JP2004138860A - 光導波路デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】低損失で作製の容易性および再現性を兼ね備えた変曲点を有する光導波路デバイスを提供する。
【解決手段】光導波路は、挿入損失や偏波依存損失の低減が、技術的な課題である。分岐合波光導波路やアレイ型光導波路格子(AWG)、可変光減衰器(VOA)などの変曲点を有する光導波路デバイスにおいて、その変曲点部分に、直線導波路を設けることにより、低損失で高品質な光導波路デバイスを設計通り再現性良く製造することができる。
【選択図】なし
【解決手段】光導波路は、挿入損失や偏波依存損失の低減が、技術的な課題である。分岐合波光導波路やアレイ型光導波路格子(AWG)、可変光減衰器(VOA)などの変曲点を有する光導波路デバイスにおいて、その変曲点部分に、直線導波路を設けることにより、低損失で高品質な光導波路デバイスを設計通り再現性良く製造することができる。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低損失で高品質な光導波路デバイスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
情報通信システムの基盤技術として光通信技術が浸透していくにつれて光導波路は、光ネットワーク用キーデバイスとして益々その重要性が高まると同時に、電子回路配線基板等の分野への応用に向けて開発が進められている。光導波路の基本構造は直線と曲線、あるいは曲線と曲線を接続したものであり、構造的に変曲点を有するものが多く、この部分で光の損失が発生しやすいため、変曲点部における光損失を低減することが重要である。
【0003】
光集積回路の基本要素である、光分岐回路、光合波回路は、Y分岐光導波路が知られているが、このY分岐光導波路回路は図1に示すように、主導波路1、テーパ導波路2、分岐導波路3、4を順に接続してなる光導波路である。分岐導波路3、4はいずれも変曲点8を有し、この変曲点の前後において相互に逆方向に湾曲しており、それぞれ出力導波路5、6に接続している。
【0004】
上記した変曲点を有する分岐合波光導波路デバイスにおいては、低損失化および作製の安定化のための検討がなされてきた。例えば、低損失化のためには分岐導波路の曲率半径を大きくすることが重要である。しかしながら、曲率半径を大きくすることにより回路サイズは大きくなり、基板の大きさの制約から曲率半径の増大には限界があった。これに対して、シリカ系導波路において、分岐導波路の変曲点および出力導波路との接続に軸ずれを設けることで光の漏れを抑制し、低損失化が実現できることが示されている。(特許文献1参照。)
光通信で使用される光部品、光導波路の材料には、光損失が小さいこと、導波路作製工程が容易であること、コアとクラッドの屈折率制御性、あるいは耐熱性などが要求される。これまでに光導波路材料として最も検討されてきているのが石英系材料である。しかしながら導波路作製に長時間を要すること、高温加熱が必要なこと、また、大面積化が困難である等の製造上の問題がある。一方、光導波路デバイスの普及には低コスト化と量産化が要望されており、樹脂性光導波路がその有力な候補として開発されている(特許文献2、3参照)が、これらの樹脂を使用した場合、十分、低損失な光導波路を作成するのが、難しいという問題があった。
【0005】
【特許文献1】
特許第2809517号公報
【特許文献2】
特許第2816770号公報
【特許文献3】
特開平10−239546号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
変曲点を有する光導波路デバイスの低損失化において、例えば上述のように変曲点に軸ずれを設けることで低損失化を図る試みがなされているが、光導波路デバイスを作製する場合、分岐導波路の変曲点および出力導波路との接続の軸ずれを設計通りに、再現性よく安定して作製するのが困難であるという問題があった。軸ずれの寸法は1μm以下、好ましくは0.2〜0.6μm程度である。パターニングおよびエッチングの精度を考慮すると、上述の微細な軸ずれを寸法内で、精度良く再現性良く作製することは困難であった。具体的には図2の(a)の様に設計した導波路の形が実際には、図2の(b)の様に軸ずれ部が斜めになり、精度よく作製することができず、変曲点を有する光導波路デバイスの十分な低損失化が困難であった。
