JP2008153052A - 燃料電池用膜電極接合体およびそれを用いた燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】クロスオーバーによる発電特性の低下を抑制し、余分な触媒量を削減することが可能な燃料電池用膜電極接合体を提供する。
【解決手段】触媒層の少なくとも一方は、複数の単位触媒層からなる積層触媒層であり、各単位触媒層の空隙率は、ガス拡散層と接する単位触媒層の空隙率が最大であり、高分子電解質膜側に向かって順に小さくなるように構成されており、前記各単位触媒層中の電子伝導性材料に対する触媒の重量比率は、前記ガス拡散層と接する単位触媒層の重量比率が最大であり、前記高分子電解質膜側に向かって順に小さくなるように構成されている。
【選択図】図1
【解決手段】触媒層の少なくとも一方は、複数の単位触媒層からなる積層触媒層であり、各単位触媒層の空隙率は、ガス拡散層と接する単位触媒層の空隙率が最大であり、高分子電解質膜側に向かって順に小さくなるように構成されており、前記各単位触媒層中の電子伝導性材料に対する触媒の重量比率は、前記ガス拡散層と接する単位触媒層の重量比率が最大であり、前記高分子電解質膜側に向かって順に小さくなるように構成されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、燃料電池に関し、特にその触媒層を好適な構成にした固体高分子型燃料電池に関する。
携帯電話、携帯情報端末(PDA)、ノートPC、ビデオカメラ等の携帯用小型電子機器の多機能化に伴う消費電力の増大や連続使用時間の増加に対応するために、搭載電池の高エネルギー密度化が強く要望されている。現在、これらの電源として、主にリチウムイオン二次電池が使用されているが、エネルギー密度の点で近い将来に限界を迎えると予測されており、これに替わる電源として、固体高分子電解質膜を用いた燃料電池の早期実用化が期待されている。
固体高分子型燃料電池は、高分子電解質膜の両面に、触媒層とガス拡散層からなるアノード、カソードをそれぞれ接合して膜電極接合体(MEA)とし、さらに、その両側を一対のセパレータで挟み込んだセル構造を有しており、アノード側に水素やメタノールなどの燃料を供給し、カソード側に酸素や空気などの酸化剤を供給することで発電する燃料電池である。
この中で、燃料を水素に改質せずに直接セル内部に供給して電極酸化し、発電するタイプの直接型燃料電池が、有機燃料の持つ理論エネルギー密度の高さ、システムの簡素化、燃料貯蔵のしやすさの面から注目され、活発な研究開発が行われている。例えば、直接メタノール型燃料電池は、燃料としてメタノールまたはメタノール水溶液を直接アノードに供給する。
しかしながら、これら固体高分子型燃料電池の実用化にはいくつかの問題点が存在している。
その一つは、アノード側に供給された燃料およびカソード側に供給された酸化剤が、未反応のまま電解質膜を透過して対極側まで達する、いわゆる「クロスオーバー」といった現象である。クロスオーバーが起こると、単に燃料利用率が低下するだけでなく、電極での混成電位の形成による発電電圧の低下や、過酸化水素の発生による電解質膜の劣化進行などの問題も発生する。電解質膜が薄い場合などには水素や酸素などのガスも透過しやすいが、特に問題となるのは燃料がメタノールである場合である。
固体高分子型燃料電池の電解質膜としては、プロトン伝導性、耐熱性、耐酸化性の点から一般的にパーフルオロスルホン酸系高分子膜が使用されている。このタイプの電解質膜は、疎水性のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)主鎖とパーフルオロ基の先に親水性のスルホン酸基が固定された側鎖から成るため、親水性部分と疎水性部分を併せ持つメタノールは良溶媒となり、電解質膜を透過しやすい。メタノールクロスオーバーは、メタノール濃度が高くなると増大する傾向にあるため、現状では、メタノール濃度を2〜4M程度にまで希釈して使用しており、このことが燃料電池システムの小型化への大きな障害となっていた。
クロスオーバーを抑制する技術としては、電解質膜に触媒を含有させて電解質膜内部で透過してきた燃料と酸化剤を反応させる技術や、電解質膜に無機化合物を含有させて透過性を低減させる技術が考案されている。しかしながら、これらの技術でも未だ問題の解決には至っていない。
また、目的は異なるが、触媒層中の触媒粒子の粒径を高分子電解質膜に近づくほど小さくかつ集電体に近づくほど大きくなるように分布させる構成が提案されている。(特許文献1参照)
この構成の目的は、最高のガス透過性と触媒の利用率を得ることである。
この構成の目的は、最高のガス透過性と触媒の利用率を得ることである。
さらに、触媒層を空隙が形成された層と空隙が形成されていない層の積層構造とし、空隙が形成された層を拡散層側に配置する構成も提案されている。(特許文献2参照)
この構成によるとガスが触媒へ効率的に供給されると共に、電子移動抵抗も低く抑えられることが記載されている。
特開平8−162123号公報
特開2005−197195号公報
この構成によるとガスが触媒へ効率的に供給されると共に、電子移動抵抗も低く抑えられることが記載されている。
以上のような従来の構成による場合、触媒層の電解質膜側の部分では物質拡散性が低いために、反応物質である燃料や酸化剤が触媒まで到達する量が少なくなる。一方、ガス拡散層側では物質拡散性が高いために、より多くの燃料や酸化剤が触媒まで到達する。このため、電極反応は触媒層のうちガス拡散層側でより多く進行し、電解質膜側での反応量は少なくなる。
