JP2004141500A - 調理器 - Google Patents
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Abstract
【課題】温度検出手段の追従性に左右されることなく、空炊き検知の判定を正しく行なう。
【解決手段】鍋1に収容した湯が少なくなると、加熱コイル7に近い部位から湯がなくなり、異なる位置に置かれた温度センサ12,13の検出温度に差を生じる。この検出温度の差が所定値以上になると、第1の空炊き判定手段34が空炊き検知の判定を行なう。従来のような温度検出手段の温度上昇に基づいていないので、温度センサ12,13の追従性に左右されることなく、空炊き検知の判定を正しく行なうことができる。
【選択図】 図1
【解決手段】鍋1に収容した湯が少なくなると、加熱コイル7に近い部位から湯がなくなり、異なる位置に置かれた温度センサ12,13の検出温度に差を生じる。この検出温度の差が所定値以上になると、第1の空炊き判定手段34が空炊き検知の判定を行なう。従来のような温度検出手段の温度上昇に基づいていないので、温度センサ12,13の追従性に左右されることなく、空炊き検知の判定を正しく行なうことができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空炊き検知機能を備えた調理器に関し、特に電磁誘導加熱方式のおでん調理器などで保温時の空炊き検知を考慮した調理器に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、コンビニエンスストア(CVS)などで調理済のおでんを加熱・保温して販売するための調理器が知られている。こうした調理器においては、ユーザーが誤ってだし汁や具などの被調理物を容器に投入しないまま、調理が開始される場合があり、これをそのまま放置しておくと、本体が異常に発熱したり故障する可能性があるので、空炊き時には容器への加熱を速やかに停止させる必要がある。
【0003】
空炊きを判定する方法としては、急激な温度変化や所定温度以上を検知するのが一般的ではあるが、例えば電磁誘導加熱方式のおでん調理器では、こうした方法による検知が難しい。シーズヒータ方式のおでん調理器は、ヒータで熱板を温めて、その上に載る鍋に熱を伝える構成となっているので、熱板は必ず鍋の温度以上になっており、熱板の温度を監視する温度センサの検出温度が所定温度以上になったことで、空炊きを判定すればよかった。ところが電磁誘導加熱方式のおでん調理器は、誘導コイルからの交番磁界により鍋を直接電磁誘導加熱する構造となっているので、鍋の温度を直接測定する温度センサが必要がある。しかし、電磁誘導加熱方式では鍋に対する熱効率が高く、しかも鍋の熱容量が小さいので、空炊き時には鍋が急速に温度上昇を起こす。そのため、温度センサが急激な温度変化に追従できず、空炊きを速やかに判定できない。
【0004】
また、保温中にだし汁が煮詰まって空炊きになる場合もあり、この状態では煮詰まった汁が容器に焦げ付いて洗うのが大変になり、また局部的な加熱により鍋が変色若しくは変形することもある。さらに、鍋が天板に接触して溶けるなどの不具合もある。
【0005】
本発明は上記問題点を解決しようとするものであり、温度検出手段の追従性に左右されることなく、空炊き検知の判定を正しく行なうことができる調理器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載の調理器によれば、容器に収容した湯が少なくなると、加熱装置に近い部位から湯がなくなってきて、異なる位置に置かれた温度検出手段の検出温度に差を生じる。この温度の差が所定値以上になったときに、判定手段が空炊き検知の判定を行なえば、従来のような温度検出手段の温度上昇に基づいていないので、温度検出手段の追従性に左右されることなく、空炊き検知の判定を正しく行なうことができる。またこの場合は、容器に湯が少し残った煮詰まる前の状態で空炊き検知の判定が行なわれるので、汁の焦げ付きを防止できると共に、容器への局部的な加熱や、容器の変色・変形を防止することができる。
【0007】
本発明の請求項2記載の調理器によれば、検出手段の検出温度が保温下限温度未満になったら加熱装置をオンにし、保温上限温度以上になったら加熱装置をオフにして保温を行なっているときに、容器に収容した湯が少なくなると、加熱装置のオン/オフ所要時間が短くなる。このオン/オフ所要時間が所定時間未満になり、かつこの所定時間未満の状態が継続したら、判定手段が空炊き検知の判定を行なえば、従来のような検出手段の温度上昇に基づいていないので、温度検出手段の追従性に左右されることなく、空炊き検知の判定を正しく行なうことができる。またこの場合は、単に加熱装置のオン/オフ所要時間が所定時間未満になったときにではなく、その状態が継続した時点で、初めて空炊き検知の判定を行なっているので、誤検知の少ない確実な空炊き検知の判定を行なうことができる。
【0008】
本発明の請求項3記載の調理器によれば、容器への熱効率が高く、しかも容器の熱容量が小さいので、空炊きした場合の急激な温度上昇を温度検出手段が検知し難くくなるが、こうした温度検出手段の検知のし難さを解消して、空炊き検知の判定を正しく行なうことが可能になる。
【0009】
【発明の実施形態】
以下、本発明における調理器の一実施例について、添付図面を参照しながら説明する。なお、本実施例における調理器は、CVSなどに販売用として設置されるおでん調理器である。
【0010】
調理器の全体断面図をあらわした図1において、1は被調理物であるおでんの具やだし汁などを収容する有底筒状の容器たる鍋である。鍋1は、電磁特性がよく、かつ耐腐食性を向上させた例えばフェライト系ステンレスなどの磁性金属材料で形成され、その容量は5〜15リットルである。また、鍋1の形状は四角形(長方体)で、0.5〜1.5mm程度の材厚を有し、上面に開口部2を形成している。3は鍋1の側面上部に設けられたフランジ状の取手、4は鍋1の開口部2を覆う着脱可能な蓋体である。鍋1の底面には、上方から見て円環状に形成された凸部5が形成される。