【0007】
さらに低コスト化を計るための樹脂性光導波路デバイスにおいては、樹脂は石英に比べ柔軟性が高いことから、作製中の発生応力によりパターンが変形しやすく、特に2μm程度以下のパターンでは顕著であり、設計通りに軸ずれを作製できないという問題が、より顕在化していた。そこで、変曲点を有する光導波路デバイスにおいて、実用的に再現性のある低損失化の手法の開発、ならびに低損失で高品質な光導波路デバイスの実現が望まれていた。
【0008】
本発明は、上述の問題点を解消し、再現性良く低伝搬損失性、作製の容易性、低コスト性を備えた光導波路デバイスを提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を進めたところ、変曲点を有する光導波路デバイスにおいて、変曲点に直線部を設ける、すなわち、変曲点部分に直線導波路を挿入することにより、低損失で高品質な光導波路デバイスを設計通り再現性良く製造できることを見いだし、本発明に到達したものである。
【0010】
また、樹脂系光導波路材料として、フッ素化ポリイミド樹脂、フッ素化アクリル樹脂、重水素化ポリシロキサン樹脂、フッ素化エポキシ樹脂、全フッ素化脂環式樹脂のいずれかを用いることにより光特性が良く、歩留まりの高い光導波路デバイスが製造できる。
【0011】
中でもフッ素化ポリイミドは、光透過性と耐熱性に優れるという性質があり、特性の良い導波路が作製できる。
【0012】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、変曲点を有する光導波路デバイスの低損失化および作製の容易性について鋭意検討した。図3は本発明の変曲点を有する光導波路デバイスの実施の一形態を説明する図である。これは図1と同様に、主導波路1、テーパ導波路2、分岐導波路3、4を順に接続してなる光導波路であり、分岐導波路3、4はいずれも変曲点を有し、この変曲点の前後において相互に逆方向に湾曲する曲線状光導波路であるが、図3においては、分岐導波路3、4の変曲点部分には直線導波路7が設けられている。このように構成された変曲点を有する分岐合波光導波路デバイスにおいて、低損失で高品質な分岐光導波路デバイスを設計通りに再現性良く製造できる。直線導波路7の導入により、直線導波路7を設けない場合に比較して、損失の増加を抑制でき、出力導波路の摂動が抑えられる。挿入損失を最小とする直線導波路7の長さの値はコア径、曲率等によって異なるが、光特性の再現性を考慮すると、コアの寸法が8μm×8μmのシングルモード光導波路の場合、1000μm以下、50μm〜500μmの範囲が好ましい。50μm以下では十分な低損失効果を得ることができない。また上限としては過剰損失が発生しない範囲であれば限定はされないが、1000μm程度までが好適である。
【0014】
また、直線導波路7の導入により、偏波依存損失も低減でき、さらに、例えば1×8スプリッター光回路のような分岐導波路においては、各ポートにおける出力偏差(ユニフォーミティ)も向上することができた。
【0015】
このような導波路は主導波路側から光信号を通せば分岐導波路であり、複数の出力導波路側から光信号を通せば合波導波路として使用できるため、変曲点部分に直線導波路を設ける本発明は合波導波路についても有効である。
【0016】
また、変曲点に直線導波路を設けることにより、再現性よく低損失化が図れる変曲点を有する光導波路デバイスの例としては、上述の分岐合波光導波路以外に、変曲点を有するアレイ型光導波路格子(AWG)、可変光減衰器(VOA)等が挙げられる。
【0017】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明する。
【0018】
〔実施例1〕
本実施例は1×8スプリッター光回路に本発明を適用したものである。このスプリッターは図3の分岐回路を3段接続した構成であり、7つの2分岐回路を含み、変曲点部分は14点ある。導波路材料はフッ素化ポリイミド樹脂を用い、比屈折率差Δ=0.3%とした。光回路は以下の手順により作製した。
【0019】
