JP2005039107A - 酸化物半導体レーザ素子 - Google Patents

酸化物半導体レーザ素子 Download PDF

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Abstract

【課題】 狭い放射角や低い発振閾値電流等の優れた素子特性を有し、かつ、導波モードの安定性にも優れた酸化物半導体レーザ素子を提供すること。
【解決手段】 n型ZnO単結晶基板301上に、n型クラッド層304、ノンドープ量子井戸活性層306、p型クラッド層304、p型コンタクト層309をこの順に形成する。上記n型クラッド層304を、厚さが1μmのn型Mg0.08Zn0.92O第1クラッド層304aと、厚さが0.1μmのn型Mg0.1Zn0.9O第2クラッド層304bの2層で構成し、屈折率が低いn型Mg0.1Zn0.9O第2クラッド層304bをノンドープ量子井戸活性層306側に配置する。
【選択図】 図1

Description

本発明は酸化物半導体レーザ素子に関し、特に、放射角を狭い角度まで制御できて、導波モードの安定性に優れ、かつ、発振閾値電流が低い酸化物半導体レーザ素子に関する。
近年、高密度な光ディスク記録システムのレーザ光源に最適な3〜3.5eVのバンドギャップエネルギーを有する直接遷移型半導体の結晶成長技術およびデバイス技術が急速に発展している。
特に、III族窒化物半導体の技術進展は目ざましく、光学特性や信頼性は既に実用化の域に達している。
一方、酸化物半導体についても現在研究が進みつつある。特に、酸化亜鉛(ZnO)は、励起子結合エネルギーが60meVと極めて高く、また、原材料が安価で、環境や人体に無害で、成膜手法が簡便である等の特徴を有しているので、ZnOを用いれば、高効率・低消費電力で環境性に優れた半導体レーザ素子を低コストで実現できる可能性がある。
ZnOおよびこれを母体としたMgZnOあるいはCdZnOなどで表される混晶を含めるZnO系半導体を用いた酸化物半導体発光素子としては、例えば、国際特許WO00/16411号公報(特許文献1)に示されたものがある。
図9は、上記国際特許WO00/16411号公報に開示されている従来のZnO系半導体レーザ素子の要部の構造斜視図である。
図9に示すZnO系半導体レーザ素子の要部は、以下のように製造されている。
先ず、サファイア基板1上にZnOバッファ層2、n型ZnOコンタクト層3、n型MgZnOクラッド層4、n型ZnO光ガイド層14、活性層15、p型ZnO光ガイド層16、p型MgZnO第1クラッド層6a、エッチングストップ層27、n型あるいはi型MgZnO電流制限層を順次積層する。
次に、上記電流制限層を薬液によりエッチングしてストライプ溝18を形成した後に、p型MgZnO第2クラッド層6bおよびp型ZnOコンタクト層17を成長させる。その後、n型ZnOコンタクト層3の一部が露出するまで成長層の一部をエッチング除去して、上記n型ZnOコンタクト層3の露出面にn型オーミック電極9を形成すると共に、エッチィング除去されなかったp型ZnOコンタクト層17上にp型オーミック電極10を形成する。このようにして、上記従来のZnO系半導体レーザ素子の要部を形成している。
尚、同公報には、サファイア以外の基板材料を用いた場合や、電流狭窄機構がリッジストライプ形状を有するクラッド層で構成されている場合についても記されている。
上記従来例において用いられているサファイア基板は、低コストで高品質な基板材料であり、結晶性に優れたZnOエピタキシャル層が得られる。また、言うまでもなくZnO系半導体発光素子を形成する基板としてはZnO単結晶が最も優れており、近年では気相輸送合成法や水熱合成法によって高品質なZnO基板の入手が可能となっている。
光ディスクに用いられる半導体レーザ素子は、近年、記録容量の高密度化が求められており、正確な信号記録再生のためには、レーザ出射端面から出射されるレーザ光の放射角を狭化する必要がある。すなわち、半導体レーザ素子内で光を十分に広げる必要がある。
しかしながら、上記サファイア基板のような絶縁性酸化物基板やZnO単結晶基板を基板として採用した場合、これらの基板は、レーザ光に対して透明で、かつ、活性層より屈折率が高いことが多いので、活性層からクラッド層へしみ出して基板に到達したレーザ光が、基板で高次モードのピーク成分を有する状態で、半導体レーザ素子から放射される。そして、この光出射端面以外の部分から漏れた放射光のピークが、レーザ光の遠視野像において、基本モードから基板側へ十数度ずれた方向に存在するという現象が起こる。このような放射光は、光ディスクへの信号記録再生において障害となるばかりでなく、導波路の放射損失を引き起こす。このことから、上記従来の半導体レーザ素子は、閾値電流が増大すると共に、発振動作時の微分量子効率が低下し、かつ、動作電流が増大するという問題を有する。
活性層への光の閉じ込めを強くすると共に、しみ出した光の裾が基板に到達しないようにして、上記問題を回避するための方法としては、例えば、n型MgZnOクラッド層4の膜厚を厚くするという方法があるが、この方法を採用した場合、クラッド層の厚膜化によってコスト高になると共に、クラッド層上に積層される半導体層の結晶性が悪化し易くなって導波モードの安定化が損なわれるという問題がある。
このように、上記従来の半導体レーザ素子では、光ディスク用半導体レーザ素子に求められる高機能な素子特性と、導波モードの安定化とを両立させることが難しいという問題がある。
国際特許WO00/16411号公報
そこで、本発明の課題は、狭い放射角や低い発振閾値電流等の優れた素子特性を有し、かつ、導波モードの安定性にも優れた酸化物半導体レーザ素子を提供することにある。
