JP2004140000A - 燃料電池、燃料電池用電極およびそれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 携帯機器などに用いるために充分小型軽量で、かつ出力密度の高い燃料電池、燃料電池用電極、およびそれらの製造方法、および組電池を提供する。
【解決手段】 燃料電池100の燃料極102または酸化剤極108の基体104または基体110に、燃料極側集電体421または酸化剤極側集電体423を接着させることにより、燃料極側集電体421または酸化剤極側集電体423を薄型軽量化し、エンドプレートや締結部品が不要な構成とする。また、燃料極側集電体421または酸化剤極側集電体423の表面に、燃料または酸化剤を直接供給する。
【選択図】 図1
【解決手段】 燃料電池100の燃料極102または酸化剤極108の基体104または基体110に、燃料極側集電体421または酸化剤極側集電体423を接着させることにより、燃料極側集電体421または酸化剤極側集電体423を薄型軽量化し、エンドプレートや締結部品が不要な構成とする。また、燃料極側集電体421または酸化剤極側集電体423の表面に、燃料または酸化剤を直接供給する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、燃料電池、燃料電池用電極、およびそれらの製造方法に関する。
近年の情報化社会の到来とともに、パーソナルコンピュータ等の電子機器で扱う情報量が飛躍的に増大し、それに伴い、電子機器の消費電力も著しく増加してきた。特に、携帯型の電子機器では、処理能力の増加に伴って消費電力の増加が問題となっている。現在、このような携帯型の電子機器では、一般的にリチウムイオン電池が電源として用いられているが、リチウムイオン電池のエネルギー密度は理論的な限界に近づいている。そのため、携帯型の電子機器の連続使用期間を延ばすために、CPUの駆動周波数を抑えて消費電力を低減しなければならないという制限があった。
このような状況の中で、リチウムイオン電池に変えて、エネルギー密度が大きく、熱交換率の高い燃料電池を電子機器の電源として用いることにより、携帯型の電子機器の連続使用期間が大幅に向上することが期待されている。
燃料電池は、燃料極および酸化剤極と、これらの間に設けられた電解質から構成され、燃料極には燃料が、酸化剤極には酸化剤が供給されて電気化学反応により発電する。燃料としては、一般的には水素が用いられるが、近年、安価で取り扱いの容易なメタノールを原料として、メタノールを改質して水素を生成させるメタノール改質型や、メタノールを燃料として直接利用する直接型の燃料電池の開発も盛んに行われている。
燃料として水素を用いた場合、燃料極での反応は以下の式(1)のようになる。
3H2 → 6H+ + 6e− (1)
3H2 → 6H+ + 6e− (1)
燃料としてメタノールを用いた場合、燃料極での反応は以下の式(2)のようになる。
CH3OH + H2O → 6H+ + CO2 + 6e− (2)
CH3OH + H2O → 6H+ + CO2 + 6e− (2)
また、いずれの場合も、酸化剤極での反応は以下の式(3)のようになる。
3/2O2 + 6H+ + 6e− → 3H2O (3)
3/2O2 + 6H+ + 6e− → 3H2O (3)
特に、直接型の燃料電池では、メタノール水溶液から水素イオンを得ることができるので、改質器等が不要になり、小型化および軽量化を図ることができ、携帯型の電子機器へ適用することの利点が大きい。また、液体のメタノール水溶液を燃料とするため、エネルギー密度が非常に高いという特徴がある。
直接型の燃料電池は、単位セルの発生電圧が1V以下であるため、携帯電話等の携帯機器に応用するためには、高電圧を発生させるために複数のセルを直列に連結する必要がある。自動車用や家庭の定置用燃料電池の場合には各単位セルを縦方向に連結する、スタック構造をとるのが一般的であるが、携帯機器用ダイレクトメタノール固体電解質型燃料電池の場合には、機器の厚さの制約等から平面内で連結する方法が用いられる場合が多い。
従来の燃料電池では、固体電解質膜の両面に燃料極、酸化剤極が形成された単位セルを複数個平面上に配置し、各セルの燃料極と酸化剤極に集電体を接触させて各セルを相互に電気接続する。各セルの一番外側に燃料極エンドプレートおよび酸化剤極エンドプレートを設け、ボルトとナットなどの締結部品によってセル部品に一定の圧力を加えて電気的に接触させ、所望の出力特性を得る。この方法では、燃料は外部の燃料容器から燃料極エンドプレートに設けられた燃料の流入部および排出部より供給、排出される。
従来の携帯機器用の固体電解質型燃料電池の構成は、たとえば図2のようである。燃料極102および酸化剤極108は、触媒層106、触媒層112を基体104、基体110上に形成された構成となっており、燃料極側集電体421と酸化剤極側集電体423から集電する。燃料極側エンドプレート120、および、酸化剤極側エンドプレート122を締結部品13によって燃料極側集電体421と酸化剤極側集電体423に一定の圧力を加えて、燃料極側集電体421および酸化剤極側集電体423と、基体104および基体110とを機械的に接触させる。この場合、燃料極側エンドプレート120、および、酸化剤極側エンドプレート122に十分な剛性を与える必要があり、剛性が不十分であると、圧力をかけたときにこれらのエンドプレートがたわんでしまい、機械的な接触が不十分になるため、燃料電池セルの内部抵抗が大きくなってしまう。この結果、燃料電池の出力が低下するという課題を有していた。
このように、燃料極および酸化剤極にエンドプレートを設け、ボルトとナットなどの締結部品によって十分に密着させる従来の形態の燃料電池では、内部抵抗を小さくするため、エンドプレートに十分な剛性が必要とされる。各構成部材の密着が不十分であると、内部抵抗が増加し、燃料電池の出力が低下する。たとえばエンドプレートにベークライトやステンレス等を用いてこの条件を満足するためには、エンドプレートは通常1mm以上の厚さが必要になり、燃料電池を薄型化、軽量化することができない。エンドプレートをたとえば0.5mm以下に薄くすると、エンドプレートの剛性が低下し、締結時エンドプレートにたわみが生じる。この結果、燃料電池内部の集電体、燃料極、酸化剤極、および、これらの燃料極と酸化剤極の間に設けられた固体電解質膜の接触圧力が低下し、燃料電池の出力が低下する。
また、携帯機器に用いる組電池として、たとえば特許文献1に、平面内でセルを連結する構成が記載されている。これは、図2の構成の燃料電池を単位セルとして、これを同一平面上に並べて連結し、組電池化したものである。ここでは、燃料極および酸化剤極のエンドプレートは各1枚に一体化されており、エンドプレートをボルトとナットで締結し、電気的接触を確保していた。
このように、従来の燃料電池では、組電池化した場合にもエンドプレートおよびボルトとナットなどの締結部品を用いて密着させる必要があった。
しかし、燃料電池を携帯機器に用いる場合、薄型化、小型軽量化が必要である。たとえば携帯電話は端末重量が100g程度と軽量であるため、燃料電池の重量もグラム単位で軽く、また、ミリ単位で薄くする必要があるが、従来の燃料電池では、以上に述べたように、小型軽量化をめざすと内部抵抗が増加し、出力が低下する。
特開2001−283892号公報
上記のように、従来の燃料電池では、燃料極および酸化剤極にエンドプレートを設け、ボルトとナットなどの締結部品によって十分に密着させていたため、燃料電池を薄型化、軽量化することができないという課題を有していた。
また、エンドプレートを薄くすることにより、従来の燃料電池を薄型化、軽量化しようとすると、燃料電池の各構成部材の密着が不十分になるため内部抵抗が増加し、出力が低下するという課題を有していた。
特に、従来の燃料電池では、携帯機器に用いるために充分な薄型化、小型軽量化と、出力向上との両立が困難であるという課題を有していた。
上記事情に鑑み、本発明の技術的課題は、燃料電池を薄型、小型軽量し、かつ高い出力を発揮させることにある。
すなわち、本発明の目的は、高出力かつ薄型、小型軽量な燃料電池を提供することである。また、本発明の別の目的は、携帯機器などに用いるために充分小型軽量で、かつ出力密度の高い燃料電池を提供することである。
本発明によれば、集電体、基体、および触媒層がこの順に積層された燃料電池用電極であって、前記集電体と前記基体とが接着されたことを特徴とする燃料電池用電極が提供される。
