JP3692529B2 - おでん調理器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、容器に収容した被煮物を適温に保持させ、消費電力量を低減させた保温制御機能を有するおでん調理器に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、コンビニエンスストアなどで被煮物であるおでんを加熱・保温して販売するためのおでん調理器が知られている。従来この種の調理器は、おでんの具とスープを水に入れ、加熱装置であるヒータにより容器を90〜95℃に加熱して被煮物を煮込んだ後、この被煮物を所定の保温温度すなわち80℃前後に保持させて、消費電力量の低減を図るようにしている。
【0003】
上記構成のおでん調理器は、保温中に容器の外部または被煮物の温度を検出する温度検出手段としての温度センサが設けられており、この温度センサからの温度情報に基づき保温制御を行なっている。しかし、同じセンサ温度で保温制御を行なっていても、保温中に容器の上部開口部を蓋体すなわち蓋で覆っているか否かで、実際のおでんの温度は約5℃程度異なっている。
【0004】
また、容器の上部開口部を蓋で覆って保温を行なうと、煮こぼれを生じることがある。この場合は、容器周辺を掃除しなければならず、すぐに掃除を行なわないと、煮こぼれたものがこびりついてしまう。特に、温度センサにこびり付くと、温度センサが故障したり、温度検出精度が悪くなったりする。温度検出精度が悪化した状態では、容器の外部または被煮物の温度を正しく検出できないため、さらに煮こぼれを生じやすくなる。また、こうした煮こぼれは、店でおでんを販売する際に顧客への印象が悪くなり、売り上げの低下となりかねない。
【0005】
さらに、保温中におでんの温度が高くなり過ぎると、消費電力量が多くなり、結果的におでんのコストが上昇する。また、エネルギーや環境問題の見地からも、無駄を生じて好ましくない。加えて、おでんの具によっては堅くなったり、変色を生じて長時間の保温ができなくなる。このような堅くなったり変色したものは、店でおでんを販売する場合に廃棄せざるを得ず、これもおでんのコストを上昇させる原因となる。
【0006】
逆に、煮こぼれを防ぐために、保温制御時の温度を低くすると、おでんの具に味が良く浸み込まず、またおでんがぬるくて美味しくない。さらに保温温度を低くし過ぎると、大腸菌などのバクテリアを殺傷できなくなり、衛生面で問題になる。
【0007】
また、蓋の有無を検知する専用のセンサを設けると、その分がコストアップとなる。また、構造が複雑になるため故障しやすくなり、おでん調理器のサイズも大きくなる懸念を生じていた。
【0008】
本発明は上記問題点を解決しようとするものであり、専用のセンサを設けることなく、蓋体の有無を容易に検知することができるおでん調理器を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明の別の目的は、蓋体の有る無しに拘らず、保温中における被煮物の温度を一定に保持することの可能なおでん調理器を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載のおでん調理器によれば、蓋体を容器の上面に装着した場合は、蓋体を装着していない場合に比べて、被煮物からの熱が外部に逃げにくくなるため、保温制御時において加熱装置を断電(オフ)したときに、温度検出手段の検出温度が所定の温度に低下するまでの時間が、蓋体を装着しない場合よりも長くなる。本発明はこの点に着目してなされたもので、保温制御時において温度検出手段の検出温度が所定の温度に低下するまでの加熱装置の無通電時間が、所定時間以上であるか否かを判断するだけで、容器の上面における蓋体の有無を容易に検知することができる。したがって、蓋体の有無を検知する専用のセンサは不要となり、コストアップを回避できる。また、専用のセンサがない分だけ構造が簡単になるので、故障が少なくなり、専用のセンサを設けたことによるサイズの大型化も回避できる。