【0011】
6は調理器本体の外郭をなす箱型の外枠、7は磁束を発生する誘導加熱手段としての加熱コイルであり、この加熱コイル7は外枠6の上面に設けられた耐熱樹脂製のコイルベース8に支持される。また、9は前記外枠6の外周上側を覆うようにして設けられた載置部材に相当し、例えばFR−PET樹脂などの耐熱樹脂と結晶化ガラスで形成される天板であり、この天板9の直下に前記コイルベース8が渦巻き状に配置されている。天板9は本体の外郭上面をなすものであり、鍋1を載置するための複数個の突起部10が上方に突出して設けられている。
【0012】
12は鍋1の底面に当接する複数個の突起部10の一つで、鍋1の外底面外周部付近の温度を検出する第2の温度検知手段としての温度センサである。また13は、天板9の底面に接していて、鍋1の外底面中央部付近の温度を検出する第1の温度検出手段としての別の温度センサである。温度センサ12は加熱コイル7の外側に位置しているが、温度センサ13は加熱コイル7の内側に位置している。なお、調理などで鍋1の加熱制御に用いる温度は、常にこの二つの温度センサ12,13のなかで高い検出温度の方を採用する。
【0013】
外枠6の内部には、加熱コイル7に供給する高周波電流を制御するための加熱器15を搭載した加熱基板16と、発熱部品である加熱器15などを冷却する放熱器としての冷却ファン17と、調理器の各部の制御を行なうための制御装置であるマイクロコンピュータ31(図2参照)を搭載した制御基板18が設けられる。加熱基板16は前記加熱コイル7と共に鍋1を加熱する加熱装置に相当するもので、制御基板18から高周波パルスが送られると、所定の高周波電流を供給するためのIH発振回路から高周波電流が加熱コイル7に供給され、加熱コイル7に発生した交番磁界により磁界中に置かれた鍋1に渦電流を発生させる。そして、渦電流がジュール熱に変換されることで鍋1を発熱させ、鍋1ひいては被調理物を直接加熱するようになっている。
【0014】
外枠6の正面には、温度センサ12,13の検出温度や空炊き判定を含むエラーの表示を行なうLCDや、煮込みや保温の各動作工程を点灯表示するLEDなどの各種表示素子により構成される表示部21と、調理動作の開始若しくは停止などを指示する調理スイッチ22が各々設けられる。また、23は外枠6の適所に開口形成された排気口で、冷却ファン17による外枠6内の循環空気が、ここから外部に排気されるようになっている。
【0015】
図2は、調理制御に関わる機能構成を示すブロック図である。同図において、前記制御基板18に搭載されるマイコン31は、内蔵するプログラムシーケンスにより、鍋1内の被調理物を沸騰温度に近い所定温度(例えば92℃)にまで強加熱する煮込み工程を実行する煮込み制御手段32と、鍋1内の被調理物を一定の保温温度に維持する保温制御手段33とを備えて構成される。さらにマイコン31は、煮込み若しくは保温の調理中に、各温度センサ12,13からの検出温度の差が所定値以上に達したら、空炊き検知と判定して、例えばその旨を表示部21のLCDによりエラー表示すると共に、加熱コイル7を強制的にオフにする第1の空炊き判定手段34と、温度センサ12,13からの検出温度が第1の所定温度である保温下限温度(例えば84℃)未満になったら加熱コイル7をオンにし、検出温度が第2の所定温度である保温上限温度(例えば86℃)以上になったら加熱コイル7をオフにして、鍋1内の被調理物を保温温度に保つ制御を保温制御手段33が行なっているときに、加熱コイル7のオン/オフ所要時間が所定時間未満になり、かつこの所定時間未満の状態が所定サイクル継続したら同様に空炊き検知と判定して、例えばその旨を表示部21のLCDによりエラー表示すると共に、加熱コイル7を強制的にオフにする第2の空炊き判定手段35と、調理スイッチ22を押した直後に、空炊き検知制御工程として一定時間加熱コイル7をオフにし、この一定時間が経過したときの検出温度T1を温度センサ12,13から取り込み、その後温度センサ12,13の追従に合った加熱で加熱コイル7を所定時間オン/オフさせ、この所定時間後における検出温度T2を温度センサ12,13から取り込み、前記検出温度の差(T2−T1)が所定値以上であったら同様に空炊き検知と判定して、例えばその旨を表示部21のLCDによりエラー表示するすると共に、加熱コイル7を強制的にオフにする第3の空炊き判定手段36をそれぞれ備えている。
【0016】
次に、動作時における各温度センサ12,13の温度変化と、加熱コイル7の通断電タイミングと、表示部21の表示形態と、工程名を示した図3のグラフを参照しながら、上記構成についてその作用を説明する。
【0017】
先ず、調理スイッチ22を押した直後の第3の空炊き判定手段36が行なう空炊き検知制御工程について、図4〜図6の各グラフを参照しながら説明する。なお図4および図5は、鍋1内に被調理物が収容された通常運転時における加熱コイル7の供給電圧と各部の温度特性を示したもので、Tは温度センサ12の検出温度、tempAは温度センサ12,13とは別の熱電対から得られた加熱コイル7に対向する鍋1の底面周辺部分の温度、tempBは同じく熱電対から得られた加熱コイル7より離れた鍋1の底面中央部分の温度を示している。また図6は、鍋1内に温水を注入したとき(加熱コイル7はオフ)に、温度センサ12の検出温度Tがどのように変化するのかを示したものである。
【0018】
調理スイッチ22を押して空炊き検知制御工程を開始すると、マイコン31は加熱コイル7に短時間電圧を印加し、天板9の上に鍋1が乗せられているか否かを、加熱コイル7に流れる電流の有無に基づき検知する。この場合、加熱コイル7に電流が流れていれば、その後の第3の空炊き判定手段36が行なう空炊き検知制御工程を実行するが、そうでなければ以後の加熱制御を中止して、表示部21によるエラー表示を行なう。
【0019】
