JP2004086080A - 光導波路デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】低損失で作製の容易性および再現性を兼ね備えた変曲点を有する光導波路デバイスを提供する。
【解決手段】光通信技術の中核をしめる光導波路の基本構造は直線と曲線、あるいは曲線と曲線を接続したものであり変曲点を含んでいる。この変曲点における光損失を低減するために、変曲点に軸ずれを設け、かつ軸ずれを設けた接続部において両導波路端面に間隙を設けることにより、低損失で高品質な光導波路デバイスを設計通り再現性良く製造できる。
【選択図】
なし
【解決手段】光通信技術の中核をしめる光導波路の基本構造は直線と曲線、あるいは曲線と曲線を接続したものであり変曲点を含んでいる。この変曲点における光損失を低減するために、変曲点に軸ずれを設け、かつ軸ずれを設けた接続部において両導波路端面に間隙を設けることにより、低損失で高品質な光導波路デバイスを設計通り再現性良く製造できる。
【選択図】
なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低損失で高品質な光導波路デバイスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
情報通信システムの基盤技術として光通信技術が浸透していくにつれて光導波路は、光ネットワーク用キーデバイスとして益々その重要性が高まると同時に、電子回路配線基板等の分野への応用に向けて開発が進められている。光導波路の基本構造は直線と曲線、あるいは曲線と曲線を接続したものであり、構造的に変曲点を有している。この変曲点における光損失を低減することが重要である。
【0003】
光集積回路の基本要素である、光分岐回路、光合波回路は、Y分岐光導波路が知られているが、このY分岐光導波路回路は図1に例示するように、主導波路1、テーパ導波路2、分岐導波路3、4を順に接続してなる光導波路である。分岐導波路3、4はいずれも変曲点を有し、この変曲点の前後において相互に逆方向に湾曲しており、それぞれ出力導波路5、6に接続している。
【0004】
上記した変曲点を有する分岐合波光導波路デバイスにおいては、低損失化および作製の安定化のため、以下のような検討がなされてきた。例えば、低損失化のためには分岐導波路の曲率半径を大きくすることが重要である。しかしながら、曲率半径を大きくすることにより回路サイズは大きくなり、基板の大きさの制約から曲率半径の増大には限界があった。これに対して、特許第2809517号公報ではシリカ系導波路作製において、分岐導波路の変曲点および出力導波路との接続に軸ずれを設けることで光の漏れを抑制し、低損失化が実現できることが示されている。
【0005】
光通信で使用される光部品、光導波路の材料には、光損失が小さいこと、導波路作製工程が容易であること、コアとクラッドの屈折率制御性、あるいは耐熱性などが要求される。これまでに光導波路材料として最も検討されてきているのが石英系材料である。しかしながら導波路作製に長時間を要すること、高温加熱が必要なこと、また、大面積化が困難である等の製造上の問題がある。一方、光導波路デバイスの普及には低価格化と量産化が要望されており、樹脂性光導波路がその有力な候補として開発されているが、これらの樹脂を使用した場合、十分、低損失な光導波路を作成するのが、難しいという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
