JP2009026546A - 燃料電池用の電極と電極形成用の電解質分散溶液とその製造方法および固体高分子型燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】電解質膜に接合して形成される電極での排水性を高める新たな手法を提供する。
【解決手段】電極形成用の電解質分散溶液の調合に際して、PtCo触媒を担持済みのカーボン粒子を、Pt触媒を含有済みの電解質と共に溶媒に分散させる。この分散の過程では、PtCo触媒を担持済みのカーボン粒子に対して、Pt触媒を含有済みのナフィオンが近接する。そして、この電解質分散溶液の塗布・乾燥を経て形成される電極では、溶媒は消失していることから、カーボン粒子表面における圧倒的広さのPtCo触媒の未担持箇所に、Pt触媒を含有済みのナフィオンが付着する。よって、形成済みの電極に含有されるカーボン粒子の表面においては、PtCo触媒が予め担持済みであると共に、PtCo触媒の未担持箇所で、ナフィオンが含有していたPt触媒が、ナフィオンの介在を経てカーボン粒子に担持される。
【選択図】図3
【解決手段】電極形成用の電解質分散溶液の調合に際して、PtCo触媒を担持済みのカーボン粒子を、Pt触媒を含有済みの電解質と共に溶媒に分散させる。この分散の過程では、PtCo触媒を担持済みのカーボン粒子に対して、Pt触媒を含有済みのナフィオンが近接する。そして、この電解質分散溶液の塗布・乾燥を経て形成される電極では、溶媒は消失していることから、カーボン粒子表面における圧倒的広さのPtCo触媒の未担持箇所に、Pt触媒を含有済みのナフィオンが付着する。よって、形成済みの電極に含有されるカーボン粒子の表面においては、PtCo触媒が予め担持済みであると共に、PtCo触媒の未担持箇所で、ナフィオンが含有していたPt触媒が、ナフィオンの介在を経てカーボン粒子に担持される。
【選択図】図3
Description
本発明は、固体高分子型燃料電池の電解質膜に接合する電極に配合される触媒担持担体とその製造方法およびこの触媒担持担体を配合した電極を有する固体高分子型燃料電池に関する。
固体高分子型燃料電池の電池性能は、電解質膜に接合した電極における電気化学反応の進行状況に依存することから、電極における電気化学反応を促進するため、電極には、触媒を担持したカーボン粒子(導電性の担体粒子)が、プロトン伝導作用をなす電解質と共に配合されている。そして、触媒が配合された電極を有する燃料電池の電池性能の向上には、カソード過電圧の低減が有効であり、過電圧低減に有効な触媒効率の高い触媒が種々提案されている。例えば、白金・コバルト(PtCo)といった白金ベースの合金系材料が触媒として用いられつつある。こうした合金系材料の触媒では、酸素吸着能力が高いことから水の吸着性も高まるので、燃料電池が高負荷(高電流)下で運転を継続すると、合金系材料の触媒が配合されたカソード側の電極(触媒電極)において生成水が触媒担持箇所に留まりがちとなり、排水性の低下、延いてはいわゆるフラッディングが起きやすくなることが危惧されるに至った。
ところで、担体への触媒担持の手法は種々提案されており、例えば下記の特許文献1等では、複数種類の触媒をスパッタリングにて担持する試みもなされている。
これら特許文献で提案された手法では、複数の触媒材料、例えばA触媒材料とB触媒材料を担持を図ろうとするものの、A触媒材料とB触媒材料の同時スパッタリングにより、A触媒材料とB触媒材料が混合された状態での担持となり、A触媒材料が呈する触媒機能とB触媒材料の呈する触媒機能を発揮できないのが実情である。また、A触媒材料とB触媒材料を順次スパッタリングしても、先にスパッタリングにて担持されたA触媒材料を、後にスパッタリングされるB触媒材料がオーバーコートしてしまうので、A触媒材料が呈する触媒機能とB触媒材料の呈する触媒機能を発揮できないのが実情である。
本発明は、上記した従来技術の問題点を解決するためになされ、電解質膜に接合して形成される電極における排水性を高める新たな手法を提供することをその目的とする。
上記した目的の少なくとも一部を達成するために、本発明では、以下の構成を採用した。
[適用1:燃料電池用の電極]
固体高分子型燃料電池の電解質膜に接合される電極であって、
触媒を担持した導電性の担体粒子を含有し、該担体粒子は、水に対する濡れ性が相違する少なくとも2種類の触媒を粒子表面に個別に担持してなることを要旨とする。
