられたピストンリング10がシリンダ1内面に強く押し付けられるので、シリンダ1内面と逆流防止リング8の外周との隙間からの逆流は阻止される。
【0044】
参考例の場合、シリンダ1前部のシール面17がシリンダヘッド2に当接し、溶湯はこの部分で常時シールされる。スリーブ11は、成形時にはシリンダ1により外周を保持されることで約100MPaの射出内圧に耐え、逆流防止リング8およびピストンリング10との最高5m/sの高速摺動に耐えて、溶湯の逆流を阻止することができる。また、機械停止に伴う温度低下により、スリーブ11がシリンダ1のスリーブ挿入穴16より軸方向に相対的に短くなる(本参考例の場合で約1mm)場合や、逆に成形時の温度上昇によりスリーブ11が相対的に長くなる場合に、スリーブ11は、スリーブ挿入穴16との摺動が容易であり、端部がシリンダ1またはシリンダヘッド2に強く圧接されて損傷することがない。
(第の実施形態)
図3(a)に、本実施形態の金属射出成形機用シリンダの先端部の一部拡大図を、図3(b)に、図3(a)のA部の拡大図をそれぞれ示す。なお、以下の説明における数値等は一例であり、これに限定されるものではない。
【0045】
また、以下の説明では、参考例と同様の機能を有する部分については説明を省略し、異なる点に絞って説明するとともに、参考例で示した構成要素と同じものに関しては同一の符号により説明するものとする。すなわち、本実施形態のスリーブ11aとシリンダ1に形成されているスリーブ挿入穴16との寸法関係、およびスリーブ11aとシリンダ1との熱膨張係数の大きさの関係等は第1の実施形態と同様である。
【0046】
スリーブ11aの両端であるスリーブ前端11aおよびスリーブ後端11bの内周面11d側には、長さL3が10mmで、軸心に対して角度α=45°傾いた傾斜部18、18’が設けられている。なお、傾斜部18、18’は、角度αが30〜60°となる範囲内で形成されるのが好ましい。また、傾斜面18、18’がスリーブ11の肉厚tに占める高さt1は、スリーブ11の肉厚tの1/2〜4/5の範囲内となるようにするのが好ましい。
【0047】
シリンダ1の温度が上昇してスリーブ11aが膨張すると、スリーブ前端11bとシリンダヘッド2、あるいはスリーブ後端11cとシリンダ1との軸方向の隙間23が小さくなる。この際、隙間23に残留している、溶湯中の成分の一部が酸化物や窒化物等の溶解不能な付着物が、スリーブ11aの両端内面に設けられた傾斜部18、18’によってスリーブ11aの内面方向に掻き出される。
【0048】
なお、スリーブ11aの両端内面に傾斜部18、18’を設ける代わりに、シリンダ1あるいはシリンダヘッド2のスリーブ11aの端面11b、11cと対面する部分に同様の傾斜部を設けるようにしても同様の効果を得られる。
【0049】
以上説明したように、本実施形態の場合、スリーブ11aが熱膨張することで隙間23の付着物を傾斜部18、18’によってスリーブ11aの内面方向に掻き出すため、隙間23が付着物の残留で埋められてしまうことでスリーブ11aの熱膨張差を吸収できずにスリーブ11aが軸方向に強い圧縮を受け、スリーブ前端11bあるいはスリーブ後端11cが座屈したり全体が崩壊したりしてしまうことを防止することができる。また、第の実施形態と同様に、スリーブ11aは、射出内圧、および逆流防止リング8およびピストンリング10との高速摺動に耐えて、溶湯の逆流を阻止することができるとともに、スリーブ挿入穴16との摺動が容易であるため、スリーブ前端11bあるいはスリーブ後端11cがシリンダ1またはシリンダヘッド2に強く圧接されて損傷することがない。
(第の実施形態)
図4に、本実施形態の金属射出成形機用シリンダの先端部の一部拡大図を、図5に、図4に示すシールリング近傍の拡大図を、また、図6に図5のB−B線における断面図をそれぞれ示す。なお、以下の説明では、参考例および第の実施形態と同様の機能を有する部分については説明を省略し、異なる点に絞って説明するとともに、参考例および第の実施形態で示した構成要素と同じものに関しては同一の符号により説明するものとする。また、各図には、第の実施形態で示した傾斜面18、18’が形成されたスリーブ11aを一例として図示する。
【0050】
本実施形態の場合、シリンダ1の先端部と、シリンダヘッド2との軸方向当接面に、シリンダ1およびシリンダヘッド2より少し硬度の低い鉄系耐熱合金製のシールリング19が挿入されている。このため、分解清掃時などで、シリンダ1とシリンダヘッド2の当接面に傷が付いた場合でも、シールリング19により溶湯を十分にシールすることができる。
【0051】
また、シールリング19の外縁部21は他の部分より薄く形成され、その外縁部に複数のネジ穴20が円周上の等間隔で形成されている。よって、これらネジ穴20にボルトをねじ込んでシリンダ1の前部を押すことにより、シールリング19を容易に抜き出すことができる。
【0052】