変曲点を有する光導波路デバイスの低損失化において、例えば上述のように変曲点に軸ずれを設けることで低損失化を図る試みがなされているが、光導波路デバイスを作製する場合、分岐導波路の変曲点および出力導波路との接続の軸ずれを設計通りに、再現性よく安定して作製できないという問題があった。軸ずれの寸法は1μm以下、好ましくは0.2〜0.6μm程度である。パターニングおよびエッチングの精度を考慮すると、各導波路端面を接続したまま上述の微細な軸ずれを寸法内で、精度良く、再現性良く、作製することは困難である。具体的には軸ずれ部に傾斜が生じる等の現象が発生し、光波フィールドの不整合が起きていると推察される。このように、作製の精度上の理由から、分岐導波路の変曲点および出力導波路との接続に軸ずれを設けることによる光の漏れを抑制する効果は認められず、逆に、精度よく作製することができないため、軸ずれの導入により光損失がかえって大きくなってしまうという問題が生じていた。このように、変曲点を有する光導波路デバイスの開発において、従来の低損失化の手法を適用しても十分な低損失化が困難であった。さらに樹脂系光導波路デバイスの材料として、樹脂は石英に比べ柔軟性が高いことから、設計通りに軸ずれを作製できないという問題が、より顕在化していた。そこで、変曲点を有する光導波路デバイスにおいて、実用的に再現性のある低損失化の手法の開発、ならびに低損失で高品質な光導波路デバイスの実現が望まれていた。
【0007】
本発明は、上述の問題点を解消し、再現性良く低伝搬損失性、作製の容易性、低コスト性を備えた光導波路デバイスを提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を進めたところ、変曲点を有する光導波路デバイスにおいて、変曲点に軸ずれを設け、かつ軸ずれを設けた接続部において両導波路端面に間隙を設けることにより、低損失で高品質な光導波路デバイスを設計通り再現性良く製造できることを見いだし、本発明に到達したものである。
【0009】
また、樹脂系光導波路材料として、フッ素化ポリイミド樹脂、フッ素化アクリル樹脂、重水素化ポリシロキサン樹脂、フッ素化エポキシ樹脂、全フッ素化脂環式樹脂のいずれかを用いることにより光特性が良く、歩留まりの高い光導波路デバイスが製造できる。
【0010】
中でもフッ素化ポリイミドは、光透過性と耐熱性に優れるという性質があり、特性の良い導波路が作製できる。
【0011】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、変曲点を有する光導波路デバイスの低損失化および作製の容易性について鋭意検討した。図2は本発明の変曲点を有する光導波路デバイスの実施の一形態を説明する図である。主導波路1、テーパ導波路2、分岐導波路3、4を順に接続してなる光導波路であり、分岐導波路3、4はいずれも変曲点を有し、この変曲点の前後において相互に逆方向に湾曲する曲線状光導波路である。分岐導波路3、4の変曲点a点には軸ずれd1が設けられ、軸ずれを設けた接続部において両導波路端面に間隙g1が設けられている。さらに分岐導波路3、4は直線の出力導波路5、6に接続しているが、接続点に軸ずれd2が設けられ、軸ずれ部において両導波路端面に間隙g2が設けられている。このように構成された変曲点を有する分岐合波光導波路デバイスにおいて、低損失で高品質な分岐光導波路デバイスを設計通りに再現性良く製造できる。軸ずれd1、d2の導入により、d1、d2を設けない場合に比較して、光波フィールド不整合による損失の増加を抑制でき、出力導波路の摂動が抑えられる。挿入損失を最小とする軸ずれの値はコア径、曲率等によって異なるが、コアの寸法が8μm×8μmのシングルモード光導波路の場合、1μm以下、0.2〜0.6μmの範囲が好ましい。
【0013】
導波路作製の容易性も考慮し、軸ずれ効果を最大限発揮できる低損失化を種々検討した結果、軸ずれを設けた接続部において両導波路端面に間隙を設けることにより、低損失化を実現できる。間隙を設けることにより設計通りの軸ずれ値を維持し、光波フィールドの不整合を解消することができた。間隙の幅は作製の容易性、再現性を考慮すると2μm以上が好ましい。また上限としては過剰損失が発生しない範囲であれば限定はされないが、10μm程度までが好適である。
【0014】
図1のような導波路は主導波路側から光信号を通せば分岐導波路であり、複数の出力導波路側から光信号を通せば合波導波路として使用できるため、変曲点部分に軸ずれと間隙を設ける本発明は合波導波路についても有効である。
【0015】