本発明の燃料電池用電極は、前記基体と前記集電体とが接着された構成となっている。「接着」とは、基体と集電体とが、たとえばエンドプレートおよびボルトとナットなどで締結されることなく、充分に密着している状態をいう。具体的には、たとえば、前記基体と前記集電体とが、界面で接着層を形成されることにより接着されていたり、ろう材を介して接着されていたり、前記基体と前記集電体の両方に親和性を有する接着剤を介して接着されていたり、合金を形成させることにより接着されていたりすることができる。また、他の化学結合を形成させることによって接着させることもできる。
こうすることにより、前記基体と前記集電体との密着性が良好に保たれ、前記基体と前記集電体とを電気的に接続することができる。よって、本発明の燃料電池用電極は、従来締結に必要とされていたエンドプレートおよびボルトとナットなどの小型化を阻害する部材が不要となる。したがって、燃料電池を薄型、小型軽量化することができる。
なお、燃料極または酸化剤極の集電体の外側に従来用いられていたセパレータやエンドプレートなどの、小型化を阻害する部材は、本発明の燃料電池には設けないが、小型化を阻害しない部材、たとえば、包装部材などは必要に応じて適宜設けることができる。
さらに、従来はエンドプレートと締結部材を用いていたため、集電体はたわみ等が生じない程度に厚い必要があったが、本発明の燃料電池用電極においては、このような部材が不要となるため、集電体自体も薄型化することができる。
本発明の燃料電池用電極において、前記基体が炭素を主として含む構成とすることができる。こうすることにより、前記基体の導電性を向上させることができる。また、こうすることにより、集電体を構成する材料の選択によって、金属炭化物形成による接着が可能になるため、前記基体と前記集電体との電気的接触をさらに良好にすることができる。
また、本発明の燃料電池用電極において、前記集電体が、炭化物を形成しうる元素を含む構成とすることができる。こうすることにより、前記基体に炭素を主として含む物質を用いた際に、前記集電体と前記基体との親和性を向上させることができる。したがって、前記集電体と前記基体との密着性を高めることができるため、これらの電気的接触を高めることができる。このような燃料電池用電極を燃料電池に用いることにより、燃料電池の出力を高めることができる。
前記基体と前記集電体とを金属炭化物を形成させて接着させる場合、前記集電体が、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Al、Cから選択される一または二以上の元素を含む態様をとることができる。こうすることにより、前記集電体が前記基体との界面で炭化物を形成することができるため、前記基体と前記集電体との密着性をさらに高めることができる。
本発明の燃料電池用電極において、前記集電体が導電性金属またはその合金である構成とすることができる。こうすることにより、前記集電体の接触抵抗を低下させ、集電効率を向上させることができる。したがって、燃料電池に使用した際にその出力を向上させることができる。
本発明の燃料電池用電極において、前記集電体は金属板または金属メッシュとすることができる。前記集電体として金属板を用いる場合、燃料または酸化剤を燃料極または酸化剤極の基体へと導く導入路が設けられていることが好ましく、たとえば、表面に貫通孔が設けられた金属板、多孔質金属板、線状の孔が設けられた金属板、などを用いることができる。また、金属メッシュとして、たとえば金メッシュなどの多孔質金属メッシュなどを用いることができる。こうすることにより、前記基体と前記集電体との間の気体や液体の拡散をさらに促進することができる。さらに、前記集電体を軽量化することもできるため、燃料電池に用いた際にもその軽量化が可能である。
本発明の燃料電池用電極において、前記集電体が、Au、Ag、Cu、Ptから選択される一または二以上の元素を含む構成とすることができる。前記集電体がAu、Ag、Cuから選択される元素を含むことにより、集電体の比電気抵抗を低下させることができるため、集電体をより薄型化することができる。したがって、燃料電池用電極をさらに薄型、小型軽量化することができる。また、前記集電体がAu、Ag、Ptから選択される元素を含むことにより、集電体を構成する金属をより貴とすることができる。したがってこうすることにより集電体の耐食性を向上させることができる。
本発明の燃料電池用電極において、前記集電体の厚さを0.05mm以上1mm以下とすることができる。0.05mm以上とすることにより、前記集電体の厚み方向の比電気抵抗を好適に低下させることができる。また、1mm以下とすることにより、前記集電体をより薄型化、小型軽量化することができる。したがって、このような構成の燃料電池用電極を燃料電池に用いることにより、出力を向上させ、また薄型化、小型軽量化することができる。
本発明によれば、燃料極、酸化剤極、および前記燃料極と前記酸化剤極とで挟持された固体電解質膜を含み、前記燃料極または前記酸化剤極として前記燃料電池用電極を含むことを特徴とする燃料電池が提供される。
本発明の燃料電池は、前記燃料極または前記酸化剤極の基体と集電体とが接着されているため、エンドプレートおよび締結部品を用いなくても、基体と集電体との密着性を良好に維持することができ、電気的な接触が良好に維持されている。したがって、燃料電池をより薄型化、小型軽量化することができる。
前記固体電解質膜が前記燃料極と前記酸化剤極とで挟持された態様として、たとえば、平面型の燃料電池や、円筒型の燃料電池などが挙げられる。
本発明の燃料電池において、前記燃料電池用電極が前記燃料極を構成し、燃料が前記燃料極の集電体の表面に直接供給される構成とすることができる。
本発明の燃料電池を構成する燃料極は、集電体上に基体が接着され、該基体上に触媒層が形成されている。こうすることによって、エンドプレートおよび締結部品を用いなくても、前記燃料極での基体と集電体との密着性を良好に維持することができるため、電気的な接触が良好に維持されている。また、本発明の燃料電池は、前記燃料極の集電体表面に直接燃料が供給される。燃料が直接供給される具体的構成としては、たとえば、燃料極の集電体上に燃料容器や燃料供給部が設けられていたりすることをいい、燃料極の集電体に、エンドプレートやセパレータなどを介さずに燃料が供給されることをいう。
したがって、本発明の燃料電池は、エンドプレート等の小型化を阻害する部材を介さずに、燃料極の集電体表面に直接燃料が供給されるため、より薄型、小型軽量で、かつ出力特性に優れたものである。
なお、前記集電体が板状である場合、適宜導入孔を設けることができる。こうすることにより、燃料を前記集電体表面からより効率よくとりこませることができる。また、本発明の燃料電池には、包装部材など、小型化を阻害しない部材であれば適宜用いることができる。
本発明の燃料電池において、前記燃料電池用電極が燃料極を構成し、前記燃料極に燃料を供給するための燃料容器または燃料流路が前記燃料極の集電体表面に接して設けられた構成とすることができる。
本発明の燃料電池を構成する燃料極は、集電体上に基体が接着され、該基体上に触媒層が形成されているため、電気的な接触が良好に維持されている。また、本発明の燃料電池は、前記燃料極に燃料を供給するための燃料容器または燃料流路などの燃料供給体が、エンドプレートなど小型化を阻害する因子を介さずに、前記燃料極の集電体表面に接して設けられた構成となっており、前記燃料極の集電体表面に直接燃料が供給される。したがって、本発明の燃料電池は、より薄型、小型軽量で、かつ出力特性に優れたものである。
なお、前記集電体が板状である場合、集電体表面に適宜貫通孔や、ストライプ状の導入路などを設けることができる。こうすることにより、燃料を前記集電体表面からより効率よくとりこませ、燃料極の基板に導くことができる。本発明の燃料電池には、包装部材など、小型化を阻害しない部材であれば適宜用いることができる。
本発明の燃料電池において、前記燃料電池用電極が前記酸化剤極を構成し、酸化剤が前記酸化剤極の集電体の表面に直接供給される構成とすることができる。
本発明の燃料電池を構成する酸化剤極は、集電体上に基体が接着され、該基体上に触媒層が形成されている。こうすることによって、エンドプレートおよび締結部品を用いなくても、前記酸化剤極での基体と集電体との密着性を良好に維持することができるため、電気的な接触が良好に維持されている。また、本発明の燃料電池は、前記酸化剤極の集電体表面に直接燃料が供給される。ここで、酸化剤が直接供給されるとは、酸化剤極の集電体表面から直接酸化剤ガスがとりこまれることをいい、酸化剤極の集電体に、エンドプレートやセパレータなどを介さずに酸化剤が供給されることをいう。