以上説明したように、本実施形態の場合、シリンダ1およびシリンダヘッド2と同等以下の硬度の鉄系耐熱合金製のシールリング19によりシーリングする構成であるため、シリンダ1とシリンダヘッド2の当接面に傷が付いた場合でも溶湯を十分にシールすることができる。また、参考例と同様に、スリーブ11aは、射出内圧、および逆流防止リング8およびピストンリング10との高速摺動に耐えて、溶湯の逆流を阻止することができるとともに、スリーブ挿入穴16との摺動が容易であるため、スリーブ前端11bあるいはスリーブ後端11cがシリンダ1またはシリンダヘッド2に強く圧接されて損傷することがない。さらには、第2の実施形態と同様に、スリーブ11aが熱膨張することで隙間23の付着物を傾斜部18、18’によってスリーブ11aの内面方向に掻き出すため、隙間23が付着物の残留で埋められてしまうことでスリーブ11aの熱膨張差を吸収できずにスリーブ11aが軸方向に強い圧縮を受け、スリーブ前端11bあるいはスリーブ後端11cが座屈したり全体が崩壊したりしてしまうことを防止することができる。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、シリンダの熱膨張係数よりも熱膨張係数が大きく、スリーブ挿入穴の軸方向長さよりも短いスリーブが、室温ではほとんど隙間が無いかまたは緩い締め付け状態でシリンダに嵌め込まれているので、熱膨張差によるスリーブとシリンダとの軸方向の相対的変位が抵抗無く実現され、よって、端部がシリンダまたはシリンダヘッドに強く圧接されて損傷することがない。さらにこの嵌め合いは、加温時には締まりばめ以上のきつい嵌め合いになることでスリーブがシリンダによって外周を保持されることとなるので、射出工程においてスリーブの内面に射出圧力が作用してもスリーブの破壊が阻止される。さらに、スリーブ両端に形成されている傾斜面により、スリーブの座屈の原因となる付着物を傾斜部によって掻き出すことができる。
【0054】
また、シリンダとシリンダヘッドとの隙間をシールリングによりシーリングする構成においては、分解清掃時などでシリンダとシリンダヘッドの当接面に傷が付いた場合でも溶湯を十分にシールすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の参考例における、金属射出成形機用のシリンダの側断面図である。
【図2】図1に示すシリンダの先端部の一部拡大図である。
【図3】本発明の第の実施形態における、金属射出成形機用のシリンダの先端部の一部を拡大した側断面図である。
【図4】本発明の第の実施形態における、金属射出成形機用のシリンダの先端部の一部を拡大した側断面図である。
【図5】ネジ穴が形成されたシールリングの一部を拡大した側断面図である。
【図6】図5のB−B線における断面図である。
【図7】金属射出成形機用のシリンダの一従来例の側断面図である。
【符号の説明】
1 シリンダ
2 シリンダヘッド
3 ノズル
4 スクリュ
5 材料ホッパ
6 逆流防止装置
7 スクリュヘッド
8 逆流防止リング
9 オシガネ
10 ピストンリング
11、11a スリーブ
11b スリーブ前端
11c スリーブ後端
11d 内周面
12 ヒータ
13 らせん状溝
14 ボルト
15 前室
16 スリーブ挿入穴
17 シール面
18、18’ 傾斜部
19 シールリング
20 ネジ穴
21 外縁部
22 後端面
23 隙間

Claims (5)

  1. 溶融材料の逆流を防止する逆流防止装置の逆流防止リングが摺動する領域にスリーブを挿入するためのスリーブ挿入穴が形成され、先端にシリンダヘッドを装着可能な金属射出成形機用のシリンダにおいて、
    シリンダ(1)とシリンダヘッド(2)とのシール面(17)の内側に前記シリンダ(1)の熱膨張係数よりも熱膨張係数が大きい材質からなり、かつ、室温から成形温度までの温度範囲で、前記シリンダヘッド(2)が装着される前記シール面(17)から後端面(22)までの前記スリーブ挿入穴(16)の軸方向長さL2よりも短い全長L1のスリーブ(11)が前記スリーブ挿入穴(16)に、室温における嵌め合いが隙間ばめおよび中間ばめのいずれかで嵌め込まれており、前記スリーブ(11)の両端であるスリーブ前端(11b)およびスリーブ後端(11c)の、内周面(11d)側に傾斜面(18、18’)が形成されていることを特徴とする金属射出成形機用のシリンダ。
  2. 前記スリーブ(11)の熱膨張係数が、前記シリンダ(1)の熱膨張係数の1.03〜1.50倍である、請求項1に記載の金属射出成形機用のシリンダ。
  3. 前記傾斜面(18、18’)の高さt1が、前記スリーブ(11)の肉厚tの1/2〜4/5を占め、かつ、前記スリーブ(11)の軸心に対して30〜60°の範囲内の角度αで形成されている、請求項1または2に記載の金属射出成形機用のシリンダ。
  4. 前記シール面(17)に、前記シリンダ(1)および前記シリンダヘッド(2)の硬度以下の硬度の材質からなるシールリング(19)が挿入されている、請求項1〜のいずれか1項に記載の金属射出成形機用のシリンダ。
  5. 前記シールリング(19)に、前記シールリング(19)を貫通する、抜き出し用の複数のネジ穴(20)が形成されている、請求項4に記載の金属射出成形機用のシリンダ。
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