JP2004140083A - 半導体発光素子 - Google Patents

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齊藤 肇
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Abstract

【課題】層厚方向における光導波モードの制御性に優れ、特性が改善された半導体発光素子を提供すること。
【解決手段】基板上に少なくとも第1導電型クラッド層2、第1導電型光ガイド層3、活性層4、第2導電型光ガイド層5および第2導電型クラッド層6,8が順次積層されている。層厚方向に関して、活性層4を挟んで配置された積層の非対称性に起因する光強度分布の非対称性を補正するように、第1導電型光ガイド層3の屈折率と第2導電型光ガイド層5の屈折率とが互いに異なる。または、第1導電型光ガイド層3の層厚と第2導電型光ガイド層5の層厚とが互いに異なる。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は半導体発光素子に関し、より詳しくは、ZnO系半導体を材料とした半導体レーザなどの発光素子に関する。
【0002】
なお、この明細書において、ZnO系半導体とは、ZnOおよびこれを母体としたMgZn1−xOあるいはCdZn1−xO(ただし、それぞれ0<x<1である。)などで表される混晶を含むものとする。なお、簡単のため、混晶比xを省略して表記する場合がある。
【0003】
【従来の技術】
半導体レーザなどの発光素子では、活性層とクラッド層との間に光ガイド層を形成した分離閉じ込めヘテロ構造がよく用いられる。分離閉じ込めヘテロ構造を適用した半導体レーザ素子は、光ガイド層によって活性層への光閉じ込め率が向上し、発振閾値電流の低減や、導波モードの制御に極めて有効である。
【0004】
例えば、青色から紫外光の発光素子に用いられるIII族窒化物系半導体発光素子において、Alを含むIII族窒化物系半導体層と、Inを含むIII族窒化物系半導体層あるいはGaN層とを積層して、光ガイド層として用いる技術が知られている(特許第3235440号明細書)。
【0005】
また、ZnO系半導体を材料としたCdZn1−xO活性層を用いたダブルヘテロ構造を有する発光素子において、活性層に接したストレス緩和層とクラッド層との間に光ガイド層を設ける技術が知られている(例えば、国際公開WO00/16411号明細書)。酸化亜鉛(ZnO)は、約3.4eVのバンドギャップエネルギを有する直接遷移型半導体で、励起子結合エネルギが60meVと極めて高く、また原材料が安価、環境や人体に無害で成膜手法が簡便であるなどの特徴を有し、高効率・低消費電力で環境性に優れた発光素子を実現できる可能性がある。
【0006】
また、半導体発光素子においては、光ガイド層の他にも様々な機能を有する層(これらを「機能層」と総称する。)を構造中に設けることがなされている。
【0007】
例えば、クラッド層をエッチング加工してリッジストライプを形成する際に設けられるエッチングストップ層、活性層からクラッド層へのキャリアオーバーフローを防止するキャリア障壁層、発振光の一部を吸収することにより緩和振動を永続させ自励発振を生ぜしめる過飽和吸収層などである。
【0008】
これらの機能層は、活性層を挟んで上下に配置された積層(n型積層あるいはp型積層)のいずれか一方のみに設けられれば、その機能を十分に発揮できることが多い。そのような上下に配置された積層の両方に同じ機能層を設けることは、素子の製造工程が増加し高コスト化するという理由で、むしろ好ましくないとされている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、活性層を挟んで上下に配置された積層のいずれか一方のみに機能層が設けられた場合、その機能層の存在によって、活性層による発光が屈折や吸収の影響を受ける。その結果、活性層にピークを持ち発光素子内に広がる光強度分布が、層厚方向に関して非対称となる。
【0010】
このような非対称な光強度分布は、発光素子の層厚方向における放射角や導波モードの制御に多大な障害となる。
【0011】
ZnO系半導体においては、クラッド層として用いられるMgZn1−xOの結晶性や導電率の制御技術が十分でないため、クラッド層を厚く成長することができず、活性層に対してクラッド層よりも遠い位置に存在するコンタクト層やバッファ層で光強度分布の裾が吸収されたり、高濃度にドーピングされた不純物が発振光を散乱・吸収したりすることによって、光強度分布の対称性が崩れやすい傾向にある。
【0012】
特に、蒸気圧が高く成長温度が低いZnO層やCdZn1−xO混晶層の形成前後では、蒸気圧が低いMgZn1−xOの成長条件を同一にすることができないので、n型MgZn1−xOクラッド層の光学特性とp型MgZn1−xOクラッド層の光学特性との間に差異が生じる。このため、上記機能層を形成した場合、光強度分布の非対称性は更に顕著になる。
【0013】