一般的に触媒層は触媒と触媒担体と電解質で構成されるが、特許文献1の第一の形態および特許文献2では、触媒層全体における触媒と触媒担体と電解質の比率をすべて一定として触媒層を形成したのち、乾燥条件で触媒層の各部分の空隙率を変化させているだけなので、必然的に空隙率の低い部分、つまり触媒層の電解質膜側の部分では、空隙率に対する触媒重量が大きくなる。しかしながら、上記の理由から電解質膜側では反応量が少なくなるため、ガス拡散層側に比べて反応量に対する触媒量が多くなることになる。反応量に対して過分の触媒は反応への寄与が小さい状態で存在することとなり、非常に高価な白金などの貴金属触媒を余分に使用していることになるため、燃料電池のコストが高くなってしまう。
また、特許文献1の第二の形態では、触媒層で使用する触媒担体および触媒と触媒担体との比率を一定とし、触媒層の各部分で電解質の比率のみを制御することによって触媒層の各部分の空隙率を変化させている。しかし、触媒担体には、触媒層中の電子伝導性とプロトン伝導性とを両立させるために適切な電解質との比率があり、これを外れると両者のバランスが取れなくなってしまうため発電特性が低下する。つまり、特許文献1の第二の形態では、電解質膜側における電解質の比率が大きいために触媒担体の連結が十分でなく電子伝導経路が確保できないか、ガス拡散層側における電解質の比率が小さいために電解質の連結が十分でなくプロトン伝導経路が確保できないかのいずれかとなっているため、発電特性の低下を引き起こすことになる。
そこで本発明では、上記のような従来の課題を解決するため、触媒層において、発電特性を低下させることなく、燃料や酸化剤が未反応のまま電解質膜まで到達することを抑制すると共に、余分に存在する触媒量を削減することが可能な燃料電池用膜電極接合体を提供することを目的とする。
本発明は、高分子電解質膜と、プロトン伝導性材料と電子伝導性材料と触媒からなり、前記高分子電解質膜を挟むように配置された一対の触媒層と、前記一対の触媒層を挟むように配置された一対のガス拡散層とを有する燃料電池用膜電極接合体であって、前記一対
の触媒層の少なくとも一方は、複数の単位触媒層からなる積層触媒層であり、各単位触媒層の空隙率は、前記ガス拡散層と接する単位触媒層の空隙率が最大であり、前記高分子電解質膜側に向かって順に小さくなるように構成されており、前記各単位触媒層中の電子伝導性材料に対する触媒の重量比率は、前記ガス拡散層と接する単位触媒層の重量比率が最大であり、前記高分子電解質膜側に向かって順に小さくなるように構成されていることを特徴とする。
の触媒層の少なくとも一方は、複数の単位触媒層からなる積層触媒層であり、各単位触媒層の空隙率は、前記ガス拡散層と接する単位触媒層の空隙率が最大であり、前記高分子電解質膜側に向かって順に小さくなるように構成されており、前記各単位触媒層中の電子伝導性材料に対する触媒の重量比率は、前記ガス拡散層と接する単位触媒層の重量比率が最大であり、前記高分子電解質膜側に向かって順に小さくなるように構成されていることを特徴とする。
この空隙率や重量比率が順に小さくなるということは、前記ガス拡散層と接する単位触媒層が最大であるとともに、前記高分子電質膜と接する単位触媒層が最小であり、それに向かって単調減少するということである。したがって、隣り合う単位触媒層のいくつかは、同じものであってもかまわない。
本発明の構成によると、各単位触媒層において空隙率と電子伝導性材料に対する触媒の重量比率とをそれぞれ独立して制御しているため、電子伝導性材料とプロトン伝導性材料とのバランスを保ったまま、高分子電解質側の単位触媒層における物質拡散性を低減し、余分な触媒量を削減することが可能となる。
また、本発明は、前記触媒層において、繊維状の触媒担体に担持された触媒を具備し、前記高分子電解質膜側の単位触媒層は触媒担体の繊維長が前記ガス拡散層側の単位触媒層よりも順に短くなっていることを特徴とすることが好ましい。
本発明によれば、複数の単位触媒層からなる積層触媒層のうち、高分子電解質側の単位触媒層での物質拡散性がガス拡散層側の単位触媒層よりも低いため、燃料や酸化剤が未反応のまま電解質膜まで到達することを抑制することができ、固体高分子型燃料電池のクロスオーバーによる発電特性の低下を抑制することができる。また、反応量の少ない電解質膜側の単位触媒層に過分に存在する触媒量を削減することにより、固体高分子型燃料電池の製造コストを低減することができる。
本発明の実施の形態における燃料電池用膜電極接合体は、高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜を挟むように配置された一対の触媒層と、前記一対の触媒層を挟むように配置された一対のガス拡散層から構成される。
高分子電解質膜としては、プロトン伝導性、耐熱性、耐酸化性に優れたものであれば良く、その材質は特に限定されるものではない。一般的には上記のようにパーフルオロスルホン酸系高分子膜が使用されているが、直接メタノール型燃料電池などではメタノールクロスオーバーを低減できる炭化水素系高分子膜も好ましい。
触媒層は、触媒担体に担持された触媒の粉末や、ブラックと呼ばれる非担持の触媒粉末などと、プロトン伝導性の高分子電解質から構成される。触媒としては貴金属が用いられ、白金が一般的である。特にアノード触媒としては、一酸化炭素による触媒の被毒を低減するために、白金とルテニウムの合金触媒が用いられることが多い。