上記課題を解決するため、この発明の酸化物半導体レーザ素子は、
レーザ光に対して透明な基板上に、少なくとも、第1導電型クラッド層、活性層、第2導電型クラッド層、第2導電型コンタクト層を順次設け、
上記第1導電型クラッド層、活性層、第2導電型クラッド層および第2導電型コンタクト層は、ZnO系半導体から成り、
上記第1導電型クラッド層および第2導電型クラッド層のうちの少なくとも一方は、屈折率の異なる2層以上の層を積層した積層構造になっていることを特徴としている。
本発明者らは、サファイア基板やZnO基板等の透明高屈折率基板を用いた場合において、上記第1導電型クラッド層および第2導電型クラッド層のうちの少なくとも一方の層構造を、屈折率の異なる2層以上の層を積層した積層構造にすると、ZnO系半導体レーザ素子の垂直横モードを単峰かつ安定に導波させることができると共に、遠視野像で測定できる放射角も小さくできることを発見した。
上記発明によれば、レーザ光に対して透明な基板を用い、かつ、上記第1導電型クラッド層および第2導電型クラッド層のうちの少なくとも一方の層構造を、屈折率の異なる2層以上の層が積層された積層構造にしたので、ZnO系半導体レーザ素子の垂直横モードを単峰かつ安定に導波させることができると共に、遠視野像で測定できる放射角も小さくできる。
また、一実施形態の酸化物半導体レーザ素子は、上記積層構造において最も屈折率の低い層は、上記活性層側に配置されていることを特徴としている。
尚、この明細書で、活性層側に配置(または形成)するといった場合、積層構造の活性層側の端部を成すように配置(または形成)することを意味するものとする。
積層クラッド層中の低屈折率層を活性層側に配置することにより、積層クラッド層での光の反射率を大きくすることができる。したがって、活性層への光閉じ込めと垂直横モードの安定性を更に向上させることができて、導波モードを単一モードに保って光分布を制御することができる。また、ZnO系半導体混晶においては、屈折率が低くなるよう組成比を制御すると、バンドギャップエネルギーを大きくできるので、当該低屈折率層によってキャリアオーバーフローを抑止することができる。
また、一実施形態の酸化物半導体レーザ素子は、上記積層構造が、上記第1導電型クラッド層と第2導電型クラッド層のどちらか一方に形成されており、上記積層構造のうちで最も屈折率の小さい層の屈折率は、他方の導電型のクラッド層の屈折率よりも小さいことを特徴としている。
本発明者は、上記第1導電型クラッド層と第2導電型クラッド層の一方を積層構造とした場合、上記第1導電型クラッド層と第2導電型クラッド層の屈折率の間に適切な大小関係を設定すると、垂直横モードの安定性を更に向上させることができると共に、出射レーザ光のモードを単一モードに保つことができて、光分布を制御することができることを見出した。例えば、本発明者は、上記積層構造のうちで最も屈折率の小さい層の屈折率を、他方の導電型のクラッド層の屈折率よりも小さくしたり、上記積層構造のうちで最も屈折率の大きい層の屈折率を、他方の導電型のクラッド層の屈折率よりも大きくしたりすると、垂直横モードの安定性を更に向上させることができて、単一モードに保って光分布を制御することができることを見出した。
上記実施形態によれば、上記積層構造のうちで最も屈折率の小さい層の屈折率を、他方の導電型のクラッド層の屈折率よりも小さくしているので、垂直横モードの安定性を更に向上させることができて、単一モードに保って光分布を制御することができる。
また、一実施形態の酸化物半導体レーザ素子は、上記積層構造が、上記第1導電型クラッド層と第2導電型クラッド層のどちらか一方に形成されており、上記積層構造のうちで最も屈折率の大きい層の屈折率は、他方の導電型のクラッド層の屈折率よりも大きいことを特徴としている。
上記実施形態によれば、上記積層構造のうちで最も屈折率の大きい層の屈折率を、他方の導電型のクラッド層の屈折率よりも大きくしているので、垂直横モードの安定性を更に向上させることができて、単一モードに保って光分布を制御することができる。
また、一実施形態の酸化物半導体レーザ素子は、上記積層構造を3層で構成し、この3層のうちで最も屈折率が小さい層を、上記3層の中間に配置したことを特徴としている。
本発明者は、上記積層構造を3層で構成し、かつ、この3層のうちの中央の層の屈折率を最も小さくすると、単一導波モードをより安定に得ることができることを見出した。
上記実施形態によれば、上記積層構造を3層で構成し、かつ、この3層のうちの中央の層の屈折率を最も小さくしたので、単一導波モードをより安定に得ることができる。
また、一実施形態の酸化物半導体レーザ素子は、上記積層構造における各層は、全て膜厚が異なり、かつ、積層構造全体の膜厚が、1μm以上4μm以下であることを特徴としている。
本発明者は、積層構造中の低屈折率クラッド層の膜厚と、積層構造中の高屈折率クラッド層の膜厚とを同程度にすると、光強度分布の制御が難しくなることを見出した。また、積層構造全体の膜厚を、1μmよりも小さくすると、クラッド層外への光のしみ出しの程度が大きくなることを見出し、積層構造全体の膜厚を、4μmよりも大きくすると、結晶性の劣化が顕著になることを見出した。
一方、本発明者は、上記積層構造中の高屈折率クラッド層が厚くなり、かつ、低屈折率クラッド層が薄くなるような条件下で、上記積層構造の各層の膜厚を異なる値に設定し、かつ、積層構造全体の膜厚を、1μm以上4μm以下にすると、光強度分布の制御を容易に行うことができると共に、クラッド層外への光のしみ出しの程度を小さくできて、結晶性の劣化も抑制できることを見出した。