固体高分子型燃料電池の電解質膜に接合される電極であって、
触媒を担持した導電性の担体粒子を含有し、該担体粒子は、水に対する濡れ性が相違する少なくとも2種類の触媒を粒子表面に個別に担持してなることを要旨とする。
上記構成を有する電極では、その含有する導電性の担体粒子(例えば、カーボン粒子等の炭素質粒子)の表面に水に対する濡れ性が少なくとも2種類の触媒を個別に担持させていることから、それぞれの触媒は、その粒体粒子表面における担持箇所の三相界面において当該触媒が呈する触媒機能を発揮する。しかも、これら触媒は水に対する濡れ性が相違するので、濡れ性が小さい触媒の触媒反応によって当該触媒の三相界面で生じた水は、濡れ性が大きい触媒の周りに移動するようになる。こうした水の移動が、電極に含有されている担体粒子のそれぞれにおいて進むと共に、近接する担体粒子の間においても進むことから、電極の排水性の向上、延いてはフラッディング抑制の実効性を高めることができる。よって、本発明の電極を電解質膜に接合した燃料電池では、電池性能を維持できることになる。
この場合、水に対する濡れ性が相違する触媒としては、白金からなる触媒や白金コバルトの合金系のPtCo触媒等を例示でき、白金触媒はPtCo触媒より大きな濡れ性を有する。
[適用2:電極形成用の電解質分散溶液]
固体高分子型燃料電池の電解質膜に接合される電極の形成に用いる電解質分散溶液であって、
触媒の担持対象となる導電性の担体粒子を、プロトン伝導性を有する電解質と共に溶媒に分散して含有しつつ、該溶媒には、水に対する濡れ性が相違する少なくとも2種類の触媒を分散して含有することを要旨とする。
固体高分子型燃料電池の電解質膜に接合される電極の形成に用いる電解質分散溶液であって、
触媒の担持対象となる導電性の担体粒子を、プロトン伝導性を有する電解質と共に溶媒に分散して含有しつつ、該溶媒には、水に対する濡れ性が相違する少なくとも2種類の触媒を分散して含有することを要旨とする。
上記した電解質分散溶液に含まれる担体粒子は水に対する濡れ性が相違する少なくとも2種類の触媒を個別に担持することになるが、こうした触媒担持は、分散状態で起きるとも予想されるものの、溶媒の蒸発過程において触媒担持の大部分が起きると考えられる。
[適用3:電極形成用の電解質分散溶液の製造方法]
固体高分子型燃料電池の電解質膜に接合される電極の形成に用いる電解質分散溶液の製造方法であって、
第1の触媒を担持した導電性の担体粒子を準備し、
前記第1の触媒とは水に対する濡れ性が相違する第2の触媒を、プロトン伝導性を有する電解質に含有させ、
前記第2の触媒を含有済みの前記電解質と、前記第1の触媒粒子を担持済みの前記担体粒子と、溶媒とを混合して、前記電解質と前記担体粒子とを分散させることを要旨とする。
固体高分子型燃料電池の電解質膜に接合される電極の形成に用いる電解質分散溶液の製造方法であって、
第1の触媒を担持した導電性の担体粒子を準備し、
前記第1の触媒とは水に対する濡れ性が相違する第2の触媒を、プロトン伝導性を有する電解質に含有させ、
前記第2の触媒を含有済みの前記電解質と、前記第1の触媒粒子を担持済みの前記担体粒子と、溶媒とを混合して、前記電解質と前記担体粒子とを分散させることを要旨とする。
上記した製造方法で得られた電解質分散溶液では、分散状態にある前記電解質と前記担体粒子とにおいて前記担体粒子の表面に前記電解質が接合し得ると共に、溶媒の蒸発過程において、担体粒子表面への電解質接合が進むと考えられる。そして、この製造方法によれば、排水性の高い電極の形成に用いる電解質分散溶液を容易に製造できる。
本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、固体高分子型燃料電池の電解質膜に接合する電極の形成に用いる電解質分散溶液のほか、この電解質分散溶液を用いて形成された電極と電解質膜とを有する固体高分子型の燃料電池、その燃料電池の製造方法等の形態で実現することができる。
以下、本発明の実施の形態について、その実施例を図面に基づき説明する。図1は実施例の燃料電池の概略構成を説明する説明図である。本実施例における燃料電池は、固体高分子型燃料電池であり、図1に示す一つの発電単位(セル)を複数積層したスタック構造を有している。この発電単位は、電解質を含む膜−電極接合体21と、膜−電極接合体21を両側から挟持してサンドイッチ構造を形成するガス拡散層22、23とを備え、このサンドイッチ構造をさらに両側からセパレータ24、25にて挟持されている。