ここで、触媒担体としては、比表面積や電子伝導性の高さから、アセチレンブラックなどのカーボンブラックが用いられる。高分子電解質としては、電解質膜と同じくパーフルオロスルホン酸系高分子が用いられる。このように、電子伝導性材料の少なくとも一部が触媒担体であると、電子伝導性が確保できる上に高価な触媒の量を少なくできるため、特に好ましい。
触媒層の作製プロセスとしては、まず、触媒粉末と、電子伝導性材料と、高分子電解質を分散させたディスパージョン液とを溶媒中で混合した触媒層ペーストを作製する。次に、これをスプレーやドクターブレードなどを使用して直接電解質膜の表面に塗布し、乾燥して触媒層を形成する。あるいは、支持体であるPTFEなどのシート上に前記の触媒層ペーストを塗布し、乾燥して支持体上に触媒層を形成したのち、それを電解質膜の表面にホットプレス法などで熱転写するという方法もある。
ガス拡散層としては、燃料や酸化剤の拡散性、発電により生成した水の排出性、電子伝導性を併せ持つ、例えば、カーボンペーパー、カーボンクロス等の導電性多孔質材料を用いることができる。また、生成水の排出性を高めるため、これら導電性多孔質材料をPTFEディスパージョンなどに浸漬し、乾燥して、撥水性を付与しても良い。
さらに、ガス拡散層表面のうち触媒層に接触する側の表面には、触媒層との結着性や生成水の排出性を向上させるために、多孔質の導電性撥水層を設けても良い。導電性撥水層は、カーボンブラックなどの電子伝導性のカーボン粉末と、PTFEやテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などの撥水性材料から構成される。導電性撥水層の作製プロセスとしては、カーボンブラックと撥水性材料ディスパージョンとを溶媒中で混合したペーストを作製し、これをドクターブレードなどを使用してガス拡散層の表面に塗布し、乾燥する方法などがある。
膜電極接合体(MEA)の作製方法としては、高分子電解質膜の両面に触媒層を形成させた触媒層付き電解質膜(CCM)の両面を一対のガス拡散層で挟み込み、ホットプレス法などで熱溶着する方法などがある。また、一般的には、MEAのうち両極の触媒層およびガス拡散層は同じ面積とし電解質膜のみ一回り大きくする構成となっているが、その電解質膜のみの部分には、燃料や酸化剤が電極外へリークすることを防ぐため、ゴム製シートなど一対のガスケットが電解質膜を挟むように配置される。
セパレータは、燃料および酸化剤を分離するガス不透過性、燃料および酸化剤の流路を形成できる加工性、および電子伝導性、耐酸性などの面から、一般的には黒鉛などのカーボン材料から構成される。セパレータの表面のうちMEAに接触する面には、燃料または酸化剤を供給する流路が形成される。また、セパレータ材料として金属を用いる場合には、腐蝕を防止するコーティングが施される。
本発明による触媒層では、複数の単位触媒層からなる積層触媒層のうち、電解質膜側の単位触媒層の空隙率および電子伝導性材料に対する触媒の重量比率がガス拡散層側の単位触媒層よりも順に小さいものとするが、これは以下のような手段で達成される。
まず、電子伝導性材料が触媒担体からなる場合、各単位触媒層中の触媒と触媒担体の重量比率を変えることで電子伝導性材料に対する触媒の重量比率を制御する。また、各単位触媒層中の触媒担体と電解質の重量比率を電子伝導性とプロトン伝導性が両立できる適切な比率とした状態で、触媒担体の形状を変えることで空隙率を制御する。
次に、触媒担体を用いないブラック触媒の場合には、電子伝導性材料として触媒担体の代わりにカーボンブラックなどの導電性フィラーを用い、各単位触媒層でその含有比率や形状を変えることにより、触媒と電解質の重量比率を制御することができる。この際、各単位触媒層における電子伝導性の触媒および導電性フィラーとプロトン伝導性の電解質との重量比率は、電子伝導性とプロトン伝導性が両立できる適切な比率とする。
触媒担体の形状により空隙率を制御する場合には、触媒担体が一般的に用いられているカーボンブラックなどの粒子状のものであれば、その凝集体構造(ストラクチャー)の発
達状態の異なるものを用いれば良い。ストラクチャーがよく発達してサイズが大きい触媒担体を用いると単位触媒層の空隙率を高くすることができ、反対にストラクチャーが発達しておらずサイズが小さい触媒担体を用いると単位触媒層の空隙率を低くすることができる。
達状態の異なるものを用いれば良い。ストラクチャーがよく発達してサイズが大きい触媒担体を用いると単位触媒層の空隙率を高くすることができ、反対にストラクチャーが発達しておらずサイズが小さい触媒担体を用いると単位触媒層の空隙率を低くすることができる。
空隙率の制御の点からは、触媒担体は粒子状のものより繊維状のものの方が、さらに好ましい。
上記の繊維状触媒担体として、特に好ましく用いられる導電性繊維状材料としては、カーボンナノファイバやカーボンナノチューブなどが挙げられる。これらの繊維状材料はその合成条件によって繊維径や繊維長を制御することが可能であり、種々の形状のものがある。