なお、本発明は、その前後において相互に逆方向に湾曲している変曲点部分だけではなく、曲線導波路と直線導波路の接続部、直線導波路の折れ曲がり部においても同様の効果を持つものである。
【0016】
また、変曲点に軸ずれを設け、かつ軸ずれを設けた部分部に間隙を設けることにより、再現性よく低損失化が図れる変曲点を有する光導波路デバイスの例としては、上述の分岐合波光導波路に限定されず、変曲点を有するアレイ型光導波路格子(AWG)、可変光減衰器(VOA)等も挙げられることは言うに及ばない。
【0017】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0018】
〔実施例1〕
本実施例は1×8スプリッター光回路に本発明を適用したものである。樹脂系光導波路材料にはフッ素化ポリイミド樹脂を用い、比屈折率差Δ=0.3%とした。光回路は以下の手順により作製した。
【0019】
4インチポリイミド基板上にフッ素化ポリイミド樹脂をスピンコーティング装置により塗布した後、オーブンを用いて、70℃で2時間、160℃で1時間、250℃で30分、350℃で1時間焼成して、下部クラッド層を15ミクロン成膜した。この下部クラッド層上に、コア層に対応するフッ素化ポリイミド樹脂を下部クラッド層と同様に塗布、焼成してコア層を8ミクロン成膜した。このコア層上にマスク層としてシリコンをマグネトロンスパッタにより1.2ミクロンに成膜した。このマスク層上にはさらにレジストをスピンコーティング装置により塗布し、オーブンを用いて加熱し、レジスト層を成膜し、アライナを用いて光導波路パターンを露光し、パターニングしたレジスト層を形成した。次に、レジスト層に保護されていないマスク層のシリコンをRIE装置を用いて、CF4ガスを流入させながらエッチングした。引き続いてO2ガスを流入させてマスク層のシリコンに保護されていないコア層部分をエッチングにより除去し、長さ25mmの1×8スプリッターのコアパターンを形成した。次に、基板を希フッ酸に浸漬し、マスク層を除去した。その後、オーブンを用いて、150℃で1時間加熱処理を実施した。さらに、下部クラッドと同種のフッ素化ポリイミド樹脂を用いて上部クラッド層を形成した。上部クラッド層形成は下部クラッド層と同様に塗布、焼成して、厚さ15ミクロンの上部クラッド層を形成した。コアの寸法は8μm×8μm、d1=d2=0.5μm、g1=g2=3μmとした。1.3μmの光を通して損失を測定したところ、挿入損失は11.2dB、偏波依存損失は0.2dBと非常に低損失であり、実用に供せる低損失化が実現できた。
【0020】
〔実施例2〕
実施例1と同じ材料、同じプロセスにより、1×8スプリッター光回路を作製した。コアの寸法は8μm×8μm、d1=0.5μm、d2=0μm、g1=3μm、g2=0μmとした。1.3μmの光を通して損失を測定したところ、挿入損失は11.5dB、偏波依存損失は0.3dBと低損失であり、実施例1よりは損失が増加したが、実用に供せる低損失化が実現できた。
【0021】
〔比較例1〕
実施例1と同じ材料、同じプロセスにより、コアの寸法は8μm×8μm、d1=d2=0μm、g1=g2=0μmとした。1.3μmの光を通して損失を測定したところ、挿入損失は14.3dB、偏波依存損失は1.3dBであり、分岐合波光導波路デバイスとしては損失が大きく不適なものであった。
【0022】
〔比較例2〕
実施例1と同じ材料、同じプロセスにより、コアの寸法は8μm×8μm、d1=d2=0.5μm、g1=g2=0μmとした。1.3μmの光を通して損失を測定したところ、挿入損失は14.8dB、偏波依存損失は1.2dBであり、分岐合波光導波路デバイスとしては不適なものであった。
【0023】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、低損失で、作製の容易性および再現性を兼ね備えた、変曲点を有する光導波路デバイスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、従来のY分岐光導波路回路の構成を示すものである。