上記実施形態によれば、上記積層構造における各層の膜厚を異なる値に設定し、かつ、積層構造全体の膜厚を、1μm以上4μm以下にしたので、安定な単一モードを保てると共に、結晶性の劣化を防止することができる。
また、一実施形態の酸化物半導体レーザ素子は、上記第1導電型クラッド層および第2導電型クラッド層のうちの少なくとも一方の少なくとも一部が、Mgを含んだZnO系半導体層から成り、上記Mgを含んだZnO系半導体層のMg組成比は、0.05以上0.33以下であることを特徴としている。
本発明者は、クラッド層を構成する半導体材料として、ZnO系ワイドギャップ半導体であるMgZnOを用いると、活性層とのバンドギャップエネルギーのオフセットの度合いを大きくすることができて、キャリアを活性層に重点的に閉じ込めることができることを見出した。更に、本発明者は、MgZnO層中のMg組成比を0.05以上にすると、キャリア閉じ込めを良好に行うことができ、Mg組成比を0.35以下にすると、結晶性の悪化や相分離を抑止することができることを見出した。
上記実施形態によれば、上記第1導電型クラッド層および第2導電型クラッド層の少なくとも一方の少なくとも一部を、Mgを含んだZnO系半導体層から形成したので、屈折率を低くして光閉じ込め効果を高くできると共に、キャリアオーバーフローを抑止できる。また、上記Mgを含んだZnO系半導体層のMg組成比を、0.05以上0.33以下にしたので、キャリア閉じ込めを良好に行うことができると共に、結晶性の劣化を抑制することができて、膜がマルチドメイン構造になることを防止できる。
また、一実施形態の酸化物半導体レーザ素子は、上記基板は、ZnO導電性基板、GaN導電性基板またはSiC導電性基板であることを特徴としている。
上記実施形態によれば、基板が導電性基板で構成されているので、例えば、基板の裏面等の基板の表面に電極を直接形成することができて、動作電圧を低減することができる。また、製造に要する工数を低減できて、簡便に製造することができる。特に、ZnO導電性基板を用いると、このZnO導電性基板上に、結晶性に優れたZnO系半導体をエピタキシャル成長させることができて、素子特性を優れたものにすることができる。
また、一実施形態の酸化物半導体レーザ素子は、上記基板は、サファイア絶縁性基板、LiGaO絶縁性基板、NaAlO絶縁性基板またはMgAl絶縁性基板であり、上記基板と上記第1導電型クラッド層の間に、上記第1導電型クラッド層よりも屈折率が高い第1導電型コンタクト層が形成されていることを特徴としている。
上記実施形態によれば、上記基板が、サファイア絶縁性基板、LiGaO絶縁性基板、NaAlO絶縁性基板またはMgAl絶縁性基板であるので、基板を安価に製造することができ、また、基板の品質も高品質にすることができる。特に、酸化物基板を用いると、ZnO半導体との親和性を高くすることができて、素子特性を優れたものにすることができる。また、上記第1導電型クラッド層よりも屈折率が高い第1導電型コンタクト層が形成されているので、光の吸収を防ぎながら、動作電圧を低減できる。
この発明の酸化物半導体レーザ素子によれば、上記第1導電型クラッド層および第2導電型クラッド層のうちの少なくとも一方の構造を、屈折率の異なる2層以上の層が積層された積層構造で構成したので、活性層への光の閉じ込めの度合いが低下することを防止しながら、導波モードを安定な単一モードに保つことができて、遠視野像における狭い放射角を実現することができる。したがって、酸化物半導体レーザ素子の放射角を狭い角まで制御できると共に導波モードの安定性を優れたものにでき、かつ、発振閾値電流も低減できる。
以下、本発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の酸化物半導体レーザ素子であるリッジストライプ型のZnO系半導体レーザ素子300の構造断面図である。
本実施形態の半導体レーザ素子300は、レーザ分子線エピタキシー法(レーザMBE法)を用いて、ZnO導電体基板の一例としての亜鉛面(0001)を成長主面とするn型ZnO単結晶基板301上に、Gaドーピング濃度が1×1018cm-3で厚さが1μmのn型ZnOバッファ層303、第1導電型クラッド層の一例としてのGaドーピング濃度が3×1018cm-3のn型MgZnOクラッド層304、Gaドーピング濃度が5×1017cm-3で厚さが30nmのn型ZnO光ガイド層305、活性層の一例としてのノンドープ量子井戸活性層306、Nドーピング濃度が5×1018cm-3で厚さ30nmのp型ZnO光ガイド層307、第2導電型クラッド層の一例としてのNドーピング濃度が5×1019cm-3で厚さが1.2μmのp型Mg0.1Zn0.9Oクラッド層308、第2導電型コンタクト層の一例としてのNドーピング濃度が1×1020cm-3で厚さが0.5μmのp型ZnOコンタクト層309を順次積層している。第1実施形態の半導体レーザ素子300では、第1導電型がn型で、第2導電型がp型になっている。
上記量子井戸活性層306は、厚さ5nmのCd0.05Zn0.95O障壁層2層と、厚さ6nmのCd0.1Zn0.9O井戸層3層とを交互に積層して、形成されている。
p型ZnOコンタクト層309およびp型Mg0.1Zn0.9Oクラッド層308はリッジストライプ状にエッチング加工され、リッジストライプ側面はGaが3×1018cm-3の濃度でドーピングされたn型Mg0.2Zn0.8O電流ブロック層310によって埋め込まれている。
n型MgZnOクラッド層304は厚さが1μmのn型Mg0.08Zn0.92O第1クラッド層304aと、厚さが0.1μmのn型Mg0.1Zn0.9O第2クラッド層304bの2層から成り、屈折率が低いn型Mg0.1Zn0.9O第2クラッド層304bが活性層306側に配置されている。
