JP2004138577A - 蛋白質の固定化方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】低級アルコールと、ハロゲノカルボン酸及び/又は長鎖アルキル硫酸塩の共存下で、蛋白質を、疎水性表面を有する固相と接触させることを特徴とする、当該蛋白質の当該固相への固定化方法及びそれに用いる固定化用試液。該固定化方法により蛋白質が固定化された固相に蛋白質染色液を接触させ、それにより生じた発色の程度に基づいて行うことを特徴とする、蛋白質の定量方法並びに該固定化方法により蛋白質が固定化された固相を用いることを特徴とする、イムノブロッティング方法。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固相への蛋白質の新規な固定化方法、それを用いた蛋白質の定量方法、イムノブロッティング方法並びに蛋白質固定化用試液に関する。
【0002】
【従来の技術】
蛋白質の定量は、従来、溶液内で蛋白質の化学的反応性の高い部分と蛋白質反応試液とを反応させたり[Lowry,O.H.et al., J.Biol.Chem., 193: 265−275 (1951)、Smith,P.K. et al., Anal.Biochem., 150:76−85 (1985)]、蛋白質と特異的に吸着する色素試液と反応させることで[Bradford,M., Anal.Biochem., 72: 248−254 (1976)、Watanabe,N. et al., Clin.Chem., 32:1551−1554 (1986)]、溶液の吸光度を変化させ、その吸光度変化に基づいて測定する方法、いわゆる液相法が主流であった。しかしながら、生化学的サンプルには、通常、蛋白質の他、非蛋白質性生体成分や緩衝剤、塩類、酸化防止剤、キレート剤、糖類、有機溶媒、人工ポリマー、界面活性剤等多数の物質が共存しており、多くのサンプルでは、これらの共存物質が原因となって蛋白質と蛋白質測定試液の相互作用(反応・結合)を阻害し、正確な蛋白質の測定ができない場合が多々ある。そこで、蛋白質を膜等の固相面に吸着させ、上記共存物質のような蛋白質測定に対する阻害物質を洗い流し、固相面に滞留した蛋白質を蛋白質測定試液で反応させ定量する方法、いわゆる固相化法が開発された[Kuno, H. et al., Nature, 215:974−975 (1967)、Gates,R., Anal.Biochem., 196:290−295 (1991)、Said−Fernandez,S.et al., Anal.Biochem. 191:119−126 (1990)、Ghosh,S. et al., Anal.Biochem. 169:227−233 (1988)、Lim,M.K. et al., BioTechniques 21:888−895 (1996)]。
【0003】
しかしながら、これらの蛋白質の膜固定化方法は、阻害物質を除去することはできるが、一定の割合で蛋白質を膜に固定化することができず、やはり正確な蛋白質の定量を行えないため、問題解決には至っていない。
【0004】
一方で、蛋白質の固定化法として蛋白質変性・チャージ中和作用のあるトリクロロ酢酸や酢酸溶液、酢酸/メタノール溶液を夫々固定化溶液として用いる方法が古くから行われている。しかし、蛋白質によっては十分な固定化ができない場合があるため、蛋白質の測定を定量的に行えない。そのため、新たな蛋白質の固定化/定量方法の開発が望まれている現状にあった。
【0005】
【非特許文献1】
Lowry,O.H. et al.,J.Biol.Chem.,193,265−275(1951), 第266頁〜第270頁)
【非特許文献1】
Smith,P.K. et al.,Anal.Biochem.,150,76−85 (1985), (第77頁〜第80頁)
【非特許文献1】
Bradford,M.,Anal.Biochem.,72, 248−254(1976), (第249頁〜第251頁)
【非特許文献1】
Watanabe,N.et al.,Clin.Chem.,32,1551−1554(1986), (第1551頁〜第1552頁)
【非特許文献1】
Kuno,H.et al.,Nature,215,974−975(1967), (第975頁)
【非特許文献1】
Gates,R.,Anal.Biochem.,196,290−295(1991), (第291頁〜第294頁)
【非特許文献1】
Said−Fernandez,S.et al.,Anal.Biochem.,191,119−126(1990), (第120頁〜第122頁, 第125頁)
【非特許文献1】
Ghosh,S.et al.Anal.Biochem.,169,227−233(1988), (第229頁, 第232頁)
【非特許文献1】
Lim,M.K.et al.,BioTechniques,21,888−895(1996), (第889頁〜第890頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した如き状況に鑑みなされたもので、従来の固相化法では容易に固定化できなかった試料中の蛋白質を固相に固定化でき、且つ試料中に共存する阻害物質の影響を軽減して蛋白質の定量的測定/検出を行うことができる固定化方法、それを用いた蛋白質の定量方法、イムノブロッティング方法並びに蛋白質固定化用試液を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決する目的でなされたものであり、以下の構成よりなる。
(1)低級アルコールと、ハロゲノカルボン酸及び/又は長鎖アルキル硫酸塩の共存下で、蛋白質を、疎水性表面を有する固相と接触させることを特徴とする、当該蛋白質の当該固相への固定化方法。
(2)上記(1)の方法により蛋白質が固定化された固相に蛋白質染色液を接触させ、それにより生じた発色の程度に基づいて行うことを特徴とする、蛋白質の定量方法。
(3)上記(1)の方法により蛋白質が固定化された固相を用いることを特徴とする、イムノブロッティング方法。
(4)低級アルコールと、ハロゲノカルボン酸及び/又は長鎖アルキル硫酸塩とを含有する、蛋白質固定化用試液。
【0008】
即ち、本発明者等は、従来の固相化法では蛋白質の固定化が旨く行かない要因について検討を行ったところ、その最大の要因は、蛋白質を固相に固定化する段階で、目的の蛋白質を充分に(一定の割合で)固相に固定化できないために、蛋白質の定量的な測定が行えないのだということを見出した。
【0009】
そこで、固定化を効率よく行う方法について更に検討を行った結果、エタノール等の低級アルコール類と、トリクロロ酢酸等のハロゲノカルボン酸の共存下に蛋白質の固定化を行うと、固相に蛋白質を充分に固定化できることを見出した。
【0010】
また、界面活性剤のうち、長鎖アルキル硫酸塩が蛋白質の固定化にユニークな特性を持つことを見出した。即ち、長鎖アルキル硫酸塩を低級アルコール、又は更にハロゲノカルボン酸が存在する条件下で蛋白質の固定化を行うと、蛋白質の吸引・ろ過を行う過程で、蛋白質に何らかの影響を及ぼし、その結果、蛋白質の膜吸着を促進し安定化する一方、阻害物質等の共存物質を膜固相面から排除するように働く(阻害物質の膜滞留を抑える)ことが明らかとなった。長鎖アルキル硫酸塩のこうした働きは、蛋白質含有固定化用試料溶液をマイクロプレートウエル等の固相面に静置した場合でも起こり得る。
【0011】
一般的に非イオン性界面活性剤等の界面活性剤は、疎水性物質の吸着を阻害する性質を有しており、一方、蛋白質と膜の結合は疎水結合によると考えられている。そのため、これまで界面活性剤が蛋白質の固定化時に好んで用いられることはなく、それ故に界面活性剤の持つ蛋白質に対する作用と、作用を受けた蛋白質の固相面に対する相互作用を詳細に論じた報告は殆ど無い。そのため、界面活性剤である長鎖アルキル硫酸塩が、蛋白質の固定化に有効であるということは今まで知られていなかった。