カーボンナノファイバやカーボンナノチューブを合成するためには、表面に触媒元素を含む化合物を担持させた基材を、不活性ガス中で昇温させたのち、炭素含有ガスと水素ガスとの混合ガスを流入して反応させる方法がある。触媒元素としては、特に限定はされないが、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Moなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上が混合されてもよい。また、炭素含有ガスとしては、こちらも特に限定はされないが、メタン、エタン、ブタン、エチレン、アセチレン、一酸化炭素、ベンゼン、トルエンなどが挙げられる。触媒元素と炭素含有ガスおよび反応温度の選択によって、合成されるカーボンナノファイバの形状などがそれぞれに異なる。
本発明の触媒層において、触媒担体として繊維長が長い繊維状材料を用いると単位触媒層の空隙率を高くすることができ、反対に繊維長が短い繊維状材料を用いると単位触媒層の空隙率を低くすることができる。
なお、一般的にカーボンナノファイバは繊維径が数十nm〜数百nm程度、カーボンナノチューブは繊維径が数nm〜数十nm程度であり、繊維中の炭素の結晶構造だけでなくサイズも明らかに異なる。電解質膜側の層の触媒担体としてより細く短いカーボンナノチューブを、ガス拡散層側の層の触媒担体としてより太く長いカーボンナノファイバを用いることで、本発明の触媒層構造を得ることができる。
各単位触媒層の加圧条件で空隙率を変える場合には、複数の単位触媒層からなる積層触媒層のうち、空隙率を低くする電解質膜側の単位触媒層の加圧荷重や加圧回数を、ガス拡散層側の単位触媒層よりも高くする方法がある。例えば、電解質膜とのホットプレスによる接合の際に、電解質膜側の単位触媒層により高い荷重をかけるか、もしくはあらかじめ電解質膜側の単位触媒層のみをホットプレスなどで加圧しておけば良い。積層触媒層が3層以上からなる場合には、電解質膜側の単位触媒層ほどホットプレスの荷重や回数を高くする。
なお、上記のような方法で作製した複数の単位触媒層からなる積層触媒層の各単位触媒層は、必ずしもそれぞれ接触して配置されていなくてもよく、必要があれば、例えば多孔質の導電性撥水層など触媒層以外の層を各単位触媒層の間に挟んで配置してもよい。
上記のような方法で作製したMEAは、それぞれ一対となるガスケット、セパレータで挟み込み、必要であれば複数のMEAとセパレータを交互に積層し、さらにそれぞれ一対となる集電板、ヒーター、絶縁板、端板で順に挟み込んで、燃料電池とする。
なお、本発明の燃料電池用膜電極接合体における触媒の担持方法や触媒ペーストの調製方法、電解質膜と触媒層の接合方法などは特に限定されるものではなく、公知となってい
る種々のものを使用することが可能である。さらに、本発明の固体高分子型燃料電池における集電板やセパレータなどの構成部材、セルの構造、また補器を含むシステム構造なども特に限定されることなく、公知となっている種々のものを使用することが可能である。
る種々のものを使用することが可能である。さらに、本発明の固体高分子型燃料電池における集電板やセパレータなどの構成部材、セルの構造、また補器を含むシステム構造なども特に限定されることなく、公知となっている種々のものを使用することが可能である。
本発明の具体的な実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(カーボンナノファイバ合成触媒の担持)
シリコンウエハを、スパッタ装置のチャンバー内の基板にセットし、チャンバー内の圧力が1×10-6Paに到達したのち、チャンバー内にスパッタガスであるアルゴンガスを導入した。ニッケル製ターゲット上でグロー放電させることで、シリコンウエハ上に、カーボンナノファイバ合成触媒となる厚さ4nmのニッケル薄膜を形成した。
(カーボンナノファイバ合成触媒の担持)
シリコンウエハを、スパッタ装置のチャンバー内の基板にセットし、チャンバー内の圧力が1×10-6Paに到達したのち、チャンバー内にスパッタガスであるアルゴンガスを導入した。ニッケル製ターゲット上でグロー放電させることで、シリコンウエハ上に、カーボンナノファイバ合成触媒となる厚さ4nmのニッケル薄膜を形成した。
(カーボンナノファイバの合成)
ニッケル薄膜を形成したシリコンウエハをセラミック製反応容器にセットし、ヘリウムガス雰囲気中において500℃まで昇温させたのち、水素ガス50%とエチレンガス50%の混合ガスに置換して500℃で60分間保持することでカーボンナノファイバを合成した。
ニッケル薄膜を形成したシリコンウエハをセラミック製反応容器にセットし、ヘリウムガス雰囲気中において500℃まで昇温させたのち、水素ガス50%とエチレンガス50%の混合ガスに置換して500℃で60分間保持することでカーボンナノファイバを合成した。
シリコンウエハ上からカーボンナノファイバを掻き落とし、ボールミルによって粉砕したのち、塩酸でニッケルを除去し、水で洗浄することによって、カーボンナノファイバ1を得た。このカーボンナノファイバ1をSEMで分析した結果、繊維径150nm程度で、長さ50μm程度であることが確認された。
(触媒層の作製)
繊維径10〜20nm、繊維長0.1〜10μmを持つカーボンナノチューブ(ジェムコ社製、CNF−T)に、平均粒径5nmの白金を30重量%担持させたものを、カソード用電解質膜側の単位触媒層(触媒層1)の触媒とした。また、前記カーボンナノチューブに、平均粒径5nmの白金ルテニウム合金(原子比Pt:Ru=1:1)を30重量%担持させたものを、アノード用電解質膜側の単位触媒層(触媒層2)の触媒とした。