4インチポリイミド基板上にフッ素化ポリイミド樹脂をスピンコーティング装置により塗布した後、オーブンを用いて、70℃で2時間、160℃で1時間、250℃で30分、350℃で1時間焼成して、下部クラッド層を15ミクロン成膜した。この下部クラッド層上に、コア層に対応するフッ素化ポリイミド樹脂を下部クラッド層と同様に塗布、焼成してコア層を8ミクロン成膜した。このコア層上にマスク層としてシリコンをマグネトロンスパッタにより1.2ミクロンに成膜した。このマスク層上にはさらにレジストをスピンコーティング装置により塗布し、オーブンを用いて加熱し、レジスト層を成膜し、アライナを用いて光導波路パターンを露光し、パターニングしたレジスト層を形成した。次に、レジスト層に保護されていないマスク層のシリコンをRIE装置を用いて、CF4ガスを流入させながらエッチングした。引き続いてO2ガスを流入させてマスク層のシリコンに保護されていないコア層部分をエッチングにより除去し、長さ25mmの1×8スプリッターのコアパターンを形成した。次に、基板を希フッ酸に浸漬し、マスク層を除去した。その後、オーブンを用いて、150℃で1時間加熱処理を実施した。さらに、下部クラッドと同種のフッ素化ポリイミド樹脂を用いて上部クラッド層を形成した。上部クラッド層形成は下部クラッド層と同様に塗布、焼成して、厚さ15ミクロンの上部クラッド層を形成した。コアの寸法は8μm×8μm、14個の変曲点部分に設けた直線導波路の長さは300μmである。1.3μmの光を通して損失を測定したところ、挿入損失は11.1dB、偏波依存損失は0.2dBと非常に低損失であり、実用に供せる低損失化が実現できた。また、各ポートにおける出力偏差(ユニフォーミティ)は0.3dBであった。
【0020】
〔実施例2〕
実施例1と同じ材料、同じプロセスにより、1×8スプリッター光回路を作製した。コアの寸法は8μm×8μm、変曲点部の直線導波路の長さは50μmとした。1.3μmの光を通して損失を測定したところ、挿入損失は11.4dB、偏波依存損失は0.3dBと低損失であり、実施例1よりは損失が増加したが、実用に供せる低損失化が実現できた。また、各ポートにおける出力偏差(ユニフォーミティ)は0.4dBであった。
〔比較例1〕
実施例1と同じ材料、同じプロセスにより、コアの寸法は8μm×8μm、変曲点部に直線導波路は設けなかった。1.3μmの光を通して損失を測定したところ、挿入損失は14.3dB、偏波依存損失は1.3dBであり、分岐合波光導波路デバイスとしては損失が大きく不適なものであった。また、各ポートにおける出力偏差(ユニフォーミティ)は1.1dBであった。
【0021】
〔比較例2〕
実施例1と同じ材料、同じプロセスにより、コアの寸法は8μm×8μmとし、変曲点部に直線導波路は設けないで、0.5μmの軸ずれを設けたが軸ずれ部は図2の(b)のような形となった。1.3μmの光を通して損失を測定したところ、挿入損失は14.8dB、偏波依存損失は1.2dBであり、分岐合波光導波路デバイスとしては不適なものであった。また、各ポートにおける出力偏差(ユニフォミティ)は1.4dBであった。
【0022】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、低損失で、作製の容易性および再現性を兼ね備えた、変曲点を有する光導波路デバイスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、従来のY分岐光導波路回路の構成を示すものである。
【図2】図2は、軸ずれ部を示すものである。
【図3】図3は、本発明における変曲点と直線導波路を有する光導波路デバイスを示すものである。
【符号の説明】
1 主導波路
2 テーパ導波路
3、4 分岐導波路
5、6 出力導波路
7 直線導波路
8 変曲点部
【発明の属する技術分野】
本発明は、低損失で高品質な光導波路デバイスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
情報通信システムの基盤技術として光通信技術が浸透していくにつれて光導波路は、光ネットワーク用キーデバイスとして益々その重要性が高まると同時に、電子回路配線基板等の分野への応用に向けて開発が進められている。光導波路の基本構造は直線と曲線、あるいは曲線と曲線を接続したものであり、構造的に変曲点を有するものが多く、この部分で光の損失が発生しやすいため、変曲点部における光損失を低減することが重要である。