空炊き検知制御工程では、先ず加熱コイル7を一定時間Txオフにし、この一定時間Txが終了した時点での温度センサ12の検出温度T1を取り込む。一定時間Txの休止期間を設けることで,温度センサ12の追従を助け、最小限の加熱で空炊き検知を可能にすることができる。次に、鍋1の温度上昇を最小限に押さえながら、温度センサ12の追従性能に合った加熱量で、所定時間加熱コイル7を繰り返しオン/オフさせ、所定時間が経過した時点での温度センサ12の検出温度T2を取り込む。第3の空炊き判定手段36は、この検出温度の差(T2−T1)が図5に示すように所定値以上であれば、空炊き検知を判定して表示部21によるエラー表示を行なうと共に、加熱コイル7を強制的にオフにする。これにより、空炊きにより鍋1が高温になり過ぎるのを抑制し、鍋1の変形や変色も防止できる。逆にこの検出温度の差(T2−T1)が、図4に示すように所定値未満であれば、その後の煮込み制御手段32による煮込み工程を実行する。
【0020】
なお、上記一定時間Txは、空の状態の鍋1に温水を入れたときに、温度センサ12の検出温度Tの上昇がほぼ安定する時間を設定すればよい。例えば、図6において、空状態における温度センサ12の検出温度Taが29.3℃、完全に安定したときの温度センサ12の検出温度Tbが68.9℃であったとすれば、温度センサ12の検出温度Tcが65℃に上昇するまでの時間(この場合は2分)を、一定時間Txの休止期間として設定する。因みに65℃とは、安定時における検出温度Tbと空状態における検出温度Taとの差に対し、ほぼ安定した90%まで上昇した温度である。このような一定時間Txの設定を行なうことで、調理スイッチ22の投入直後に温水などを注入された場合でも、その後の空炊き検知にさほど影響を及ぼさないようにすることができる。
【0021】
このように、加熱コイル7を一定時間Txオフにすることで,温度センサ12の追従を助け、最小限の加熱により鍋1の空炊き検知を行なうことが可能になる。これにより、空炊きに伴ない鍋1が局部的に加熱されることもなく、鍋1が変色したり変形することを防止できる。
【0022】
煮込み工程になると、先ず表示部21の煮込みLED(図示せず)を点灯させ、初期の加熱制御工程を開始する。この加熱制御工程では、温度センサ12,13からの検出温度のどちらか一方が煮込オフ温度となる所定温度(例えば92℃)に達するまで、加熱コイル7をフル通電して鍋1を加熱する。所定温度に達したら、この温度を所定時間(例えば5分)維持するために、加熱コイル7を通断電制御する安定制御工程を引き続き実行する。
【0023】
所定時間の安定制御工程が終了すると、次に保温制御手段33による保温制御工程に移行する。この保温制御工程では、温度センサ12,13から得られる高い方の検出温度が、保温オフ温度(保温下限温度)である84℃未満になったら加熱コイル7をオンさせ、温度センサ12,13から得られる高い方の検出温度が、保温オン温度よりも高く設定した保温オン温度(保温上限温度)である86℃未満になったら加熱コイル7をオフにして、この温度範囲内に鍋1を保温する。鍋1の中に湯(だし汁)が十分にある状態では、鍋1の内部全体に湯が行き渡っているために、温度センサ12,13からの各検出温度の差は殆どない。また、湯を収容した鍋1の熱量は空炊き時に比べて大きいため、加熱コイル7の通断電に伴ない温度センサ12,13からのいずれか一方の検出温度が保温上限温度と保温下限温度との間を往復するサイクル時間もある程度長い。
【0024】
一方、長時間の保温により鍋1内の湯が少なくなってくると、加熱コイル7に対向しておらず、温度センサ13の真上にある鍋1の内底部中央付近に湯が集まり、加熱コイル7に比較的近く、温度センサ12の真上にある鍋1の内底部外周の湯が先になくなる。こうなると、鍋1の材料であるステンレスは熱伝導性が悪いために、湯のなくなった鍋1の内底部外周が冷やされ、比較的変化しない温度センサ13の検出温度に比較して、温度センサ12の検出温度が下がってくる。そのため、温度センサ12,13からの各検出温度に差(10℃〜50℃)を生じる。第1の空炊き判定手段34は、各温度センサ12,13からの検出温度の差が所定値以上に達したら空炊き検知と判定して、表示部21のLCDによりエラー表示を行なうと共に、加熱コイル7を強制的にオフにする。空炊き検知を判定した時点では、少なくとも鍋1の中央部付近に湯が残っており、完全な空炊き状態になる前なので、残り汁で鍋1の内底面が焦げ付くことを防止でき、併せて鍋1への局部的な加熱や、鍋1の変色・変形を防止することができる。
【0025】
なお、保温制御工程に限らず、その前の煮込み制御工程において、各温度センサ12,13からの検出温度の差が所定値以上に達した場合にも、同様の空炊き検知を判定してよい。
【0026】
また、鍋1内の湯が少なくなってくるにしたがって、鍋1の保有する熱量が少なくなり、前記加熱コイル7のオン/オフサイクルも短くなってくる。この現象を利用して、第2の空炊き判定手段35は、加熱コイル7のオン時間とオフ時間がある一定時間(例えば100秒〜300秒)未満になり、しかも所定時間未満の状態が所定のサイクル(例えば、1.5〜10サイクルでもよい)継続したら、空炊き検知と判定して、表示部21のLCDによりエラー表示を行なうと共に、加熱コイル7を強制的にオフにする。なお、加熱コイル7のオン時間とオフ時間が一定時間未満になったときに、すぐに空炊き検知と判定しないのは、一回で判定すると誤検知する可能性があるからで、これにより誤検知の少ない確実な空炊き検知の判定を行なうことができる。
【0027】
因みに、上記一定時間未満の判定は、例えばオン時間とオフ時間が異なっても構わない。例えば、温度センサ12,13のいずれか一方の検出温度が保温下限温度未満になったら加熱コイル7をオンにし、検出温度が保温上限温度以上になったら加熱コイル7をオフにする保温制御を温度制御手段33が行なっているときに、加熱コイル7のオン時間が180秒未満になるか、および/または加熱コイル7のオフ時間が220秒未満になって、それが所定サイクル継続したら空炊き検知を判定してよい。また、加熱コイル7のオン/オフ合計時間で判定してもよい。これらの全ての場合を含めて、加熱コイル7のオン/オフ所要時間が所定時間未満になり、かつこの所定時間未満の状態が所定サイクル継続したら,第2の空炊き判定手段35が空炊き検知を判定すればよい。こうした時間,サイクル継続回数,温度の設定は一例であり、鍋1の容量,加熱能力,保温断熱性によって変わることは云うまでもない。