膜−電極接合体21は、電解質層30と、電解質層30を間に挟んでその両面に接合した一対の電極31、32とを備えている。電解質層30は、固体高分子材料、例えばフッ素系樹脂により形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜であり、湿潤状態で良好な電気伝導性を示す。本実施例では、パーフルオロスルホン酸ポリマ系のナフィオン膜(デュポン社製;ナフィオンは登録商標、以下同じ)を使用した。電極31、32は、触媒を含み導電性の良好な材料で形成された多孔質体であり、ガス透過性を備えた触媒電極とされている。このような電極形成のために、本実施例では、電気化学反応を促進する触媒、例えば、白金、或いは白金と他の金属から成る合金を担持した粒状の担体(例えばカーボン粒子)と、電解質層30と同質の電解質(本実施例では、電解質層30と同一のナフィオン溶液)と混合して触媒担体を分散させた電解質分散溶液を用い、当該電解質分散溶液から電極31、32を電解質層30の両面に膜状に形成した。電極31、32の形成に用いる電解質分散溶液については後述する。
ガス拡散層22、23は、ガス透過性および電子伝導性を有する部材によって構成されており、例えば、カーボンペーパーなどの炭素材料や、発泡金属、金属メッシュなどの金属部材によって形成することができる。このようなガス拡散層22、23は、電気化学反応に供されるガスを電極31、32まで供給すると共に、集電を行なう。ここで、ガス拡散層22は、セパレータ24に接するガス拡散部材33と、膜−電極接合体21に接する電極側ガス拡散部材34とを備えている。このようなガス拡散層22は、膜−電極接合体21とセパレータ24との間で、水素を含有する燃料ガスが通過するセル内燃料ガス流路を形成してガスを供給する。ガス拡散層23は、セパレータ25に接するガス拡散部材35と、膜−電極接合体21に接する電極側ガス拡散部材36とを備えている。このようなガス拡散層23は、膜−電極接合体21とセパレータ25との間で、酸素を含有する酸化ガスが通過するセル内酸化ガス流路を形成してガスを供給する。
この場合、本実施例では、ガス拡散層22、23をセパレータ側のガス拡散部材と電極側ガス拡散部材の接合構成としたが、単一のガス拡散層とすることもできる。
上記のガス拡散層22、23において、セパレータ側のガス拡散部材33、35を電極側ガス拡散部材34、36に比べて、より硬い多孔質体によって形成することができる。ここでいう硬さとは、ガス拡散部材を構成する材料の硬さではなく、部材全体としての硬さであり、例えば圧縮弾性率によって表わすことができる。こうすることで、セルとしての形状維持にとって望ましい。
セパレータ24、25は、電子伝導性を有する材料で形成されたガス不透過な部材であり、例えば、ステンレス鋼等の金属部材や炭素材料によって形成することができる。本実施例のセパレータ24、25は、薄板状に形成されており、ガス拡散層22、23と接する面は、凹凸のない平坦面となっているが、燃料ガス流路や酸化ガス流路を有するセパレータとすることもできる。この場合は、ガス拡散層は、セル内燃料ガス流路やセル内酸化ガス流路の役割は有さず、拡散の役割を少なくとも有するだけでよい。
なお、図示する発電単位であるセルの外周部には、セル内燃料ガス流路およびセル内酸化ガス流路におけるガスシール性を確保するために、ガスケット等のシール部材が配設されている。また、セル外周部には、セル積層方向と平行であって燃料ガス或いは酸化ガスが流通する複数のガスマニホールドが設けられている(図示せず)。これら複数のガスマニホールドのうちの燃料ガス供給マニホールドを流れる燃料ガスは、各セルに分配され、電気化学反応に供されつつ各セル内燃料ガス流路(ガス拡散層22)内を通過し、その後、燃料ガス排出マニホールドに集合する。同様に、酸化ガス供給マニホールドを流れる酸化ガスは、各セルに分配され、電気化学反応に供されつつ各セル内酸化ガス流路(ガス拡散層23)内を通過し、その後、酸化ガス排出マニホールドに集合する。図1では、セル内燃料ガス流路における燃料ガス(H2)とセル内酸化ガス流路における酸化ガス(O2)とは並行に流れるように記載しているが、これらのガスの流れは、ガスマニホールドの配置によって、上記した並行の他、対向、直交など異なる向きに流れることとしても良い。