したがって、本発明の燃料電池は、エンドプレート等の小型化を阻害する部材を介さずに、酸化剤極の集電体表面に直接酸化剤が供給されるため、より薄型、小型軽量で、かつ出力特性に優れたものである。
なお、前記集電体が板状である場合、適宜導入孔を設けることができる。こうすることにより、酸化剤を前記集電体表面からより効率よくとりこませることができる。また、本発明の燃料電池には、包装部材など、小型化を阻害しない部材であれば適宜用いることができる。
本発明の燃料電池において、前記酸化剤極の集電体表面が、直接大気と接する構成とすることができる。
本発明の燃料電池を構成する酸化剤極は、集電体上に基体が接着され、該基体上に触媒層が形成されているため、電気的な接触が良好に維持されている。したがって、エンドプレートなど小型化を阻害する因子を介さずに、前記燃料極の集電体表面に直接大気中の酸化剤が供給される。したがって、本発明の燃料電池は、より薄型、小型軽量で、かつ出力特性に優れたものである。
本発明の燃料電池において、前記集電体表面を包装部材により包装された構成とすることができる。
本発明の燃料電池は、前記燃料極または前記酸化剤極の基体と集電体とが接着されているため、電気的接触が良好に保たれている。したがって、前記集電体表面を包装部材により包装することにより、薄型、小型軽量で出力特性に優れた燃料電池とすることができ、たとえばエンドプレートと締結部品などの小型化を阻害する部材を用いて電気的接触を確保するする必要がない。
本発明の燃料電池は、前記燃料極に有機液体燃料が供給される構成とすることができる。
本発明の燃料電池は、燃料極または酸化剤極の集電体と基体とが接着されている。したがって、有機液体燃料の供給容器、供給流路などが必要な場合についても、エンドプレートなどを介さずに、これらを直接燃料極の集電体に接触させて設けることができる。したがって、燃料電池をより薄型、小型軽量のものとすることができる。
本発明に係る燃料電池は、前記燃料極および前記酸化剤極それぞれに設けられた電極端子取付部を介して複数個組み合わされてなる組電池を構成することができる。
本発明の燃料電池は、前記燃料極または前記酸化剤極の集電体と基体とが接着されているため、より薄型、小型軽量かつ出力特性に優れたものである。したがってこのような燃料電池を複数個直列または並列またはこれらの組み合わせを用いて組電池化することにより、組電池をより薄型、小型軽量で、かつ出力特性に優れたものとすることができる。
本発明によれば、固体高分子電解質を含む粒子および触媒担持炭素粒子を含有する塗布液を、基体の一方の面に塗布して触媒層を形成する工程と、前記基体の他方の面と集電体とを接着する工程と、を含むことを特徴とする燃料電池用電極の製造方法が提供される。
本発明の燃料電池用電極の製造方法は、基体と集電体とを接着させる工程を含むため、前記基体と前記集電体との密着性を高めることができる。こうすることによって、エンドプレートや締結部品を必要とせずに、基体と集電体との電気的接触を高めることができる。したがって、燃料電池を高出力かつ薄型、小型軽量化することができる燃料電池用電極の製造方法を提供することができる。
本発明の燃料電池用電極の製造方法において、基体の他方の面と集電体とを接着する前記工程は、前記基体と前記集電体とを熱圧着によって接着する工程を含むことができる。たとえば、前記基体が、炭化物を形成しうる金属を含み、集電体が炭素を主として含む場合、これらを熱圧着することによって、密着させることができる。こうすることにより、基体と集電体との電気的接触を高めることができる。
本発明の燃料電池用電極の製造方法において、基体の他方の面と集電体とを接着する前記工程は、前記基体と前記集電体とをろう付けによって接着する工程を含むことができる。たとえば、前記基体が、炭化物を形成しにくい金属を含み、集電体が炭素を主として含む場合、ろう付けすることによって前記集電体と前記基体とをより密着させることができる。こうすることにより、基体と集電体との電気的接触を高めることができる。
本発明の燃料電池用電極の製造方法において、前記ろう付けに、Pd、Fe、Ti、Ni、Zr、Cd、Alから選択される一または二以上の元素を含むろう材を用いることができる。こうすることにより、前記基体と前記集電体とをより強く接着させることができる。
本発明の燃料電池用電極の製造方法において、前記基体が炭素を主として含み、前記集電体が金属を含み、基体の他方の面と集電体とを接着する前記工程は、前記基体と前記集電体との間に金属炭化物からなる接着層を形成する工程を含むことができる。たとえば、前記基体が、炭化物を形成しにくい金属を含み、集電体が炭素を主として含む場合、前記基体と前記集電体との間に炭化物を形成しうる金属を含む接着層を設けることにより、前記接着層が前記基体とも前記集電体とも高い親和性を有するため、前記接着層を介して前記基体と前記集電体とをより密着させることができる。こうすることにより、基体と集電体との電気的接触を高めることができる。
本発明の燃料電池用電極の製造方法において、前記接着層が、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Alから選択される一または二以上の元素を含むことができる。これらの元素は、炭素と反応して炭化物を形成しうる金属として知られている。このため、これらの元素を含む接着層を設けることにより、前記基体が炭素を主として含む場合、前記基体と前記接着層との親和力をさらに高めることができる。したがって、こうすることにより、前記接着層を介して前記基体と前記集電体とをより密着させることができる。したがって、基体と集電体との電気的接触を高めることができる。
本発明によれば、前記燃料電池用電極の製造方法によって燃料電池用電極を得る工程と、固体電解質膜と前記燃料電池用電極とを当接させた状態で、前記固体電解質膜と前記燃料電池用電極とを圧着する工程と、を含むことを特徴とする燃料電池の製造方法が提供される。
本発明の燃料電池の製造方法は、前記燃料電池用電極を製造する工程を含むため、燃料極または酸化剤極を構成する基体と集電体とを接着する工程を含む。したがって、エンドプレートと締結部材などを必要とせずに前記基体と前記集電体との密着性を高めることができる。したがって、高出力かつ薄型、小型軽量な燃料電池の製造方法を提供することができる。また、エンドプレートなどを用いて締結する工程を必要としないため、より簡便な製造方法を提供することができる。
以上説明したように、本発明によれば、触媒電極の基体と、集電体とを接着させることにより、集電体の薄型軽量化が可能となり、さらにエンドプレートが不要となるため、燃料電池を薄型、小型軽量し、かつ高い出力を発揮させることができる。
したがって、本発明によれば、触媒電極の基体と、集電体とを接着させることにより、高出力かつ薄型、小型軽量な燃料電池が実現される。また、本発明において、燃料または酸化剤が燃料極側集電体または酸化剤極側集電体に直接供給される構成とすることにより、携帯機器などに用いるために充分小型軽量で、かつ出力密度の高い燃料電池が実現される。
以下に本発明の燃料電池用電極およびそれを用いた燃料電池について詳細に説明する。
本実施形態の燃料電池は、燃料極、酸化剤極および固体電解質膜を含む。燃料極と酸化剤極とをあわせて触媒電極と呼ぶ。
図1は本実施形態における燃料電池の単セル構造を模式的に示した断面図である。燃料電池100は、単数あるいは複数の単セル構造101を有する。各単セル構造101は、燃料極102、酸化剤極108および固体電解質膜114から構成される。図1の実施形態では、各単セル構造101の燃料極102には、燃料容器425を介して燃料が供給される。また、各単セル構造101の酸化剤極108には、空気中の酸素が酸化剤として供給される。燃料電池で発電された電力は、外部出力端子8、9から取り出される。
また、図1のように、本実施形態における燃料極102および酸化剤極108は、触媒層106、触媒層112を基体104、基体110上に形成し、基体104、基体110はそれぞれ燃料極側集電体421、酸化剤極側集電体423上に接着された構成となっている。触媒層106および触媒層112は、たとえば、触媒を担持した炭素粒子と固体高分子電解質の微粒子とを含むことができる。基体表面は撥水処理してもよい。
燃料電池を携帯機器へ応用する場合、エネルギー密度や出力密度が大きいという基本的な性能に加えて、燃料電池が小型で薄く、かつ、軽量であるということが必要とされる。そこで、本発明では、燃料極102または酸化剤極108に、それぞれ集電体となる導電性材料を接着することによって、触媒電極と集電体とを一体化することを特徴とする。このようにすることによって、集電体となる導電性材料の厚さ、すなわち、燃料極側集電体421、酸化剤極側集電体423の厚さが1mm以下、さらには、0.1mm以下と非常に薄くても、触媒電極の基体と電気的に良好なコンタクトを取ることができる。したがって、単セル構造101の厚さをたとえば1mm以下の軽薄な構造とすることができ、優れた出力特性を発揮させることができる。