【0028】
以上のように本実施例によれば、容器としての鍋1と、この鍋1の外底面中央部付近の温度を検出する第1の温度検出手段である温度センサ13と、鍋1の外底面外周部付近の温度を検出する第2の温度検出手段である温度センサ12と、鍋1を加熱する加熱装置としての加熱コイル7と、鍋1を加熱する調理中に温度センサ12と温度センサ13からの各検出温度の差が所定値以上になったら、空炊き検知を判定する判定手段たる第1の空炊き判定手段34とを備えている。
【0029】
鍋1に収容した湯が少なくなると、加熱コイル7に近い部位から湯がなくなってきて、異なる位置に置かれた温度センサ12,13の検出温度に差を生じる。この検出温度の差が所定値以上になったときに、第1の空炊き判定手段34が空炊き検知の判定を行なえば、従来のような温度検出手段の温度上昇に基づいていないので、温度センサ12,13の追従性に左右されることなく、空炊き検知の判定を正しく行なうことができる。またこの場合は、鍋1に湯が少し残った煮詰まる前の状態で空炊き検知の判定が行なわれるので、汁の焦げ付きを防止できると共に、鍋1への局部的な加熱や、鍋1の変色・変形を防止することができる。
【0030】
また本実施例では、容器である鍋1と、この鍋1の温度を検出する検出手段としての温度センサ12,13と、鍋1を加熱する加熱装置としての加熱コイル7と、温度センサ12,13の検出温度が第1の所定温度(保温下限温度)未満になったら加熱コイル7をオンにし、第2の所定温度(保温上限温度)以上になったら加熱コイル7をオフにして保温を行なう制御手段たる保温制御手段33と、加熱コイル7のオン/オフ所要時間が所定時間未満になり、かつこの所定時間未満の状態が所定サイクル継続したら空炊き検知を判定する判定手段としての第2の空炊き判定手段35を備えている。
【0031】
温度センサ12,13の検出温度が保温下限温度未満になったら加熱コイル7をオンにし、保温上限温度以上になったら加熱コイル7をオフにして保温を行なっているときに、鍋1に収容した湯が少なくなると、加熱コイル7のオン/オフ所要時間が短くなる。このオン/オフ所要時間が所定時間未満になり、かつこの所定時間未満の状態が所定サイクル継続したら、第2の空炊き判定手段35が空炊き検知の判定を行なえば、従来のような温度検出手段の温度上昇に基づいていないので、温度センサ12,13の追従性に左右されることなく、空炊き検知の判定を正しく行なうことができる。またこの場合は、単に加熱コイル7のオン/オフ所要時間が所定時間未満になったときにではなく、その状態が所定サイクル継続した時点で、初めて空炊き検知の判定を行なっているので、誤検知の少ない確実な空炊き検知の判定を行なうことができる。
【0032】
さらに、鍋1を電磁誘導加熱するように加熱装置としての加熱コイル7を構成したものでは、本来鍋1への熱効率が高く、しかも鍋1の熱容量が小さいので、空炊きした場合の急激な温度上昇を温度センサ12,13が検知し難かったが、本実施例ではこうした温度センサ12,13の検知のし難さを解消して、空炊き検知の判定を正しく行なうことが可能になる。
【0033】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば、実施例中における温度,時間,サイクル数などの条件設定は一つの例として示したに過ぎず、実際に用いる調理器に合わせて適宜変更すればよい。この通りでなくても構わない。また温度差の判定は、検出温度そのものでなく、温度検知手段を構成するサーミスタからのA/D変換値の差でも構わない。
【0034】
【発明の効果】
本発明の請求項1の調理器によれば、温度検出手段の追従性に左右されることなく、空炊き検知の判定を正しく行なうことができる。また、汁の焦げ付きを防止できると共に、容器への局部的な加熱や、容器の変色・変形を防止することができる。
【0035】
本発明の請求項2の調理器によれば、温度検出手段の追従性に左右されることなく、空炊き検知の判定を正しく行なうことができる。また、誤検知の少ない確実な空炊き検知の判定を行なうことができる。
【0036】
本発明の請求項3の調理器によれば、温度検出手段の検知のし難さを解消して、空炊き検知の判定を正しく行なうことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す調理器の全体断面図である。
【図2】同上調理制御に関わる機能構成を示すブロック図である。
【図3】同上動作時における各温度センサの温度変化と、加熱コイルの通断電タイミングと、表示部の表示形態と、工程名を示したグラフである。
【図4】同上通常運転時における加熱コイルの供給電圧と各部の温度特性を示したグラフである。
【図5】同上空炊き時における加熱コイルの供給電圧と各部の温度特性を示したグラフである。
【図6】同上温水を注入したときに、温度センサからの検出温度がどのように変化するのかを示したグラフである。
である。
【符号の説明】
1 鍋(容器)
7 加熱コイル(加熱装置)
12 温度センサ(第1の温度検出手段)
13 温度センサ(第2の温度検出手段)
33 保温制御手段(制御手段)
34 第1の空炊き判定手段(判定手段)
35 第2の空炊き判定手段(判定手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、空炊き検知機能を備えた調理器に関し、特に電磁誘導加熱方式のおでん調理器などで保温時の空炊き検知を考慮した調理器に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、コンビニエンスストア(CVS)などで調理済のおでんを加熱・保温して販売するための調理器が知られている。こうした調理器においては、ユーザーが誤ってだし汁や具などの被調理物を容器に投入しないまま、調理が開始される場合があり、これをそのまま放置しておくと、本体が異常に発熱したり故障する可能性があるので、空炊き時には容器への加熱を速やかに停止させる必要がある。