燃料電池に供給される燃料ガスとしては、炭化水素系燃料を改質して得られる水素リッチガスを用いても良いし、純度の高い水素ガスを用いても良い。また、燃料電池に供給される酸化ガスとしては、例えば空気を用いることができる。
なお、図示は省略しているが、スタック構造の内部温度を調節するために、各単セル間に、或いは所定数のセルを積層する毎に、冷媒の通過する冷媒流路を設けても良い。冷媒流路は、隣り合う単セル間において、一方のセルが備えるセパレータ24と、他方のセルが備えるセパレータ25との間に設ければよい。
セルは、図1に示した層構成に限られるものではなく、膜−電極接合体21をその両側のセパレータで挟持し、このセパレータにおける膜−電極接合体21の側の面に、水素ガス或いは空気の供給流路を設けた構成とすることもできる。
次に、上記した構成を有する燃料電池の製造工程について説明する。図2は本実施例の燃料電池の製造プロセスを表わす工程図、図3は形成した本実施例の電極に含有される触媒担持担体(カーボン粒子)の様子を概略的に示す説明図、図4は図3と対比する比較例における触媒担持担体(カーボン粒子)の様子を概略的に示す説明図である。
図2に示すように、燃料電池を製造するに当たり、本実施例では、まず、電極形成用の電解質分散溶液を作製する(ステップS100)。このステップでは、PtCo触媒を担持済みのカーボン粒子の調達と、水に対する濡れ性がPtCo触媒より大きいPt触媒が電解質と共に分散済みの電解質溶液調合とを行う。触媒担持済みカーボン粒子については、特段の規定はなく種々のものを選択可能であり、例えば、カーボンブラックやグラファイトを用いることができる。また、触媒担持手法についても特段の規定はなく、コロイド法、スパッタリング法等の適宜な担持手法を用いることができる。コロイド法では、PtCo触媒を適当な溶媒に溶解させ、この溶液中にカーボン粒子を浸漬または分散させることにより、カーボン粒子表面に貴金属を担持させることができる。この場合、必要に応じて、原子析出の試薬を溶液中に加えたり、あるいは、溶液から分離した炭素質担体(カーボン粒子)に対して所定の条件下で還元処理を施しても良い。
本実施例では、PtとCoのモル組成比が5:1のPtCo触媒を用い、コロイド法にて担持率(Pt換算重量)が20%となるように、PtCo触媒をカーボンブラック(カーボン粒子)に担持させた。この場合、PtCo触媒担持済みのカーボン粒子分散液を濾過した後、純水で洗浄し、室温において真空乾燥させ、粉砕した。最後に水素気流中において200℃で2時間還元し、PtCo触媒担持カーボン粒子を得た。このPtCo触媒担持カーボン粒子は、本願に云うところの第1の触媒を担持した導電性の担体粒子となる。
この場合、触媒担持に際しては、通常採用されている手法、例えば、上記したコロイド法の他、含浸法や共沈法、あるいはイオン交換法を行えばよい。また、PtCo触媒担持カーボン粒子を、触媒たるPtCoを担持済みのカーボン粒子として流通しているものから入手することもできる。担持率についても、上記した以外の値とすることもできる。
こうしたPtCo触媒担持カーボン粒子の調達に前後して、或いはこの調達と平行して、Pt触媒を含有済みの電解質を調合する。この調合に際しては、本実施例では、電解質層30と同一の電解質を含有する電解質溶液のナフィオン溶液、例えば、デュポン社製のナフィオン溶液DE520とテトラアミン白金塩化物(Pt(NH3)4Cl2)の水溶液とを用いた。まず、ナフィオン溶液とPt(NH3)4Cl2水溶液とを、ナフィオンとPtの重量比が10:1となるようにそれぞれ秤量し、両溶液を攪拌・混合する。そして、この混合液を24時間放置し、イオン交換反応によりナフィオンに(Pt(NH3)4)2+を含有させ、精製水で充分洗浄・乾燥後1気圧、180℃の水素雰囲気中で7時間還元した。なお、水素雰囲気中での還元を行っても還元されなかった(Pt(NH3)4)2+が存在する可能性があることから、0.5mol/lの硫酸に5時間浸漬して、還元されなかった混合物中の不要な(Pt(NH3)4)2+を溶出するようにすることもできる。