【0003】
光集積回路の基本要素である、光分岐回路、光合波回路は、Y分岐光導波路が知られているが、このY分岐光導波路回路は図1に示すように、主導波路1、テーパ導波路2、分岐導波路3、4を順に接続してなる光導波路である。分岐導波路3、4はいずれも変曲点8を有し、この変曲点の前後において相互に逆方向に湾曲しており、それぞれ出力導波路5、6に接続している。
【0004】
上記した変曲点を有する分岐合波光導波路デバイスにおいては、低損失化および作製の安定化のための検討がなされてきた。例えば、低損失化のためには分岐導波路の曲率半径を大きくすることが重要である。しかしながら、曲率半径を大きくすることにより回路サイズは大きくなり、基板の大きさの制約から曲率半径の増大には限界があった。これに対して、シリカ系導波路において、分岐導波路の変曲点および出力導波路との接続に軸ずれを設けることで光の漏れを抑制し、低損失化が実現できることが示されている。(特許文献1参照。)
光通信で使用される光部品、光導波路の材料には、光損失が小さいこと、導波路作製工程が容易であること、コアとクラッドの屈折率制御性、あるいは耐熱性などが要求される。これまでに光導波路材料として最も検討されてきているのが石英系材料である。しかしながら導波路作製に長時間を要すること、高温加熱が必要なこと、また、大面積化が困難である等の製造上の問題がある。一方、光導波路デバイスの普及には低コスト化と量産化が要望されており、樹脂性光導波路がその有力な候補として開発されている(特許文献2、3参照)が、これらの樹脂を使用した場合、十分、低損失な光導波路を作成するのが、難しいという問題があった。
【0005】
【特許文献1】
特許第2809517号公報
【特許文献2】
特許第2816770号公報
【特許文献3】
特開平10−239546号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
変曲点を有する光導波路デバイスの低損失化において、例えば上述のように変曲点に軸ずれを設けることで低損失化を図る試みがなされているが、光導波路デバイスを作製する場合、分岐導波路の変曲点および出力導波路との接続の軸ずれを設計通りに、再現性よく安定して作製するのが困難であるという問題があった。軸ずれの寸法は1μm以下、好ましくは0.2〜0.6μm程度である。パターニングおよびエッチングの精度を考慮すると、上述の微細な軸ずれを寸法内で、精度良く再現性良く作製することは困難であった。具体的には図2の(a)の様に設計した導波路の形が実際には、図2の(b)の様に軸ずれ部が斜めになり、精度よく作製することができず、変曲点を有する光導波路デバイスの十分な低損失化が困難であった。
【0007】
さらに低コスト化を計るための樹脂性光導波路デバイスにおいては、樹脂は石英に比べ柔軟性が高いことから、作製中の発生応力によりパターンが変形しやすく、特に2μm程度以下のパターンでは顕著であり、設計通りに軸ずれを作製できないという問題が、より顕在化していた。そこで、変曲点を有する光導波路デバイスにおいて、実用的に再現性のある低損失化の手法の開発、ならびに低損失で高品質な光導波路デバイスの実現が望まれていた。
【0008】
本発明は、上述の問題点を解消し、再現性良く低伝搬損失性、作製の容易性、低コスト性を備えた光導波路デバイスを提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を進めたところ、変曲点を有する光導波路デバイスにおいて、変曲点に直線部を設ける、すなわち、変曲点部分に直線導波路を挿入することにより、低損失で高品質な光導波路デバイスを設計通り再現性良く製造できることを見いだし、本発明に到達したものである。
【0010】
また、樹脂系光導波路材料として、フッ素化ポリイミド樹脂、フッ素化アクリル樹脂、重水素化ポリシロキサン樹脂、フッ素化エポキシ樹脂、全フッ素化脂環式樹脂のいずれかを用いることにより光特性が良く、歩留まりの高い光導波路デバイスが製造できる。
【0011】
中でもフッ素化ポリイミドは、光透過性と耐熱性に優れるという性質があり、特性の良い導波路が作製できる。