n型ZnO単結晶基板301の裏面にはn型オーミック電極311が形成され、n型Mg0.2Zn0.8O電流ブロック層310およびp型ZnOコンタクト層309の上にはp型オーミック電極312が形成されている。
第1実施形態の半導体レーザ素子が、n型MgZnOクラッド層304を、活性層側の厚さが0.1μmのn型Mg0.1Zn0.9O第2クラッド層304bと、厚さが1μmのn型Mg0.08Zn0.92O第1クラッド層304aから構成したように、本発明の半導体レーザ素子は、レーザ光に対して透明な基板上に形成されたZnO系半導体レーザ素子において、少なくともいずれか一方の導電型のクラッド層を屈折率の異なる2層以上の積層構造で構成したことを特徴としている。
上記第1実施形態の構造を作製後、リッジストライプに垂直なミラー端面に保護膜を真空蒸着した後、素子を共振器長300μmに分離した。
上記第1実施形態の半導体レーザ素子300に電流を流したところ、端面から波長410nmの青色発振光が得られ、発振閾値電流は35mA、光出力5mWでの動作電圧は4Vであった。
また、層厚方向遠視野像の測定を行ったところ、図2に実線Aで示す、単峰性の放射パターン、すなわち、層厚方向の遠視野角が0°の位置にピークを有し、レーザ光の放射角が略20°と非常に狭い良好な放射パターンを得た。
本発明者は、比較例1として、n型MgZnOクラッド層304を、p型クラッド層308と同じ屈折率であるMg0.1Zn0.9O単層で構成すると共に、他の層は第1実施形態と同一にした半導体レーザ素子を作製して、発振閾値電流と、層厚方向遠視野像における遠視野強度の測定を行った。
その結果、比較例1においては、光出射端面から発振閾値電流が33mAで、波長が410nmで、放射角が30°の青色発振光が得られた。この発振光は、発振閾値電流が33mAである点が第1実施形態の半導体レーザ素子と略同様である一方、放射角が、第1実施形態の20°よりもはるかに大きな30°になっており、青色発光波長に対応したDVDなどの高密度光ディスクシテムにおいて、再生能力が低く、信号記録再生時にエラーやクロストークが生じ易い状態になっている。
また、本発明者は、比較例2として、n型MgZnOクラッド層304を、p型クラッド層308より屈折率が高いMg0.08Zn0.92O単層で構成すると共に、他の層は第1実施形態と同一にした半導体レーザ素子を作製して、発振閾値電流と、層厚方向遠視野像における遠視野強度の測定を行った。
その結果、比較例2においては、光出射端面から発振閾値電流が45mAで、波長が410nmで、放射角が30°の青色発振光が得られた。この発振光は、波長が410nmの青色発振光だという点のみが、第1実施形態と同じなだけで、発振閾値電流は45mAと大幅に増大し、かつ、層厚方向遠視野像における遠視野強度も、図2に点線Bで示すように、多峰性で弱い放射パターンになっている。放射パターンが、このような異常な放射パターンになると、青色発光波長に対応したDVDなどの高密度光ディスクシテムにおいて、信号記録および再生が正常に行なわれない。
図3は、第1実施形態および比較例1,2のZnO系半導体レーザ素子が有する主要な層の層厚方向におけるZnO系半導体レーザ素子の光強度分布と、第1実施形態のZnO系半導体レーザ素子の層厚方向における屈折率とを示す図である。
図3において、実線Dは、第1実施形態の光強度分布であり、点線Eは、比較例2の強度分布であり、点線Fは、比較例1の強度分布である。尚、この3つの強度分布を、矢印C方向にずらしてプロットしている。
第1クラッド層を、n型Mg0.08Zn0.92Oのみで形成した場合、n型Mg0.08Zn0.92Oの高い屈折率によって、光強度分布が基板側へ裾を引いた非対称分布となる。そして、この非対称分布の影響で、屈折率の高い基板への光しみ出しが大きくなって活性層への光閉じ込めが良好に行われず、遠視野強度が、基本モードから基板側へずれた方向にピークを有する多モード導波となる。比較例2の半導体レーザ素子では、このような現象が生じているものと考えられる。
しかし、第1実施形態では、屈折率の低いn型Mg0.1Zn0.9O第2クラッド層304bを挿入したので、光が基板へしみ出ることを適度に抑制でき、また活性層への光の閉じ込めの度合いが低下することも抑制できる。
以上のように、クラッド層を屈折率の異なる2層以上の積層構造で構成することにより、放射角制御と導波モードの安定性を、格段に向上させることができる。
尚、上記の考察からもわかるように、多層クラッド層において最も屈折率の低い層が、活性層側に形成されることが好ましい。
また、積層構造より成るクラッド層の層厚は、高屈折率クラッド層を厚く、低屈折率クラッド層を薄く形成することが好ましく、両者が同程度の層厚では光強度分布の制御が難しくなる。また、合計層厚が薄いとクラッド層外へのレーザ光のしみ出しが大きくなって単一モード導波を得ることが難しくなる一方、合計層厚が厚すぎると結晶性の劣化が生じやすくて、製造コストが高くなる。このことから、クラッド層の合計膜厚を、1μm〜4μmの範囲で適宜調整することが好ましい。
また、クラッド層を構成する半導体材料は、ZnO系ワイドギャップ半導体であるMgZnOを用いることが好ましい。また、活性層とのバンドギャップエネルギーのオフセットの度合いを十分大きくとって、キャリア閉じ込めを良好に行うには、Mg組成比は0.05以上であることが好ましく、結晶性の悪化や相分離を抑止するには、Mg組成比は0.35以下であることが好ましい。そして、組成比をこの範囲にとると、MgZnOクラッド層の屈折率を、層厚方向の等価屈折率に近い値にできて、放射角を細部にわたるまで制御できる。