【0003】
空炊きを判定する方法としては、急激な温度変化や所定温度以上を検知するのが一般的ではあるが、例えば電磁誘導加熱方式のおでん調理器では、こうした方法による検知が難しい。シーズヒータ方式のおでん調理器は、ヒータで熱板を温めて、その上に載る鍋に熱を伝える構成となっているので、熱板は必ず鍋の温度以上になっており、熱板の温度を監視する温度センサの検出温度が所定温度以上になったことで、空炊きを判定すればよかった。ところが電磁誘導加熱方式のおでん調理器は、誘導コイルからの交番磁界により鍋を直接電磁誘導加熱する構造となっているので、鍋の温度を直接測定する温度センサが必要がある。しかし、電磁誘導加熱方式では鍋に対する熱効率が高く、しかも鍋の熱容量が小さいので、空炊き時には鍋が急速に温度上昇を起こす。そのため、温度センサが急激な温度変化に追従できず、空炊きを速やかに判定できない。
【0004】
また、保温中にだし汁が煮詰まって空炊きになる場合もあり、この状態では煮詰まった汁が容器に焦げ付いて洗うのが大変になり、また局部的な加熱により鍋が変色若しくは変形することもある。さらに、鍋が天板に接触して溶けるなどの不具合もある。
【0005】
本発明は上記問題点を解決しようとするものであり、温度検出手段の追従性に左右されることなく、空炊き検知の判定を正しく行なうことができる調理器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載の調理器によれば、容器に収容した湯が少なくなると、加熱装置に近い部位から湯がなくなってきて、異なる位置に置かれた温度検出手段の検出温度に差を生じる。この温度の差が所定値以上になったときに、判定手段が空炊き検知の判定を行なえば、従来のような温度検出手段の温度上昇に基づいていないので、温度検出手段の追従性に左右されることなく、空炊き検知の判定を正しく行なうことができる。またこの場合は、容器に湯が少し残った煮詰まる前の状態で空炊き検知の判定が行なわれるので、汁の焦げ付きを防止できると共に、容器への局部的な加熱や、容器の変色・変形を防止することができる。
【0007】
本発明の請求項2記載の調理器によれば、検出手段の検出温度が保温下限温度未満になったら加熱装置をオンにし、保温上限温度以上になったら加熱装置をオフにして保温を行なっているときに、容器に収容した湯が少なくなると、加熱装置のオン/オフ所要時間が短くなる。このオン/オフ所要時間が所定時間未満になり、かつこの所定時間未満の状態が継続したら、判定手段が空炊き検知の判定を行なえば、従来のような検出手段の温度上昇に基づいていないので、温度検出手段の追従性に左右されることなく、空炊き検知の判定を正しく行なうことができる。またこの場合は、単に加熱装置のオン/オフ所要時間が所定時間未満になったときにではなく、その状態が継続した時点で、初めて空炊き検知の判定を行なっているので、誤検知の少ない確実な空炊き検知の判定を行なうことができる。
【0008】
本発明の請求項3記載の調理器によれば、容器への熱効率が高く、しかも容器の熱容量が小さいので、空炊きした場合の急激な温度上昇を温度検出手段が検知し難くくなるが、こうした温度検出手段の検知のし難さを解消して、空炊き検知の判定を正しく行なうことが可能になる。
【0009】
【発明の実施形態】
以下、本発明における調理器の一実施例について、添付図面を参照しながら説明する。なお、本実施例における調理器は、CVSなどに販売用として設置されるおでん調理器である。
【0010】
調理器の全体断面図をあらわした図1において、1は被調理物であるおでんの具やだし汁などを収容する有底筒状の容器たる鍋である。鍋1は、電磁特性がよく、かつ耐腐食性を向上させた例えばフェライト系ステンレスなどの磁性金属材料で形成され、その容量は5〜15リットルである。また、鍋1の形状は四角形(長方体)で、0.5〜1.5mm程度の材厚を有し、上面に開口部2を形成している。3は鍋1の側面上部に設けられたフランジ状の取手、4は鍋1の開口部2を覆う着脱可能な蓋体である。鍋1の底面には、上方から見て円環状に形成された凸部5が形成される。
【0011】
6は調理器本体の外郭をなす箱型の外枠、7は磁束を発生する誘導加熱手段としての加熱コイルであり、この加熱コイル7は外枠6の上面に設けられた耐熱樹脂製のコイルベース8に支持される。また、9は前記外枠6の外周上側を覆うようにして設けられた載置部材に相当し、例えばFR−PET樹脂などの耐熱樹脂と結晶化ガラスで形成される天板であり、この天板9の直下に前記コイルベース8が渦巻き状に配置されている。天板9は本体の外郭上面をなすものであり、鍋1を載置するための複数個の突起部10が上方に突出して設けられている。
【0012】
12は鍋1の底面に当接する複数個の突起部10の一つで、鍋1の外底面外周部付近の温度を検出する第2の温度検知手段としての温度センサである。また13は、天板9の底面に接していて、鍋1の外底面中央部付近の温度を検出する第1の温度検出手段としての別の温度センサである。温度センサ12は加熱コイル7の外側に位置しているが、温度センサ13は加熱コイル7の内側に位置している。なお、調理などで鍋1の加熱制御に用いる温度は、常にこの二つの温度センサ12,13のなかで高い検出温度の方を採用する。
【0013】
外枠6の内部には、加熱コイル7に供給する高周波電流を制御するための加熱器15を搭載した加熱基板16と、発熱部品である加熱器15などを冷却する放熱器としての冷却ファン17と、調理器の各部の制御を行なうための制御装置であるマイクロコンピュータ31(図2参照)を搭載した制御基板18が設けられる。加熱基板16は前記加熱コイル7と共に鍋1を加熱する加熱装置に相当するもので、制御基板18から高周波パルスが送られると、所定の高周波電流を供給するためのIH発振回路から高周波電流が加熱コイル7に供給され、加熱コイル7に発生した交番磁界により磁界中に置かれた鍋1に渦電流を発生させる。そして、渦電流がジュール熱に変換されることで鍋1を発熱させ、鍋1ひいては被調理物を直接加熱するようになっている。