そこで、この発明の課題は、層厚方向における光導波モードの制御性に優れ、特性が改善された半導体発光素子を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明者は、ZnO系半導体発光素子において安定した光強度分布対称性が得られる素子構造を鋭意検討した結果、前述した光ガイド層を用いて非対称な光強度分布を補正することで、層厚方向に関して活性層を中心とする対称性に優れた光強度分布を実現できることを見い出し、本発明に至った。
【0015】
すなわち、本発明の第1の半導体発光素子は、基板上に少なくとも、ZnO系半導体で構成された第1導電型クラッド層、第1導電型光ガイド層、活性層、第2導電型光ガイド層および第2導電型クラッド層が順次積層されていることを前提とする。そして、そのような半導体発光素子において、層厚方向に関して、上記活性層を挟んで配置された積層の非対称性に起因する光強度分布の非対称性を補正するように、上記第1導電型光ガイド層の屈折率と上記第2導電型光ガイド層の屈折率とが互いに異なることを特徴とする。
【0016】
なお、単に「屈折率」と記した場合は、光ガイド層を構成する半導体の物性によって定まる固有の屈折率を意味する。この固有の「屈折率」は、活性層をピークとして発光素子内に広がる光強度分布が光ガイド層において感じる実効的屈折率(等価屈折率とも称される)とは区別される。
【0017】
また、「第1導電型」はn型とp型のうちの一方を指し、「第2導電型」はn型とp型のうちの他方を指す。
【0018】
この発明の半導体発光素子によれば、第1導電型光ガイド層の屈折率と第2導電型光ガイド層の屈折率との相異のお陰で、層厚方向に関して、上記活性層を挟む積層の非対称性に起因する光強度分布の非対称性が補正される。この結果、層厚方向に関して、活性層を中心とした対称な光強度分布が得られる。
【0019】
このことにより、半導体発光素子における層厚方向の光導波モードの制御性が向上し、導波モードなどの特性が総合的に改善される。
【0020】
なお、第1導電型光ガイド層の屈折率と第2導電型光ガイド層の屈折率とが互いに異なるものにするためには、例えば第1導電型光ガイド層と第2導電型光ガイド層を、互いに異なる組成のZnO系混晶で構成すれば良い。
【0021】
また、本発明の第2の半導体発光素子は、上記第1の半導体発光素子と同様に、基板上に少なくとも、ZnO系半導体で構成された第1導電型クラッド層、第1導電型光ガイド層、活性層、第2導電型光ガイド層および第2導電型クラッド層が順次積層されていることを前提とする。そして、そのような半導体発光素子において、層厚方向に関して、上記活性層を挟んで上下に配置された積層の非対称性に起因する光強度分布の非対称性を補正するように、上記第1導電型光ガイド層の層厚と上記第2導電型光ガイド層の層厚とが互いに異なることを特徴とする。
【0022】
この発明の半導体発光素子によれば、第1導電型光ガイド層の層厚と第2導電型光ガイド層の層厚との相異のお陰で、層厚方向に関して、上記活性層を挟む積層の非対称性に起因する光強度分布の非対称性が補正される。この結果、層厚方向に関して、活性層を中心とした対称な光強度分布が得られる。このことにより、半導体発光素子における層厚方向の光導波モードの制御性が向上し、導波モードなどの特性が総合的に改善される。
【0023】
一実施形態の半導体発光素子は、上記第1導電型および第2導電型光ガイド層の屈折率が、共に上記活性層の屈折率と上記クラッド層の屈折率との間にあり、上記第1導電型および第2導電型光ガイド層のバンドギャップエネルギが、共に上記活性層のバンドギャップエネルギと上記クラッド層のバンドギャップエネルギとの間にある。
【0024】
第1導電型および第2導電型光ガイド層の屈折率が、共に上記活性層の屈折率と上記クラッド層の屈折率との間にあれば、活性層を薄層化しても、活性層からの光のしみ出しが抑えられて閉じ込め率が大きくなる。また、第1導電型および第2導電型光ガイド層のバンドギャップエネルギが、共に上記活性層のバンドギャップエネルギと上記クラッド層のバンドギャップエネルギとの間にあれば、活性層へのキャリア閉じ込めが有効に行われる。このことにより、光学利得が大きく発振閾値電流が低い半導体発光素子を実現できる。
【0025】
一実施形態の半導体発光素子は、上記第1導電型および第2導電型光ガイド層の少なくとも一方が、組成の異なる2層以上の積層構造より成る。
【0026】
第1導電型および第2導電型光ガイド層の少なくとも一方を組成の異なる2層以上の積層構造とることにより、単層で形成するよりも実効屈折率の制御性が向上する。また、キャリア障壁層や蒸発防止層を設けることなく、光ガイド層のみで同等の機能を実現することができ、優れた特性を有する酸化物半導体素子を簡略化された作製方法で得ることができる。
【0027】
なお、光ガイド層が2層以上の積層構造より成る場合における「光ガイド層の屈折率」とは、そのような光ガイド層を均質な単層の光ガイド層と見なしたときに置き換えられる屈折率を意味する。
【0028】
一実施形態の半導体発光素子は、上記第2導電型光ガイド層の屈折率が、上記第1導電型光ガイド層の屈折率に比して高い。
【0029】
一般に、エッチングストップ層や蒸発防止層などの機能層は、活性層に対して上に配置された第2導電型の積層構造内のみに設けられ、それが光強度分布の非対称性を生じる要因となる。そこで、本実施形態では、第2導電型光ガイド層の屈折率を第1導電型光ガイド層に比して高くすることにより、上記光強度分布の非対称性を補正するようにしている。この結果、層厚方向に関して、活性層を中心とした対称な光強度分布を得ることができ、導波モードの制御性が向上する。