燃料極側集電体421、酸化剤極側集電体423には、金属や炭素などの導電物質を用いることができる。燃料極側集電体421、酸化剤極側集電体423として、たとえばTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Al、Cから選択される一または二以上の元素を含むことができる。これらの元素は、炭化物を形成しうるため、基体104、110との好適な親和性を有すると考えられる。また、燃料極側集電体421、酸化剤極側集電体423に上記元素の炭化物を用いる場合には、炭化物の電気抵抗が比較的小さいTi、Zr、Hf、V、Nb、Taの中から選択することが好ましい。
また、燃料極側集電体421、酸化剤極側集電体423として、たとえばAu、Ag、Cu、Ptから選択される一または二以上の元素を含むことができる。Au、Ag、Cuは比電気抵抗が比較的低いため、集電体をより薄くすることができる。また、Au、Ag、Ptは貴金属であるため、これらを用いることにより集電体の耐食性を高めることができる。
燃料極側集電体421または酸化剤極側集電体423は、燃料または空気または酸素を通過させるための孔が形成された薄板を用いることができる。たとえば、多孔質金属板を用いることができる。また、薄板の代わりに金属メッシュを用いてもよい。こうすることにより、燃料または酸化剤を燃料極側集電体421または酸化剤極側集電体423表面から直接供給することができるため、燃料電池をより薄型化、小型軽量化することができる。
燃料極側集電体421、酸化剤極側集電体423に多孔質金属板または金属メッシュを用いる場合、その孔径は、たとえば0.1mm以上5mm以下とすることができる。こうすることにより、良好な燃料液体および燃料気体の良好な拡散を維持することができる。また、燃料極側集電体421、酸化剤極側集電体423の開孔率は、たとえば10%以上とすることができる。こうすることにより、良好な燃料液体および燃料気体の良好な拡散を維持することができる。また、開孔率は、たとえば70%以下とすることができる。こうすることにより、良好な集電作用を維持することができる。さらに、開孔率は、たとえば30%以上60%以下とすることができる。こうすることにより、さらに良好な燃料液体および燃料気体の良好な拡散を維持し、かつ良好な集電作用が維持することができる。
燃料極側集電体421、酸化剤極側集電体423の厚さは、たとえば1mm以下とすることができる。1mm以下とすることによって、単セル構造101を好適に薄型軽量化することができる。また、厚さ0.5mm以下とすることによりさらに小型軽量化することができ、携帯機器に対してさらに好適に用いることができる。たとえば、厚さ0.1mm以下とすることもできる。
なお、燃料極側集電体421と酸化剤極側集電体423とは、同じ物質を用いても、異なる物質を用いてもよい。
基体104および基体110としては、カーボンペーパー、カーボンの成形体、カーボンの焼結体、焼結金属、発泡金属などの多孔性基体を用いることができる。また、基体の撥水処理にはポリテトラフルオロエチレンなどの撥水剤を用いることができる。
燃料極102の触媒としては、白金、ロジウム、パラジウム、イリジウム、オスミウム、ルテニウム、レニウム、金、銀、ニッケル、コバルト、リチウム、ランタン、ストロンチウム、イットリウムなどが例示され、これらを単独または二種類以上組み合わせて用いることができる。一方、酸化剤極108の触媒としては、燃料極102の触媒と同様のものが用いることができ、上記例示物質を使用することができる。なお、燃料極102および酸化剤極108の触媒は同じものを用いても異なるものを用いてもよい。
触媒を担持する炭素粒子としては、アセチレンブラック(デンカブラック(電気化学社製:登録商標)、XC72(Vulcan社製)など)、ケッチェンブラック、アモルファスカーボン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーンなどが例示される。炭素粒子の粒径は、たとえば、0.01μm以上0.1μm以下、好ましくは0.02μm以上0.06μm以下とする。
本実施形態の触媒電極の構成成分である固体高分子電解質は、触媒電極表面において、触媒を担持した炭素粒子と固体電解質膜114を電気的に接続するとともに触媒表面に有機液体燃料を到達させる役割を有しており、水素イオン伝導性や水移動性が要求され、さらに、燃料極102においてはメタノール等の有機液体燃料透過性が求められ、酸化剤極108においては酸素透過性が求められる。固体高分子電解質としてはこうした要求を満たすために、水素イオン伝導性や、メタノール等の有機液体燃料透過性に優れる材料が好ましく用いられる。具体的には、スルホン基、リン酸基などの強酸基や、カルボキシル基などの弱酸基などの極性基を有する有機高分子が好ましく用いられる。こうした有機高分子として、スルホン基含有パーフルオロカーボン(ナフィオン(デュポン社製)、アシプレックス(旭化成社製)など);
カルボキシル基含有パーフルオロカーボン(フレミオンS膜(旭硝子社製)など);
ポリスチレンスルホン酸共重合体、ポリビニルスルホン酸共重合体、架橋アルキルスルホン酸誘導体、フッ素樹脂骨格およびスルホン酸からなるフッ素含有高分子などの共重合体;
アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸のようなアクリルアミド類とn−ブチルメタクリレートのようなアクリレート類とを共重合させて得られる共重合体;
などが例示される。
カルボキシル基含有パーフルオロカーボン(フレミオンS膜(旭硝子社製)など);
ポリスチレンスルホン酸共重合体、ポリビニルスルホン酸共重合体、架橋アルキルスルホン酸誘導体、フッ素樹脂骨格およびスルホン酸からなるフッ素含有高分子などの共重合体;
アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸のようなアクリルアミド類とn−ブチルメタクリレートのようなアクリレート類とを共重合させて得られる共重合体;
などが例示される。
また、極性基の結合する対象の高分子としては他に、ポリベンズイミダゾール誘導体、ポリベンズオキサゾール誘導体、ポリエチレンイミン架橋体、ポリサイラミン誘導体、ポリジエチルアミノエチルポリスチレン等のアミン置換ポリスチレン、ジエチルアミノエチルポリメタクリレート等の窒素置換ポリアクリレート等の窒素または水酸基を有する樹脂;
シラノール含有ポリシロキサン、ヒドロキシエチルポリメチルアクリレートに代表される水酸基含有ポリアクリル樹脂;
パラヒドロキシポリスチレンに代表される水酸基含有ポリスチレン樹脂;
などを用いることもできる。
シラノール含有ポリシロキサン、ヒドロキシエチルポリメチルアクリレートに代表される水酸基含有ポリアクリル樹脂;
パラヒドロキシポリスチレンに代表される水酸基含有ポリスチレン樹脂;
などを用いることもできる。
また、上記した高分子に対して、適宜、架橋性の置換基、例えば、ビニル基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基、シンナモイル基、メチロール基、アジド基、ナフトキノンジアジド基を導入してもよい。
燃料極102および酸化剤極108における上記の固体高分子電解質は、同一のものであっても異なるものであってもよい。
固体電解質膜114は、燃料極102と酸化剤極108を隔てるとともに、両者の間で水素イオンを移動させる役割を有する。このため、固体電解質膜114は、水素イオンの導電性が高い膜であることが好ましい。また、化学的に安定であって機械的強度が高いことが好ましい。
固体電解質膜114を構成する材料としては、スルホン基、リン酸基、ホスホン基、ホスフィン基などの強酸基や、カルボキシル基などの弱酸基などの極性基を有する有機高分子が好ましく用いられる。こうした有機高分子として、スルフォン化ポリ(4−フェノキシベンゾイル−1,4−フェニレン)、アルキルスルフォン化ポリベンゾイミダゾールなどの芳香族含有高分子;
ポリスチレンスルホン酸共重合体、ポリビニルスルホン酸共重合体、架橋アルキルスルホン酸誘導体、フッ素樹脂骨格およびスルホン酸からなるフッ素含有高分子などの共重合体;
アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸のようなアクリルアミド類とn−ブチルメタクリレートのようなアクリレート類とを共重合させて得られる共重合体;
スルホン基含有パーフルオロカーボン(ナフィオン(デュポン社製:登録商標)、アシプレックス(旭化成社製:登録商標));
カルボキシル基含有パーフルオロカーボン(フレミオンS膜(旭硝子社製));
などが例示される。このうち、スルフォン化ポリ(4−フェノキシベンゾイル−1,4−フェニレン)、アルキルスルフォン化ポリベンゾイミダゾールなどの芳香族含有高分子を選択した場合、有機液体燃料の透過を抑制でき、クロスオーバーによる電池効率の低下を抑えることができる。
ポリスチレンスルホン酸共重合体、ポリビニルスルホン酸共重合体、架橋アルキルスルホン酸誘導体、フッ素樹脂骨格およびスルホン酸からなるフッ素含有高分子などの共重合体;
アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸のようなアクリルアミド類とn−ブチルメタクリレートのようなアクリレート類とを共重合させて得られる共重合体;
スルホン基含有パーフルオロカーボン(ナフィオン(デュポン社製:登録商標)、アシプレックス(旭化成社製:登録商標));
カルボキシル基含有パーフルオロカーボン(フレミオンS膜(旭硝子社製));
などが例示される。このうち、スルフォン化ポリ(4−フェノキシベンゾイル−1,4−フェニレン)、アルキルスルフォン化ポリベンゾイミダゾールなどの芳香族含有高分子を選択した場合、有機液体燃料の透過を抑制でき、クロスオーバーによる電池効率の低下を抑えることができる。
また、本実施形態の燃料電池に用いる燃料として、たとえば水素を用いることができる。また、天然ガス、ナフサなどを燃料とする改質水素を用いることもできる。あるいは、たとえばメタノールなどの液体燃料を直接供給することもできる。また、酸化剤としては、たとえば酸素、空気などを用いることができる。
また、本実施形態の燃料供給方法は、たとえば図1に示したように、燃料極102に接着された燃料容器425から供給することができる。燃料容器425は、燃料極側集電体421と接する面に孔が設けられることにより、燃料が燃料極側集電体421に供給される。燃料容器425に燃料供給口を設け必要に応じて燃料を注入する構成とすることもできる。燃料は燃料容器425に蓄えてもよいし、または、随時燃料容器425に輸送される構成としてもよい。すなわち、燃料の供給方法は、燃料容器に限らず、燃料供給流路を設けるなど、適宜選択することができる。たとえば、燃料カートリッジから燃料容器425に輸送される構成とすることもできる。
次に、本実施形態の燃料電池用電極および燃料電池の作製方法は特に制限がないが、たとえば以下のようにして作製することができる。
燃料極側集電体421または酸化剤極側集電体423と、基体104または基体110とを接着する方法として、たとえば、高温での熱圧着、ろう付けや、接着層を設けることによる接着を用いることができる。
たとえば、基体104または基体110炭素を主として含み、燃料極側集電体421または酸化剤極側集電体423として、たとえばTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Al、Cから選択される一または二以上の元素を含む場合、これらの物質は炭化物を形成しうるため、100℃以上の温度で熱処理することにより、基体104または基体110と接着させることができる。
また、基体104または基体110炭素を主として含み、燃料極側集電体421または酸化剤極側集電体423として、たとえばAu、Ag、Cu、Ptのように、貴である金属や、炭素系材料と化学的結合性の弱い材料を用いる場合には、集電体と基体との間に接着層を設けることによって接着性を向上させることができる。接着層は、たとえばチタンやクロムなどの炭化物を形成しうる金属を主として含むことができる。接着層を介して集電体と基体とを方法として、たとえば、集電体あるいは基体表面に、これらいずれにも親和性を有する金属を蒸着し、蒸着面を介して集電体と基体とを当接させ、熱圧着させる方法などを用いることができる。このように集電体となる導電性金属材料と燃料及びガス拡散電極を接着させることによって、図2の場合のように機械的圧力をかけなくても、両者の間に良好な電気的な接触を確保することができる。
また、接着層を設ける方法にかわり、ろう付けなどの方法を用いることもできる。ろう付けに用いるろう材としては、燃料極側集電体421または酸化剤極側集電体423に用いる金属との親和性が良好な物質や、比較的低融点な金属を含むことができる。ろう材として、たとえばPd、Cu、Fe、Ti、Ni、Zr、Cd、Alやこれらの合金から、基体と集電体の物質にあわせて適宜選択することができる。また、たとえばCu−Ti系、Cu−Ti−Zr系、Ti−Ni系、Ni−Cr−Si系、Ni−Cr−B−Si−Fe系、Pd−Ni−Mn系、Pd−Ni−Cu−Mn系などのろう材から、基体と集電体の物質にあわせて適宜選択することができる。
以上のように、燃料極側集電体421または酸化剤極側集電体423と、基体104または基体110とを接着することにより、集電体の厚さがたとえば0.1mm以下と薄い場合においても、良好な密着性が維持されるため、内部抵抗の上昇を抑制することができる。
燃料極102および酸化剤極108の触媒の炭素粒子への担持は、一般的に用いられている含浸法によって行うことができる。次に触媒を担持させた炭素粒子と固体電解質を溶媒に分散させ、ペースト状とした後、これを基体に塗布、乾燥させることによって燃料極および酸化剤極を得ることができる。ここで、炭素粒子の粒径は、たとえば0.01μm以上0.1μm以下とする。触媒粒子の粒径は、たとえば1nm以上10nm以下とする。また、固体高分子電解質粒子の粒径は、たとえば0.05μm以上1μm以下とする。炭素粒子と固体高分子電解質粒子とは、たとえば、重量比で2:1〜40:1の範囲で用いられる。また、ペースト中の水と溶質との重量比は、たとえば、1:2〜10:1程度とする。
基体へのペーストの塗布方法については特に制限がないが、たとえば、刷毛塗り、スプレー塗布、およびスクリーン印刷等の方法を用いることができる。ペーストは、たとえば約1μm以上2mm以下の厚さで塗布される。ペーストを塗布した後、使用するフッ素樹脂に応じた加熱温度および加熱時間で加熱し、燃料極または酸化剤極が作製される。加熱温度および加熱時間は、用いる材料によって適宜に選択されるが、たとえば、加熱温度100℃以上250℃以下、加熱時間30秒以上30分以下とすることができる。
本実施形態における固体電解質膜114は、用いる材料に応じて適宜な方法を採用して作製することができる。たとえば固体電解質膜114を有機高分子材料で構成する場合、有機高分子材料を溶媒に溶解ないし分散した液体を、ポリテトラフルオロエチレン等の剥離性シート等の上にキャストして乾燥させることにより得ることができる。
得られた固体電解質膜114を、燃料極102および酸化剤極108で挟み、ホットプレスし、触媒電極−固体電解質膜接合体を得る。このとき、両電極の触媒が設けられた面と固体電解質膜114とが接するようにする。ホットプレスの条件は、材料に応じて選択されるが、固体電解質膜114や電極表面の固体高分子電解質を軟化点やガラス転移のある有機高分子で構成する場合、これらの高分子の軟化温度やガラス転移位温度を超える温度とすることができる。具体的には、例えば、温度100℃以上250℃以下、圧力1kg/cm2以上100kg/cm2以下、時間10秒以上300秒以下とする。得られた触媒電極−固体電解質膜接合体が、図1の単セル構造101となる。
以上により、炭素粒子表面に接着層が設けられた触媒担持炭素粒子を触媒電極に用いた燃料電池を得ることができる。上記燃料電池においては、炭素粒子表面に接着層を設けることにより、触媒物質の接触面積が大きく、触媒物質同士の凝集が抑制されることから、高出力で長時間使用に対する耐性に優れた電池特性を有するものである。
このように集電体と燃料及びガス拡散電極を接着した電極を燃料電池に利用することにより、燃料電池の内部抵抗が小さくなり、出力特性の良好な燃料電池を提供することが可能になる。
また、エンドプレートなどを用いず、直接燃料極側の集電体と燃料流路あるいは燃料容器とを接触させ、燃料を供給することができるので、より薄型、小型軽量な燃料電池を得ることができる。
たとえば、燃料極側の集電体と燃料容器とを、燃料物質に対する耐性を有する接着剤などを使って接着することもできるし、ボルトとナットなどを用いて固定することもできる。