【0011】
本発明の請求項2記載のおでん調理器によれば、蓋体を容器の上面に装着した場合は、蓋体を装着していない場合に比べて、被煮物からの熱が外部に逃げにくくなるため、保温制御時において加熱装置を通電(オン)したときに、温度検出手段の検出温度が所定の温度に上昇するまでの時間が、蓋体を装着しない場合よりも短くなる。本発明はこの点に着目してなされたもので、保温制御時において温度検出手段の検出温度が所定の温度に達するまでの加熱装置の通電時間が、所定時間以下であるか否かを判断するだけで、容器の上面における蓋体の有無を容易に検知することができる。
【0012】
本発明の請求項3記載のおでん調理器によれば、蓋体を容器の上面に装着した場合は、蓋体を装着していない場合に比べて、被煮物からの熱が外部に逃げにくくなるため、保温制御時において温度検出手段の検出温度を所定の温度に維持するのに必要な加熱装置の通電率が、蓋体を装着しない場合よりも低くなる。本発明はこの点に着目してなされたもので、保温制御時において温度検出手段の検出温度を所定の温度に維持するのに必要な加熱装置の通電率が、所定値以下であるか否かを判断するだけで、容器の上面における蓋体の有無を容易に検知することができる。
【0013】
本発明の請求項4記載のおでん調理器によれば、蓋体が装着されている時の保温制御の温度を、蓋体が装着されていない時の保温制御の温度よりも低くすることにより、蓋体の有る無しに拘らず、容器内の被煮物の温度を一定にすることができる。これにより、容器からの煮こぼれを無くすとともに、余分に加熱したり加熱不足になることを無くし、美味しいおでんに仕上げることが可能になる。さらに、余分な加熱を行なわないため、おでんのコスト上昇を抑えることができ、またエネルギーや環境問題の見地からも、無駄が少なくなって好ましい。さらに、加熱不足に伴なう大腸菌などのバクテリアの増殖を抑え、衛生面でも好ましいものとなる。
【0014】
本発明の請求項5記載のおでん調理器によれば、保温制御の温度が低い状態で保温制御を開始することになるので、容器からの煮こぼれを確実に防止できる。
また、煮込み調理から保温制御に移行した場合に、おでんの温度を確実に下げることができ、おでんの具にだし汁が十分に浸み込んで美味しくなる。さらに保温制御の開始直後に余分な加熱を行なわないため、おでんのコスト上昇を押えることができ、またエネルギーや環境問題の見地からも、無駄が少なくなって好ましい。
【0015】
本発明の請求項6記載のおでん調理器によれば、加熱時における容器の熱応答性が早くなり、蓋体の有無の検知がより確実になる。
【0016】
【発明の実施形態】
以下、本発明におけるおでん調理器の一実施例について、添付図面を参照しながら説明する。
【0017】
おでん調理器の全体断面図をあらわした図1において、1は被煮物であるおでんを収容する有底筒状の容器である。容器1は、例えばフェライト系ステンレスなどの磁性金属材料で形成され、その容量は好ましくは5〜15リットルである。また、容器1の形状は四角形(長方体)で、0.5〜1.5mm程度の材厚を有し、上面に開口部2を形成している。なお、3は、容器1の上部外周に設けられたフランジ状の取手である。4は容器1の開口部2を覆う着脱可能な蓋体であり、この蓋体4を容器1の上端部に載置して、容器1の開口部2全体を塞ぐようにしている。
【0018】
6は略箱状をなすおでん調理器の器体であり、これは耐熱樹脂であるFR−PET(ガラス繊維強化ポリエチレンテレフタレート)樹脂からなる天板7と、器体6の底部を形成する底板8とにより、その外郭が概ね形成される。容器1を載置する天板7の上面には、温度検出手段としての温度センサ9が2個突出して設けられる。これらの温度センサ9,9は、いずれも容器1の角部底面に接触してこの部分の温度を検出するものであるが、仮に容器1が変形しても、どちらか一方の温度センサ9が適切な温度を検出できるように、容器1に対して対角にならないように、それぞれの温度センサ9,9が配置される。また、2つの温度センサ9,9のなかで、検出温度の高い方を採用するようにしている。本実施例では容器1の底面角部の温度を測定する構成としたが、容器1の他の外温度を測定する構成としてもよい。なお10は、器体6を床面などに安定して載置させるための脚である。