【0012】
従って、長鎖アルキル硫酸塩を、従来から蛋白質固定化に用いられていた低級アルコール類、及びハロゲノカルボン酸と共存させることで、蛋白質を充分に固相に固定化できるということは、本発明者らが初めて見出したことである。更に、従来の固相法では界面活性剤が共存する試料中の蛋白質を効率よく固定化することができなかったため、蛋白質の定量も行えなかったが、本発明の固定化法によれば、そのような試料中の蛋白質も効率よく固定化することができ、極めて有効な、利用価値の高い蛋白質固定化方法を完成した。
【0013】
尚、本発明に於いて、蛋白質の固定化法という場合、蛋白質を固相に固定化する方法をいい、固相法による蛋白質の測定又は定量という場合は、本発明に係る固定化方法で蛋白質を固相に固定化した後、蛋白質の測定又は定量を行うことを意味する。
【0014】
本発明に係る低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール等が挙げられ、中でもエタノール又はメタノールが好ましい。
【0015】
本発明に係るハロゲノカルボン酸のハロゲン原子としては、臭素、フッ素、塩素等が挙げられ、中でも塩素が好ましい。カルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸等が挙げられ、中でも酢酸が好ましい。このようなハロゲノカルボン酸としては、例えばトリクロロ酢酸(TCA)、トリフロロ酢酸(TFA)等が挙げられる。
【0016】
本発明に係る長鎖アルキル硫酸塩の長鎖アルキル基としては、炭素数7〜25のものが好ましく、中でも8〜15が好ましい。より好ましくはドデシル基である。また、硫酸塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等が好ましく、中でもナトリウム塩が好ましい。このような長鎖アルキル硫酸塩の具体例としては、例えばドデシル硫酸ナトリウム(SDS)等が挙げられ、中でもSDSが好ましい。
【0017】
本発明に係る固定化方法に於いて、蛋白質を低級アルコールと、ハロゲノカルボン酸及び/又は長鎖アルキル硫酸塩と共存させる方法としては、蛋白質を、疎水性表面を有する固相と接触させる際に、当該蛋白質が低級アルコールと、ハロゲノカルボン酸及び/又は長鎖アルキル硫酸塩と共存している状態にできるものであれば、どのような方法でも良い。
【0018】
例えば、(1)蛋白質を含有する試料と、低級アルコールを含有する溶液と、ハロゲノカルボン酸を含有する溶液及び/又は長鎖アルキル硫酸塩を含有する溶液を混合する方法、(2)蛋白質を含有する試料と、低級アルコールと、ハロゲノカルボン酸及び/又は長鎖アルキル硫酸塩を直接混合する方法等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0019】
低級アルコールを含有する溶液、長鎖アルキル硫酸塩を含有する溶液及びハロゲノカルボン酸を含有する溶液を調製する際に用いられる溶液としては、例えば精製水、緩衝液等が挙げられ、緩衝液を構成する緩衝剤としては、例えばMOPS,HEPES等のグッド緩衝剤、トリス(Tris)緩衝剤、リン酸緩衝剤、ベロナール緩衝剤、ホウ酸緩衝剤等、通常この分野で用いられている緩衝剤が挙げられるが、なるべく蛋白質の固定化や測定に対する影響を回避するために、精製水を用いるのが好ましい。
【0020】
蛋白質と疎水性表面を有する固相とを接触させる固定化用試料中の各試薬の好ましい濃度としては、低級アルコール濃度が30〜50 V/V%、ハロゲノカルボン酸濃度が0.08〜10W/V%、長鎖アルキル硫酸塩濃度が0.1〜1W/V%である。
【0021】
本発明に係る疎水性表面を有する固相としては、例えば疎水性表面を有する膜、疎水性表面を有するプレート等が挙げられる。疎水性表面を有する膜の具体例としては、例えば疎水性膜であるポリビニリデンジフロライド膜(PVDF膜)、ニトロセルロース膜、濾紙等が挙げられ、疎水性表面を有するプレートの具体例としては、例えば通常ELISA等でよく用いられるプラスッチックプレート等が挙げられる。
【0022】
蛋白質を、疎水性表面を有する固相と接触させる方法としては、上記方法により調製した、蛋白質と、低級アルコールと、ハロゲノカルボン酸及び/又は長鎖アルキル硫酸塩を含有する固定化用試料を、当該疎水性表面を有する固相と接触させればよい。例えば固定化用試料を当該固相上に滴下する、塗布する等の方法がある。
【0023】
当該固相として疎水性膜を用いる場合には、当該疎水性膜上に当該固定化用試料を滴下等した後、静置して当該疎水性膜に当該固定化用試料を浸透させるか、又は固定化用試料を、当該疎水性膜を通して吸引濾過する、通常のフィルトレーション法、或いは遠心濾過法による方法を用いれば良い。
【0024】
フィルトレーション法による蛋白質の固定化方法を、市販のドットブロッターもしくはスロットブロッターを用いる方法を例に挙げて具体的に説明すると、以下の通りである。
【0025】
まず、メタノール、次いで蒸留水に浸したPVDF膜等の疎水性膜及び要すればその上に蒸留水に浸した濾紙となるようにドットブロッターにセットする。次に、一定量の蛋白質と低級アルコール、長鎖アルキル硫酸塩及び/又はハロゲノカルボン酸を含有する固定化用試料(最大400μL)をドットブロッターのウェルにアプライし、真空ポンプで、約15Kpa程度の引圧でゆっくり吸引する(フィルトレーションする)と、固定化用試料中の蛋白質はPVDF膜に吸着される。固定化試料を完全に吸引した後、洗浄液を各ウェルにアプライし、吸引する。次いで、ドットブロッターからPVDF膜を取り出し、ペーパータオル、濾紙等の上に乗せ、約30分以上かけて真空乾燥を行う。
【0026】
蛋白質が吸着し易いか否かは、その蛋白質の疎水性と固相膜面の疎水性の関係により決まる。例えばその条件下で吸着し易い蛋白質は、速く吸引した場合も十分吸着されるが、中程度もしくは弱い吸着性しか示さない蛋白質の吸着の程度は吸引速度に大きく影響される。従って、目的の蛋白質を十分吸着させるためには、一般にゆっくり吸引することが好ましい。例えば10分以上をかけて吸引することが好ましい。
【0027】
当該固相として、疎水性表面を有するプレートを用いる場合には、例えば当該プレート上に当該固定化用試料を滴下又は塗布等した後、静置して自然乾燥させる方法等を行えばよい。
【0028】
蛋白質の定量を行うには、蛋白質を固定化した固相を通常の蛋白質定量方法に付し、試料中の蛋白質量を測定すればよい。
【0029】
本発明に係る蛋白質の定量方法としては、上記方法により蛋白質を固相に固定化させた後、蛋白質染色液として例えばアミノブラック、ピロガロールレッド‐モリブデン酸複合体(Pyromolex)溶液を用いた方法、クマシーブリリアントブルー (CBB)−G250を用いたブラッドフォード法、ビシンクロニニック酸(BCA)を用いた方法等によって染色を行い、生じた発色の程度を測定することによって行う、自体公知の蛋白質測定方法によって測定を行えばよい。
【0030】
実際の定量には、測定しようとする蛋白質毎に、蛋白質濃度既知の蛋白質試料を用いて同様に固定化、染色、測定を行い、検量線を作成しておく。そして、その検量線をもとに、試料中の蛋白質濃度を決定する。
【0031】