燃料極側の集電体と燃料流路あるいは燃料容器とが接触している場合において、さらに、たとえば燃料極の集電体表面全体に燃料が直接供給される場合、燃料極の平面内での燃料濃度を均一にすることができる。したがってこうすることにより、燃料極の平面方向での水分勾配を低下させることができるため、燃料電池の出力特性をさらに高めることができる。
また、酸化剤極についても、エンドプレートなどを用いず、直接酸化剤や大気と接触させ、酸化剤を供給することができるので、より薄型、小型軽量な燃料電池を得ることができる。なお、酸化剤極の集電体は、包装部材など小型化を阻害しない部材であれば、適宜これを介して酸化剤を供給することができる。
本実施形態の燃料電池は、軽量小型かつ高出力であるため、携帯電話等の携帯機器用の燃料電池としても好適に用いることができる。
その際、上記の方法で得られた各燃料電池に電極端子取付部を設け、これを介して複数個組み合わせることにより組電池とすることができる。組電池の例を図3、図4に示す。
図3は、本実施形態の燃料電池を2個直列に接続した組電池であり、図1の燃料電池がセル間接続電極427により接続されており、シール429によりシールされ、パッケージ431により包装された構成となっている。
また、図4は、1枚の固体電解質膜114に2つの燃料極102を接合し、それぞれの燃料極102に対向して2つの酸化剤極108を接合した構成となっている。それぞれの燃料極102または酸化剤極108はたとえば図1の燃料電池と同様の構成とすることができ、また、2組の電極間を図3の燃料電池と同様に接続することによって、直列の組電池となっている。このような構成とすることにより、組電池およびその製造をさらに簡素化することが可能である。
なお、組電池化の方法はこれに限らず、複数の燃料電池を並列、直列あるいはこれらの組み合わせなどの構成を採用することにより、所望の電圧、容量の組電池を得ることができる。また、組電池化する際に、複数の燃料電池を平面状に並べて接続する構成や、積層させて接続させる構成などを適宜選択することができる。
また、本実施形態の燃料電池は、平板型に限らず、円筒型等の構成とすることもできる。円筒形の場合、たとえば図5のような構成とすることができる。図5は、図1と同様の順に積層された単セルが3個直列に接続された円筒型の組電池の例である。
以下に本実施形態の燃料電池用電極および燃料電池について実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
[実施例1]
触媒電極用、すなわち燃料極および酸化剤極(ガス拡散電極)用の炭素系材料として、厚さ0.19mmのカーボンペーパー(東レ社製)を用いた。また、燃料極および酸化剤極には、集電体となる多孔質金属板として、厚さ0.3mmのチタン板を用いた。チタン板には燃料及び酸素ガスを透過させるために直径1mmの孔が、孔の中心間隔1.5mmとなるよう均一に設けられたものを用いた。また、チタン板は外部出力端子を接続するためにカーボンペーパーよりもサイズが5mmずつ大きなものを用いた。このカーボンペーパーとチタン板とを10kg/cm2程度の圧力で加圧した状態で、10−5Pa、1000℃で10分間ホットプレスすることにより熱圧着した。カーボンペーパーとチタン板の接着界面の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、厚さ10nm程度の反応層が均一に形成されていた。また、カーボンペーパーとチタン板は十分高い強度で接着されていた。
触媒電極用、すなわち燃料極および酸化剤極(ガス拡散電極)用の炭素系材料として、厚さ0.19mmのカーボンペーパー(東レ社製)を用いた。また、燃料極および酸化剤極には、集電体となる多孔質金属板として、厚さ0.3mmのチタン板を用いた。チタン板には燃料及び酸素ガスを透過させるために直径1mmの孔が、孔の中心間隔1.5mmとなるよう均一に設けられたものを用いた。また、チタン板は外部出力端子を接続するためにカーボンペーパーよりもサイズが5mmずつ大きなものを用いた。このカーボンペーパーとチタン板とを10kg/cm2程度の圧力で加圧した状態で、10−5Pa、1000℃で10分間ホットプレスすることにより熱圧着した。カーボンペーパーとチタン板の接着界面の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、厚さ10nm程度の反応層が均一に形成されていた。また、カーボンペーパーとチタン板は十分高い強度で接着されていた。
チタン板と接着したカーボンペーパー表面に、次のようにして触媒層を形成した。まず、固体高分子電解質としてアルドリッチ・ケミカル社製の5wt%ナフィオンアルコール溶液を選択し、固体高分子電解質量が0.1〜0.4mg/cm3となるようにn−酢酸ブチルと混合攪拌して固体高分子電解質のコロイド状分散液を調製した。燃料極の触媒には炭素微粒子(デンカブラック;電気化学社製)に粒子径3〜5nmの白金−ルテニウム合金触媒を重量比で50%担持させた触媒担持炭素微粒子を使用し、酸化剤極の触媒には、炭素微粒子(デンカブラック;電気化学社製)に粒子径3〜5nmの白金触媒を重量比で50%担持させた触媒担持炭素微粒子を使用した。触媒担持炭素微粒子を固体高分子電解質のコロイド状分散液に添加し、超音波分散器を用いてペースト状にした。このとき、固体高分子電解質と触媒の重量比が1:1になるように混合した。このペーストをカーボンペーパー上にスクリーン印刷法で2mg/cm2塗布した後、加熱乾燥して燃料電池用電極を作製した。この電極を、デュポン社製固体電解質膜ナフィオン112の両面に温度130℃、圧力10kg/cm2でホットプレスして触媒電極−固体電解質膜接合体を作製した。
次に、この接合体の燃料極側の集電体となるチタン板に燃料容器を密着させて周辺部を接着剤でシールすることによって燃料電池セルを作製した。燃料容器はアルミニウム製で、燃料極側集電体と接する面に、直径1mmの孔が開孔率50%で多数均一に開いており、燃料が燃料極に取り込める構造とした。なお、燃料極および酸化剤極側のチタン板に外部出力端子を取り付けて、燃料電池の出力を取り出せるようにした。
この燃料電池の燃料極には、燃料を供給するための燃料容器または燃料流路が燃料極側の集電体表面に接して設けられており、燃料が燃料極の集電体の表面に直接供給されるようになっている。また、酸化剤極の集電体表面が直接大気と接しており、酸化剤極側の集電体表面には、酸化剤が酸化剤極の集電体の表面に直接供給されるようになっている。
本実施例の燃料電池は、燃料極および酸化剤極の基体と集電体との締結様式に接着を用いたことにより、エンドプレートおよびボルトとナットなどを用いて締結しなくても、これらは密着していた。そこで、エンドプレート等を介さずに、燃料および酸化剤をそれぞれの触媒電極の集電体表面に直接供給する構成とすることができた。したがって、燃料電池をより薄型で軽量なものとすることができた。
燃料として燃料極には10v/v%のメタノール水溶液を供給し、酸化剤極には酸素を供給した。燃料容器に液体燃料を入れると、液体燃料は燃料容器およびチタン製燃料極集電体の孔、さらには、燃料極の基体を浸透して燃料極の触媒層に供給された。また、酸化剤極側では、チタン製酸化剤極集電体の孔、酸化剤極の基体を通過して空気中の酸素が酸化剤極の触媒層に供給された。
燃料および酸化剤のそれぞれの流速は、5ml/minおよび50ml/minとした。この燃料電池の出力を1気圧、25℃の室温で測定したところ、100mA/cm2の電流で0.4Vの出力が得られた。
また、本実施例の燃料電池を、外装体としてアルミラミネートフィルムを用いて包装し、2個直列に接続した組電池を作製した。100mA/cm2の電流で0.8Vの出力が得られた。したがって組電池化した場合にも高い出力特性が維持された。また、薄型で小型軽量な組電池を得ることができた。
[比較例1]
比較のため、集電体を設けない触媒電極−固体電解質膜接合体を、実施例1と同様にして作製した。これを用いて、従来のタイプ、すなわち図2に示すように、燃料極および酸化剤極のエンドプレートをボルトとナットで締結することによって圧力をかけ、電気的接触を得る燃料電池セルを作製し、実施例1と同様の条件でその出力特性を評価した。エンドプレートには、厚さ1mmのSUS304、および厚さ0.3mmのSUS304を用いた。
比較のため、集電体を設けない触媒電極−固体電解質膜接合体を、実施例1と同様にして作製した。これを用いて、従来のタイプ、すなわち図2に示すように、燃料極および酸化剤極のエンドプレートをボルトとナットで締結することによって圧力をかけ、電気的接触を得る燃料電池セルを作製し、実施例1と同様の条件でその出力特性を評価した。エンドプレートには、厚さ1mmのSUS304、および厚さ0.3mmのSUS304を用いた。