ナフィオンは、その構造上、プロトン伝導経路を有することから、ナフィオンへの(Pt(NH3)4)2+の含有は、プロトン伝導経路に(Pt(NH3)4)2+が吸着することで起きると考えられる。このようにして得られるナフィオンは、ナフィオン溶液とPt(NH3)4Cl2水溶液の攪拌・混合、並びに(Pt(NH3)4)2+の吸着(含有)を経たものであることから、本願に云うところのプロトン伝導性を有する電解質であって、第1の触媒(PtCo触媒)とは相違する第2の触媒(Pt触媒)を含有する電解質となる。
以上より、PtCo触媒担持カーボン粒子とPt触媒を含有するナフィオンとが得られることから、このPtCo触媒担持カーボン粒子とPt触媒を含有するナフィオンとを、重量比で1:1となるようにそれぞれ秤量して混合し、適宜な溶媒、例えばエタノール/水の混合溶媒に配合してこれらを攪拌・混合する。これにより、PtCo触媒担持カーボン粒子がPt触媒を含有するナフィオンと共に分散した電解質分散溶液が調合される。この際、超音波ホモジナイザー等の分散機器を用いることが、分散促進の上から好ましい。
続くステップ200では、調合済みの電解質分散溶液を用いて膜−電極接合体21を作製する。つまり、電解質分散溶液を例えばドクターブレード法やスクリーン印刷手法等の膜形成手法により電解質層30の表裏面に塗布することで、電解質層30の両側に電極31、32を形成する。或いは、電解質分散溶液を用いて膜成形してシートを作製し、このシートを電解質層30上にプレスすることによって電極31、32を電解質層30に接合して形成しても良い。また、電解質分散溶液を剥離性を有するシート(例えば、テフロンシート:テフロンは登録商標)に塗布して乾燥させ、電解質分散溶液から電極転写シートを作製する。そして、この2枚のテフロンシートで、電極転写シートが電解質層30の両側に接合するよう、電解質層30を挟み、所定温度・圧力で熱プレスした後にテフロンシートを剥離させ、電極転写シートを電解質層30の両側に転写して接合するようにすることもできる。このような電極形成に際して、電解質溶液はいわゆる電極形成ペーストとして用いられると云える。
続いて、ガス拡散部材33と電極側ガス拡散部材34とを接合させ、ガス拡散部材35と電極側ガス拡散部材36とを接合させて、ガス拡散層22およびガス拡散層23を作製する(ステップS300)。ガス拡散部材同士の接合は、適宜な接合手法、例えばプレス手法により、ガスの拡散機能を損なわないように行えばよい。
次に、膜−電極接合体21を挟持するよう、この膜−電極接合体21とガス拡散層22とガス拡散層23とを接合する(ステップS400)。ここで、接合とは、単に2つの部材を積層する場合よりも接触面積が増加するように、2つの部材を積極的に固着させることをいう。膜−電極接合体21とその両側のガス拡散層22、23における電極側ガス拡散部材34、36との接合は、例えばホットプレスにより行なうことができる。このように、熱および圧力を加えることで、電極31、32を構成する既述した電極形成ペースト(加熱静水圧プレス済みの電解質分散溶液)が熱により軟化し、軟化した電極形成ペーストが電極側ガス拡散部材34、36の多孔質な表面全体に馴染んで接触面積が増加しつつ、両者が圧着される。
上記したステップS200〜400は、次のようにすることもできる。PtCo触媒担持カーボン粒子がPt触媒を含有するナフィオンと共に分散した電解質分散溶液を、電解質層30の両側に位置する電極側ガス拡散部材34や電極側ガス拡散部材36に塗布して、ガス拡散部材において電極31、32を形成し、その上で、電極形成済みのガス拡散部材にて電解質層30を挟持するようにしてもよい。
次に、膜−電極接合体21の両側のガス拡散層にセパレータ24、25を接合させつつ(ステップS500)、これらを所定の順序で(図1のセルが繰り返し形成されるように)所定数積層してスタック構造を組み立て、積層方向に所定の押圧力を加えて全体構造を保持する。これにより、燃料電池を完成する(ステップS600)。この場合、セパレータ24、25の接合対象は、ガス拡散層22、23におけるガス拡散部材33、35であることから、こうしたガス拡散部材との接合は、例えば溶接等の適宜な手法で行なえばよい。溶接は、ガス拡散部材33、35とセパレータ24、25のうちの少なくとも一方の溶融した母材により、および/または溶融した溶加材により、接触面積を増加させつつ両者を接合することを可能にする。また、ステップS600の組み立ての工程は、既述したガスケットなどのシール部材を積層体の外周部に配設したり、隣り合う単セル間に冷媒流路を形成するなどの工程を含む。