【0014】
外枠6の正面には、温度センサ12,13の検出温度や空炊き判定を含むエラーの表示を行なうLCDや、煮込みや保温の各動作工程を点灯表示するLEDなどの各種表示素子により構成される表示部21と、調理動作の開始若しくは停止などを指示する調理スイッチ22が各々設けられる。また、23は外枠6の適所に開口形成された排気口で、冷却ファン17による外枠6内の循環空気が、ここから外部に排気されるようになっている。
【0015】
図2は、調理制御に関わる機能構成を示すブロック図である。同図において、前記制御基板18に搭載されるマイコン31は、内蔵するプログラムシーケンスにより、鍋1内の被調理物を沸騰温度に近い所定温度(例えば92℃)にまで強加熱する煮込み工程を実行する煮込み制御手段32と、鍋1内の被調理物を一定の保温温度に維持する保温制御手段33とを備えて構成される。さらにマイコン31は、煮込み若しくは保温の調理中に、各温度センサ12,13からの検出温度の差が所定値以上に達したら、空炊き検知と判定して、例えばその旨を表示部21のLCDによりエラー表示すると共に、加熱コイル7を強制的にオフにする第1の空炊き判定手段34と、温度センサ12,13からの検出温度が第1の所定温度である保温下限温度(例えば84℃)未満になったら加熱コイル7をオンにし、検出温度が第2の所定温度である保温上限温度(例えば86℃)以上になったら加熱コイル7をオフにして、鍋1内の被調理物を保温温度に保つ制御を保温制御手段33が行なっているときに、加熱コイル7のオン/オフ所要時間が所定時間未満になり、かつこの所定時間未満の状態が所定サイクル継続したら同様に空炊き検知と判定して、例えばその旨を表示部21のLCDによりエラー表示すると共に、加熱コイル7を強制的にオフにする第2の空炊き判定手段35と、調理スイッチ22を押した直後に、空炊き検知制御工程として一定時間加熱コイル7をオフにし、この一定時間が経過したときの検出温度T1を温度センサ12,13から取り込み、その後温度センサ12,13の追従に合った加熱で加熱コイル7を所定時間オン/オフさせ、この所定時間後における検出温度T2を温度センサ12,13から取り込み、前記検出温度の差(T2−T1)が所定値以上であったら同様に空炊き検知と判定して、例えばその旨を表示部21のLCDによりエラー表示するすると共に、加熱コイル7を強制的にオフにする第3の空炊き判定手段36をそれぞれ備えている。
【0016】
次に、動作時における各温度センサ12,13の温度変化と、加熱コイル7の通断電タイミングと、表示部21の表示形態と、工程名を示した図3のグラフを参照しながら、上記構成についてその作用を説明する。
【0017】
先ず、調理スイッチ22を押した直後の第3の空炊き判定手段36が行なう空炊き検知制御工程について、図4〜図6の各グラフを参照しながら説明する。なお図4および図5は、鍋1内に被調理物が収容された通常運転時における加熱コイル7の供給電圧と各部の温度特性を示したもので、Tは温度センサ12の検出温度、tempAは温度センサ12,13とは別の熱電対から得られた加熱コイル7に対向する鍋1の底面周辺部分の温度、tempBは同じく熱電対から得られた加熱コイル7より離れた鍋1の底面中央部分の温度を示している。また図6は、鍋1内に温水を注入したとき(加熱コイル7はオフ)に、温度センサ12の検出温度Tがどのように変化するのかを示したものである。
【0018】
調理スイッチ22を押して空炊き検知制御工程を開始すると、マイコン31は加熱コイル7に短時間電圧を印加し、天板9の上に鍋1が乗せられているか否かを、加熱コイル7に流れる電流の有無に基づき検知する。この場合、加熱コイル7に電流が流れていれば、その後の第3の空炊き判定手段36が行なう空炊き検知制御工程を実行するが、そうでなければ以後の加熱制御を中止して、表示部21によるエラー表示を行なう。
【0019】
空炊き検知制御工程では、先ず加熱コイル7を一定時間Txオフにし、この一定時間Txが終了した時点での温度センサ12の検出温度T1を取り込む。一定時間Txの休止期間を設けることで,温度センサ12の追従を助け、最小限の加熱で空炊き検知を可能にすることができる。次に、鍋1の温度上昇を最小限に押さえながら、温度センサ12の追従性能に合った加熱量で、所定時間加熱コイル7を繰り返しオン/オフさせ、所定時間が経過した時点での温度センサ12の検出温度T2を取り込む。第3の空炊き判定手段36は、この検出温度の差(T2−T1)が図5に示すように所定値以上であれば、空炊き検知を判定して表示部21によるエラー表示を行なうと共に、加熱コイル7を強制的にオフにする。これにより、空炊きにより鍋1が高温になり過ぎるのを抑制し、鍋1の変形や変色も防止できる。逆にこの検出温度の差(T2−T1)が、図4に示すように所定値未満であれば、その後の煮込み制御手段32による煮込み工程を実行する。
【0020】
なお、上記一定時間Txは、空の状態の鍋1に温水を入れたときに、温度センサ12の検出温度Tの上昇がほぼ安定する時間を設定すればよい。例えば、図6において、空状態における温度センサ12の検出温度Taが29.3℃、完全に安定したときの温度センサ12の検出温度Tbが68.9℃であったとすれば、温度センサ12の検出温度Tcが65℃に上昇するまでの時間(この場合は2分)を、一定時間Txの休止期間として設定する。因みに65℃とは、安定時における検出温度Tbと空状態における検出温度Taとの差に対し、ほぼ安定した90%まで上昇した温度である。このような一定時間Txの設定を行なうことで、調理スイッチ22の投入直後に温水などを注入された場合でも、その後の空炊き検知にさほど影響を及ぼさないようにすることができる。
【0021】