繊維径10〜20nm、繊維長0.1〜10μmを持つカーボンナノチューブ(ジェムコ社製、CNF−T)に、平均粒径5nmの白金を30重量%担持させたものを、カソード用電解質膜側の単位触媒層(触媒層1)の触媒とした。また、前記カーボンナノチューブに、平均粒径5nmの白金ルテニウム合金(原子比Pt:Ru=1:1)を30重量%担持させたものを、アノード用電解質膜側の単位触媒層(触媒層2)の触媒とした。
先に作製したカーボンナノファイバ1に、平均粒径5nmの白金を50重量%担持させたものを、カソード用ガス拡散層側の単位触媒層(触媒層3)の触媒とした。また、上記カーボンナノファイバ1に、平均粒径5nmの白金ルテニウム合金(原子比Pt:Ru=1:1)を50重量%担持させたものを、アノード用ガス拡散層側の単位触媒層(触媒層4)の触媒とした。
次に、上記の各触媒をイソプロパノール水溶液に分散させた液と、パーフルオロスルホン酸系高分子電解質であるナフィオン(登録商標)を溶媒に分散させた液(アルドリッチ社製、試薬、5重量%溶液)を混合し十分に撹拌させることにより、触媒層1〜4用の触媒ペーストをそれぞれ作製した。この際、各触媒ペースト中の触媒担体と高分子電解質の重量比はすべて1:1とした。これらの各触媒ペーストを、ドクターブレードを用いてギャップ200μmでPTFEシート(ニチアス社製、ナフロンPTFEシート)上に塗布した後、大気中常温で6時間乾燥させることで、触媒層1〜4シートを形成した。
(触媒層付き電解質膜の作製)
上記の触媒層1シートおよび触媒層2シートをそれぞれ6cm×6cmのサイズに切断した後、12cm×12cmのサイズに切断されたパーフルオロスルホン酸系高分子電解
質膜であるナフィオン(デュポン社製、ナフィオン112)を中心にして、各触媒層シートの塗布面が電解質膜と接触するようにして積層し、ホットプレス法(130℃、82kg/cm2、3分間)により熱接合した。このようにして得られた接合体からPTFEシートを剥がすことにより、触媒層1および2を電解質膜上にそれぞれ形成させた触媒層付き電解質膜(CCM)を得た。
上記の触媒層1シートおよび触媒層2シートをそれぞれ6cm×6cmのサイズに切断した後、12cm×12cmのサイズに切断されたパーフルオロスルホン酸系高分子電解
質膜であるナフィオン(デュポン社製、ナフィオン112)を中心にして、各触媒層シートの塗布面が電解質膜と接触するようにして積層し、ホットプレス法(130℃、82kg/cm2、3分間)により熱接合した。このようにして得られた接合体からPTFEシートを剥がすことにより、触媒層1および2を電解質膜上にそれぞれ形成させた触媒層付き電解質膜(CCM)を得た。
触媒層3シートおよび触媒層4シートをそれぞれ6cm×6cmのサイズに切断した後、上記のCCMを中心にして、触媒層3シートの塗布面が触媒層1に接触し触媒層4シートの塗布面が触媒層2に接触するようにして積層し、上記と同様にして熱接合することにより、CCM1を得た。
得られたCCM1について、ホットプレスによる熱転写の前後での触媒層シートとPTFEシートの重量差から算出し、そこから触媒層中の全触媒量を算出したところ、カソードおよびアノードとも2mg/cm2であった。また、触媒層1〜4の空隙率を調べるため、以下の方法で触媒層の厚みを測定した。CCM1の断面SEM観察から計測するため、上記と同様にして同じCCMを作製したが、この際、触媒層1〜4の界面が分かるよう、触媒層3および4は5cm×5cmと一回り小さく切断した。空隙率は、触媒層の体積から算出した仮想重量に対する実測重量の割合から算出した。
触媒層1〜4の空隙率を表1に示す。
(ガス拡散層の作製)
次に、ガス拡散層用基材として、カソード側にカーボンペーパー(バラードマテリアルプロダクツ社製、AvCarb(登録商標)1071HCB)を、アノード側にカーボンペーパー(東レ社製、TGP−H−090)を用い、いずれも撥水処理のためPTFEディスパージョン(ダイキン社製、D−1)を希釈した液に1分間浸漬して引き上げた後、100℃の熱風乾燥機中で乾燥し、270℃の電気炉中で2時間焼成処理を行って界面活性剤を除去した。このとき、PTFEの含有量は10重量%となった。
次に、ガス拡散層用基材として、カソード側にカーボンペーパー(バラードマテリアルプロダクツ社製、AvCarb(登録商標)1071HCB)を、アノード側にカーボンペーパー(東レ社製、TGP−H−090)を用い、いずれも撥水処理のためPTFEディスパージョン(ダイキン社製、D−1)を希釈した液に1分間浸漬して引き上げた後、100℃の熱風乾燥機中で乾燥し、270℃の電気炉中で2時間焼成処理を行って界面活性剤を除去した。このとき、PTFEの含有量は10重量%となった。
アセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)とPTFEディスパージョン(ダイキン社製、D−1)を、PTFEの含有量が40重量%となるように調整して混合し十分に撹拌することにより、導電性撥水層用ペーストを得た。このペーストを、上記の撥水処理済みカーボンペーパーの表面にドクターブレードを用いて塗布し、100℃の熱風乾燥機中で乾燥した後、270℃の電気炉中で2時間焼成処理を行って界面活性剤を除去することで、ガス拡散層を得た。
(膜電極接合体の作製)
触媒層の形成後の電解質膜を中心にして、6cm×6cmのサイズに切断されたガス拡散層を、導電性撥水層の塗布面が触媒層に接触するようにして積層し、ホットプレス法(130℃、41kg/cm2、2分間)により接合することで、MEAを得た。