例えば、Pyromolex発色法による定量方法を例にとって説明すると、先ず、蛋白質試料中の蛋白質を本発明の方法によりPVDF膜に固定化させた後、PVDF膜を精製水又はPBS等の緩衝液で洗浄する。要すれば室温で30分程度真空乾燥させた後、Pyromolex含有染色試液に20〜35分程度浸漬させて、発色させる。その後、デンシトメーター、CCDカメラ等により600nmの吸光度を測定する。得られた吸光度を、予め濃度既知の蛋白質試料を用いて同様に蛋白質の固定化、測定を行って得られた検量線から、蛋白質の濃度を決定すればよい。
【0032】
本発明に係るイムノブロッテイング方法としては、本発明の方法によって固相に蛋白質を固定化させる以外は、当該蛋白質に対する抗体や標識抗体を用いて抗原抗体反応による当該蛋白質の測定/検出を行う、通常のイムノブロッティング方法が適用できる。本発明に係る固定化方法を行えば、蛋白質を効率的に固相に固定化できるので、本発明に係るイムノブロッテング方法によれば、従来よりも感度よく蛋白質の検出及び分析を行うことができる。
【0033】
本発明の固定化方法によって固定化できる蛋白質は、従来の固相化法によって固定化されていた蛋白質は全て挙げられるが、例えば血液、血清、血漿、髄液等の各種体液や尿、リンパ球、血球、細胞類等の生体由来の試料中に含まれる蛋白質が挙げられる。
【0034】
具体的には、例えばリゾチーム,チトクロームc、DNase等の酵素、IgG、IgM、IgE等の抗体、フィブリノーゲン等の糖蛋白質、ウシ血清アルブミン(BSA),ヒト血清アルブミン(HAS)等の血清蛋白質、卵白アルブミン(OVA),プリオン等の蛋白質、トリプシンインヒビター等のインヒビター、インシュリン等のホルモン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
尚、本発明は、例えば従来の固相化法では固相に充分固定化できなかったチトクロームc等の塩基性蛋白質をも固定化することができ、蛋白質の定量を行える点で、特に有効である。
【0036】
本発明に係る蛋白質の固定化方法に於いて、固相に固定化できる蛋白質の濃度上限は、例えば、固相が膜の場合約500μg/cm2程度、固相がマイクロプレートの場合約10μg/cm2程度であるので、固定化用試料中の蛋白質の量は、固定化する固相の種類に応じて、その最大保持能を超えないように、調製することが望ましい。
【0037】
本発明に係る蛋白質固定化用試液としては、本発明に係る低級アルコールと、ハロゲノカルボン酸及び/又は長鎖アルキル硫酸塩とを含有していればよく、その具体例は前記したとおりである。
【0038】
また、蛋白質固定化用試液中の低級アルコールの濃度は、蛋白質を固相に固定化する際に30〜50V/V%になるような濃度、ハロゲノカルボン酸の濃度は0.1〜10W/V%になるような濃度、長鎖アルキル硫酸塩の濃度は、0.1〜1W/V%になるような濃度であればよい。より好ましくは、低級アルコールは35〜50V/V%、ハロゲノカルボン酸は0.5〜5W/V%、長鎖アルキル硫酸塩は0.1〜0.4W/V%、である。
【0039】
更に、本発明に係る蛋白質固定化用試液には、蛋白質の固相への固定化、またそれに続く蛋白質の定量に影響を及ぼさないものであれば、その他に塩類、キレート等を含有していてもよい。
【0040】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらにより何等限定されるものではない。
【0041】
【実施例】
実施例1.
[試料及び試液の調製]
(1)蛋白質試料
卵白アルブミン(以下、OVAと略記する。ニワトリ卵白由来、和光純薬工業(株)製)、ヘモグロビン(ウシ血液由来、和光純薬工業(株)製)、IgG(ウシ由来、和光純薬工業(株)製)、チトクロームc(ウマ心筋由来、和光純薬工業(株)製)、リゾチーム(ニワトリ卵白由来、和光純薬工業(株)製)、を夫々秤量し、精製水に溶解して250μg/mL溶液としたものを蛋白質試料として用いた。
【0042】
(2)固定化用試液
各試薬を精製水に溶解して、下記の固定化用試液を調製した。この中で固定化用試液3〜5が、本発明に係る固定化用試液である。
尚、各試薬は、エタノール(和光純薬工業(株)製、特級)、トリクロロ酢酸(以下、TCAと略記する。和光純薬工業(株)製、化学用)、ドデシル硫酸ナトリウム(以下SDSと略記する。和光純薬工業(株)製、化学用)を用いた。
対照 :精製水
固定化用試液1:0.2 W/V % SDS、
固定化用試液2:0.2 W/V % SDS、2.5W/V% TCA
固定化用試液3:0.2 W/V % SDS、45V/V% エタノール
固定化用試液4:0.2 W/V % SDS、2.5W/V% TCA、45V/V% エタノール
固定化用試液5:2.5W/V% TCA、45V/V% エタノール
(3)固定化用試料
蛋白質試料20μL(蛋白質5μg)と、所定の固定化用試液300μLとを混合したものを調製し、固定化用試料とした。固定化用試料中の各試薬の終濃度(PVDF膜と接触させる際の濃度。以下同じ。)は、夫々下記の通りである。
固定化用試料1:0.19 W/V % SDS、
固定化用試料2:0.19 W/V % SDS、2.34W/V% TCA
固定化用試料3:0.19 W/V%SDS、42.2V/V%エタノール
固定化用試料4:0.19 W/V % SDS、2.34W/V% TCA、42.2V/V% エタノール
固定化用試料5:2.34W/V% TCA、42.2V/V% エタノール
【0043】
[蛋白質の固定化及び測定]
ドットブロッター ADVANTEC DP−96(アドバンテック製)に親水化処理したポリビニリデンジフロライド膜(PVDF膜、ミリポア製、イモビロンPSQ 0.1μm)をセットした。次にPVDF膜に固定化用試料320μLをアプライし、真空ポンプ(バイオクラフト社製)にて、15KPa(10cmHg)で10分間吸引濾過した。次いでpH7.4リン酸緩衝食塩水(PBS) 300μLをアプライし、同様に吸引濾過して、PVDF膜を洗浄した。PVDF膜を取り出し真空乾燥させた後、Pyromolex試液(Protein Assay Rapid Kit wako、和光純薬工業(株)製)で発色させ、次いでデンシトメーター SHIMADZU CS−9000((株)島津製作所 製)で600nmの吸光度(シグナル強度)を測定した。
【0044】
[結果]
結果を図1に示す。図1に於いて、各バーは下記固定化用試料を用いた場合の結果を夫々示す。
【0045】
図1から明らかなように、試薬としてSDSのみを含有する固定化用試料1を膜に固定化させた場合は、シグナル強度が全く測定できなかった(固定化用試料1)。また、SDSとTCAを含有する固定化用試料2を用いた場合は、少しシグナル強度が強くなった(測定できた)が、対照(精製水を用いた場合、従来の固定化法)ほど高いシグナル強度は得られなかった。
これに対し、SDSとエタノールを含有する固定化用試料3を用いた場合は、対照と同等若しくはそれ以上のシグナル強度が得られた。
また、TCAとエタノールを含有する固定化用試料5を用いた場合は、チトクロームcを固定化した場合以外は、すべて対照と比較して遙かに高いシグナル強度が得られた。
更に、TCAとエタノールとSDSを含有する固定化用試料4を用いた場合には、チトクロームcを固定化した場合も含めて、全ての場合で対照と比較して遙かに高いシグナル強度が得られた。
以上のことより、低級アルコールとハロゲノカルボン酸及び/又は長鎖アルキル硫酸塩の共存下で行う本発明に係る固定化法によれば、従来の水や緩衝液だけを用いて行っていた固定化法と比較して、膜への蛋白質の固定化率を飛躍的に向上させることができることが判る。
また、固定化用試料3及び4で、対照と同程度又はそれより高いシグナル強度が測定できたことから、本発明の固定化法によれば、予めSDS等を含有する試料を用いても、蛋白質を固定化することができることが判る。
【0046】
実施例2.