【0030】
一実施形態の半導体発光素子は、上記第2導電型光ガイド層の層厚が、上記第1導電型光ガイド層の層厚に比して厚い。
【0031】
一般に、エッチングストップ層や蒸発防止層などの機能層は、活性層に対して上に配置された第2導電型の積層構造内のみに設けられ、それが光強度分布の非対称性を生じる要因となる。そこで、本実施形態では、第2導電型光ガイド層厚を第1導電型に比して厚くすることにより、上記光強度分布の非対称性を補正するようにしている。この結果、層厚方向に関して、活性層を中心とした対称な光強度分布を得ることができ、導波モードの制御性が向上する。
【0032】
一実施形態の半導体発光素子は、上記第2導電型光ガイド層が、上記第2導電型クラッド層よりもMg組成の大きなMgZn1−xO(ただし、0<x≦0.33である。)より成る層を含む。
【0033】
第2導電型クラッド層よりMg組成の大きなMgZn1−xOより成る層は、活性層からクラッド層ヘキャリアがオーバーフローするのを抑止する障壁層として働く。つまり、上記第2導電型光ガイド層は、キャリアブロック機能を兼ね備えたものとなる。したがって、光ガイド層と障壁層とを別々に設ける場合に比して、素子作製プロセスを簡略化することができる。特に、Mg組成xが0<x≦0.33の範囲にあれば、結晶性の悪化を生じることなく障壁層を形成することができる。
【0034】
一実施形態の半導体発光素子は、上記第2導電型光ガイド層がZnOより成る薄層を含み、この薄層が上記MgZn1−xOより成る層(障壁層)よりも上記活性層に近い位置に形成されている。
【0035】
一般に、Mgは蒸気圧が低いため、MgZn1−xO層の形成にはCdZn1−xOの形成よりも成長温度が高く設定される。このため、活性層がCdZn1−xO混晶層を含む場合には、MgZn1−xO層の形成時に、活性層(CdZn1−xO)の蒸発が生じやすい。そこで、本実施形態では、上記第2導電型光ガイド層がZnOより成る薄層を含み、この薄層が上記MgZn1−xOより成る層(障壁層)よりも上記活性層に近い位置に形成されているものとしている。これにより、成長温度が高いMgZn1−xO層の形成時に、活性層(CdZn1−xO)の蒸発を防ぐことができる。よって、作製された半導体発光素子は、信頼性に優れたものとなる。
【0036】
一実施形態の半導体発光素子は、上記第1導電型および第2導電型光ガイド層の少なくとも一方が組成傾斜を有する。
【0037】
本実施形態の半導体発光素子は上記第1導電型および第2導電型光ガイド層の少なくとも一方が組成傾斜を有するので、その光ガイド層の形成時に、組成比が急激に変化する場合に比べ、結晶成長条件を緩やかに変化させることができ、これに伴って結晶欠陥が低減する。よって、作製された半導体発光素子は、信頼性に優れたものとなる。
【0038】
また、本発明は、上記活性層が量子井戸構造を有する場合に、好ましく適用される。
【0039】
一般に、量子井戸活性層は光学利得が大きく、偏波方向依存性が強いなど、特性に優れた発光素子を実現できる一方、層厚が薄いため光のしみ出しが大きく、積層構造の非対称性に起因する光強度分布の非対称性を生じる傾向が強い。そこで、上記活性層が量子井戸構造を有する場合に本発明を適用すれば、活性層が薄厚である場合に生じ易い光強度分布の非対称性を補正して、対称な光強度分布を効果的に得ることができる。これにより、導波モードなどの光学特性を損うことなく、発振閾値電流の低い半導体発光素子を実現することができる。
【0040】
また、本発明は、上記基板と上記第1導電型光ガイド層の間に、室温におけるバンドギャップエネルギが3.4eV以下の層が形成されている場合に、好ましく適用される。
【0041】
一般に、基板と第1導電型クラッド層の間にバッファ層や第1導電型コンタクト層などを設ける場合、これらの層の材料としては室温におけるバンドギャップエネルギが3.4eV以下のもの、つまりバンドギャップエネルギの小さいZnOやCdZn1−xOが用いられる。このため、そのバンドギャップエネルギの小さい層材料が光強度分布の裾を吸収して非対称性を生じる傾向が強い。そこで、上記基板と上記第1導電型光ガイド層の間に、室温におけるバンドギャップエネルギが3.4eV以下の層が形成されている場合に本発明を適用すれば、光強度分布の裾が吸収されることによって生じ易い光強度分布の非対称性を補正して、対称な光強度分布を効果的に得ることができる。これにより、導波モードなどの光学特性を損うことなく、バッファ層や第1導電型コンタクト層の機能が十分に発揮された半導体発光素子を実現することができる。
【0042】
また、本発明は、上記第2導電型光ガイド層より上方に、室温におけるバンドギャップエネルギが3.4eV以下の層が形成されている場合に、好ましく適用される。
【0043】