ここで、隣り合う単セル間に冷媒流路等を形成しない場合には、セパレータの両面にガス拡散層22、23のガス拡散部材33、34を接合するようにすることもできる。つまり、一つのセパレータをその両側のセルで共有るよう積層・接合すればよい。
次に、上記のようにして製造した燃料電池の評価について説明する。まず、本実施例で得れた電極に含有される触媒担持カーボン粒子を顕微鏡観察した。この観察に際しては、取り扱いの便宜上、電解質層膜面の側の電極側ガス拡散部材の膜面に形成した電極を観察対象とした。この場合、観察サンプルは、既述したPtCo触媒担持カーボン粒子とPt触媒含有のナフィオンとを共に分散させた電解質分散溶液を電極側ガス拡散部材(厚さ約0.3mmのカーボンペーパー(東レ社製TGP−090)/大きさ5cmx5cm)に塗布して乾燥させ、電極を形成した。この電極形成済みカーボンペーパー(触媒電極)を、透過型電子顕微鏡およびエネルギー分散型X線分析にて観察した。この観察結果は、図3に模式的に示されており、図示するように、同一のカーボン粒子は、PtCo触媒とPt触媒とを粒子表面に個別に担持していることが確認された。つまり、PtCo触媒とPt触媒とは、一方の触媒が他方の触媒を覆うようオーバーコートして担持されている状態でもなく、両触媒材料の混合物が担持されている状態でもなく、両触媒がそれぞれ粒子表面の異なる箇所に独立に担持されている状態であった。そして、このようにPtCo触媒とPt触媒とを個別に担持したカーボン粒子が、その観察視野において隣接もしくは近接するような状態で、電極に含まれていた。
PtCo触媒とPt触媒とが個別にカーボン粒子に担持されるのは、次のように考えることができる。電解質分散溶液の調合の分散の過程では、Pt触媒を含有済みのナフィオンは、予めPtCo触媒を担持していたカーボン粒子に対して近接したり、カーボン粒子の周囲において分散の状態にある。電極はこの電解質分散溶液の塗布・乾燥を経て形成されることから、電極では溶液の溶媒が消失していることになるので、この溶媒消失により、PtCo触媒担持済みのカーボン粒子にPt触媒を含有済みのナフィオンが付着する。そして、カーボン粒子表面においては、PtCo触媒の未担持箇所が圧倒的広さであることから、Pt触媒を含有済みのナフィオンの付着は、PtCo触媒の未担持箇所で起きると推考されると共に、Pt触媒を含有済みのナフィオンがカーボン粒子におけるPtCo触媒の担持箇所の全てでカーボン粒子に付着するようなことは起きないと推考される。このため、形成済みの電極に含有されるカーボン粒子の表面においては、PtCo触媒が予め担持済みであると共に、PtCo触媒の未担持箇所では、ナフィオンが含有していたPt触媒が、ナフィオンの介在を経てカーボン粒子に担持されることになり、この現象は上記した顕微鏡観察の結果と符合する。
顕微鏡的な観察の対比として、PtCo触媒担持カーボン粒子とPt触媒担持カーボン粒子とを、ナフィオンとを共に分散させた電解質分散溶液を調合して上記したように形成した電極についても観察を行った。その様子は、図4に模式的に示すとおりであり、PtCo触媒担持カーボン粒子とPt触媒担持カーボン粒子とが凝集しつつ含まれていた。
次に、性能評価を行った。この評価に用いた実施例の燃料電池では、その製造の際、電解質層30の膜面側に位置するガス拡散層22、23に上記した単一のカーボンペーパーを用い、ガス拡散層の熱圧着(接合)を、圧着温度130℃、圧力2MPaの条件で10分に亘行った。また、アノード側・カソード側の電極形成は、既述したステップS100のように調合した電解質分散溶液、即ち、PtCo触媒担持カーボン粒子がPt触媒を含有するナフィオンと共に分散した電解質分散溶液を用いてガス拡散層22の電解質膜面側に電極32を形成することとし、アノード側では、Pt触媒担持カーボン粒子がナフィオンと共に分散した電解質分散溶液を用いて電極31を形成することとした。カソード側とアノード側で電極形成に用いる電解質分散溶液を異なるようにしたのは、アノード側では電気化学反応に伴う生成水滞留の問題を軽視できることから、アノード側では既存の手法による電極形成とした。また、アノード側、カソード側とも、触媒量は、Pt量(Pt換算量)で0.2mg/cm2とした。なお、評価測定のサンプルサイズは、5cmx5cmである。