[試料及び試液の調製]
(1)蛋白質試料
リゾチーム、チトクロームc、IgG、フィブリノーゲン(ヒト血漿由来、和光純薬工業(株)製)、BSA(牛血清アルブミン、和光純薬工業(株)製)、OVA、トリプシンインヒビター(大豆由来、和光純薬工業(株)製)、ヘモグロビンを夫々秤量し、精製水に溶解して250μg/mL溶液としたものを蛋白質試料として用いた。
尚、これらの蛋白質は等電点pIが4.0−11.4の幅広い範囲にあり、分子量は12000−150,000と広範囲のものである(久保ら,蛋白質 生化学ハンドブック,丸善株式会社,54−73 (1984)参照)。
(2)固定化用試液
2.5 W/V% TCA、45 V/V% エタノール、及び所定濃度(0〜0.4W/V%)のSDSを含有するように、精製水に溶解して調製したものを固定化用試液として用いた。
(3)固定化用試料
所定の蛋白質試料20μL(蛋白質量5μg)と固定化用試液300μLとを混合したものを調製し、固定化用試料とした(TCA終濃度2.34W/V%、エタノール終濃度42.2V/V%)。
[蛋白質の固定化及び測定]
実施例1と同様の方法で、各固定化用試料中の蛋白質をPVDF膜に固定化し、洗浄、染色処理し、次いでデンシトメーターで600nmの吸光度(シグナル強度)を測定した。
【0047】
(結果)
結果を図2に示す。
図2に於いて、−△−はリゾチーム、−−−はチトクロームc、−○−はIgG、−□−はフィブリノーゲン、−●−はBSA、−◆−はOVA、−◇−はトリプシンインヒビターを含有する蛋白質試料を用いた場合の結果を夫々示す。また、横軸は固定化用試液中のSDS濃度を示す。更に、図2中の、各ポイントのバーは、±SDを示す。
図2から明らかな如く、殆どの蛋白質でSDS共存下にPVDF膜に固定化させると、一旦シグナル強度が増加するが、SDS濃度が0.1W/V%以上になるとシグナル強度がある一定の値を示す傾向を示した。このことから、固定化用試液中のSDS濃度を0.1W/V%以上(固定化用試料中の終濃度0.09W/V%以上)とすることにより、試料中の蛋白質のPVDF膜への固定化率が一定となると考えられる。
また、データのバラツキを示すCV値(CV値=標準偏差/平均値(%))についてみると、どの蛋白質も固定化用試液中のSDS濃度が0.1 W/V%より低い濃度では、CV値が大きく、シグナル強度が安定していないことが分かる。それに対し、固定化用試液中のSDS濃度が0.1W/V%以上の場合は、CV値が比較的小さく、上述したようにこの濃度範囲でシグナル強度の値が安定であることが示されている。この結果は、試料中の蛋白質の固相膜に固定化される量を示していると考えられる。また、データは示していないが、この結果は再現性があることを確認している。一般に、SDS等の長鎖アルキル硫酸塩は、0.0025 W/V%といったかなりの低濃度でも蛋白質の構造崩壊作用を示し、構造崩壊の程度により蛋白質結合(染色)色素に対する反応性に違いを生ずるといわれている(Orsonneau, J−L et al., Clin.Chem., 35, 2233−2236 (1989))。従って、ここでも、それが要因となって、SDS濃度が0.1 W/V%より低い固定化溶液を用いた場合で、シグナル強度が上昇する等の急激な変化を示し、且つ、それが変化の途中過程にあるため、CV値(<15%)が大きくなったと推察される。また、このことは、0.1 W/V%より低いSDS濃度条件下では、試料中の蛋白質のPVDF膜への固定化率が変動している(一定でない)可能性をも示唆している。
【0048】
以上のことより、図2に於いて、SDSの濃度変化の影響を受けずに吸光度(シグナル強度)が安定した時、始めて蛋白質のPVDF膜への固定化率が一定になっているのではないかと推察された。
そこで、図2の結果を基に、蛋白質試料としてBSAを用い、0.1 W/V% SDSを含有する固定化用試液で固定化した後測定を行った場合のシグナル強度を100(基準値)とした。そして、基準値に対する、その他の各蛋白質を蛋白質試料として用い、0.1W/V%SDS、0.2 W/V%SDS、0.3 W/V%SDS又は0.4 W/V%のSDS固定化用試液を用いて同様に固定化及び測定を行って得られたシグナル強度の相対値を夫々算出した。
【0049】
表1に、SDS濃度が0.2W/V%〜0.4W/V%まで変化するまで、表2にはSDS濃度が0.1W/V%〜0.4W/V%まで変化するまでの、各ポイントのCV値を平均化した値(平均CV値(%))、各ポイントの相対値の平均値、そのポイント間の絶対偏差を平均した値(平均絶対偏差)、平均絶対偏差をその平均値で割りパーセント表示した値(ポイント間変動率(%))を夫々示す。ポイント間変動率とは、SDS濃度変化に伴うシグナル強度の変化を変動率として算出した値のことで、この数字が小さいほど、SDS濃度に影響されずにシグナル強度(測定結果)が一定であることを示している。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
その結果、表1より、SDS濃度が0.2 W/V%−0.4W/V%間で、例えばフィブリノーゲン、OVA、IgG、チトクロームcは、そのポイント間変動率が最も安定し、1.4−2.7%を示した。また、これら蛋白質の平均CV値(0.8−1.9%)と比較しても遜色ない結果であり、SDS濃度が変化してもシグナル強度の変動が非常に少ないことを示している。
また、表2より、フィブリノーゲンを除く3つの蛋白質は、SDS濃度が0.1−0.4W/V%の間でもポイント間変動率が2.3−3.3%であり、SDS濃度の影響によるシグナル強度の変動が少ないことがわかる。
また、SDS濃度が0.1−0.4 W/V%の間でポイント間変動率が10%を超えるフィブリノーゲン、リゾチーム、BSAについても、SDS濃度を0.2−0.4W/V%に限定すると安定した結果が得られることが判る。