触媒層の形成後の電解質膜を中心にして、6cm×6cmのサイズに切断されたガス拡散層を、導電性撥水層の塗布面が触媒層に接触するようにして積層し、ホットプレス法(130℃、41kg/cm2、2分間)により接合することで、MEAを得た。
(燃料電池セルの作製)
12cm×12cmに切断され、中央に6cm×6cmの穴が設けられた一対のゴム製ガスシール材を、上記で得たMEAを挟み込むようにして積層し、さらにこれをそれぞれ一対のセパレータ、集電板、ヒーター、絶縁板、端板で順に挟み込むようにして積層し、締結ロッドで固定した。この時の締結圧は、セパレータの面積あたりで20kgf/cm2とした。この際、セパレータには、幅1.5mm、深さ1mmのサーペンタイン型流路が形成されており、集電板および端板は金メッキ処理を施したステンレス板を使用している。
12cm×12cmに切断され、中央に6cm×6cmの穴が設けられた一対のゴム製ガスシール材を、上記で得たMEAを挟み込むようにして積層し、さらにこれをそれぞれ一対のセパレータ、集電板、ヒーター、絶縁板、端板で順に挟み込むようにして積層し、締結ロッドで固定した。この時の締結圧は、セパレータの面積あたりで20kgf/cm2とした。この際、セパレータには、幅1.5mm、深さ1mmのサーペンタイン型流路が形成されており、集電板および端板は金メッキ処理を施したステンレス板を使用している。
(実施例2)
シリコンウエハ上に形成したニッケル薄膜の厚みを2nmとし、カーボンナノファイバの合成時間を30分間としたこと以外、実施例1と同様にしてカーボンナノファイバ2を得た。このカーボンナノファイバ2をSEMで分析した結果、繊維径80nm程度で、長さ30μm程度であることが確認された。
シリコンウエハ上に形成したニッケル薄膜の厚みを2nmとし、カーボンナノファイバの合成時間を30分間としたこと以外、実施例1と同様にしてカーボンナノファイバ2を得た。このカーボンナノファイバ2をSEMで分析した結果、繊維径80nm程度で、長さ30μm程度であることが確認された。
触媒層1および2の触媒担体として、上記カーボンナノファイバ2を用いたこと以外、実施例1と同様にしてCCM2を得た。
得られたCCM2ついて、触媒層1〜4の空隙率を調べるため、実施例1と同様の測定を行った。触媒層1〜4の空隙率を表1に示す。
得られたCCM2を用いて、実施例1と同様にして固体高分子型燃料電池を作製した。
(実施例3)
シリコンウエハ上に形成したニッケル薄膜の厚みを6nmとし、カーボンナノファイバの合成時間を120分間としたこと以外、実施例1と同様にしてカーボンナノファイバ3を得た。このカーボンナノファイバ3をSEMで分析した結果、繊維径200nm程度で、長さ80μm程度であることが確認された。
シリコンウエハ上に形成したニッケル薄膜の厚みを6nmとし、カーボンナノファイバの合成時間を120分間としたこと以外、実施例1と同様にしてカーボンナノファイバ3を得た。このカーボンナノファイバ3をSEMで分析した結果、繊維径200nm程度で、長さ80μm程度であることが確認された。
上記カーボンナノファイバ3に、平均粒径5nmの白金を60重量%担持させたものを、カソード用ガス拡散層側の単位触媒層(触媒層5)の触媒とした。また、上記カーボンナノファイバ1に、平均粒径5nmの白金ルテニウム合金(原子比Pt:Ru=1:1)を60重量%担持させたものを、アノード用ガス拡散層側の単位触媒層(触媒層6)の触媒とした。これらの触媒を用い、ギャップを115μmとしたこと以外、実施例1と同様にして触媒層5シートおよび触媒層6シートを得た。また、ギャップを115μmとしたこと以外、実施例2と同様にして触媒層1〜4シートを得た。
上記触媒層1〜4シートを用い、ホットプレス時の加圧を64kg/cm2としたこと以外、実施例1と同様にしてCCMを作製した。このCCMに、さらに触媒層5シートの塗布面が触媒層3に接触し触媒層6シートの塗布面が触媒層4に接触するようにして積層し、実施例1と同様にして熱接合することにより、CCM3を得た。
得られたCCM3の触媒層中の全触媒量は、カソードおよびアノードとも2mg/cm2であった。得られたCCM3について、触媒層1〜6の空隙率を調べるため、実施例1と同様の測定を行った。なお、触媒層の厚み測定用のCCMを作製する際、触媒層5および6は4cm×4cmとした。触媒層1〜6の空隙率を表1に示す。
得られたCCM3を用いて、実施例1と同様にして固体高分子型燃料電池を作製した。
(実施例4)
ケッチェンブラック(ケッチェンブラックインターナショナル社製、ECP)を用い、触媒層3および触媒層4の触媒担体として、アセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)を用いたこと以外、実施例1と同様にして触媒層1〜4シートを得た。得られた触媒層1シートおよび触媒層2シートを用い、ホットプレス時の加圧を96kg/cm2としたこと以外、実施例1と同様にしてCCMを作製した。このCCMに、実施例1と同様にしてさらに触媒層3および4を熱接合することにより、CCM4を得た。
ケッチェンブラック(ケッチェンブラックインターナショナル社製、ECP)を用い、触媒層3および触媒層4の触媒担体として、アセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)を用いたこと以外、実施例1と同様にして触媒層1〜4シートを得た。得られた触媒層1シートおよび触媒層2シートを用い、ホットプレス時の加圧を96kg/cm2としたこと以外、実施例1と同様にしてCCMを作製した。このCCMに、実施例1と同様にしてさらに触媒層3および4を熱接合することにより、CCM4を得た。