【0019】
11は、容器を加熱する加熱装置に相当する加熱コイルである。加熱コイル11は天板7の直下に位置しており、天板7を上から見たときに渦巻き状に配置される。また、12はマイクロコンピュータ(マイコン21:図2参照)を搭載した制御基板であり、このマイコン21により温度センサのA/D変換や温度判定、保温制御や時間計測などを行なっている。また、同じ器体6内に配置した別の加熱基板13に、高周波パルスの送信も行なっている。なお、マイコン21の機能については、後程詳述する。加熱基板13は加熱コイル11に所定の高周波電流を供給するIH(誘導加熱)発振回路を備え、制御基板12から加熱基板13に高周波パルスが送られると、IH発振回路から加熱コイル11に高周波電流が供給され、加熱コイル11に交番磁界が発生して、磁界中に置かれた容器1に渦電流が発生する。そしてこの渦電流がジュール熱に変換されることで、容器1が発熱して容器1ひいては被煮物を加熱する構成となっている。なお、15は器体6の内部に設けられた冷却ファン、16は器体6の正面に設けられた操作・表示部である。また、17は器体6の側面に設けられた排気口、18は加熱基板13の発熱部品に装着した放熱器であり、放熱器18に達した熱を冷却ファン15により速やかに奪い、排気口17から器体6の外部に放出する構成となっている。
【0020】
加熱装置としては、本実施例における加熱コイル11による誘導加熱式の他に、シーズヒータを利用したヒータ式などを採用することも可能である。但し、誘導加熱式を採用した場合は、加熱時における容器1の熱応答性が早くなり、蓋体4の有無の検知がより確実になる点で好ましい。
【0021】
図2は、主に制御基板12に搭載されるマイコン21の機能構成をあらわしたブロック図である。同図において、マイコン21の入力側には、前記温度センサ9からの温度情報と、操作・表示部16を構成する操作スイッチ22からのスイッチ情報がそれぞれ供給されるようになっている。また、マイコン21の出力側には、前記加熱基板13の他に、操作・表示部16を構成するLCD(液晶表示器)23や、LED(発光ダイオード)24が接続される。マイコン21は、自身が保有するプログラムの制御シーケンスに基づいて煮込みや保温の各工程を実行する機能を有しており、具体的には調理開始から容器1内の被煮物を煮込むまでの煮込み工程中における各部の動作を制御する煮込み制御手段25と、容器1内の被煮物を所定温度に保持する保温制御工程中における各部の動作を制御する保温制御手段26とを備えている。そして、これらの煮込み制御手段25および保温制御手段26に共通して、前記加熱基板13に高周波パルスを送出して、加熱装置である加熱コイル11を制御する加熱制御装置27としての機能を、マイコン21は備えている。
【0022】
さらに保温制御手段26は、加熱コイル11の通電時間を計測する時間計測手段28と、この時間計測手段28で計測した通電時間が所定時間以下である場合に、蓋体4が装着状態であることを検知する蓋体検知手段29とを備え、蓋体検知手段29により蓋体4が装着状態である(蓋体有り)と検知した場合は、蓋体4が装着されていない(蓋体なし)と検知した場合よりも、被煮物の保温制御の温度を低くするように構成している。
【0023】
次に、上記構成につき、その作用を図3のグラフおよび図4のフローチャート(流れ図)に基づき説明する。なお、図3において、上段のグラフは温度センサ9の検出温度Tを示しており、以下、蓋体4の有る無し、加熱コイル11の通断電状態、LCD23およびLED24の表示状態をそれぞれ示している。
【0024】