また、基板材料としては、基板裏面に大面積のオーミック電極を形成できて、素子抵抗が低減させることができる導電性基板を用いるのが好ましい。しかし、本発明の効果を最大限に得るためには、導電性基板の中でも、最も結晶性に優れたエピタキシャル層が得られるZnO単結晶基板を用いることが好ましい。特に、ZnO単結晶基板の成長主面として亜鉛面を用いると、p型層のキャリア活性化率を向上させることができて、抵抗の低いp型層を形成することができて好ましい。
上記第1実施形態の半導体レーザ素子によれば、第1導電型クラッド層としてのn型MgZnOクラッド層の層構造を、屈折率が異なるn型Mg0.08Zn0.92O第1クラッド層304aと、n型Mg0.1Zn0.9O第2クラッド層304bを積層した積層構造にしたので、半導体レーザ素子の垂直横モードを単峰かつ安定に導波させることができると共に、遠視野像で測定できる放射角も小さくできる。
また、上記第1実施形態の半導体レーザ素子によれば、積層クラッド層中の低屈折率層であるn型Mg0.1Zn0.9O第2クラッド層304bを、ノンドープ量子井戸活性層306側に配置したので、積層構造を有するn型クラッド層304での光の反射率を大きくすることができる。したがって、ノンドープ量子井戸活性層306への光閉じ込めと垂直横モードの安定性が更に向上させることができて、導波モードを単一モードに保って光分布を制御することができる。また、ZnO系半導体混晶においては、ノンドープ量子井戸活性層306側の屈折率が低くなるように、組成比を制御すると、バンドギャップエネルギーを大きくできるので、当該低屈折率層によってキャリアオーバーフローを抑止することができる。
また、上記第1実施形態の半導体レーザ素子によれば、上記積層構造中の高屈折率クラッド層であるn型Mg0.08Zn0.92O第1クラッド層304aの膜厚を1μmにして、かつ、上記積層構造中の低屈折率クラッド層であるn型Mg0.1Zn0.9O第2クラッド層304bの膜厚を0.1μmとして、高屈折率クラッド層が厚くなり、かつ、低屈折率クラッド層が薄くなるようにすると共に、積層構造全体の膜厚を、1μm以上4μm以下の値である1.1μmにしたので、光強度分布の制御を容易に行うことができると共に、クラッド層外への光のしみ出しの程度を小さくできて、結晶性の劣化も抑制できる。
また、上記第1実施形態の半導体レーザ素子によれば、上記n型クラッド層304およびp型クラッド層306を、Mgを含んだZnO系半導体層から形成したので、屈折率を低くして光閉じ込め効果を高くできると共に、キャリアオーバーフローを抑止できる。また、上記n型クラッド層304およびp型クラッド層306のMg組成比を、0.05以上0.33以下にしたので、キャリア閉じ込めを良好に行うことができると共に、結晶性の劣化を抑制することができて、膜が多層化することを防止できる。
また、上記第1実施形態の半導体レーザ素子によれば、基板が導電性基板の一例であるn型ZnO単結晶基板301で構成されているので、n型ZnO単結晶基板301の裏面にn型オーミック電極311を直接形成することができて、動作電圧を低減することができる。また、製造に要する工数を低減できて、簡便に製造することができる。また、上記第1実施形態のように、基板として、ZnO導電性基板の一例としてのn型ZnO単結晶基板301を用いると、このn型ZnO単結晶基板301上に、結晶性に優れたZnO系半導体をエピタキシャル成長させることができて、素子特性を優れたものにすることができる。
尚、上記第1実施形態では、n型MgZnOクラッド層304を積層構造にしたが、この発明の酸化物半導体レーザ素子では、n型クラッド層を積層構造にすると共に、p型クラッド層を積層構造にしても良い。また、p型クラッド層のみを積層構造にしても良い。
また、上記第1実施形態では、n型クラッド層304とp型クラッド層306を、両方ともMgを含んだZnO系半導体で形成したが、この発明の酸化物半導体レーザは、どちらか一方のクラッド層のみをMgを含んだZnO系半導体で形成しても良く、両方の層とも、Mgを含んだZnO系半導体で形成しなくても良い。
また、上記第1実施形態では、n型クラッド層304の構造を、2層から成る積層構造にしたが、この発明のクラッド層の構造を、3層以上の複数層を積層した積層構造にしても良い。
また、第1実施形態で用いたZnO基板301以外にも、SiC基板やGaN基板等の導電性基板を用いても良く、この場合でも、ZnO基板301と同様に、基板裏面に大面積のオーミック電極を形成できて、素子抵抗を低減させることができる。
また、第1実施形態の半導体レーザ素子300を、レーザMBE法を用いて作製したが、この発明の酸化物半導体レーザ素子を、レーザMBE法に限らず、固体あるいは気体原料を用いた分子線エピタキシー(MBE)法、有機金属気相成長(MOCVD)法等の結晶成長手法で作製しても良い。
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態のZnO系半導体レーザ素子の層厚方向における屈折率の分布である。第2実施形態のZnO系半導体レーザ素子は、n型第2クラッド層304bを上記第1実施形態のZnO系半導体レーザ素子より更に屈折率の低いn型第2クラッド層Mg0.2Zn0.8O404bで構成した点のみが上記第1実施形態のZnO系半導体レーザ素子と異なっている。
上記第2実施形態の半導体レーザ素子では、第1実施形態の半導体レーザ素子と共通の構成、作用効果および変形例については説明を省略することにし、第1実施形態の半導体レーザ素子と異なる構成、作用効果および変形例についてのみ説明を行うことにする。