このように、加熱コイル7を一定時間Txオフにすることで,温度センサ12の追従を助け、最小限の加熱により鍋1の空炊き検知を行なうことが可能になる。これにより、空炊きに伴ない鍋1が局部的に加熱されることもなく、鍋1が変色したり変形することを防止できる。
【0022】
煮込み工程になると、先ず表示部21の煮込みLED(図示せず)を点灯させ、初期の加熱制御工程を開始する。この加熱制御工程では、温度センサ12,13からの検出温度のどちらか一方が煮込オフ温度となる所定温度(例えば92℃)に達するまで、加熱コイル7をフル通電して鍋1を加熱する。所定温度に達したら、この温度を所定時間(例えば5分)維持するために、加熱コイル7を通断電制御する安定制御工程を引き続き実行する。
【0023】
所定時間の安定制御工程が終了すると、次に保温制御手段33による保温制御工程に移行する。この保温制御工程では、温度センサ12,13から得られる高い方の検出温度が、保温オフ温度(保温下限温度)である84℃未満になったら加熱コイル7をオンさせ、温度センサ12,13から得られる高い方の検出温度が、保温オン温度よりも高く設定した保温オン温度(保温上限温度)である86℃未満になったら加熱コイル7をオフにして、この温度範囲内に鍋1を保温する。鍋1の中に湯(だし汁)が十分にある状態では、鍋1の内部全体に湯が行き渡っているために、温度センサ12,13からの各検出温度の差は殆どない。また、湯を収容した鍋1の熱量は空炊き時に比べて大きいため、加熱コイル7の通断電に伴ない温度センサ12,13からのいずれか一方の検出温度が保温上限温度と保温下限温度との間を往復するサイクル時間もある程度長い。
【0024】
一方、長時間の保温により鍋1内の湯が少なくなってくると、加熱コイル7に対向しておらず、温度センサ13の真上にある鍋1の内底部中央付近に湯が集まり、加熱コイル7に比較的近く、温度センサ12の真上にある鍋1の内底部外周の湯が先になくなる。こうなると、鍋1の材料であるステンレスは熱伝導性が悪いために、湯のなくなった鍋1の内底部外周が冷やされ、比較的変化しない温度センサ13の検出温度に比較して、温度センサ12の検出温度が下がってくる。そのため、温度センサ12,13からの各検出温度に差(10℃〜50℃)を生じる。第1の空炊き判定手段34は、各温度センサ12,13からの検出温度の差が所定値以上に達したら空炊き検知と判定して、表示部21のLCDによりエラー表示を行なうと共に、加熱コイル7を強制的にオフにする。空炊き検知を判定した時点では、少なくとも鍋1の中央部付近に湯が残っており、完全な空炊き状態になる前なので、残り汁で鍋1の内底面が焦げ付くことを防止でき、併せて鍋1への局部的な加熱や、鍋1の変色・変形を防止することができる。
【0025】
なお、保温制御工程に限らず、その前の煮込み制御工程において、各温度センサ12,13からの検出温度の差が所定値以上に達した場合にも、同様の空炊き検知を判定してよい。
【0026】
また、鍋1内の湯が少なくなってくるにしたがって、鍋1の保有する熱量が少なくなり、前記加熱コイル7のオン/オフサイクルも短くなってくる。この現象を利用して、第2の空炊き判定手段35は、加熱コイル7のオン時間とオフ時間がある一定時間(例えば100秒〜300秒)未満になり、しかも所定時間未満の状態が所定のサイクル(例えば、1.5〜10サイクルでもよい)継続したら、空炊き検知と判定して、表示部21のLCDによりエラー表示を行なうと共に、加熱コイル7を強制的にオフにする。なお、加熱コイル7のオン時間とオフ時間が一定時間未満になったときに、すぐに空炊き検知と判定しないのは、一回で判定すると誤検知する可能性があるからで、これにより誤検知の少ない確実な空炊き検知の判定を行なうことができる。
【0027】
因みに、上記一定時間未満の判定は、例えばオン時間とオフ時間が異なっても構わない。例えば、温度センサ12,13のいずれか一方の検出温度が保温下限温度未満になったら加熱コイル7をオンにし、検出温度が保温上限温度以上になったら加熱コイル7をオフにする保温制御を温度制御手段33が行なっているときに、加熱コイル7のオン時間が180秒未満になるか、および/または加熱コイル7のオフ時間が220秒未満になって、それが所定サイクル継続したら空炊き検知を判定してよい。また、加熱コイル7のオン/オフ合計時間で判定してもよい。これらの全ての場合を含めて、加熱コイル7のオン/オフ所要時間が所定時間未満になり、かつこの所定時間未満の状態が所定サイクル継続したら,第2の空炊き判定手段35が空炊き検知を判定すればよい。こうした時間,サイクル継続回数,温度の設定は一例であり、鍋1の容量,加熱能力,保温断熱性によって変わることは云うまでもない。
【0028】
以上のように本実施例によれば、容器としての鍋1と、この鍋1の外底面中央部付近の温度を検出する第1の温度検出手段である温度センサ13と、鍋1の外底面外周部付近の温度を検出する第2の温度検出手段である温度センサ12と、鍋1を加熱する加熱装置としての加熱コイル7と、鍋1を加熱する調理中に温度センサ12と温度センサ13からの各検出温度の差が所定値以上になったら、空炊き検知を判定する判定手段たる第1の空炊き判定手段34とを備えている。
【0029】
鍋1に収容した湯が少なくなると、加熱コイル7に近い部位から湯がなくなってきて、異なる位置に置かれた温度センサ12,13の検出温度に差を生じる。この検出温度の差が所定値以上になったときに、第1の空炊き判定手段34が空炊き検知の判定を行なえば、従来のような温度検出手段の温度上昇に基づいていないので、温度センサ12,13の追従性に左右されることなく、空炊き検知の判定を正しく行なうことができる。またこの場合は、鍋1に湯が少し残った煮詰まる前の状態で空炊き検知の判定が行なわれるので、汁の焦げ付きを防止できると共に、鍋1への局部的な加熱や、鍋1の変色・変形を防止することができる。
【0030】