以上のことより、SDS濃度が0.1W/V%以上でポイント間変動率が安定してくることから、この濃度範囲のSDSを含有する固定化用試液を用いて、蛋白質を固定化すると、試料中の蛋白質量の正確な定量が行えることが判る。
【0053】
実施例3.低級アルコールの検討
低級アルコールとしてエタノールの代わりにメタノールを用いた場合の蛋白質試料の固定化及び測定を行った。
[試料及び試液の調製]
【0054】
(1)蛋白質試料
BSA、OVA、ヘモグロビン、IgG、チトクロームc、リゾチームを夫々秤量し、精製水に溶解して250μg/mL溶液としたものを蛋白質試料として用いた。
(2)固定化用試液
精製水を用いて下記固定化用試液を調製した。
固定化用試液1:0.2 W/V% SDS、2.5 W/V% TCA
固定化用試液2:0.2 W/V% SDS、2.5 W/V% TCA、45% エタノール
固定化用試液3:0.2 W/V% SDS、2.5 W/V% TCA、45% メタノール(和光純薬工業(株)製、特級)
(3)固定化用試料
蛋白質試料20μL(蛋白質量5μg)と、所定の固定化用試液300mLとを混合したものを調製し、固定化用試料1,2,3とした。固定化用試料中の各試薬の終濃度は、夫々SDS 0.19W/V%、TCA 2.34W/V%、エタノール 42.2V/V%、メタノール 42.2V/V%である。
[蛋白質の固定化及び測定]
実施例1と同様の方法で、各固定化用試料中の蛋白質をPVDF膜に固定化し、洗浄、染色処理し、次いでデンシトメーターで600nmの吸光度(シグナル強度)を測定した。
【0055】
[結果]
結果を図3に示す。図3に於いて、各バーは夫々下記固定化用試料を用いた場合の結果を示す。
【0056】
図3から明らかな如く、メタノールを含有する固定化用試液を用いて調製した固定化用試料を用いた場合も、エタノールを用いた場合と同程度のシグナル強度が得られ、蛋白質をPVDF膜に固定化することができたことが判る。
【0057】
実施例4.ハロゲノカルボン酸の検討
ハロゲノカルボン酸として、TCAの代わりにトリフルオロ酢酸(以下、TFAと略記する。)を用いた場合の蛋白質試料の固定化及び測定を行った。
[試料及び試液の調製]
(1)蛋白質試料
BSA、IgG、リゾチームを夫々秤量し、精製水に溶解して250μg/mL溶液としたものを蛋白質試料として用いた。
(2)固定化用試液
精製水を用いて、下記固定化用試液を調製した。
【0058】
固定化用試液1:0.2 W/V% SDS、45 V/V% エタノール
固定化用試液2:0.2 W/V% SDS、45 V/V% エタノール、2.5 W/V% TCA
固定化用試液3:0.2 W/V% SDS、45 V/V% エタノール、2.5 W/V% TFA(和光純薬工業(株)製)
(3)固定化用試料
蛋白質試料20μL(蛋白質量5μg)と、所定の固定化用試液300mLとを混合したものを調製し、固定化用試料1,2,3とした。固定化用試料中の各試薬の終濃度は、夫々SDS 0.19W/V%、TCA 2.34W/V%、TFA 2.34W/V%、エタノール 42.2V/V%である。
[蛋白質の固定化および測定]
実施例1と同様の方法で、各固定化用試料中の蛋白質をPVDF膜に固定化し、洗浄、染色処理し、次いでデンシトメーターで600nmの吸光度(シグナル強度)を測定した。
【0059】
[結果]
結果を図4に示す。図4に於いて、各バーは夫々下記固定化用試料を用いた場合の結果を示す。
【0060】
図4から明らかな如く、TFAを含有する固定化用試試液用いて調製した固定化用試料を用いた場合も、TCAを用いた場合と同程度又はそれ以上のシグナル強度が得られ、蛋白質を有効に膜に固定化することができたことが判る。
【0061】
実施例5.検量線の作成
[試料及び試液の調製]
(1)蛋白質試料
OVAを0〜20μg/20μLとなるように精製水に溶解して蛋白質試料とした。
(2)固定化用試液
0.2 V/V% SDS、2.5 V/V% TCA、45 V/V% エタノールとなるように精製水に溶解して調製したものを固定化用試液として用いた。
(3)固定化用試料
蛋白質試料20μL(蛋白質量5μg)と、固定化用試液300μLとを混合したものを調製し、固定化用試料とした。固定化用試料中の各試薬の終濃度は、夫々SDS 0.19W/V%、TCA 2.34W/V%、エタノール 42.2V/V%である。
[蛋白質の固定化及び測定]
実施例1と同様の方法で、各固定化用試料中の蛋白質をPVDF膜に固定化し、洗浄、染色処理し、次いでデンシトメーターで600nmの吸光度(シグナル強度)を測定した。
【0062】
[結果]
その結果を基に、蛋白質量(μg)とシグナル強度との関係を示す検量線を作成した。
結果を図5に示す。図5に於いて、各プロットのバーは、±2SDを示す。
検量線から得られた結果は、測定範囲0.2−20μg/蛋白質試料、一致係数0.99以上、平均CV1.9%であった。
また、蛋白質濃度0.2−5μg/蛋白質試料の範囲で、直線性が得られた。測定結果を統計処理して得られた、この範囲での回帰直線式及び相関係数は下記の通りである。
回帰直線式:y=0.12x+0.01
相関係数(R2):0.99
x:蛋白質量
y:シグナル強度
図5から明らかな如く、本発明の方法によりOVAをPVDF膜に固定化し、蛋白質量の測定を行ったところ、良好な直線性を示す検量線が得られるので、本発明の固定化方法によれば、高精度のOVA(蛋白質)濃度の定量測定が行えることが判った。
尚、データは示していないが、実施例2で測定した他の蛋白質についても同様に測定を行った結果、OVAと同様に直線性のある検量線が得られ、これらの蛋白質についても定量測定が行えることが判った。
【0063】
実施例6.