予めおでんの具とスープを水とともに収容した容器1を天板7の上面に載せ、容器1の開口部2を蓋体4で覆う。この蓋体有りの状態で、操作スイッチ22の開始スイッチ(図示せず)を押すと、煮込み制御手段25による煮込み工程が開始する。煮込み工程の開始当初は、LCD23は容器1内の具体的な温度を表示せず(「−」を表示)、また全てのLED24は消灯しているが、やがて煮込み中であることを表示するために、「煮込み」に対応するLED24が点灯する。その後、煮込み制御手段25は加熱基板13に高周波パルスを送出して加熱コイル11をフル通電し、温度センサ9の検出温度Tが煮込み温度である92℃(85℃〜100℃)に達するまで、容器1を強加熱する。そして、温度センサ9の検出温度Tが92℃に達したら、この煮込み温度を5分(0分〜30分程度)保持させるために、所定のタイミングで加熱コイル11を通断電し、次の保温制御工程に移行する。なお、煮込み工程の途中で、温度センサ9の検出温度Tが50℃以上になったら、LCD23はそれまでの「−」の表示に代わって、容器1内の具体的な温度を2桁の数字で表示する。また煮込み工程中は、おでんの販売を行なわない。
【0025】
次に、保温制御工程における動作を説明する。保温制御工程では、蓋体検知手段29で検知した蓋体4の有る無しに基づいて、図4に示す左側の点線で囲まれた蓋体有り保温と、右側の点線で囲まれた蓋体無し保温のいずれか一方が保温制御手段26によって行なわれる。但し、保温制御の開始直後は、蓋体検知手段29が蓋体4の有無を判断できないので、保温制御手段26は蓋体有り保温を優先的に実行する。また、保温制御工程に移行すると、販売可能であることを表示するために、「販売」に対応するLED24が点灯する。
【0026】
蓋体有りの保温制御では、ステップS1,S2の各手順で、温度センサ9の検知温度Tが第1の温度である74℃(60℃〜85℃)未満になるまで、加熱コイル11を断電すなわちオフにして待機する。そして、検出温度Tが74℃未満になったら、次のステップS3において、時間計測手段28に内蔵するタイマの時間カウンタCをゼロすなわちリセットして、検出温度Tが第2の温度である75℃(65℃〜90℃)以上になるまで、加熱コイル11を通電すなわちオンにする(ステップS4,S5)。検出温度Tが75℃に達したら、次のステップS6において、蓋体検知手段29は時間計測手段28がそれまでカウントした時間カウンタCの秒数を調べ、時間カウンタCが第1の時間である240秒(30秒〜3000秒)未満ならば、蓋体4が有るものと判断し、蓋体有りの保温制御を繰り返し実行する。逆に、このステップS6において時間カウンタCが240秒以上ならば、蓋体4が無いものと判断して、後述する蓋体無しの保温制御に移行する。
【0027】
蓋体無しの保温制御では、ステップS11,S12の各手順で、温度センサ9の検知温度Tが前記第1の温度よりも高い第3の温度に相当する79℃(65℃〜90℃)未満になるまで、加熱コイル11をオフにして待機する。そして、検出温度Tが79℃未満になったら、次のステップS13において、時間計測手段28に内蔵するタイマの時間カウンタCをゼロすなわちリセットして、検出温度Tが前記第2の温度よりも高い第4の温度に相当する80℃(70℃〜95℃)以上になるまで、加熱コイル11を通電すなわちオンにする(ステップS14,S15)。検出温度Tが80℃に達したら、次のステップS16において、蓋体検知手段29は時間計測手段28がそれまでカウントした時間カウンタCの秒数を調べ、時間カウンタCが第2の時間である240秒(30秒〜3000秒)未満ならば、蓋体4が有るものと判断し、前記ステップS1〜S6における蓋体有りの保温制御に移行する。逆に、このステップS16において時間カウンタCが240秒以上ならば、蓋体4が無いものと判断して、蓋体無しの保温制御を繰り返し実行する。
【0028】