一般に、第2導電型光ガイド層より上方に過飽和吸収層や第2導電型コンタクト層などを設ける場合、これらの層の材料としては室温におけるバンドギャップエネルギが3.4eV以下のもの、つまりバンドギャップエネルギの小さいZnOやCdZn1−xOが用いられる。このため、そのバンドギャップエネルギの小さい層材料が光強度分布の裾を吸収して非対称性を生じる傾向が強い。そこで、上記第2導電型光ガイド層より上方に、室温におけるバンドギャップエネルギが3.4eV以下の層が形成されている場合に本発明を適用すれば、光強度分布の裾が吸収されることによって生じ易い光強度分布の非対称性を補正して、対称な光強度分布を効果的に得ることができる。これにより、導波モードなどの光学特性を損うことなく、過飽和吸収層やコンタクト層の機能が十分に発揮された半導体発光素子を実現することができる。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の半導体発光素子を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0045】
(第1実施形態)
図1は第1実施形態のZnO系半導体レーザ素子21の構造を斜めから見たところを示している。本実施形態は、ZnO系半導体レーザ素子のn型およびp型光ガイド層を、互いに異なる組成比のZnO系混晶で構成した例である。
【0046】
詳しくは、この半導体レーザ素子21では、亜鉛面を主面としたn型ZnO単結晶基板1上に、厚さ1.0μmのn型Mg0.2Zn0.8Oクラッド層2、厚さ300Åのn型Mg0.05Zn0.95O光ガイド層3、厚さ500ÅのノンドープCd0.2Zn0.8O活性層4、厚さ300Åのp型Cd0.05Zn0.95O光ガイド層5、厚さ0.1μmのp型Mg0.2Zn0.8O第1クラッド層6、厚さ500Åのp型Cd0.1Zn0.9Oエッチングストップ層7、厚さ1.0μmのp型Mg0.2Zn0.8O第2クラッド層8、厚さ0.5μmのp型ZnOコンタクト層9が順次積層されている。
【0047】
p型Mg0.2Zn0.8O第2クラッド層8は、アンモニア水溶液などの適当なアルカリ性エッチング溶液を用いてリッジストライプ状にエッチング加工されている。そのエッチングは、アルカリ性エッチング溶液に対してエッチングレートが十分遅いCdZn1−xO混晶より成るエッチングストップ層7で停止するようになっている。リッジストライプ状にエッチング加工されたp型MgZnO第2クラッド層8の両側はMg0.3Zn0.7Oより成るn型電流ブロック層10によって埋め込まれている。
【0048】
また、ZnO基板1の下にはn型オーミック電極11が形成され、p型ZnOコンタクト層9の上にはp型オーミック電極12が形成されている。
【0049】
この半導体レーザ素子21は、n型光ガイド層3の屈折率とp型光ガイド層5の屈折率とが互いに異なることに特徴を有している。
【0050】
この半導体レーザ素子21は、固体あるいは気体原料を用いた分子線エピタキシ(MBE)法、レーザ分子線エピタキシ(レーザMBE)法、有機金属気相成長(MOCVD)法などの結晶成長手法で作製することができるが、レーザMBE法は、原料ターゲットと薄膜の組成ずれが小さく、またZnGaなどの意図しない副生成物の生成を抑えることができるので特に好ましい。
【0051】
図1中に示す積層構造(ウエハ)を作製後、この状態のウエハを劈開して、生じた端面13を共振器のためのミラーとした。さらに、この端面13に図示しない保護膜を真空蒸着した後、素子を300μmの寸法に分離した。
【0052】
本実施形態の半導体レーザ素子21に電流を流したところ、端面13から波長430nmの青色発振光が出射された。
【0053】
本実施形態の半導体レーザ素子50個について層厚方向遠視野像の測定を行ったところ、そのうち45個は図2中に実線Aで示した正常な放射パターンを示したが、残りの5個は図2中に点線Bで示した複数の弱いピークを持つ異常な放射パターンを示した。
【0054】
比較例として、n型光ガイド層3とp型光ガイド層5を共にZnOで構成した他は本実施形態と同様にして半導体レーザ素子を作製したところ、本実施形態と同様に端面から波長430nmの青色発振光が出射された。しかし、測定数50個のうち20個が上記の正常な放射パターンを示し、残りの30個が上記の異常な放射パターンを示した。
【0055】
このような異常な放射パターンは、青色発光に対応したDVDなどの高密度光ディスクシステムにおいて、信号記録および再生が正常に行なわれない。
【0056】
放射パターンが異常となった理由を調べるため、本実施形態の半導体レーザ素子21および比較例の半導体レーザ素子について、活性層近傍の層厚方向の近視野像および屈折率プロファイルを調べた。図3(a)中の実線A1は本実施形態の半導体レーザ素子21の層厚方向の屈折率プロファイル、破線B1は比較例の半導体レーザ素子の層厚方向の屈折率プロファイルをそれぞれ示している。また、図3(b)中の実線A1は本実施形態の半導体レーザ素子21の層厚方向の近視野像、破線B1は比較例の半導体レーザ素子の層厚方向の近視野像をそれぞれ示している。なお、図3(b)中には、実線B2で、エッチングストップ層7を形成しない他は比較例と同構造とした半導体レーザ素子の近視野像を計算で見積った結果を併せて示している。
【0057】