上記した実施例と対比する比較例の燃料電池は、アノード側の電極31は、上記の実施例と同様にし、カソード側の電極32の形成を以下のようにした。触媒量、熱圧着等については、上記の実施例通りである。
比較例1:Pt触媒担持カーボン粒子がナフィオンと共に分散した電解質分散溶液を用いて電極32を形成した燃料電池;
比較例2:PtCo触媒担持カーボン粒子がナフィオンと共に分散した電解質分散溶液を用いて電極32を形成した燃料電池;
比較例3:Pt触媒担持カーボン粒子とPtCo触媒担持カーボン粒子とがナフィオンと共に分散した電解質分散溶液を用いて電極32を形成した燃料電池;
比較例2:PtCo触媒担持カーボン粒子がナフィオンと共に分散した電解質分散溶液を用いて電極32を形成した燃料電池;
比較例3:Pt触媒担持カーボン粒子とPtCo触媒担持カーボン粒子とがナフィオンと共に分散した電解質分散溶液を用いて電極32を形成した燃料電池;
上記の実施例および比較例のそれぞれの燃料電池を、燃料ガス供給が可能な図示しない測定機器にてセットし、実機の燃料電池で加えられる面圧を実験機器にて掛けつつ出力を測定した。この際のガス供給は、アノードには1.5気圧、温度80℃、露点80℃の水素ガスを供給し、カソードには1.5気圧、温度80℃、露点75℃の空気を供給した。つまり、実験環境を、カソードが十分に加湿される状態にした。図5は性能評価の結果を実施例および比較例1〜3と対比して示すグラフである。
グラフから、比較例では、1A/cm2の電流密度を境に出力が急激に低下するのに対し、実施例では、1A/cm2の電流密度の程度まで出力の急激な低下は起きなかった。比較例1〜3の対比では、比較例3が比較例の中では出力低下抑制が観察された。こうした結果を、触媒担持の様子から説明する。
比較例1と比較例2は、Pt触媒またはPtCo触媒のいずれかを単独で担持したに過ぎないカーボン粒子を電極に含有している。比較例3は、図4に示すように、Pt触媒担持済みのカーボン粒子とPtCo触媒担持済みのカーボン粒子の両者を電極に含有している。実施例は、図3に示すように、Pt触媒とPtCo触媒とを個別に担持したカーボン粒子を電極に含有している。比較例1〜2で見られる出力低下は、カソード側の電極(触媒電極)において、電池反応に伴う生成水がカーボン粒子における触媒担持箇所に留まりがちとなって排水性が低下したため、フラッディングが起きたことが原因と推考される。
比較例3で比較例1〜2より出力低下が抑制されるのは、図4に示すように、濡れ性の小さいPtCo触媒を担持したカーボン粒子と濡れ性の大きいPt触媒を担持したカーボン粒子との近接の機会があり得ることから、濡れ性が小さいPtCo触媒を担持したカーボン粒子での触媒反応によって生じた水が、濡れ性が大きいPt触媒を担持したカーボン粒子に移動することが起き得る。このため、比較例3では、比較例1〜2よりカソード電極での排水性がやや改善されることになり、比較例1〜2より電池性能が高まったと推考される。
ところが、実施例では、一つのカーボン粒子が濡れ性の小さいPtCo触媒と濡れ性の大きいPt触媒の両触媒を担持していることから、カソード側の電極に含有されているカーボン粒子のそれぞれにおいて、濡れ性が小さいPtCo触媒での触媒反応によって生じた水が、濡れ性が大きいPt触媒の周りに移動すると共に、こうした生成水の移動が近接するカーボン粒子の間においても進むことになる。この結果、カソード側の電極での排水性は比較例に比して格段に高まって、高い実効性でフラッディング抑制が可能となるので、高い電池性能を得ることができる。
以上説明したように、濡れ性の小さいPtCo触媒と濡れ性の大きいPt触媒の両触媒を担持したカーボン粒子が電解質(ナフィオン)と共に分散した電解質分散溶液(電極形成ペースト)を電極形成に用いる本実施例によれば、個々のカーボン粒子での水の移動とカーボン粒子に渡る水の移動をもたらすことにより高い排水性を備えた電極、延いてはフラッディング抑制の実効性が高い燃料電池を容易に製造できる。しかも、電極(特に、カソード側の電極)での高い実効性によるフラッディング抑制により、電池性能の長期の維持が可能な燃料電池を容易に製造できる。
また、濡れ性の小さいPtCo触媒と濡れ性の大きいPt触媒の両触媒をカーボン粒子に担持するようにするに当たっては、濡れ性の小さいPtCo触媒を担持済みのカーボン粒子を、濡れ性の大きいPt触媒を含有する電解質(ナフィオン)と共に、溶媒に分散させるに過ぎない。よって、排水性の高い電極の形成用の電解質分散溶液(電極形成ペースト)を容易に調合できる。