【0012】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、変曲点を有する光導波路デバイスの低損失化および作製の容易性について鋭意検討した。図3は本発明の変曲点を有する光導波路デバイスの実施の一形態を説明する図である。これは図1と同様に、主導波路1、テーパ導波路2、分岐導波路3、4を順に接続してなる光導波路であり、分岐導波路3、4はいずれも変曲点を有し、この変曲点の前後において相互に逆方向に湾曲する曲線状光導波路であるが、図3においては、分岐導波路3、4の変曲点部分には直線導波路7が設けられている。このように構成された変曲点を有する分岐合波光導波路デバイスにおいて、低損失で高品質な分岐光導波路デバイスを設計通りに再現性良く製造できる。直線導波路7の導入により、直線導波路7を設けない場合に比較して、損失の増加を抑制でき、出力導波路の摂動が抑えられる。挿入損失を最小とする直線導波路7の長さの値はコア径、曲率等によって異なるが、光特性の再現性を考慮すると、コアの寸法が8μm×8μmのシングルモード光導波路の場合、1000μm以下、50μm〜500μmの範囲が好ましい。50μm以下では十分な低損失効果を得ることができない。また上限としては過剰損失が発生しない範囲であれば限定はされないが、1000μm程度までが好適である。
【0014】
また、直線導波路7の導入により、偏波依存損失も低減でき、さらに、例えば1×8スプリッター光回路のような分岐導波路においては、各ポートにおける出力偏差(ユニフォーミティ)も向上することができた。
【0015】
このような導波路は主導波路側から光信号を通せば分岐導波路であり、複数の出力導波路側から光信号を通せば合波導波路として使用できるため、変曲点部分に直線導波路を設ける本発明は合波導波路についても有効である。
【0016】
また、変曲点に直線導波路を設けることにより、再現性よく低損失化が図れる変曲点を有する光導波路デバイスの例としては、上述の分岐合波光導波路以外に、変曲点を有するアレイ型光導波路格子(AWG)、可変光減衰器(VOA)等が挙げられる。
【0017】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明する。
【0018】
〔実施例1〕
本実施例は1×8スプリッター光回路に本発明を適用したものである。このスプリッターは図3の分岐回路を3段接続した構成であり、7つの2分岐回路を含み、変曲点部分は14点ある。導波路材料はフッ素化ポリイミド樹脂を用い、比屈折率差Δ=0.3%とした。光回路は以下の手順により作製した。
【0019】
4インチポリイミド基板上にフッ素化ポリイミド樹脂をスピンコーティング装置により塗布した後、オーブンを用いて、70℃で2時間、160℃で1時間、250℃で30分、350℃で1時間焼成して、下部クラッド層を15ミクロン成膜した。この下部クラッド層上に、コア層に対応するフッ素化ポリイミド樹脂を下部クラッド層と同様に塗布、焼成してコア層を8ミクロン成膜した。このコア層上にマスク層としてシリコンをマグネトロンスパッタにより1.2ミクロンに成膜した。このマスク層上にはさらにレジストをスピンコーティング装置により塗布し、オーブンを用いて加熱し、レジスト層を成膜し、アライナを用いて光導波路パターンを露光し、パターニングしたレジスト層を形成した。次に、レジスト層に保護されていないマスク層のシリコンをRIE装置を用いて、CF4ガスを流入させながらエッチングした。引き続いてO2ガスを流入させてマスク層のシリコンに保護されていないコア層部分をエッチングにより除去し、長さ25mmの1×8スプリッターのコアパターンを形成した。次に、基板を希フッ酸に浸漬し、マスク層を除去した。その後、オーブンを用いて、150℃で1時間加熱処理を実施した。さらに、下部クラッドと同種のフッ素化ポリイミド樹脂を用いて上部クラッド層を形成した。上部クラッド層形成は下部クラッド層と同様に塗布、焼成して、厚さ15ミクロンの上部クラッド層を形成した。コアの寸法は8μm×8μm、14個の変曲点部分に設けた直線導波路の長さは300μmである。1.3μmの光を通して損失を測定したところ、挿入損失は11.1dB、偏波依存損失は0.2dBと非常に低損失であり、実用に供せる低損失化が実現できた。また、各ポートにおける出力偏差(ユニフォーミティ)は0.3dBであった。