この図3(b)から、比較例の半導体レーザ素子は、屈折率の大きなエッチングストップ層7の影響を受けて、近視野像(破線B1で示す)が活性層4の上下で非対称な形状となっていることが分かる。これが活性層4での導波モードに影響を与え、光閉じ込めが不安定になって高次モードで発振したため、遠視野像の放射パターンが異常な素子(図2中に破線Bで示したもの)が多くの割合で発生したものと考えられる。
【0058】
一方、本実施形態の半導体レーザ素子21は、図3(a)中に実線A1で示すようにn型光ガイド層3とp型光ガイド層5とを各々屈折率の異なるZnO系半導体混晶で構成して、エッチングストップ層7の影響を補正するようようにしたため、図3(b)中に実線A1で示すように、比較例で見られた近視野像の非対称性が緩和されて、エッチングストップ層7を形成しない場合に見積られる上下対称な近視野像(実線B2で示す)に近くなっている。
【0059】
以上の結果より、本実施形態の半導体発光素子21では、層厚方向の光導波モードの制御性が向上し、素子特性と製造歩留まりが大幅に改善されることがわかる。
【0060】
エッチングストップ層7は、p型導電層の積層構造内にしか設ける必要が無く、その材料系としては、アルカリ性のエッチング溶液に対してZnOやMgZn1−xOより選択比の高いCdZn1−xOを用いるのが適している。CdZn1−xOは屈折率が高いので、これを補正するには、p型光ガイド層5の屈折率をn型光ガイド層3の屈折率より相対的に高くすればよい。
【0061】
なお、エッチングストップ層7をBeZn1−xOで構成した場合には、逆に屈折率が低くなるので、p型光ガイド層5の屈折率をn型光ガイド層3の屈折率より相対的に低くすればよい。
【0062】
活性層4を薄層化しても光のしみ出しを抑えて閉じ込め率を大きくするには、n型光ガイド層3とp型光ガイド層5の屈折率は共に活性層4の屈折率とクラッド層6,8の屈折率との間にあることが好ましい。また、活性層へのキャリア閉じ込めが有効に行われるには、n型光ガイド層3とp型光ガイド層5のバンドギャップエネルギは共に活性層4のバンドギャップエネルギとクラッド層6,8のバンドギャップエネルギとの間にある必要がある。
【0063】
ZnO半導体層にドーピングするp型不純物としては、I族元素のLi、Cu、AgやV族元素のN、As、Pなどを用いることができる。NとAgは活性化エネルギが小さいので特に好ましく、更にNはNをプラズマ化し結晶成長中に照射する手法によって、結晶性を良好に保って高濃度ドーピングが行えるので好ましい。
【0064】
また、ZnO半導体層にドーピングするn型不純物としては、III族元素のB、Al、Ga、Inなどを用いることができるが、ZnO系半導体中での活性化率が高いGaまたはAlが好ましい。
【0065】
本実施形態ではZnO活性層4をノンドープとしたが、ZnO活性層4にGaなどのIII族元素をドーピングした場合は、励起子発光と不純物準位を介した発光が共にレーザ発振に関与する。しかし、導波モードの制御性が向上する本発明の効果は変らない。
【0066】
本実施形態で基板1の材料として用いたZnO単結晶は、成長層と同じ材料系であるので、結晶欠陥の生成が極めて小さく最も好ましい。また、亜鉛面を用いることにより、p型層のキャリア活性化率が向上し、抵抗の低いp型層が得られやすくなるので好ましい。
【0067】
基板1としては、ZnO単結晶以外にも、サファイアやLiGaOなどの絶縁性基板、SiCやGaNなどの導電性基板を用いることができる。
【0068】
基板1として絶縁性基板を用いる場合は、成長層をエッチングしてn型Mg0.2Zn0.8Oクラッド層2を露出させ、その上にn型オーミック電極11を形成すればよい。また、そのような基板1とn型オーミック電極11との間に、MgZn1−xOより低抵抗なZnOを用いてn型コンタクト層を形成してもよい。また、結晶性の良好な成長層を得るためにバッファ層を形成してもよい。
【0069】
基板1として導電性基板を用いる場合は、基板裏面にn型電極を直接形成することができるので、素子製造工程が簡便になり好ましい。
【0070】
p型オーミック電極12の材料としては、Ni、Pt、Pd、Auなどを用いることができるが、中でも低抵抗で密着性の良いNiが好ましい。上記複数の金属材料を合金化して形成してもよい。
【0071】
p型ZnO系半導体は低抵抗層を得るのが難しいため、p型電極形成後にアニール処理を行うと、密着性が向上すると共に接触抵抗が低減するので好ましい。ZnO結晶に欠陥を生じずにアニール効果を得るには、温度は300℃〜400℃が好ましい。また、アニール処理における雰囲気はOあるいは大気雰囲気中が好ましく、Nでは逆に抵抗が増大するため好ましくない。
【0072】
n型オーミック電極11の材料としては、Ti、Cr、Alなどを用いることができる。中でも低抵抗で密着性の良いTiが好ましい。上記複数の金属材料を合金化して形成してもよい。
【0073】
その他の構成は任意であり、本実施形態によって限定されるものではない。
【0074】
(第2実施形態)
図4(a)は第2実施形態のZnO系半導体レーザ素子22の断面構造を示し、図4(b)はその半導体レーザ素子22の層厚方向の屈折率プロファイルを示している。
【0075】