[試料及び試液の調製]
(1)蛋白質試料
精製水を用いて、BSA、トリプシンインヒビター、フィブリノーゲン、OVA、ヘモグロビン、IgG、チトクロームc、リゾチーム夫々の5μg/20μL溶液を調製し、蛋白質試料とした。
[固相化法による蛋白質の測定]
精製水を用いて0.2W/V%SDS、2.5W/V%TCA、45V/V% エタノールを含有する固定化用試液を調製した。次いで、調製した蛋白質試料20μLと固定化用試液300μLを混合し、得られた固定化用試料320μLを用いて実施例1と同様の方法で固定化用試料中の蛋白質をPVDF膜に固定化、洗浄、染色処理し、次いで、デンシトメーターで600nmの吸光度(シグナル強度)を測定した。固定化用試料中の各試薬の終濃度は、夫々SDS 0.19W/V%、TCA 2.34W/V%、エタノール 42.2V/V%である。
[液相法による蛋白質の測定]
上記で調製した蛋白質試料20μLに、1mL Pyromolex液を添加して、室温で20分間インキュベーションし、600nmの吸光度を測定した。
【0064】
[結果]
蛋白質試料としてBSAを用い、0.2 W/V%SDSを含有する固定化用試料を調製して、BSAを固定化、測定を行った場合の吸光度(シグナル強度)を1(基準値)とした時の、基準値に対する各蛋白質について同様に固定化、測定を行って得られた吸光度の相対値を求めた結果を図6に示す。また、同様に蛋白質試料としてBSAを用い、液相法による測定を行った場合の吸光度を1(基準値)とした時の、基準値に対する各蛋白質について同様に液相法による測定を行って得られた吸光度の相対値を求めた結果も、図6に併せて示す。
尚、図6に於いて、各バーは夫々下記の方法により各蛋白質を測定した結果に基づいて得られた、上記相対値を示す。
【0065】
図6より明らかな如く、液相法による測定では、蛋白質濃度は同じでも、蛋白質の種類によって、BSAに対する吸光度の相対値が大きく異なり、例えばフィブリノーゲンでは、0.46程度であった。
これに対し、本発明の固相法によって測定を行った場合のBSAに対するフィブリノーゲンの吸光度(シグナル強度)の相対値は0.75になり、BSAの場合との吸光度の差が少なくなっていることが判る。これは、測定した殆どの蛋白質についても言える。
また、測定した全蛋白質の平均吸光度の、BSAの場合のそれを1とした場合に対する相対値は、液相法の場合は0.65であるのに対して本発明の固相法の場合は0.94となり、蛋白質種による定量誤差が改善されたことが判る。これはタンパク質が変性状態で膜にトラップされることにより、液相法では反応できなかった、例えばチトクロームc、リゾチーム等の塩基性アミノ酸が、染色液と結合できる状態となり、本発明に係る固定化液で蛋白質が効率良く固定化され、より正確な測定結果を得られるようになったと考えられる。
【0066】
実施例7.
[試料の調製と固定化]
精製水を用いて、IgG試料(蛋白質量0〜4μg/20μL)、及び2%SDS含有IgG試料(蛋白質量0〜4μg/20μL)を調製した。別に精製水を用いて0.25W/V%SDS、2.5W/V%TCA及び45V/V%エタノールを含有する固定化用試液を調製した。次いで、蛋白質試料20μLと固定化用試液300μLを混合し、得られた固定化用試料320μLを用いて実施例1と同様の方法で固定化用試料中の蛋白質をPVDF膜に固定化、洗浄、染色処理し、次いでデンシトメーターで600nmの吸光度(シグナル強度)を測定した。
尚、SDSを含有しないIgG試料を用いて得られた固定化用試料中の各試薬の終濃度は、夫々SDS 0.23W/V%、TCA 2.34 W/V%、エタノール 42.2V/V%である。また、2%SDS含有IgG試料を用いて得られた固定化用試料中の各試薬の終濃度は、夫々SDS 0.36 W/V%、TCA 2.34 W/V%、エタノール 42.2 V/V%である。
【0067】
[結果]
得られた結果を基に、SDSを含有しないIgG試料を用いた場合と、2%SDS含有IgG試料を用いた場合夫々について、蛋白質量(μg)とシグナル強度との関係を示す検量線を作成した。
結果を図7に示す。図7に於いて、―◆―はSDSを含有しないIgG試料を用いた場合、―△―はSDSを含有するIgG試料を用いた場合の結果を夫々示す。また、各プロットのバーは、±SDを示す。
図7より明らかな如く、両方の検量線は、ほぼ一致した。
この結果から、本発明の固定化方法により蛋白質を固定化させれば、SDSが蛋白質試料中に存在していても、それに影響されることなく、目的の蛋白質を固相に固定化させ、蛋白質の定量を行うことができることが判る。
【0068】
実施例8.
SDSを含有する種々の蛋白質試料を用いて本発明に係る蛋白質の固定化及び測定を行い、当該測定に及ぼすSDSの影響を、液相法による測定の場合と比較した。
[試料及び試液の調製]
(1)蛋白質試料
精製水を用いて、0W/V%SDS(対照)、0.2W/V%SDS又は2W/V%SDSを含有する蛋白質試料(BSA、トリプシンインヒビター、フィブリノーゲン、ヘモグロビン、OVA、チトクロームc、リゾチーム、IgG、トリプシン(和光純薬工業(株)製)夫々250μg/mLを調製した。
[固定化法による蛋白質の測定]
精製水を用いて0.1W/V%SDS、2.5W/V%TCA、45V/V%エタノールを含有する固定化用試液を調製した。次いで調製した蛋白質試料20μLと固定化用試液300μLを混合し、得られた固定化用試料320μLを実施例1と同様の方法で固定化、洗浄、染色処理し、デンシトメーターで、600nmの吸光度(シグナル強度)を測定した。[液相法による測定]
上記で調製した蛋白質試料20μLに、1mL Pyromolex液(Protein Assay Rapid Kit wako、和光純薬工業(株)製)を添加して、20分室温でインキュベーションし、600nmに於ける吸光度を測定した。
【0069】
[結果]
得られた結果を、夫々の対照(SDS含有していない試料)を用いて得られた結果を100とした相対値で表し、表3にまとめた。
【0070】
【表3】
【0071】
表3から明らかな如く、本発明に係る固相法による蛋白質の測定を行った場合には、2W/V%SDS含有試料でも殆どの蛋白質で、対照に対し±20%以内の測定結果が得られ、蛋白質試料中のSDSが蛋白質測定に及ぼす影響を回避できたことが判る。
これに対して、2W/V%SDS含有試料を用いて液相法によって測定を行った場合には、全く測定ができなかった。
以上の結果から、本発明の蛋白質の固定化法及び定量方法は、あらゆる蛋白質に適用することができることが判る。また、これまで知られていたタンパク定量阻害剤、特に蛋白質可溶化剤として汎用されるSDS含有試料中の蛋白質定量が可能になった点で、非常に有用でもあることが明らかとなった。
【0072】
実施例9.