第2実施形態の半導体レーザ素子に電流を流したところ、端面から波長410nmの青色発振光が得られ、発振閾値電流は第1実施形態の半導体レーザ素子より低い30mAになった。また、層厚方向遠視野像の測定を行ったところ、放射角は20°の単峰性放射パターンを示した。更に、第1実施形態の半導体レーザ素子は、光出力が10mWで導波モードが不安定となる「キンク」が見られたのに対し、第2実施形態の半導体レーザ素子はキンクレベルが20mWまで向上した。
第2実施形態では、n型第2クラッド層404bの屈折率を第1実施形態より更に小さくして、他方の導電型のクラッド層としてのp型Mg0.1Zn0.9Oクラッド層308の屈折率よりも小さくしているので、活性層への光の閉じ込めの度合いと、導波モード安定性を更に向上させることができる。また、活性層と比較してバンドギャップが大きなn型第2クラッド層404bを採用したので、活性層からのキャリアオーバーフローを抑制するブロック機能の度合いを大きくすることができて、キャリア閉じ込めの度合いを向上させることができて、発振閾値電流を低減させることができる。
(第3実施形態)
第3実施形態のZnO系半導体レーザ素子は、n型第1クラッド層を、第1および第2実施形態のZnO系半導体レーザ素子の第1クラッド層304aよりも屈折率が低いMg0.05Zn0.95Oで構成した点のみが、上記第2実施形態のZnO系半導体レーザ素子と異なっている。
上記第3実施形態の半導体レーザ素子では、第1および第2実施形態の半導体レーザ素子と共通の構成、作用効果および変形例については説明を省略することにし、第1および第2実施形態の半導体レーザ素子と異なる構成、作用効果および変形例についてのみ説明を行うことにする。
第3実施形態の半導体レーザ素子に電流を流したところ、光出射端面から波長410nmの青色発振光が得られた。この青色発振光は、発振閾値電流が第2実施形態と同じく30mAである一方、層厚方向遠視野像の測定に基づく、層厚方向の遠視野角に対する遠視野強度のパターンが、放射角が16°の単峰性放射パターンになり、青色発振光を、第1および第2実施形態より狹く制御することができた。
(第4実施形態)
図5は、第4実施形態のZnO系半導体レーザ素子の層厚方向における屈折率分布である。第4実施形態のZnO系半導体レーザ素子は、n型MgZnOクラッド層304を、厚さ1μmのn型Mg0.08Zn0.92O第1クラッド層504aと、厚さ0.05μmのn型Mg0.15Zn0.85O第2クラッド層504bと、厚さ0.1μmのn型Mg0.08Zn0.92O第3クラッド層504cの3層で構成した点のみが第1実施形態のZnO系半導体レーザ素子と異なる。
上記第4実施形態の半導体レーザ素子では、第1実施形態の半導体レーザ素子と共通の構成、作用効果および変形例については説明を省略することにし、第1実施形態の半導体レーザ素子と異なる構成、作用効果および変形例についてのみ説明を行うことにする。
第4実施形態の半導体レーザ素子に電流を流したところ、端面から波長410nmの青色発振光が得られた。第4実施形態の半導体レーザ素子は、発振閾値電流と垂直放射角が第1実施形態の半導体レーザ素子と同じく35mAおよび20°である一方、キンクレベルを30mWまで大きく向上させることができた。すなわち、第4実施形態の半導体レーザ素子では、クラッド層を3層で構成したことにより、導波モードの安定性を更に向上させることができた。
上記第4実施形態の半導体レーザ素子によれば、上記積層構造のうちで最も屈折率の大きいn型Mg0.08Zn0.92O第1クラッド層504aおよびn型Mg0.08Zn0.92O第3クラッド層504cの屈折率が、他方の導電型のクラッド層としてのp型Mg0.1Zn0.9Oクラッド層308の屈折率よりも大きいので、垂直横モードの安定性を更に向上させることができて、単一モードに保って光分布を制御することができる。
また、上記積層構造を3層で構成し、かつ、この3層のうちの中央のn型Mg0.15Zn0.85O第2クラッド層504bの屈折率を最も小さくしたので、単一導波モードをより安定に得ることができる。
(第5実施形態)
図6は、第5実施形態のZnO系半導体レーザ素子の構造断面図および層厚方向における屈折率分布である。第5実施形態の半導体レーザ素子は、n型MgZnOクラッド層を、単層であるn型Mg0.1Zn0.9Oクラッド層604で構成すると共に、p型MgZnOクラッド層308を厚さ0.05μmのp型Mg0.15Zn0.85O第2クラッド層608aと、厚さ1.2μmのp型Mg0.08Zn0.92O第1クラッド層608bの2層構造とした点が、第1実施形態のZnO系半導体レーザ素子と異なる。
上記第5実施形態の半導体レーザ素子では、第1実施形態の半導体レーザ素子の構成部と同一構成部には同一参照番号を付して説明を省略することにする。また、上記第5実施形態の半導体レーザ素子では、第1実施形態の半導体レーザ素子と共通の作用効果および変形例については説明を省略することにし、第1実施形態の半導体レーザ素子と異なる構成、作用効果および変形例についてのみ説明を行うことにする。
上記第5実施形態の半導体レーザ素子に電流を流したところ、端面から波長410nmの青色発振光が得られ、発振閾値電流と垂直放射角は夫々30mAおよび20°であった。
ZnO系半導体は抵抗が低いp型層を得ることが難しいので、バイアス電圧印加時における活性層とp型クラッド層界面のバンドオフセットが活性層とn型クラッド層界面に比べて小さく、キャリアオーバーフローが生じ易いという問題がある。第5実施形態のZnO系半導体レーザ素子では、p型Mg0.15Zn0.85O第2クラッド層608aのバンドギャップを大きくしたので、キャリアブロックの効果を大きくすることができて、第1実施形態の半導体レーザ素子に比べて発振閾値電流を低減することができる。