【図2】図2は、本発明におけるにおける変曲点と間隙を有する光導波路デバイスを示すものである。
【符号の説明】
1 主導波路
2 テーパ導波路
3、4 分岐導波路
5、6 出力導波路
a 変曲点部
d1、d2 軸ずれ幅
g1、g2 間隙
【発明の属する技術分野】
本発明は、低損失で高品質な光導波路デバイスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
情報通信システムの基盤技術として光通信技術が浸透していくにつれて光導波路は、光ネットワーク用キーデバイスとして益々その重要性が高まると同時に、電子回路配線基板等の分野への応用に向けて開発が進められている。光導波路の基本構造は直線と曲線、あるいは曲線と曲線を接続したものであり、構造的に変曲点を有している。この変曲点における光損失を低減することが重要である。
【0003】
光集積回路の基本要素である、光分岐回路、光合波回路は、Y分岐光導波路が知られているが、このY分岐光導波路回路は図1に例示するように、主導波路1、テーパ導波路2、分岐導波路3、4を順に接続してなる光導波路である。分岐導波路3、4はいずれも変曲点を有し、この変曲点の前後において相互に逆方向に湾曲しており、それぞれ出力導波路5、6に接続している。
【0004】
上記した変曲点を有する分岐合波光導波路デバイスにおいては、低損失化および作製の安定化のため、以下のような検討がなされてきた。例えば、低損失化のためには分岐導波路の曲率半径を大きくすることが重要である。しかしながら、曲率半径を大きくすることにより回路サイズは大きくなり、基板の大きさの制約から曲率半径の増大には限界があった。これに対して、特許第2809517号公報ではシリカ系導波路作製において、分岐導波路の変曲点および出力導波路との接続に軸ずれを設けることで光の漏れを抑制し、低損失化が実現できることが示されている。
【0005】
光通信で使用される光部品、光導波路の材料には、光損失が小さいこと、導波路作製工程が容易であること、コアとクラッドの屈折率制御性、あるいは耐熱性などが要求される。これまでに光導波路材料として最も検討されてきているのが石英系材料である。しかしながら導波路作製に長時間を要すること、高温加熱が必要なこと、また、大面積化が困難である等の製造上の問題がある。一方、光導波路デバイスの普及には低価格化と量産化が要望されており、樹脂性光導波路がその有力な候補として開発されているが、これらの樹脂を使用した場合、十分、低損失な光導波路を作成するのが、難しいという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
変曲点を有する光導波路デバイスの低損失化において、例えば上述のように変曲点に軸ずれを設けることで低損失化を図る試みがなされているが、光導波路デバイスを作製する場合、分岐導波路の変曲点および出力導波路との接続の軸ずれを設計通りに、再現性よく安定して作製できないという問題があった。軸ずれの寸法は1μm以下、好ましくは0.2〜0.6μm程度である。パターニングおよびエッチングの精度を考慮すると、各導波路端面を接続したまま上述の微細な軸ずれを寸法内で、精度良く、再現性良く、作製することは困難である。具体的には軸ずれ部に傾斜が生じる等の現象が発生し、光波フィールドの不整合が起きていると推察される。このように、作製の精度上の理由から、分岐導波路の変曲点および出力導波路との接続に軸ずれを設けることによる光の漏れを抑制する効果は認められず、逆に、精度よく作製することができないため、軸ずれの導入により光損失がかえって大きくなってしまうという問題が生じていた。このように、変曲点を有する光導波路デバイスの開発において、従来の低損失化の手法を適用しても十分な低損失化が困難であった。さらに樹脂系光導波路デバイスの材料として、樹脂は石英に比べ柔軟性が高いことから、設計通りに軸ずれを作製できないという問題が、より顕在化していた。そこで、変曲点を有する光導波路デバイスにおいて、実用的に再現性のある低損失化の手法の開発、ならびに低損失で高品質な光導波路デバイスの実現が望まれていた。
【0007】