また本実施例では、容器である鍋1と、この鍋1の温度を検出する検出手段としての温度センサ12,13と、鍋1を加熱する加熱装置としての加熱コイル7と、温度センサ12,13の検出温度が第1の所定温度(保温下限温度)未満になったら加熱コイル7をオンにし、第2の所定温度(保温上限温度)以上になったら加熱コイル7をオフにして保温を行なう制御手段たる保温制御手段33と、加熱コイル7のオン/オフ所要時間が所定時間未満になり、かつこの所定時間未満の状態が所定サイクル継続したら空炊き検知を判定する判定手段としての第2の空炊き判定手段35を備えている。
【0031】
温度センサ12,13の検出温度が保温下限温度未満になったら加熱コイル7をオンにし、保温上限温度以上になったら加熱コイル7をオフにして保温を行なっているときに、鍋1に収容した湯が少なくなると、加熱コイル7のオン/オフ所要時間が短くなる。このオン/オフ所要時間が所定時間未満になり、かつこの所定時間未満の状態が所定サイクル継続したら、第2の空炊き判定手段35が空炊き検知の判定を行なえば、従来のような温度検出手段の温度上昇に基づいていないので、温度センサ12,13の追従性に左右されることなく、空炊き検知の判定を正しく行なうことができる。またこの場合は、単に加熱コイル7のオン/オフ所要時間が所定時間未満になったときにではなく、その状態が所定サイクル継続した時点で、初めて空炊き検知の判定を行なっているので、誤検知の少ない確実な空炊き検知の判定を行なうことができる。
【0032】
さらに、鍋1を電磁誘導加熱するように加熱装置としての加熱コイル7を構成したものでは、本来鍋1への熱効率が高く、しかも鍋1の熱容量が小さいので、空炊きした場合の急激な温度上昇を温度センサ12,13が検知し難かったが、本実施例ではこうした温度センサ12,13の検知のし難さを解消して、空炊き検知の判定を正しく行なうことが可能になる。
【0033】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば、実施例中における温度,時間,サイクル数などの条件設定は一つの例として示したに過ぎず、実際に用いる調理器に合わせて適宜変更すればよい。この通りでなくても構わない。また温度差の判定は、検出温度そのものでなく、温度検知手段を構成するサーミスタからのA/D変換値の差でも構わない。
【0034】
【発明の効果】
本発明の請求項1の調理器によれば、温度検出手段の追従性に左右されることなく、空炊き検知の判定を正しく行なうことができる。また、汁の焦げ付きを防止できると共に、容器への局部的な加熱や、容器の変色・変形を防止することができる。
【0035】
本発明の請求項2の調理器によれば、温度検出手段の追従性に左右されることなく、空炊き検知の判定を正しく行なうことができる。また、誤検知の少ない確実な空炊き検知の判定を行なうことができる。
【0036】
本発明の請求項3の調理器によれば、温度検出手段の検知のし難さを解消して、空炊き検知の判定を正しく行なうことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す調理器の全体断面図である。
【図2】同上調理制御に関わる機能構成を示すブロック図である。
【図3】同上動作時における各温度センサの温度変化と、加熱コイルの通断電タイミングと、表示部の表示形態と、工程名を示したグラフである。
【図4】同上通常運転時における加熱コイルの供給電圧と各部の温度特性を示したグラフである。
【図5】同上空炊き時における加熱コイルの供給電圧と各部の温度特性を示したグラフである。
【図6】同上温水を注入したときに、温度センサからの検出温度がどのように変化するのかを示したグラフである。
である。
【符号の説明】
1 鍋(容器)
7 加熱コイル(加熱装置)
12 温度センサ(第1の温度検出手段)
13 温度センサ(第2の温度検出手段)
33 保温制御手段(制御手段)
34 第1の空炊き判定手段(判定手段)
35 第2の空炊き判定手段(判定手段)
Claims (3)
- 容器と、この容器の外底面中央部付近の温度を検出する第1の温度検出手段と、前記容器の外底面外部付近の温度を検出する第2の温度検出手段と、前記容器を加熱する加熱装置と、温度の差が所定値以上になったら、空炊き検知を判定する判定手段とを備えたことを特徴とする調理器。
- 容器と、温度を検出する検出手段と、前記容器を加熱する加熱装置と、温度が所定温度未満になったら前記加熱装置をオンにし、所定温度以上になったら前記加熱装置をオフにして保温を行なう制御手段と、オン/オフ所要時間が所定時間未満になり、かつこの所定時間未満の状態が継続したら空炊き検知を判定する判定手段とを備えたことを特徴とする調理器。
- 前記加熱装置は、前記容器を電磁誘導加熱するものであることを特徴とする請求項1または2記載の調理器。
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JP2002311735A JP2004141500A (ja) | 2002-10-25 | 2002-10-25 | 調理器 |
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Cited By (1)
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JP2008054916A (ja) * | 2006-08-31 | 2008-03-13 | Tiger Vacuum Bottle Co Ltd | 電気炊飯器 |
-
2002
- 2002-10-25 JP JP2002311735A patent/JP2004141500A/ja active Pending
Cited By (1)
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JP2008054916A (ja) * | 2006-08-31 | 2008-03-13 | Tiger Vacuum Bottle Co Ltd | 電気炊飯器 |
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