本実施形態のZnO系半導体レーザ素子22は、n型ガイド層3Bおよびp型光ガイド層5Bが共にZnO層で構成され、また、n型ガイド層3Bの層厚が200Å、p型光ガイド層5Bが500Åにそれぞれ設定されている点に特徴がある。その他は、第1実施形態と同様にして作製され、同じ構造になっている。
【0076】
本実施形態の半導体レーザ素子50個について層厚方向遠視野像の測定を行ったところ、そのうち43個が正常な放射パターンを示し、残りの7個が異常な放射パターンを示した。
【0077】
しかし、n型ガイド層3およびp型光ガイド層5を、層厚に差異を持たせると同時に、第1実施形態と同じく屈折率の異なる混晶で構成したところ、50個全数が正常な遠視野放射パターンを示した。
【0078】
このように、屈折率が高いCdZnOエッチングストップ層7の影響を補正するには、p型光ガイド層の層厚をn型光ガイド層の層厚より厚くすればよいが、同時に屈折率が異なる混晶で構成した方が、より強い補正効果を有する。
【0079】
なお、エッチングストップ層7をBeZn1−xOで構成した場合には、逆に、p型光ガイド層の層厚をn型光ガイド層の層厚より薄くすればよい。
【0080】
(第3実施形態)
図5(a)は第3実施形態のZnO系半導体レーザ素子23の断面構造を示し、図5(b)はその半導体レーザ素子23の層厚方向の屈折率プロファイルを示している。
【0081】
本実施形態のZnO系半導体レーザ素子23は、n型ガイド層3Cが、厚さ100Åのn型Mg0.05Zn0.95O層3C,3Cの2層で、厚さ100Åのn型Mg0.1Zn0.9O層3C(1層)を挾持した構造になっており、また、p型光ガイド層5Cが、厚さ100Åのp型Cd0.05Zn0.95O層5C,5Cの2層で厚さ100Åのp型Cd0.1Zn0.9O層5C(1層)を挾持した構造になっている点に特徴がある。その他は、第1実施形態と同様にして作製され、同じ構造になっている。
【0082】
本実施形態の半導体レーザ素子50個について層厚方向遠視野像の測定を行ったところ、50個全数が正常な遠視野放射パターンを示した。
【0083】
このように、光ガイド層を積層構造とすることにより、単層で形成するよりも微小な屈折率を制御できるので、素子特性や歩留まりが更に向上する。
【0084】
(第4実施形態)
図6(a)は第4実施形態のZnO系半導体レーザ素子24の断面構造を示し、図6(b)はその半導体レーザ素子24の層厚方向の屈折率プロファイルを示している。
【0085】
本実施形態のZnO系半導体レーザ素子24は、p型光ガイド層5Dが、厚さ100Åのp型Cd0.05Zn0.95O層5Dと厚さ20Åのp型Mg0.25Zn0.75O層5Dとの2層で、厚さ100Åのp型Cd0.1Zn0.9O層5D(1層)を挾持した構造になっている点に特徴がある。p型Mg0.25Zn0.75O層5Dは、その上に配置されたp型Mg0.2Zn0.8O第1クラッド層6に接している。その他は、第1実施形態と同様にして作製され、同じ構造になっている(n型光ガイド層3Dはn型光ガイド層3と同じものである。)。
【0086】
本実施形態の半導体レーザ素子50個について遠視野像の測定を行ったところ、50個全数が正常な遠視野放射パターンを示した。また、Mg0.25Zn0.75O層5Dのバンドギャップエネルギが大きいので、この層5Dがキャリア障壁層として働いて、活性層4からのキャリアオーバーフローを抑制する。この結果、発振閾値電流が20%減少した。
【0087】
本実施形態では、キャリア障壁層MgZn1−xO層5DのMg混晶比をx=0.25としたが、0<x≦0.33の範囲にあれば、結晶性の悪化を生じることなく障壁層を形成することができる。
【0088】
(第5実施形態)
図7(a)は第5実施形態のZnO系半導体レーザ素子25の断面構造を示し、図7(b)はその半導体レーザ素子25の層厚方向の屈折率プロファイルを示している。
【0089】
本実施形態のZnO系半導体レーザ素子25は、p型光ガイド層5Eが、厚さ100Åのp型Cd0.1Zn0.9O層5Eと厚さ20Åのp型Mg0.25Zn0.75O層5Eとの間に、厚さ50Åのp型ZnO薄層5Eを挾持させた構造になっている点に特徴がある。その他は、第4実施形態と同様にして作製され、同じ構造になっている(n型光ガイド層3Eはn型光ガイド層3と同じものである。)。
【0090】
本実施形態の半導体レーザ素子50個について層厚方向遠視野像の測定を行ったところ、50個全数が正常な遠視野放射パターンを示した。また、第4実施形態と同様に、発振閾値電流が減少した。また、本実施形態のZnO系半導体レーザ素子25では、p型光ガイド層5Eを構成するZnO薄層5Eが蒸発防止層として働くため、p型MgZnOクラッド層6形成中に活性層4が熱劣化しない。この結果、素子寿命が20%向上した。
【0091】
このように、p型光ガイド層5Eを構成するZnO薄層5Eが蒸発防止効果を有するためには、MgZn1−xO層5Eよりも活性層4に近い位置に形成される必要がある。
【0092】
(第6実施形態)
図8(a)は第6実施形態のZnO系半導体レーザ素子26の断面構造を示し、図8(b)はその半導体レーザ素子26の層厚方向の屈折率プロファイルを示している。
【0093】