このように、蓋体検知手段29が蓋体有りと検知した場合は、蓋体検知手段29が蓋体なしと検知した場合よりも、容器1内に収容した被煮物の保温制御時の温度が約5℃低くなるように、加熱コイル11の加熱量が加熱制御装置27によって加減される。したがって、実際の被煮物の温度は、蓋体4を容器1の上面に載せた場合と載せない場合で、双方の違いが殆ど無くなる。また、蓋体検知手段29が蓋体4の有無を検知するのは、温度センサ9の検出温度Tがある温度(第1の温度から第2の温度、若しくは第3の温度から第4の温度)に上昇するまでの、加熱コイル11のオフ時間(無通電時間)を計測した結果に基づいているので、実質的には既存の温度センサ9からの温度情報を取り入れて、マイコン21の内部プログラムを修正するだけでよく、専用のセンサを付加する必要がない。
【0029】
ここで、蓋体4により容器1の開口部2を覆った蓋体有りの状態と、蓋体4を容器1の開口部2から外した蓋体無しの状態で、容器1内の中央部付近の水温(湯温)と、温度センサ9付近のケース温度(制御側)と、加熱コイル11のオン時間,オフ時間および通電率がどのように異なるかを、次の表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
なお、上記表1は、室温が35℃,20℃,5℃で、容器1に収容する水量が10リットル,5リットルの各場合において、蓋体有りまたは蓋体無しで蓋体検知手段29による蓋体検知を行なわずに保温を行なったときの試験結果を表している。水温およびセンサ温度は、試験を10回行なった時の最大値と最小値および平均値が順に記載されている。また、加熱コイル11のオン時間,オフ時間および通電率は、その一部が同じ条件で上下2段に分かれて記載されているが、これもバラツキを考慮して10回試験を行なった最大値と最小値に対応する。
【0032】
上記試験結果により、蓋体4が有る場合とない場合とでは、約5℃の温度差があることがわかる。また、室温や容器1の容量の違いに関係なく、蓋体4が有る場合とない場合とでは、加熱コイル11のオン時間,オフ時間および通電率に明確な差異が有ることがわかる。
【0033】
以上のように、本実施例によれば、被煮物を収容する容器1と、容器1の上面を覆う着脱可能な蓋体4と、容器1を加熱する加熱装置としての加熱コイル11と、加熱コイルを制御する加熱制御装置27と、容器1の外面または被煮物の温度を測定する温度検出手段としての温度センサ9と、温度センサ9の検知温度が所定の温度(実施例では74℃から75℃、または79℃から80℃)に上昇するまでの加熱コイル11の通電時間を計測する時間計測手段28とを備え、被煮物の保温制御を行なうときに、時間計測手段28で計測した加熱コイルの通電時間が所定時間以下(実施例では240秒未満)である場合に、蓋体4が装着状態であることを検知するように構成している。
【0034】
蓋体4を容器1の上面に装着した場合は、蓋体4を装着していない場合に比べて、被煮物からの熱が外部に逃げにくくなるため、保温制御時において加熱コイル11を通電(オン)したときに、温度センサ9の検出温度が所定の温度に上昇するまでの時間が、蓋体4を装着しない場合よりも短くなる。本実施例はこの点に着目してなされたもので、保温制御時において温度センサ9の検出温度が所定の温度に達するまでの加熱コイル11の通電時間が、所定時間以下であるか否かを判断するだけで、容器1の上面における蓋体4の有無を容易に検知することができる。したがって、蓋体4の有無を検知する専用のセンサは不要となり、コストアップを回避できる。また、専用のセンサがない分だけ構造が簡単になるので、故障が少なくなり、専用のセンサを設けたことによるサイズの大型化も回避できる。
【0035】
なお、本実施例では、加熱コイル11の通電時間に基づき、蓋体4の有無を検知するように構成しているが、蓋体4を容器1の上面に装着した場合は、蓋体4を装着していない場合に比べて、保温制御時において加熱コイル11を断電したときに、温度センサ9の検出温度が所定の温度に低下するまでの時間が、蓋体4を装着しない場合よりも長くなることに着目し、保温制御時において、加熱コイル11をある温度で断電(オフ)してから、温度センサ9の検出温度が所定の温度に低下するまでの加熱コイル11の無通電時間を時間計測手段28で計測し、この加熱コイル11の無通電時間が所定時間以上である場合に、蓋体4が装着状態であることを検知するように構成してもよい。