本発明は、上述の問題点を解消し、再現性良く低伝搬損失性、作製の容易性、低コスト性を備えた光導波路デバイスを提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を進めたところ、変曲点を有する光導波路デバイスにおいて、変曲点に軸ずれを設け、かつ軸ずれを設けた接続部において両導波路端面に間隙を設けることにより、低損失で高品質な光導波路デバイスを設計通り再現性良く製造できることを見いだし、本発明に到達したものである。
【0009】
また、樹脂系光導波路材料として、フッ素化ポリイミド樹脂、フッ素化アクリル樹脂、重水素化ポリシロキサン樹脂、フッ素化エポキシ樹脂、全フッ素化脂環式樹脂のいずれかを用いることにより光特性が良く、歩留まりの高い光導波路デバイスが製造できる。
【0010】
中でもフッ素化ポリイミドは、光透過性と耐熱性に優れるという性質があり、特性の良い導波路が作製できる。
【0011】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、変曲点を有する光導波路デバイスの低損失化および作製の容易性について鋭意検討した。図2は本発明の変曲点を有する光導波路デバイスの実施の一形態を説明する図である。主導波路1、テーパ導波路2、分岐導波路3、4を順に接続してなる光導波路であり、分岐導波路3、4はいずれも変曲点を有し、この変曲点の前後において相互に逆方向に湾曲する曲線状光導波路である。分岐導波路3、4の変曲点a点には軸ずれd1が設けられ、軸ずれを設けた接続部において両導波路端面に間隙g1が設けられている。さらに分岐導波路3、4は直線の出力導波路5、6に接続しているが、接続点に軸ずれd2が設けられ、軸ずれ部において両導波路端面に間隙g2が設けられている。このように構成された変曲点を有する分岐合波光導波路デバイスにおいて、低損失で高品質な分岐光導波路デバイスを設計通りに再現性良く製造できる。軸ずれd1、d2の導入により、d1、d2を設けない場合に比較して、光波フィールド不整合による損失の増加を抑制でき、出力導波路の摂動が抑えられる。挿入損失を最小とする軸ずれの値はコア径、曲率等によって異なるが、コアの寸法が8μm×8μmのシングルモード光導波路の場合、1μm以下、0.2〜0.6μmの範囲が好ましい。
【0013】
導波路作製の容易性も考慮し、軸ずれ効果を最大限発揮できる低損失化を種々検討した結果、軸ずれを設けた接続部において両導波路端面に間隙を設けることにより、低損失化を実現できる。間隙を設けることにより設計通りの軸ずれ値を維持し、光波フィールドの不整合を解消することができた。間隙の幅は作製の容易性、再現性を考慮すると2μm以上が好ましい。また上限としては過剰損失が発生しない範囲であれば限定はされないが、10μm程度までが好適である。
【0014】
図1のような導波路は主導波路側から光信号を通せば分岐導波路であり、複数の出力導波路側から光信号を通せば合波導波路として使用できるため、変曲点部分に軸ずれと間隙を設ける本発明は合波導波路についても有効である。
【0015】
なお、本発明は、その前後において相互に逆方向に湾曲している変曲点部分だけではなく、曲線導波路と直線導波路の接続部、直線導波路の折れ曲がり部においても同様の効果を持つものである。
【0016】
また、変曲点に軸ずれを設け、かつ軸ずれを設けた部分部に間隙を設けることにより、再現性よく低損失化が図れる変曲点を有する光導波路デバイスの例としては、上述の分岐合波光導波路に限定されず、変曲点を有するアレイ型光導波路格子(AWG)、可変光減衰器(VOA)等も挙げられることは言うに及ばない。
【0017】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0018】
〔実施例1〕
本実施例は1×8スプリッター光回路に本発明を適用したものである。樹脂系光導波路材料にはフッ素化ポリイミド樹脂を用い、比屈折率差Δ=0.3%とした。光回路は以下の手順により作製した。
【0019】