このことから、上記第5実施形態の半導体レーザ素子のように、p型クラッド層を2層以上の積層構造で構成しても、放射角制御と導波モードの安定性を向上させることができ、かつ、キャリアオーバーフローの抑制効果を、n型クラッド層を2層構造とした場合より向上させることができる。
上記第5実施形態の半導体レーザ素子によれば、図6の屈折率の変化のグラフに示されているように、p型クラッド層を2層以上の積層構造にし、かつ、最も屈折率の低いp型Mg0.15Zn0.85O第2クラッド層608aを、活性層側に形成しているので、積層クラッド層での光の反射率を大きくすることができる。したがって、ノンドープ量子井戸活性層306への光閉じ込めと垂直横モードの安定性が更に向上させることができて、導波モードを単一モードに保って光分布を制御することができる。また、ZnO系半導体混晶においては、屈折率が低くなるよう組成比を制御すると、バンドギャップエネルギーを大きくできるので、当該低屈折率層によってキャリアオーバーフローを抑止することができる。
尚、上記第5実施形態の半導体レーザ素子は、n型クラッド層に積層構造を導入するかわりに、p型クラッド層に積層構造を導入した点が、第1実施形態の半導体レーザ素子と異なっている。したがって、上記第5実施形態の半導体レーザ素子において、p型クラッド層に施されると好適な条件(例えば、積層構造中の膜厚、屈折率による積層構造中の配置位置、Mg組成比等)が、上記第1実施形態の半導体レーザ素子で、n型クラッド層に施されたときに好適であった条件と一致することは勿論である。
(第6実施形態)
図7は、第6実施形態のZnO系半導体レーザ素子の層厚方向における屈折率分布である。第6実施形態の半導体レーザ素子は、n型ZnO光ガイド層305およびp型ZnO光ガイド層307を、夫々、光ガイド層の屈折率が活性層側からクラッド層に行くに従って小さくなる屈折率傾斜を有するGRIN−SCH(Graded-index Separate Confinement Heterostructure)構造であるn型ZnO光ガイド層705およびp型ZnO光ガイド層707とした点のみが第1実施形態のZnO系半導体レーザ素子と異なる。
上記第6実施形態の半導体レーザ素子では、第1実施形態の半導体レーザ素子と共通の構成、作用効果および変形例については説明を省略することにし、第1実施形態の半導体レーザ素子と異なる構成、作用効果および変形例についてのみ説明を行うことにする。
第6実施形態の半導体レーザ素子に電流を流したところ、端面から単峰性の放射パターンを有する波長410nmの青色発振光が得られ、発振閾値電流と垂直放射角は夫々30mAおよび20°であった。
上記第6実施形態の半導体レーザ素子によれば、光ガイド層をGRIN−SCH構造にしたので、本発明の特徴である放射角を狭く制御できる作用効果と導波モードの安定性が高い作用効果に加えて、放射パターンを単峰性の放射パターンにすることができて、活性層への光の閉じ込めの度合いを向上させることができるという作用効果を得ることができる。
(第7実施形態)
図8は、第7実施形態のZnO系半導体レーザ素子の構造斜視図である。
第7実施形態では、n型ZnO単結晶基板に代えてc面(0001)を成長主面とするサファイア基板801を用いた点と、n型MgZnOクラッド層804からn型Mg0.2Zn0.8O電流ブロック層810まで、積層構造の一部をエッチングして、露出したn型ZnOバッファ層803をn型コンタクト層として用い、その上にn型オーミック電極811を形成した点が、第1実施形態のZnO系半導体レーザ素子と異なる。
上記第7実施形態の半導体レーザ素子では、第1実施形態の半導体レーザ素子と共通の構成、作用効果および変形例については説明を省略することにし、第1実施形態の半導体レーザ素子と異なる構成、作用効果および変形例についてのみ説明を行うことにする。
本実施形態の半導体レーザ素子に電流を流したところ、端面から単峰性の放射パターンを有する波長410nmの青色発振光が得られ、発振閾値電流と垂直放射角は35mAおよび20°であった。
第7実施形態のZnO系半導体レーザ素子は、サファイア基板801がレーザ光に対して透明であり、またn型MgZnOクラッド層804の外側に、これよりも屈折率の高いZnOコンタクト層としてのn型ZnOバッファ層803を有している。レーザ駆動電流は、このコンタクト層を横方向(接合面に対して平行方向)に流れるため、抵抗を低減するためには、このコンタクト層を厚く積層することが有効である。
第7実施形態のZnO系半導体レーザ素子は、絶縁性のサファイア基板801を用いているので、導電性のZnO基板を用いた第1実施形態よりも導波モードが不安定になりやすい傾向にあるが、本発明のZnO系半導体レーザ素子のように、2層クラッド構造を適用することにより、たとえ厚いn型コンタクト層を形成しても、狭い放射角制御と安定な導波モードを得ることができる。
また、上記第7実施形態の半導体レーザ素子によれば、n型クラッド層804よりも屈折率が高いn型コンタクト層としてのn型ZnOバッファ層803が形成されているので、光の吸収を防ぎながら、動作電圧を低減できる。
尚、第7実施形態のZnO系半導体レーザ素子では、基板材料として、サファイア絶縁性基板801を用いたが、基板材料として、LiGaO、NaAlOおよびMgAl等の絶縁性基板を用いても、基板材料として、サファイア絶縁性基板801を用いた場合と同様に、良好なZnOエピタキシャル層を得ることができる。
尚、上記第1〜第7実施形態の半導体レーザ素子では、第1導電型をn型に、かつ、第2導電型をp型にしたが、この発明の酸化物半導体レーザ素子では、第1導電型をp型に、かつ、第2導電型をn型にしても良い。