【0036】
この場合は、保温制御時において温度センサ9の検出温度が所定の温度に低下するまでの加熱コイル11の無通電時間が、所定時間以上であるか否かを判断するだけで、容器1の上面における蓋体4の有無を容易に検知することができる。
【0037】
さらに、保温制御時において、温度センサ9の検出温度を所定の温度に維持するのに必要な加熱コイル11の通断電時間を時間計測手段28で計測し、この加熱コイル11の通断電時間に基づき算出した加熱コイル11の通電率が所定値以下である場合に、蓋体4が装着状態であることを検知するように構成してもよい。これは、蓋体4を容器1の上面に装着した場合に、蓋体4を装着していない場合に比べて、保温制御時において温度センサ9の検出温度を所定の温度に維持するのに必要な加熱コイル11の通電率が、蓋体4を装着しない場合よりも低くなることに着目してなされたものであり、保温制御時において加熱コイル11の通電率が所定値以下であるか否かを判断するだけで、容器の上面における蓋体の有無を容易に検知することができる。
【0038】
また本実施例では、蓋体4の有無を検知した結果、蓋体有りと検知した場合は蓋体なしと検知した場合よりも、容器1内の被煮物の保温制御の温度を低くするように保温制御手段26を構成している。
【0039】
このように、蓋体4が装着されている時の保温制御の温度を、蓋体4が装着されていない時の保温制御の温度よりも低くすることにより、蓋体4の有る無しに拘らず、容器1内の被煮物の温度を一定にすることができる。これにより、容器からの煮こぼれを無くすとともに、余分に加熱したり加熱不足になることを無くし、美味しいおでんに仕上げることが可能になる。さらに、余分な加熱を行なわないため、おでんのコスト上昇を押えることができ、またエネルギーや環境問題の見地からも、無駄が少なくなって好ましい。さらに、加熱不足に伴なう大腸菌などのバクテリアの増殖を抑え、衛生面でも好ましいものとなる。
【0040】
さらに本実施例では、保温制御の開始直後で蓋体4の有無を判断できないときに、蓋体有りに相当する温度から保温制御を開始するように構成している。このようにすると、保温制御の温度が低い状態で保温制御を開始することになるので、容器1からの煮こぼれを確実に防止できる。また、煮込み調理から保温制御に移行した場合に、おでんの温度を確実に下げることができ、おでんの具にだし汁が十分に浸み込んで美味しくなる。さらに保温制御の開始直後に余分な加熱を行なわないため、おでんのコスト上昇を押えることができ、またエネルギーや環境問題の見地からも、無駄が少なくなって好ましい。
【0041】
さらに本実施例では、加熱装置として誘導加熱方式の加熱コイル11を用いているので、加熱時における容器1の熱応答性が早くなり、蓋体4の有無の検知がより確実になる。
【0042】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば、実施例中における保温制御の各温度や時間は一つの例として示したに過ぎず、この通りで無くても構わない。要するに、蓋体4の有無を正しく検知でき、容器1内のおでんの温度が適切に制御できれば構わない。また、実施例では2個の温度センサ9を使用しているが、正しく温度が検出できれば1個でもよいし、3個以上使用してもよい。
【0043】
【発明の効果】
本発明の請求項1のおでん調理器によれば、専用のセンサを設けることなく、保温制御時において加熱装置の無通電時間が所定時間以上であるか否かを判断するだけで、蓋体の有無を容易に検知することができる。
【0044】
本発明の請求項2のおでん調理器によれば、専用のセンサを設けることなく、保温制御時において加熱装置の通電時間が所定時間以下であるか否かを判断するだけで、蓋体の有無を容易に検知することができる。
【0045】
本発明の請求項3のおでん調理器によれば、専用のセンサを設けることなく、保温制御時において加熱装置の通電率が所定値以下であるか否かを判断するだけで、蓋体の有無を容易に検知することができる。