その結果、エンドプレートの厚さが1mmの場合には、1気圧、25℃の室温において100mA/cm2の電流で0.36Vの出力が得られ、厚さ0.3mmの場合には100mA/cm2の電流で出力は0.2Vであった。
厚さ0.3mmのエンドプレートを用いた場合、エンドプレートの剛性が不十分であるために、ボルトでエンドプレートを締結した際に、エンドプレートが曲がってしまっていた。このため、エンドプレートと燃料極および酸化剤極との電気的な接触が不十分になり、接触抵抗が増加して燃料電池セルの出力が低下したものと考えられる。
実施例1および比較例1より、カーボンペーパーと集電体を接着することによって、集電体であるチタン板が0.3mmと薄くても、拡散電極と集電体との良好な電気的接触が得られ、燃料電池の出力を向上させることが可能になった。また、本実施例の燃料電池には、エンドプレートおよびボルトとナットなどの締結部材を用いる必要がないため、燃料電池を薄型化、小型軽量化することができた。
[実施例2]
触媒電極、すなわち燃料極および酸化剤極(ガス拡散電極)用の炭素系材料として、厚さ0.19mmのカーボンペーパー(東レ社製)を用いた。また、燃料極および酸化剤極の集電体となる多孔質金属板として、厚さ0.4mmのニッケル板を用いた。ニッケル板には燃料及び酸素ガスを透過させるために直径1mmの孔が中心間隔1.5mmとなるよう均一に設けられたものを用いた。この際、ニッケル板は外部出力端子を接続するため、カーボンペーパーよりサイズが3mmずつ大きいものを用いた。また、ろう材として、パラジウム粉末100mgにアルコール系溶剤10mlを加えてペースト状にしたものを準備した。このろう材をニッケル板の表面に厚さ10μm程度塗布し、その上にカーボンペーパーを重ねた。得られた積層物を真空加熱炉に入れた。真空度は10−3Pa以下とし、1200℃の温度で2時間保持した後、炉内で自然冷却することによって、ニッケル板とカーボンペーパーを接着した。カーボンペーパーとニッケル板は十分高い強度で接着されていた。
触媒電極、すなわち燃料極および酸化剤極(ガス拡散電極)用の炭素系材料として、厚さ0.19mmのカーボンペーパー(東レ社製)を用いた。また、燃料極および酸化剤極の集電体となる多孔質金属板として、厚さ0.4mmのニッケル板を用いた。ニッケル板には燃料及び酸素ガスを透過させるために直径1mmの孔が中心間隔1.5mmとなるよう均一に設けられたものを用いた。この際、ニッケル板は外部出力端子を接続するため、カーボンペーパーよりサイズが3mmずつ大きいものを用いた。また、ろう材として、パラジウム粉末100mgにアルコール系溶剤10mlを加えてペースト状にしたものを準備した。このろう材をニッケル板の表面に厚さ10μm程度塗布し、その上にカーボンペーパーを重ねた。得られた積層物を真空加熱炉に入れた。真空度は10−3Pa以下とし、1200℃の温度で2時間保持した後、炉内で自然冷却することによって、ニッケル板とカーボンペーパーを接着した。カーボンペーパーとニッケル板は十分高い強度で接着されていた。
このニッケル板と接着したカーボンペーパーに、実施例1と同様にして燃料極および酸化剤極の触媒層を形成することによって、燃料電池用電極を作製した。この電極をデュポン社製固体電解質膜ナフィオン112の両面に温度130℃、圧力10kg/cm2でホットプレスして触媒電極−固体電解質膜接合体を作製した。次に、この接合体の燃料極側の集電体となるニッケル板に燃料容器を密着させて周辺部を接着剤でシールすることによって燃料電池セルを作製した。燃料容器には実施例1と同様のものを用いた。燃料極および酸化剤極側のニッケル板に外部出力端子を取り付けて、燃料電池の出力を取り出せるようにした。
本実施例の燃料電池は、実施例1と同様な構成であり、燃料極には、燃料を供給するための燃料容器または燃料流路が燃料極側の集電体表面に接して設けられており、燃料が燃料極の集電体の表面に直接供給されるようになっている。また、酸化剤極の集電体表面が直接大気と接しており、酸化剤極側の集電体表面には、酸化剤が酸化剤極の集電体の表面に直接供給されるようになっている。
燃料容器に液体燃料を入れると、液体燃料が燃料容器およびニッケル製燃料極集電体の孔、さらには、燃料極の基体を浸透して燃料極触媒に供給された。また、酸化剤極側では、ニッケル製酸化剤極集電体の孔、酸化剤極の基体を通過して空気中の酸素が酸化剤極の触媒層に供給された。
この燃料電池の出力を、実施例1と同様の条件で測定したところ、0.43Vの出力が得られた。
[実施例3]
触媒電極、すなわち燃料極および酸化剤極(ガス拡散電極)用の炭素系材料として、厚さ0.19mmのカーボンペーパー(東レ社製)を用いた。また、燃料極および酸化剤極の集電体となる導電性金属材料には厚さ0.07mmの金メッシュを用いた。メッシュサイズは100メッシュである。この金メッシュの表面にチタンを厚さ10nm程度蒸着した。この際、金メッシュは外部出力端子を接続するためにカーボンペーパーよりもサイズが3mmずつ大きなものを用いた。この金メッシュをカーボンペーパーと積み重ねて、真空加熱炉中で圧力を10kg/cm2かけ、10−3Pa以下に真空排気した。そして、700℃の温度で2時間保持した後、炉内で自然冷却することによって、金メッシュとカーボンペーパーとを接着した。カーボンペーパーと金メッシュは十分高い強度で接着されていた。
触媒電極、すなわち燃料極および酸化剤極(ガス拡散電極)用の炭素系材料として、厚さ0.19mmのカーボンペーパー(東レ社製)を用いた。また、燃料極および酸化剤極の集電体となる導電性金属材料には厚さ0.07mmの金メッシュを用いた。メッシュサイズは100メッシュである。この金メッシュの表面にチタンを厚さ10nm程度蒸着した。この際、金メッシュは外部出力端子を接続するためにカーボンペーパーよりもサイズが3mmずつ大きなものを用いた。この金メッシュをカーボンペーパーと積み重ねて、真空加熱炉中で圧力を10kg/cm2かけ、10−3Pa以下に真空排気した。そして、700℃の温度で2時間保持した後、炉内で自然冷却することによって、金メッシュとカーボンペーパーとを接着した。カーボンペーパーと金メッシュは十分高い強度で接着されていた。
この金メッシュと接着したカーボンペーパーに実施例1と同様にして燃料極および酸化剤極の触媒層を形成することによって、燃料電池用電極を作製した。この電極をデュポン社製固体電解質膜ナフィオン112の両面に温度130℃、圧力10kg/cm2でホットプレスして触媒電極−固体電解質膜接合体を作製した。次に、この接合体の燃料極側の集電体となる金メッシュに燃料容器を密着させて周辺部を接着剤でシールすることによって燃料電池セルを作製した。燃料容器には実施例1と同様のものを用いた。燃料極および酸化剤極側の金メッシュに外部出力端子を取り付けて、燃料電池の出力を取り出せるようにした。
本実施例の燃料電池は、実施例1と同様な構成であり、燃料極には、燃料を供給するための燃料容器または燃料流路が燃料極側の集電体表面に接して設けられており、燃料が燃料極の集電体の表面に直接供給されるようになっている。また、酸化剤極の集電体表面が直接大気と接しており、酸化剤極側の集電体表面には、酸化剤が酸化剤極の集電体の表面に直接供給されるようになっている。
燃料容器に液体燃料を入れると、液体燃料が燃料容器および金メッシュ製燃料極集電体の孔、さらには、燃料極の基体を浸透して燃料極触媒に供給された。また、酸化剤極側では、金メッシュ製酸化剤極集電体の孔、酸化剤極の基体を通過して空気中の酸素が酸化剤極の触媒層に供給された。
この燃料電池の出力を、実施例1と同様の条件で測定したところ、0.42Vの出力が得られた。
以上の実施例および比較例より、薄型の集電体を備えた触媒電極を用いることにより、エンドプレートや締結部品が不要となり、小型軽量化が可能となることがわかった。さらに本実施例の燃料電池では、小型軽量化されるだけでなく、エンドプレートや締結部品を用いた燃料電池よりも高出力を発揮できることが確かめられた。
8 外部出力端子
9 外部出力端子
11 燃料極エンドプレート
12 酸化剤極エンドプレート
13 締結部品
100 燃料電池
101 単セル構造
102 燃料極
104 基体
106 触媒層
108 酸化剤極
110 基体
112 触媒層
114 固体電解質膜
120 燃料極側エンドプレート
122 酸化剤極側エンドプレート
421 燃料極側集電体
423 酸化剤極側集電体
425 燃料容器
427 セル間接続電極
429 シール