また、上記第1〜第7実施形態の半導体レーザ素子では、活性層として、量子井戸構造のノンドープ量子井戸活性層306,806を採用したが、活性層として、量子井戸構造を採用しなくても良い。また、この発明では、ドープを用いた活性層を採用しても良い。
また、この発明の酸化物半導体レーザ素子の各層の組成比は、上記第1〜第7実施形態の半導体レーザ素子で具体的に記載された各層の組成比の数値に限定されるものでないことは勿論である。また、この発明の酸化物半導体レーザ素子の各層の膜厚は、上記第1〜第7実施形態の半導体レーザ素子で具体的に記載された各層の膜厚の数値に限定されるものでないことも勿論であり、この発明の酸化物半導体レーザ素子の各層にドープされたドーパントの密度が、上記第1〜第7実施形態の半導体レーザ素子で具体的に記載された各層のドーパント密度の数値に限定されるものでないことも勿論である。
本発明の第1実施形態のZnO系半導体レーザ素子の構造断面図である。 第1実施形態と比較例のZnO系半導体レーザ素子を可動させたときの層厚方向の遠視野像における遠視野角と遠視野強度の関係を示す図である。 第1実施形態、比較例1および比較例2のZnO系半導体レーザ素子の層厚方向における光強度分布と、第1実施形態のZnO系半導体レーザ素子の層厚方向における屈折率とを示す図である。 本発明の第2実施形態のZnO系半導体レーザ素子の層厚方向における屈折率分布を示す図である。 本発明の第4実施形態のZnO系半導体レーザ素子の層厚方向における屈折率分布を示す図である。 本発明の第5実施形態のZnO系半導体レーザ素子の構造断面図と、層厚方向における屈折率分布を示す図である。 本発明の第6実施形態のZnO系半導体レーザ素子の層厚方向における屈折率分布を示す図である。 本発明の第7実施形態のZnO系半導体レーザ素子の構造斜視図である。 従来のZnO系半導体レーザ素子の構造斜視図である。
符号の説明
300,600,800 半導体レーザ素子
301 n型ZnO単結晶基板
303,803 n型ZnOバッファ層
304a,304b,404b,504a,504b,504c,
604,804a,804b n型MgZnOクラッド層
305,705,805 n型ZnO光ガイド層
306,806 量子井戸活性層
307,707,807 p型ZnO光ガイド層
308,608a,608b,808 p型MgZnOクラッド層
309,809 p型ZnOコンタクト層
310,810 n型MgZnO電流ブロック層
311,811 n型オーミック電極
312,812 p型オーミック電極
801 サファイア基板

Claims (9)

  1. レーザ光に対して透明な基板上に、少なくとも、第1導電型クラッド層、活性層、第2導電型クラッド層、第2導電型コンタクト層を順次設け、
    上記第1導電型クラッド層、活性層、第2導電型クラッド層および第2導電型コンタクト層は、ZnO系半導体から成り、
    上記第1導電型クラッド層および第2導電型クラッド層のうちの少なくとも一方は、屈折率の異なる2層以上の層を積層した積層構造になっていることを特徴とする酸化物半導体レーザ素子。
  2. 請求項1に記載の酸化物半導体レーザ素子において、
    上記積層構造において最も屈折率の低い層は、上記活性層側に配置されていることを特徴とする酸化物半導体レーザ素子。
  3. 請求項1に記載の酸化物半導体レーザ素子において、
    上記積層構造が、上記第1導電型クラッド層と第2導電型クラッド層のどちらか一方に形成されており、
    上記積層構造のうちで最も屈折率の小さい層の屈折率は、他方の導電型のクラッド層の屈折率よりも小さいことを特徴とする酸化物半導体レーザ素子。
  4. 請求項1に記載の酸化物半導体レーザ素子において、
    上記積層構造が、上記第1導電型クラッド層と第2導電型クラッド層のどちらか一方に形成されており、
    上記積層構造のうちで最も屈折率の大きい層の屈折率は、他方の導電型のクラッド層の屈折率よりも大きいことを特徴とする酸化物半導体レーザ素子。
  5. 請求項1に記載の酸化物半導体レーザ素子において、
    上記積層構造を3層で構成し、この3層のうちで最も屈折率が小さい層を、上記3層の中間に配置したことを特徴とする酸化物半導体レーザ素子。
  6. 請求項1に記載の酸化物半導体レーザ素子において、
    上記積層構造における各層は、全て膜厚が異なり、かつ、積層構造全体の膜厚が、1μm以上4μm以下であることを特徴とする酸化物半導体レーザ素子。
  7. 請求項1に記載の酸化物半導体レーザ素子において、上記第1導電型クラッド層および第2導電型クラッド層のうちの少なくとも一方の少なくとも一部は、Mgを含んだZnO系半導体層から成り、
    上記Mgを含んだZnO系半導体層のMg組成比は、0.05以上0.33以下であることを特徴とする酸化物半導体レーザ素子。
  8. 請求項1に記載の酸化物半導体レーザ素子において、
    上記基板は、ZnO導電性基板、GaN導電性基板またはSiC導電性基板であることを特徴とする酸化物半導体レーザ素子。
  9. 請求項1に記載の酸化物半導体レーザ素子において、
    上記基板は、サファイア絶縁性基板、LiGaO絶縁性基板、NaAlO絶縁性基板またはMgAl絶縁性基板であり、
    上記基板と上記第1導電型クラッド層の間に、上記第1導電型クラッド層よりも屈折率が高い第1導電型コンタクト層が形成されていることを特徴とする酸化物半導体レーザ素子。
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