本実施形態のZnO系半導体レーザ素子26は、p型光ガイド層5Fが、結晶成長条件を連続的に変化させて形成された、連続的な組成傾斜を有する厚さ100Åのp型CdZn1−xO層5F(層成長につれてx=0.05→0.1と直線的に変化している。)と厚さ100Åのp型CdZn1−yO層5F(層成長につれてy=0.1→0と直線的に変化している。)と、厚さ20Åのp型Mg0.25Zn0.75O層5Fとの3層からなる点に特徴がある。その他は、第5実施形態と同様にして作製され、同じ構造になっている(n型光ガイド層3Fはn型光ガイド層3と同じものである。)。
【0094】
本実施形態の半導体レーザ素子50個について層厚方向遠視野像の測定を行ったところ、50個全数が正常な遠視野放射パターンを示した。また、第5実施形態と同様に、発振閾値電流が減少した。さらに、本実施形態のZnO系半導体レーザ素子26では、結晶成長条件を連続的に変化させため結晶欠陥が低減し、第5実施形態に比べて素子寿命が20%向上した。
【0095】
なお、本実施形態では、p型光ガイド層5Fを構成する層5F,5Fの組成(混晶比)xが層厚方向に関していずれも直線的に変化するようにしたが、これに限られるものではない。p型光ガイド層5Fを構成する層の組成が連続的な傾斜を有していれば、曲線的に変化しても本発明の効果を奏する。
【0096】
(第7実施形態)
図示を省略するが、本実施形態の半導体レーザ素子では、活性層4を、厚さ50ÅのZnO障壁層2層と厚さ40ÅのCd0.15Zn0.85O井戸層3層とを交互に積層した多重量子井戸構造を持つものとした。その他は、第6実施形態と同様にして作製され、同じ構造になっている。
【0097】
本実施形態の半導体レーザ素子50個について遠視野像の測定を行ったところ、50個全数が正常な遠視野放射パターンを示した。また、活性層4を量子井戸構造を持つものとしたので光学利得が増大して、第6実施形態に比べて発振閾値電流が30%減少した。
【0098】
一方、活性層4を量子井戸構造とし、n型光ガイド層およびp型光ガイド層を共にZnO層で構成すると、本実施形態と同様に発振閾値電流は減少したが、50個のうち39個が異常な放射パターンを示し、歩留まりが大幅に低下した。
【0099】
活性層4が上述の量子井戸構造のように薄層化された場合は、活性層4外への光のしみ出しが大きくなるため、光強度分布の非対称性を光ガイド層3,5によって補正して対称にすることは必要不可欠になる。本発明を適用すれば、活性層が薄厚である場合に生じ易い光強度分布の非対称性を補正して、対称な光強度分布を効果的に得ることができる。これにより、導波モードなどの光学特性を損うことなく、発振閾値電流の低い半導体発光素子を実現することができる。
【0100】
(第8実施形態)
図示を省略するが、本実施形態の半導体レーザ素子では、基板1とn型Mg0. Zn0.8Oクラッド層2との間に、厚さ0.5μmのn型ZnOバッファ層が形成された。その他は、第7実施形態と同様にして作製され、同じ構造になっている。
【0101】
本実施形態の半導体レーザ素子50個について遠視野像の測定を行ったところ、50個全数が正常な遠視野放射パターンを示した。また、上述のバッファ層を形成したので結晶性が向上し、第7実施形態に比べて発振閾値電流が10%減少し、素子寿命が30%向上した。
【0102】
一方、基板とn型クラッド層の間にn型ZnOバッファ層を形成し、n型およびp型光ガイド層を共にZnO層で構成すると、本実施形態と同様に発振閾値電流と素子寿命は改善したが、50個のうち41個が異常な放射パターンを示し、歩留まりが大幅に低下した。
【0103】
基板1とn型クラッド層2との間に、ZnO(室温におけるバンドギャップエネルギが約3.4eVである。)のようなバンドギャップエネルギが小さい材料からなるバッファ層等を設けた場合、そのバンドギャップエネルギの小さい層材料が光強度分布の裾を吸収して非対称性を生じる傾向が強い。しかし、本発明を適用すれば、光強度分布の裾が吸収されることによって生じ易い光強度分布の非対称性を補正して、対称な光強度分布を効果的に得ることができる。これにより、導波モードなどの光学特性を損うことなく、バッファ層等の機能が十分に発揮された半導体発光素子を実現することができる。
【0104】
(第9実施形態)
図示を省略するが、本実施形態の半導体レーザ素子では、p型Mg0.2Zn0.8O第1クラッド層6とp型Cd0.1Zn0.9Oエッチングストップ層と7の間に、自励発振を生じるように、厚さ30Åのp型Cd0.2Zn0.8O量子井戸層より成る過飽和吸収層が形成された。その他は、第7実施形態と同様にして作製され、同じ構造になっている。
【0105】
本実施形態の半導体レーザ素子50個について遠視野像の測定を行ったところ、50個全数が正常な遠視野放射パターンを示した。また、過飽和吸収層を形成して自励発振を生ぜしめるようにしたので雑音特性性が向上し、第7実施形態に比べて相対雑音強度が30%向上した。
【0106】
一方、同様の過飽和吸収層を形成し、n型およびp型光ガイド層を共にZnO層で構成すると、本実施形態と同様に雑音特性は改善したが、50個のうち38個が異常な放射パターンを示し、歩留まりが大幅に低下した。
【0107】