以上本発明の実施例について説明したが、本発明は上記の実施例や実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。例えば、水に対する濡れ性が異なる触媒の組み合わせは、上記したPtCo触媒とPt触媒に限られるものではなく、種々採択できる。また、濡れ性の相違するPtCo触媒とPt触媒の両触媒のカーボン粒子への担持を図るに当たり、本実施例では、PtCo触媒を担持済みのカーボン粒子とPt触媒を含有する電解質とを用いたが、Pt触媒を担持済みのカーボン粒子とPtCo触媒を含有する電解質とを用いることもできる。更には、触媒含有の電解質としては、ナフィオンで代表されるパーフルオロスルホン酸ポリマ系のほか、スチレン・ジビニルベンゼンスルホン酸系ポリマ系等の電解質を用いることができる。触媒の担持対象となる担体についてもカーボン粒子に限られるわけではなく、金等の金属粒子とすることもできる。
また、異なる種類の触媒を担持した担体粒子(カーボン粒子)が電解質と共に分散した本実施例の電解質分散溶液は、固体高分子型燃料電の電極形成として特に好適であるが、その用途についてはこれに限定されるものではなく、各種電気化学デバイス(例えば、水の電気分解を起こす水素発生装置等)に用いられる電極の形成に用いることができる。
21…膜−電極接合体
22…ガス拡散層
23…ガス拡散層
24…セパレータ
25…セパレータ
30…電解質層
31…電極
32…電極
33…ガス拡散部材
34…電極側ガス拡散部材
35…ガス拡散部材
36…電極側ガス拡散部材
22…ガス拡散層
23…ガス拡散層
24…セパレータ
25…セパレータ
30…電解質層
31…電極
32…電極
33…ガス拡散部材
34…電極側ガス拡散部材
35…ガス拡散部材
36…電極側ガス拡散部材
Claims (6)
- 固体高分子型燃料電池の電解質膜に接合される電極であって、
触媒を担持した導電性の担体粒子を含有し、該担体粒子は、水に対する濡れ性が相違する少なくとも2種類の触媒を粒子表面に個別に担持してなる
電極。 - 請求項1に記載の電極であって、
前記担持粒体が前記少なくとも2種類の触媒として個別に担持する触媒は、白金触媒と、白金コバルト合金系の触媒である
電極。 - 固体高分子型燃料電池の電解質膜に接合される電極の形成に用いる電解質分散溶液であって、
触媒の担持対象となる導電性の担体粒子を、プロトン伝導性を有する電解質と共に溶媒に分散して含有しつつ、該溶媒には、水に対する濡れ性が相違する少なくとも2種類の触媒を分散して含有する
燃料電池用電極形成用の電解質分散溶液。 - 固体高分子型燃料電池の電解質膜に接合される電極の形成に用いる電解質分散溶液の製造方法であって、
第1の触媒を担持した導電性の担体粒子を準備し、
前記第1の触媒とは水に対する濡れ性が相違する第2の触媒を、プロトン伝導性を有する電解質に含有させ、
前記第2の触媒を含有済みの前記電解質と、前記第1の触媒粒子を担持済みの前記担体粒子と、溶媒とを混合して、前記電解質と前記担体粒子とを分散させる
燃料電池用電極形成用の電解質分散溶液の製造方法。 - 固体高分子型燃料電池であって、
電解質膜と、
該電解質膜に接合する電極とを備え、
前記電極は、請求項3に記載の電解質分散溶液、または請求項4の方法によって得られた電解質分散溶液のいずれかを用いて形成され、前記電解質膜の膜面に接合している
固体高分子型燃料電池。 - 固体高分子型燃料電池の製造方法であって、
電解質膜を準備する工程と、
第1の触媒を担持した導電性の担体粒子を準備する工程と、
前記第1の触媒とは水に対する濡れ性が相違する第2の触媒を、プロトン伝導性を有する電解質に含有させる工程と、
前記第2の触媒を含有済みの前記電解質と、前記第1の触媒粒子を担持済みの前記担体粒子と、溶媒とを混合して、前記電解質と前記担体粒子とを前記担体粒子の表面に前記電解質が接合した状態で分散した電解質分散液を調合する工程と、
該調合した前記電解質分散液を前記電解質膜の膜面或いは電解質膜の膜面側のガス拡散部材の膜面に塗布した後に、乾燥させて前記電解質膜の膜面に接合する電極を形成する工程とを備える
固体高分子型燃料電池の製造方法。
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