得られたCCM4について、触媒層1〜4の空隙率を調べるため、実施例1と同様の測定を行った。
触媒層1〜4の空隙率を表1に示す。
得られたCCM4を用いて、実施例1と同様にして固体高分子型燃料電池を作製した。
(実施例5)
実施例1と同様にして、繊維径150nm程度、長さ50μm程度であるカーボンナノファイバ1を作製した。
実施例1と同様にして、繊維径150nm程度、長さ50μm程度であるカーボンナノファイバ1を作製した。
触媒層1〜4の触媒担体として、上記カーボンナノファイバ1を用いたこと以外、実施例4と同様にしてCCM5を得た。
得られたCCM5について、触媒層1〜4の空隙率を調べるため、実施例1と同様の測定を行った。触媒層1〜4の空隙率を表1に示す。
得られたCCM5を用いて、実施例1と同様にして固体高分子型燃料電池を作製した。
(比較例1)
ケッチェンブラック(ケッチェンブラックインターナショナル社製、ECP)に、平均粒径5nmの白金を50重量%担持させたものを、カソード用触媒層(触媒層1)の触媒とした。また、上記ケッチェンブラックに、平均粒径5nmの白金ルテニウム合金(原子比Pt:Ru=1:1)を50重量%担持させたものを、アノード用触媒層(触媒層2)の触媒とした。これらの触媒を用い、ギャップを400μmとしたこと以外、実施例1と同様にして触媒層1シートおよび触媒層2シートを得た。これら触媒層1シートおよび触媒層2シートを用い、触媒層3および触媒層4を形成しなかったこと以外、実施例1と同様にしてCCM6を得た。
ケッチェンブラック(ケッチェンブラックインターナショナル社製、ECP)に、平均粒径5nmの白金を50重量%担持させたものを、カソード用触媒層(触媒層1)の触媒とした。また、上記ケッチェンブラックに、平均粒径5nmの白金ルテニウム合金(原子比Pt:Ru=1:1)を50重量%担持させたものを、アノード用触媒層(触媒層2)の触媒とした。これらの触媒を用い、ギャップを400μmとしたこと以外、実施例1と同様にして触媒層1シートおよび触媒層2シートを得た。これら触媒層1シートおよび触媒層2シートを用い、触媒層3および触媒層4を形成しなかったこと以外、実施例1と同様にしてCCM6を得た。
得られたCCM6の触媒層中の全触媒量は、カソードおよびアノードとも2.5mg/cm2であった。また、触媒層1および2の空隙率を調べるため、実施例1と同様の測定を行った。触媒層1および2の空隙率を表1に示す。
得られたCCM6を用いて、実施例1と同様にして固体高分子型燃料電池を作製した。
(比較例2)
触媒層1〜4の触媒担体として、ケッチェンブラック(ケッチェンブラックインターナショナル社製、ECP)を用い、触媒層1および2の触媒の担持量をそれぞれ50重量%としたこと以外、実施例4と同様にしてCCM7を得た。
触媒層1〜4の触媒担体として、ケッチェンブラック(ケッチェンブラックインターナショナル社製、ECP)を用い、触媒層1および2の触媒の担持量をそれぞれ50重量%としたこと以外、実施例4と同様にしてCCM7を得た。
得られたCCM7の触媒層中の全触媒量は、カソードおよびアノードとも2.5mg/cm2であった。また、触媒層1〜4の空隙率を調べるため、実施例1と同様の測定を行った。触媒層1〜4の空隙率を表1に示す。
得られたCCM7を用いて、実施例1と同様にして固体高分子型燃料電池を作製した。
(比較例3)
触媒層1および2の触媒の担持量をそれぞれ50重量%としたこと以外、実施例5と同様にしてCCM8を得た。
触媒層1および2の触媒の担持量をそれぞれ50重量%としたこと以外、実施例5と同様にしてCCM8を得た。
得られたCCM8の触媒層中の全触媒量は、カソードおよびアノードとも2.5mg/cm2であった。また、触媒層1〜4の空隙率を調べるため、実施例1と同様の測定を行
った。触媒層1〜4の空隙率を表1に示す。
った。触媒層1〜4の空隙率を表1に示す。
得られたCCM8を用いて、実施例1と同様にして固体高分子型燃料電池を作製した。
(発電特性の評価)
上記で作製した実施例1〜4および比較例1〜3の固体高分子型燃料電池について、発電特性を評価した。
上記で作製した実施例1〜4および比較例1〜3の固体高分子型燃料電池について、発電特性を評価した。
各燃料電池セルはヒーターと温度コントローラーを用いて60℃になるように制御した。各燃料電池セルのアノードに、燃料として2mol/Lのメタノール水溶液を2cm3/minの流量でチューブ式ポンプを用いて供給した。カソードには、無加湿の空気をマスフローコントローラーによって流量400cm3/minとなるように供給した。定電流制御で電流密度が150mA/cm2となるように設定し、8時間連続で発電させた後の実効電圧を測定した。
これによって得られたデータを表1に示す。なお、表中では触媒層1のことをL1のように略して表記した。
触媒層を複数の単位触媒層からなる積層触媒層とし、電解質膜側の単位触媒層の空隙率がガス拡散層側の単位触媒層よりも順に小さくなるようにした実施例1〜5および比較例2、3は、触媒層を1層で構成した比較例1に比べていずれも良好な発電特性が得られて