431 パッケージ
9 外部出力端子
11 燃料極エンドプレート
12 酸化剤極エンドプレート
13 締結部品
100 燃料電池
101 単セル構造
102 燃料極
104 基体
106 触媒層
108 酸化剤極
110 基体
112 触媒層
114 固体電解質膜
120 燃料極側エンドプレート
122 酸化剤極側エンドプレート
421 燃料極側集電体
423 酸化剤極側集電体
425 燃料容器
427 セル間接続電極
429 シール
431 パッケージ
Claims (22)
- 集電体、基体、および触媒層がこの順に積層された燃料電池用電極であって、前記集電体と前記基体とが接着されたことを特徴とする燃料電池用電極。
- 請求項1に記載の燃料電池用電極において、前記基体が炭素を主として含むことを特徴とする燃料電池用電極。
- 請求項2に記載の燃料電池用電極において、前記集電体が、炭化物を形成しうる元素を含むことを特徴とする燃料電池用電極。
- 請求項3に記載の燃料電池用電極において、前記集電体が、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、AlおよびCから選択される一または二以上の元素を含むことを特徴とする燃料電池用電極。
- 請求項1または2に記載の燃料電池用電極において、前記集電体が、Au、Ag、Cu、Ptから選択される一または二以上の元素を含むことを特徴とする燃料電池用電極。
- 請求項1乃至3いずれかに記載の燃料電池用電極において、前記集電体が金属板または金属メッシュであることを特徴とする燃料電池用電極。
- 請求項1乃至6いずれかに記載の燃料電池用電極において、前記集電体の厚さが1mm以下であることを特徴とする燃料電池用電極。
- 燃料極、酸化剤極、および前記燃料極と前記酸化剤極とで挟持された固体電解質膜を含み、前記燃料極または前記酸化剤極として請求項1乃至7いずれかに記載の燃料電池用電極を含むことを特徴とする燃料電池。
- 請求項8に記載の燃料電池において、前記燃料電池用電極が燃料極を構成し、燃料が前記燃料極の集電体の表面に直接供給されることを特徴とする燃料電池。
- 請求項8に記載の燃料電池において、前記燃料電池用電極が燃料極を構成し、前記燃料極に燃料を供給するための燃料容器または燃料流路が前記燃料極の集電体表面に接して設けられたことを特徴とする燃料電池。
- 請求項8乃至10いずれかに記載の燃料電池において、前記燃料電池用電極が酸化剤極を構成し、酸化剤が前記酸化剤極の集電体の表面に直接供給されることを特徴とする燃料電池。
- 請求項8乃至11いずれかに記載の燃料電池において、前記酸化剤極の集電体表面が、直接大気と接することを特徴とする燃料電池。
- 請求項8乃至11いずれかに記載の燃料電池において、前記集電体表面が包装部材により包装されたことを特徴とする燃料電池。
- 請求項8乃至13いずれかに記載の燃料電池において、前記燃料極に有機液体燃料が供給されることを特徴とする燃料電池。
- 請求項8乃至14いずれかに記載の燃料電池が、前記燃料極および前記酸化剤極それぞれに設けられた電極端子取付部を介して複数個組み合わされてなる組電池。
- 固体高分子電解質を含む粒子および触媒担持炭素粒子を含有する塗布液を、基体の一方の面に塗布して触媒層を形成する工程と、前記基体の他方の面と集電体とを接着する工程と、を含むことを特徴とする燃料電池用電極の製造方法。
- 請求項16に記載の燃料電池用電極の製造方法において、基体の他方の面と集電体とを接着する前記工程は、前記基体と前記集電体とを熱圧着によって接着する工程を含むことを特徴とする燃料電池用電極の製造方法。
- 請求項16または17に記載の燃料電池用電極の製造方法において、基体の他方の面と集電体とを接着する前記工程は、前記基体と前記集電体とをろう付けによって接着する工程を含むことを特徴とする燃料電池用電極の製造方法。
- 請求項18に記載の燃料電池用電極の製造方法において、前記ろう付けに、Pd、Fe、Ti、Ni、Zr、Cd、Alから選択される一または二以上の元素を含むろう材を用いることを特徴とする燃料電池用電極の製造方法。
- 請求項16または17に記載の燃料電池用電極の製造方法において、
前記基体が炭素を主として含み、
前記集電体が金属を含み、
基体の他方の面と集電体とを接着する前記工程は、前記基体と前記集電体との間に金属炭化物からなる接着層を形成する工程を含むこと、
を特徴とする燃料電池用電極の製造方法。 - 請求項20に記載の燃料電池用電極の製造方法において、前記接着層が、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Alから選択される一または二以上の元素を含むことを特徴とする燃料電池用電極の製造方法。
- 請求項16乃至21いずれかに記載の燃料電池用電極の製造方法によって燃料電池用電極を得る工程と、
固体電解質膜と前記燃料電池用電極とを当接させた状態で、前記固体電解質膜と前記燃料電池用電極とを圧着し、前記固体電解質膜と前記燃料電池用電極とを接合する工程と、
を含むことを特徴とする燃料電池の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003433231A JP2004140000A (ja) | 2003-12-26 | 2003-12-26 | 燃料電池、燃料電池用電極およびそれらの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003433231A JP2004140000A (ja) | 2003-12-26 | 2003-12-26 | 燃料電池、燃料電池用電極およびそれらの製造方法 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2002183412A Division JP3747888B2 (ja) | 2002-06-24 | 2002-06-24 | 燃料電池、燃料電池用電極およびそれらの製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2004140000A true JP2004140000A (ja) | 2004-05-13 |
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JP2003433231A Pending JP2004140000A (ja) | 2003-12-26 | 2003-12-26 | 燃料電池、燃料電池用電極およびそれらの製造方法 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007087955A (ja) * | 2005-09-23 | 2007-04-05 | Samsung Sdi Co Ltd | 膜電極接合体及び燃料電池 |
JP2008198588A (ja) * | 2007-02-14 | 2008-08-28 | Samsung Electro Mech Co Ltd | 燃料電池用ユニットセルと、その製造方法及び燃料電池システム |
US8415072B2 (en) | 2005-08-23 | 2013-04-09 | Samsung Sdi Co., Ltd. | Membrane electrode assembly for fuel cell |
-
2003
- 2003-12-26 JP JP2003433231A patent/JP2004140000A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8415072B2 (en) | 2005-08-23 | 2013-04-09 | Samsung Sdi Co., Ltd. | Membrane electrode assembly for fuel cell |
JP2007087955A (ja) * | 2005-09-23 | 2007-04-05 | Samsung Sdi Co Ltd | 膜電極接合体及び燃料電池 |
JP4658885B2 (ja) * | 2005-09-23 | 2011-03-23 | 三星エスディアイ株式会社 | 膜電極接合体及び燃料電池 |
JP2008198588A (ja) * | 2007-02-14 | 2008-08-28 | Samsung Electro Mech Co Ltd | 燃料電池用ユニットセルと、その製造方法及び燃料電池システム |
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