試料中に含まれる界面活性剤が、本発明の固定化用試液を用いた固定化方法及び蛋白質の測定に及ぼす影響を調べた。
[固相法による固定化及び蛋白質の測定]
(1)BSA又はIgG含有蛋白質試料中の蛋白質の測定
精製水で、表4記載の濃度となるように、各界面活性剤を含有するBSA試料又はIgG試料(蛋白質量 4μg/20μL)を調製し、蛋白質試料とした。
別に、精製水で0.1W/V%SDS、2.5 W/V% TCA、45 V/V% エタノールを含有する固定化用試液を調製した。
次いで蛋白質試料20μLと固定化用試液300μLを混合して固定化用試料を調製し、その320μLを用いて、実施例1と同様の方法で固定化用試料中の蛋白質をPVDF膜に固定化、洗浄、染色処理し、600nmの吸光度(シグナル強度)を測定した。
固定化用試料中の各試薬の終濃度は、SDSを含有しない蛋白質試料を用いた場合は、SDS 0.094W/V%、TCA 23.4W/V%、エタノール 42.2V/V%である。また、SDS含有蛋白質試料を用いた場合の各試薬の終濃度は、TCA及びエタノールの終濃度はSDSを含有しない蛋白質試料を用いた場合と同じであるが、SDSの終濃度は、1%SDS含有蛋白質試料を用いた場合は0.16W/V%、2%SDS含有試料を用いた場合は0.21W/V%、4%SDS含有試料を用いた場合は、0.34W/V%となる。
【0073】
(2)OVA含有蛋白質試料中の蛋白質の測定
表4記載の濃度となるように、各界面活性剤を含有するOVA試料(蛋白質量 5μg/20μL)を調製し、蛋白質試料とした。
別に、精製水で0.2W/V%SDS、2.5 W/V% TCA、45 V/V% エタノールを含有する固定化用試液を調製し、上記(1)と同様の方法で固定化用試料を調製し、実施例1と同様の方法でPVDF膜に固定化、洗浄、染色処理し、600nmの吸光度(シグナル強度)を測定した。
尚、固定化用試料中の各試薬の終濃度は、SDSを含有しない蛋白質試料を用いた場合は、SDS 0.19W/V%、TCA 23.4W/V%、エタノール 42.2V/V%である。また、2% SDS含有蛋白質試料を用いた場合の各試薬の終濃度は、SDS 0.31W/V%、TCA 23.4%、エタノール 42.2W/V%となる。
また、界面活性剤(阻害物質)を含有しない以外は上記と同様に調製したBSA試料、IgG試料、OVA試料を用いて同様に固定化、測定を行い、対照とした。
[液相法による蛋白質の測定]
表4記載の濃度となるように各界面活性剤を含有するBSA試料(10μg/20μL)を調製したものを用い、1mL Pyromolex溶液を使って、実施例6と同様の方法で測定した。
また、界面活性剤(阻害物質)を含有しない以外は上記と同様に調製したBSA試料を用いて同様に液相法による測定を行い、対照とした。
【0074】
[結果]
夫々の測定は3回ずつ行い、得られた吸光度の平均値を求めた。。対照を用いて得られた平均値を100として、それに対する界面活性剤を含有する試料を用いて得られた吸光度の平均値の相対値(%)を求め、その相関変位(CV)と併せて表4に示す。
表4に於いて、界面活性剤(阻害物質)の濃度は、蛋白質試料中の濃度を示す。また、液相法のデータ中、左側の値は界面活性剤の濃度を、右側の値は対照に対する、界面活性剤を含有する試料を用いた場合の平均測定値の相対値(%)±CVを示す。
尚、表4に示したデータは、界面活性剤の最大許容濃度時のデータ、すなわち、添加剤として界面活性剤を用いた場合に、対照(添加剤なし)と比較して平均値が±20%となる結果が得られた時のデータを示している。
【0075】
【表4】
【0076】
SLS: N−ラウロイルサルコシン酸ナトリウム
Triton X−100(ローム アント゛ ハース社商品名):ホ゜リオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル
NP−40(日本エマルシ゛ョン(株)商品名):ホ゜リオキシエチレン(9)オクチルフェニルエーテル
Tween 20(花王(株)商品名):ホ゜リオキシエチレンソルヒ゛タンモノラウレート
Tween 80(花王(株)商品名):ホ゜リオキシエチレンソルヒ゛タンモノオレエート
Brij 35(ICI社商品名):ホ゜リオキシエチレンラウリルエーテル
CHAPS:3−[(3−コラミト゛フ゜ロヒ゜ル)シ゛メチルアンモニオフ゜ロハ゜ンスルホン酸]
CTAB:セチルトリメチルアンモニウムフ゛ロマイト゛
【0077】
表4から明らかな如く、本発明の方法により蛋白質を固定化し測定した場合、蛋白質試料の調製時に一般に用いられる界面活性剤が高濃度共存していても、それに影響を受けずに蛋白質の測定が可能であることが判る。特に液相法と比較すると、液相法の10倍又はそれ以上の濃度の界面活性剤が蛋白質試料中に添加剤として共存していても、測定可能であることが判る。
以上のことより、本発明の蛋白質の固定化方法は、従来より添加剤として汎用されている界面活性剤に起因する問題、即ち蛋白質の定量を阻害するという問題を解決し得るものであることが判る。
【0078】
実施例10.イムノブロッティング
[試料及び試液の調製]
(1)蛋白質試料
マウスIgG(和光純薬工業(株)製)を秤量し、精製水に溶解して0 ̄200μg/mL溶液としたものを蛋白質試料として用いた。
(2)固定化用試液
精製水で、0.2 W/V% SDS、2.5 W/V% TCA、45 V/V% エタノールを含有する固定化用試液を調製した。
(3)固定化用試料
上記で調製した各濃度の蛋白質試料夫々20μLと、固定化用試液300μLを混合したもの(SDS終濃度0.19W/V%、TCA終濃度2.34W/V%、エタノール終濃度42.2V/V%)を調製し、固定化用試料とした。
(4)ブロッキング溶液
ブロックエース(雪印乳業(株)製)を終濃度25%となるようにPBS(pH7.4)で希釈したものを用いた。
(5)抗体溶液
発光検出用抗体溶液:西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体(アマシャムバイオサイエンス製)をブロッキング溶液で1/10000希釈したものを用いた。
発色検出用抗体溶液:アルカリフォスファターゼ標識抗マウスIgG抗体(和光純薬工業(株)製)をブロッキング溶液で1/1000希釈したものを用いた。
(6)洗浄液
Tween 20を、終濃度0.05%となるようにPBS(pH7.4)で希釈したものを用いた。
(7)検出試薬
発光検出用:ECL Plus Western Blotting Starter Kit(アマシャムハ゛イオサイエンス(株)製)
発色検出用:0.033% ニトロブルーテトラゾリウム(NBT,和光純薬工業(株)製)、0.0165% 5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸(BCIP、和光純薬工業(株)製)/100mM Tris−HCl pH9.5(100mM NaCl、5mM MgCl2含有)
【0079】
[蛋白質の固定化および測定]