【0020】
〔実施例2〕
実施例1と同じ材料、同じプロセスにより、1×8スプリッター光回路を作製した。コアの寸法は8μm×8μm、変曲点部の直線導波路の長さは50μmとした。1.3μmの光を通して損失を測定したところ、挿入損失は11.4dB、偏波依存損失は0.3dBと低損失であり、実施例1よりは損失が増加したが、実用に供せる低損失化が実現できた。また、各ポートにおける出力偏差(ユニフォーミティ)は0.4dBであった。
〔比較例1〕
実施例1と同じ材料、同じプロセスにより、コアの寸法は8μm×8μm、変曲点部に直線導波路は設けなかった。1.3μmの光を通して損失を測定したところ、挿入損失は14.3dB、偏波依存損失は1.3dBであり、分岐合波光導波路デバイスとしては損失が大きく不適なものであった。また、各ポートにおける出力偏差(ユニフォーミティ)は1.1dBであった。
【0021】
〔比較例2〕
実施例1と同じ材料、同じプロセスにより、コアの寸法は8μm×8μmとし、変曲点部に直線導波路は設けないで、0.5μmの軸ずれを設けたが軸ずれ部は図2の(b)のような形となった。1.3μmの光を通して損失を測定したところ、挿入損失は14.8dB、偏波依存損失は1.2dBであり、分岐合波光導波路デバイスとしては不適なものであった。また、各ポートにおける出力偏差(ユニフォミティ)は1.4dBであった。
【0022】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、低損失で、作製の容易性および再現性を兼ね備えた、変曲点を有する光導波路デバイスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、従来のY分岐光導波路回路の構成を示すものである。
【図2】図2は、軸ずれ部を示すものである。
【図3】図3は、本発明における変曲点と直線導波路を有する光導波路デバイスを示すものである。
【符号の説明】
1 主導波路
2 テーパ導波路
3、4 分岐導波路
5、6 出力導波路
7 直線導波路
8 変曲点部
Claims (3)
- 変曲点を有する光導波路デバイスにおいて、変曲点部分に直線導波路を設けることを特徴とする光導波路デバイス。
- 請求項1記載の光導波路デバイスが、主導波路、テーパ導波路、分岐導波路を順に接続してなる光導波路であり、分岐導波路が変曲点を有している分岐合波光導波路デバイス。
- 光導波路材料が樹脂材料であることを特徴とする請求項1記載の光導波路デバイス。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002303965A JP2004138860A (ja) | 2002-10-18 | 2002-10-18 | 光導波路デバイス |
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JP2002303965A JP2004138860A (ja) | 2002-10-18 | 2002-10-18 | 光導波路デバイス |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2004138860A true JP2004138860A (ja) | 2004-05-13 |
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JP (1) | JP2004138860A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH07198972A (ja) * | 1993-12-28 | 1995-08-01 | Hitachi Cable Ltd | Y分岐光導波路 |
JP2001013338A (ja) * | 1999-06-29 | 2001-01-19 | Kyocera Corp | 光導波路 |
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2002
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