p型光ガイド層5より上方に、Cd0.2Zn0.8Oのようなバンドギャップエネルギが小さい材料からなる過飽和吸収層等を設けた場合、そのバンドギャップエネルギの小さい層材料が光強度分布の裾を吸収して非対称性を生じる傾向が強い。しかし、本発明を適用すれば、光強度分布の裾が吸収されることによって生じ易い光強度分布の非対称性を補正して、対称な光強度分布を効果的に得ることができる。これにより、導波モードなどの光学特性を損うことなく、過飽和吸収層等の機能が十分に発揮された半導体発光素子を実現することができる。
【0108】
【発明の効果】
以上より明らかなように、この発明の半導体発光素子は、層厚方向における光導波モードの制御性に優れ、特性が改善されたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態のZnO系半導体レーザ素子の構造を示す斜視図である。
【図2】この発明の第1実施形態および比較例の半導体レーザ素子の遠視野放射パターンを示す図である。
【図3】この発明の第1実施形態および比較例の半導体レーザ素子の、活性層近傍の近視野像および屈折率プロファイルを示す図である。
【図4】この発明の第2実施形態のZnO系半導体レーザ素子の断面構造と屈折率プロファイルを示す図である。
【図5】この発明の第3実施形態のZnO系半導体レーザ素子の断面構造と屈折率プロファイルを示す図である。
【図6】この発明の第4実施形態のZnO系半導体レーザ素子の断面構造と屈折率プロファイルを示す図である。
【図7】この発明の第5実施形態のZnO系半導体レーザ素子の断面構造と屈折率プロファイルを示す図である。
【図8】この発明の第6実施形態のZnO系半導体レーザ素子の断面構造と屈折率プロファイルを示す図である。
【符号の説明】
1 ZnO単結晶基板
2 n型MgZnOクラッド層
3,3B,3C,3D,3E,3F n型光ガイド層
4 活性層
5,5B,5C,5D,5E,5F p型光ガイド層
6 p型MgZnO第1クラッド層
7 p型CdZnOエッチングストップ層
8 p型MgZnO第2クラッド層
9 p型ZnOコンタクト層
10 n型MgZnO電流ブロック層

Claims (9)

  1. 基板上に少なくとも、ZnO系半導体で構成された第1導電型クラッド層、第1導電型光ガイド層、活性層、第2導電型光ガイド層および第2導電型クラッド層が順次積層された半導体発光素子において、
    層厚方向に関して、上記活性層を挟んで配置された積層の非対称性に起因する光強度分布の非対称性を補正するように、上記第1導電型光ガイド層の屈折率と上記第2導電型光ガイド層の屈折率とが互いに異なることを特徴とする半導体発光素子。
  2. 基板上に少なくとも、ZnO系半導体で構成された第1導電型クラッド層、第1導電型光ガイド層、活性層、第2導電型光ガイド層および第2導電型クラッド層が順次積層された半導体発光素子において、
    層厚方向に関して、上記活性層を挟んで配置された積層の非対称性に起因する光強度分布の非対称性を補正するように、上記第1導電型光ガイド層の層厚と上記第2導電型光ガイド層の層厚とが互いに異なることを特徴とする半導体発光素子。
  3. 請求項1または2に記載の半導体発光素子において、
    上記第1導電型および第2導電型光ガイド層の屈折率が、共に上記活性層の屈折率と上記クラッド層の屈折率との間にあり、
    上記第1導電型および第2導電型光ガイド層のバンドギャップエネルギが、共に上記活性層のバンドギャップエネルギと上記クラッド層のバンドギャップエネルギとの間にあることを特徴とする半導体発光素子。
  4. 請求項1または2に記載の半導体発光素子において、
    上記第1導電型および第2導電型光ガイド層の少なくとも一方が、組成の異なる2層以上の積層構造より成ることを特徴とする半導体発光素子。
  5. 請求項1または2に記載の半導体発光素子において、
    上記第2導電型光ガイド層の屈折率が、上記第1導電型光ガイド層の屈折率に比して高いことを特徴とする半導体発光素子。
  6. 請求項1または2に記載の半導体発光素子において、
    上記第2導電型光ガイド層の層厚が、上記第1導電型光ガイド層の層厚に比して厚いことを特徴とする半導体発光素子。
  7. 請求項1または2に記載の半導体発光素子において、
    上記第2導電型光ガイド層が、上記第2導電型クラッド層よりもMg組成の大きなMgZn1−xO(ただし、0<x≦0.33である。)より成る層を含むことを特徴とする半導体発光素子。
  8. 請求項7に記載の半導体発光素子において、
    上記第2導電型光ガイド層がZnOより成る薄層を含み、この薄層が上記MgZn1−xOより成る層よりも上記活性層に近い位置に形成されていることを特徴とする半導体発光素子。
  9. 請求項1または2に記載の半導体発光素子において、
    上記第1導電型および第2導電型光ガイド層の少なくとも一方が組成傾斜を有することを特徴とする半導体発光素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008521245A (ja) * 2004-11-17 2008-06-19 ゼネラル・ナノ・オプティクス・リミテッド ヘテロ構造、注入レーザ、半導体増幅素子及び半導体光増幅器
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