実施例1と同様の方法で、上記した如く調製した固定化用試料をPVDF膜にアプライし、吸引濾過後、PBS (pH7.4) 300μLをアプライし、同様に吸引濾過を行った。PVDF膜を取り出し、ブロッキング溶液に浸し、ローテーションさせながら室温で1時間インキュベーションした(ブロッキング操作)。その後、発光検出用抗体溶液又は発色検出用抗体溶液に浸し、ローテーションさせながら室温1時間インキュベーションした(抗体反応)。抗体反応後の膜を洗浄液で5回洗浄した後、発光検出試薬又は発色検出試薬に浸し、検出反応を行った。発光検出は、PVDF膜を発光検出処理後、X線フィルム(アマシャムバイオサイエンス製)に感光させて検出を行った。
【0080】
[結果]
結果を図8に示す。図8に於いて、AはPVDF膜に固定化した蛋白質試料の免疫検出を発光反応により行い、X線フィルムに感光させ検出したものである。Bは、PVDF膜に固定化した蛋白質試料の免疫検出を発色反応により行い、検出したものである。また、各ドットは、蛋白質試料を各蛋白質量として固定化後に検出した場合の結果を夫々示す。
図8より明らかな如く、イムノブロッティングにより発光検出、発色検出した場合の何れも、膜に固定化したマウスIgGを検出することができた。発光検出での検出限界は0.0625μg、発色検出での検出限界は0.5μgであった。従って、本発明の蛋白質の固定化方法により固定化すれば、高感度の免疫検出(イムノブロッティングによる検出)が行い得ることが判った。
【0081】
【発明の効果】
本発明に係る蛋白質固定化方法によれば、従来の固定化方法よりも充分に蛋白質を固相に固定化できる。また、従来の固定化方法では正確に行えなかった蛋白質の定量も行うことができる。更に、本発明に係る蛋白質固定化方法を用いれば、イムノブロッティングを行った際の感度も高くなるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において得られた、各固定化用試料中の蛋白質を固定化したポリビニリデンジフロライド膜(PVDF膜)をPyromolex試液で染色した後、600nmにおける吸光度(シグナル強度)を測定した結果を示す。
【図2】実施例2に於いて得られた、各固定化用試料中の蛋白質を固定化したPVDF膜をPyromolex試液で染色した後、600nmにおける吸光度(シグナル強度)を測定した結果を示す。
【図3】実施例3に於いて得られた、各固定化用試料中の蛋白質を固定化したPVDF膜をPyromolex試液で染色した後、600nmに於ける吸光度(シグナル強度)を測定した結果を示す。
【図4】実施例4に於いて得られた、各固定化用試料中の蛋白質を固定化したPVDF膜をPyromolex試液で染色した後、600nmに於ける吸光度(シグナル強度)を測定した結果を示す。
【図5】実施例5に於いて得られた、蛋白質試料としてOVAを用いて、PVDF膜に固定化、定量を行って得られた検量線を示す。
【図6】実施例6に於いて得られた、固相法により蛋白質を測定した結果又は液相法により蛋白質を測定した結果に基づいて得られた相対値を示す。
【図7】実施例7に於いて得られた、SDSを含有しないIgG試料又はSDS含有するIgG試料を蛋白質試料として用い、本発明に係る固定化、蛋白質の定量を行って得られた検量線を示す。
【図8】実施例10に於いて得られた、イムノブロッティングの結果を示し、AはPVDF膜に固定化した蛋白質試料の免疫検出を発光反応により行い、X線フィルムに感光させ検出したものである。Bは、PVDF膜に固定化した蛋白質試料の免疫検出を発色反応により行い、検出したものである。
【符号の説明】
【符号の説明】
図1に於いて、各バーは夫々下記固定化用試料を用いた場合の結果を示す。
図2に於いて、−△―はリソゾーム、−−−はチトクロームc、−○−はIgG、−◎−はフィブリノーゲン、−●−はBSA、−◆−はOVA、−◇−はトリプシンインヒビターを含有する蛋白質試料を用いた場合の結果を夫々示す。
図3に於いて、各バーは夫々下記固定化用試料を用いた場合の結果を示す。
図4に於いて、各バーは夫々下記固定化用試料を用いた場合の結果を示す。
図6に於いて、各バーは夫々下記の方法により各蛋白質を測定した結果に基づいて得られた、上記相対値を示す。
図7に於いて、−◆−はSDSを含有しない蛋白質試料を用いた場合、−△−はSDSを含有する蛋白質試料を用いた場合の結果を夫々示す。
Claims (19)
- 低級アルコールと、ハロゲノカルボン酸及び/又は長鎖アルキル硫酸塩の共存下で、蛋白質を、疎水性表面を有する固相と接触させることを特徴とする、当該蛋白質の当該固相への固定化方法。
- 低級アルコールとハロゲノカルボン酸と長鎖アルキル硫酸塩の共存下で、蛋白質を、疎水性表面を有する固相と接触させることを特徴とする、請求項1記載の固定化方法。
- 低級アルコールがエタノール又はメタノールである、請求項1又は2記載の固定化方法。
- ハロゲノカルボン酸がトリクロロ酢酸(以下、TCAと略記する。)又はトリフルオロ酢酸(以下、TFAと略記する。)である、請求項1〜3の何れかに記載の固定化方法。
- 長鎖アルキル硫酸塩がドデシル硫酸ナトリウム(以下、SDSと略記する。)である、請求項1〜4の何れかに記載の固定化方法。
- 蛋白質と疎水性表面を有する固相とを接触させる際の低級アルコール濃度が、30〜50 V/V%である、請求項1〜5の何れかに記載の固定化方法。
- 蛋白質と疎水性表面を有する固相とを接触させる際のハロゲノカルボン酸濃度が、0.08〜10 W/V%である、請求項1〜6の何れかに記載の固定化方法。
- 蛋白質と疎水性表面を有する固相とを接触させる際の長鎖アルキル硫酸塩濃度が、0.1〜1 W/V%である、請求項1〜7の何れかに記載の固定化方法。
- 固相が疎水性膜である、請求項1〜8の何れかに記載の固定化方法。
- 請求項1〜9の何れかの方法により蛋白質が固定化された固相に蛋白質染色液を接触させ、それにより生じた発色の程度に基づいて行うことを特徴とする、蛋白質の定量方法。
- 請求項1〜9の何れかの方法により蛋白質が固定化された固相を用いることを特徴とする、イムノブロッティング方法。
- 低級アルコールと、ハロゲノカルボン酸及び/又は長鎖アルキル硫酸塩とを含有する、蛋白質固定化用試液。
- 低級アルコールとハロゲノカルボン酸と長鎖アルキル硫酸塩とを含有する、請求項12記載の試液。
- 低級アルコールがエタノール又はメタノールである、請求項12又は13に記載の試液。
- ハロゲノカルボン酸がTCA又はTFAである、請求項11〜14の何れかに記載の試液。
- 長鎖アルキル硫酸塩がSDSである、請求項11〜15の何れかに記載の試液。
- 低級アルコール濃度が、30〜50 V/V%である、請求項11〜16の何れかに記載の試液。
- ハロゲノカルボン酸濃度が、0.1〜10 W/V%である、請求項11〜17の何れかに記載の試液。
- 長鎖アルキル硫酸塩濃度が、0.1〜1 W/V%である、請求項11〜18の何れかに記載の試液。
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