いる。これは、電解質膜側の単位触媒層でのクロスオーバー抑制の効果とガス拡散層側の単位触媒層での水排出の効果を両立することができるためであると考えられる。特に、各単位触媒層での触媒担体に繊維長が異なる繊維状材料を用いた実施例1〜3では、高い荷重をかけなくても空隙率の差を作りやすく無理な加圧をする必要がないため、触媒担体を粒子状とした実施例4や繊維長が同一の繊維状材料を担体とした実施例5に比べてさらに良好な発電特性となっている。
いる。これは、電解質膜側の単位触媒層でのクロスオーバー抑制の効果とガス拡散層側の単位触媒層での水排出の効果を両立することができるためであると考えられる。特に、各単位触媒層での触媒担体に繊維長が異なる繊維状材料を用いた実施例1〜3では、高い荷重をかけなくても空隙率の差を作りやすく無理な加圧をする必要がないため、触媒担体を粒子状とした実施例4や繊維長が同一の繊維状材料を担体とした実施例5に比べてさらに良好な発電特性となっている。
また、実施例1〜5は比較例2、3に比べてほぼ同等の発電特性となっているが、合計の触媒量が比較例2、3よりも少ないことを考慮すると、電解質膜側の単位触媒層での余分な触媒量を削減しても発電特性に大きな影響を与えていないと言える。
これらの結果から、触媒層を複数の単位触媒層からなる積層触媒層とし、電解質膜側の単位触媒層の空隙率および電子伝導性材料に対する触媒の重量比率がガス拡散層側の単位触媒層よりも順に小さくなるようにすることによって、燃料や酸化剤のクロスオーバー抑制によって発電特性を向上させ、かつ余分な触媒量を削減することができることが分かる。この触媒層を備えた燃料電池用膜電解質接合体を用いることで、優れた発電特性および低コストな固体高分子型燃料電池を得ることが可能である。
本発明の固体高分子型燃料電池は、優れた発電特性を持ち、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、ノートPC、ビデオカメラ等の携帯用小型電子機器用の電源として有用である。また、電動スクータ用電源等にも適用できる。
1 高分子電解質膜
2 カソード触媒層
3 カソード触媒層
4 アノード触媒層
5 アノード触媒層
6 カソード側ガス拡散層
7 アノード側ガス拡散層
8 セパレータ
9 ガスケット
2 カソード触媒層
3 カソード触媒層
4 アノード触媒層
5 アノード触媒層
6 カソード側ガス拡散層
7 アノード側ガス拡散層
8 セパレータ
9 ガスケット
Claims (6)
- 高分子電解質膜と、プロトン伝導性材料と電子伝導性材料と触媒からなり、前記高分子電解質膜を挟むように配置された一対の触媒層と、前記一対の触媒層を挟むように配置された一対のガス拡散層とを有する燃料電池用膜電極接合体であって、前記一対の触媒層の少なくとも一方は、複数の単位触媒層からなる積層触媒層であり、各単位触媒層の空隙率は、前記ガス拡散層と接する単位触媒層の空隙率が最大であり、前記高分子電解質膜側に向かって順に小さくなるように構成されており、前記各単位触媒層中の電子伝導性材料に対する触媒の重量比率は、前記ガス拡散層と接する単位触媒層の重量比率が最大であり、前記高分子電解質膜側に向かって順に小さくなるように構成されていることを特徴とする燃料電池用膜電極接合体。
- 前記電子伝導性材料は、少なくとも一部が触媒担体であることを特徴とする請求項1記載の燃料電池用膜電極接合体。
- 前記電子伝導性材料は、凝集体が粒子状であり、その粒径は、前記ガス拡散層と接する単位触媒層の凝集体の粒径が最大であり、前記高分子電解質膜側に向かって順に小さくなるように構成されていることを特徴とする請求項2記載の燃料電池用膜電極接合体。
- 前記電子伝導性材料は、一次粒子が繊維状であり、その繊維長は、前記ガス拡散層と接する単位触媒層の繊維長が最大であり、前記高分子電解質膜側に向かって順に短くなるように構成されていることを特徴とする請求項2記載の燃料電池用膜電極接合体。
- 前記繊維状の触媒担体がカーボンナノファイバまたはカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項3または4記載の燃料電池用膜電極接合体。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の燃料電池用膜電極接合体を備えた燃料電池。
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---|---|---|---|---|
WO2011001981A1 (ja) * | 2009-06-29 | 2011-01-06 | 株式会社エクォス・リサーチ | 燃料電池用反応層 |
JP2011029150A (ja) * | 2009-06-29 | 2011-02-10 | Equos Research Co Ltd | 燃料電池用反応層 |
JP2011078891A (ja) * | 2009-10-06 | 2011-04-21 | Equos Research Co Ltd | 触媒用担体材料の処理方法及び電極用触媒 |
JP2018163745A (ja) * | 2017-03-24 | 2018-10-18 | 凸版印刷株式会社 | 燃料電池用膜電極接合体及びその製造方法、単電池セル、燃料電池スタック、固体高分子形燃料電池 |
-
2006
- 2006-12-18 JP JP2006339664A patent/JP2008153052A/ja not_active Withdrawn
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