4インチポリイミド基板上にフッ素化ポリイミド樹脂をスピンコーティング装置により塗布した後、オーブンを用いて、70℃で2時間、160℃で1時間、250℃で30分、350℃で1時間焼成して、下部クラッド層を15ミクロン成膜した。この下部クラッド層上に、コア層に対応するフッ素化ポリイミド樹脂を下部クラッド層と同様に塗布、焼成してコア層を8ミクロン成膜した。このコア層上にマスク層としてシリコンをマグネトロンスパッタにより1.2ミクロンに成膜した。このマスク層上にはさらにレジストをスピンコーティング装置により塗布し、オーブンを用いて加熱し、レジスト層を成膜し、アライナを用いて光導波路パターンを露光し、パターニングしたレジスト層を形成した。次に、レジスト層に保護されていないマスク層のシリコンをRIE装置を用いて、CF4ガスを流入させながらエッチングした。引き続いてO2ガスを流入させてマスク層のシリコンに保護されていないコア層部分をエッチングにより除去し、長さ25mmの1×8スプリッターのコアパターンを形成した。次に、基板を希フッ酸に浸漬し、マスク層を除去した。その後、オーブンを用いて、150℃で1時間加熱処理を実施した。さらに、下部クラッドと同種のフッ素化ポリイミド樹脂を用いて上部クラッド層を形成した。上部クラッド層形成は下部クラッド層と同様に塗布、焼成して、厚さ15ミクロンの上部クラッド層を形成した。コアの寸法は8μm×8μm、d1=d2=0.5μm、g1=g2=3μmとした。1.3μmの光を通して損失を測定したところ、挿入損失は11.2dB、偏波依存損失は0.2dBと非常に低損失であり、実用に供せる低損失化が実現できた。
【0020】
〔実施例2〕
実施例1と同じ材料、同じプロセスにより、1×8スプリッター光回路を作製した。コアの寸法は8μm×8μm、d1=0.5μm、d2=0μm、g1=3μm、g2=0μmとした。1.3μmの光を通して損失を測定したところ、挿入損失は11.5dB、偏波依存損失は0.3dBと低損失であり、実施例1よりは損失が増加したが、実用に供せる低損失化が実現できた。
【0021】
〔比較例1〕
実施例1と同じ材料、同じプロセスにより、コアの寸法は8μm×8μm、d1=d2=0μm、g1=g2=0μmとした。1.3μmの光を通して損失を測定したところ、挿入損失は14.3dB、偏波依存損失は1.3dBであり、分岐合波光導波路デバイスとしては損失が大きく不適なものであった。
【0022】
〔比較例2〕
実施例1と同じ材料、同じプロセスにより、コアの寸法は8μm×8μm、d1=d2=0.5μm、g1=g2=0μmとした。1.3μmの光を通して損失を測定したところ、挿入損失は14.8dB、偏波依存損失は1.2dBであり、分岐合波光導波路デバイスとしては不適なものであった。
【0023】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、低損失で、作製の容易性および再現性を兼ね備えた、変曲点を有する光導波路デバイスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、従来のY分岐光導波路回路の構成を示すものである。
【図2】図2は、本発明におけるにおける変曲点と間隙を有する光導波路デバイスを示すものである。
【符号の説明】
1 主導波路
2 テーパ導波路
3、4 分岐導波路
5、6 出力導波路
a 変曲点部
d1、d2 軸ずれ幅
g1、g2 間隙
Claims (3)
- 変曲点を有する光導波路デバイスにおいて、変曲点に軸ずれを設け、かつ軸ずれ部に間隙を設けることを特徴とする光導波路デバイス。
- 請求項1記載の光導波路デバイスが、主導波路、テーパ導波路、分岐導波路を順に接続してなる光導波路であり、分岐導波路が変曲点を有している分岐合波光導波路デバイス。
- 光導波路材料が樹脂材料であることを特徴とする請求項1記載の光導波路デバイス。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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