【0046】
本発明の請求項4のおでん調理器によれば、蓋体の有る無しに拘らず、容器内の被煮物の温度を一定にすることができる。
【0047】
本発明の請求項5のおでん調理器によれば、容器からの煮こぼれを確実に防止できるとともに、おでんの具にだし汁が十分に浸み込んで美味しくなる。さらに保温制御の開始直後に余分な加熱を行なわないため、おでんのコスト上昇を押えることができ、またエネルギーや環境問題の見地からも無駄が少なく好ましい。
【0048】
本発明の請求項6のおでん調理器によれば、蓋体の有無の検知をより確実になものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すおでん調理器の全体断面図である。
【図2】同上マイコンの機能構成をあらわしたブロック図である。
【図3】同上各部の表示状態と各制御パターンのタイミングを示すグラフである。
【図4】同上保温工程時における動作の流れ図である。
【符号の説明】
1 容器
4 蓋体
9 温度センサ(温度検出手段)
11 加熱コイル(加熱装置)
27 加熱制御装置
28 時間計測手段
Claims (6)
- 被煮物を収容する容器と、前記容器の上面を覆う着脱可能な蓋体と、前記容器を加熱する加熱装置と、前記加熱装置を制御する加熱制御装置と、前記加熱装置の断電時間を計測する時間計測手段と、前記容器の外部または前記被煮物の温度を測定する温度検出手段とを備え、前記被煮物の保温制御を行なうときに、前記時間計測手段で計測した前記加熱装置の無通電時間が所定時間以上である場合に、前記蓋体が装着状態であることを検知するように構成したことを特徴とするおでん調理器。
- 被煮物を収容する容器と、前記容器の上面を覆う着脱可能な蓋体と、前記容器を加熱する加熱装置と、前記加熱装置を制御する加熱制御装置と、前記加熱装置の通電時間を計測する時間計測手段と、前記容器の外部または前記被煮物の温度を測定する温度検出手段とを備え、前記被煮物の保温制御を行なうときに、前記時間計測手段で計測した前記加熱装置の通電時間が所定時間以下である場合に、前記蓋体が装着状態であることを検知するように構成したことを特徴とするおでん調理器。
- 被煮物を収容する容器と、前記容器の上面を覆う着脱可能な蓋体と、前記容器を加熱する加熱装置と、前記加熱装置を制御する加熱制御装置と、前記加熱装置の通断電時間を計測する時間計測手段と、前記容器の外部または前記被煮物の温度を測定する温度検出手段とを備え、前記被煮物の保温制御を行なうときに、前記時間計測手段で計測した前記加熱装置の通電率が所定値以下である場合に、前記蓋体が装着状態であることを検知するように構成したことを特徴とするおでん調理器。
- 被煮物を収容する容器と、前記容器の上面を覆う着脱可能な蓋体と、前記容器を加熱する加熱装置と、前記加熱装置を制御する加熱制御装置と、前記加熱装置の通電時間を計測する時間計測手段と、前記容器の外部または前記被煮物の温度を測定する温度検出手段とを備え、前記蓋体の有無を検知して、蓋体有りと検知した場合は蓋体なしと検知した場合よりも前記被煮物の保温制御の温度を低くするように構成したことを特徴とするおでん調理器。
- 前記保温制御の開始直後で前記蓋体の有無を判断できないときに、蓋体有りに相当する温度から保温制御を開始するように構成したことを特徴とする請求項4記載のおでん調理器。
- 前記加熱装置は誘導加熱方式のものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のおでん調理器。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2000240313A JP3692529B2 (ja) | 2000-08-08 | 2000-08-08 | おでん調理器 |
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